(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122116
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】桁回転装置、及び桁解体方法
(51)【国際特許分類】
E01D 24/00 20060101AFI20230825BHJP
E01D 21/08 20060101ALI20230825BHJP
E01D 21/00 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
E01D24/00
E01D21/08
E01D21/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025573
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】508036743
【氏名又は名称】株式会社横河ブリッジ
(71)【出願人】
【識別番号】592182573
【氏名又は名称】オックスジャッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加地 敦志
(72)【発明者】
【氏名】村上 修司
(72)【発明者】
【氏名】小西 隆史
(72)【発明者】
【氏名】中塚 仁
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA05
2D059DD02
2D059GG41
(57)【要約】
【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、従来技術に比して容易に桁を取り外すことができる技術を提供することにある。
【解決手段】本願発明の桁回転装置は、既設桁に接続配置された対象桁を回転させる装置であって、移動体と主塔、メインジャッキ、サブジャッキ、牽引装置、連結体を備えたものである。主塔は、主塔柱体と、主塔柱体の下端に設けられる主塔台座、主塔柱体の上端に取り付けられる主塔滑車を有するものであり、後端が移動体にピン結合される2つのジャッキは前端側に伸縮可能とされる。移動体に設置される牽引装置は、牽引索の巻き取りと巻き出しが可能であり、中間滑車を有する連結体は、対象桁に取り付け可能とされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設桁に接続配置された対象桁を回転させる装置であって、
前記既設桁上を移動可能な移動体と、
主塔柱体、該主塔柱体の下端に設けられる主塔台座、及び該主塔柱体の上端に取り付けられる主塔滑車を有する主塔と、
後端が前記移動体にピン結合されるとともに前端が前記主塔柱体の一部にピン結合され、前端側に伸縮可能なメインジャッキと、
後端が前記移動体にピン結合され、前端側に伸縮可能なサブンジャッキと、
前記移動体に設置され、牽引索を巻き取り可能であって巻き出し可能な牽引装置と、
前記対象桁に取り付け可能であって、中間滑車を有する連結体と、を備え、
前記主塔柱体は、前記主塔台座にピン結合され、
前記主塔柱体の一部に前記サブジャッキの前端をピン結合すると、該サブジャッキの伸縮に伴って該主塔柱体が回転し、
また、前記既設桁に前記主塔台座を固定すると、該メインジャッキが伸長することによって該主塔柱体が該主塔台座周りに回転し、
さらに、前記既設桁に前記主塔台座を固定し、前記対象桁に前記連結体を設置するとともに該既設桁との連結が解除された状態の該対象桁の一部を該主塔台座にピン結合し、前記牽引索を前記主塔滑車に掛け回したうえで前記中間滑車に掛け回し、さらに該牽引索の先端を前記主塔柱体の一部に固定すると、前記牽引装置が該牽引索を巻き取ることによって該対象桁が該主塔台座周りに回転する、
ことを特徴とする桁回転装置。
【請求項2】
前記主塔は、前記既設桁の軸直角方向に離れて配置される左主塔柱体、及び右主塔柱体を含んで構成され、
前記連結体の前記中間滑車は、前記対象桁の軸直角方向に離れて配置される左中間滑車、及び右中間滑車を含んで構成され、
前記移動体には、前記既設桁の軸直角方向に離れて配置される左牽引装置、及び右主牽引装置が設置され、
前記左牽引装置の前記牽引索は、前記左主塔柱体の前記主塔滑車に掛け回されたうえで、前記左中間滑車に掛け回され、さらに該牽引索の先端が前記左主塔柱体の一部に固定され、
前記右牽引装置の前記牽引索は、前記右主塔柱体の前記主塔滑車に掛け回されたうえで、前記右中間滑車に掛け回され、さらに該牽引索の先端が前記右主塔柱体の一部に固定される、
ことを特徴とする請求項1記載の桁回転装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の前記桁回転装置を用いて、前記既設桁の前方に連結された前記対象桁を取り外す方法であって、
後方に倒れ込んだ状態の前記主塔柱体の一部に前記メインジャッキ、及び前記サブジャッキの前端をピン結合したうえで、前記移動体が後方から前方に向かって前記既設桁上を移動する移動工程と、
前記既設桁に連結された状態の前記対象桁に前記連結体を設置する連結体設置工程と、
前記サブジャッキを伸長することによって、前記主塔柱体を前方に回転させる前方第1回転工程と、
前記主塔台座を前記既設桁に固定するとともに、前記主塔柱体と前記サブジャッキとのピン結合を解除したうえで、前記メインジャッキを伸長することによって、鉛直、又は略鉛直の姿勢となるまで該主塔柱体を前方に回転させる前方第2回転工程と、
前記対象桁の一部を前記主塔台座にピン結合するとともに、該対象桁と前記既設桁との連結を解除する桁連結解除工程と、
前記牽引装置が前記牽引索を巻き取ることによって、前記主塔柱体に当接するまで前記対象桁を後方に回転させる後方第1回転工程と、
前記メインジャッキを収縮することによって、後方に倒れ込んだ姿勢となるまで前記対象桁、及び前記主塔柱体を後方に回転させるとともに、該主塔柱体の一部に前記サブジャッキの前端をピン結合する後方第2回転工程と、
前記主塔台座を前記既設桁から取り外したうえで、前記サブジャッキを収縮することによって、水平、又は略水平の姿勢となるまで前記対象桁、及び前記主塔柱体を後方に回転させる後方第3回転工程と、
前記対象桁を載置した状態で、前記移動体が前方から後方に向かって前記既設桁上を移動する搬送工程と、を備えた、
ことを特徴とする桁解体方法。
【請求項4】
前記連結体が、梁材と、該梁材に取り付けられた前記中間滑車と、によって構成され、
前記連結体設置工程では、前記既設桁の軸直角方向に配置された前記梁材を、該既設桁に固定する、
ことを特徴とする請求項3記載の桁解体方法。
【請求項5】
前記後方第1回転工程では、前記主塔柱体に当接した該梁材を該主塔柱体の一部に固定することによって、前記対象桁を該主塔柱体に連結し、
前記後方第2回転工程では、前記主塔柱体に連結された前記対象桁が該主塔柱体とともに回転する、
ことを特徴とする請求項4記載の桁解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、橋桁など桁に関する技術であり、より具体的には、桁を回転させることができる桁回転装置と、これを用いて桁を取り外す桁解体方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高度経済成長期に集中的に整備されてきた建設インフラストラクチャー(以下、「建設インフラ」という。)は、既に相当な老朽化が進んでいることが指摘されている。平成26年には「道路の老朽化対策の本格実施に関する提言(社会資本整備審議会)」がとりまとめられ、平成24年の笹子トンネルの例を挙げて「近い将来、橋梁の崩落など人命や社会装置に関わる致命的な事態を招くであろう」と警鐘を鳴らし、建設インフラの維持管理の重要性を強く唱えている。
【0003】
このような背景のもと、国は道路法施行規則の一部を改正する省令を公布し、具体的な建設インフラの点検方法、主な変状の着目箇所、判定事例写真などを示した定期点検要領を策定している。この定期点検要領では、約70万橋に上るといわれる橋長2.0m以上の橋を対象としており、供用開始後2年以内に初回点検、以降5年に1回の頻度で定期点検を行うこととしている。
【0004】
一方、道路橋を設計する際の基準である「道路橋示方書」は、昭和14年度版が発行されて以来随時見直されてきており、特に兵庫県南部地震の後には大幅な改定が行われている。この結果、従来では十分に耐力のあった橋梁であっても、現在の設計基準に照らせばその耐力が不足している場合も少なくない。
【0005】
このように、老朽化と強度不足という2つの理由から、現在では橋梁の補強や改築がしばしば行われ、あるいは架け替えるために橋桁などが撤去されているところである。しかしながら橋桁を撤去するには大規模の建設機械を必要とするうえ、煩雑な作業も多く、工期も長くなる傾向にあるため、その工費が高騰することは避けられなかった。
【0006】
また、既設橋を撤去するために橋桁を取り外すケースだけでなく、新たに橋梁を建設するケースでも桁を取り外すことがある。河川を跨ぐ橋梁や、道路の上方を跨いで架設される跨道橋など、桁の下方空間が施工に利用できない場合、橋桁の設置には送り出し架設工法が採用されることが多い。この送り出し架設工法は、一方の支点側から橋桁を徐々に送り出し、橋桁の先端を他方の支点側まで到達させる工法であり、通常は橋桁の先端には手延機(架設桁)が設置される。したがって、手延機が目的の場所(例えば、対岸側の橋台)に到達すると、橋桁からこの手延機を取り外す必要がある。
【0007】
橋桁の撤去と同様、新たに橋梁を設置するには相当の作業量や工期が必要とされる。そこで、容易に橋桁の架設を行うことができる種々の技術がこれまでにも提案されてきた。例えば特許文献1や特許文献2では、対象となる橋桁を回転させながら架設する技術について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4581131号公報
【特許文献2】特許第4649562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1や特許文献2に開示される技術によれば、従来技術に比して安全に、しかも容易かつ効率的に作業を行うことができる。そのため、橋桁の架設にかかる工期が短縮され、それに伴い工費も低減されることから極めて好適な技術と言える。しかしながら、特許文献1や特許文献2の技術をはじめ、これまで容易かつ効率的に橋桁を取り外すことができる技術に関してはこれまであまり提案されることがなかった。
【0010】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、従来技術に比して容易に桁を取り外すことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、回転させながら桁を取り外す、という点に着目してなされたものであり、従来にはない発想に基づいて行われた発明である。
【0012】
本願発明の桁回転装置は、既設桁に接続配置された対象桁を回転させる装置であって、既設桁上を移動可能な移動体、主塔、メインジャッキ、サブジャッキ、牽引装置、そして連結体を備えたものである。このうち主塔は、主塔柱体と、主塔柱体の下端に設けられる主塔台座、主塔柱体の上端に取り付けられる主塔滑車を有するものであり、前端が主塔柱体の一部にピン結合されるとともに後端が移動体にピン結合されるメインジャッキと、後端が移動体にピン結合されるサブジャッキは、端側に伸縮可能とされる。また、移動体に設置される牽引装置は、牽引索の巻き取りと巻き出しが可能であり、中間滑車を有する連結体は、対象桁に取り付け可能とされる。なお主塔柱体は、主塔台座にピン結合される。そして、主塔柱体の一部にサブジャッキの前端をピン結合すると、サブジャッキの伸縮に伴って主塔柱体が回転する。また、既設桁に主塔台座を固定すると、メインジャッキが伸長することによって主塔柱体が主塔台座周りに回転する。さらに、既設桁に主塔台座を固定し、対象桁に連結体を設置するとともに既設桁との連結が解除された状態の対象桁の一部を主塔台座にピン結合し、牽引索を主塔滑車に掛け回したうえで中間滑車に掛け回し、さらに牽引索の先端を主塔柱体の一部に固定すると、牽引装置が牽引索を巻き取ることによって対象桁が主塔台座周りに回転する。
【0013】
本願発明の桁回転装置は、主塔が左主塔柱体と右主塔柱体(ただし、既設桁の軸直角方向に離れて配置される)を含んで構成され、連結体の中間滑車が左中間滑車と右中間滑車(ただし、対象桁の軸直角方向に離れて配置される)を含んで構成され、さらに移動体に左牽引装置と右主牽引装置(ただし、既設桁の軸直角方向に離れて配置される)が設置されたものとすることもできる。この場合、左牽引装置の牽引索が、左主塔柱体の主塔滑車に掛け回されたうえで、左中間滑車に掛け回され、さらに牽引索の先端が左主塔柱体の一部に固定されて使用される。同様に、右牽引装置の牽引索が、右主塔柱体の主塔滑車に掛け回されたうえで、右中間滑車に掛け回され、さらに牽引索の先端が右主塔柱体の一部に固定されて使用される。
【0014】
本願発明の桁解体方法は、本願発明の桁回転装置を用いて既設桁の前方に連結された対象桁を取り外す方法であって、移動工程と連結体設置工程、前方第1回転工程、前方第2回転工程、桁連結解除工程、後方第1回転工程、後方第2回転工程、後方第3回転工程、搬送工程を備えた方法である。このうち移動工程では、後方に倒れ込んだ状態の主塔柱体の一部にメインジャッキとサブジャッキの前端をピン結合したうえで移動体が後方から前方に向かって既設桁上を移動し、連結体設置工程では、既設桁に連結された状態の対象桁に連結体を設置し、前方第1回転工程では、サブジャッキを伸長することによって主塔柱体を前方に回転させる。また前方第2回転工程では、主塔台座を既設桁に固定するとともに、主塔柱体とサブジャッキとのピン結合を解除したうえで、メインジャッキを伸長することによって、略鉛直(鉛直を含む)の姿勢となるまで主塔柱体を前方に回転させる。桁連結解除工程では、対象桁の一部を主塔台座にピン結合するとともに対象桁と既設桁との連結を解除し、後方第1回転工程では、牽引装置が牽引索を巻き取ることによって主塔柱体に当接するまで対象桁を後方に回転させ、後方第2回転工程では、メインジャッキを収縮することによって後方に倒れ込んだ姿勢となるまで対象桁と主塔柱体を後方に回転させるとともに主塔柱体の一部にサブジャッキの前端をピン結合する。後方第3回転工程では、主塔台座を既設桁から取り外したうえでサブジャッキを収縮することによって略水平(水平を含む)の姿勢となるまで対象桁と主塔柱体を後方に回転させ、搬送工程では、対象桁を載置した状態で移動体が後方に向かって既設桁上を移動する。
【0015】
本願発明の桁解体方法は、連結体の梁材を既設桁の軸直角方向に配置するとともに、その梁材を既設桁に固定する方法とすることもできる。
【0016】
本願発明の桁解体方法は、主塔柱体に当接した梁材を主塔柱体の一部に固定することによって、対象桁を主塔柱体に連結する方法とすることもできる。この場合、後方第2回転工程では、主塔柱体に連結された対象桁が主塔柱体とともに回転する。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の桁回転装置、及び桁解体方法には、次のような効果がある。
(1)回転させるだけで対象桁を取り外すことができることから、従来技術に比して安全に、しかも容易かつ効率的に作業を行うことができる。
(2)既設橋を撤去するために橋桁を取り外すケースだけでなく、送り出し架設工法における手延機(架設桁)を取り外すケースでも利用できるなど、多様な工法で採用することができる。
(3)その結果、橋桁の設置や撤去にかかる工期が短縮され、それに伴い工費も低減される。
(4)連結体と対象桁との連結や、主塔台座と既設桁との連結、移動体と既設桁との連結に油圧式のクランプを使用することによって、対象桁や既設桁にボルト挿通孔を設ける必要がなく、すなわちこれらの桁の損傷を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本願発明の桁回転装置を模式的に示す側面図。
【
図3】中間滑車と梁材を有する連結体を模式的に示す上方から見た平面図。
【
図4】2つの中間滑車を有する連結体を模式的に示す上方から見た平面図。
【
図5】本願発明の桁回転装置の使用例のうち、移動体の移動から主塔柱体の前方第1回転までを示すステップ図。
【
図6】本願発明の桁回転装置の使用例のうち、主塔柱体の前方第2回転から桁既設桁GEの後方第1回転までを示すステップ図。
【
図7】本願発明の桁回転装置の使用例のうち、一体とされた対象桁と主塔柱体との後方回転から対象桁を載置した移動体の移動までを示すステップ図。
【
図8】本願発明の桁解体方法の主な工程の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願発明の桁回転装置、及び桁解体方法の実施の例を、図に基づいて説明する。なお本願発明は、いわゆる桁部材であれば種々のものを対象とすることができるが、便宜上ここでは橋桁の例で説明する。
【0020】
1.桁回転装置
はじめに本願発明の桁回転装置について説明する。なお本願発明の桁解体方法は、本願発明の桁回転装置を用いて対象桁を取り外す方法であり、したがってまずは本願発明の桁回転装置について説明し、その後に本願発明の桁解体方法について説明することとする。
【0021】
図1は、本願発明の桁回転装置100を模式的に示す側面図である。本願発明は、既に架設された橋桁(以下、「既設桁GE」という。)の先端側(
図1では左側)に接続配置された橋桁(以下、「対象桁GS」という。)を取り外すために利用することができる。例えば、既設橋を撤去する場合は、今回取り外す橋桁が対象桁GSとされるとともに、今後取り外すことになる橋桁が既設桁GEとされ、すなわち先端側の既設桁GEから順次、対象桁GSとされていく。一方、送り出し架設工法によって橋桁を架設する場合は、先端の手延機(架設桁)が対象桁GSとされ、新設の橋桁が既設桁GEとされる。なお便宜上ここでは、橋桁(既設桁GEや対象桁GS)の軸方向のことを「橋軸方向」ということとし、さらに橋軸方向において対象桁GS側(
図1では左側)のことを「前方」、その反対側(
図1では右側)のことを「後方」ということとする。また、橋軸方向に直交する水平方向のことを「橋軸直角方向」ということとし、橋軸直角方向において前方に向かって左手側のことを「左側」、その反対側のことを「右側」ということとする。
【0022】
図1に示すように本願発明の桁回転装置100は、移動体110と主塔120、メインジャッキ131、サブジャッキ132、牽引装置140、連結体150などを含んで構成される。以下、桁回転装置100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
【0023】
(移動体)
移動体110は、本体枠と、この本体枠の下方に取り付けられる車輪やタイヤ、クローラ、ローラなどを含んで構成され、橋軸方向に移動することができるものである。例えば、車輪を取り付けた場合は既設桁GEに敷設された軌道上を走行し、タイヤやクローラを取り付けた場合は既設桁GEに敷設された床版上(あるいは、桁上)を走行する。また、モータやエンジンを搭載して自走可能とすることもできるし、外部に設置した水平ジャッキやウィンチ等を利用して移動する構成とすることもできる。
【0024】
移動体110にはメインジャッキ131とサブジャッキ132、牽引装置140が設置され、当然ながら移動体110はこれらとともに移動する。また移動体110は、メインジャッキ131とサブジャッキ132にピン結合された主塔120や、主塔120に取り付けられた連結体150とともに移動することもできるし、後述するように主塔120に連結された対象桁GSを載置した状態で移動することもできる。
【0025】
(主塔)
主塔120は、H形鋼などを利用した柱状の「主塔柱体121」と、主塔柱体121の一端(以下、「下端」という。)に設けられる「主塔台座122」、主塔柱体121の他端(以下、「上端」という。)に取り付けられる「主塔滑車123」を含んで構成される。
【0026】
主塔台座122は、油圧クランプジャッキやボルト(例えば、既設添接部のボルト孔に挿入したボルト)等を利用することで着脱可能に既設桁GEに設置することができる構造とされ、また主塔柱体121とはピン結合され、さらに対象桁GSともピン結合することができる構造とされる。例えば、クレビス構造を利用するなど、結合する相互の部材(この場合は、主塔柱体121と主塔台座122、対象桁GSと主塔台座122)に設けられた挿通孔にピンを挿入することでピン結合とすることができる。これにより主塔柱体121や対象桁GSは、橋軸方向の鉛直面内で回転可能とされる。便宜上ここでは、橋軸方向の鉛直面内での前方への回転のことを「前方回転」、後方への回転のことを「後方回転」ということとする。つまり主塔柱体121や対象桁GSは、主塔台座122の一部(ピンの位置)を中心として前方回転するとともに、後方回転することができるわけである。
【0027】
主塔滑車123は、従来用いられている滑車(プーリー)を利用することができ、主塔120の側面に取り付けられる。これにより主塔滑車123は、橋軸方向の鉛直面内で回転可能とされる。
【0028】
主塔120は、橋軸直角方向の中央付近に配置される1本の主塔柱体121からなる構造とすることもできるし、
図2に示すように2本の主塔柱体121からなるいわゆる門型構造とすることもできる。
図2は、門型構造の主塔120を模式的に示す図であり、後方から前方に向かって見た正面図である。
図2に示すように門型構造の主塔120は、左主塔柱体121Lと右主塔柱体121R、これらの上端に配置された水平梁124を含んで構成され、左主塔柱体121Lには左主塔台座122Lと左塔滑車123Lが、右主塔柱体121Rには右主塔台座122Rと右塔滑車123Rが、それぞれ設けられている。
【0029】
(ジャッキ)
メインジャッキ131がサブジャッキ132よりも前方に配置されたうえで、これらのジャッキは移動体110に設置される。メインジャッキ131とサブジャッキ132は、従来用いられている油圧ジャッキ等を利用することができ、それぞれ後方の端部(以下、単に「後端」という。)が移動体110(例えば、本体枠)に取り付けられる。したがってメインジャッキ131とサブジャッキ132は橋軸方向に伸縮可能とされ、つまりメインジャッキ131やサブジャッキ132が伸長するとその前方の端部(以下、単に「前端」という。)が前方に移動し、メインジャッキ131やサブジャッキ132が収縮するとその前端は後方に移動する。また、メインジャッキ131やサブジャッキ132の後端は移動体110とピン結合され、そのためメインジャッキ131やサブジャッキ132は後端を中心として前方回転するとともに、後方回転することができる。さらにメインジャッキ131の前端は、主塔120(特に、主塔柱体121)の一部にピン結合される。例えば、クレビス構造を利用するなど、結合する相互の部材(この場合は、メインジャッキ131やサブジャッキ132の後端と移動体110の一部)に設けられた挿通孔にピンを挿入することでピン結合とすることができる。したがって、メインジャッキ131やサブジャッキ132が伸長することによって主塔120が前方回転し、メインジャッキ131やサブジャッキ132が収縮することによって主塔120が後方回転することができる。なお、橋軸直角方向の中央付近に1組のメインジャッキ131とサブジャッキ132を配置することもできるし、橋軸直角方向に離れた位置で2組以上のメインジャッキ131とサブジャッキ132を配置することもできる。
【0030】
(牽引装置)
牽引装置140は、移動体110(例えば、本体枠)のうち後方に設置され、ワイヤーロープといった牽引索141を巻き取ることができるとともに巻き出すことができるものであり、従来用いられているウィンチ等を利用することができる。桁回転装置100を使用するときは、
図1に示すように牽引装置140から巻き出される牽引索141が主塔滑車123に掛け回されるとともに、後述する連結体150の中間滑車151に掛け回されて折り返したうえで、その先端が主塔柱体121の上方の固定点FPで固定される。そのため、主塔120が1本の主塔柱体121から構成されるときは、橋軸直角方向の中央付近に1つの牽引装置140を配置し、主塔120が
図2示すような門型構造とされるときは、橋軸直角方向に離れた位置(主塔120と同じ位置)に2つの牽引装置140を配置するとよい。
【0031】
(連結体)
連結体150は、油圧クランプジャッキやボルト等を利用することで着脱可能に対象桁GSに設置することができる構造とされ、少なくとも中間滑車151を含んで構成され、さらにH形鋼などを利用した梁材152を含んで構成することもできる。この中間滑車151は、従来用いられている滑車(プーリー)を利用することができ、橋軸方向の鉛直面内で回転可能に設置される。
図3は、中間滑車151と梁材152を有する連結体150を模式的に示す上方から見た平面図である。この図に示すように中間滑車151は梁材152の略中央に固定され、また梁材152は軸直角方向に配置した状態で対象桁GSに着脱可能に設置することができる。
【0032】
主塔120が1本の主塔柱体121から構成されるときは、
図3に示すように橋軸直角方向の中央付近に1つの中間滑車151を配置するとよい。一方、主塔120が
図2示すような門型構造とされるときは、
図4に示すように橋軸直角方向に離れた位置(主塔120と同じ位置)に2つの中間滑車151を配置するとよい。
図4は、2つの中間滑車151を有する連結体150を模式的に示す上方から見た平面図であり、梁材152の左側には左中間滑車151Lが固定され、その右側には右中間滑車151Rが固定されている。
【0033】
上記したように、門型構造の主塔120を利用する場合、対象桁GSの左側に左中間滑車151L、その右側に右中間滑車151Rを配置するとともに、移動体110の左側に左牽引装置140L、その右側に右牽引装置140Rを設置するとよい。そして桁回転装置100の使用時には、左牽引装置140Lから巻き出される左牽引索141Lを左塔滑車123Lに掛け回すとともに、左中間滑車151Lに掛け回して折り返したうえで、その先端を左主塔柱体121Lの固定点FPで固定する。同様に、右牽引装置140Rから巻き出される右牽引索141Rを右塔滑車123Rに掛け回すとともに、右中間滑車151Rに掛け回して折り返したうえで、その先端を右主塔柱体121Rの固定点FPで固定する。したがって、左牽引装置140Lと左主塔柱体121L(左塔滑車123L)、左中間滑車151Lが橋軸方向に並ぶように(つまり、左牽引索141Lが直線状となるように)、また、右牽引装置140Rと右主塔柱体121R(右塔滑車123R)、右中間滑車151Rが橋軸方向に並ぶように(つまり、右牽引索141Rが直線状となるように)、それぞれ配置するとよい。
【0034】
(使用例)
ここまで説明した桁回転装置100を使用する一例について、
図5~
図7を参照しながら説明する。はじめに、
図5(a)に示すように後方から前方に向かって(つまり、橋軸方向に)移動体110が既設桁GE上を走行していく。このとき、後方に倒れ込んだ状態の主塔120(特に、主塔柱体121)にサブジャッキ132の前端をそれぞれピン結合(例えば、クレビス構造によるピン結合)するとともに、主塔120に連結体150を取り付けたうえで、すなわち桁回転装置100を一体としたうえで走行するとよい。連結体150がその設置場所に到達するまで移動すると、移動体110(つまり、桁回転装置100)を停止する。そして、油圧クランプジャッキ等を利用することで着脱可能に連結体150(特に、梁材152)を対象桁GSに設置する。このとき、当然ながら最も前方の桁既設桁GEと対象桁GSは、添接板等によって連結されている。
【0035】
連結体150を対象桁GSに設置すると、
図5(b)に示すように移動体110をやや後方に移動させたうえで、油圧クランプジャッキ等を利用することで着脱可能に移動体110を既設桁GEに設置する。このとき、既設桁GEに隣接する既設桁GE(つまり、最前方の既設桁GE)に移動体110を設置するとよい。また、牽引装置140から巻き出される牽引索141を主塔滑車123に掛け回すとともに、連結体150の中間滑車151に掛け回して折り返し、その先端を主塔柱体121の固定点FPに固定しておく。なお、この一連の牽引索141の掛け回し作業は、移動体110の走行前にあらかじめ実施しておくこともできる。さらに、移動体110が走行する際に主塔120とサブジャッキ132がピン結合されていないときは、主塔120(特に、主塔柱体121)にサブジャッキ132の前端をピン結合する。
【0036】
ここまでの準備が整うと、まずは
図5(c)に示すようにサブジャッキ132を伸長することによって主塔柱体121を前方回転させていく。このとき、サブジャッキ132の伸長に伴って牽引索141がやや伸びる(弛む)ことから、引装置140によってその伸びた分の牽引索141を巻き取る操作を行ってもよい。これにより、後方に倒れ込んだ主塔柱体121は、当初より上方に起き上がった状態となる。なお、サブジャッキ132の伸長による主塔柱体121の前方回転のことを、便宜上ここでは「前方第1回転」という。
【0037】
サブジャッキ132による主塔柱体121の前方第1回転が完了すると、油圧クランプジャッキやボルト(例えば、既設添接部のボルト孔に挿入したボルト)等を利用することで着脱可能に主塔台座122を既設桁GEに設置するとともに、主塔120とサブジャッキ132とのピン結合を解除したうえで、メインジャッキ131を伸長していく。このとき、メインジャッキ131の伸長に伴って牽引索141がやや伸びる(弛む)ことから、引装置140によってその伸びた分の牽引索141を巻き取る操作を行ってもよい。これにより、主塔柱体121はさらに前方回転していき、
図6(d)に示すように略鉛直(鉛直を含む)の状態となる。なお、前方第1回転の後、主塔柱体121が略鉛直となるまでの前方回転のことを、便宜上ここでは「前方第2回転」という。
【0038】
メインジャッキ131による主塔柱体121の前方第2回転が完了すると、メインジャッキ131の伸長を停止し、対象桁GSが後方回転するようにその後方の一部(以下、「係止体LP」という。)を主塔台座122にピン結合する。例えば、クレビス構造を利用するなど、結合する相互の部材(この場合は、係止体LPと主塔台座122)に設けられた挿通孔にピンを挿入することでピン結合とすることができる。また、最前方の既設桁GEと対象桁GSの連結を解除する。例えば
図6(d)に示すように、桁既設桁GEと対象桁GSが添接板BSによって連結されているときは、添接板BSを固定しているボルトを抜き取ることで連結を解除する。
【0039】
桁既設桁GEと対象桁GSの連結を解除すると、
図6(e)に示すように牽引装置140によって牽引索141を巻き取っていく。対象桁GSの係止体LPが主塔台座122にピン結合され、しかも桁既設桁GEと対象桁GSの連結が解除されていることから、対象桁GSが後方回転していく。このとき、主塔柱体121はメインジャッキ131によって支持されていることから、後方回転することなく主塔柱体121は略鉛直の状態を維持したままとされる。さらに牽引装置140によって牽引索141を巻き取っていくと、
図6(f)に示すように対象桁GSは主塔柱体121に当接し、すなわち対象桁GSも略鉛直(鉛直を含む)の状態となる。なお、対象桁GSが略鉛直となるまでの後方回転のことを、便宜上ここでは「後方第1回転」という。そして、梁材152を主塔柱体121に固定することで
図6(f)に示す固定部CPを形成し、すなわち対象桁GSと主塔柱体121を一体化する。
【0040】
梁材152を主塔柱体121に固定すると、メインジャッキ131を収縮していく。これにより、
図7(g)に示すように一体とされた対象桁GSと主塔120が後方回転していく。このとき、メインジャッキ131の収縮に伴って牽引索141がやや伸びる(弛む)ことから、引装置140によってその伸びた分の牽引索141を巻き取る操作を行ってもよい。一方、サブジャッキ132はあらかじめ前方に向かって伸長させておき、いわば主塔120を迎えに行く。そして、主塔柱体121が伸長したサブジャッキ132の前端に接触するまで後方回転すると、メインジャッキ131の収縮操作を停止し、主塔120(特に、主塔柱体121)にサブジャッキ132の前端をピン結合する。なお、主塔柱体121がサブジャッキ132の前端に接触するまでの後方回転のことを、便宜上ここでは「後方第2回転」という。
【0041】
メインジャッキ131による対象桁GSと主塔120の後方第2回転が完了すると、主塔台座122を既設桁GEから取り外したうえで、
図7(h)に示すようにサブジャッキ132のみを収縮する(メインジャッキ131は伸縮しない)。これにより対象桁GSと主塔120は、メインジャッキ131の前端を中心として後方回転していく。すなわち、後方第2回転では主塔柱体121が主塔台座122周りに回転し、後方第3回転では主塔柱体121がメインジャッキ131の前端周りに回転するわけである。このとき、サブジャッキ132の収縮に伴って牽引索141がやや伸びる(弛む)ことから、引装置140によってその伸びた分の牽引索141を巻き取る操作を行ってもよい。そして、
図7(i)に示すように対象桁GSと主塔120(特に、主塔柱体121)が略水平(水平を含む)の姿勢となると、サブジャッキ132の収縮を停止する。なお、対象桁GSと主塔120が略水平の姿勢となるまでの後方回転のことを、便宜上ここでは「後方第3回転」という。
【0042】
サブジャッキ132による対象桁GSと主塔120の後方第3回転が完了すると、対象桁GSを載置した移動体110(つまり、桁回転装置100)が、前方から後方に向かって(つまり、橋軸方向に)既設桁GE上を走行していく。そして、所定の位置まで移動すると、移動体110から対象桁GSを降ろす。既設橋を撤去する場合は、再び移動体110が前方に向かって移動し、上記した一連の作業を行うことによって新たな対象桁GSを取り外していく。
【0043】
2.桁解体方法
続いて、本願発明の桁解体方法ついて
図8を参照しながら説明する。なお、本願発明の桁解体方法は、ここまで説明した桁回転装置100を用いて対象桁GSを取り外す方法である。したがって、桁回転装置100について説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の桁解体方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「1.桁回転装置」で説明したものと同様である。
【0044】
本願発明の桁解体方法を実施するにあたっては、
図8に示すようにまずは後方から前方に向かって(橋軸方向に)移動体110(桁回転装置100)が既設桁GE上を走行していく(
図8のStep10)。移動体110が所定位置に到達するまで移動すると、最前方の桁既設桁GEに連結された対象桁GSに、連結体150(梁材152)を設置する(
図8のStep20)。
【0045】
連結体150を対象桁GSに設置すると、主塔120(主塔柱体121)にピン結合されたサブジャッキ132を伸長して前方第1回転を実施する(
図8のStep30)。前方第1回転が完了すると、主塔台座122を既設桁GEに設置するとともに、主塔120とサブジャッキ132とのピン結合を解除したうえで、メインジャッキ131を伸長していきながら前方第2回転を実施する(
図8のStep40)。
【0046】
前方第2回転が完了すると、対象桁GSの係止体LPを主塔台座122にピン結合するとともに、最前方の既設桁GEと対象桁GSの連結を解除する(
図8のStep50)。そして、牽引装置140によって牽引索141を巻き取りながら後方第1回転を実施する(
図8のStep60)。
【0047】
後方第1回転が完了すると、梁材152を主塔柱体121に固定し、メインジャッキ131を収縮していきながら後方第2回転を実施する(
図8のStep70)。後方第2回転が完了すると、主塔120(主塔柱体121)にサブジャッキ132の前端をピン結合するとともに、主塔台座122を既設桁GEから取り外す。そして、サブジャッキ132を収縮させながら後方第3回転を実施する(
図8のStep80)。
【0048】
後方第3回転が完了すると、対象桁GSを載置した移動体110(桁回転装置100)が、前方から後方に向かって(橋軸方向に)既設桁GE上を走行していく(
図8のStep90)。そして、所定の位置まで移動すると、移動体110から対象桁GSを降ろす。既設橋を撤去する場合は、再び移動体110が前方に向かって移動し、上記した一連の工程を行うことによって新たな対象桁GSを取り外していく。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本願発明の桁回転装置、及び桁解体方法は、道路橋や鉄道橋といったあらゆる用途の橋梁に利用でき、河川を跨ぐ橋、跨道橋、跨線橋など種々のものを越える橋梁に利用することができる。本願発明が作業者にとってより安全な作業環境を提供することを考えれば、本願発明は産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
【符号の説明】
【0050】
100 本願発明の桁回転装置
110 (桁回転装置の)移動体
120 (桁回転装置の)主塔
121 (主塔の)主塔柱体
121L (主塔の)左主塔柱体
121R (主塔の)右主塔柱体
122 (主塔の)主塔台座
122L (主塔の)左主塔台座
122R (主塔の)右主塔台座
123 (主塔の)主塔滑車
123L (主塔の)左塔滑車
123R (主塔の)右塔滑車
124 (主塔の)水平梁
131 (桁回転装置の)メインジャッキ
132 (桁回転装置の)サブジャッキ
140 (桁回転装置の)牽引装置
140L (桁回転装置の)左牽引装置
140R (桁回転装置の)右牽引装置
141 (牽引装置の)牽引索
141L (左牽引装置の)左牽引索
141R (右牽引装置の)右牽引索
150 (桁回転装置の)連結体
151 (連結体の)中間滑車
151L (連結体の)左中間滑車
151R (連結体の)右中間滑車
152 (連結体の)梁材
BS 添接板
CP 固定部
FP 固定点
GE 既設桁
GS 対象桁
LP 体係止