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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121940
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】洗濯物処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/08 20060101AFI20230825BHJP
   F16H 55/36 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
D06F58/08
F16H55/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025311
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】田中 駿
【テーマコード(参考)】
3B166
3J031
【Fターム(参考)】
3B166AA24
3B166AB24
3B166AB29
3B166AE02
3B166AE04
3B166BA12
3B166BA23
3B166CA01
3B166CB11
3B166EA03
3B166EA15
3B166EC13
3B166EE07
3B166GA02
3B166GA12
3B166GA22
3B166GA45
3B166JM03
3J031AA01
3J031BB01
3J031BB05
3J031CA05
(57)【要約】
【課題】ベルト溝からのプーリベルトの脱落を好適に防止しつつ、静粛性に優れた洗濯物処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の乾燥機は、従動プーリ13がベルト溝70を有している。ベルト溝70は、第2プーリベルト15Bと当接する底面70Aと、後方側で底面70Aと連続して形成され、第1回転軸心O1から離隔するように延びる第1面70Bと、前方側で底面70Aと連続して形成され、第1回転軸心O1から離隔するように延びて底面70A及び第1面70Bとともに第2プーリベルト15Bを収容する第2面70Cと、第1中間面70Dと、第3面70Eとを有している。第1中間面70Dは、第1面70Bに接続しており、前後方向に延びるともに第1回転軸心O1周りに延びている。第3面70Eは、第1中間面70Dに対して底面70Aとは逆側で連続しており、第1回転軸心O1から離隔するように延びている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、
内部に洗濯物を収容しつつ回転可能なドラムと、
前記洗濯物に処理を行うために回転可能な処理手段と、
前記電動モータによって回転駆動される駆動プーリと、
前記ドラム及び前記処理手段の少なくとも一方である回転体と接続され、前記回転体とともに回転可能な従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとに巻き掛けられ、前記駆動プーリの動力を前記従動プーリに伝達するプーリベルトと、
前記電動モータ、前記ドラム、前記処理手段、前記駆動プーリ、前記従動プーリ及び前記プーリベルトを収容する筐体とを備え、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの少なくとも一方は特定プーリとされ、
前記特定プーリは、軸心周りに形成されたベルト溝を有し、
前記ベルト溝は、前記プーリベルトと当接する底面と、前記軸心と平行な幅方向の一方側で前記底面と連続して形成され、前記軸心から離隔するように延びる第1面と、前記幅方向の他方側で前記底面と連続して形成され、前記軸心から離隔するように延びて前記底面及び前記第1面とともに前記プーリベルトを収容する第2面とを有する洗濯物処理装置であって、
前記ベルト溝は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に接続して形成され、前記第1面及び前記第2面に収容された前記プーリベルトから離隔するように前記幅方向に延びるとともに前記軸心周りに延びる中間面と、
前記底面とは逆側で前記中間面と連続し、前記軸心から離隔するように延びて前記プーリベルトの脱落を防止する第3面とをさらに有していることを特徴とする洗濯物処理装置。
【請求項2】
前記底面、前記第1面及び前記第2面に収容された前記プーリベルトを前記軸心を含む面での断面図を仮定し、前記断面図における前記プーリベルトの中心点を含んで前記幅方向に延びる中心線と、前記断面図における前記軸心から最も離隔した前記プーリベルトの外周点を含んで前記幅方向に延びる外周線と、前記中心線と前記外周線との間に位置して前記幅方向に延びる中間線とを規定した場合、
前記中間面は、前記中間線を含んでいる請求項1記載の洗濯物処理装置。
【請求項3】
前記中間面は、前記底面側が前記軸心に近づくように傾斜している請求項1又は2記載の洗濯物処理装置。
【請求項4】
前記中間面の前記幅方向の長さは、前記プーリベルトにおける前記幅方向の最長の半分の長さよりも短い請求項1乃至3のいずれか1項記載の洗濯物処理装置。
【請求項5】
前記洗濯物に異なる処理を行う複数の運転モードと、
前記各運転モードに対応して各々設定された前記電動モータの設定回転数とを記憶する記憶部と、
前記電動モータの作動制御を行うとともに、全ての前記運転モードから選択された1つの前記運転モードを特定運転モードとして実行する制御部とをさらに備え、
前記制御部は、前記特定運転モードにおける前記設定回転数よりも少ない回転数で前記電動モータを始動させた後、前記設定回転数まで段階的に前記回転数を増加させる請求項1乃至4のいずれか1項記載の洗濯物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の洗濯物処理装置としてのドラム式洗濯機が開示されている。このドラム式洗濯機は、電動モータと、ドラムと、駆動プーリと、従動プーリと、プーリベルトと、筐体とを備えている。ドラムは、内部に洗濯物を収容しつつ回転可能である。駆動プーリは、電動モータによって回転駆動される。従動プーリは、ドラムと接続されており、ドラムとともに回転可能である。プーリベルトは、駆動プーリと前記従動プーリとに巻き掛けられており、駆動プーリの動力を従動プーリに伝達する。筐体は、電動モータ、ドラム、駆動プーリ、従動プーリ及びプーリベルトを収容する。
【0003】
一般的に、駆動プーリ及び従動プーリの少なくとも一方である特定プーリは、軸心周りに形成されたベルト溝を有している。一般的に、ベルト溝は、底面と、第1面と、第2面とを有している。底面はプーリベルトと当接する。第1面は、軸心と平行な幅方向の一方側で底面と連続して形成されており、軸心から離隔するように延びている。第2面は、幅方向の他方側で底面と連続して形成されており、軸心から離隔するように延びて底面及び第1面とともにプーリベルトを収容する。この際、プーリベルトは、一定の張力を有した状態でベルト溝に収容される。
【0004】
このドラム式洗濯機では、電動モータによって駆動プーリが回転駆動されることにより、従動プーリが回転し、ドラムが回転する。これにより、ドラム内に収容された洗濯物の洗濯が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-134262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来のドラム式洗濯機では、プーリベルトに必然的に撓みが生じ得る。そして、プーリベルトは張力の低下により、撓んだ状態で回転することで、ベルト溝の第1面や第2面を超え、ベルト溝から脱落してしまうおそれがある。ドラムが洗濯物の量や位置の偏位により振動すれば、この傾向は顕著となる。この場合、ドラム式洗濯機がその機能を発揮できなくなってしまう。
【0007】
プーリベルトの脱落を防止するに当たっては、たとえプーリベルトが撓んだ場合であっても第1面や第2面を超えることがないように、第1面及び第2面をより延長することが考えられる。しかし、この場合には、ドラム式洗濯機の作動時に、プーリベルトと第1面及び第2面とが擦れ合うことによる騒音が生じ易くなる。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ベルト溝からのプーリベルトの脱落を好適に防止しつつ、静粛性に優れた洗濯物処理装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の洗濯物処理装置は、電動モータと、
内部に洗濯物を収容しつつ回転可能なドラムと、
前記洗濯物に処理を行うために回転可能な処理手段と、
前記電動モータによって回転駆動される駆動プーリと、
前記ドラム及び前記処理手段の少なくとも一方である回転体と接続され、前記回転体とともに回転可能な従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとに巻き掛けられ、前記駆動プーリの動力を前記従動プーリに伝達するプーリベルトと、
前記電動モータ、前記ドラム、前記処理手段、前記駆動プーリ、前記従動プーリ及び前記プーリベルトを収容する筐体とを備え、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの少なくとも一方は特定プーリとされ、
前記特定プーリは、軸心周りに形成されたベルト溝を有し、
前記ベルト溝は、前記プーリベルトと当接する底面と、前記軸心と平行な幅方向の一方側で前記底面と連続して形成され、前記軸心から離隔するように延びる第1面と、前記幅方向の他方側で前記底面と連続して形成され、前記軸心から離隔するように延びて前記底面及び前記第1面とともに前記プーリベルトを収容する第2面とを有する洗濯物処理装置であって、
前記ベルト溝は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に接続して形成され、前記第1面及び前記第2面に収容された前記プーリベルトから離隔するように前記幅方向に延びるとともに前記軸心周りに延びる中間面と、
前記底面とは逆側で前記中間面と連続し、前記軸心から離隔するように延びて前記プーリベルトの脱落を防止する第3面とをさらに有していることを特徴とする。
【0010】
本発明の洗濯物処理装置では、たとえプーリベルトに撓みが生じ、プーリベルトが中間面を超えたとしても、第3面がプーリベルトの脱落を防止する。具体的には、第3面は、中間面を超えたプーリベルトと当接することにより、プーリベルトを底面と第1面と第2面との間に戻すことでプーリベルトの脱落を防止する。
【0011】
また、この洗濯物処理装置では、例えば中間面が第1面に連続して形成された場合、プーリベルトの脱落を防止するに当たって、第1面を軸心から離隔するように過度に長く形成する必要がない。これにより、この洗濯物処理装置では、作動時にプーリベルトと第1面及び第2面とが擦れ合うことによる騒音が生じ難い。
【0012】
したがって、本発明の洗濯物処理装置は、ベルト溝からのプーリベルトの脱落を好適に防止しつつ、静粛性に優れている。
【0013】
本発明の洗濯物処理装置において、底面、第1面及び第2面に収容されたプーリベルトを軸心を含む面での断面図を仮定し、断面図におけるプーリベルトの中心点を含んで幅方向に延びる中心線と、断面図における軸心から最も離隔したプーリベルトの外周点を含んで幅方向に延びる外周線と、中心線と外周線との間に位置して幅方向に延びる中間線とを規定した場合、中間面は、中間線を含んでいることが好ましい。
【0014】
これにより、プーリベルトは、自己の径方向の半径分以上に撓んだ場合に初めて中間面を超えることになるため、プーリベルトの脱落を好適に防止できる。また、このようにプーリベルトの脱落を好適に防止しつつも、例えば中間面が第1面に連続して形成された場合には、第1面が軸心から離隔するように延びる長さを可及的に短くできるため、作動時にプーリベルトと第1面がより擦れ難くなる。これにより、作動時の騒音の発生もより抑制できる。
【0015】
中間面は、底面側が軸心に近づくように傾斜していることが好ましい。この場合、撓んだプーリベルトが中間面と当接することにより、中間面によっても、プーリベルトを底面と第1面と第2面との間に戻すことができる。これにより、プーリベルトの脱落をより好適に防止できる。
【0016】
中間面の幅方向の長さは、プーリベルトにおける幅方向の最長の半分の長さよりも短いことが好ましい。この場合には、撓んだプーリベルトが中間面で安定することを防止できるため、プーリベルトが底面と第1面と第2面との間に戻らなくなることを防止できる。
【0017】
本発明の洗濯物処理装置は、洗濯物に異なる処理を行う複数の運転モードと、各運転モードに対応して各々設定された電動モータの設定回転数とを記憶する記憶部と、電動モータの作動制御を行うとともに、全ての運転モードから選択された1つの運転モードを特定運転モードとして実行する制御部とをさらに備え得る。そして、制御部は、特定運転モードにおける設定回転数よりも少ない回転数で電動モータを始動させた後、設定回転数まで段階的に回転数を増加させることが好ましい。
【0018】
電動モータによって駆動プーリを急激に回転させた場合、駆動プーリから従動プーリに伝達される動力が急激に変化するため、プーリベルトはより撓み易くなる。この点、この洗濯物処理装置は、制御部は、特定運転モードを実行するに当たり、設定回転数よりも少ない回転数で電動モータを始動させた後、設定回転数まで段階的に回転数を増加させるため、プーリベルトの撓みを好適に防止できる。これにより、この洗濯物処理装置は、プーリベルトの脱落をより好適に防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の洗濯物処理装置は、ベルト溝からのプーリベルトの脱落を好適に防止しつつ、静粛性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施例1の洗濯物処理装置を示す断面図である。
図2図2は、実施例1の洗濯物処理装置に係り、特定プーリの側面図及びプーリベルトの断面図である。
図3図3は、実施例1の洗濯物処理装置に係り、特定プーリ及びプーリベルトの要部拡大断面図である。
図4図4は、実施例1の洗濯物処理装置に係り、第3面がプーリベルトの脱落を防止する状態を示す特定プーリ及びプーリベルトの要部拡大断面図である。
図5図5は、実施例1の洗濯物処理装置に係り、電動モータの作動制御のフロー図である。
図6図6は、実施例1の洗濯物処理装置に係り、電動モータの作動制御のフロー図である。
図7図7は、実施例2の洗濯物処理装置に係り、図3と同様の要部拡大断面図である。
図8図8は、実施例2の洗濯物処理装置に係り、第3面及び第4面がプーリベルトの脱落を防止する状態を示す図4と同様の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の乾燥機は、筐体3と、ドラム5と、電動モータ7と、ファン9と、駆動プーリ11と、従動プーリ13と、第1プーリベルト15Aと、第2プーリベルト15Bと、記憶部17と、制御部19とからなる。乾燥機は、本発明における「洗濯物処理装置」の一例である。また、ファン9は、本発明における「処理手段」の一例である。
【0023】
本実施例では、図1に示す矢印によって、乾燥機の上下方向及び前後方向を規定している。そして、図2以降では、図1に対応して乾燥機の上下方向及び前後方向を規定している。前後方向は、本発明における「幅方向」に相当している。より具体的には、後方が「幅方向の一方側」に相当しており、前方が「幅方向の他方側」に相当している。
【0024】
筐体3は略矩形の箱状をなしており、前壁3Aと、後壁3Bと、上壁3Cと、下壁3Dとを有している他、一対の側壁(図示略)を有している。これらの前壁3A、後壁3B、上壁3C、下壁3D及び両側壁により、筐体3の内部には内部空間10が形成されている。内部空間10には、ドラム5、電動モータ7、ファン9、駆動プーリ11、従動プーリ13、第1プーリベルト15A、第2プーリベルト15B、記憶部17及び制御部19がそれぞれ収容されている他、給気ダクト25、排気ダクト27及び加熱源29が収容されている。
【0025】
前壁3Aの略中央には、内部空間10に連通する連通口31が設けられている他、連通口31を開閉可能な開閉扉33が設けられている。また、前壁3Aにおいて、開閉扉33よりも下方となる位置には、操作部35と、ディスプレイ37とが設けられている。操作部35は、複数のスイッチ等で構成されており、乾燥機の使用者(図示略)が乾燥機の運転開始の指示や運転モードの選択等の操作を行う。ディスプレイ37には、運転時間が表示され他、エラーメッセージ等が表示される。なお、運転モードについては後述する。
【0026】
後壁3Bには、前後方向に水平に延びる第1回転軸心O1を中心とするドラム支持軸5Aが固定されている。上壁3Cには、排気口21が形成されている。下壁3Dには、複数の給気口23が形成されている。
【0027】
ドラム5は、第1回転軸心O1を中心とする円筒形状に形成されており、内部に乾燥室50を形成している。乾燥室50は、使用者が連通口31から投入した洗濯物C1を収容可能となっている。洗濯物C1としては、例えば衣類の他、毛布やカーペット等が挙げられる。また、ドラム5の後端には、通気部52が設けられている。
【0028】
電動モータ7は、内部空間10において、ドラム5よりも下方に配置されている。電動モータ7には、第2回転軸心O2を中心とする駆動軸7Aが設けられている。駆動軸7Aは、電動モータ7を前後方向に貫通している。ここで、第2回転軸心O2は、第1回転軸心O1と平行である。つまり、駆動軸7Aは、ドラム支持軸5Aと平行で前後方向に延びている。
【0029】
給気ダクト25は、内部空間10において、ドラム5の下方に位置しており、ドラム5と接続している。排気ダクト27は、ドラム5と後壁3Bとの間に設けられており、排気口21に接続している。
【0030】
加熱源29は、ガスバーナ29A、ガス供給弁装置29B及びガス噴射ノズル29Cを有している。ガスバーナ29Aは、給気ダクト25の下方に配置されている。ガス供給弁装置29Bは、図示しないガス供給源からガス噴射ノズル29Cに燃料ガスを供給する。ガス噴射ノズル29Cは、ガスバーナ29Aに向けて燃料ガスを噴射する。これにより、燃料ガスは、ガスバーナ29Aの周辺の空気と共にガスバーナ29Aで燃焼する。その結果、各給気口23から内部空間10に取り込まれた空気は、ガスバーナ29Aで生成される燃料排ガスによって加熱される。
【0031】
ファン9は、排気ダクト27内に配置されており、ドラム支持軸5Aが挿通された従動プーリ13に固定されている。これにより、ファン9は、排気ダクト27内において、第1回転軸心O1周り回転可能となっている。ファン9は、第1回転軸心O1周り回転することにより、加熱源29で加熱された空気を乾燥室50内に供給して洗濯物C1を乾燥させる。この洗濯物C1の乾燥は、本発明における「処理」の一例である。なお、従動プーリ13については後述する。
【0032】
駆動プーリ11は、第1駆動プーリ11Aと、第2駆動プーリ11Bとからなる。第1駆動プーリ11Aは、駆動軸7Aの前部に固定されている。第2駆動プーリ11Bは、駆動軸7Aの後部に固定されている。
【0033】
第1駆動プーリ11Aは、駆動軸7Aが回転することにより、第2回転軸心O2周りに回転可能となっている。第1駆動プーリ11Aは、第2回転軸心O2周りに形成されたベルト溝110を有している。
【0034】
第2駆動プーリ11Bは、駆動軸7Aが回転することにより、第2回転軸心O2周りに回転可能となっている。つまり、第2駆動プーリ11Bは、第1駆動プーリ11Aと同軸かつ同時に回転する。第2駆動プーリ11Bは、第2回転軸心O2周りに形成されたベルト溝113を有している。
【0035】
第1プーリベルト15Aは、合成ゴム等の弾性材料によって形成されており、幅方向、つまり前後方向の断面が矩形の板状をなしている。第1プーリベルト15Aは、第1駆動プーリ11Aのベルト溝110に収容されつつ、ベルト溝110とドラム5とに巻き掛けられている。なお、第1プーリベルト15Aにおける前後方向の断面の形状は矩形の板状に限られることはなく、他の形状であっても良い。
【0036】
従動プーリ13は、ドラム支持軸5Aを挿通している。これにより、従動プーリ13は、第1回転軸心O1周りに回転可能となっている。本実施例では、従動プーリ13を本発明における「特定プーリ」としている。
【0037】
図2に示すように、従動プーリ13は、プーリ本体13Aと、接続部13Bとからなる。プーリ本体13Aは、円盤状に形成されている。プーリ本体13Aは、ドラム支持軸5Aを挿通することにより、第1回転軸心O1を自己の軸心としている。また、プーリ本体13Aは、第1回転軸心O1と平行な幅方向、すなわち前後方向に一定の厚みを有して形成されている。プーリ本体13Aは、ベルト溝70と、後端面72と、第1外周面73と、前端面74と、第2外周面75とを有している。
【0038】
ベルト溝70は、第1回転軸心O1周りに延びている。ベルト溝70と、図1に示す第2駆動プーリ11Bのベルト溝113との間には、第2プーリベルト15Bが巻き掛けられている。
【0039】
図2及び図3に示すように、第2プーリベルト15Bは、合成ゴム等の弾性材料によって形成されており、前後方向の断面が円形をなしている。第2プーリベルト15Bの直径の長さは、第1長さL1とされている。第1長さL1は、第2プーリベルト15Bの幅方向における最長である。なお、第2プーリベルト15Bにおける前後方向の断面の形状は円形に限られることはなく、他の形状であっても良い。
【0040】
ベルト溝70は、底面70Aと、第1面70Bと、第2面70Cと、第1中間面70Dと、第3面70Eとからなる。第1中間面70Dは、本発明における「中間面」の一例である。底面70Aは、第2プーリベルト15Bの形状に対応して、円弧状に湾曲して形成されている。
【0041】
第1面70Bは、底面70Aに対して、プーリ本体13Aの幅方向の一方側、すなわち、後方側に位置しており、底面70Aと連続している。第1面70Bは、第1回転軸心O1から離隔するようにプーリ本体13Aの径方向に延びている。
【0042】
第2面70Cは、底面70Aに対して、プーリ本体13Aの幅方向の他方側、すなわち、前方側に位置しており、底面70Aと連続している。第2面70Cは、第1面70Bと前後方向で対向しつつ、第1回転軸心O1から離隔するようにプーリ本体13Aの径方向に延びている。
【0043】
第1中間面70Dは、プーリ本体13Aの径方向において、底面70Aとは反対側で第1面70Bと連続している。具体的には、図3に示すように、底面70A、第1面70B及び第2面70Cに収容された第2プーリベルト15Bの第1回転軸心O1を含む面(図示略)での断面図において、中心点X1と、中心線X2と、外周点X3と、外周線X4と、中間線X5とを規定する。中心点X1は、図3における第2プーリベルト15Bの中心である。中心線X2は、中心点X1を含んで前後方向に直線状に延びる線である。外周点X3は、第2プーリベルト15Bにおいて、第1回転軸心O1から最も離隔した位置に規定された点である。外周線X4は、外周点X3を含んで前後方向に直線状に延びる線である。中間線X5は、プーリ本体13Aの径方向において、中心線X2と外周線X4との間に位置して前後方向に直線状に延びる線である。そして、第1中間面70Dは、中間線X5を含んでいる。つまり、第1中間面70Dは、中心線X2と外周線X4との間となる位置で第1面70Bと連続している。
【0044】
第1中間面70Dは、第1面70Bから後方に向かって延びているとともに、第1回転軸心O1周りに延びている。図4に示すように、第1中間面70Dは、第1湾曲部701と、第1平坦部702と、第2湾曲部703とからなる。第1湾曲部701は、第1面70Bに向かうにつれて第1回転軸心O1に近づくように湾曲しており、第1面70Bと連続している。第1平坦部702は、平坦に延びており、前端で第1湾曲部701と連続している。第2湾曲部703は、第1平坦部702の後端と連続しており、第1回転軸心O1から離隔するようにプーリ本体13Aの径方向に湾曲している。
【0045】
第3面70Eは、第1中間面70Dの後方側に位置している。第3面70Eは、第2湾曲部703と連続している。つまり、第3面70Eは、第1中間面70Dに対して底面70A及び第1面70Bとは逆側で連続している。これにより、第3面70Eは、第1面70Bよりも後方に位置している。そして、第3面70Eは、第1回転軸心O1から離隔するようにプーリ本体13Aの径方向に延びている。
【0046】
このように、ベルト溝70では、第1面70Bが第1中間面70Dと連続していることから、図3に示すように、第1面70Bは、プーリ本体13Aの径方向に第2長さL2で延びている。これに対し、第2面70Cは、プーリ本体13Aの径方向に第2長さL2よりも長い第3長さL3で延びている。また、第1中間面70Dは、前後方向に第4長さL4で延びている。この第4長さL4は、第2プーリベルト15Bの直径の長さである第1長さL1の半分の長さよりも短く設定されている。また、第3面70Eは、プーリ本体13Aの径方向に第5長さL5で延びている。この第5長さL5は、第2長さL2よりも長く、第3長さL3よりも短く設定されている。なお、第5長さL5は適宜設計可能である。
【0047】
図2に示すように、後端面72は、プーリ本体13Aの後端に位置しており、プーリ本体13Aの径方向に延びている。第1外周面73は、第3面70Eと後端面72との間に位置しており、前後方向に延びつつ第1回転軸心O1周りに延びている。第1外周面73は、前端で第3面70Eと連続しており、後端で後端面72と連続している。この際、第1外周面73は、湾曲しつつ第3面70E及び後端面72にそれぞれ連続している。
【0048】
前端面74は、プーリ本体13Aの前端に位置しており、プーリ本体13Aの径方向に延びている。第2外周面75は、前端面74と第2面70Cとの間に位置しており、前後方向に延びつつ第1回転軸心O1周りに延びている。第2外周面75は、前端で前端面74に連続しており、後端で第2面70Cと連続している。また、第2外周面75についても、湾曲しつつ前端面74及び第2面70Cにそれぞれ連続している。ここで、第2外周面75は、第1外周面73に比べて前後方向に長く形成されている。こうして、ベルト溝70は、プーリ本体13Aの前後方向において、第1外周面73と第2外周面75との間に位置している。なお、第1外周面73及び第2外周面75における前後方向の長さは適宜設計可能である。
【0049】
また、ベルト溝70の底面70Aから第1外周面73までのプーリ本体13Aの径方向の長さと、底面70Aから第2外周面75までのプーリ本体13Aの径方向の長さとは、ともに第6長さL6に設定されている。なお、底面70Aから第1外周面73までのプーリ本体13Aの径方向の長さと、底面70Aから第2外周面75までのプーリ本体13Aの径方向の長さとが異なっていても良い。
【0050】
そして、ベルト溝70に巻き掛けられた第2プーリベルト15Bは、底面70Aと第1面70Bと第2面70Cとによって収容される。この際、第2プーリベルト15Bは、プーリ本体13Aの径方向で底面70Aに向かうように張力を有した状態でベルト溝70に巻き掛けられている。このため、図示を省略するものの、第2プーリベルト15Bは、径方向の張力によって底面70Aに対してやや押し当てられて弾性変形した状態となる。また、第2プーリベルト15Bは、後方側に向かうようにも張力を有した状態でベルト溝70に巻きかけられている。換言すれば、この乾燥機では、第2プーリベルト15Bが後方側に向かうように張力を有した状態でベルト溝70に巻きかけられるように、第2駆動プーリ11Bと従動プーリ13とにおける前後方向の位置が設定されている。なお、第2プーリベルト15Bは、後方側や前方側に向かう張力を有しないようにベルト溝70に巻きかけられても良い。
【0051】
接続部13Bは、プーリ本体13Aに一体に形成されており、前端面74から前方に向かって円筒状に延びている。図1に示すように、接続部13Bは、ファン9に挿通されることにより、ファン9と固定されている。こうして、従動プーリ13はファン9に接続されており、ファン9と一体で第1回転軸心O1周りに回転可能となっている。また、ファン9は、従動プーリ13と接続されることにより、本発明における「回転体」に相当している。
【0052】
記憶部17は、乾燥機を作動させるための各種の制御プログラムを記憶している。また、記憶部17は、下記の表1に示すように、第1~4運転モードを記憶している。第1~4運転モードでは、洗濯物C1の種類や量に応じて、電動モータ7の設定回転数R1~R4と、電動モータ7を作動させる設定時間T1~T4とがそれぞれ設定されている。これにより、第1~4運転モードは、洗濯物C1の種類や量に応じて、ファン9によって乾燥室50空気が供給される際の風量や供給時間が互いに異なるようになっている。また、第1~4運転モードでは、加熱源29で加熱される空気の温度についてもそれぞれ設定されている。
【0053】
【表1】
【0054】
ここで、本実施例では、第1~4運転モードにおいて、電動モータ7の設定回転数R1~R4及び設定時間T1~T4がそれぞれ異なっているが、例えば、第1運転モードと第3運転モードとがともに設定回転数R1となっていても良い。また、設定時間T1~T4が異なっていれば、第1~4運転モードの全てにおいて、設定回転数が同じとなっていても良い。設定時間T1~T4についても同様である。また、記憶部17は、第1~4運転モード以外の運転モードを記憶していても良い。
【0055】
制御部19は、電動モータ7、ガスバーナ29A及び記憶部17と接続されている。制御部19は、制御プログラムに基づいて電動モータ7及びガスバーナ29Aの制御を行う。また、制御部19は、第1~4運転モードのうち、使用者に選択された1つを特定運転モードとして実行する。さらに、制御部19は、特定運転モードの実行時にドラム5及びファン9の回転を検出する。
【0056】
また、制御部19には、過電流から制御部を保護する電源ヒューズ191が設けられている他、漏電時に電動モータ7への電力供給を停止させる漏電安全装置192が設けられている。
【0057】
この乾燥機では、制御部19が電動モータ7及びガスバーナ29Aの作動制御を行いつつ、特定運転モードを実行することにより、乾燥室50において洗濯物C1の乾燥が行われる。洗濯物C1の乾燥を行うに当たっては、制御部19は、図5及び図6に示すフロー図に沿って電動モータ7の作動制御を行う。
【0058】
図5に示すように、制御部19は、まず初めに電源ヒューズ191及び漏電安全装置192が正常であるか否かを判断する(ステップS101)。そして、電源ヒューズ191及び漏電安全装置192が正常であれば(ステップS101:YES)、制御部19は、電動モータ7への電力供給を開始する(ステップS102)。一方、電源ヒューズ191や漏電安全装置192に異常がある場合には(ステップS101:NO)、制御部19は、電源ヒューズ191の交換が行われる等、異常の原因が除去されるまで、電動モータ7への電力供給を開始しない(ステップS201)。
【0059】
また、使用者は、乾燥機で乾燥させる洗濯物C1をドラム5の乾燥室50に投入する。また、使用者は、操作部35を操作することにより、洗濯物C1の種類や量に応じて、実行する第1~4運転モードを選択する(ステップS103)。その後、使用者は、操作部35を操作することにより、運転開始指示を行う(ステップS104)。
【0060】
ここで、制御部19は、使用者が第1~4運転モードのいずれかを選択するまでは、電動モータ7を待機させる(ステップS103:NO)。また、制御部19は、使用者が第1~4運転モードのいずれかを選択した後も、使用者による運転開始指示がされるまでは、引き続き電動モータ7を待機させる(ステップS104:NO)。
【0061】
そして、例えば、ステップS103において、第1運転モードが選択され、ステップS104において、運転開始指示が行われれば(ステップS103:YES、ステップS104:YES)、制御部19は、第1運転モードを特定運転モードとして実行する。(ステップS105)。これにより、制御部19は、第1運転モードにおいて電動モータ7に設定されている設定回転数R1及び設定時間T1に基づいて、電動モータ7の作動制御を開始する。
【0062】
具体的には、制御部19は、設定回転数R1の50%の回転数で電動モータ7を始動させる(ステップS106)。これにより、第1駆動プーリ11A及び第2駆動プーリ11Bがそれぞれ第2回転軸心O2周りで回転駆動する。このため、第1プーリベルト15Aによって、第1駆動プーリ11Aの動力がドラム5に伝達されるとともに、第2プーリベルト15Bによって、第2駆動プーリ11Bの動力が従動プーリ13に伝達される。また、制御部19は、ガスバーナ29Aを燃焼させる。なお、設定回転数R1よりも低い回転数であれば、電動モータ7の始動時の回転数は適宜設定可能である。第2~第4運転モードが特定運転モードとされた場合も同様である。
【0063】
ドラム5は、第1駆動プーリ11Aの動力が伝達されることにより、第1回転軸心O1周りに回転する。このため、乾燥室50に収容されている洗濯物C1は、定位置に止まることなく、常に動かされることになる。
【0064】
一方、従動プーリ13は、第2駆動プーリ11Bの動力が伝達されることにより、ファン9とともに第1回転軸心O1周りに回転する。これにより、ファン9は、ガスバーナ29Aで加熱された空気について、図1の白色矢印で示すように、給気ダクト25を経由して乾燥室50内に供給することで洗濯物C1の乾燥を行う。また、ファン9は、乾燥室50内に供給された空気を通気部52、排気ダクト27及び排気口21を通じて、筐体3の外部に排出する。
【0065】
ところで、制御部19は、設定回転数R1の50%の回転数で電動モータ7を始動させているため、ドラム5及び従動プーリ13にそれぞれ伝達される動力は、電動モータ7が設定回転数R1で回転している場合に比べて小さい。このため、ドラム5及びファン9が第1回転軸心O1周りに回転しない場合があり得る。特に、ドラム5については、乾燥室50に収容された洗濯物C1の種類や量によって洗濯物C1の重量が変化することから、このような事態が生じ易い。このため、制御部19は、電動モータ7の回転数が設定回転数R1の50%であっても、ドラム5及びファン9の両方が回転しているか否かを判断する(図6のステップS107)。
【0066】
ここで、ドラム5及びファン9の両方が回転していれば(ステップS107:YES)、制御部19は、3秒経過毎に電動モータ7の回転数を設定回転数の10%ずつ段階的に増加させる(ステップS108)。このような、電動モータ7の回転数の増加は、設定回転数R1に達するまで行われる(ステップS109:NO)。なお回転数を増加させる際の大きさは適宜設定可能である。
【0067】
そして、電動モータ7の回転数が設定回転数R1に達すれば(ステップS109:YES)、以降は、制御部19は、設定回転数R1で電動モータ7を作動させつつ、設定時間T1に達するまで、第1運転モードを継続する(ステップS110:NO)。
【0068】
そして、設定時間T1に達すれば(ステップS110:YES)、制御部19は、電動モータ7への電力供給を停止して電動モータ7を停止させる(ステップS111)。また、制御部19は、ガスバーナ29Aも停止させる。こうして、特定運転モードとしての第1運転モードが終了する。
【0069】
一方、電動モータ7の回転数が設定回転数R1の50%では、ドラム5やファン9が回転してない場合(ステップS107:NO)には、制御部19は、電動モータ7の回転数について、設定回転数の10%分を増加させる(ステップS301)。そして、この状態で、制御部19は、ドラム5及びファン9の両方が回転しているか否かを判断する(ステップS302)。
【0070】
ここで、ドラム5及びファン9の両方が回転していれば(ステップS302:YES)、以降は、制御部19は、ステップS108~ステップS111の処理を行う。
【0071】
一方、ステップS302においても、ドラム5及びファン9の両方が回転していなければ(ステップS302:NO)、制御部19は、設定回転数R1に到達するまで、電動モータ7の回転数について、設定回転数R1の10%分をさらに増加させる(ステップS303:NO)。そして、この状態で、制御部19は、ドラム5及びファン9の両方が回転しているか否かを引き続き判断する(ステップS302)。
【0072】
そして、電動モータ7の回転数が設定回転数R1に達していてもドラム5及びファン9の両方が回転していなければ(ステップS302:NO、ステップS303:YES)、制御部19は、ディスプレイ37にエラーメッセージを表示して、使用者に異常があることを報知する(ステップS304)。そして、制御部19は、電動モータ7への電力供給を停止して電動モータ7を停止させる(ステップS305)。また、制御部19は、ガスバーナ29Aも停止させる。こうして、制御部19は、第1運転モード、ひいては乾燥機の作動を停止させ、ステップS101の処理に戻る。
【0073】
このように、この乾燥機では、電動モータ7によって第2駆動プーリ11Bが回転駆動され、第2プーリベルト15Bが第2駆動プーリ11Bの動力を従動プーリ13に伝達することにより、従動プーリ13が回転し、ファン9が回転する。
【0074】
ここで、第2プーリベルト15Bが径方向に撓めば、その分、第2プーリベルト15Bの径方向の張力が低下する。また、第2プーリベルト15Bは、後方に向かうように張力を有している。
【0075】
この点、この乾燥機では、図4の仮想線で示すように、たとえ撓んだ第2プーリベルト15Bが第1中間面70Dを超えたとしても、第3面70Eが第2プーリベルト15Bと当接する。こうして、この乾燥機では、第3面70Eによって、第2プーリベルト15Bを底面70Aと第1面70Bと第2面70Cとの間に戻すことができるため、撓んだ第2プーリベルト15Bが第1中間面70Dを超えたとしても、第1外周面73については超え難くなっている。この結果、この乾燥機では、ベルト溝70からの第2プーリベルト15Bの脱落が防止されている。
【0076】
また、この乾燥機では、第1中間面70Dが第1面70Bに連続して形成されているため、第2プーリベルト15Bの脱落を防止するに当たって、第1面70Bをプーリ本体13Aの径方向に過度に長く形成する必要がない。具体的には、第1面70Bにおけるプーリ本体13Aの径方向の長さについて、第2面70Cにおける第3長さL3よりも短い第2長さL2となっている。これにより、この乾燥機では、第1面70Bにおけるプーリ本体13Aの径方向の長さが第2面70Cと同等、又は、第2面70Cよりも長い場合に比べて、作動時に第2プーリベルト15Bと第1面70Bとが擦れ合うことによる騒音が生じ難くなっている。なお、このように、第2面70Cにおけるプーリ本体13Aの径方向の長さは、第2長さL2よりも長いため、撓んだ第2プーリベルト15Bが第2面70C側、ひいては第2外周面75側から脱落することも防止できる。
【0077】
したがって、実施例1の乾燥機は、ベルト溝70からの第2プーリベルト15Bの脱落を好適に防止しつつ、静粛性に優れている。
【0078】
特に、第1中間面70Dは、中間線X5を含んでおり、中心線X2と外周線X4との間となる位置で第1面70Bと連続している。これにより、第2プーリベルト15Bは、自己の径方向の半径分以上に撓んだ場合に初めて第1中間面70Dを超えることなる。これにより、この乾燥機では、第2プーリベルト15Bが撓むことによって直ちに第1中間面70Dを超えてしまうことが防止されている。また、第1中間面70Dが中間線X5を含むことにより、第1面70Bの第2長さL2を十分に短くすることができる。ここで、第2プーリベルト15Bが後方に向かうように張力を有しているため、第2プーリベルト15Bは、作動時に第1面70Bと擦れ易くなるものの、この乾燥機では、作動時における第2プーリベルト15Bと第1面70Bとの擦れを好適に防止できる。
【0079】
また、第1中間面70Dは、第1湾曲部701を有しており、第1湾曲部701を通じて第1面70Bと連続している。そして、第1湾曲部701は、第1面70Bに向かうにつれて第1回転軸心O1に近づくように湾曲している。つまり、第1中間面70Dは、底面70Aに近い側となる部分が第1回転軸心O1に向かって傾斜している。このため、この乾燥機では、第1中間面70Dと第2プーリベルト15Bとが当接することにより、第1中間面70D、より具体的には、第1湾曲部701によっても、第2プーリベルト15Bを底面70Aと第1面70Bと第2面70Cとの間に戻すことが可能となっている。
【0080】
さらに、第1中間面70Dの前後方向の長さは、第4長さL4とされており、第2プーリベルト15Bの直径の長さである第1長さL1の半分の長さよりも短くなっている。これにより、この乾燥機では、前後方向の長さを短くすることで、撓んだ第2プーリベルト15Bが第1中間面70Dで安定することを防止している。こうして、この乾燥機では、第2プーリベルト15Bが底面70Aと第1面70Bと第2面70Cとの間に戻らなくなることを防止している。
【0081】
また、制御部19は、第1~4運転モードから選択された特定運転モードを実行するに当たり、第1~4運転モードにおいて設定されている設定回転数R1~R4の50%の回転数で電動モータ7を始動させる。そして、制御部19は、設定回転数R1~R4に達するまで段階的に電動モータ7の回転数を増加させる。これにより、第2駆動プーリ11Bから従動プーリ13へ大きな動力が急激に伝達されることを防止できるため、第2プーリベルト15Bの撓みを好適に防止できる。この点においても、この乾燥機では、第2プーリベルト15Bの脱落を好適に防止できる。
【0082】
ここで、設定回転数R1~R4の50%の回転数で電動モータ7を始動させてもドラム5及びファン9が回転しない場合には、最終的には、設定回転数R1~R4で電動モータ7を始動させることになる。この場合、第2プーリベルト15Bに撓みが生じ易くなるものの、この乾燥機では、たとえ第2プーリベルト15Bに撓みが生じたとしても、上述のように、撓んだ第2プーリベルト15Bのベルト溝70からの脱落を好適に防止できる。
【0083】
(実施例2)
実施例2の乾燥機は、従動プーリ13に変えて、図7に示す従動プーリ14を備えている。従動プーリ14も本発明における「特定プーリ」に相当している。従動プーリ14は、プーリ本体14Aと、接続部14Bとからなる。プーリ本体13Aと同様、プーリ本体14Aは、第1回転軸心O1を自己の軸心とした円盤状に形成されており、前後方向に一定の厚みを有して形成されている。プーリ本体14Aは、ベルト溝76と、第2外周面77とを有している他、プーリ本体13Aと同様に、後端面72と、第1外周面73と、前端面74とを有している。
【0084】
ベルト溝76は、底面70Aと、第1面70Bと、第2面70Fと、第1中間面70Dと、第3面70Eと、第2中間面70Gと、第4面70Hとからなる。第2中間面70Gも本発明における「中間面」の一例である。
【0085】
第2面70Fは、底面70Aに対して、プーリ本体14A前方側に位置しており、底面70Aと連続している。第2面70Fは、第1面70Bと前後方向で対向しつつ、第1回転軸心O1離隔するようにプーリ本体14Aの径方向に延びている。
【0086】
第2中間面70Gは、プーリ本体14Aの径方向において、底面70Aとは反対側で第2面70Fと連続している。第1中間面70Dと同様、第2中間面70Gは、中間線X5を含んでいる。つまり、第2中間面70Gは、プーリ本体14Aの径方向において、第1中間面70Dと等しい位置で第2面70Fと連続している。これにより、第2面70Fは、第1面70Bと同様に、プーリ本体14Aの径方向に第2長さL2で延びている。
【0087】
また、第2中間面70Gは、第2面70Fと連続することにより、底面70Aを挟んで第1中間面70Dの前方に位置している。第2中間面70Gは、第1中間面70Dと前後方向で対称の形状をなしており、第2面70Fから前方に向かって延びているとともに、第1回転軸心O1周りに延びている。これにより、第2中間面70Gについても、第1中間面70Dと同様、前後方向に第4長さL4で延びている。
【0088】
図8に示すように、第2中間面70Gは、第3湾曲部704と、第2平坦部705と、第4湾曲部706とからなる。第3湾曲部704は、第1湾曲部701と前後方向で対称の形状であり、第2面70Fと連続している。第2平坦部705は、前後方向に平坦に延びており、後端で第3湾曲部704と連続している。第4湾曲部706は第2湾曲部703と前後方向で対称の形状であり、第2平坦部705の前端と連続している。
【0089】
第4面70Hは、第2中間面70Gの前方側に位置している。第4面70Hは、第4湾曲部706と連続している。つまり、第4面70Hは、第2中間面70Gに対して底面70A及び第2面70Fとは逆側で連続している。これにより、第4面70Hは、第2面70Fよりも前方に位置している。そして、第4面70Hは、第3面70Eと対向しつつ、第1回転軸心O1離隔するようにプーリ本体14Aの径方向に第5長さL5で延びている。なお、第4面70Hは、第3面70Eとは異なる長さでプーリ本体14Aの径方向に延びていても良い。
【0090】
第2外周面77は、前端面74と第4面70Hとの間に位置しており、前後方向に延びつつ第1回転軸心O1周りに延びている。第2外周面77は、前端で前端面74に連続しており、後端で第4面70Hと連続している。また、第2外周面77についても、湾曲しつつ前端面74及び第4面70Hにそれぞれ連続している。第2外周面77は、第1外周面73に比べて前後方向に長く形成されている一方、プーリ本体13Aの第2外周面75に比べて前後方向に短く形成されている。こうして、ベルト溝76は、プーリ本体14Aの前後方向において、第1外周面73と第2外周面75との間に位置している。なお、第2外周面77における前後方向の長さについても適宜設計可能である。
【0091】
接続部14Bは、プーリ本体14Aに一体に形成されている。接続部14Bは、接続部13Bと同様の構成であり、接続部13Bと同様にファン9と固定されている。この乾燥機における他の構成は実施例1の乾燥機と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0092】
この乾燥機では、図8の仮想線で示すように、撓んだ第2プーリベルト15Bが第1中間面70Dを超えたとしても、第3面70Eが第2プーリベルト15Bと当接する。一方、撓んだ第2プーリベルト15Bが第2中間面70Gを超えたとしても、第4面70Hが第2プーリベルト15Bと当接する。こうして、この乾燥機でも、ベルト溝76からの第2プーリベルト15Bの脱落が防止されている。また、この乾燥機では、ベルト溝76に巻き掛けられた第2プーリベルト15Bが前後方向のいずれの方向に張力を有していても第2プーリベルト15Bの脱落を好適に防止できる。
【0093】
さらに、この乾燥機では、第1面70B及び第2面70Fについて、ともにプーリ本体14Aの径方向の長さを第2長さL2とすることができるため、作動時に第2プーリベルト15Bと第1面70B及び第2面70Fとが擦れ合うことによる騒音がより生じ難くなっている。この乾燥機の他の作用は、実施例1の乾燥機と同様である。
【0094】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0095】
例えば、実施例1の乾燥機では、従動プーリ13がファン9に接続されているが、これに限らず、従動プーリ13はドラム5に接続されても良い。また、従動プーリ13はドラム5及びファン9の両方に接続されても良い。実施例2の乾燥機についても同様である。
【0096】
また、実施例1の乾燥機では、従動プーリ13を本発明における「特定プーリ」としているが、これに限らず、第2駆動プーリ11Bを「特定プーリ」としてしも良い。また、第2駆動プーリ11B及び従動プーリ13の両方を「特定プーリ」としても良い。さらに、第1駆動プーリ11Aを「特定プーリ」としたり、第1、2駆動プーリ11A、11B及び従動プーリ13の全てを「特定プーリ」としたりしても良い。実施例2の乾燥機についても同様である。
【0097】
さらに、実施例1の乾燥機において、第1中間面70Dが第1面70Bに換えて第2面70Cと連続する構成としても良い。
【0098】
また、第1中間面70D及び第2中間面70Gは、全体が底面70Aに近づくように傾斜していても良い。
【0099】
さらに、洗濯物C1の洗濯を行う洗濯機を本発明における「洗濯物処理装置」としても良く、洗濯物C1の洗濯と乾燥とを行う洗濯乾燥機を本発明における「洗濯物処理装置」としても良い。
【0100】
また、ファン9に変えて、本発明における「処理手段」として、洗濯物C1の洗濯時に水流を生じさせる羽根部材等を採用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、プーリ及びプーリベルトを用いて動力の伝達を行う洗濯機や乾燥機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
3…筐体
5…ドラム
7…電動モータ
9…ファン(処理手段、回転体)
11A、11B…第1、2駆動プーリ(駆動プーリ)
13、14…従動プーリ(特定プーリ)
15B…第2プーリベルト(プーリベルト)
19…制御部
70、76…ベルト溝
70A…底面
70B…第1面
70C、70F…第2面
70D…第1中間面(中間面)
70E…第3面
70G…第2中間面(中間面)
C1…洗濯物
R1~R4…設定回転数
X1…中心点
X2…中心線
X3…外周点
X4…外周線
X5…中間線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8