(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122110
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】連結式給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/10 20220101AFI20230825BHJP
F24H 9/00 20220101ALI20230825BHJP
F24H 15/355 20220101ALI20230825BHJP
【FI】
F24H1/10 303Z
F24H9/00 Z
F24H1/10 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025556
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和晃
(72)【発明者】
【氏名】芝 光真
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真輔
【テーマコード(参考)】
3L034
3L036
【Fターム(参考)】
3L034EA07
3L036AC18
(57)【要約】
【課題】入水フィルタの閉塞を判定することができる連結式給湯システムを提供すること。
【解決手段】給水配管(1)と給湯配管(2)の間に並列に設置された複数の燃焼式の給湯装置(11~14)と、給湯使用量に応じて加熱能力を調整するために作動させる給湯装置の台数を変更する制御手段(15)を備えた連結式給湯システム(10)において、複数の給湯装置(11~14)は、給水配管(1)から導入される上水の通水量を検知する通水量検知手段と、給水配管(1)からの上水の導入部(29a)に装備された入水フィルタ(33)を夫々有し、制御手段(15)は、複数の給湯装置(11~14)が同時に作動している場合に、作動中の給湯装置の通水量を比較することによって、複数の給湯装置(11~14)に夫々装備されている入水フィルタ(33)の閉塞を判定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水配管と給湯配管の間に並列に設置された複数の燃焼式の給湯装置と、給湯使用量に応じて加熱能力を調整するために作動させる前記給湯装置の台数を変更する制御手段を備えた連結式給湯システムにおいて、
複数の前記給湯装置は、前記給水配管から導入される上水の通水量を検知する通水量検知手段と、前記給水配管からの上水の導入部に装備された入水フィルタを夫々有し、
前記制御手段は、複数の前記給湯装置が同時に作動している場合に、作動中の前記給湯装置の通水量を比較することによって、複数の前記給湯装置に夫々装備されている前記入水フィルタの閉塞を判定することを特徴とする連結式給湯システム。
【請求項2】
複数の前記給湯装置は、作動時に通水量を調整する水量調整手段を夫々有し、
前記制御手段は、作動中の複数の前記給湯装置のうち最後に作動させた給湯装置の前記水量調整手段の開度が最大である場合に、作動中の複数の前記給湯装置の通水量を比較することを特徴とする請求項1に記載の連結式給湯システム。
【請求項3】
前記制御手段は、複数の前記給湯装置のうち前記入水フィルタが閉塞していると判定された給湯装置を、作動候補から除外することを特徴とする請求項1又は2に記載の連結式給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の給湯装置と、これら複数の給湯装置の作動台数を制御するシステム制御装置を備え、給湯使用量に応じた加熱能力にするために、作動台数を変更して給湯する連結式給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般家庭用の給湯装置として、設定された目標温度の湯水を給湯できるように、加熱能力を調整して給湯する燃焼式の給湯装置が利用されている。給湯装置の加熱能力は、給湯装置に導入される上水の温度と目標温度、及び出湯流量(通水量)、に応じて変更、調整される。例えば目標温度が高温であるため加熱能力が不足する場合には、出湯流量を減少させて、設定された目標温度での給湯を優先させる。
【0003】
一方、例えば寮、宿泊施設、スポーツジム等では、複数の利用者のシャワー使用等のために給湯使用が集中して大量の給湯を必要とする場合があるので、複数の燃焼式の給湯装置によって構成された連結式給湯システムが利用されている。連結式給湯システムは、設定された目標温度の湯水を給湯配管に給湯し、給湯使用者が温度調整機能付きの給湯栓から所望の温度の湯水を使用する。
【0004】
連結式給湯システムは、給湯使用量(目標温度の湯水の出湯流量)に応じて、作動中の給湯装置の加熱能力を調整すると共に、給湯装置の作動台数を変更するので、大量の給湯だけでなく作動台数が1台の少量の給湯にも対応することができる。給湯装置の作動台数は、例えば所定の追加作動条件又は作動停止条件を満たした場合に1台ずつ変更される。
【0005】
連結式給湯システムの複数の給湯装置は、上水の導入部に、上水と共に流れてくる異物を捕集する入水フィルタを夫々備えている。この入水フィルタが捕集した異物によって部分的に閉塞した場合、給湯装置の通水量が減少して、目標温度の湯水を十分な流量で給湯することができなくなる。このような閉塞時の対応について、給湯装置とは関連しないが、例えば特許文献1において、フィルタとポンプを夫々備えた2つの供給路を有し、一方の供給路のポンプ駆動時の流量が低下した場合に閉塞と判定して他方の供給路に切り替えるように構成された汚泥の可溶化装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃焼式の給湯装置は、加熱する上水の流量が所定の作動開始流量以上になると作動を開始し、導入される上水の温度と目標温度と出湯流量に応じて加熱能力を調整して給湯する。この燃焼式の給湯装置を複数台備えた連結式給湯システムでは、作動させる給湯装置を切り替えて流路を切り替えることが可能である。
【0008】
しかし、作動中の給湯装置の出湯流量(通水量)は給湯使用量に応じて変動するので、特許文献1のように流量の低下によって入水フィルタの閉塞を判定することは困難である。また、入水フィルタがある程度閉塞している給湯装置は、加熱する上水の流量が増加し難いため、例えば作動開始が遅れる、追加作動条件を満たせないといった不具合が発生する虞がある。そして、入水フィルタの閉塞が進行した給湯装置が最初に作動させる給湯装置の場合には、所定の作動開始流量に到達できず、他も給湯装置も作動させることができないため給湯不能になる虞がある。
【0009】
本発明の目的は、入水フィルタの閉塞を判定することができる連結式給湯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の連結式給湯システムは、給水配管と給湯配管の間に並列に設置された複数の燃焼式の給湯装置と、給湯使用量に応じて加熱能力を調整するために作動させる前記給湯装置の台数を変更する制御手段を備えた連結式給湯システムにおいて、複数の前記給湯装置は、前記給水配管から導入される上水の通水量を検知する通水量検知手段と、前記給水配管からの上水の導入部に装備された入水フィルタを夫々有し、前記制御手段は、複数の前記給湯装置が同時に作動している場合に、作動中の前記給湯装置の通水量を比較することによって、複数の前記給湯装置に夫々装備されている前記入水フィルタの閉塞を判定することを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、制御手段が同時作動中の複数の給湯装置の通水量を比較することによって、通水量が小さい給湯装置について上水の導入部に装備された入水フィルタが閉塞していると判定することができる。
【0012】
請求項2の発明の連結式給湯システムは、請求項1の発明において、複数の前記給湯装置は、作動時に通水量を調整する水量調整手段を夫々有し、前記制御手段は、作動中の複数の前記給湯装置のうち最後に作動させた給湯装置の前記水量調整手段の開度が最大である場合に、作動中の複数の前記給湯装置の通水量を比較することを特徴としている。
上記構成によれば、連結式給湯システムの複数の給湯装置が水量調整手段を夫々備えている。同時に作動している複数の給湯装置のうち、最後に作動開始した給湯装置の水量調整手段の開度が最大の場合は、作動中の全ての給湯装置の水量調整手段の開度が最大の場合であり、作動中の複数の給湯装置の通水量が等しくなるはずである。これを利用して、同時作動中の複数の給湯装置について、通水量を比較することによって入水フィルタの閉塞を判定することができる。
【0013】
請求項3の発明の連結式給湯システムは、請求項1又は2の発明において、前記制御手段は、複数の前記給湯装置のうち前記入水フィルタが閉塞していると判定された給湯装置を、作動候補から除外することを特徴としている。
上記構成によれば、入水フィルタが閉塞していると判定された給湯装置を作動させないようにするので、入水フィルタの閉塞による不具合の発生を防止することができる。また、他の給湯装置による給湯を妨げずに、入水フィルタの閉塞と判定された給湯装置のメンテナンスが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の連結式給湯システムによれば、入水フィルタの閉塞を判定することができるので、入水フィルタが閉塞していると判定された給湯装置のメンテナンスを促すことができ、入水フィルタの閉塞による不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例に係る連結式給湯システムを示す図である。
【
図2】実施例に係る連結式給湯システムを構成する給湯装置の説明図である。
【
図3】実施例に係る作動台数制御のフローチャートである。
【
図5】実施例に係る入水フィルタの閉塞判定のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0017】
図1に示すように、給水配管1には矢印Wで示すように上水が供給され、この給水配管1から導入される上水を目標温度に加熱して複数の給湯栓F1~Fmが装備された給湯配管2に供給するように、連結式給湯システム10が設置されている。この連結式給湯システム10は、複数(ここでは4台)の給湯装置11~14と、これら給湯装置11~14に作動台数の制御を行うために通信接続された制御手段としてシステム制御装置15を有する。システム制御装置15は、連結式給湯システム10の例えば出湯温度の設定操作を行う操作リモコン15aを有する。複数の給湯装置11~14は、給水配管1と給湯配管2の間に並列に接続され、どの給湯装置11~14からでも複数の給湯栓F1~Fmに給湯することができる。複数の給湯栓F1~Fmは、例えば上水と混合して温度調整する機能を有し、給湯使用者は所望の温度に調整して使用する。尚、連結式給湯システム10を構成する給湯装置の台数は4台に限定されず、2台以上であればよい。
【0018】
次に給湯装置11~14ついて説明するが、これら給湯装置11~14は同じ構成なので、給湯装置11について説明し、給湯装置12~14の説明を省略する。
図2に示すように、給湯装置11は、燃焼部21での燃料ガスの燃焼熱を利用して熱交換部22を流動する湯水を加熱するように構成された燃焼式の給湯装置である。この給湯装置11は、熱交換部22に上水を供給する給水部23と、熱交換部22で加熱された湯水の温度を調整して出湯する出湯部24を有する。
【0019】
燃焼部21は、複数の燃焼区画を有するバーナ25と、このバーナ25への燃料ガスの供給流量を調整する燃料調整弁26と、燃焼用空気を供給する燃焼ファン27と、放電を利用してバーナ25に点火する点火装置28を有する。バーナ25は、複数の燃焼区画に対応する開閉弁25a~25dを備えている。
【0020】
給水部23は、給水配管1と熱交換部22とを接続する給水通路29と、給水通路29を開閉する給水弁30と、上水の温度(給水温度)を検知する給水温度センサ31と、熱交換部22に供給される上水の流量(給水流量)を検知する給水流量センサ32を有する。給水通路29には、上水と共に流れてくる異物を捕集するための入水フィルタ33が、給水配管1からの上水の導入部29aに着脱可能に装備されている。
【0021】
出湯部24は、熱交換部22と給湯配管2とを接続する出湯通路34と、給水弁30の下流側で給水通路29から分岐されて出湯通路34に接続されたバイパス通路35と、バイパス流量調整弁36を有する。バイパス流量調整弁36は、給水通路29からバイパス通路35に流入させる上水の流量を調整する。出湯通路34には、熱交換部22で加熱された湯水の温度を検知する第1出湯温度センサ37と、加熱された湯水にバイパス通路35からの上水を混合して温度調整された湯水の温度(出湯温度)を検知する第2出湯温度センサ38と、出湯流量調整弁39が装備されている。出湯流量調整弁39は、給湯配管2に供給する湯水の出湯流量を調整することによって給水配管1から導入される上水の流量を調整する、即ち給湯装置11の通水量を調整する水量調整手段である。
【0022】
給湯装置11は、システム制御装置15と連携して給湯装置11の給湯運転を制御する制御部40を有する。制御部40は、給水流量センサ32の検知流量と、給水温度センサ31及び第1、第2出湯温度センサ37,38の夫々の検知温度を取得する。そして、制御部40は、これらの検知流量と検知温度に基づいて、燃焼ファン27の回転数、燃料調整弁26の開度及び開閉弁25a~25dの開閉の制御によって加熱能力を変更、調整すると共に、バイパス流量調整弁36の開度を調整する。これにより、設定された目標温度の湯水を給湯配管2に供給する給湯運転が行われる。
【0023】
例えば給湯使用量が大きいため、目標温度の湯水を供給できない場合には、制御部40は出湯流量調整弁39の開度を調整して通水量を低下させることにより、目標温度の湯水を供給できるようにする。給湯装置11の通水量は、給水流量センサ32の検知流量とバイパス流量調整弁36の開度と出湯流量調整弁39の開度に基づいて、制御部40によって算出される。従って、給水流量センサ32とバイパス流量調整弁36と出湯流量調整弁39と制御部40によって、給湯装置11の通水量を検知する通水量検知手段が構成されている。
【0024】
システム制御装置15は、給湯運転の作動候補である複数の給湯装置11~14のうちの1台(例えば給湯装置11)をメイン給湯装置に設定し、メイン給湯装置以外の給湯装置(例えば給湯装置12~14)をサブ給湯装置に設定する。メイン給湯装置は、給湯開始時に最初に作動させる給湯装置である。サブ給湯装置は、給湯開始時には作動させず、給湯中に追加作動させるための給湯装置である。メイン給湯装置は1台なので、サブ給湯装置台数NはN=3となる。
【0025】
サブ給湯装置の設定時には、例えば第1サブ給湯装置、第2サブ給湯装置、第3サブ給湯装置のように、作動優先順位が最も高いメイン給湯装置以外のサブ給湯装置の作動優先順位(追加作動の順番)が設定される。また、複数の給湯装置11~14の間の累積作動時間の差、又は作動負荷の差を小さくするために、システム制御装置15は、メイン給湯装置及びサブ給湯装置を入れ替えるローテーション設定を、例えば定期的に又は累積作動時間に応じて行う。
【0026】
メイン給湯装置の制御部40は、給水弁30を開いた状態にすると共に、出湯流量調整弁39の開度を例えば全開にする。サブ給湯装置の制御部40は、給水弁30を閉じた状態にすると共に、出湯流量調整弁39を所定の開度(例えば半開)にする。給湯栓F1~Fmの何れかが開けられて、メイン給湯装置の給水流量が所定の作動開始流量以上になると、メイン給湯装置のみで給湯運転が開始される。
【0027】
システム制御装置15は、メイン給湯装置の例えば加熱能力が規定値以上となって追加作動条件が成立し、且つ作動候補の中に未作動のサブ給湯装置がある場合に、そのうちの作動優先順位が最も高い1台の未作動のサブ給湯装置を追加作動させる。導入される上水が作動している複数の給湯装置に分散されるので、システム制御装置15は、例えば先に作動開始した給湯装置の加熱能力が維持されるように、作動開始が最後の給湯装置の出湯流量調整弁39の開度を調整させる。尚、作動中の複数の給湯装置の加熱能力が等しくなるように、最後の給湯装置の出湯流量調整弁39の開度を調整させてもよい。
【0028】
追加作動させたサブ給湯装置について、出湯流量調整弁39の開度が最大となって加熱能力が規定値以上になり、追加作動条件が成立して且つ作動候補の中に未作動のサブ給湯装置がある場合に、さらに1台の未作動のサブ給湯装置を追加作動させる。このようにシステム制御装置15は、作動中の給湯装置のうち最後に作動させた給湯装置について追加作動条件が成立し、作動可能なサブ給湯装置がある場合に、1台ずつ追加作動させる作動台数制御を行って、加熱能力が不足しないように給湯使用量に応じて加熱能力を増加させる。
【0029】
例えば給湯栓F1が開けられて、メイン給湯装置の給水流量センサ32が所定の作動開始流量以上の流量を検知すると、メイン給湯装置が作動を開始して給湯運転を行うと共に、システム制御装置15による作動台数制御が開始される。この作動台数制御について、
図3のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0030】
作動台数制御が開始されると、S1において、作動候補に含まれるサブ給湯装置台数Nを取得してS2に進む。そしてS2において、給湯運転開始直後のメイン給湯装置のみが作動を開始した状態なので、サブ給湯装置作動台数nをゼロにしてS3に進む。
【0031】
S3において、最後に作動開始した給湯装置の加熱能力が規定値以上となったか否か判定する。サブ給湯装置の追加作動条件の判定ステップである。システム制御装置15は、複数の給湯装置11~14の制御部40から給湯運転に関する各種データを夫々取得し、給湯装置11~14の加熱能力について判定する。最後に作動開始した給湯装置は、メイン給湯装置のみが作動している場合にはメイン給湯装置であり、サブ給湯装置も作動している場合には作動中のサブ給湯装置のうちの作動開始が最後(作動優先順位が最下位)のサブ給湯装置である。
【0032】
S3の判定がYesの場合はS4に進む。そしてS4において、サブ給湯装置作動台数nがサブ給湯装置台数Nよりも小さいか否か判定する。追加作動可能な未作動のサブ給湯装置の有無を判定するステップである。S4の判定がYesの場合はS5に進み、S5において1台の未作動のサブ給湯装置を追加作動させてS6に進む。そしてS6において、サブ給湯装置作動台数nを1増加させてS7に進む。このとき、追加作動指令を受けたサブ給湯装置の制御部40が、そのサブ給湯装置の給水弁30を開けることによって作動を開始する。
【0033】
一方、S3の判定がNoの場合は、サブ給湯装置を追加作動させずにS7に進む。また、S4の判定がNoの場合は、追加作動可能な未作動のサブ給湯装置が無いので、サブ給湯装置を追加作動させずにS7に進む。
【0034】
S7において、作動中の給湯装置のうち最後に作動開始した給湯装置の給水流量が、作動開始流量未満となったか否か判定する。給湯使用量が減少した場合には、作動中の給湯装置の通水量が減少するので、この減少分の調整のために最後に作動開始した給湯装置の出湯流量調整弁39の開度を優先的に調整させ、加熱能力を減少させる。このとき、給水流量が作動開始流量未満まで低下すると安定した給湯運転が困難になるので、最後に作動開始した給湯装置を停止させるための作動停止条件を判定するステップである。
【0035】
S7の判定がNoの場合はS3に戻る。S7の判定がYesの場合はS8に進み、S8において最後に作動開始した給湯装置の作動を停止させてS9に進む。システム制御装置15から作動停止を指示された給湯装置の制御部40は、その給湯装置の給水弁30を閉じて作動を停止する。
【0036】
S9において、サブ給湯装置作動台数nがゼロか否か判定する。S9の判定がNo(n>0)の場合はS10に進み、S10においてサブ給湯装置作動台数nを1減少させ、少なくともメイン給湯装置が作動しているのでS3に戻る。一方、S9の判定がYes(n=0)の場合は、S8でメイン給湯装置の作動を停止させたことになるので、S11に進む。そしてS11において給湯運転を終了して作動台数制御を終了する。
【0037】
次に、給湯運転における加熱能力の推移の例を
図4に基づいて説明する。
メイン給湯装置のみ作動開始させた(a)の状態で給湯運転が開始された後、加熱能力を増加させてメイン給湯装置が規定値の最大加熱能力に到達(追加作動条件が成立)した場合に1台のサブ給湯装置(第1サブ給湯装置)を追加作動させて(b)の状態に移行する。さらに追加作動条件の成立によって第2サブ給湯装置を追加作動させた(c)の状態を経て、第3サブ給湯装置を追加作動させて複数の給湯装置11~14の全台が最大加熱能力で作動する(d)の状態まで加熱能力を増加させることが可能である。
【0038】
一方、例えば(d)の状態から給湯流量が減少する場合には、作動中の給湯装置のうち最後に作動開始させた給湯装置(第3サブ給湯装置)の出湯流量調整弁39の開度を小さくさせることにより加熱能力を優先的に低下させる。そして、この第3給湯装置の給水流量が作動開始流量未満となった(作動停止条件が成立した)場合に作動を停止させる。さらに加熱能力を低下させて、作動開始の順番と逆順で加熱能力を低下させて作動台数を減少させることにより、(c)、(b)の状態を経て(a)の状態に移行し、メイン給湯装置の給水流量が作動開始流量未満となった場合に給湯運転を終了する。尚、給湯中に給湯使用量の増減がある場合にも、作動中の給湯装置のうち最後に作動開始させた給湯装置の加熱能力を調整し、追加作動条件、作動停止条件に従って作動台数を変更する。
【0039】
連結式給湯システム10が最大加熱能力で給湯する(d)の状態は、最後に作動開始させた給湯装置(第3サブ給湯装置)の出湯流量調整弁39の開度が最大になっており、これ以前に作動開始させた複数の給湯装置の出湯流量調整弁39の開度も夫々最大になっている。従って、作動中の給湯装置の通水量には差がないはずである。これを利用して、システム制御装置15は、最後に作動開始させた給湯装置の出湯流量調整弁39の開度が最大の場合に、作動中の給湯装置の通水量を比較することにより入水フィルタ33の閉塞を判定する。そして、入水フィルタ33が閉塞していると判定した給湯装置を、操作リモコン15aの例えば表示又は音声出力によって報知する。
【0040】
システム制御装置15による入水フィルタ33の閉塞判定について、
図5のフローチャートに基づいて説明する。
給湯運転の開始に伴って閉塞判定が開始され、S21において最後に作動開始した給湯装置の出湯流量調整弁39(水量調整弁)の開度が最大となったか否か判定する。通水量が安定している状態で閉塞を判定することが好ましいので、出湯流量調整弁39の開度が最大となって所定時間経過したことを判定してもよい。S21の判定がNoの場合はS21に戻り、S21の判定がYesの場合にS22に進む。
【0041】
S22において、作動中の給湯装置全台の通水量を夫々取得してS23に進む。そしてS23において、取得した通水量に基づいて閉塞判定対象の給湯装置について基準値を設定してS24に進む。基準値には、例えばサブ給湯装置に対しては作動開始が1台前の給湯装置の通水量が設定され、メイン給湯装置の基準値には例えば作動開始が最後のサブ給湯装置の通水量が設定される。尚、基準値は、直近の測定期間における例えば作動中の給湯装置の通水量の平均値又は中央値でもよく、直近の測定期間における例えば閉塞判定対象の給湯装置を除いた他の給湯装置の通水量の平均値又は中央値でもよい。閉塞判定対象の給湯装置は、作動候補の給湯装置の中から1台ずつ順番に設定される。
【0042】
S24において、閉塞判定対象の給湯装置の通水量が、基準値-α(αは予め設定された所定の許容値)以上であるか否か判定する。S24の判定がYesの場合はS25に進み、S25において閉塞判定対象を入水フィルタ33が閉塞していない給湯装置として作動候補に残して、S27に進む。一方、S24の判定がNoの場合はS26に進み、S26において閉塞判定対象を入水フィルタ33が閉塞している給湯装置として作動候補から除外して、S27に進む。
【0043】
S27において、作動中の給湯装置の全台について通水量の比較による閉塞判定が完了したか否か判定する。S27の判定がNoの場合はS23に戻り、S27の判定がYesの場合は閉塞判定を終了する。
【0044】
例えば給湯装置の仕様に基づき設定された基準値と比較する場合には、上水の給水圧の影響を受けてしまうが、実際の通水量に基づいて設置環境に応じて設定された基準値と通水量を比較して判定するので、その給水圧の影響を除外することができる。また、給湯装置が作動不能になるほど入水フィルタ33の閉塞が進行する前に、入水フィルタ33の閉塞を検出してメンテナンス対応を促すことができる。
【0045】
システム制御装置15は、入水フィルタ33が閉塞していると判定した給湯装置を、作動候補から除外して、給湯運転時の作動台数制御を行う。これにより、入水フィルタ33が閉塞しているため通水量が増加し難くなって追加作動条件が成立しない事態を防止することができ、加熱能力の増加のために作動台数を増加させることができる。また、給水配管1と複数の給湯装置11~14の入水フィルタ33の間に閉止弁が夫々装備されている場合には、給湯使用を許容しながら、入水フィルタ33が閉塞していると判定した給湯装置の閉止弁を閉止してメンテナンスを行うことができる。
【0046】
上記連結式給湯システム10の作用、効果について説明する。
連結式給湯システム10の複数の給湯装置11~14は、給水配管1から導入される上水の通水量を検知する通水量検知手段を夫々有する。システム制御装置15(制御手段)は、複数の給湯装置11~14が同時に作動している場合に、作動中の給湯装置11~14の通水量を比較することによって、複数の給湯装置11~14の給水通路29における上水の導入部29aに夫々装備されている入水フィルタ33の閉塞を判定する。
【0047】
従って、システム制御装置15が同時作動中の複数の給湯装置11~14の通水量を比較することにより、通水量が小さい給湯装置についてその入水フィルタ33が閉塞していると判定することができる。そして、入水フィルタ33が閉塞していると判定された給湯装置のメンテナンスを促すようにすることができる。
【0048】
連結式給湯システム10の複数の給湯装置11~14は、出湯流量調整弁39(水量調整手段)を夫々備えている。作動中の複数の給湯装置11~14のうち、最後に作動開始した給湯装置の出湯流量調整弁39の開度が最大の場合は、作動中の全ての給湯装置11~14の出湯流量調整弁39の開度が最大になっているので、作動中の複数の給湯装置11~14の通水量が等しくなるはずである。これを利用して、作動中の複数の給湯装置11~14について、入水フィルタ33の閉塞を判定することができる。
【0049】
システム制御装置15は、入水フィルタ33が閉塞していると判定された給湯装置を作動候補から除外して作動させないようにする。これにより、入水フィルタ33が閉塞しているため追加作動条件が不成立となって加熱能力が不足するような不具合の発生を防止することができ、給湯流量に応じて加熱能力の増加のために作動台数を増加させることができる。また、他の給湯装置による給湯を妨げずに、入水フィルタの閉塞と判定された給湯装置のメンテナンスが可能になる。
【0050】
入水フィルタ33の閉塞の判定は、基準値に対して通水量が所定の割合に満たない場合に閉塞していると判定してもよい。作動中の複数の給湯装置の加熱能力が等しくなるように最後に作動開始した給湯装置の出湯流量調整弁39を調整する場合には、作動候補中の未作動の給湯装置を除いて入水フィルタ33の閉塞を判定することもできる。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。