(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122125
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】調湿装置及び住宅
(51)【国際特許分類】
F24F 3/14 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
F24F3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025593
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】梅本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】関谷 佳子
【テーマコード(参考)】
3L053
【Fターム(参考)】
3L053BC03
(57)【要約】
【課題】 ダンパーの個数を低減することで、メンテナンスを軽減しうる調湿装置を提供する。
【解決手段】 バッチ式の調湿装置15である。この調湿装置15は、ケーシング26と、調湿部16と、駆動部28とを含む。駆動部28は、調湿部16を第1状態及び第2状態に切替可能である。第1状態は、第1入口35Aからの空気が第1チャンバー45を経由して第1出口36Aへと流れ、かつ、第2入口35Bからの空気が第2チャンバー46を経由して第2出口36Bで流れる状態である。第2状態は、第1入口35Aからの空気が第2チャンバー46を経由して第1出口36Aへと流れ、かつ、第2入口35Bからの空気が第1チャンバー45を経由して第2出口36Bへと流れる状態である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を調湿するためのバッチ式の調湿装置であって、
ケーシングと、前記ケーシング内に配された調湿部と、前記調湿部を前記ケーシング内で移動させる駆動部とを含み、
前記ケーシングは、空気の出入口として、第1入口、第2入口、第1出口及び第2出口を含み、
前記調湿部は、通過する空気を調湿するための調湿材を内部に備えた第1チャンバー及び第2チャンバーを含み、
前記駆動部は、前記調湿部をx軸の回りに回転させることにより、前記調湿部を第1状態及び第2状態に切替可能であり、
前記第1状態は、前記第1入口からの空気が前記第1チャンバーを経由して前記第1出口へと流れ、かつ、前記第2入口からの空気が前記第2チャンバーを経由して前記第2出口で流れる状態であり、
前記第2状態は、前記第1入口からの空気が前記第2チャンバーを経由して前記第1出口へと流れ、かつ、前記第2入口からの空気が前記第1チャンバーを経由して前記第2出口へと流れる状態である、
調湿装置。
【請求項2】
前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーは、それぞれ、y軸の方向に並べて配置されており、かつ、z軸に沿って空気を通過させるものであり、
前記x軸が、前記y軸及び前記z軸に直交する軸線である、請求項1に記載の調湿装置。
【請求項3】
前記第1状態において、前記第1出口と前記第1チャンバーとは、前記z軸に沿った一直線の流路を形成する、請求項2に記載の調湿装置。
【請求項4】
前記第1状態において、前記第1入口と前記第1チャンバーとは、前記z軸に沿った一直線の流路を形成する、請求項2又は3に記載の調湿装置。
【請求項5】
全館空調システムを備えた住宅であって、
居室への空気搬送経路中に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の前記調湿装置を介在させている、
住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿装置及び住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、調湿チャンバーを有する調湿システムが記載されている。調湿チャンバーは、互いに独立した第1チャンバーと第2チャンバーとを含んで構成されており、それらの内部には、調湿材が配されている。これらのチャンバーには、空調機で空調された相対湿度の低い空気と、調湿材を吸湿状態とするための相対湿度の高い空気とが、交互に供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、2つにチャンバーへ空気を交互に供給するためには、複数のダンパーが必要であり、これらのメンテナンスが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、ダンパーの個数を低減することで、メンテナンスを軽減しうる調湿装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、空気を調湿するためのバッチ式の調湿装置であって、ケーシングと、前記ケーシング内に配された調湿部と、前記調湿部を前記ケーシング内で移動させる駆動部とを含み、前記ケーシングは、空気の出入口として、第1入口、第2入口、第1出口及び第2出口を含み、前記調湿部は、通過する空気を調湿するための調湿材を内部に備えた第1チャンバー及び第2チャンバーを含み、前記駆動部は、前記調湿部をx軸の回りに回転させることにより、前記調湿部を第1状態及び第2状態に切替可能であり、前記第1状態は、前記第1入口からの空気が前記第1チャンバーを経由して前記第1出口へと流れ、かつ、前記第2入口からの空気が前記第2チャンバーを経由して前記第2出口で流れる状態であり、前記第2状態は、前記第1入口からの空気が前記第2チャンバーを経由して前記第1出口へと流れ、かつ、前記第2入口からの空気が前記第1チャンバーを経由して前記第2出口へと流れる状態であることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る前記調湿装置において、前記第1チャンバー及び前記第2チャンバーは、それぞれ、y軸の方向に並べて配置されており、かつ、z軸に沿って空気を通過させるものであり、前記x軸が、前記y軸及び前記z軸に直交する軸線であってもよい。
【0008】
本発明に係る前記調湿装置において、前記第1状態において、前記第1出口と前記第1チャンバーとは、前記z軸に沿った一直線の流路を形成してもよい。
【0009】
本発明に係る前記調湿装置において、前記第1状態において、前記第1入口と前記第1チャンバーとは、前記z軸に沿った一直線の流路を形成してもよい。
【0010】
本発明は、全館空調システムを備えた住宅であって、居室への空気搬送経路中に、上記のいずれかの調湿装置を介在させていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の調湿装置は、上記の構成を採用することにより、ダンパーの個数を低減することで、メンテナンスを軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】全館空調システムを備えた住宅を示す概念的に示す断面図である。
【
図2】空調・調湿ユニットの主ケーシングを示す斜視図である。
【
図7】(a)は、第1状態を示す断面図、(b)は、第2状態を示す断面図である。
【
図8】(a)~(b)は、一方のチャンバーの複数の調湿エレメントが開口部から取り出される状態を示す側面図である。
【
図9】(a)~(b)は、他方のチャンバーの複数の調湿エレメントが開口部から取り出される状態を示す側面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態の調湿材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0014】
本実施形態の調湿装置は、空気を調湿するためのものである。本実施形態の調湿装置は、予め定められた周期で、放湿と吸湿とを交互に繰り返すことが可能なバッチ式の調湿装置として構成されている。
【0015】
本実施形態の調湿装置は、全館空調システムを備えた住宅に設けられている。本実施形態では、居室への空気搬送経路中に、調湿装置が介在している。
【0016】
[住宅]
図1は、全館空調システム1を備えた住宅2を示す概念的に示す断面図である。本実施形態の住宅2は、例えば、床下空間3と、床上空間4とを含んで構成されている。
【0017】
本実施形態の床上空間4には、例えば、複数の居室5が設けられている。居室5には、1階の居室が含まれているが、2階以上の居室(図示省略)が含まれてもよい。また、各居室5は、例えば、扉6等で区画されており、扉6に形成された隙間7を介して、空気A2が流通している。
【0018】
[全館空調システム]
本実施形態の全館空調システム1は、空気調和機13で空調された空気(以下、単に「空調空気」ということがある。)A1を調湿して、複数の居室5に供給するためのものである。
【0019】
本実施形態の全館空調システム1は、空調・調湿ユニット10と、第1流路11とを含んで構成されている。本実施形態の第1流路11は、空調・調湿ユニット10と複数の居室5との間に接続されている。これにより、第1流路11は、空調・調湿ユニット10からの空調空気(調湿された空調空気)A1を、複数の居室5に供給することができる。また、本実施形態の第1流路11は、空調空気A1を複数の居室5に供給できれば、適宜設定することができる。本実施形態の第1流路11は、筒状に形成されたダクトによって形成されているが、例えば、間仕切り壁(図示省略)で囲まれた空間等で構成されてもよい。
【0020】
[空調・調湿ユニット]
本実施形態の空調・調湿ユニット10は、主ケーシング12、空気調和機13、空気圧送具14及び調湿装置15(調湿部16)を含んで構成されている。さらに、本実施形態の空調・調湿ユニット10には、フィルター部材17が配されている。
図2は、空調・調湿ユニット10の主ケーシング12を示す斜視図である。
図3は、
図2の部分斜視図である。
図4は、
図2の部分断面図である。本実施形態において、空調・調湿ユニット10の各構成部材の位置等は、x軸と、y軸と、x軸及びy軸と直交するz軸との直交座標上で特定される。
【0021】
[主ケーシング]
図2及び
図3に示されるように、本実施形態の主ケーシング12は、その内部に空間(スペース)18を有する箱状に形成されている。本実施形態の空間18は、枠体19と、枠体19に支持された面材20とによって区分されている。面材20には、例えば、空間18内と、主ケーシング12の外部とを断熱するための断熱材(図示省略)が含まれていてもよい。
【0022】
図3及び
図4に示されるように、本実施形態の空間18は、主ケーシング12に設けられた第1仕切面材20A(本例では、副ケーシング27の第1側面材33Aを含む)により、第1空間18Aと、第2空間18Bと、第3空間18Cとに区分されている。本実施形態の第1仕切面材20A(第1側面材33A)は、主ケーシング12において、x軸の方向の中央に配置されている。これにより、第1空間18A及び第2空間18Bは、x軸の方向において、第1仕切面材20A(第1側面材33A)を介して隣接している。
【0023】
本実施形態の第1仕切面材20A(第1側面材33A)は、z軸の方向において、主ケーシング12の一端(本例では、上端)から他端(本例では、下端)側に延び、他端に至ることなく終端している。これにより、空間18は、第1仕切面材20A(第1側面材33A)の他端側に、第1空間18A及び第2空間18Bを連通する第3空間18Cが区分される。
【0024】
図2及び
図3に示されるように、本実施形態の主ケーシング12には、開閉可能な扉部21が設けられている。このような扉部21が開かれることにより、主ケーシング12の内部の空間(スペース)18に容易にアクセスすることが可能となる。したがって、空調・調湿ユニット10のメンテナンス性が向上する。本実施形態の扉部21は、第1扉部21A及び第2扉部21Bを含んで構成されている。これらの第1扉部21A及び第2扉部21Bは、z軸の方向(本例では、上下方向)zに並べられているが、特に限定されない。
【0025】
図2ないし
図4に示されるように、本実施形態の主ケーシング12は、少なくとも一つの入口22と、少なくとも一つの出口23と、入口22と出口23とを連通させる内部流路24(
図4に示す)とを備えている。
【0026】
本実施形態の入口22は、主ケーシング12の空間(スペース)18に、空気を供給するためのものである。本実施形態の入口22は、例えば、主ケーシング12の外部(本例では、
図1に示した床上空間4)と、主ケーシング12の空間(スペース)18とを連通させる孔として形成されている。
【0027】
本実施形態の入口22は、z軸の方向において、主ケーシング12の一端(上端)側に設けられている。さらに、入口22は、x軸の方向において、第1仕切面材20Aに対して一方側(第1空間18A)側に設けられている。これにより、入口22は、第1空間18Aに、空気(本例では、住宅2内の空気A2)を供給することができる。
【0028】
本実施形態の入口22は、住宅2内の空気(本例では、複数の居室5からのリターン空気)A2を、主ケーシング12の空間18に供給可能に形成されているが、このような態様に限定されるわけではない。入口22は、例えば、換気用の外気(図示省略)を供給可能に形成されてもよい。また、入口22は、住宅2内の空気A2と、換気用の外気とを独立して供給可能なように複数設けられてもよい。
【0029】
本実施形態の出口23は、例えば、主ケーシング12の空間(スペース)18の空調空気(本例では、調湿された空調空気)A1を、主ケーシング12の外部に供給するためのものである。本実施形態の出口23は、主ケーシング12の空間(スペース)と、主ケーシング12の外部(本例では、第1流路11)とを連通させる孔として形成されている。
【0030】
本実施形態の出口23は、z軸の方向において、主ケーシング12の一端(上端)側に設けられている。さらに、出口23は、x軸の方向において、第1仕切面材20Aに対して他方側(第2空間18B)側に設けられている。これにより、出口23は、第2空間18Bの空気を取り出して、主ケーシング12の外部(本例では、第1流路11)に供給することが可能となる。
【0031】
本実施形態の出口23には、第1流路11が接続されている。これにより、第2空間18Bの空気(空調空気A1)は、出口23から第1流路11を介して、複数の居室5(
図1に示す)に供給されうる。
【0032】
図4に示されるように、本実施形態の内部流路24は、入口22と出口23とを連通している。これにより、本実施形態の内部流路24は、入口22から供給された空気(本例では、リターン空気)A2を空気調和機13で空調させ、かつ、空調空気A1を出口23(第1流路11)に案内することができる。
【0033】
本実施形態の内部流路24は、入口22と連通する第1空間18A、出口23と連通する第2空間18B、及び、第1空間18Aと第2空間18Bとを連通する第3空間18Cで構成されている。これにより、内部流路24は、y軸の方向から見た側面視において、U字状に形成されている。
【0034】
[空気調和機]
本実施形態の空気調和機13は、例えば、一般的な家庭用のセパレート型エアコンで構成されている。空気調和機13は、室内機13Aと、住宅2の外部に設置された室外機(図示省略)とをセットとして含んでいる。室内機13Aは、吸込み口13aと吹出し口13bとを有している。
【0035】
本実施形態の空気調和機13(室内機13A)は、主ケーシング12の内部流路24中に配されている。本実施形態では、内部流路24のうち、第1空間18A(入口22側)に、室内機13Aが配されている。
【0036】
本実施形態の吸込み口13aは、入口22から供給された空気(本例では、住宅2内の空気(リターン空気))A2を取り込んで、室内機13Aの内部に設けられた熱交換器(図示省略)に供給している。一方、本実施形態の吹出し口13bは、熱交換器で空調された空気(空調空気)A1を、出口23側(内部流路24の下流側(第3空間18C及び第2空間18B側))に吐出している。
【0037】
空気調和機13の設定温度や風量(吹出し風量)は、例えば、制御装置25(
図1に示す)によって制御される。本実施形態の制御装置25は、例えば、居室5の間仕切り壁等に設置されているが、このような態様に限定されない。制御装置25は、CPU(中央演算装置)からなる演算部(図示省略)と、制御手順が予め記憶された記憶部(図示省略)と、記憶部から制御手順を読み込むための作業用メモリ(図示省略)とを含んで構成されている。
【0038】
[空気圧送具]
図1及び
図4に示されるように、本実施形態の空気圧送具14は、主ケーシング12の内部流路24に配されており、入口22から出口23に向かう空気流を生成するためのものである。このような空気流により、住宅2内の空気(リターン空気)A2は、入口22から取り込まれ、空気調和機13によって空調される。さらに、空気流により、空気調和機13から吐出された空調空気A1が、出口23側へと円滑に案内されうる。
【0039】
空気圧送具14は、上記のような空気流を生成できれば、特に限定されない。本実施形態の空気圧送具14は、ファン14Aとして構成されている。
【0040】
本実施形態の空気圧送具14は、内部流路24において、空気調和機13と調湿部16との間(本例では、第3空間18C)に位置しているが、このような態様に限定されるわけではない。空気圧送具14は、例えば、調湿部16(調湿装置15)と出口23との間に位置していてもよい。
【0041】
[フィルター部材]
本実施形態のフィルター部材17は、空気を浄化するためのものである。本実施形態のフィルター部材17は、主ケーシング12の内部流路24に配されている。このようなフィルター部材17は、内部流路24内の空気を浄化することができる。
【0042】
本実施形態のフィルター部材17は、内部流路24において、空気調和機13と調湿部16(調湿装置15)との間に位置している。これにより、フィルター部材17は、浄化された空調空気A1を調湿部16に供給することができるため、調湿部16の汚損等が抑制される。
【0043】
フィルター部材17は、空気を浄化できるものであれば、特に限定されない。フィルター部材17の一例としては、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルター、光触媒フィルター、活性炭脱臭フィルター又は電気集塵フィルター等が単独で配置されたものでもよいし、これらが組み合わされたものでもよい。
【0044】
[調湿装置(調湿部)]
図4に示されるように、本実施形態の調湿装置15(調湿部16)は、主ケーシング12の内部流路24中、かつ、空気調和機13よりも出口23側に配されている。これにより、調湿装置15(調湿部16)は、空気調和機13の空調空気A1を調湿することが可能となる。
【0045】
本実施形態の調湿装置15(調湿部16)の位置は、主ケーシング12の内部流路24中、かつ、空気調和機13よりも出口23側(内部流路24の下流側)に配されていれば、特に限定されない。本実施形態の調湿装置15(調湿部16)は、第2空間18Bに設けられている。
【0046】
図2ないし
図4に示されるように、本実施形態の調湿装置15は、ケーシング26(副ケーシング27)と、調湿部16(
図3及び
図4に示す)と、駆動部28(
図3及び
図4に示す)とを含んで構成されている。
【0047】
[ケーシング(副ケーシング)]
本実施形態のケーシング26は、主ケーシング12内において、調湿部16(
図3及び
図4に示す)を内部に配置する副ケーシング27として構成される。
図4に示されるように、本実施形態のケーシング26(副ケーシング27)は、その内部に空間(スペース)29を有する箱状に形成されている。
【0048】
本実施形態の副ケーシング27(ケーシング26)は、主ケーシング12に、分解可能に固定されている。これにより、調湿装置15のメンテナンス性が向上する。なお、副ケーシング27は、主ケーシング12と一体に構成(分解不能に固定)されていてもよい。
図5は、調湿装置15の分解斜視図である。
図6は、調湿装置15の断面図である。
【0049】
図4ないし
図6に示されるように、本実施形態のケーシング26(副ケーシング27)は、z軸の方向の両側に配された下面材31及び上面材32と、下面材31と上面材32との間に配された複数の側面材33とを含んで構成されている。これらの下面材31、上面材32及び複数の側面材33により、ケーシング26には、空間29が区画される。
【0050】
本実施形態の下面材31、上面材32及び複数の側面材33のそれぞれは、平面視において矩形状に形成されている。これにより、ケーシング26(副ケーシング27)は、x軸、y軸及びz軸のそれぞれの方向から見た平面視において、矩形状に形成される。これらの下面材31、上面材32及び複数の側面材33には、断熱材(図示省略)が含まれていてもよい。
【0051】
図5に示されるように、本実施形態の下面材31及び上面材32は、x軸-y軸の平面に広がっている。これらの下面材31及び上面材32は、z軸の方向で互いに離間して配置されている。
【0052】
図4ないし
図6に示されるように、本実施形態の複数の側面材33は、第1側面材33A、第2側面材33B、第3側面材33C及び第4側面材33Dを含んで構成されている。
【0053】
本実施形態の第1側面材33A及び第2側面材33Bは、y軸-z軸の平面に広がっている。これらの第1側面材33A及び第2側面材33Bは、x軸の方向で互いに離間して配置されている。
図4に示されるように、本実施形態の第1側面材33Aは、主ケーシング12の第1仕切面材20Aに固定されているが、このような態様に限定されない。
【0054】
図5に示されるように、本実施形態の第3側面材33C及び第4側面材33Dは、x軸-z軸の平面に広がっている。これらの第3側面材33C及び第4側面材33Dは、y軸の方向で互いに離間して配置されている。
【0055】
図5及び
図6に示されるように、本実施形態のケーシング26(副ケーシング27)には、空間29を仕切るための第2仕切面材34が設けられている。本実施形態の第2仕切面材34は、x軸-z軸の平面に広がっており、y軸の方向において、第3側面材33Cと第4側面材33Dとの間に配されている。このような第2仕切面材34により、ケーシング26の内部は、y軸の方向において、2つの空間29、29に区分されうる。
【0056】
本実施形態のケーシング26(副ケーシング27)では、y軸の方向において、一方の空間29が第2空間18Bとして構成され、他方の空間29が、第4空間18Dとして構成される。本実施形態の第4空間18Dは、
図4に示した主ケーシング12において、第1空間18A及び第3空間18Cとは連通していない。
【0057】
本実施形態のケーシング26(副ケーシング27)は、空気の出入口として、第1入口35A、第2入口35B、第1出口36A及び第2出口36Bを含んで構成されている。
【0058】
本実施形態の第1入口35Aは、下面材31に形成されている。一方、本実施形態の第2入口35Bは、第4側面材33Dに形成されている。また、本実施形態の第1出口36A及び第2出口36Bは、上面材32に形成されている。なお、第1入口35A、第2入口35B、第1出口36A及び第2出口36Bの位置は、このような態様に限定されるわけではない。
【0059】
本実施形態の第1入口35A及び第1出口36Aは、ケーシング26(副ケーシング27)において、y軸の方向の一方側(本例では、第2仕切面材34に対して一方側(第2空間18B側))に設けられている。これにより、第1入口35A及び第1出口36Aは、第2空間18Bと、ケーシング26(副ケーシング27)の外部との間を連通しうる。
【0060】
図4に示されるように、本実施形態の第1入口35Aは、主ケーシング12の第3空間18C(空気圧送具14)と連通している。これにより、第1入口35Aは、第3空間18Cから空調空気A1を、第2空間18B(一方の空間29)に供給することができる。一方、本実施形態の第1出口36Aは、主ケーシング12の出口23を構成している。したがって、第1出口36Aには、第1流路11が接続されている。
【0061】
本実施形態の第2入口35B及び第2出口36Bは、ケーシング26(副ケーシング27)において、y軸の方向の他方側(本例では、第2仕切面材34に対して他方側(第4空間18D側))に設けられている。これにより、第2入口35B及び第2出口36Bは、第4空間18Dと、ケーシング26(副ケーシング27)の外部との間を連通している。
【0062】
本実施形態の第2入口35Bは、外気A3を調湿部16に供給するための外気供給部37が接続されている。
図1に示されるように、本実施形態の外気供給部37は、第2流路38を含んで構成されている。第2流路38の一端は、住宅2の小屋裏39に配されている。この小屋裏39には、換気用の外気A3が供給されている。一方、第2流路38の他端は、第2入口35Bに接続されている。これにより、
図5及び
図6に示した第4空間18Dには、第2入口35Bを介して、外気A3が供給される。
【0063】
本実施形態の第2流路38は、筒状に形成されたダクトによって形成されているが、特に限定されない。第2流路38は、例えば、間仕切り壁(図示省略)で囲まれた空間等で構成されてもよい。
図1に示されるように、第2流路38には、一端側(小屋裏39側)から他端側(第2入口35B側)に向かって、外気A3を圧送可能なファン40が設けられてもよい。
【0064】
図5及び
図6に示されるように、本実施形態の第2出口36Bは、第3流路41の一端が接続されている。第3流路41の他端は、
図1に示されるように、小屋裏39に配されている。これにより、
図5及び
図6に示されるように、第4空間18Dの空気は、第2出口36B及び第3流路41を介して、小屋裏39(
図1に示す)に供給されうる。
【0065】
図3ないし
図5に示されるように、本実施形態のケーシング26(副ケーシング27)には、開閉可能な開口部42が設けられるのが好ましい。このような開口部42が開かれることにより、ケーシング26(副ケーシング27)の内部(本例では、調湿部16(調湿材43))に容易にアクセスでき、メンテナンス性が向上する。
【0066】
開口部42は、ケーシング26(副ケーシング27)を開閉可能なものであれば、適宜設定されうる。
図3及び
図4に示されるように、本実施形態の開口部42は、第1側面材33Aの他端側(下側)に設けられており、y軸の回りに回動可能な扉として構成されている。このような開口部42が開かれることにより、主ケーシング12の外部から、扉部21(
図2に示す)及び空間18を介して、副ケーシング27の内部に容易にアクセスすることが可能となる。
【0067】
[調湿部]
図5及び
図6に示されるように、本実施形態の調湿部16は、通過する空気を調湿するための調湿材43を内部に備えた第1チャンバー45及び第2チャンバー46を含んでいる。第1チャンバー45及び第2チャンバー46は、それぞれ、y軸の方向に並べて配置されている。
【0068】
[第1チャンバー・第2チャンバー]
第1チャンバー45及び第2チャンバー46は、調湿材43を内部に備えることができれば、適宜形成することができる。
【0069】
本実施形態の第1チャンバー45は、第1仕切部47、第2仕切部48、第1側面材33A及び第2側面材33Bを含んで構成される。これらの第1仕切部47、第2仕切部48、第1側面材33A及び第2側面材33Bで区画される内部の空間(第1チャンバー45)には、調湿材43が配置される。
【0070】
本実施形態の第1仕切部47は、x軸-z軸の平面に広がる板状に形成されている。この第1仕切部47は、その長手方向がz軸の方向と平行となるときに、第2仕切面材34の一部を構成している。
【0071】
本実施形態の第2仕切部48は、第1仕切部47と同様に、x軸-z軸の平面に広がる板状に形成されている。この第2仕切部48は、例えば、第1仕切部47に、連結部(図示省略)を介して固定されている。
【0072】
本実施形態の第2チャンバー46は、第1仕切部47、第3仕切部49、第1側面材33A及び第2側面材33Bを含んで構成される。これらの第1仕切部47、第3仕切部49、第1側面材33A及び第2側面材33Bで区画される内部の空間(第2チャンバー46)には、調湿材43が配置される。
【0073】
本実施形態の第3仕切部49は、第1仕切部47及び第2仕切部48と同様に、x軸-z軸の平面に広がる板状に形成されている。この第3仕切部49は、例えば、第1仕切部47に、連結部(図示省略)を介して固定されている。
【0074】
本実施形態の第1チャンバー45及び第2チャンバー46には、調湿部16をx軸(x軸は、y軸及びz軸に直交する軸線)の方向の回りに回転させるための(調湿部16の回転中心である)回転軸51が設けられている。本実施形態の回転軸51は、第1仕切部47に設けられている。回転軸51の一端は、駆動部28(
図4及び
図5に示す)に支持されている。
図4に示されるように、回転軸51の他端は、第2側面材33Bに設けられた軸受(図示省略)に支持されている。これにより、調湿部16を、x軸の回りに回転させることが可能となる。
【0075】
図5及び
図6に示されるように、本実施形態の第1チャンバー45及び第2チャンバー46は、第1仕切部47、第2仕切部48、第3仕切部49の長手方向(z軸の方向)の両端で開口している。これにより、第1チャンバー45及び第2チャンバー46は、z軸の方向に沿って、空気を通過させることができる。
【0076】
第1入口35A及び第2入口35Bから供給された空気を、第1チャンバー45及び第2チャンバー46内(調湿材43)に効率よく通過させるために、ケーシング26には、例えば、第4仕切部52が設けられるのが好ましい。本実施形態の第4仕切部52は、第2仕切部48と第3側面材33Cとの間の隙間、及び、第3仕切部49と第4側面材33Dとの隙間を埋めるためのものである。このような第4仕切部52により、第1入口35A及び第2入口35Bから供給された空気が、隙間を通過するのを防ぐことが可能となる。
【0077】
[調湿材]
調湿材43は、第1チャンバー45及び第2チャンバー46を通過する空気を調湿するためのものである。本実施形態の調湿材43は、相対湿度の高い空気から水蒸気を吸着しうるとともに、相対湿度の低い空気に自らが吸着した水蒸気を放出しうる吸放湿性能を有している。
【0078】
調湿材43は、吸放湿性能を有するものであれば、特に限定されない。本実施形態の調湿材43は、少なくとも1つの調湿エレメント53で構成されている。
【0079】
図5に示されるように、本実施形態の調湿エレメント53は、空気(z軸の方向に沿った空気)を通過可能なように、複数の調湿シート54が、間隔を空けて積層(例えば、ハニカム状やオニ段状に積層)されることによって形成される。このような調湿エレメント53は、湿気交換面積を効果的に増大させることができる。調湿シート54には、例えば、上記特許文献1と同様の吸着材(図示省略)が担持されている。
【0080】
本実施形態の第1チャンバー45及び第2チャンバー46の各調湿材43は、y軸の方向の単位長さあたりの調湿材43の容積が、回転軸51に近いほど大きく設定されている。第1チャンバー45及び第2チャンバー46の各調湿材43は、y軸の方向の単位長さあたりの調湿材43の容積を、回転軸51に近いほど大きく設定することができれば、適宜形成されうる。本実施形態の各調湿材43、43は、それぞれ、複数の調湿エレメント53を含んで構成されている。本実施形態の複数の調湿エレメント53は、分解可能に固定されている。
【0081】
複数の調湿エレメント53は、z軸の方向に沿った長さが異なる複数種類を含んでいる。本実施形態の複数の調湿エレメント53は、第1調湿エレメント53Aと、第2調湿エレメント53Bとを含んで構成されているが、さらに他の調湿エレメント(図示省略)が含まれてもよい。第1調湿エレメント53Aのz軸の方向に沿った長さは、第2調湿エレメント53Bのz軸の方向に沿った長さよりも大きい。
【0082】
本実施形態の第1調湿エレメント53Aは、第1チャンバー45及び第2チャンバー46において、回転軸51側に配置される。一方、第2調湿エレメント53Bは、y軸の方向において、第1調湿エレメント53Aの外側にそれぞれ配置される。これにより、調湿材43のy軸の方向の単位長さあたりの調湿材43のz軸の方向に沿った長さL1が、回転軸51に近いほど大きくなる。その結果、調湿材43のy軸の方向の単位長さあたりの調湿材43の容積も、回転軸51に近いほど大きくなる。
【0083】
[駆動部]
図4及び
図5に示されるように、本実施形態の駆動部28は、調湿部16(第1チャンバー45及び第2チャンバー46)を、ケーシング26(副ケーシング27)の内でx軸の回りに回転させるためのものである。駆動部28は、調湿部16を回転可能なものであれば、特に限定されない。本実施形態の駆動部28は、例えば、回転駆動可能なモーターとして構成されている。このような駆動部28は、回転軸51に接続されることにより、調湿部16を回転させることができる。
【0084】
本実施形態の駆動部28は、第1側面材33Aに固定されている。
図3及び
図4に示されるように、本実施形態では、第1空間18Aにおいて、駆動部28が露出している。これにより、主ケーシング12に設けられた扉部21から第1空間18Aを介して、駆動部28に容易にアクセスでき、メンテナンス性が向上する。
【0085】
本実施形態の駆動部28は、調湿部16を回転軸51の回りに回転(本例では、180度回転)させることにより、調湿部16を第1状態及び第2状態に切替可能に構成されている。
図7(a)は、第1状態を示す断面図である。
図7(b)は、第2状態を示す断面図である。
図7では、第1チャンバー45の調湿材43と、第2チャンバー46の調湿材43とを区別しやすくするために、異なる色が付されている。さらに、
図7の外気A3に色が付されている。
【0086】
第1状態(
図7(a)に示す)及び第2状態(
図7(b)に示す)の切り替えは、住宅2の居住者が駆動部28(
図4及び
図5に示す)を操作することで行ってもよいし、制御装置25(
図1に示す)が駆動部28を制御することで行われてもよい。本実施形態では、制御装置25が駆動部28を制御することによって、調湿部16が、第1状態及び第2状態のいずれかに切り替えられる。
【0087】
[第1状態]
図7(a)に示されるように、第1状態は、第1入口35Aからの空気が第1チャンバー45を経由して第1出口36Aへと流れ、かつ、第2入口35Bからの空気が第2チャンバー46を経由して第2出口36Bで流れる状態である。
【0088】
ケーシング26(副ケーシング27)の第1入口35Aには、空気調和機13(
図4に示す)の空調空気A1が供給される。例えば、冬季において、空気調和機13が暖房運転している場合には、空調空気(温められた空調空気)A1の相対湿度が低くなる。このような相対湿度が低い空調空気A1が、第1チャンバー45(調湿エレメント53)のz軸方向の一端45aから他端45bに通過することにより、第1チャンバー45の調湿材43(調湿エレメント53)に吸着している水蒸気が放出される。これにより、空調空気A1の相対湿度が高められる。
【0089】
本実施形態の第1状態では、調湿材43(調湿エレメント53)からの水蒸気の放出により、第1チャンバー45内の空気(空調空気A1)の相対湿度が、第1チャンバー45の一端45aから他端45bにかけて徐々に高くなる。そして、相対湿度が高められた(第1チャンバー45の他端45bを通過した)空調空気A1は、ケーシング26(副ケーシング27)の第1出口36Aから第1流路11を介して、複数の居室5(
図1に示す)に供給される。これにより、第1状態では、複数の居室5を暖房しつつ効果的に加湿することができる。
【0090】
一方、ケーシング26(副ケーシング27)の第2入口35Bには、外気供給部37から外気A3が供給される。例えば、冬季の外気A3は、夏季の外気(図示省略)に比べて、相対湿度が高くなる。このような相対湿度が高い外気A3が、第2チャンバー46のz軸方向の一端46aから他端46bに通過することにより、外気A3に含まれる水蒸気が、第2チャンバー46の調湿材43(調湿エレメント53)に吸着する。これにより、調湿材43の加湿能力を回復させることが可能となる。
【0091】
本実施形態の第1状態では、調湿材43(調湿エレメント53)への水蒸気の吸着により、第2チャンバー46内の空気(外気A3)の相対湿度が、第2チャンバー46の一端46aから他端46bにかけて徐々に低くなる。そして、相対湿度が低くなった(第2チャンバー46の他端46bを通過した)外気A3は、第2出口36Bから第3流路41を介して、小屋裏39(
図1に示す)に供給される。これにより、第1状態では、小屋裏39を除湿する(小屋裏39の結露を抑制)ことが可能となる。
【0092】
[第2状態]
図7(b)に示されるように、第2状態は、第1入口35Aからの空気が第2チャンバー46を経由して第1出口36Aへと流れ、かつ、第2入口35Bのからの空気が第1チャンバー45を経由して第2出口へと流れる状態である。
【0093】
ケーシング26(副ケーシング27)の第1入口35Aには、空気調和機13の空調空気(本例では、相対湿度が低い空調空気)A1が供給される。このような相対湿度が低い空調空気A1が、第2チャンバー46の他端46bから一端46aに通過することにより、第2チャンバー46の調湿材43の吸着している水蒸気が放出され、空調空気A1の相対湿度が高められる。
【0094】
本実施形態の第2状態では、調湿材43(調湿エレメント53)からの水蒸気の放出により、第2チャンバー46内の空気(空調空気A1)の相対湿度が、第2チャンバー46の他端46bから一端46aにかけて徐々に高くなる。相対湿度が高められた(第2チャンバー46の一端46aを通過した)空調空気A1は、ケーシング26(副ケーシング27)の第1出口36Aから第1流路11を介して、複数の居室5(
図1に示す)に供給される。これにより、第2状態では、第1状態と同様に、複数の居室5を暖房しつつ効果的に加湿することができる。
【0095】
第2状態での第2チャンバー46内の空調空気A1の流れ(他端46bから一端46aへの流れ)は、
図7(a)に示した第1状態での第2チャンバー46内の外気A3の流れ(一端46aから他端46bへの流れ)とは逆向きとなる(すなわち、対向流となる)。
【0096】
上述したように、第2状態での第2チャンバー46内の空気(空調空気A1)の相対湿度は、他端46bから一端46aにかけて徐々に高くなる。一方、第1状態での第2チャンバー46内の空気(外気A3)の相対湿度は、一端46aから他端46bにかけて徐々に低くなる(すなわち、第2状態と同様に、他端46bから一端46aにかけて徐々に高くなる)。これにより、本実施形態では、第1状態(
図7(a)に示す)と第2状態(
図7(b)に示す)との間の相対湿度の差が、第2チャンバー46の一端46a側から他端46b側にかけて偏ることを抑制(すなわち、相対湿度の差を均一に近づけることが)できる。したがって、本実施形態の調湿装置15は、特許文献(特開2019-207062号公報)と同様に、調湿材43の吸放湿性能を、第2チャンバー46の一端46a側から他端46b側にかけて全体的に活用することが可能となる。
【0097】
第2状態において、ケーシング26(副ケーシング27)の第2入口35Bには、外気供給部37からの外気(本例では、相対湿度が高い外気)A3が供給される。このような相対湿度が高い外気A3が、第1チャンバー45の他端45bから一端45aに通過することにより、外気A3に含まれる水蒸気を、第1チャンバー45の調湿材43に吸着させることができ、調湿材43の加湿能力を回復させることが可能となる。
【0098】
本実施形態の第2状態では、調湿材43(調湿エレメント53)への水蒸気の吸着により、第1チャンバー45内の空気(外気A3)の相対湿度が、第1チャンバー45の他端45bから一端45aにかけて徐々に低くなる。そして、相対湿度が低くなった(第1チャンバー45の一端45aを通過した)外気A3は、第2出口36Bから第3流路41を介して、小屋裏39(
図1に示す)に供給される。これにより、第2状態では、小屋裏39を除湿(小屋裏39の結露を抑制)することが可能となる。
【0099】
第2状態での第1チャンバー45内の外気A3の流れ(他端45bから一端45aへの流れ)は、
図7(a)に示した第1状態での第1チャンバー45内の空調空気A1の流れ(一端45aから他端45bへの流れ)とは逆向きとなる(すなわち、対向流となる)。
【0100】
上述したように、第2状態での第1チャンバー45内の空気(外気A3)の相対湿度は、他端45bから一端45aにかけて徐々に低くなる。一方、第1状態での第1チャンバー45内の空気(空調空気A1)の相対湿度は、一端45aから他端45bにかけて徐々に高くなる(すなわち、第2状態と同様に、他端45bから一端45aにかけて徐々に低くなる)。これにより、本実施形態では、第1状態(
図7(a)に示す)と第2状態(
図7(b)に示す)との間の相対湿度の差が、第1チャンバー45の一端45a側から他端45b側にかけて偏ることを抑制(すなわち、相対湿度の差を均一に近づけることが)できる。したがって、本実施形態の調湿装置15は、調湿材43の吸放湿性能を、第1チャンバー45の一端45a側から他端45b側にかけて全体的に活用することが可能となる。
【0101】
[調湿装置(住宅)の作用]
このように、本実施形態の調湿装置15は、駆動部28が調湿部16をx軸の回りに回転させることにより、調湿部16が第1状態(
図7(a)に示す)及び第2状態(
図7(b)に示す)に切り替えられる。このような切り替えにより、空調空気A1を、第1チャンバー45及び第2チャンバー46に交互に通過させることができるため、空調及び加湿された空調空気A1を、複数の居室5に連続的に、かつ、効率よく供給することが可能となる。
【0102】
さらに、第1状態(
図7(a)に示す)と第2状態(
図7(b)に示す)との切り替えにより、外気(本例では、相対湿度が高い外気)A3を、第1チャンバー45及び第2チャンバー46に交互に通過させることができる。これにより、第1チャンバー45及び第2チャンバー46の調湿材43を連続的に回復することが可能となる。
【0103】
このように、本実施形態の住宅2では、調湿装置15を、居室5への空気搬送経路中に介在させることにより、複数の居室5(
図1に示す)が安定的に調湿及び空調されうる。なお、複数の居室5を安定的に調湿するために、第1状態と第2状態とを切り替えるタイミングは、予め定められた時間(例えば、調湿材43に含まれる水蒸気の大部分が放出されるまでの時間)に設定されるのが好ましい。
【0104】
また、本実施形態では、空調空気A1と外気A3とを、上述のような対向流とすることにより、第1チャンバー45の一端45a側から他端45b側にかけて、第1状態と第2状態との間の相対湿度の差が偏ることが抑制される。さらに、第2チャンバー46の一端46a側から他端46b側にかけて、第1状態と第2状態との間の相対湿度の差が偏ることが抑制される。これにより、本実施形態の調湿装置15は、第1チャンバー45及び第2チャンバー46の調湿材43の吸放湿性能を全面的に活用することが可能となる。
【0105】
さらに、本実施形態の調湿装置15は、調湿部16をx軸の回りに回転させるだけで、第1状態及び第2状態に切替可能であるため、特許文献1のようなダンパーを必要としない。したがって、本実施形態の調湿装置15は、ダンパーの個数を低減することができ、メンテナンスを軽減しうる。
【0106】
図7(a)に示した第1状態において、第1出口36Aと第1チャンバー45(第1仕切部47、第2仕切部48、第1側面材33A及び第2側面材33Bで区画された空間)とは、z軸の方向に沿った一直線の流路(一点鎖線で示す)を形成しているのが好ましい。これにより、第1チャンバー45と第1出口36Aとの間において、調湿された空調空気A1の圧力損失が低減されうる。したがって、第1状態において、調湿された空調空気A1は、複数の居室5(
図1に示す)に効率よく供給されうる。
【0107】
さらに、第1状態において、第1入口35Aと第1チャンバー45とは、z軸の方向に沿った一直線の流路(
図7(a)において一点鎖線で示す)を形成しているのが好ましい。これにより、第1入口35Aと、第1チャンバー45との間において、空調空気A1の圧力損失が低減され、空調空気A1が第1チャンバー45内に円滑に案内される。したがって、空調空気A1が効率よく調湿されうる。
【0108】
また、第1状態において、第2出口36Bと第2チャンバー46(第1仕切部47、第3仕切部49、第1側面材33A及び第2側面材33Bで区画された空間)とは、z軸の方向に沿った一直線の流路を形成しているのが好ましい。これにより、第2チャンバー46と第2出口36Bとの間において、調湿材43の回復に用いられた外気A3の圧力損失が低減され、小屋裏39(
図1に示す)に効率よく供給されうる。
【0109】
第1状態と同様に、
図7(b)に示した第2状態において、第1出口36Aと第2チャンバー46とは、z軸の方向に沿った一直線の流路(一点鎖線で示す)を形成しているのが好ましい。これにより、第2状態において、調湿された空調空気A1は、複数の居室5(
図1に示す)に効率よく供給されうる。
【0110】
さらに、第2状態において、第1入口35Aと第2チャンバー46とは、z軸の方向に沿った一直線の流路を形成しているのが好ましい。これにより、空調空気A1が第2チャンバー46に円滑に案内され、空調空気A1が効率よく調湿されうる。
【0111】
また、第2状態において、第2出口36Bと第1チャンバー45とは、z軸の方向に沿った一直線の流路を形成しているのが好ましい。これにより、第1チャンバー45と第2出口36Bとの間において、調湿材43の回復に用いられた外気A3の圧力損失が低減され、小屋裏39(
図1に示す)に効率よく供給されうる。
【0112】
本実施形態の第1チャンバー45の調湿材43及び第2チャンバー46の調湿材43は、y軸の方向の単位長さあたりの調湿材43の容積が、回転軸51に近いほど大きく設定されている。これにより、各調湿材43、43の重心が、回転軸51側に偏るようにそれぞれ設定されるため、駆動部28のトルクが大きくなるのを防ぐことができる。
【0113】
さらに、回転軸51側の調湿材43の容積が大きく設定されるため、駆動部28のトルクが大きくなるのを抑制しつつ、ケーシング26(副ケーシング27)内の限られたスペースで、調湿材43の容積を最大化(拡大)することが可能となる。
【0114】
一方、y軸の方向の単位長さあたりの調湿材43の容積が、回転軸51から遠いほど小さく設定されるため、調湿部16の回転半径R1(
図6に示す)を小さくすることができる。したがって、調湿装置15(ケーシング26)をコンパクトにすることが可能となる。
【0115】
また、第1チャンバー45の調湿材43及び第2チャンバー46の調湿材43は、z軸に沿った長さが異なる複数の調湿エレメント53(本例では、第1調湿エレメント53A及び第2調湿エレメント53B)で構成されている。本実施形態では、第1調湿エレメント53A及び第2調湿エレメント53Bのうち、z軸の方向に沿った長さが相対的に大きい第1調湿エレメント53Aが、調湿部16の回転軸51側に配置されている。これにより、回転軸51に近いほど、調湿材43のy軸の方向の単位長さあたりの調湿材43のz軸に沿った長さを大きくすることができ、その結果、調湿材43のy軸の方向の単位長さあたりの調湿材43の容積を、容易に大きくすることが可能となる。
【0116】
本実施形態では、調湿エレメント53が分解可能に固定されている。これにより、調湿材43をケーシング26(副ケーシング27)から容易に取り出すことができ、メンテナンス性が向上する。このようなメンテナンス性を向上させるために、複数の調湿エレメント53が、それぞれ、ケーシング26(副ケーシング27)の開口部42から出し入れ可能であるのが好ましい。これにより、調湿材43のメンテナンス性が向上する。
【0117】
図8(a)~(b)は、一方のチャンバー(第1チャンバー45)の複数の調湿エレメント53が開口部42から取り出される状態を示す側面図である。
図8(a)に示されるように、
図6に示した調湿部16を90度回転させて、複数の調湿エレメント53がz軸の方向に並べられる。
図8(a)に示されるように、第1チャンバー45及び第2チャンバー46のうち、一方のチャンバー(本例では、第1チャンバー45)の第2調湿エレメント53B(2点鎖線で示す)が、ケーシング26(副ケーシング27)の開口部42側に配されている。
【0118】
次に、開口部42が開かれた後に、一方のチャンバー(本例では、第1チャンバー45)の第2調湿エレメント53Bが、開口部42から取り出される。本実施形態では、第2調湿エレメント53Bが取り出される前に、第1チャンバー45の第2仕切部48が取り外されている。
【0119】
次に、
図8(b)に示されるように、一方のチャンバー(本例では、第1チャンバー45)の第1調湿エレメント53Aが、開口部42から取り出される。これにより、一方のチャンバー(本例では、第1チャンバー45)の第1調湿エレメント53A及び第2調湿エレメント53Bが、ケーシング26(副ケーシング27)、及び、主ケーシング12(
図2に示す)から容易に取り出されうる。
【0120】
図9(a)~(b)は、他方のチャンバー(第2チャンバー46)の複数の調湿エレメント53が開口部42から取り出される状態を示す側面図である。
図9(a)に示されるように、
図8(b)に示した調湿部16を180度回転させることにより、他方のチャンバー(本例では、第2チャンバー46)の第2調湿エレメント53B(二点鎖線で示す)が、開口部42側に配置される。本実施形態では、第2チャンバー46の調湿材43の重心が、回転軸51側に偏って設定されている。これにより、一方のチャンバー(第1チャンバー45)の調湿材43(第1調湿エレメント53A及び第2調湿エレメント53B)が取り外された状態でも、小さなトルクで、調湿部16を回転させることが可能となる。
【0121】
次に、他方のチャンバー(本例では、第2チャンバー46)の第2調湿エレメント53Bが、開口部42から取り出される。本実施形態では、第2調湿エレメント53Bが取り出される前に、第2チャンバー46の第3仕切部49が取り外されている。
【0122】
次に、
図9(b)に示されるように、他方のチャンバー(本例では、第2チャンバー46)の第1調湿エレメント53Aが、開口部42から取り出される。これにより、他方のチャンバー(本例では、第2チャンバー46)の第1調湿エレメント53A及び第2調湿エレメント53Bが、ケーシング26(副ケーシング27)、及び、主ケーシング12から容易に取り出されうる。
【0123】
第1チャンバー45及び第2チャンバー46への調湿エレメント53(本例では、第1調湿エレメント53A及び第2調湿エレメント53B)の取り付けは、
図8及び
図9に示した調湿エレメント53を取り出す手順とは逆の手順に基づいて行うことができる。
【0124】
このように、本実施形態の調湿装置15(調湿部16)では、ケーシング26(副ケーシング27)に設けられた開口部42から、調湿エレメント53を容易に出し入れすることができるため、メンテナンス性が向上する。
【0125】
本実施形態の調湿装置15(調湿部16)は、主ケーシング12、空気調和機13及び空気圧送具14を含む空調・調湿ユニット10に配されている。このため、本実施形態の空調・調湿ユニット10は、例えば、空気調和機と調湿チャンバーとがそれぞれ別の場所に設けられている上記特許文献1とは異なり、空気調和機13及び調湿装置15(調湿部16)に容易にアクセスすることができる。したがって、メンテナンス性が向上する。
【0126】
さらに、本実施形態の空調・調湿ユニット10では、
図4に示されるように、内部流路24に配された空気圧送具14により、主ケーシング12の入口22から出口23に向かう空気流が生成される。これにより、主ケーシング12内において、空気調和機13による空調空気A1が、調湿装置15(調湿部16)に直接供給される。したがって、本実施形態の空調・調湿ユニット10は、空調空気A1が調湿装置15(調湿部16)に供給されるまでに、空調空気A1の温度や相対湿度の変化が抑制され、空調効率及び調湿効率が向上する。
【0127】
本実施形態では、冬季において、居室5(
図1に示す)が加湿される態様が例示されたが、このような態様に限定されない。例えば、夏季において、居室5が除湿されてもよい。この場合、調湿部16の第1チャンバー45及び第2チャンバー46の一方に、相対湿度が高い(冷やされた)空調空気A1が供給されることで、空調空気A1に含まれる水蒸気を、調湿材43に吸着させることができる。また、第1チャンバー45及び第2チャンバー46の他方には、相対湿度が低い外気A3が供給されることにより、調湿材43に吸着している水蒸気が放出され、除湿能力を回復することができる。
【0128】
[調湿装置(第2実施形態)]
図5及び
図6に示されるように、これまでの実施形態の第1調湿エレメント53A及び第2調湿エレメント53Bは、z軸の方向の一端53a及び他端53bが、z軸と直行する平面状(x軸-y軸に広がる平面状)に形成されたが、このような態様に限定されない。一端53a及び他端53bは、例えば、z軸と直行する平面に対して交差する平面状(斜面状)に形成されてもよい。
図10は、本発明の他の実施形態の調湿材43を示す断面図である。
【0129】
この実施形態の調湿エレメント53の一端53a及び他端53bは、調湿材43のy軸の方向の単位長さあたりの調湿材43のz軸に沿った長さが、回転軸51に近いほど大きくなるように、z軸と直行する平面に対して斜めに形成されている。これにより、調湿材43の重心が、回転軸51側に偏るように設定されるため、駆動部28のトルクを減らすことが可能となる。さらに、調湿エレメント53は、一端53a又は他端53bに供給される空調空気A1又は外気A3との摩擦を小さくでき、圧力損失を低減することができる。
【0130】
また、第1チャンバー45の調湿材43及び第2チャンバー46の調湿材43は、
図6において二点鎖線で示した回転円に沿った円弧状の外周面を有していてもよい。これにより、ケーシング26(副ケーシング27)内の限られたスペースで、調湿材43の容積を最大化(拡大)することが可能となる。
【0131】
[調湿装置(第3実施形態)]
図6及び
図10に示されるように、これまでの実施形態の調湿材43は、複数の調湿エレメント53(第1調湿エレメント53A、第2調湿エレメント53B)で構成されたが、このような態様に限定されない。例えば、調湿材43は、一つの調湿エレメント53のみ(図示省略)で構成されてもよい。このような調湿材43は、複数の調湿エレメント53で構成される場合に比べて、製造コストを低減することが可能となる。
【0132】
[調湿装置(第4実施形態)]
図1及び
図4に示されるように、これまでの実施形態の調湿装置15は、主ケーシング12、空気調和機13及び空気圧送具14を含む空調・調湿ユニット10に配されたが、このような態様に限定されない。調湿装置15(ケーシング26)は、空気調和機13が設けられた主ケーシング12とは別の場所(例えば、小屋裏39など)に設けられてもよい。この場合、主ケーシング12と調湿装置15との間には、例えば、空調空気A1を供給可能なダクトが設けられる。これにより、住宅2内の任意の場所に、調湿ユニット10を設置することができ、空調・調湿ユニット10(主ケーシング12)の大型化を抑制することが可能となる。この場合、主ケーシング12と、ケーシング26(副ケーシング27)との間を延びる空気流路(図示省略)を介して、空調空気A1が調湿装置15に供給されるのが好ましい。
【0133】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0134】
15 調湿装置
16 調湿部
26 ケーシング
28 駆動部
45 第1チャンバー
46 第2チャンバー