(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122107
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】中皿付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20230825BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B65D47/06 400
B65D25/20 B
B65D47/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025550
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 順一
(72)【発明者】
【氏名】相馬 克彦
【テーマコード(参考)】
3E062
3E084
【Fターム(参考)】
3E062AA10
3E062AB02
3E062BA20
3E062BB06
3E062BB09
3E062EA02
3E062EB02
3E062MA20
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA34
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084EA03
3E084EC03
3E084FC07
3E084GA08
3E084GB12
3E084KA06
3E084KB01
3E084LA02
3E084LA18
3E084LB02
3E084LB10
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】配送時の液漏れを抑制できる、中皿付き容器を提供する。
【解決手段】 中皿付き容器は、容器本体10と蓋体20と中皿40とを備える。中皿40は、開口部14に対応する皿部本体41と、皿部本体より立設される押圧受け部42と、皿部本体外縁から延設され、容器本体の側部12内壁に支持される皿部支持部44とを有する。皿部支持部44は、容器本体の側部12内壁に対向する内壁対向部45を有する。容器本体10と蓋体20とが嵌合された状態において、蓋天面21の裏側が押圧受け部42の天面を押圧するのに伴い、内壁対向部45が容器本体の側部12内壁に近づく。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部と開口縁とを有する容器本体と、
蓋天面と、蓋側面と、前記蓋側面の下部に設けられ前記開口縁に嵌合される蓋側嵌合部とを有する蓋体と、
前記容器本体と前記蓋体との間に設けられる中皿と、
を備え、
前記中皿は、
前記開口部に対応する皿部本体と、
前記皿部本体外縁から延設され、前記容器本体の側部内壁に支持される皿部支持部と、
を有する
ことを特徴とする中皿付き容器。
【請求項2】
前記皿部支持部は、前記容器本体の側部内壁に対向する内壁対向部
を有する
ことを特徴とする請求項1記載の中皿付き容器。
【請求項3】
前記中皿は、前記皿部本体より立設され、前記蓋天面の裏側に当接される凸部
を有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の中皿付き容器。
【請求項4】
前記中皿は、前記蓋側嵌合部と開口縁とが嵌合された状態において、前記蓋天面の裏側に押圧される押圧受け部を有し、
前記押圧受け部の天面は、前記蓋側嵌合部と開口縁とが嵌合されない状態において、前記蓋天面の裏側の嵌合時想定設置位置より高い位置にある
ことを特徴とする請求項2記載の中皿付き容器。
【請求項5】
前記蓋側嵌合部と開口縁とが嵌合された状態において、
前記蓋天面の裏側が前記押圧受け部の天面を押圧するのに伴い、
前記内壁対向部が前記容器本体の側部内壁に近づく
ことを特徴とする請求項4記載の中皿付き容器。
【請求項6】
前記蓋体は、表裏を連通する蓋体通気孔を有し、
前記中皿は、表裏を連通する中皿通気孔と、前記押圧受け部の内外を連通する通気溝とを有する
ことを特徴とする請求項4または5記載の中皿付き容器。
【請求項7】
上面に開口部と開口縁とを有する容器本体と、蓋天面と、蓋側面と、前記蓋側面の下部に設けられ前記開口縁に嵌合される蓋側嵌合部とを有する蓋体との間に設けられる中皿であって、
前記開口部に対応する皿部本体と、
前記皿部本体外縁から延設され、前記容器本体の側部内壁に支持される皿部支持部と、
を有する
ことを特徴とする中皿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体と蓋体との間に設けられる中皿を有する容器に関し、コーヒー等飲料の配送に好適な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーチェーン店等の店舗において、コーヒー等の飲料を提供する場合、コーヒーカップに入れて提供するのが一般的であるが、紙製や樹脂製等の飲料用容器に内容物を入れた状態で、飲料用容器に樹脂製の蓋体を嵌合させることもある。この蓋体はLIDと呼ばれる(例えば、特許文献1)。
【0003】
蓋体には飲み口が設けられており、蓋をしたままの状態でコーヒー等の飲料を飲むことが可能である。消費者は、店内で飲んでもよいし、店外へ持ち帰ることも可能である。
【0004】
なお、コーヒー等の飲料には、コーヒーの他に、お茶、清涼飲料水、果汁飲料、スープ等があり、ホット飲料とアイス飲料がある。本願明細書ではホットコーヒー飲料を具体例として説明するが、これに限定されない。
【0005】
ところで、リモートワーク等の働き方が定着にするとともに、飲食配送事業が拡大している。コーヒー等飲料の配送需要も増えている。なお、都心では自転車を利用した配送も多い。既存の容器は、自転車での配送を想定して設計されたものでなく、配送中の振動により、意図せず、液漏れのおそれがある。
【0006】
現状は、既存の容器にラップを巻いて、ラップ端をテープで止めて、液漏れを抑制している。しかしながら、店舗作業の負担が大きい。また、ラップを巻いた容器は美観を損ない、消費者の評判も芳しくない。さらに、ラップ内で液漏れしていると、消費者がラップをはがした際、液漏れが広がるおそれもある。そもそも、ラップによる液漏れ抑制では不十分という消費者の声もある。
【0007】
一方、店舗において、店内飲食、店外持ち帰り、配送とで容器を変えることは合理的ではない。共通の容器であることが好ましい。
【0008】
そこで、発明者は、既存容器内に中皿を設置することによる液漏れ抑制を検討した。
【0009】
食品用容器では、中皿を設け、カレーソースと米飯を分けたり、麺とスープ袋とを分けたりしている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007-126174号公報
【特許文献2】特開2019-218113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
食品用容器の中皿は、容器本体の外周縁に掛止されることが多い。これにより、蓋体と容器本体との嵌合に多少影響するが、内容物が食品であれば、漏れリスクも低く、大きな問題にならない。
【0012】
一方、食品用容器の中皿構造を飲料用容器に適用させようとすると、蓋体と容器本体との嵌合が緩くなり、液漏れのおそれがあり、中皿を用いる効果が得られない。その結果、店内飲食、店外持ち帰り、配送とにおいて、容器共通とした合理性を損なう。すなわち、中皿構造の詳細については検討の余地がある。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するものであり、配送時の液漏れを抑制する中皿付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の中皿付き容器は、上面に開口部と開口縁とを有する容器本体と、蓋天面と、蓋側面と、前記蓋側面の下部に設けられ前記開口縁に嵌合される蓋側嵌合部とを有する蓋体と、前記容器本体と前記蓋体との間に設けられる中皿と、を備える。前記中皿は、前記開口部に対応する皿部本体と、前記皿部本体外縁から延設され、前記容器本体の側部内壁に支持される皿部支持部と、を有する。
【0015】
中皿を設けることで配送時の液漏れを抑制できる。また、容器本体の側部内壁に支持されることで、容器本体と蓋体との嵌合を維持できる。
【0016】
上記発明において好ましくは、前記皿部支持部は、前記容器本体の側部内壁に対向する内壁対向部を有する。
【0017】
これにより、中皿は安定支持される。その結果、液漏れ抑制効果も向上する。
【0018】
上記発明において好ましくは、前記中皿は、前記皿部本体より立設され、前記蓋天面の裏側に当接される凸部を有する。
【0019】
これにより、中皿は水平性が維持されて安定支持される。その結果、液漏れ抑制効果も向上する。
【0020】
上記発明において好ましくは、前記中皿は、前記蓋側嵌合部と開口縁とが嵌合された状態において、前記蓋天面の裏側に押圧される押圧受け部を有し、前記押圧受け部の天面は、前記蓋側嵌合部と開口縁とが嵌合されない状態において、前記蓋天面の裏側の嵌合時想定設置位置より高い位置にある。
【0021】
これにより、押圧受け部に押圧力が作用すると、内壁対向部が連動する。
【0022】
上記発明において好ましくは、前記蓋側嵌合部と開口縁とが嵌合された状態において、前記蓋天面の裏側が前記押圧受け部の天面を押圧するのに伴い、前記内壁対向部が前記容器本体の側部内壁に近づく。
【0023】
これにより、中皿は安定支持される。その結果、液漏れ抑制効果も向上する。
【0024】
上記発明において好ましくは、前記蓋体は、表裏を連通する蓋体通気孔を有し、前記中皿は、表裏を連通する中皿通気孔と、前記押圧受け部の内外を連通する通気溝とを有する。
【0025】
蒸気の通気流路を形成することにより、内圧増加を抑制し液漏れを抑制できる。
【0026】
上記の目的を達成するために、本発明の中皿は、上面に開口部と開口縁とを有する容器本体と、蓋天面と、蓋側面と、前記蓋側面の下部に設けられ前記開口縁に嵌合される蓋側嵌合部とを有する蓋体との間に設けられる。前記中皿は、前記開口部に対応する皿部本体と、前記皿部本体外縁から延設され、前記容器本体の側部内壁に支持される皿部支持部と、を有する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の中皿付き容器によれば、配送時の液漏れを抑制できる。また、配送時の振動に対しても安定支持される。その結果、さらなる液漏れ抑制効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【発明を実施するための形態】
【0029】
~基本構成~
本発明に係る実施形態の基本構成について
図1~3を用いて説明する。
図1は容器全体構成の分解斜視図である。
図2は容器全体構成の断面図である。
【0030】
中皿付き容器は、容器本体10と蓋体20と中皿40とを備える。中皿40は容器本体10と蓋体20との間に設けられる。
【0031】
容器本体10は、底部11と、胴部12と、開口縁13とを備える。胴部12は底部11から概略形状として略逆円錐台形状に形成される。胴部12の上端には開口縁13が形成され、開口縁13により円形の開口部14が形成される。すなわち、胴部12は開口縁13から底部11に向かって縮径する。
【0032】
容器本体10の材質は限定されないが、一般的には樹脂製または紙製である。紙製の場合、開口縁13はカール形状に形成される。また、紙製の場合、原紙にラミネート被覆されている。
【0033】
また、容器本体10の寸法は限定されないが、片手で保持できる程度が好ましく、開口部14直径が60-120mm程度の寸法が実用的である。
【0034】
図3は蓋体20の構成図である。
図3Aは斜視図であり、
図3Bは部分断面図である。なお図示の蓋体は例示であり、これに限定されない。
【0035】
蓋体20は、蓋天面21と天面端部から周状凸部22を介して延設される蓋側面23とを備える。周状凸部22天面は蓋天面21より一段高い。
【0036】
蓋側面23下部から蓋側嵌合部24が延設され、さらに蓋側嵌合部24から周状スカート25が延設される。
【0037】
蓋天面21の一端には開口である飲口26が設けられている。飲口26に相当する位置には開閉部27が設けられている。初期状態において、飲口26は開閉部27により閉じられている。蓋天面21の略中央には凹状の収納部28が設けられている。開閉部27は蓋天面21に軸支されており、回動して収納部28に収納され保持される。これにより、開口である飲口26が形成される。
【0038】
飲口26と点対称の位置であって、周状凸部22天面には表裏を連通する通気孔29が設けられている。これにより、飲口26から飲料を飲む際、陰圧が発生するのを抑制する。また、容器を傾けたときに、通気孔29から飲料が漏れるおそれもない。
【0039】
蓋体20の材質は限定されないが、一般的には樹脂製または紙製である。樹脂製の場合、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンなどが好適である。
【0040】
容器本体10の開口縁13に蓋体20の嵌合部24が嵌合することにより、蓋体20は容器本体10に装着される。
【0041】
なお、店内飲食用または店外持ち帰り用として、蓋体20が容器本体10に装着された状態で、飲料が提供される。
【0042】
~特徴的構成~
本実施形態の特徴的構成である中皿40について、
図4および
図5を用いて説明する。
図4Aは側面図であり、
図4Bは平面図である。
図5Aは上から見た斜視図であり、
図5Bは下から見た斜視図である。
【0043】
中皿40は、皿部本体41と支持部44とを備える。皿部本体41は球面凹状に形成される。皿部本体41外縁には、周状凸部(押圧受け部)42および皿側部43を介して、支持部44が延設される。
【0044】
周状凸部42は皿部本体41球面外縁から立設される。周状凸部42は天面を有する。皿側部43は周状凸部42より下方(若干斜め下方)に延設される。
【0045】
支持部44は、皿側部43下端から水平に延設される水平部と水平部端から立設される内壁対向部45とを有する。内壁対向部45の長さは例えば2~7mm(図示では5mm)程度である。
【0046】
中皿40(主に中皿本体41)は容器本体開口部14に対応している。中皿40は内壁対向部45を介して容器本体の側部12内壁に支持される。内壁対向部45は容器本体の側部12内壁に対向している(
図2参照)。中皿支持動作については後述する(
図6および
図7参照)。
【0047】
~特徴的動作~
本実施形態の特徴的動作である中皿支持について、
図6および
図7を用いて説明する。
【0048】
図6Aは蓋体20未装着状態を示す図である。まず、店員は、中皿40を容器本体開口部14に対応して配置する。中皿の内壁対向部45が容器本体の側部12内壁のテーパ形状に沿って係止される。
【0049】
図6Bは蓋体20仮装着状態(容器本体10の開口縁13と蓋体20の嵌合部24とが未嵌合)を示す図である。店員は、蓋体20を容器本体開口部14に対応して配置する。ところで、当該状態において、周状凸部(押圧受け部)42天面は蓋天面21の裏側の想定設置位置より高い位置にある。
【0050】
図7Aは、蓋天面21の裏側の嵌合時想定設置位置を示す図である。当該高さを矢印にて図に追記している。例えば、0.5~4mm(図示では2mm)程度高い。
【0051】
蓋体周状スカート25は開口縁13に係止されている。これにより蓋体20は仮装着される。このとき、周状凸部(押圧受け部)42天面は蓋天面21の裏側における対応位置と当接する。
【0052】
図7Bは、周状凸部(押圧受け部)42天面と蓋天面21の裏側における対応位置との対応関係を示す図である、対応位置を点線にて図に追記している。
【0053】
図6Cは蓋体20本装着状態(容器本体10の開口縁13と蓋体20の嵌合部24とが嵌合)を示す図である。店員は、容器本体10を保持しながら周状凸部22および蓋側面23を介して蓋体20を下方に押し込み、容器本体10の開口縁13と蓋体20の嵌合部24とを嵌合させる。
【0054】
このとき、周状凸部42天面と蓋天面21の裏側における対応位置との当接面において押圧力が作用する。押圧受け部(周状凸部)42天面は押圧力を受ける。
【0055】
上記押圧動作に伴い、内壁対向部45もテーパ形状に沿って微小に下方移動する。また、支持部44は弾性変形する。この相互作用により、内壁対向部45が容器本体の側部12内壁に近づく。すなわち、内壁対向部45が連動する。
【0056】
内壁対向部45が容器本体の側部12内壁に押圧された状態で密着することが好ましい。なお、製造上の理由により内壁対向部45は多段状に形成されており、完全な密着は困難であるが、可能な限り密着状態に近づける。本願ではこれを密着構造12,45と見做す。内壁対向部45を介して、中皿40は容器本体の側部12内壁に安定的に支持される。
【0057】
~特徴的構成による効果~
本実施形態の効果について説明する。
【0058】
本実施形態では、既存の蓋付容器10,20に中皿40を設ける。これにより、中皿がない場合における液面から蓋天面21まで距離に比べて、液面から中皿本体41までの距離は短くなる。例えば5~10mm程度(図示の例では7mm)近くなる。その結果、配送中の振動に伴う波立ち振幅を抑制する。これにより、液漏れを抑制できる。
【0059】
中皿40は内壁対向部45を介して容器本体の側部12内壁に支持される。このとき、容器本体10の開口縁13と蓋体20の嵌合部24の嵌合は維持される。すなわち、中皿40を設けることによる当該嵌合の緩みはおきない。これにより当該嵌合からの液漏れを抑制できる。
【0060】
ところで、中皿40の初期配置が傾いていると、配送中の振動に伴い、配置傾きが徐々に大きくなり、中皿外縁からの液漏れのおそれがある。さらに、液面の波立ちを受けると、中皿40が液体に沈んでしまうおそれもある。したがって、中皿の水平配置が重要となる。
【0061】
内壁対向部45は、容器本体の側部12内壁に沿うように、多段状に形成されており、容器本体の側部12内壁に沿って所定の長さを有する。内壁対向部45と容器本体の側部12内壁とはきわめて近接し、面接触に近い状態となる。点接触に比べて、安定して支持され、中皿外縁からの液漏れを抑制できる。
【0062】
さらに、内壁対向部45は容器本体の側部12内壁に押圧された状態で密着する(
図6C参照)。これにより、安定性が向上するとともに、中皿外縁における液漏れ抑制効果も向上する。
【0063】
仮に、配送中の振動に伴い、配置傾きが生じようとしても、周状凸部42天面は蓋天面21の裏側に当接されており、蓋天面21は配置傾きの発生を抑制する。この点においても、水平性が維持されて安定性が向上するとともに、中皿外縁における液漏れ抑制効果も向上する。
【0064】
店員は、中皿40を容器本体開口部14に対応して配置(
図6A参照)したのちに、蓋体20を押圧する動作を介して、中皿40を押し込み、容器本体の側部12内壁に設置する(
図6C参照)。中皿40を初期配置する際はおおよその水平性を確認すればよく、容易な作業である。
【0065】
一方、押圧受け部42天面と蓋天面21の裏側における対応位置による当接構造(
図7B参照)により、押圧力は均等に伝達され、中皿40の水平性は担保される。その結果、安定支持および液漏れ抑制を容易に担保できる。なお、当該作業も容易である。
【0066】
以上の相互作用により、配送時の振動に対しても安定支持でき、液漏れ抑制効果が期待できる。
【0067】
~通気流路~
試作モデルにおいて、上記特徴的構成により、中皿40は安定支持され、中皿40による密閉性は確実に向上した(
図6C参照)が、実際にコーヒー飲料を容器に入れ容器を袋に入れて配送試験をしたところ、想定外の容器シミや袋シミが発生した。当該シミは、コーヒー飲料の品質を損なうものではなく、消費者が飲用するのに支障はないが、配送品を受け取った消費者の心象を損なう。
【0068】
発明者がシミ発生の原因を推測したところ、中皿40による密閉性により、特にホット飲料(例えばホットコーヒー)より発生する蒸気の逃げ道がなくなり、内圧が増加し、中皿40による密着や蓋体20による嵌合が緩くなり、当該箇所から漏れが発生しているおそれがあるとの結論に至った。
【0069】
ところで、蓋体20は既存品として用いられており、周状凸部22天面には表裏を連通する通気孔29が設けられている(
図3A参照)。
【0070】
通気孔29に連通する通気流路構成として、中皿40は通気孔47と通気溝48を備えている。
【0071】
皿部本体41の略中央には表裏を連通する通気孔47が設けられている。また、周状凸部42の一部において下方に一段下げられており、通気溝48が設けられている(
図4および
図5参照)。
【0072】
本実施形態の通気動作について、
図8を用いて説明する。
図8は通気流路について説明する部分断面図である。
【0073】
ホット飲料より発生する蒸気は、通気孔47を通過して、皿部本体41と周状凸部42と蓋天面21裏側とから形成される空間51に導かれる。
【0074】
さらに、通気溝48を通過して、皿側部43と支持部44と蓋側面23と周状凸部22とから形成される空間52に導かれ、周状凸部22天面に設けられた通気孔29を通過して、排気される。通気流路を矢印にて図に追記している。
【0075】
~通気流路による効果~
通気流路形成により蒸気を逃がし、内圧増加による液漏れを抑制できる。すなわち、密着構造12,45および嵌合構造13,24は適切に機能する。
【0076】
図9は、想定される液面の波立ち動作を説明する図である。容器配送による振動により、容器内の液体は1次モードで揺動すると想定される。なお、このとき密着構造12,45に液圧負荷がかかるが、密着構造12,45が適切に機能することにより、液漏れは抑制されている。
【0077】
一方、通気孔47を介して液漏れするおそれはあるが、略中央における波立ち振幅は比較的小さく、仮に通気孔47を介して液漏れしても、微量である。この点でも、液漏れを抑制できる。
【0078】
また、仮に通気孔47を介して液漏れした場合でも、水平方向に設けられた通気溝48を伝わり、さらに垂直に方向を変えて、通気孔29を通過するおそれは、ほとんどない。
【0079】
皿部本体41は球面凹状に形成されており(
図5参照)、仮に通気孔47を介して液漏れした場合でも、球面凹状に沿って通気孔47に戻る。この点でも、液漏れを抑制できる。
【0080】
以上の相互作用により更なる液漏れ抑制効果が期待できる。
【0081】
~摘み~
配送前において、店員は、中皿40を容器本体開口部14に対応して配置する。配送後において、消費者は、蓋体20を取り外し、中皿40を取り外し、再び蓋体20を装着する。
【0082】
皿部本体41の球面凹状外縁において、一部略垂直に掘り下げられており、周状凸部42との間に、一対の摘み部46が形成される(
図5参照)。すなわち、皿部本体41の球面凹状を摘まむことは滑りやすく困難であるが、摘み部46を摘まむことは容易である。
【0083】
図10は、摘み動作を説明する図である。一対の摘み部46,46を親指と人差し指で摘まんでもよい(動作例1)。摘み部46,46は他の箇所より少し高剛性となっており、確実に摘まめる。一方の摘み部46を親指と人差し指で摘まんでもよい(動作例2)。
【0084】
これにより、店員の中皿配置動作および消費者の中皿取り出し動作は容易になる。
【0085】
~変形例~
本実施形態の変形例について、
図11を用いて説明する。
図11Aは変形例1に係る中皿の斜視図である。
図11Bは変形例2に係る中皿の斜視図である。なお、既存の蓋付容器10,20は基本構成として共通である。
【0086】
変形例1および変形例2は、水平部と内壁対向部45とを有する支持部44を備える。支持部44を介して中皿40は容器本体の側部12内壁に支持される。
【0087】
変形例1は中皿本体中央位置に立設される摘み部を備える。変形例2は中皿本体周縁両端に立設される一対の摘み部を備える。
【0088】
変形例1および変形例2において、摘み部天面と蓋天面21の裏側とが当接するようにしてもよい。さらに、蓋体20仮装着状態(未嵌合)において、摘み部天面が蓋天面21の裏側の想定設置位置より高い位置にあるようにしてもよい。容器本体10と蓋体20との嵌合により、摘み部天面に押圧力が作用すると、内壁対向部45が連動する。
【0089】
変形例1および変形例2においても、本実施形態と類似する効果が期待できる。
【符号の説明】
【0090】
10 容器本体
11 底部
12 側部
13 開口縁
14 開口部
20 蓋体
21 蓋天面
22 蓋側面
23 蓋側嵌合部
24 周状凸部
25 周状スカート
26 飲口
27 開閉部
28 収納部
29 通気孔
40 中皿
41 皿部本体
42 押圧受け部
43 皿側部
44 支持部
45 内壁対向部
46 摘み部
47 通気孔
48 通気溝
51 空間
52 空間