(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121925
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】作業機のワイヤ保持構造
(51)【国際特許分類】
A01D 34/68 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
A01D34/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025286
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正義
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA03
2B083DA02
2B083HA12
2B083HA60
(57)【要約】
【課題】ワイヤホルダの取り付けを容易としつつワイヤを適切に保持する。
【解決手段】自走式草刈機1のワイヤ保持構造Xであって、一方の端部がハンドル部3aに取り付けられ、ハンドル部3aから走行部2側に向って延びるとともに先端部においてワイヤ4を保持するワイヤホルダ5と、ワイヤホルダ5をハンドル部3aに取り付けるための第1取付部41及び第2取付部42と、を備える。ワイヤホルダ5は、係合部51が第1取付部41と係合し、引掛部53が第2取付部42に引っ掛けられることによってハンドル部3aに取り付けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行作業車(2)と、前記走行作業車(2)から斜め上方向に延びる棒状のハンドル部(3a)を有するとともに前記走行作業車(2)を操作するハンドル装置(3)と、を備える作業機(1)において、前記ハンドル装置(3)の操作部(3b)と前記走行作業車(2)との間に設けられたワイヤ(4)を保持する作業機(1)のワイヤ保持構造(X)であって、
一方の端部が前記ハンドル部(3a)に取り付けられ、前記ハンドル部(3a)から前記走行作業車(2)側に向って延びるとともに先端部において前記ワイヤ(4)を保持するワイヤホルダ(5)と、
前記ハンドル部(3a)にそれぞれ設けられ、前記ワイヤホルダ(5)を前記ハンドル部に取り付けるための第1取付部(41)及び第2取付部(42)と、
を備え、
前記ワイヤホルダ(5)は、
前記一方の端部に設けられ、前記第1取付部(41)に係合する係合部(51)と、
前記先端部に設けられ、前記ワイヤ(4)を保持する保持部(52)と、
前記係合部(51)と前記保持部(52)との間に設けられ、前記第2取付部(42)に引っ掛けられる環状の引掛部(53)と、
を有し、
前記第2取付部(42)は、
前記ハンドル部(3a)における前記走行作業車(2)側に対して反対側の面に取り付けられ、上方から見たときに前記ハンドル部(3a)の延在方向に対して交差する方向沿って延在するとともに前記引掛部(53)が通される支持部(42a)と、
前記支持部(42a)の先端部から前記走行作業車(2)側に向って延びる抜止部(42b)と、
を有し、
前記ワイヤホルダ(5)は、前記引掛部(53)から、前記抜止部(42b)と前記ハンドル部(3a)の外面(40a)との隙間を通って前記走行作業車(2)側に向って延びている、作業機(1)のワイヤ保持構造(X)。
【請求項2】
環状の前記引掛部(53)は、一重巻きの形状を呈している、請求項1に記載の作業機(1)のワイヤ保持構造(X)。
【請求項3】
前記ハンドル部(3a)は、
第1ハンドル部(10)と、
第1ハンドル部(10)内にスライド可能に配置された第2ハンドル部(20)と、
第1ハンドル部(10)に対する前記第2ハンドル部(20)のスライド位置を固定する固定部(30)と、
を備えている、請求項1又は2に記載の作業機(1)のワイヤ保持構造(X)。
【請求項4】
前記ハンドル部(3a)は、前記走行作業車に対し、上端部が上下方向に揺動可能に取り付けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の作業機(1)のワイヤ保持構造(X)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に設けられたワイヤを保持するワイヤ保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、草刈り作業を行う自走式の走行作業車と、走行作業車から斜め上方向に延びるハンドル装置とを備える作業機が記載されている。この作業機では、ハンドル装置の上端に設けられた操作部と走行作業車との間に、スロットルワイヤ等のワイヤが設けられている。このワイヤは、ハンドル装置の伸縮や揺動が可能なように、弛んだ状態で設けられている。このため、この作業機では、これらのワイヤを保持するワイヤホルダがハンドル装置に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したワイヤを備える作業機では、ワイヤを保持するワイヤホルダの取り付けに手間が掛かることがある。このため、このような作業機においては、ワイヤホルダの取り付けを容易としつつワイヤを適切に保持することができる構成が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、走行作業車(2)と、走行作業車(2)から斜め上方向に延びる棒状のハンドル部(3a)を有するとともに走行作業車(2)を操作するハンドル装置(3)と、を備える作業機(1)において、ハンドル装置(3)の操作部(3b)と走行作業車(2)との間に設けられたワイヤ(4)を保持する作業機(1)のワイヤ保持構造(X)であって、一方の端部がハンドル部(3a)に取り付けられ、ハンドル部(3a)から走行作業車(2)側に向って延びるとともに先端部においてワイヤ(4)を保持するワイヤホルダ(5)と、ハンドル部(3a)にそれぞれ設けられ、ワイヤホルダ(5)をハンドル部に取り付けるための第1取付部(41)及び第2取付部(42)と、を備え、ワイヤホルダ(5)は、一方の端部に設けられ、第1取付部(41)に係合する係合部(51)と、先端部に設けられ、ワイヤ(4)を保持する保持部(52)と、係合部(51)と保持部(52)との間に設けられ、第2取付部(42)に引っ掛けられる環状の引掛部(53)と、を有し、第2取付部(42)は、ハンドル部(3a)における走行作業車(2)側に対して反対側の面に取り付けられ、上方から見たときにハンドル部(3a)の延在方向に対して交差する方向沿って延在するとともに引掛部(53)が通される支持部(42a)と、支持部(42a)の先端部から走行作業車(2)側に向って延びる抜止部(42b)と、を有し、さらに、ワイヤホルダ(5)は、引掛部(53)から、抜止部(42b)とハンドル部(3a)の外面(40a)との隙間を通って走行作業車(2)側に向って延びている。
【0006】
このワイヤ保持構造(X)では、ワイヤホルダ(5)の係合部(51)を第1取付部(41)に係合させ、引掛部(53)を第2取付部(42)の支持部(42a)に引っ掛けるだけで、ワイヤホルダ(5)をハンドル部(3a)に容易に取り付けることができる。このように、ワイヤ保持構造(X)では、ワイヤホルダ(5)を取り付ける際にボルト等の固定部材を設ける必要が無く、ワイヤホルダ(5)を簡素な構成で容易に取り付けることができる。
【0007】
このワイヤ保持構造(X)では、引掛部(53)が第2取付部(42)の支持部(42a)に引っ掛けられることによって、ワイヤホルダ(5)がハンドル部(3a)に支持される。また、ワイヤ保持構造(X)では、ワイヤホルダ(5)の係合部(51)が第1取付部(41)に係合することによって、第2取付部(42)の支持部(42a)を軸としたワイヤホルダ(5)の回転が規制できる。さらに、ワイヤホルダ(5)は、抜止部(42b)とハンドル部(3a)の外面(40a)との隙間を通って走行作業車(2)側に向って延びている。このため、ワイヤ保持構造(X)では、抜止部(42b)とハンドル部(3a)の外面(40a)とによって、ワイヤホルダ(5)の水平方向の揺れを抑制できる。このように、ワイヤ保持構造(X)では、ワイヤホルダ(5)の回転や揺れを抑制できるため、ワイヤ(4)の揺れを抑制しつつ保持できる。
【0008】
以上のように、ワイヤ保持構造(X)では、ワイヤホルダ(5)の取り付けを容易としつつワイヤ(4)を適切に保持することができる。
【0009】
作業機(1)のワイヤ保持構造(X)において、環状の引掛部(53)は、一重巻きの形状を呈していてもよい。この場合、ワイヤホルダ(5)の構成を簡素化でき、ワイヤホルダ(5)の製造が容易となる。なお、このワイヤ保持構造(X)では、上述したように抜止部(42b)とハンドル部(3a)の外面(40a)とによって、ワイヤホルダ(5)の水平方向の揺れを抑制できる。このため、例えば、引掛部(53)を多重巻きにして引掛部(53)と支持部(42a)とのがたつきを無くし、ワイヤホルダ(5)の水平方向の揺れを抑制するといった構成をしなくてもよい。
【0010】
作業機(1)のワイヤ保持構造(X)において、ハンドル部(3a)は、第1ハンドル部(10)と、第1ハンドル部(10)内にスライド可能に配置された第2ハンドル部(20)と、第1ハンドル部(10)に対する第2ハンドル部(20)のスライド位置を固定する固定部(30)と、を備えていてもよい。ハンドル部(3a)が伸縮する場合、ワイヤ(4)に弛みを持たせておく必要がある。ワイヤ(4)が弛みを有する場合、ワイヤ(4)が走行作業車(2)の車輪(2c)等に干渉することがある。このような作業機(1)にワイヤ保持構造(X)を適用することにより、走行作業車(2)の上方においてワイヤ(4)を適切に保持できる。
【0011】
作業機(1)のワイヤ保持構造(X)において、ハンドル部(3a)は、走行作業車に対し、上端部が上下方向に揺動可能に取り付けられていてもよい。ワイヤ保持構造(X)は、走行作業車(2)側に向って延びるワイヤホルダ(5)の先端部(保持部(52))によって、走行作業車(2)の上部でワイヤ(4)を保持する構成となっている。このため、ワイヤ保持構造(X)は、ハンドル部(3a)が揺動した場合であっても、走行作業車(2)の上部においてワイヤ(4)を適切に保持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ワイヤホルダの取り付けを容易としつつワイヤを適切に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る自走式草刈機の全体構成を示す側面図である。
【
図2】
図2は、自走式草刈機の全体構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、ワイヤ保持構造周りを斜め後方から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、ワイヤ保持構造周りの側面図である。
【
図5】
図5は、ワイヤ保持構造周りを斜め後方から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
まず、
図1及び
図2を参照して、実施形態に係るワイヤ保持構造Xが適用された自走式草刈機1の基本構成について説明する。なお、
図2では、ワイヤ4が省略されている。
図1及び
図2に示されるように、自走式草刈機(作業機)1は、自走式の走行部(走行作業車)2と、自走式草刈機1を操作するための伸縮ハンドル装置(ハンドル装置)3とを備えている。作業者は、自走式草刈機1の伸縮ハンドル装置3を操作し、例えば草が生えた地面上で走行部2を走行させながら、走行部2によって草を刈る作業を行う。以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、特に断らない限り、自走式草刈機1を基準とする。
【0016】
走行部2は、例えばエンジン等の駆動源2aを備えている。走行部2は、ユニット本体2bに設けられた車輪2cを駆動源2aによって駆動することにより、前後方向に走行することができる。また、ユニット本体2bの下面には、草刈ユニット2dが設けられている。草刈ユニット2dは、例えば駆動源2aの駆動力によってカッターを回転させて草を刈る。
【0017】
伸縮ハンドル装置3は、棒状のハンドル部3aと、操作部3bとを備えている。ハンドル部3aの下端部は、走行部2のユニット本体2bの左側面に取り付けられている。ハンドル部3aは、棒状を呈し、ユニット本体2bから斜め上方向に延びている。本実施形態において、ハンドル部3aは、ユニット本体2bから斜め後ろ上がりに延びている。
【0018】
操作部3bは、ハンドル部3aの上端部に設けられている。作業者は、操作部3bを操作することによって、走行部2の走行方向の制御を行う。また、作業者は、操作部3bに設けられた各種の操作レバー等を操作することにより、走行部2の走行(前進、後退、走行速度等)の制御及び草刈ユニット2dの動作の制御等を行う。
【0019】
伸縮ハンドル装置3は、作業者が操作し易いように及び収納等のために、ハンドル部3aの伸縮が可能となっている。伸縮ハンドル装置3のハンドル部3aは、第1ハンドル部10と、第2ハンドル部20と、レバー部(固定部)30とを備えている。
【0020】
第1ハンドル部10は、筒状を呈する棒状の部材である。本実施形態において、第1ハンドル部10は、矩形筒状(四角筒状)を呈している。第1ハンドル部10の下端部には、第1ハンドル部10をユニット本体2bに取り付けるためのブラケット3cが設けられている。ブラケット3cは、ユニット本体2bから斜め後ろ上がりに延びる第1ハンドル部10(ハンドル部3a)の角度を調整する機能を備えている。つまり、ハンドル部3aは、走行部2に対し、上端部が上下方向に揺動可能に取り付けられている。
【0021】
第2ハンドル部20は、棒状の部材であり、第1ハンドル部10内に抜き差し可能(スライド可能)に配置されている。すなわち、第2ハンドル部20は、第1ハンドル部10に対して第1ハンドル部10の延在方向に沿ってスライドする。第2ハンドル部20は、一例として、矩形筒状(四角筒状)を呈している。
【0022】
第2ハンドル部20は、第1ハンドル部10の上端に設けられた差込口10bから抜き差しされる。第2ハンドル部20の上端部には、操作部3bが設けられている。ハンドル部3aは、第1ハンドル部10に対する第2ハンドル部20の飛び出し長さを変更することにより、長さの調整が行われる。レバー部30は、第1ハンドル部10に取り付けられている。レバー部30は、第1ハンドル部10に対する第2ハンドル部20のスライド(抜き差し方向の移動)を解除可能に固定(規制)する。
【0023】
また、自走式草刈機1は、伸縮ハンドル装置3の操作部3bと走行部2との間に設けられたワイヤ4と、ワイヤ4を保持するワイヤホルダ5とを更に備えている。ワイヤ4としては、駆動源2aを制御するスロットルワイヤ等、走行部2の各部の動作を制御するための各種のワイヤが含まれる。本実施形態において、伸縮ハンドル装置3のハンドル部3aは伸縮可能となっている。このため、ワイヤ4は、ハンドル部3aの伸長が可能なように、予め弛みを持たせて設けられている。また、ワイヤ4は、本実施形態においては複数本設けられている。
【0024】
ワイヤホルダ5は、伸縮ハンドル装置3のハンドル部3aに取り付けられている。ワイヤホルダ5は、弛みを持たせて設けられたワイヤ4が走行部2の車輪2cに巻き込まれること等が無いように、走行部2の上方の位置でワイヤ4を保持する。以下、ワイヤ4を保持するワイヤ保持構造Xの詳細について説明する。
【0025】
図2に示されるように、ハンドル部3aは、第2ハンドル部20の上端部に取り付けられた操作部フレーム40を備えている。操作部フレーム40には、操作部3bが取り付けられている。操作部フレーム40の下端部は、第2ハンドル部20の上端部に固定される。ワイヤホルダ5は、ハンドル部3aの操作部フレーム40に取り付けられている。
【0026】
図3~
図5に示されるように、ワイヤ4を保持するワイヤ保持構造Xは、ワイヤ4を保持するワイヤホルダ5と、ワイヤホルダ5をハンドル部3aの操作部フレーム40に取り付けるための第1取付部41及び第2取付部42とを備えている。なお、
図3~
図5では、ワイヤホルダ5等を示すためにワイヤ4が省略されている。
【0027】
第1取付部41及び第2取付部42は、ハンドル部3aの操作部フレーム40にそれぞれ設けられている。第1取付部41は、板状の部材である。第1取付部41は、操作部フレーム40の外面40aから立ち上がるように、外面40aに取り付けられている。第1取付部41は、ワイヤ4を操作部フレーム40に固定している。また、第1取付部41における操作部フレーム40の外面40aと対向する部分には、切欠き41aが設けられている。この切欠き41aは、操作部フレーム40における左側の外面40aに対向する部分に設けられている。第1取付部41の切欠き41aの壁面と操作部フレーム40の外面40aとによって、操作部フレーム40の延在方向に沿って延びる孔が形成される。
【0028】
第2取付部42は、L字状を呈する部材である。具合的には、第2取付部42は、支持部42aと、抜止部42bとを有して構成されている。支持部42aは、棒状の部材であり。支持部42aは、ハンドル部3a(操作部フレーム40)における走行部2側に対して反対側の面に取り付けられている。また、支持部42aは、上方から見たときに、ハンドル部3aの延在方向に対して交差する方向に沿って延在している。つまり、本実施形態において、支持部42aは、操作部フレーム40における後ろ側の面に取り付けられている。また、支持部42aは、左右方向に沿って延在している。支持部42aには、後述するワイヤホルダ5の引掛部53が引っ掛けられる。
【0029】
なお、支持部42aは、操作部フレーム40に対して切欠き41aが設けられた側に向って、操作部フレーム40から突出している。つまり支持部42aは、左側に向って操作部フレーム40から突出している。
【0030】
抜止部42bは、支持部42aの先端部から走行部2側に向って延びている。つまり、本実施形態において、抜止部42bは、支持部42aにおける左側の先端部から前側に向って延びている。
【0031】
ワイヤホルダ5は、略棒状の部材である。ワイヤホルダ5は、一方の端部がハンドル部3aの操作部フレーム40に取り付けられ、ハンドル部3a(操作部フレーム40)から走行部2側(前側)に向って延びている(
図1参照)。ワイヤホルダ5は、走行部2側の先端部においてワイヤ4を保持する。
【0032】
ワイヤホルダ5は、係合部51と、保持部52と、引掛部53とを備えている。係合部51は、略棒状のワイヤホルダ5の一方の端部に設けられている。ここでは、ワイヤホルダ5の一方の端部とは、操作部フレーム40に取り付けられる側の端部である。係合部51は、本実施形態では真っすぐな棒状を呈している。係合部51は、第1取付部41に係合する。本実施形態において、係合部51は、第1取付部41の切欠き41aと操作部フレーム40の外面40aとによって形成される孔内に下方から差し込まれることによって第1取付部41に係合する。
【0033】
保持部52は、操作部フレーム40から走行部2側に向って延びるワイヤホルダ5の先端部に設けられている。保持部52は、複数のワイヤ4をまとめて保持する。本実施形態において、保持部52は、ワイヤホルダ5の先端部を環状に屈曲させることによって形成されている。ワイヤ4は、環状を呈する保持部52内に通されることによってワイヤホルダ5の保持部52に保持される。
【0034】
引掛部53は、係合部51と保持部52との間に設けられている。引掛部53は、環状を呈している。本実施形態において、引掛部53は、ワイヤホルダ5の中間部分を環状に屈曲させることによって形成されている。また、環状の引掛部53は、一重巻きの形状を呈している。ここで、一重巻きの形状とは、軸線周りに形成される環形状が軸線方向において2以上設けられない形状である。引掛部53は、環状の内側に第2取付部42の支持部42aが通されて支持部42aに引っ掛けられる。つまり、引掛部53は、環形状の内側から支持部42aによって支持される。
【0035】
このように、ワイヤホルダ5は、係合部51が第1取付部41に係合させられ、引掛部53が第2取付部42の支持部42aに引っ掛けられることによって、操作部フレーム40に取り付けられる。この状態において、ワイヤホルダ5は、引掛部53から、第2取付部42の抜止部42bと操作部フレーム40の外面40aとの隙間を通って走行部2側(前側)に向って延びている。なお、支持部42aの端部に抜止部42bが設けられているため、ワイヤホルダ5の引掛部53が支持部42aの延在方向に移動しても、引掛部53が支持部42aから脱落することが抑制される。
【0036】
次に、操作部フレーム40に対してワイヤホルダ5を取り付ける手順について説明する。まず、取付作業を行う作業者は、ワイヤホルダ5の係合部51を第1取付部41の切欠き41aに差し込む。そして、作業者は、第2取付部42の抜止部42bにワイヤホルダ5の引掛部53を通し、保持部52が走行部2側を向くように引掛部53を支持部42aまで移動させる。これにより、ワイヤホルダ5は、操作部フレーム40に取り付けられる。なお、ワイヤホルダ5を取り外す際には、上述した取付手順と逆の手順を行えばよい。
【0037】
以上のように、このワイヤ保持構造Xでは、ワイヤホルダ5の係合部51を操作部フレーム40に設けられた第1取付部41に係合させ、引掛部53を第2取付部42の支持部42aに引っ掛けるだけで、ワイヤホルダ5をハンドル部3a(操作部フレーム40)に容易に取り付けることができる。このように、ワイヤ保持構造Xでは、ワイヤホルダ5を取り付ける際にボルト等の固定部材を設ける必要が無く、ワイヤホルダ5を簡素な構成で取り付けることができる。
【0038】
また、ワイヤ保持構造Xでは、ワイヤホルダ5の引掛部53が第2取付部42の支持部42aに引っ掛けられることによって、ワイヤホルダ5がハンドル部3a(操作部フレーム40)に支持される。また、ワイヤホルダ5の係合部51が操作部フレーム40に設けられた第1取付部41に係合することにより、第2取付部42の支持部42aを軸としたワイヤホルダ5の回転が規制できる。つまり、ワイヤホルダ5は、支持部42aを軸として保持部52が上下に動く方向に回転することが規制される。
【0039】
さらに、ワイヤホルダ5は、抜止部42bと操作部フレーム40(ハンドル部3a)の外面40aとの隙間を通って走行部2側に向って延びている。このため、抜止部42bと操作部フレーム40の外面40aとによって、ワイヤホルダ5の水平方向の揺れを抑制できる。このように、ワイヤ保持構造Xでは、ワイヤホルダ5の回転や揺れを抑制できるため、ワイヤ4の揺れを抑制しつつ保持できる。
【0040】
以上のように、ワイヤ保持構造Xでは、ワイヤホルダ5の取り付けを容易としつつワイヤ4を適切に保持することができる。
【0041】
ワイヤホルダ5において環状の引掛部53は、一重巻きの形状を呈している。この場合、ワイヤホルダ5の構成を簡素化でき、ワイヤホルダ5の製造が容易となる。なお、このワイヤ保持構造Xでは、上述したように抜止部42bと操作部フレーム40の外面40aとによって、ワイヤホルダ5の水平方向の揺れを抑制できる。このため、例えば、引掛部53を多重巻きにして引掛部53と支持部42aとのがたつきを無くし、ワイヤホルダ5の水平方向の揺れを抑制するといった構成をしなくてもよい。
【0042】
伸縮ハンドル装置3のハンドル部3aは、伸縮可能となっている。ハンドル部3aが伸縮する場合、ワイヤ4に弛みを持たせておく必要がある。ワイヤ4が弛みを有する場合、ワイヤ4が走行部2の車輪2c等に干渉することがある。このような自走式草刈機1にワイヤ保持構造Xを適用することにより、走行部2の上方においてワイヤ4を適切に保持できる。
【0043】
ハンドル部3aは、走行部2に対し、上端部が上下方向に揺動可能に取り付けられている。ワイヤ保持構造Xは、走行部2側に向って延びるワイヤホルダ5の先端部(保持部52)によって、走行部2の上部でワイヤ4を保持する構成となっている。このため、ワイヤ保持構造Xは、ハンドル部3aが揺動した場合であっても、走行部2の上部においてワイヤ4を適切に保持することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、走行部2は、草刈り以外の作業を行う走行作業車であってもよい。つまり、ワイヤ4を保持するワイヤ保持構造Xは、自走式草刈機1以外の作業機に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…自走式草刈機(作業機)、2…走行部(走行作業車)、3…伸縮ハンドル装置(ハンドル装置)、3a…ハンドル部、3b…操作部、4…ワイヤ、5…ワイヤホルダ、10…第1ハンドル部、20…第2ハンドル部、30…レバー部(固定部)、40a…外面、41…第1取付部、42…第2取付部、42a…支持部、42b…抜止部、51…係合部、52…保持部、53…引掛部、X…ワイヤ保持構造。