(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122048
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】肉用収容袋
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
B65D85/50 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025469
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000106151
【氏名又は名称】株式会社サンエー化研
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】稲吉 仙
(72)【発明者】
【氏名】殿柿 智也
【テーマコード(参考)】
3E035
【Fターム(参考)】
3E035AA04
3E035BA08
3E035BC02
3E035BD01
3E035CA07
3E035DA01
(57)【要約】
【課題】赤色を呈するように肉類を包装することができ、包装作業性の良い肉用収容袋を提供する。
【解決手段】本発明の肉用収容袋は、 深絞り加工されて肉類が収容される底フィルムと、底フィルムに被着される蓋フィルムとを備えている。前記底フィルム及び蓋フィルムは、ポリオレフィン素材が用いられ、どちらか一方のフィルムは、2000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上の酸素透過度を有し、もう一方のフィルムは、1000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上の酸素透過度を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深絞り加工されて肉類が収容される底フィルムと、底フィルムに被着される蓋フィルムとを備えた肉用収容袋であって、
前記底フィルム及び蓋フィルムは、ポリオレフィン素材が用いられ、どちらか一方のフィルムは、2000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上の酸素透過度を有し、もう一方のフィルムは、1000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上の酸素透過度を有することを特徴とする肉用収容袋。
【請求項2】
前記蓋フィルムは、2000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上の酸素透過度を有することを特徴とする請求項1に記載の肉用収容袋。
【請求項3】
前記底フィルムは、外側及び内側を肉厚が異なる低密度ポリエチレンとして、これらをドライラミネート又はノンソルラミネートで貼り合わせた2層構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の肉用収容袋。
【請求項4】
前記底フィルムは、深絞り加工機械の流れ方向(MD方向)もしくは、流れ方向に対して垂直な方向(TD方向)のどちらか一方において、JIS K 7161に準拠して測定される引張伸度が200%以上有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の肉用収容袋。
【請求項5】
前記蓋フィルムは、外側をOPP、内側をL-LDPEとして、これらをドライラミネート又はノンソルラミネートで貼り合わせた2層構造であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の肉用収容袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛肉などの肉を包装する包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に牛肉は、色素タンパク質であるミオグロビンが多く含まれている。このミオグロビンは、酸素と殆ど触れていない状態においては還元型のデオキシミオグロビンとなることで紫色を呈し、多量の酸素と触れることで酸素型のオキシミオグロビンとなり、鮮やかな赤色を呈する。一方で、少量の酸素が存在する状況下では、ミオグロビンが酸化され、酸化型のメトミオグロビンとなり、茶褐色を呈するという特徴を持つ。
【0003】
その中でも、酸素型のオキシミオグロビンにおいては、見た者の食欲を増進させる非常に綺麗な赤色を呈するため、消費者の購買意欲を高める効果がある。そのため、牛肉の多くは、スーパーマーケット等で小売する際、プラスチックトレーに置かれ、トレーごとラップフィルムを覆い被せて含気包装を行ない、多量の酸素と触れるような状態(トレー包装)で陳列されている。
【0004】
従来、このようなトレー包装するに至るまでは、(1)食肉を解体・加工し、一次包装(脱気包装)を行なう、(2)一次包装の状態で流通して小売店に搬送する、(3)一次包装を開封し、トレー包装へ移し替えて陳列、販売する、という複数の包装工程が行なわれている。このように、複数の包装処理を行なうのは、一次包装で使用される包装袋が牛肉への酸素供給を遮断して、前記デオキシミオグロビン、ないしは、メトミオグロビンの状態となり、紫色もしくは茶褐色の色目へと変化することによる。したがって、小売店では、一次包装を開封して、含気包装であるトレー包装に変更して酸素と反応させることでオキシミオグロビンの含有量を増加させ、赤色を呈するように詰め替え処理を行なっている。
【0005】
なお、トレー包装のまま流通させるという方法も考えられるが、トレーに用いられるラップは密封性が低いこと、突刺し強度が弱いという課題があり、牛肉から発生したドリップ液が漏れ出す、輸送中に雑菌が付着する、輸送時の負荷によって孔開きが発生してしまう等の不具合が生じる。
【0006】
上記した事情に鑑みて、特許文献1には、牛肉を脱気包装した状態で流通、販売できる包装袋が開示されている。この包装袋は、内側フィルムと外側フィルムを貼り合わせた2層構造となっており、内側フィルムに低密度ポリエチレン(LLDPE)を用い、外側フィルムに延伸ポリプロピレン(OPP)を用いた構造となっている。この場合、内側フィルムの酸素透過度は、20℃・90%RHの条件下で、1000~6000cc/m2 /24hr・atmの酸素透過度のものが用いられ、外側フィルムの酸素透過度は、20℃の条件下で、5000~8500cc/m2 /24hr・atmの酸素透過度のものが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した包装袋は、外側フィルムに延伸ポリプロピレン(OPP)を用いているため、フィルムの延伸性に乏しい。このため、このような2層構造のフィルムで作成される包装袋は、事前に平袋の形状に加工した製袋品としての供給を前提としなければならず、中身である牛肉を封入するためには、作業者が手作業で牛肉を充填し、ヒートシールにより包材を密封する必要がある。すなわち、このような2層構造のフィルムを、赤色を呈する肉の包材として用いる場合、作業効率が乏しい。
【0009】
また、日本では、牛肉を真空包装で販売することはなく、トレー包装で赤色に発色されるケースが殆どである。更に、輸入食品の小売店などでは、牛肉を真空包装で販売することが散見されるが、使用されるフィルムによって酸素が遮断されており、紫色や茶色を発色している。
【0010】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、赤色を呈するように肉類を包装することができ、包装作業性の良い肉用収容袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するために、本発明は、深絞り加工されて肉類が収容される底フィルムと、底フィルムに被着される蓋フィルムとを備えた肉用収容袋であって、前記底フィルム及び蓋フィルムは、ポリオレフィン素材が用いられ、どちらか一方のフィルムは、2000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上の酸素透過度を有し、もう一方のフィルムは、1000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上の酸素透過度を有することを特徴とする。
【0012】
上記した構成の肉用収容袋は、深絞り加工されて肉類が収容される底フィルムと、底フィルムに被着される蓋フィルムとを備えており、これらのフィルムは、単純な分子構造で酸素透過性の良いポリオレフィン素材が用いられる。この場合、どちらか一方のフィルムは、2000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上の酸素透過度を有し、もう一方のフィルムは、1000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上の酸素透過度を有しており、一次包装時において、深絞り機を用いて肉類を封入する際、オキシミオグロビンの含有量が増加し、赤色を呈するようになる。したがって、深絞り機で収容した状態のままで赤色を呈することから、小売店等において、トレー包装へ移し替える作業が不要となり、作業効率が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、赤色を呈するように肉類を包装することができ、包装作業性の良い肉用収容袋が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、肉類(本実施形態では、牛肉とする)を、深絞り機を用いて収容した収容袋であることを特徴とする。上記したように、日本では、深絞り機で肉用収容袋を形成し、そのままの状態で小売店に並べることは行われておらず、小売店でトレー包装している。また、輸入製品では、深絞り機で作成された収容袋に肉を封入したものもあるが、真空パック包装に近く(酸素透過度が低いフィルムシートを用いている)、その発色が茶褐色や紫色を呈しており、見栄えが悪い。
【0015】
本発明者は、深絞り機で形成した肉用収容袋について、トレー包装のような赤色を発現させてそのまま店頭に並べられるよう、酸素透過度、及び、牛肉の発色性について、評価試験を行なった。この場合、上記した特許文献1に開示されているフィルムシートは二層構造となっており、酸素透過し難い内側フィルムが、20℃・90%RHの条件下で、1000~6000cc/m2 24hr・atmのものが用いられているため、本発明では、フィルムシートについて、上記した範囲の最小の酸素透過度に近似するフィルムシートを最小の酸素透過度として試験を行っている。すなわち、特許文献1の開示内容を考慮すると、酸素透過度が1000cc/m2 24hr・atm以下であれば、十分な赤色を発色しないと考えられ、それよりも高くなれば赤色を呈する傾向が強くなると考えられる。また、本発明のフィルムシートは、深絞り機に搬送して加工処理することを前提とするため、最低限の強度を備え、かつ、低コストとなるように、二層構造としたものが用いられる。
【0016】
最初に、酸素透過度と収容袋に関し、いくつかのフィルムシートをサンプルとして作成し、サンプルシートを重ねた状態で加工牛肉を封入して溶着し、冷蔵保存で一定時間後(24時間後)の肉の状態(赤色の発現の状態)を評価する試験を行なった。
本発明は、上記したように、肉類を、深絞り機を用いて包装することを考慮しているが、評価試験は深絞り機を用いるのではなく、複数のサンプルシートを、牛肉を封入した状態で周囲を熱溶着することで包装袋を作成して行なった。
【0017】
サンプルシートについては、汎用品であるL-LDPEのシートを2枚重ね、2枚の合計の厚みを変えることによって、蓋フィルム及び底フィルムに関し、それぞれ4つの範囲(ア)~(エ)内の酸素透過度に含まれるものを作成した。この場合、2枚のシートは、ドライラミネートすることで2層構造としている。
【0018】
ただし、1つの包装袋のみでは、封入される肉の状態が異なり、正確に評価することは適切ではない。また、複数枚のサンプルシートについては、PE分子量や結晶構造のバラつき等によって酸素透過度を正確に一致させることは困難であることから、蓋フィルム及び底フィルムについては、それぞれ4つの範囲(ア)~(エ)内に含まれるものを各20枚ずつ作成した。
【0019】
すなわち、以下の表1で示す評価は、蓋フィルム及び底フィルムについて、それぞれ5つの包装袋サンプルを作成し、牛肉片を封入して発色状況について総合的に評価した結果を示す。
なお、底フィルムとなるサンプルシートについては、深絞り機を用いて包装するのと同様な状況となるように、深絞り成型用の金型に真空ポンプを用いて真空圧着したものとした。
【0020】
【0021】
上記した結果によれば、蓋フィルム及び底フィルムの内、少なくともいずれか一方が2000cc/m2 ・atm・day以上あれば、良好な発色乃至は非常に良い発色が得られるものと考えられる。すなわち、いずれか一方が1500cc/m2 ・atm・day以上、との条件設定にすると、場合によっては紫色もしくは茶褐色の色目が発現する可能性があるため、確実に良好な結果が得られるように、本発明では、各2層構造の蓋フィルム及び底フィルムに関し、少なくともいずれか一方が2000cc/m2 ・atm・day以上、という条件にすることを特徴とする。
この場合、底フィルムについては、封入される肉との間で接触面積が大きくなるものの、深絞り成型されることから、変形し易いととともに、ある程度の引張伸度を有すること等を考慮すると、フィルム厚みは100μm以上であることが好ましい。このため、酸素透過度を多くするのは、蓋フィルム側にすることが好ましい。
【0022】
以上のように、本発明は、深絞り機に対して搬送される底フィルム及び蓋フィルムについて、単純な分子構造でガス透過性が良いポリオレフィン素材が用いられ、どちらか一方のフィルムは、2000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上の酸素透過度を有し、もう一方のフィルムは、1000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上の酸素透過度を有することを特徴としている。また、底フィルムに関しては、外側及び内側を肉厚が異なる低密度ポリエチレン(L-LDPE)として、これらをドライラミネート又はノンソルラミネートで貼り合わせた2層構造であることを特徴としている。
【0023】
上記した要件を満足する具体的な構成として、蓋フィルム(蓋材)については、OPP20μm//L-LDPE40μmの2層構造のものを用いることが可能である。これらのフィルムシートは、外側をOPP、内側をL-LDPEとし、ドライラミネートもしくはノンソルラミネートによって貼り合わせて原反状に形成される。すなわち、外側フィルムシートについては、酸素を透過するようにオレフィン素材にするのが好ましく、2軸延伸フィルムにしないと強度が持たない(酸素透過性と強度を持たせる)ことから、OPP素材を用いることが好ましい。また、内側フィルムシートについては、酸素透過性が良く、ヒートシール性が良い(イージーピール性を有するものであっても良い)素材として、L-LDPE素材を用いることが好ましい。
【0024】
以上のように、蓋材に関しては、所望の酸素透過度、低コスト、所望の強度が得られるように、2層構造にすることが好ましいが、上記した酸素透過度が得られれば、その層数や肉厚については、限定されることはない。
なお、以下の実施例では、外側のフィルムシートとして、フタムラ化学製のPORO-FL2を用い、内側のフィルムシートとして、フタムラ化学製のLL-XLTNを用い、これを2層構造としたものを使用している。
【0025】
また、底フィルムについては、深絞り成型に対応するため、機械の流れ方向(MD方向)もしくは、流れ方向に対して垂直な方向(TD方向)のどちらか一方においても、JIS K 7161に準拠して測定される引張伸度が200%以上となるものを用いるのが好ましい。
【0026】
上記した要件を満足する底フィルム(底材)の具体的な構成については、所望の酸素透過度、低コストとなるように、L-LDPE30μm//L-LDPE100μmの2層構造のものを用いることが可能である。これらのフィルムシートは、ドライラミネートもしくはノンソルラミネートによって貼り合わせて原反状に形成される。
なお、以下の実施例では、L-LDPE30μmのフィルムシートとして、三井化学東セロ製のLスマートC-1(ポリエチレンの中でも2軸延伸をかけており、引っ張り伸度を維持しつつ腰感も出ることから好ましい)を用い、L-LDPE100μmのフィルムシートとして、タマポリ製のUB-106Tを用い、これを2層構造としたものを使用している。なお、この2層構造のシートは、上記した引張伸度200%以上を満足する構成となっている。
【0027】
以上のように、蓋材及び底材に関しては、所望の酸素透過度、所望の強度、伸度が得られると共に、低コスト化が図れるように、2層構造にすることが好ましいが、少なくとも上記した酸素透過度が得られれば、その層数や肉厚、構成材料については、限定されることはない。
【実施例0028】
以下、本発明に係る肉用収容袋(肉詰めされた包装袋)の実施例を、一般的なフィルムシート材(深絞り機用として従来使用されている汎用のフィルムシート材)を用いて作成した肉用収容袋と比較しながら説明する。
【0029】
実施例と、汎用の深絞り包装用のフィルムシートは、以下の表2の素材をラミネートして構成されている。
【0030】
【0031】
表2のように、本実施例(弊社開発品)では、蓋材側のフィルムを、2000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上となる2711.0cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)の酸素透過度を有する構成とし、底材側のフィルムを、1000cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)以上となる1158.0cc/m2 ・atm・day(23℃・65%RHの条件下)の酸素透過度となるように構成した。
【0032】
これらの蓋材シート、及び、底材シートを原反状に巻回し、以下の表3で示す試作条件の下、公知の試作設備で包装袋を作成した。この場合、包材の寸法は、幅250mm・長さ300mm、封入する肉類として国産牛モモステーキ肉を使用し、包装形態は真空包装とした。
【0033】
【0034】
上記した深絞り設備では、汎用的な成型温度である90℃で金型通りに成形可能なことを確認した。また、ライン適性については、上記した2層構造による底材フィルムは生産ライン上で蛇行や送り不良等の具合はなく、ライン適性は良好であった。
そして、上記した条件で肉用収容袋を作成し、各サンプルについて保存試験を行なった。なお、評価項目については、以下の表4に示す通り、官能検査とミオグロビン組成について行った。
【0035】
【0036】
また、評価スケジュールとしては、冷凍庫にて保存開始日を含めて7日間冷凍保存し、8日目に保管場所を冷蔵庫へ移動し、冷蔵保存にて更に7日間保存し、合計15日間の保存を行なった(具体的な評価スケジュールについては下記の表5を参照)。
【0037】
【0038】
表5で示す評価スケジュールで実施例(弊社開発品)と、汎用深絞り包装について官能検査を行ったところ、以下の表6で示す結果となった。
【0039】
【0040】
実施例では、解凍を開始した8日目以降であっても、色沢については変化が見られなかった(良好な色沢を維持していた)が、汎用深絞り包装では、8日目以降に褐色化することが認められた。これは、上述したように、十分な酸素透過度が得られていないことによるものと思われる。
【0041】
これを検証するために、表5で示す評価スケジュールで実施例(弊社開発品)と、汎用深絞り包装について、ミオグロビン組成について検査を行なった。
【0042】
ミオグロビン組成については、上述したように、還元型のデオキシミオグロビン(Deoxy Mb)となることで紫色を呈し、多量の酸素と触れることで酸素型のオキシミオグロビン(Mb O2 )となり、鮮やかな赤色を呈する。また、ミオグロビンが酸化するとメトミオグロビン(Met Mb)が生じてしまい、茶褐色を呈するようになる。
すなわち、保存期間が長くても、酸素型のオキシミオグロビン(Mb O2 )の割合が多ければ、赤色の発色が維持されることとなる。ここでは、1日目、8日目、10日目、12日目、15日目で、それぞれ酸素型のオキシミオグロビン(Mb O2 )の割合を検査したところ、以下の表7で示す結果が得られた。
【0043】
【0044】
この表で示すように、実施例では、1日目のオキシミオグロビン(Mb O2 )の割合が55.9%であったところ、15日目においても、46.9%を維持しており、十分な赤色を発色していることが確認できた。これに対し、汎用深絞り包装では、1日目のオキシミオグロビン(Mb O2 )の割合が63.3%であったところ、8日目では26.9%となり、15日目では、22.6%と低下し、8日目以降では茶褐色の外観となった。すなわち、従来の深絞り包装と比較しても、本実施例の方が牛肉の発色が良いという結果が得られた。
【0045】
以上の実施例で検証したように、従来の脱気包装と比較して、牛肉を鮮やかな色味のままにした包装袋を提供することができる。また、深絞り包装による連続生産が可能であり、小売店で詰め替え作業をする必要もないため、生産効率に優れた包装袋を提供することが可能となる。
【0046】
なお、蓋材及び底材の酸素透過度については、底材の方は上記したように引張伸度の問題があるので、蓋の方の酸素透過度を高くすることが好ましい。