(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121937
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 9/04 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
H01H9/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025307
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】ニデックモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雄一
(72)【発明者】
【氏名】岡庭 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】今井 秀和
【テーマコード(参考)】
5G052
【Fターム(参考)】
5G052AA06
5G052BB04
5G052BB10
5G052HA01
(57)【要約】
【課題】ラバーシートの防水機能を高め、浸入した液体を排出し易くする。
【解決手段】電気接点を有するプリント回路基板20と、プリント回路基板を覆うラバーシート30と、電気接点をオン/オフするために操作される操作ノブ40と、操作ノブとラバードームの間に介在し、操作ノブに加えられた力をラバードームに伝達する操作機構50と、操作機構が設けられた操作機構板60と、操作機構の操作ノブと接続する部分を挿通する挿通孔を側面に、内部に浸入した液体を排出する排出孔12を底面に有するハウジング10と、ハウジングの裏側から嵌め込まれ、ラバーシートの全周をハウジングの内部に形成された段部16と挟み込む裏カバー70と、を備え、プリント回路基板は、裏カバーとラバーシートの間の空間に収容され、排出孔は、ハウジングの内面とラバーシートの間の空間の下部に位置し、排出孔とラバーシートの間には底部1Aが存在するスイッチ装置100。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接点を有し、電子部品が実装されたプリント回路基板と、
前記プリント回路基板を覆い、前記電気接点に対応する位置にラバードームを有するラバーシートと、
前記ラバードームを操作し、前記電気接点をオン/オフするために操作される操作ノブと、
前記操作ノブと前記ラバードームの間に介在し、前記操作ノブに加えられた力を前記ラバードームに伝達する操作機構と、
前記操作機構が設けられた操作機構板と、
前記操作機構の前記操作ノブと接続する部分を挿通する挿通孔を側面に、内部に浸入した液体を排出する排出孔を底面に有するハウジングと、
前記ハウジングの裏側から嵌め込まれ、前記ラバーシートの全周を前記ハウジングの内部に形成された段部と挟み込む裏カバーと、
を備え、
前記プリント回路基板は、前記裏カバーと前記ラバーシートの間の空間に収容され、
前記排出孔は、前記ハウジングの内面と前記ラバーシートの間の空間の下部に位置し、
前記排出孔と前記ラバーシートの間には底部が存在する、
スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気接点を有するプリント回路基板、電気接点を導通遮断する操作機構、これらを収納する筐体から構成されるスイッチ装置が知られている。たとえば、特許文献1は、スイッチの集約配置を目的とする集約配置化スイッチを開示する。このスイッチは、ドーム形状の突出部を有する表シートを備えた薄型のスイッチをスイッチノブの表面に設けて、集約配置化スイッチとしての車載のパワーシートスイッチを構成する。このパワーシートスイッチは、雨水が当たったり粉塵に曝されることもあるため、ゴム製の柔軟なシート状の部材を用いた防塵/防水用ブーツを備える。
【0003】
また、特許文献2は、基板に設けられた発光体が出射した光が透光性のあるカバーを透過せずにカバーの貫通孔から光漏れすることを抑制することを目的としたパワーシートスイッチを開示する。このスイッチは、筐体と、筐体の内部に設けられた基板と、基板の一方の側に実装された発光体と、基板の一方の側と発光体とを覆って、発光体からの光を導光する弾性シートとを備える。筐体には、基板の一方の側に対応して貫通孔が形成されている。弾性シートは、貫通孔に対応する部分の表面に、その内部を通る光を全反射させるための鏡面部を有する。また、防水性を高めるため、基板の表面は、全域に亘ってラバーシート(弾性シート)によって覆われている。
【0004】
また、特許文献3は、組立性及び操作性に優れた車両用パワーシートスイッチ装置を開示する。このパワーシートスイッチ装置は、下ケースと、下ケース内に収納される配線基板と、配線基板の一端に接続される第1及び第2のコネクタ端子と、配線基板に実装される第1乃至第4のレバースイッチと、各レバースイッチの上方にそれぞれ個別に配置される第1乃至第4の駆動体と、下ケースと組み合わされてスイッチ装置のケースを構成する上ケースと、第1乃至第3の駆動体を連結する第1操作つまみと、第4の駆動体に連結される第2操作つまみとから構成される。
【0005】
また、特許文献4は、ガタがなく、操作感触が安定した回動式スイッチ装置を開示する。このスイッチ装置は、スイッチ部材と、スイッチ部材を収容する支持体と、支持体に回動可能に支持された操作つまみと、操作つまみの回動に伴って往復移動するスライダ部材と、スライダ部材の往復移動に対応してスイッチ部材を駆動する駆動部材とを備える。支持体は、操作つまみを回動可能に支持するための軸部を有し、操作つまみは、軸部が挿入される軸受部が設けられた軸側端部と、スライダ部材が隙間無く連結された回動側端部とを有し、軸受部の内周面は、軸部の外周面を隙間を開けて取り囲み、軸部と軸受部とのうちの少なくとも一方には、操作つまみをスライダ部材から軸部に向かう方向に付勢するための付勢部が設けられている。
【0006】
また、特許文献5は、スライド操作時のクリック感を比較的自由に設定できて大型化も回避しやすいスライド操作型電気部品を開示する。この電気部品では、スライダは所定方向に沿って延びる一対の突条部を有し、各突条部がそれぞれ保持ケースの案内路に挿入されてガイド面に沿ってスライド移動できるようになっている。突条部にはその突端面側に開口した切欠きが設けてあり、コイルばねに弾性付勢された鋼球が切欠きの内壁面に弾接している。切欠きの形状は開口端側から奥側に向かって先窄まりであり、切欠きの最奥部に形成されたクリック溝に鋼球が係脱してクリック感が生起されるようになっている。コイルばねは保持ケースのばね収納部に収納されており、このばね収納部は案内路に臨出してガイド面に連続して設けられている。
【0007】
また、特許文献6は、操作ノブと、アクチュエータと、第1のスイッチと、第2のスイッチと、ホルダとを備える操作装置を開示する。ホルダの収容空間は、第1の方向に延在し、アクチュエータの第1の腕部が収容されて、第1の腕部を第1のスイッチの押下方向にガイドする第1の収容部と、第2の方向に延在し、アクチュエータの第2の腕部が収容されて、第2の腕部を第2のスイッチの押下方向にガイドする第2の収容部とを有する。第1の腕部または第1の収容部は、第1の腕部と第1の収容部との干渉を回避して、アクチュエータの第2の方向への傾倒を許容する許容部を有し、第2の腕部または第2の収容部は、第2の腕部と第2の収容部との干渉を回避して、アクチュエータの第1の方向への傾倒を許容する許容部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-281102号公報
【特許文献2】国際公報2020/121688号公報
【特許文献3】特開2004-288393号公報
【特許文献4】特開2016-213120号公報
【特許文献5】特開2009-218064号公報
【特許文献6】国際公報2020/255495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ラバーシートの防水機能を高め、浸入した液体を排出し易くするスイッチ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、電気接点を有し、電子部品が実装されたプリント回路基板と、プリント回路基板を覆い、電気接点に対応する位置にラバードームを有するラバーシートと、ラバードームを操作し、電気接点をオン/オフするために操作される操作ノブと、操作ノブとラバードームの間に介在し、操作ノブに加えられた力をラバードームに伝達する操作機構と、操作機構が設けられた操作機構板と、操作機構の操作ノブと接続する部分を挿通する挿通孔を側面に、内部に浸入した液体を排出する排出孔を底面に有するハウジングと、ハウジングの裏側から嵌め込まれ、ラバーシートの全周をハウジングの内部に形成された段部と挟み込む裏カバーと、を備え、プリント回路基板は、裏カバーとラバーシートの間の空間に収容され、排出孔は、ハウジングの内面とラバーシートの間の空間の下部に位置し、排出孔とラバーシートの間には底部が存在する、スイッチ装置が提供される。
これによれば、ハウジングの底面に位置する排出孔は、ハウジングの内面とラバーシートの間の空間の下部でラバーシートとの間には底部が存在するようにラバーシートとは離れて位置することで、ラバーシートとハウジングとの接続部分(段部)から液体を遠ざけ、そこから浸入することを防止してラバーシートの防水機能を高めると共に、浸入した液体を排出し易くするスイッチ装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、ラバーシートの防水機能を高め、浸入した液体を排出し易くするスイッチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る第一実施例のスイッチ装置の、(A)正面図、(B)底面図、(C)正面右上方から見た斜視図、(D)背面左上方から見た斜視図。
【
図2】本発明に係る第一実施例のスイッチ装置の、
図1(B)におけるA-A断面における断面図。
【
図3】本発明に係る第一実施例のスイッチ装置の正面右下方から見た斜視図であって、(A)全体を示す斜視図、(B)操作ノブを取り除いた場合の斜視図、(C)さらに正面側のハウジングを取り除いた場合の斜視図、(D)排出路を残しハウジングの表面部分を取り除いた場合であって(C)より正面寄りから見た斜視図、(E)さらに操作機構板を取り除き、ラバーシートとプリント回路基板の斜視図。
【
図4】本発明に係る第一実施例のスイッチ装置とカバーから構成される組み立て物の、(A)底面図、(B)正面右上方から見た斜視図、(C)背面左上方から見た斜視図。
【
図5】本発明に係る第一実施例のスイッチ装置とカバーから構成される組み立て物の、
図4(A)におけるB-B断面における断面図。
【
図6】本発明に係る第一実施例のスイッチ装置とカバーから構成される組み立て物の背面右下方から見た斜視図であって、(A)全体を示す斜視図、(B)裏カバーを取り除いた場合の斜視図、(C)さらにプリント回路基板を取り除いた場合の斜視図。
【
図7】本発明に係る第一実施例のスイッチ装置とカバーから構成される組み立て物の背面右下方から見た斜視図であって、(A)ラバーシートを取り除いた場合の斜視図、(B)操作機構板を取り除いた場合の斜視図。
【
図8】本発明に係る第一実施例のスイッチ装置とカバーから構成される組み立て物の背面左上方から見た斜視図であって、(A)ラバーシートを取り除いた場合の斜視図、(B)操作機構板を取り除いた場合の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至
図8を参照し、本実施例におけるスイッチ装置100を説明する。スイッチ装置100は、車両に搭載され、車両のバッテリから電源供給を受け、使用者の操作に基づき、所定の箇所を駆動するモータに対してオンオフ制御を行う。スイッチ装置100は、後述するように優れた耐被水性を有しており、車両内のドア近傍や座席などの雨水や飲み物の被水可能性のある箇所に設置されることを想定している。例として提示するスイッチ装置100は、運転席ドア側の座席側面に備えられ、パワーシートを操作するためのスイッチである。
【0014】
スイッチ装置100は、ハウジング10と、プリント回路基板20と、ラバーシート30と、操作ノブ40と、操作機構50と、操作機構板60と、裏カバー70と、を備える。ハウジング10は、座席の側面に適合するように、正面視で横長の概ね長方形をなし、プリント回路基板20、ラバーシート30、および操作機構板60のいずれも内部に正面と概ね平行になるように収容する厚みを有する。すなわち、内部に収容されたプリント回路基板20、ラバーシート30、および操作機構板60は、スイッチ装置100が車両に設置された場合には、これらの平面が地面に対して概ね鉛直方向になるように縦置きされることになる。ハウジング10は、背面は開放されているが、内部に収容するものを収納後、裏カバー70が蓋となり閉鎖される。スイッチ装置100は、裏カバー70の側を座席に、正面側をドアに向けて設置される。
【0015】
プリント回路基板20は、電気接点21、電子部品(図示せず)、外部と電気的に接続されるためのコネクタ22が実装されている。電気接点21は、典型的にはメンブレンスイッチの一部を構成するが、これに限定されず、たとえば後述するラバードームに導電材料を施し、ラバードームが基板表面の電気接点21に接触することで導通するように構成してもよい。コネクタ22は、プリント回路基板20の下部で下方向に向いて実装されており、使用者からは視認し難くかつ電源やモータと接続し易くなっている。電子部品は、電源からの電力を用いモータを駆動するための信号を生成する。
【0016】
ラバーシート30は、プリント回路基板20を覆い、電気接点21に対応する位置にラバードーム31を有するゴム製の柔軟なシートである。ラバーシート30は、平面的なプリント回路基板20だけでなく、プリント回路基板20から立ち上がるように設けられたコネクタ22も覆っている。ラバードーム31は、プリント回路基板20に設けられた電気接点21と対応する位置に設けられ、後述の操作機構50により押圧されることで凹んで電気接点21を導通させ、押圧がなくなると弾性力により電気接点21から離れて遮断する。ラバーシート30は、電気が流れるプリント回路基板20上のコネクタ22、電気接点21、電子部品をすべて覆い、スイッチ装置100が被水した場合であっても、プリント回路基板20の被水を防止する。
【0017】
操作ノブ40は、運転席の所定の箇所を所定方向に駆動するために正面側に複数設けられている。たとえば、複数ある操作ノブ40の1つは、座面の前後移動、上下移動のためであり、操作ノブ40の他の1つは、背もたれの昇降移動のために使用される。したがって、操作ノブ40は、上下方向(
図1や
図2のD1方向)に操作する場合が多く、この操作力はスイッチ装置100に掛けられることになる。操作ノブ40が使用者により操作されると、その動きが操作機構50に伝播し、操作ノブ40は、操作機構50を介してラバードーム31を操作し、電気接点21をオン/オフする。
【0018】
操作機構50は、操作ノブ40との接続部51と、スライド部52と、プランジャ53とを有する(
図2)。接続部51は、ハウジング10の正面側の側面に設けられた挿通孔11を通って、ハウジング10の正面から露出し、操作ノブ40と接続される。スライド部52は、ハウジング10内に収められ、操作ノブ40と共にD1方向にスライド移動する。プランジャ53は、スライド部52の移動方向を、その垂直方向すなわちプリント回路基板20やラバーシート30と垂直をなす方向へ変換する部材である。
【0019】
たとえば、操作ノブ40が使用者によりD1の下方向へ操作されると、スライド部52は、それと共に下方向へスライド移動し、下方に位置するプランジャ53の先端を(図視右方向へ)押し下げる。プランジャ53は、押し下げられると、もう一方の先端がラバードーム31に当接して押し下げるように構成されており、これにより、プリント回路基板20の電気接点21がオンされる。このように、操作機構50は、操作ノブ40とラバードーム31の間に介在し、操作ノブ40に加えられた力をラバードーム31に伝達する。なお、操作機構50は、図示しないが、これら以外にもスライド部52を所定方向に付勢する弾性部材や、スイッチ感触を生じさせる部材などを有する。
【0020】
操作機構板60は、複数の操作機構50が設けられる強固な基盤であり、それぞれの操作機構50を支持し、操作ノブ40を介して加えられる操作力に耐えられるように構成される。操作機構板60は、ハウジング10の内部において最も正面側に取り付けられるが、ハウジング10の上面と底面に設けられた支持穴14に嵌め合わされる支持部62を有し(
図2)、これによりハウジング10に強固に取り付けられる。
図2の断面図や
図1(A)正面図と(B)底面図を見れば分かるように、操作機構板60における支持部62と操作機構50の位置、および、これらに対応するハウジング10における支持穴14と挿通孔11の位置は、正面側から見た場合操作ノブ40の操作方向D1において一致している。
【0021】
操作ノブ40が上下移動し、スライド部52が上下移動する操作機構50の接続部51が挿通する挿通孔11には、対応して真下に支持穴14が設けられる。すなわち、このような構成により、スイッチ装置100の正面に配置された操作ノブ40に加えられる操作方向D1の力を、上面における挿通孔11の真上および底面における挿通孔11の真下に配した支持穴14により支持部62を介して強固に支持することができ、操作機構50の強度を確保することができる。なお、支持穴14は、本実施例ではハウジング10の表面と内面を貫通する孔であるが、貫通せずに、支持部62と係合する凹んだ穴であってもよい。
【0022】
また、ハウジング10は、ハウジング10内部に浸入した液体を排出するための底面に排出孔12を有する。排出孔12の位置は、操作ノブ40の操作方向D1において挿通孔11の位置とずれている。すなわち、それぞれの挿通孔11に対応した真下の底面に支持穴14が設けられ、それぞれの支持穴14の間に排出孔12が設けられており、排出孔12と支持穴14が底面において交互に並んで配置されている(
図1(B)等)。操作機構50の一部が挿通する挿通孔11から液体が浸入することもあるため、排出孔12は、本来挿通孔11の真下にあることが好ましいが、後述するように、浸入した液体が排出孔12に導かれる構成を施すことにより、排出孔12が操作方向D1においてずれていても、操作機構の強度を確保するとともに、浸入した液体を排出し易くすることができる。
【0023】
ハウジング10は、正面から順に操作機構板60、ラバーシート30、プリント回路基板20を内部に収容し、裏カバー70がハウジング10の裏側から嵌め込まれ閉鎖される。裏カバー70をハウジング10に嵌め込む際には、ラバーシート30の全周をハウジング10の内部に形成された段部16と挟み込むようにして嵌め込む(
図2、
図5)。これにより、電気が流れるプリント回路基板20を裏カバー70とラバーシート30の間の空間に収容し、全周を挟み込むことで、プリント回路基板20の被水を防止できる。
【0024】
排出孔12は、ハウジング10の正面側の内面、より具体的には操作機構板60とラバーシート30の間の空間の下部に位置し、排出孔12とラバーシート30の間には底部1Aが存在するように設けられる(
図5)。底部1Aは、ハウジング10の一部であり、排出孔12と段部16の間に設けられる。これによれば、ハウジング10の底面に位置する排出孔12は、ハウジング10の正面側の内面とラバーシート30の間の空間の下部で、ラバーシート30との間には底部1Aが存在するようにラバーシート30とは離れて位置することで、ラバーシート30とハウジング10との接続部分(段部16)から液体を遠ざけ、そこから浸入することを防止してラバーシート30の防水機能を高めると共に、浸入した液体を排出し易くする。
【0025】
また、ハウジング10は、プリント回路基板20の下部で下方向に向いて設けられているコネクタ22に外部から接続するために設けられたコネクタ用開口17を底面に有する。コネクタ用開口17は、底面において、排出孔12との間には所定の距離が設けられる。所定の距離とは、排出孔12から排出される液体がコネクタ用開口17に飛び散らない距離であり適宜定められるが、たとえば、
図4(A)に示すように、コネクタ用開口17と排出孔12の間に支持穴14が存在している程度の距離である。このように、ハウジング10の底面に設けられる排出孔12とコネクタ用開口17が、支持穴14を配置するなど所定の距離離れて配置されることで、ハウジング10内に浸入し、排出孔12から排出された液体がコネクタ22に浸入することを防止できる。
【0026】
スイッチ装置100の上方から雨水や飲み物などの液体が掛けられた場合、ハウジング10の上面から正面側の側面を伝って挿通孔11から液体が浸入することが考えられる。挿通孔11から浸入した液体は、ハウジング10の内面と操作機構板60の間の空間に流れ込む。ハウジング10の内面と操作機構板60の間の空間に流れ込んだ液体は、スイッチ装置100が設置された際操作機構板60やプリント回路基板20が縦置きになるように構成されているので、挿通孔11や操作機構50の底面側へ流れる。
【0027】
操作機構板60は、操作機構50の底面側において、操作機構板60とラバーシート30の間の空間と、ハウジング10の正面側側面の内面と操作機構板60の間の空間を連通する連通孔61を有する(
図3(C)、(D)、
図5)。ハウジング10の内面と操作機構板60の間の空間に流れ込んだ液体は、この連通孔61を通って操作機構板60とラバーシート30の間の空間に流れ込み、この空間の底面に設けられた排出孔12を通って排出される。
【0028】
また、ハウジング10の正面側の側面の内面と操作機構板60の間であって挿通孔11および操作機構50の底面側の空間に、挿通孔11から浸入した液体を連通孔61に導く排出路15が設けられることが好ましい。このように、ハウジング10の正面側の側面の内面と操作機構板60の間の空間であって挿通孔11および操作機構50より底面側の空間に、挿通孔11から浸入した液体を、操作機構板60の両サイドの空間を連通する連通孔61に導く排出路15が設けられたことで、スイッチ装置100が設置された際プリント回路基板20が縦置きになるスイッチ装置において、浸入した液体を排出孔12から排出し易くすることができる。
【0029】
なお、本実施例では、排出路15は、ハウジング10の正面側の側面の内面側から操作機構板60の方へ延在し、その先端が操作機構板60に当接することにより形成されている。しかし、これに限定されず、排出路は、操作機構板のハウジング側の面からハウジングの正面の方へ延在し、その先端がハウジングの内面に当接することにより形成されてもよい。いずれであっても、かかる排出路が形成されることにより、挿通孔11から浸入した液体がスムーズに連通孔61に導かれ、スイッチ装置100の内部から早期に排出される。
【0030】
また、連通孔61を通って操作機構板60とラバーシート30の間の空間に流れ込んだ液体は、通常下方に設けられた排出孔12に向けて流れるが、ラバーシート30はプリント回路基板20から立ち上がるように設けられたコネクタ22を覆っている部分があるため、その部分から排出孔12へ導くことが好ましい。その構成として、ラバーシート30は、操作機構板60の方へ延在し、その先端が操作機構板60に当接し、挿通孔11から連通孔61を経由して浸入した液体を排出孔12に導くコネクタ部排出路32を有することが好ましい(
図3(E))。コネクタ部排出路32は、コネクタ22を覆うラバーシート30の一部で一端を接続され、一端から底面に設けられた排出孔12の方へ向かって傾斜して延在し、底面の近傍で他端34が形成されている。他端34は、コネクタ22を覆うラバーシート30からは離れており、コネクタ22を覆うラバーシート30の下端部と他端34の間には毛細管現象を生じさせない隙間33が存在する。
【0031】
このように、ラバーシート30に形成された液体を排出孔12に導くコネクタ部排出路32は、コネクタ22を覆うラバーシート30から排出孔12の方へ向かって傾斜して延在し、その先端(他端34)がコネクタ22を覆うラバーシート30からは離れており、コネクタ22を覆うラバーシート30との間に隙間33が存在することで、コネクタ22のコネクタ用開口17から液体が浸入することを防止することができる。
【0032】
なお、コネクタ用開口17の周囲には下方に延びるコネクタ用開口壁18を有することが好ましい。これによれば、排出孔12から排出された液体がコネクタ用開口壁18を超えてコネクタ22に浸入することを防止できる。また、排出孔12の周囲に下方に延びる排出孔壁13を有することが好ましい。これによれば、排出孔12から排出された液体がより下方で落下するためコネクタ22に浸入することを防止できる。
【0033】
なお、ハウジング10の上面の裏カバー70側の端部に、上方に立ち上がる立ち上がり部19を有することが好ましい(
図2、
図5、
図7など)。これにより、液体が背面側から回り込んでハウジング10内に浸入することを防止する。
【0034】
また、スイッチ装置100は、スイッチ装置100に取り付けられ、前面から操作ノブ40を露出し、スイッチ装置100の少なくとも上面および前面を覆う意匠的なカバー200と共に、組み立て物1として提供されてもよい(
図4~
図8)。これによれば、美観に優れ、液体がハウジング10の内部に浸入することを防止する組み立て物1が提供される。
【0035】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0036】
1 組み立て物
100 スイッチ装置
10 ハウジング
11 挿通孔
12 排出孔
13 排出孔壁
14 支持穴
15 排出路
16 段部
17 コネクタ用開口
18 コネクタ用開口壁
19 立ち上がり部
1A 底部
20 プリント回路基板
21 電気接点
22 コネクタ
30 ラバーシート
31 ラバードーム
32 コネクタ部排出路
33 隙間
34 他端
40 操作ノブ
50 操作機構
51 操作ノブとの接続部
52 スライド部
53 プランジャ
60 操作機構板
61 連通孔
62 支持部
70 裏カバー
200 カバー
D1 操作ノブの操作方向