IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

特開2023-122113車載制御装置、車載制御システム、制御方法及びコンピュータプログラム
<>
  • 特開-車載制御装置、車載制御システム、制御方法及びコンピュータプログラム 図1
  • 特開-車載制御装置、車載制御システム、制御方法及びコンピュータプログラム 図2
  • 特開-車載制御装置、車載制御システム、制御方法及びコンピュータプログラム 図3
  • 特開-車載制御装置、車載制御システム、制御方法及びコンピュータプログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122113
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】車載制御装置、車載制御システム、制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L12/28 100A
H04L12/28 200D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025567
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾野 紀博
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA05
5K033BA06
5K033CB06
5K033CB17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車載制御装置が外部装置に送信するデータのリアルタイム性を維持しつつ外部装置におけるデータ不足を解消する。
【解決手段】車載制御システム1において、車載制御装置は、車両が収集したデータを通信装置から外部装置へネットワークを介して送信させる制御部を備える。制御部は、車両が第1区間を走行する間、データを第1条件で外部装置に時系列順に送信する第1制御と、通信状況が第1区間よりも不適な第2区間を車両が走行する間、データを第1条件よりも単位時間あたりに送信されるデータの量が少ない第2条件で送信する第2制御と、第2制御の後、車両が第1区間を走行する間、第2制御において送信されなかった残りのデータを外部装置に送信する第3制御とを実行する。第3制御は、残りのデータのうち、車両が所定区間を走行する間に収集した第1データを、車両が所定区間外を走行する間に収集した第2データよりも先に送信する優先制御を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載制御装置であって、
前記車両にて収集されたデータを前記車両に搭載される通信装置に出力し、前記通信装置から前記車両の外部に設けられている外部装置へネットワークを介して前記データを送信させる制御部を備え、
前記制御部は、
前記車両が第1区間を走行する間、前記データを第1条件により前記外部装置に時系列順に送信する第1制御と、
前記ネットワークと前記通信装置との通信状況が前記第1区間よりも不適な第2区間を前記車両が走行する間、前記データを前記第1条件よりも単位時間あたりに送信される前記データの量が少ない第2条件により前記外部装置に時系列順に送信する第2制御と、
前記第2制御の後、前記車両が前記第1区間を走行する間、前記第2制御において送信されなかった残りのデータを前記外部装置に送信する第3制御と、
を実行し、
前記第3制御は、前記残りのデータのうち、前記車両が所定区間を走行する間に収集した第1データを、前記車両が前記所定区間外を走行する間に収集した第2データよりも先に送信する優先制御を含む、
車載制御装置。
【請求項2】
前記所定区間は、
前記外部装置又は前記車載制御装置において車両事故の多発エリアとして登録されている区間、
交差点、トンネル、橋又は踏切を含む区間、及び、
道路の曲率半径が所定曲率を超える区間、
のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の車載制御装置。
【請求項3】
前記第1区間は、前記通信状況が第1指標よりも好適な第3区間を含み、
前記制御部は、
前記車両が前記第3区間を走行する間、前記第1制御及び前記第3制御を実行し、
前記車両が前記第3区間ではない前記第1区間を走行する間、前記第3制御を実行せずに前記第1制御を実行する、
請求項1又は請求項2に記載の車載制御装置。
【請求項4】
前記第1区間は、前記通信装置と前記ネットワークとの通信速度が第1速度を超える区間であり、
前記第2区間は、前記通信速度が前記第1速度未満の区間であり、
前記第3区間は、前記通信速度が前記第1速度よりも速い第2速度を超える区間である、
請求項3に記載の車載制御装置。
【請求項5】
前記第1区間は、前記ネットワークから前記通信装置に届く電波強度が第1強度を超える区間であり、
前記第2区間は、前記電波強度が前記第1強度未満の区間であり、
前記第3区間は、前記電波強度が前記第1強度よりも強い第2強度を超える区間である、
請求項3に記載の車載制御装置。
【請求項6】
前記第1区間は、前記ネットワークに含まれる複数の基地局のうち前記車両に最も近い基地局と、前記車両との距離が第1距離未満の区間であり、
前記第2区間は、前記距離が前記第1距離を超える区間であり、
前記第3区間は、前記距離が前記第1距離よりも短い第2距離未満の区間である、
請求項3に記載の車載制御装置。
【請求項7】
前記第1条件は、前記データの送信間隔を第1間隔とすることを含み、
前記第2条件は、前記データを間引くことで、前記送信間隔を前記第1間隔よりも長い第2間隔とすることを含む、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車載制御装置。
【請求項8】
前記データは動画データを含み、
前記第1条件は、前記データのフレームレートを所定レート以上とすることを含み、
前記第2条件は、前記フレームレートを前記所定レート未満とすることを含む、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車載制御装置。
【請求項9】
前記データは画像データを含み、
前記第1条件は、前記データの画素数を所定画素数以上とすることを含み、
前記第2条件は、前記画素数を前記所定画素数未満とすることを含む、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車載制御装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の車載制御装置と、
前記通信装置と、
を備える、車載制御システム。
【請求項11】
前記通信装置は、所定の世代の移動通信システムにより前記ネットワークを介して前記外部装置と通信する、
請求項10に記載の車載制御システム。
【請求項12】
前記通信装置は、
前記車両に固定されている第1通信装置と、
前記車両の搭乗者に携帯されている第2通信装置と、
を含み、
前記第1通信装置は、前記車載制御装置から受信した前記データを、前記移動通信システムよりも電波の射程が短い近距離用通信方式により前記第2通信装置に送信し、
前記第2通信装置は、前記第1通信装置から受信した前記データを、前記移動通信システムにより前記ネットワークを介して前記外部装置に送信する、
請求項11に記載の車載制御システム。
【請求項13】
車両に搭載される車載制御装置を制御する制御方法であって、
前記車両にて収集されたデータを前記車両に搭載される通信装置に出力し、前記通信装置から前記車両の外部に設けられている外部装置へネットワークを介して前記データを送信させる送信工程を備え、
前記送信工程は、
前記車両が第1区間を走行する間、前記データを第1条件により前記外部装置に時系列順に送信する第1工程と、
前記ネットワークと前記通信装置との通信状況が前記第1区間よりも不適な第2区間を前記車両が走行する間、前記データを前記第1条件よりも単位時間あたりに送信される前記データの量が少ない第2条件により前記外部装置に時系列順に送信する第2工程と、
前記第2工程の後、前記車両が前記第1区間を走行する間、前記第2工程において送信されなかった残りのデータを前記外部装置に送信する第3工程と、
を含み、
前記第3工程は、前記残りのデータのうち、前記車両が所定区間を走行する間に収集した第1データを、前記車両が前記所定区間外を走行する間に収集した第2データよりも先に送信する優先工程を含む、
制御方法。
【請求項14】
車両に搭載される車載制御装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、前記車両にて収集されたデータを前記車両に搭載される通信装置に出力し、前記通信装置から前記車両の外部に設けられている外部装置へネットワークを介して前記データを送信させる送信工程を実行させ、
前記送信工程は、
前記車両が第1区間を走行する間、前記データを第1条件により前記外部装置に時系列順に送信する第1工程と、
前記ネットワークと前記通信装置との通信状況が前記第1区間よりも不適な第2区間を前記車両が走行する間、前記データを前記第1条件よりも単位時間あたりに送信される前記データの量が少ない第2条件により前記外部装置に時系列順に送信する第2工程と、
前記第2工程の後、前記車両が前記第1区間を走行する間、前記第2工程において送信されなかった残りのデータを前記外部装置に送信する第3工程と、
を含み、
前記第3工程は、前記残りのデータのうち、前記車両が所定区間を走行する間に収集した第1データを、前記車両が前記所定区間外を走行する間に収集した第2データよりも先に送信する優先工程を含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載制御装置、車載制御システム、制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載制御装置にて収集された車両に関するデータを車両外に設けられている外部装置に送信する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車載の通信装置が、撮像情報(ドライブレコーダ等の撮像装置により取得した情報)と車両情報(車両の位置、車両の走行速度及びブレーキ踏み込み量等の情報)とを、無線基地局及びネットワークを介して事故情報収集装置に送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-52843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車載制御装置において収集されるデータの容量は増加傾向にある。一方で、車両の走行中に、車載制御装置とネットワークとを接続する電波状況が悪化する場合がある。例えば、車両がトンネルや、高層ビル間を走行する場合に、電波状況が悪化することがある。この場合、車載制御装置から外部装置へのデータの送信が遅延し、当該データのリアルタイム性が悪化するおそれがある。
【0005】
ここで、データの遅延を防止するために、送信するデータの容量を削減する事が考えられる。しかし、データの容量を削減すると、データ不足により外部装置においてデータ解析が良好に行えないおそれがある。
【0006】
本開示は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、車載制御装置から外部装置に送信されるデータのリアルタイム性を維持しつつ、外部装置におけるデータ不足を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の車載制御装置は、車両に搭載される車載制御装置であって、前記車両にて収集されたデータを前記車両に搭載される通信装置に出力し、前記通信装置から前記車両の外部に設けられている外部装置へネットワークを介して前記データを送信させる制御部を備え、前記制御部は、前記車両が第1区間を走行する間、前記データを第1条件により前記外部装置に時系列順に送信する第1制御と、前記ネットワークと前記通信装置との通信状況が前記第1区間よりも不適な第2区間を前記車両が走行する間、前記データを前記第1条件よりも単位時間あたりに送信される前記データの量が少ない第2条件により前記外部装置に時系列順に送信する第2制御と、前記第2制御の後、前記車両が前記第1区間を走行する間、前記第2制御において送信されなかった残りのデータを前記外部装置に送信する第3制御と、を実行し、前記第3制御は、前記残りのデータのうち、前記車両が所定区間を走行する間に収集した第1データを、前記車両が前記所定区間外を走行する間に収集した第2データよりも先に送信する優先制御を含む、車載制御装置である。
【0008】
本開示の制御方法は、車両に搭載される車載制御装置を制御する制御方法であって、前記車両にて収集されたデータを前記車両に搭載される通信装置に出力し、前記通信装置から前記車両の外部に設けられている外部装置へネットワークを介して前記データを送信させる送信工程を備え、前記送信工程は、前記車両が第1区間を走行する間、前記データを第1条件により前記外部装置に時系列順に送信する第1工程と、前記ネットワークと前記通信装置との通信状況が前記第1区間よりも不適な第2区間を前記車両が走行する間、前記データを前記第1条件よりも単位時間あたりに送信される前記データの量が少ない第2条件により前記外部装置に時系列順に送信する第2工程と、前記第2工程の後、前記車両が前記第1区間を走行する間、前記第2工程において送信されなかった残りのデータを前記外部装置に送信する第3工程と、を含み、前記第3工程は、前記残りのデータのうち、前記車両が所定区間を走行する間に収集した第1データを、前記車両が前記所定区間外を走行する間に収集した第2データよりも先に送信する優先工程を含む、制御方法である。
【0009】
本開示のコンピュータプログラムは、車両に搭載される車載制御装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、前記車両にて収集されたデータを前記車両に搭載される通信装置に出力し、前記通信装置から前記車両の外部に設けられている外部装置へネットワークを介して前記データを送信させる送信工程を実行させ、前記送信工程は、前記車両が第1区間を走行する間、前記データを第1条件により前記外部装置に時系列順に送信する第1工程と、前記ネットワークと前記通信装置との通信状況が前記第1区間よりも不適な第2区間を前記車両が走行する間、前記データを前記第1条件よりも単位時間あたりに送信される前記データの量が少ない第2条件により前記外部装置に時系列順に送信する第2工程と、前記第2工程の後、前記車両が前記第1区間を走行する間、前記第2工程において送信されなかった残りのデータを前記外部装置に送信する第3工程と、を含み、前記第3工程は、前記残りのデータのうち、前記車両が所定区間を走行する間に収集した第1データを、前記車両が前記所定区間外を走行する間に収集した第2データよりも先に送信する優先工程を含む、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、車載制御装置から外部装置に送信されるデータのリアルタイム性を維持しつつ、外部装置におけるデータ不足を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る車載制御システムを例示する模式図である。
図2図2は、実施形態に係る制御方法を例示するフローチャートである。
図3図3は、実施形態に係る制御方法を説明する模式図である。
図4図4は、変形例に係る制御方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
【0013】
(1)本開示の車載制御装置は、車両に搭載される車載制御装置であって、前記車両にて収集されたデータを前記車両に搭載される通信装置に出力し、前記通信装置から前記車両の外部に設けられている外部装置へネットワークを介して前記データを送信させる制御部を備え、前記制御部は、前記車両が第1区間を走行する間、前記データを第1条件により前記外部装置に時系列順に送信する第1制御と、前記ネットワークと前記通信装置との通信状況が前記第1区間よりも不適な第2区間を前記車両が走行する間、前記データを前記第1条件よりも単位時間あたりに送信される前記データの量が少ない第2条件により前記外部装置に時系列順に送信する第2制御と、前記第2制御の後、前記車両が前記第1区間を走行する間、前記第2制御において送信されなかった残りのデータを前記外部装置に送信する第3制御と、を実行し、前記第3制御は、前記残りのデータのうち、前記車両が所定区間を走行する間に収集した第1データを、前記車両が前記所定区間外を走行する間に収集した第2データよりも先に送信する優先制御を含む、車載制御装置である。
【0014】
このように構成することで、通信状況が悪化した場合には外部装置に送信するデータの容量を一時的に削減することで送信のリアルタイム性を維持し、その後に通信状況が回復した場合に、削減したデータのうち重要性の高いデータから優先的に外部装置へ送信することで、外部装置におけるデータ不足を解消することができる。
【0015】
(2)前記所定区間は、前記外部装置又は前記車載制御装置において車両事故の多発エリアとして登録されている区間、交差点、トンネル、橋又は踏切を含む区間、及び、道路の曲率半径が所定曲率を超える区間、のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0016】
所定区間は、外部装置においてより詳細にデータを解析する必要性が高い区間である。通信状況が回復した場合に、当該所定区間において収集したデータを優先的に外部装置へ送信することで、外部装置におけるデータ不足をより早期に解消することができる。
【0017】
(3)前記第1区間は、前記通信状況が第1指標よりも好適な第3区間を含んでもよく、前記制御部は、前記車両が前記第3区間を走行する間、前記第1制御及び前記第3制御を実行し、前記車両が前記第3区間ではない前記第1区間を走行する間、前記第3制御を実行せずに前記第1制御を実行してもよい。
【0018】
このように構成することで、送信余力があるか否かを第1指標によって画一的に判断することができるため、制御部における処理負荷を軽減することができる。
【0019】
(4)前記第1区間は、前記通信装置と前記ネットワークとの通信速度が第1速度を超える区間であってもよいし、前記第2区間は、前記通信速度が前記第1速度未満の区間であってもよいし、前記第3区間は、前記通信速度が前記第1速度よりも速い第2速度を超える区間であってもよい。
【0020】
通信速度に基づいて、車両が走行している区間の通信状況がリアルタイム送信に支障があるか否かを区分することができる。
【0021】
(5)前記第1区間は、前記ネットワークから前記通信装置に届く電波強度が第1強度を超える区間であってもよいし、前記第2区間は、前記電波強度が前記第1強度未満の区間であってもよいし、前記第3区間は、前記電波強度が前記第1強度よりも強い第2強度を超える区間であってもよい。
【0022】
電波強度は、通信速度と連動する関係を有する。このように通信速度に影響する他の値に基づいて、車両が走行している区間の通信状況がリアルタイム送信に支障があるか否かを区分してもよい。
【0023】
(6)前記第1区間は、前記ネットワークに含まれる複数の基地局のうち前記車両に最も近い基地局と、前記車両との距離が第1距離未満の区間であってもよいし、前記第2区間は、前記距離が前記第1距離を超える区間であってもよいし、前記第3区間は、前記距離が前記第1距離よりも短い第2距離未満の区間であってもよい。
【0024】
基地局と車両との距離は、通信速度と連動する関係を有する。このように通信速度に影響する他の値に基づいて、車両が走行している区間の通信状況がリアルタイム送信に支障があるか否かを区分してもよい。
【0025】
(7)前記第1条件は、前記データの送信間隔を第1間隔とすることを含んでもよく、前記第2条件は、前記データを間引くことで、前記送信間隔を前記第1間隔よりも長い第2間隔とすることを含んでもよい。
【0026】
このように構成することで、データの内容を編集することなく、送信するデータの容量を減らすことができるため、制御部における処理負荷を軽減することができる。また、通信状況が回復した場合に、削減したデータをそのまま外部装置へ送信することでデータの補完ができるため、外部装置における処理負荷も軽減することができる。
【0027】
(8)前記データは動画データを含んでもよく、前記第1条件は、前記データのフレームレートを所定レート以上とすることを含んでもよく、前記第2条件は、前記フレームレートを前記所定レート未満とすることを含んでもよい。
【0028】
このように構成することで、データを例えばファイルごと間引く場合と比べて、データの時間的な抜けを抑制しつつ、送信するデータの容量を減らすことができるため、外部装置において解析漏れが生じることを抑制することができる。
【0029】
(9)前記データは画像データを含んでもよく、前記第1条件は、前記データの画素数を所定画素数以上とすることを含んでもよく、前記第2条件は、前記画素数を前記所定画素数未満とすることを含んでもよい。
【0030】
このように構成することで、データの時間的な抜けを抑制しつつ、送信するデータの容量を減らすことができるため、外部装置において解析漏れが生じることを抑制することができる。
【0031】
(10)本開示の車載制御システムは、前記(1)から前記(9)のいずれかの車載制御装置と、前記通信装置と、を備える、車載制御システムである。
【0032】
(11)前記通信装置は、所定の世代の移動通信システムにより前記ネットワークを介して前記外部装置と通信してもよい。
【0033】
移動通信システムを利用する場合、車両の走行位置によって通信状況が悪化することがある。本開示によれば、通信状況が悪化した場合には外部装置に送信するデータの容量を一時的に削減し、その後に通信状況が回復した場合に削減したデータのうち重要性の高いデータから優先的に外部装置へ送信するため、車両の走行に伴って通信状況が悪化する場合があっても、データ送信のリアルタイム性を維持しつつ、外部装置におけるデータ不足を解消することができる。
【0034】
(12)前記通信装置は、前記車両に固定されている第1通信装置と、前記車両の搭乗者に携帯されている第2通信装置と、を含んでもよく、前記第1通信装置は、前記車載制御装置から受信した前記データを、前記移動通信システムよりも電波の射程が短い近距離用通信方式により前記第2通信装置に送信してもよく、前記第2通信装置は、前記第1通信装置から受信した前記データを、前記移動通信システムにより前記ネットワークを介して前記外部装置に送信してもよい。
【0035】
(13)本開示の制御方法は、車両に搭載される車載制御装置を制御する制御方法であって、前記車両にて収集されたデータを前記車両に搭載される通信装置に出力し、前記通信装置から前記車両の外部に設けられている外部装置へネットワークを介して前記データを送信させる送信工程を備え、前記送信工程は、前記車両が第1区間を走行する間、前記データを第1条件により前記外部装置に時系列順に送信する第1工程と、前記ネットワークと前記通信装置との通信状況が前記第1区間よりも不適な第2区間を前記車両が走行する間、前記データを前記第1条件よりも単位時間あたりに送信される前記データの量が少ない第2条件により前記外部装置に時系列順に送信する第2工程と、前記第2工程の後、前記車両が前記第1区間を走行する間、前記第2工程において送信されなかった残りのデータを前記外部装置に送信する第3工程と、を含み、前記第3工程は、前記残りのデータのうち、前記車両が所定区間を走行する間に収集した第1データを、前記車両が前記所定区間外を走行する間に収集した第2データよりも先に送信する優先工程を含む、制御方法である。
【0036】
このように構成することで、通信状況が悪化した場合には外部装置に送信するデータの容量を一時的に削減することで送信のリアルタイム性を維持し、その後に通信状況が回復した場合に、削減したデータのうち重要性の高いデータから優先的に外部装置へ送信することで、外部装置におけるデータ不足を解消することができる。
【0037】
(14)本開示のコンピュータプログラムは、車両に搭載される車載制御装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、前記車両にて収集されたデータを前記車両に搭載される通信装置に出力し、前記通信装置から前記車両の外部に設けられている外部装置へネットワークを介して前記データを送信させる送信工程を実行させ、前記送信工程は、前記車両が第1区間を走行する間、前記データを第1条件により前記外部装置に時系列順に送信する第1工程と、前記ネットワークと前記通信装置との通信状況が前記第1区間よりも不適な第2区間を前記車両が走行する間、前記データを前記第1条件よりも単位時間あたりに送信される前記データの量が少ない第2条件により前記外部装置に時系列順に送信する第2工程と、前記第2工程の後、前記車両が前記第1区間を走行する間、前記第2工程において送信されなかった残りのデータを前記外部装置に送信する第3工程と、を含み、前記第3工程は、前記残りのデータのうち、前記車両が所定区間を走行する間に収集した第1データを、前記車両が前記所定区間外を走行する間に収集した第2データよりも先に送信する優先工程を含む、コンピュータプログラムである。
【0038】
このように構成することで、通信状況が悪化した場合には外部装置に送信するデータの容量を一時的に削減することで送信のリアルタイム性を維持し、その後に通信状況が回復した場合に、削減したデータのうち重要性の高いデータから優先的に外部装置へ送信することで、外部装置におけるデータ不足を解消することができる。
【0039】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。
【0040】
[1.車載制御システム1の全体構成]
図1は、実施形態に係る車載制御システム1を例示する模式図である。
車載制御システム1は、車両V1に搭載されているシステムであり、車両V1にて収集されたデータDを外部装置70に送信するシステムである。車載制御システム1は、車載制御装置10と、通信装置20と、1個又は複数のECU30と、センサ40とを備える。
【0041】
車両V1は、例えば自動車であるが、車両V1の種類は特に限定されない。車両V1は、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジン等のエンジンを動力源とする自動車であってもよいし、電動モーターを動力源とする自動車であってもよいし、これらの動力源を組み合わせたハイブリット式の自動車であってもよい。
【0042】
車載制御装置10は、車両V1に搭載されている装置であり、ECU(Electronic Control Unit)とも称される。車載制御装置10は、制御部11と、記憶部12と、入出力部13と、読取部14と、を備える。これら各部11~14は、バス15によって電気的に接続されている。
【0043】
制御部11は、例えばプロセッサ等の回路構成(Circuitry)を含む。制御部11は、具体的には、1個又は複数個のCPU(Central Processing Unit)を含む。制御部11に含まれるプロセッサは、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。この場合、制御部11は、記憶部12に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して、各種の演算及び制御を実行する。
【0044】
制御部11は、予め所定のプログラムが書き込まれたプロセッサを含んでもよい。例えば、制御部11は、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路であってもよい。この場合、制御部11は、予め書き込まれたプログラムに基づいて、各種の演算及び制御を実行する。
【0045】
記憶部12は、揮発性メモリと、不揮発性メモリと有し、各種のデータを記憶する。揮発性メモリは、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。不揮発性メモリは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はROM(Read Only Memory)等を含む。記憶部12は、例えば、不揮発性メモリにコンピュータプログラム及び各種のパラメータを記憶している。
【0046】
入出力部13は、通信線13a,13b,13cを介して、通信装置20、ECU30、センサ40にそれぞれ接続されている。入出力部13は、通信線13a,13b,13cから入力される各種の情報を、制御部11等のコンピュータが読取り可能な信号に変換して車載制御装置10内に取り込む。車載制御装置10内に取り込まれた各種の情報は、例えば記憶部12に記憶される。
【0047】
読取部14は、コンピュータが読取り可能な記録媒体16から情報を読み取る。記録媒体16は、例えばCD、DVD等の光学ディスク又はUSBフラッシュメモリである。読取部14は、例えば光学ドライブ又はUSB端子である。記録媒体16にはコンピュータプログラム及び各種のパラメータが記録されており、記録媒体16を読取部14に読み取らせることで、コンピュータプログラム及び各種のパラメータが記憶部12の不揮発性メモリに記憶される。なお、コンピュータプログラムは、外部装置70から送信され、通信装置20及び入出力部13を介して、記憶部12に記憶されてもよい。
【0048】
通信装置20は、ネットワークN1を介して外部装置70と無線通信を行う装置である。ネットワークN1は、インターネット等の電気通信回線網であり、複数の基地局を含む。通信装置20は、移動用通信方式91によりネットワークN1の基地局と通信する。
【0049】
外部装置70は、車両V1の外部に設けられている装置である。外部装置70は、例えば、車両V1に各種のサービス(例えば、道路案内サービスや、運転支援サービス等)を提供するサービス提供者の管理施設に設置されている。外部装置70は、例えば、制御部、記憶部及び通信部(いずれも図示省略)を備えるサーバである。外部装置70は、例えば複数の車両V1とネットワークN1を介して通信し、複数の車両V1のそれぞれから外部装置70に送信されるデータDを、外部装置70の記憶部に格納する。外部装置70は、データDに基づいて、各種の解析(例えば、交通状況、車両V1の異常等の判定)を行う。
【0050】
通信装置20は、第1通信装置21と、第2通信装置22とを含む。第1通信装置21は、車両V1に固定されている装置であり、例えばTCU(Telematics Communication Unit)である。第1通信装置21は、車載制御装置10と通信線13aにより接続されている。
【0051】
第2通信装置22は、車両V1の搭乗者に携帯されている装置であり、例えばスマートフォン、タブレット、ノートパソコン又はルーターである。第2通信装置22は、車両V1の外に持ち出し可能であってもよいが、後述の制御方法は第2通信装置22が車両V1に搭載されている状態で実行される。
【0052】
第1通信装置21は、車載制御装置10の入出力部13から出力されるデータDを、第1ルート又は第2ルートにより、外部装置70に送信する。第1ルートは、第1通信装置21から直接、ネットワークN1を介して外部装置70にデータDを送信するルートである。この場合、第1通信装置21が、移動用通信方式91によりネットワークN1の基地局と通信する。
【0053】
第2ルートは、第1通信装置21から第2通信装置22へ近距離用通信方式92によりデータDを送信し、第2通信装置22からネットワークN1を介して外部装置70にデータDを送信するルートである。この場合、第2通信装置22が、移動用通信方式91によりネットワークN1の基地局と通信する。なお、第1通信装置21は、第1ルートのみによって外部装置70にデータDを送信してもよい。この場合、通信装置20は第2通信装置22を含まなくてもよい。
【0054】
移動用通信方式91は、例えば、3G(第3世代移動通信システム)、4G/LTE(第4世代移動通信システム/Long Term Evolution、LTEは登録商標)又は5G(第5世代移動通信システム)等の所定の世代の移動通信システムによる通信方式である。
【0055】
近距離用通信方式92は、例えばWi-Fi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)である。近距離用通信方式92は、ZigBee(登録商標)又はBluetooth(登録商標)等の通信方式であってもよい。近距離用通信方式92を利用して通信装置20のアンテナから発される電波の射程は例えば100m以内であり、移動用通信方式91を利用した際に発される電波の射程よりも短い。
【0056】
ECU30は、例えば車両V1の各部の動作記録(ログ)を収集する装置である。ECU30は、例えば、通信線13b等に流れる通信ログを時系列的に収集して、収集した当該通信ログを通信線13bを介して車載制御装置10に順次出力する。通信ログは、例えばCAN(Controller Area Network)、CAN-FD(CAN with Flexible Data Rate)、LIN(Local Interconnect Network)又はEthernet(登録商標)等の通信プロトコルに準拠して車両V1内に構成されるネットワーク上において送受信されるデータのログである。
【0057】
ECU30は、車両V1に搭載されているアクチュエータ(例えば、制動装置、ドア開閉機構、エアコンディショナ等)を制御する装置(操作系ECU)であってもよい。この場合、ECU30は、アクチュエータの制御ログを時系列的に収集して、収集した当該制御ログを通信線13bを介して車載制御装置10に順次出力する。制御ログは、例えば車両V1の走行速度を含んでもよいし、車両V1におけるブレーキペダルの踏み込み量を含んでもよい。
【0058】
センサ40は、車両V1自体の状態又は車両V1の内外の状態を検出して、検出した時系列的な情報を車載制御装置10に出力する装置である。例えば、センサ40は、車両V1の外又は内の映像ログを収集するドライブレコーダである。映像ログには、車両V1の外又は内の音声が含まれていてもよい。センサ40は、時系列的に映像ログを収集して、収集した映像ログを通信線13cを介して車載制御装置10に順次出力する。
【0059】
センサ40は、例えば車両V1の周辺を監視するためのLiDAR(Light Detection and Ranging)であってもよい。この場合にも、センサ40は、時系列的に情報を記録して、記録した情報を通信線13cを介して車載制御装置10に順次出力する。
【0060】
図1の例では、センサ40は、通信線13cによって入出力部13と直接接続されているが、例えば他の装置(例えば、ECU30)を間に介して、入出力部13と間接的に接続されてもよい。センサ40において検出される情報が車載制御装置10に入力されるのであれば、その具体的な態様は特に限定されない。
【0061】
[2.実施形態が解決しようとする課題]
制御部11は、入出力部13から車載制御装置10に取り込まれ、記憶部12に記憶された各種の情報(通信ログ、制御ログ及び映像ログ)に基づいて、外部装置70に送信するデータDを作成する。データDは、当該各種の情報そのものであってもよいし、当該各種の情報に所定の処理(例えば、圧縮など)を施したデータであってもよい。
【0062】
制御部11は、データDを入出力部13から通信装置20に出力し、通信装置20からネットワークN1と介して外部装置70にデータDを送信させる。外部装置70の記憶部は、受信したデータDを記憶する。これにより、車載制御装置10において収集されたデータDを外部装置70に蓄積させることができる。
【0063】
例えば、外部装置70においてデータDを解析することで、交通状況の判断(例えば、渋滞発生の判断、事故発生の判断、異常走行車両の発見)をする場合、解析のリアルタイム性が重要となる。このような場合、車載制御装置10は、入出力部13から各種の情報を取り込むと、これらの情報に基づいて、データDを矢継ぎ早に外部装置70に送信する。
【0064】
車載制御装置10と外部装置70との間に通信障害がなければ、車載制御装置10はデータDをリアルタイムで外部装置70に送信することができる。しかしながら、車両V1が例えば山間部、トンネル内又は高層ビルの間を走行する場合に、通信状況が悪化することがある。この場合、車載制御装置10と外部装置70との間における通信速度が低下し、車載制御装置10から外部装置70へのデータDの送信に遅延が生じるおそれがある。
【0065】
ここで、例えば通信速度の低下分に応じて送信するデータDを間引くことで、通信容量を削減するという対策が考えられる。例えばデータDが映像ログである場合、映像の画質を低下させたり、フレームレートを少なくしたりすることで、送信するデータDの容量を削減する。これにより、通信速度が低下した場合であっても、車載制御装置10から外部装置70へのデータD送信の遅延を抑制することができる。
【0066】
しかしながら、データDの容量を削減すると、データ不足により外部装置70においてデータ解析が良好に行えないおそれがある。例えば、リアルタイムに送信されるデータDに基づいて外部装置70が解析を行うことで、異常走行(例えば、逆走)をしている車両を早期に発見できる場合がある。この場合に、画質等の低下により、当該車両のナンバープレートを良好に解析できず、解析結果が不十分となるおそれがある。
【0067】
そこで、本実施形態の車載制御装置10は、通信状況が悪化した場合には外部装置70に送信するデータDの容量を一時的に削減することで送信のリアルタイム性を維持し、その後に通信状況が回復した場合に、削減したデータDのうち重要性の高いデータから優先的に外部装置70へ送信することで、外部装置70におけるデータ不足を解消する。
【0068】
以下、車載制御装置10の制御方法を詳しく説明する。
【0069】
[3.制御方法]
図2は、実施形態に係る制御方法を例示するフローチャートである。図2は、制御部11が実行する各種の制御を示している。これらの制御は、制御部11が記憶部12からコンピュータプログラムを読み取って(又は制御部11に予め書き込まれているプログラムに従って)各種の演算及び処理を実行することで実現される。図2に示す各ステップは、適宜順番が前後してもよい。
【0070】
図3は、実施形態に係る制御方法を説明する模式図である。図3において、横軸は時間と、当該時間ごとに車両V1が通過する区間T1~T6を示している。車両V1は、例えば図3(a)から(f)に順番に示すように、区間T1~T6をこの順に通過する。各区間T1~T6において、車載制御装置10は収集したデータDを外部装置70にリアルタイムで送信する。
【0071】
ここで、車載制御装置10は、区間T1~T6を通過する間に、データDを複数の分割データD1~D24に分割した状態で、これらの分割データD1~D24を時系列順に外部装置70に通信装置20を介して送信する。以下の説明では、車載制御装置10(又は制御部11)が外部装置70にデータDを通信装置20を介して送信することについて、適宜「通信装置20を介して」との文言を省略して説明する。
【0072】
分割データD1~D24は、例えばデータ容量ごと(又は時間ごと)に別々のファイルとして記憶部12に記憶されている。例えば、10時00分から10時05分の間に取得したデータDが分割データD1(ファイルD1)として記憶部12に記憶され、10時05分から10時10分の間に取得したデータDが分割データD2(ファイルD2)として記憶部12に記憶されている。図3の例では、区間T1~T6のそれぞれに、分割データD1~D24が4個ずつ含まれている。
【0073】
図2を参照する。はじめに、制御部11は、車両V1が走行中であるか否かを判断する(ステップS10)。例えば、制御部11は、車両V1のイグニッションスイッチがオンであるか否かを判断する。イグニッションスイッチがオフである場合(ステップS10のNO)、車両V1は駐車中であるため、データDをリアルタイムで外部装置70に送信する必要性が低い。このため、この場合に制御部11は後述の各工程を実行しない。なお、車両V1の駐車中においてもデータDをリアルタイムで外部装置70に送信する必要がある場合(例えば、センサ40により駐車中の車両V1を防犯等のために監視する場合)、ステップS10を省略して次のステップS11から開始してもよい。
【0074】
車両V1のイグニッションスイッチがオンである場合(ステップS10のYES)、制御部11は車両V1が走行している区間が、第1区間A1であるか、第2区間A2であるかを判定する判定制御を実行する(ステップS11)。制御部11は、判定制御において、車両V1が走行している区間が第1区間A1であると判定した場合、さらに当該区間が第3区間A3に該当するか否かを判定してもよい。
【0075】
ここで、第2区間A2は、通信装置20とネットワークN1との通信状況が第1区間A1よりも不適な区間である。すなわち、第1区間A1は、データDを通信装置20から外部装置70に通常どおりにリアルタイム送信するのに支障のない通信状況の区間であり、第2区間A2は第1区間A1よりも通信状況が悪く、当該リアルタイム送信をすると遅延が生じるおそれがあるため、データDのデータ量を削減する等の対策が必要となる区間である。
【0076】
第3区間A3は、第1区間A1に含まれる区間であり、通信装置20とネットワークN1との通信状況が第1指標よりも好適な区間である。すなわち、第1区間A1のうち第3区間A3は、データDを通信装置20から外部装置70に通常どおりにリアルタイム送信するのに支障がなく、さらに送信できるデータ量に余分がある(すなわち、送信余力がある)区間である。
【0077】
具体的には、制御部11は、通信装置20とネットワークN1との通信速度に基づいて、車両V1が走行している区間が第1区間A1であるか、第2区間A2であるかを判定する。この場合、制御部11は、当該通信速度が第1速度V1(例えば、10Mbps)以上の場合に、第1区間A1であると判定し、第1速度V1未満である場合に第2区間A2であると判定する。さらに、制御部11は、当該通信速度が第1速度V1よりも速い第2速度V2(例えば、20Mbps)以上である場合に、第3区間A3であると判定する。この場合、第2速度V2が上記の第1指標に相当する。
【0078】
第1速度V1及び第2速度V2は、予め記憶部12にパラメータとして記憶されている固定値であってもよいし、送信するデータDの容量に応じて制御部11において都度算出される可変値であってもよい。制御部11は、データDの単位時間あたりの容量が多いほど、第1速度V1及び第2速度V2をより速い値に設定してもよい。また、制御部11は、データDの単位時間あたりの容量が少ないほど、第1速度V1及び第2速度V2をより遅い値に設定してもよい。
【0079】
なお、制御部11は、上記の通信速度に直接基づかずに、当該通信速度に影響する他の値に基づいて、車両V1の走行区間が第1区間A1又は第2区間A2のいずれであるかを判定してもよい。当該「他の値」は、例えば、ネットワークN1から通信装置20に届く電波強度であってもよいし、ネットワークN1に含まれる基地局と車両V1との距離であってもよいし、車両V1の走行位置であってもよい。
【0080】
例えば、通信装置20は、ネットワークN1(具体的には、基地局)から受信する電波強度に関する情報を、車載制御装置10に随時出力する。一般に、電波強度が強いほど、通信速度も速くなる。
【0081】
このように、電波強度は、通信速度と連動する関係を有する。このため、制御部11は、当該電波強度が第1強度X1以上である場合に、車両V1が第1区間A1を走行していると判定し、当該電波強度が第1強度X1未満である場合に、車両V1が第2区間A2を走行していると判定してもよい。第1強度X1は、例えば-100dBmW(デシベルミリワット)以上-80dBmW未満の値である。この場合に、制御部11は、当該電波が第1強度X1よりも強い第2強度X2以上である場合に、車両V1が第3区間A3を走行していると判定してもよい。第2強度X2は、例えば-80dBmW以上の値である。この場合、第2強度X2が上記の第1指標に相当する。
【0082】
また、ネットワークN1に含まれる複数の基地局のうち車両V1に最も近い基地局(以下、「最近接基地局」と称する。)と、車両V1との距離が短いほど、ネットワークN1から受信する電波強度は強くなり、通信速度も速くなる。
【0083】
このように、最近接基地局と車両V1との距離は、通信速度と連動する関係を有する。このため、制御部11は、最近接基地局と車両V1との距離が第1距離L1(例えば、3km)未満である場合に、車両V1が第1区間A1を走行していると判定し、当該距離が第1距離L1以上である場合に、車両V1が第2区間A2を走行していると判定してもよい。この場合に、制御部11は、当該距離が第1距離L1よりも短い第2距離L2(例えば、1.5km)未満である場合に、車両V1が第3区間A3を走行していると判定してもよい。この場合、第2距離L2が上記の第1指標に相当する。
【0084】
また、制御部11は、車両V1の走行位置が通信に障害が生じやすい障害区間Axに該当する場合に、第2区間A2を走行していると判定し、当該走行位置が障害区間Axの外である場合に第1区間A1を走行していると判定してもよい。障害区間Axは、トンネル内、山間部、高層ビル間等、一般に電波が車両V1に届きにくい区間である。障害区間Axは、試験車両が予め走行した結果、実際に通信速度が第1速度V1未満となった区間であってもよい。障害区間Axに関する情報は、例えば予め記憶部12にパラメータとして記憶されている。
【0085】
判定制御により、車両V1が走行する走行区間が第2区間A2であると判定された場合(ステップS11のYES)、制御部11は、当該走行区間を走行する間、データDを第2条件により外部装置70に時系列順に送信する第2制御を実行し(ステップS12)、ステップS10に戻る。
【0086】
判定制御により、車両V1が走行する走行区間が第1区間A1である(すなわち、第2区間A2ではない)と判定された場合(ステップS11のNO)、制御部11は、当該走行区間を走行する間、データDを第1条件により外部装置70に時系列順に送信する第1制御を実行する(ステップS13)。
【0087】
ここで、第1条件は、通常時におけるデータDの送信条件であり、特に限定されない。第2条件は、第1条件よりも単位時間あたりに送信されるデータDの量が少ない条件である。例えば、第1条件がデータDの送信間隔を所定の第1間隔Y1とすることである場合、第2条件は、データDを間引くことで、データDの送信間隔を第1間隔Y1よりも長い第2間隔Y2とすることを含む。
【0088】
ステップS13の後、制御部11は、以前に実行した第2制御(ステップS12)において送信されなかった残りのデータWD(以下、「残データWD」と称する。)があるか否かを判定する(ステップS14)。残データWDがある場合(ステップS14のYES)、制御部11は後述のステップS15に進む。残データWDがない場合(ステップS14のNO)、制御部11はステップS10に戻る。
【0089】
また、制御部11は、ステップS11を、図2に示すタイミングの他に、定期的に(例えば5分ごとに)実行してもよい。例えば、制御部11は、ステップS12,S13等の途中でステップS11を強制的に実行してもよい。これにより、制御部11は、適宜のタイミングにおいて車両V1が走行している区間の通信状況を確認し、当該通信状況に応じた制御(例えば、第1制御又は第2制御)を実行することができる。
【0090】
図3を参照して、上記のステップS11~S14を説明する。図3において、区間T1,T4~T6は第1区間A1であり、特に区間T4,T6は第3区間A3でもある。区間T2,T3は第2区間A2である。すなわち、車両V1が区間T1を走行する間、通信状況は通常であり、その後に区間T2,T3を走行する際に通信状況が悪化して、区間T4において通信状況が回復し、区間T5,T6において通信状況は通常に維持される。
【0091】
例えば、図3(a)に示すように、車両V1が区間T1を走行する際に、制御部11は判定制御(ステップS11)を実行して、区間T1が第1区間A1であると判定する。この場合に、制御部11は、通信装置20を介して、第1条件によりデータDを外部装置70に送信する(ステップS13)。例えば、制御部11は、区間T1において収集されたデータDを、4個の分割データD1~D4に分割して、第1間隔Y1ごとに時系列順に(すなわち、収集した順に)リアルタイムで外部装置70に送信する。なお、データDは、既に分割データD1~D4に分割された状態で収集されてもよい。この場合、制御部11において、データDを分割する処理は不要となる。以下に説明する分割データD5~D24も同様に、既に分割された状態で車載制御装置10に収集されてもよい。
【0092】
次に、制御部11は、残データWDがあるか否かを判定する(ステップS14)。区間T1において収集したデータDは、すべて分割データD1~D4として外部装置70に送信されるため、図3(a)において残データWDはない。このため、制御部11はステップS10に戻る。車両V1は走行中であるため、制御部11はステップS10からステップS11に進む。
【0093】
続いて、図3(b)及び(c)に示すように、車両V1が区間T2,T3を走行する際に、制御部11は判定制御(ステップS11)を実行して、区間T2,T3が第2区間A2であると判定する。この場合に、制御部11は、通信装置20を介して、第2条件によりデータDを外部装置70に送信する(ステップS12)。
【0094】
例えば、制御部11は、区間T2,T3において収集されたデータDを8個の分割データD5~D12に分割し、さらにこれらの分割データD5~D12を間引いた状態で、第2間隔Y2ごとに時系列順にリアルタイムで外部装置70に送信する。例えば、制御部11は、分割データD6,D8,D10,D12を送信せずに間引いて、分割データD5,D7,D9,D11を送信する。すなわち、図3の例において、分割データD5~D12は半分に間引かれており、第2間隔Y2は第1間隔Y1の倍の間隔となっている。
【0095】
このようにすることで、データDの送信に必要な通信量を少なくすることができるため、リアルタイム性を維持しつつ外部装置70にデータDを送信することができる。また、分割データD5~D12を間引く手法としては、例えば制御部11は単に分割データD5,D7,D9,D11を抽出して、送信すればよいので、分割データD5~D12の内容を編集する必要がない。例えば、分割データD5の画質を下げたり、圧縮したりする等の編集をする必要がない。このため、制御部11における処理負荷を軽減することができる。
【0096】
また、通信状況が回復した場合、制御部11は、後述のステップS16,S17において分割データD6,D8,D10,D12(ステップS12において削減した分割データ)を外部装置70へ送信する。外部装置70では、これらの分割データD6,D8,D10,D12を編集することなく、そのまま既に受信済の分割データD5,D7,D9,D11と足し合わせることでデータDを補完できるため、外部装置70における処理負荷も軽減することができる。
【0097】
続いて、図3(d)に示すように、車両V1が区間T4を走行する際に、制御部11は判定制御により区間T4が第1区間A1であると判定して(ステップS11)、区間T4において収集されたデータDを、4個の分割データD13~D16に分割して、第1間隔Y1ごとに時系列順にリアルタイムで外部装置70に送信する(ステップS13)。
【0098】
次に、制御部11は、残データWDがあるか否かを判定する(ステップS14)。区間T4よりも前に通過した区間T2,T3において収集したデータDには、第2制御において送信されなかった分割データD6,D8,D10,D12が含まれており、これらの分割データD6,D8,D10,D12が、残データWDである。このため、図3(d)において、残データWDがあるため、制御部11は送信余力があるか否かを判定する(ステップS15)。送信余力がない場合、制御部11はステップS10に戻る。
【0099】
具体的には、制御部11は、車両V1が走行する区間T4が第3区間A3であるか否かを判定する。本例において、区間T4は第3区間A3であるため(ステップS15のYES)、制御部11は、区間T4を走行する間、残データWDを外部装置70に送信する第3制御を実行する(ステップS16,S17)。
【0100】
第3制御において、制御部11は、残データWDのうち車両V1が所定区間R1を走行する間に収集した第1データWD1を、車両V1が所定区間R1の外を走行する間に収集した第2データWD2よりも先に送信する優先制御(ステップS16)を実行する。
【0101】
ここで、所定区間R1は、外部装置70においてより詳細にデータDを解析する必要性が高い区間であり、具体的には車両事故が発生しやすい区間(車両事故の多発エリア)である。所定区間R1は、例えば、外部装置70の記憶部又は車載制御装置10の記憶部12において、車両事故の多発エリアとして登録されている区間であってもよいし、交差点、トンネル、橋又は踏切を含む区間であってもよいし、道路の曲率半径が所定曲率を超える区間(急カーブ区間)であってもよい。図3の例において、区間T3,T4が所定区間R1である。
【0102】
図3(b)及び(c)に示すように、残データWD(すなわち、分割データD6,D8,D10,D12)のうち、車両V1が所定区間R1を走行する間に収集した第1データWD1は、分割データD10,D12である。また、残データWDのうち車両V1が所定区間R1の外を走行する間に収集した第2データWD2は、分割データD6,D8である。このため、制御部11は、区間T4(第3区間A3)を走行する間、分割データD10,D12を、分割データD6,D8よりも先に外部装置70に送信する。
【0103】
また、第3制御は、第1制御と並行して実行される。すなわち、制御部11は、分割データD13~D16を時系列順に送信する制御と並行して、送信余力を利用して分割データD10,D12を送信する。
【0104】
このように制御部11は通信状況が悪化している場合には(すなわち、車両V1が第2区間A2を走行する間)、データDの容量を減らした状態で外部装置70にデータDを送信することで、リアルタイム性を維持する。そして、通信状況が回復し、かつ送信するデータDの容量に余分がある場合には(すなわち、車両V1が第2区間A2の走行後、第3区間A3を走行する間)、制御部11は、データDのリアルタイム送信と並行して、残データWDの送信を行うため、外部装置70におけるデータ不足を解消することができ、外部装置70において、より好適な解析を行うことができる。
【0105】
特に、所定区間R1において収集した分割データD10,D12を優先的に外部装置70に送信するため、データの解析により有用なデータから先に補充される。このため、外部装置70におけるデータ不足をより早期に解消することができる。
【0106】
続いて、図3(e)に示すように、車両V1が区間T5を走行する際に、制御部11は判定制御により区間T5が第1区間A1であると判定して(ステップS11)、区間T5において収集されたデータDを、4個の分割データD17~D20に分割して、第1間隔Y1ごとに時系列順にリアルタイムで外部装置70に送信する(ステップS13)。次に、制御部11は、残データWD(分割データD6,D8)があると判定した後(ステップS14のYES)、区間T5が第3区間A3ではない第1区間A1であるために送信余力がないと判定して(ステップS15のNO)、ステップS10に戻る。
【0107】
最後に、図3(f)に示すように、車両V1が区間T6を走行する際に、制御部11は判定制御により区間T6が第1区間A1であると判定し(ステップS11)、区間T6において収集されたデータDを、4個の分割データD21~D24に分割して、第1間隔Y1ごとに時系列順にリアルタイムで外部装置70に送信する(ステップS13)。次に、制御部11は、残データWD(分割データD6,D8)があると判定した後(ステップS14のYES)、区間T6が第3区間A3であるために送信余力があると判定して(ステップS15のYES)、残データWDを外部装置70に送信する(ステップS16,S17)。
【0108】
ここで、第1データWD1(分割データD10,D12)は、区間T4を走行する間に送信済であるため、区間T6を走行する際に第1データWD1は残されていない。このため、制御部11は、車両V1が区間T6を走行する間、ステップS16をスキップして、第2データWD2(分割データD6,D8)を外部装置70に送信する。その後、制御部11は、ステップS10の処理に戻る。
【0109】
なお、第2データWD2は、外部装置70におけるデータ解析における重要性が低いため、外部装置70に送信せずに、破棄してもよい。すなわち、ステップS17は、省略されてもよい。
【0110】
第2データWD2は、所定区間R1に近い位置において収集された分割データから順に送信してもよい。図3では、ステップS17において、制御部11が分割データD8を初めに送信し、次に分割データD6を送信してもよい。また、第2データWD2は、ステップS17において全てを送信する必要はなく、第2データWD2の一部のみを送信してもよい。例えば、分割データD6,D8のうち、所定区間R1に近い位置において収集された分割データD8を送信し、分割データD8よりも所定領域R1から遠い分割データD6を送信せずに破棄してもよい。このように構成することで、送信余力が少ない場合でも、よりデータ解析に有用なデータDから順に外部装置70に送信することで、外部装置70におけるデータ不足をより早期に解消することができる。
【0111】
[4.変形例]
以下、実施形態の変形例について説明する。変形例において、実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0112】
[4.1 第2条件の変形例]
上記の実施形態において、第2制御(ステップS12)では、分割データD6,D8,D10,D12を送信せずに間引いて、分割データD5,D7,D9,D11を送信する。すなわち、上記の実施形態において、データDを送信するための第2条件とは、第1条件であれば送信されていた複数の分割データD5~D12のうち一部(D6,D8,D10,D12)を全く送信しない状態で、残りの分割データD5,D7,D9,D11を外部装置70に時系列順に送信することである。
【0113】
しかしながら、第2条件はこれに限られず、例えば、データDがドライブレコーダ等の動画データを含み、第1条件がデータDのフレームレートを所定レートB1(例えば、30fps)以上として送信することである場合、第2条件は、データDのフレームレートを所定レートB1未満として送信することを含んでもよい。
【0114】
また、データDがドライブレコーダ等の画像データを含み、第1条件がデータDの画素数を所定画素数B2以上として送信することである場合、第2条件は、データDの画素数を所定画素数B2未満として送信することを含んでもよい。ここで、動画データは、複数の画像データを含むため、データDが動画データである場合、第2条件はフレームレート及び画素数の少なくとも一方を第1条件よりも下げた条件であってもよい。
【0115】
図4は、変形例に係る制御方法を説明する模式図である。図4において、図3と同じ制御を行う部分については、説明を適宜省略する。図4(b)及び(c)に示すように、車両V1が区間T2,T3を走行する際に、制御部11は判定制御(ステップS11)を実行して、区間T2,T3が第2区間A2であると判定する。この場合に、制御部11は、通信装置20を介して、第2条件によりデータDを外部装置70に送信する(ステップS12)。
【0116】
このとき、制御部11は、区間T2,T3において収集されたデータDを8個の分割データD5~D12に分割して、これらの分割データD5~D12のそれぞれのデータ量を低減させた状態で、時系列順にリアルタイムで外部装置70に送信する。具体的には、分割データD5~D12が動画データである場合、制御部11は、分割データD5~D12のそれぞれのフレームレートを第1条件の半分に下げた状態で、分割データD5~D12を送信する。
【0117】
また、例えば分割データD1~D12が画像データである場合、制御部11は分割データD5~D12の画素数を第1条件の半分に下げた状態で、分割データD5~D12を送信する。これにより、第2条件によって送信されるデータDは粗くなるものの、データDの送信における遅延を抑制することができる。
【0118】
また、当変形例によれば、上記の実施形態のように分割データD6,D8,D10,D12をまるごと除く必要がないため、時間的な抜けが少なくなる。これにより、外部装置70において解析漏れが生じることを抑制することができる。例えば、分割データD6を収集する一瞬の間に逆走車両が分割データD6内の動画データに映るような場合を考える。図3の例のように第2制御において分割データD6を送信対象からまるごと除くと、当該逆走車両が映っているデータDが抜けてしまい、当該逆走車両の早期発見が困難となる。これに対し、当変形例のように分割データD6の画素数等を下げた状態で送信すれば、当該逆走車両を外部装置70において早期に発見することができる。
【0119】
第2制御において分割データD5~D12それぞれのデータ量を低減させた場合、外部装置70に送信されなかった残データWDは、記憶部12に記憶される。本変形例の場合、分割データD9~D12の残り半分のデータが第1データWD1となり、分割データD5~D8の残り半分のデータが第2データWD2となる。そして、ステップS16において、第1データWD1が第2データWD2よりも優先的に送信される。
【0120】
[4.2 第3制御の変形例]
上記の実施形態では、制御部11は、ステップS15において、第3区間A3であるか否かに基づいて、送信余力があるか否かを判定する。これにより、送信余力があるか否かを画一的に判断することができるため、制御部11における処理負荷を軽減することができる。
【0121】
しかしながら、第3区間A3でない第1区間A1においても、データDの容量が小さい場合、送信余力がある場合がある。このため、制御部11は、通信状況とデータDの送信速度とに基づいて、動的に送信余力があるか否かを判定してもよい。例えば、制御部11は、直近の所定時間(例えば直近の10分)の通信速度の平均値Av1を、当該所定時間における第1条件でのデータDの送信速度の平均値Av2で減算した値(Av1-Av2)が、所定のしきい値よりも大きい場合に、送信余力があると判定してもよい。このように構成することで、制御部11は、第3制御を実行するか否かについて、通信状況及びデータDの送信状況に応じて柔軟に判断することができる。
【0122】
[5.補記]
なお、上記の実施形態及び変形例については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。また、今回開示された実施形態及び変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0123】
1 車載制御システム
10 車載制御装置
11 制御部
12 記憶部
13 入出力部
13a 通信線
13b 通信線
13c 通信線
14 読取部
15 バス
16 記録媒体
20 通信装置
21 第1通信装置
22 第2通信装置
40 センサ
70 外部装置
91 移動用通信方式
92 近距離用通信方式
V1 車両
N1 ネットワーク
T1~T6 区間
D データ
D1~D24 分割データ
WD 残データ
WD1 第1データ
WD2 第2データ
Ax 障害区間
A1 第1区間
A2 第2区間
A3 第3区間
B1 所定レート
B2 所定画素数
V1 第1速度
V2 第2速度
X1 第1強度
X2 第2強度
L1 第1距離
L2 第2距離
Y1 第1間隔
Y2 第2間隔
R1 所定区間
Av1 平均値
Av2 平均値
図1
図2
図3
図4