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特開2023-122152通信装置、スマートメータ、通信方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122152
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】通信装置、スマートメータ、通信方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/10 20090101AFI20230825BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20230825BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20230825BHJP
【FI】
H04W24/10
H04W84/18
H04W8/00 110
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025651
(22)【出願日】2022-02-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】永山 誠
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB27
5K067DD24
5K067DD28
5K067DD41
5K067EE02
5K067EE16
5K067FF18
5K067FF31
5K067LL05
(57)【要約】
【課題】通信装置間での動作有無の相互の検知を、形成した通信ネットワークにおける通信量の増加なく行う通信装置を提供する。
【解決手段】他の通信装置との間で通信ネットワークを形成し、その自装置を含んで構成する通信ネットワークに含まれない他の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置を探索する。当該探索に基づいて対象の通信装置との間で相互通信を行い、相互通信において所定の条件を契機に、通信ネットワークを構成する通信装置のうちの所定の通信先の通信装置へ対象の通信装置に関する情報を送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信装置との間で通信ネットワークを形成する形成手段と、
自装置を含んで構成する前記通信ネットワークに含まれない他の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置を探索する探索手段と、
前記探索に基づいて前記対象の通信装置との間で相互通信を行う接続手段と、
前記相互通信において所定の条件を契機に、前記通信ネットワークを構成する通信装置のうちの所定の通信先の通信装置へ前記対象の通信装置に関する情報を送信する送信手段と、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記形成手段は、他の通信装置との間で通信ネットワークのツリー構造を形成し、
前記探索手段は、自装置が属する前記ツリー構造とは異なるツリー構造に属する他の通信装置のうち直接の通信接続ができる前記対象の通信装置を探索する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記探索手段は、自装置が含まれるツリー構造の情報と前記直接の通信接続ができる通信装置が含まれるツリー構造の情報とを比較して一致しない場合に、当該直接の通信接続ができる通信装置を前記対象の通信装置と決定する
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記接続手段は、前記対象の通信装置との間で当該対象の通信装置の動作有無の確認を行う前記相互通信を行い、
前記送信手段は、前記動作有無の確認に基づいて前記対象の通信装置の動作が無いことを検出された場合に前記対象の通信装置に関する情報として前記対象の通信装置の動作が無いことを示す情報を送信する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記送信手段は、前記相互通信における所定の条件であって、前記対象の通信装置の動作が無いことを示す条件を満たす場合に、前記対象の通信装置に関する情報を送信する
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記送信手段は、前記相互通信における所定の条件であって、前記対象の通信装置の電力状態が低下していることを示す条件を満たす場合に、前記対象の通信装置に関する情報を送信する
請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信ネットワークを無線通信により形成する請求項2から6の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の通信装置を備えたスマートメータ。
【請求項9】
他の通信装置との間で通信ネットワークを形成し、
自装置を含んで構成する前記通信ネットワークに含まれない他の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置を探索し、
前記探索に基づいて前記対象の通信装置との間で相互通信を行い、
前記相互通信において所定の条件を契機に、前記通信ネットワークを構成する通信装置のうちの所定の通信先の通信装置へ前記対象の通信装置に関する情報を送信する
通信装置の通信方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項9に記載の通信装置の通信方法を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、スマートメータ、通信方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
他の通信装置との間で通信ネットワークのツリー構造を形成する通信ネットワークの技術が存在する。このようなツリー構造により、当該ツリー構造に含まれるある通信装置が、ツリー構造を構成する他の通信装置を介して、当該ツリー構造のルートの通信装置などの所定の通信装置に、決められた情報を送信することがある。特許文献1には、電力需要家に設置されている電力メータと、当該電力メータに対応する電池駆動メータにより構成される停電検出システムの技術が開示されている。
【0003】
当該特許文献1の技術では、予め電池駆動メータと電力メータとが一対一で対応付けされている。また特許文献1の技術において電池駆動メータは、電力メータに無線信号を定期的に送信し、その応答状況に基づいて、対応電力メータが設置された電力需要家の停電状況を判断する。また特許文献1の技術において、電池駆動メータは、電力需要家に停電有りと判断すると、その旨の情報である停電検出通知を上位ネットワークに送信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-118196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような他の通信装置との間で通信ネットワークを形成する通信ネットワークの技術において、通信装置間での動作有無の相互の検知を、形成した通信ネットワークにおける通信量の増加なく行うことが求められている。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する通信装置、スマートメータ、通信方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の第一の態様によれば、通信装置は、他の通信装置との間で通信ネットワークを形成する形成手段と、自装置を含んで構成する前記通信ネットワークに含まれない他の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置を探索する探索手段と、前記探索に基づいて前記対象の通信装置との間で相互通信を行う接続手段と、前記相互通信において所定の条件を契機に、前記通信ネットワークを構成する通信装置のうちの所定の通信先の通信装置へ前記対象の通信装置に関する情報を送信する送信手段と、を備える。
【0008】
発明の第二の態様によれば、通信装置の通信方法は、他の通信装置との間で通信ネットワークを形成し、自装置を含んで構成する前記通信ネットワークに含まれない他の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置を探索し、前記探索に基づいて前記対象の通信装置との間で相互通信を行い、前記相互通信において所定の条件を契機に、前記通信ネットワークを構成する通信装置のうちの所定の通信先の通信装置へ前記対象の通信装置に関する情報を送信する。
【0009】
発明の第三の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、請求項9に記載の通信装置の通信方法を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、他の通信装置との間で通信ネットワークを形成する通信ネットワークの技術において、通信装置間での動作有無の相互の検知を、形成した通信ネットワークにおける通信量の増加なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態による電力計測システムの概略構成を示す図である。
図2】第一の実施形態による電力計測システムの概略構成を示す図である。
図3】第一の実施形態によるスマートメータMの機能ブロック図である。
図4】ルーティング構成情報のデータ例を示す図である。
図5】第一の実施形態による電力計測システムの処理フローを示す第一の図である。
図6】第一の実施形態による電力計測システムの処理フローを示す第二の図である。
図7】第一の実施形態による電力計測システムの処理フローを示す第三の図である。
図8】第二の実施形態によるスマートメータMの機能ブロック図である。
図9】第二の実施形態による電力計測システムの処理フローを示す第一の図である。
図10】第二の実施形態による電力計測システムの処理フローを示す第二の図である。
図11】第二の実施形態による通信装置の処理結果を示す図である。
図12】第三の実施形態によるスマートメータMの機能ブロック図である。
図13】通信装置の最小構成を示す図である。
図14】最小構成による通信装置の処理フローを示す図である。
図15】通信装置を実現可能な計算処理装置のハードウェア構成例を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による通信装置を備えたスマートメータを含む電力計測システムを図面を参照して説明する。
図1は本実施形態による通信装置を備えたスマートメータを複数含む電力計測システムの概略構成を示す図である。
電力計測システム100は図1示すようにサーバS0、コンセントレータCA、スマートメータMA1、MA2、MA3、MA4を少なくとも含んで構成される。電力計測システム100を構成する、サーバS0、コンセントレータCA、スマートメータMA1、MA2、MA3、MA4などのシステムを構成する各装置は、ツリー構造Aを形成して通信接続している。当該ツリー構造AにおいてサーバS0がルートに、その配下にコンセントレータCAが、またその配下にスマートメータMA1、MA2、MA3、MA4が接続してツリー構造Aを成している。コンセントレータCAの配下には、スマートメータMA1、MA2、MA3、MA4とは異なる他のスマートメータMAが通信接続されていてよい。またスマートメータMA1、MA2、MA3、MA4にも他のスマートメータMAが通信接続されていてよい。図1に示すツリー構造Aは、電力計測システム100の一例である。
【0013】
なお電力計測システム100には、複数のサーバやコンセントレータが含まれてよい。複数のサーバを総称してサーバSと呼ぶ。複数のコンセントレータを総称してコンセントレータCと呼ぶ。複数のスマートメータを総称してスマートメータM、またはツリー構造Aのみに含まれるスマートメータを総称してスマートメータMAと呼ぶ。電力計測システム100において複数のサーバSが備わる場合には、それらサーバSそれぞれルートとする複数のツリー構造が形成される。
【0014】
なお電力計測システム100において、サーバSとコンセントレータCとは有線ネットワークを介して通信接続する。また電力計測システム100においてコンセントレータCと1つまたは複数のスマートメータMとは無線通信接続する。またあるスマートメータMと他のスマートメータMとは無線通信接続する。電力計測システム100は、マルチホップ通信を行って、あるスマートメータMの送信した情報が、そのスマートメータMと同じツリー構造Aを構成する他のスマートメータMAを経由してコンセントレータCへ送信され、コンセントレータCがサーバS0へその情報を送信する。
【0015】
<第一の実施形態>
図2は第一の実施形態による通信装置を備えたスマートメータを複数含む電力計測システムの概略構成を示す図である。
本実施形態による電力計測システム100は、図2で示すように複数のツリー構造により構成されてよい。図2で示す電力計測システム100は、ツリー構造Aとツリー構造Bの2つのツリー構造により構成される。ツリー構造Aのルートを構成する装置と、ツリー構造Bのルートを構成する装置は同じサーバS0であるとする。図2で示す電力計測システムは、サーバS0をルートとして、コンセントレータCAとコンセントレータCBとが通信接続している。またコンセントレータCAにスマートメータMA1とその他のスマートメータMAが通信接続し、スマートメータMA1にスマートメータMA2が通信接続する。またコンセントレータCBにスマートメータMB1とその他のスマートメータMBとが通信接続している。図1と同様に、サーバS0とコンセントレータCA、サーバS0とコンセントレータCBとはそれぞれ有線ネットワークを介して通信接続する。また電力計測システム100においてコンセントレータCBと1つまたは複数のスマートメータMBとは無線通信接続する。ここでツリー構造Bのみに含まれるスマートメータを総称してスマートメータMBと呼ぶ。またスマートメータMBと他のスマートメータMBとは無線通信接続する。電力計測システム100は、マルチホップ通信を行って、あるスマートメータMAの送信した情報が、ツリー構造Aを構成する他の通信装置を経由してコンセントレータCAへ送信され、コンセントレータCAがサーバS0へその情報を送信する。また電力計測システム100は、マルチホップ通信を行って、あるスマートメータMBの送信した情報が、ツリー構造Bを構成する他の通信装置を経由してコンセントレータCBへ送信され、コンセントレータCBがサーバS0へその情報を送信する。
【0016】
ここで、電力会社システムは電力計測システム100のスマートメータMやコンセントレータCから得た情報を用いて各電力需要家における停電状況を表示する停電情報システムを構成している。当該停電情報システムは、台風などによる災害で大規模停電が発生したときに、停電の復旧作業が完了した地域の情報や、停電の復旧作業が完了していない地域の情報を表示する。この時、電力会社の停電情報システム上では停電の復旧作業が完了した、と表示されている地区にも関わらず、実際には停電状態が続くいわゆる「隠れ停電」と呼ばれる問題が発生する。
【0017】
停電情報システムは高圧線の復旧作業が完了するとその高圧線の復旧作業が完了した地域の情報として「停電解消」と表示する。もし、高圧線から個別電力の需要家(電力の消費者)をつなぐ低圧線や引込線が損傷して停電していたとしても、停電情報システムではそれらの損傷等を認識できないことが「隠れ停電」の原因である。停電発生時に高圧線での停電検知だけでなく、低圧線や引込線より電力需要家側での停電検知が可能となれば「隠れ停電」を解決できる。各電力需要家の使用した電力を計測して通信機能によって電力会社へ通知するスマートメータMも、停電時には電源電力を失っており、停電であることを通知できない。スマートメータMは、停電してから信号の送信を終えるまでに必要な電力を蓄える電池などを搭載することで、停電する瞬間にその旨を知らせる信号を送信するラストガスプ(Last Gasp)機能の実現が期待されている。しかしながら、電池を搭載することでスマートメータの装置の高額化、大型化になってしまう。
【0018】
一方で、スマートメータMは一例として30分毎に電力使用量を計測し、上述のマルチホップ通信を用いて電力会社(サーバS0等)にそれら電力使用量を送信する。この送信した計測情報は「30分値」などと呼ばれる。将来的にスマートメータMは、15分毎や5分毎に電力使用量を計測し、電力会社(サーバS0等)に計測情報を送信したいニーズがある。データを送付する頻度を増やすと、マルチホップ通信の無線通信間における単位時間当たりの伝送量を増加するなどの対応が必要となる。
【0019】
ここで上述の隠れ停電を検知するためには、個々のスマートメータMが動作しているかどうかをチェックするためのヘルスチェックが必要となる。しかしながら、ヘルスチェックをおこなう為にツリー構造を構成するスマートメータMの間でヘルスチェックのための通信を行うと、その通信により無線通信間における単位時間当たりの伝送量を削減することができない。本開示では、このようなヘルスチェックの通信量の増加を抑制すると共に、隠れ停電となるスマートメータMを検知することを目的とする。
【0020】
本実施形態の電力計測システム100の概要について説明する。あるスマートメータMAを例に説明する。スマートメータMAに含まれる通信装置は、自装置のルーティングテーブル情報からコンセントレータCAの装置情報を入手する。スマートメータMAの通信装置は、近傍に位置するスマートメータMを探索して、自装置が属するツリー構造Aとは異なる他のツリー構造Bに属するスマートメータMBと通信接続できたとする。この場合、スマートメータMAの通信装置は、スマートメータMBの通信装置と通信を行う。スマートメータMAの通信装置は、スマートメータMBの通信装置が記憶するルーティングテーブル情報に含まれるコンセントレータCBの装置情報を取得する。スマートメータMAの通信装置は、自装置と共にツリー構造Aに含まれるコンセントレータCAの装置情報と、スマートメータMBの通信装置から取得したルーティングテーブル情報から得たコンセントレータCBの装置情報と比較を行う。スマートメータMAの通信装置は、比較したコンセントレータCBの装置情報が異なる場合、つまりマルチホップのルーティング先が異なる場合、そのスマートメータMBの通信装置をヘルスチェックの対象の通信装置として特定し、相互グループを形成する。相互グループを形成したスマートメータMAの通信装置とスマートメータMBの通信装置は、相互に周期的に報知データを送受信してヘルスチェックを行う。スマートメータMAの通信装置は、相互グループを形成したスマートメータMBの通信装置から所定期間以上の間に報知データを受信しなかった場合に、スマートメータMBの電力需要家において停電が発生したと推定する。この場合、スマートメータMAの通信装置は、自装置が属するツリー構造Aのルーティング先であるコンセントレータCAを経由してサーバS0へ、スマートメータMBの設置されている電力需要家において停電が発生したことを示すヘルスチェックの結果の情報を送信する。これにより、サーバS0は、動作していないスマートメータMBを検知することができる。
【0021】
このような処理において、ヘルスチェックの相互グループを形成したスマートメータMAの通信装置とスマートメータMBの通信装置の間の無線通信経路は、通常は、スマートメータMの計測情報の送受信が行われない通信経路である。従って、電力計測システム100は、このような、通常は情報の送受信が行われない無線通信経路を利用して、普段の相互のヘルスチェックを行うことで、電力計測システム100における通信量の増加を抑制することができる。またこのため、スマートメータMが動作しているかどうかのヘルスチェックを行うために、電力計測システム100においてスマートメータMが電力需要家の使用電力などの計測情報を送受信している無線通信間の単位時間当たりの伝送量の増加を図る必要がなくなる。また、停電時、スマートメータMBが、停電が発生していることを報知するための電力を確保するためのバッテリを搭載することなく、スマートメータMAがスマートメータMBの停電の状態をサーバS0に送信する。従って、停電が発生していることを報知するための電力確保のためのバッテリをスマートメータMに備える必要が無いため、スマートメータMに含まれる通信装置の大型化や、価格の上昇を抑えることができる。
【0022】
なお、スマートメータMAの通信装置は、ルーティングテーブル情報からコンセントレータCの装置情報を比較して、相手側のスマートメータMの通信装置のマルチホップ無線通信のルーティング先であるコンセントレータCと、自装置のマルチホップ無線通信のルーティング先であるコンセントレータCとが同じコンセントレータCであると判定する場合がある。このような場合には、スマートメータMAの通信装置は、通信接続のできた相手側のスマートメータMの通信装置とは、相互グループを形成せず、そのスマートメータMの通信装置とはヘルスチェックも行わない。同じコンセントレータCをルーティング先とする通信装置を除外し、異なるコンセントレータCとルーティングしている通信装置とのみヘルスチェックの相互グループを形成する。これにより、通信装置は、本来のマルチホップ通信経路にある他の通信装置との間でヘルスチェックを行わない為、当該通信経路における通常の計測データの送受信とヘルスチェックのデータの送受信とが重複することが無くなる。これにより、本来のマルチホップ通信経路の通信負荷を増大させずに、ヘルスチェックの相互グループを形成することができる。
【0023】
図3は第一の実施形態によるスマートメータMの機能ブロック図である。
電力計測システム100を構成する各スマートメータMは、通信装置2、電力量計3、開閉器4を備える。通信装置2は、他の通信装置2と通信接続する。電力量計3はスマートメータMが設置された電力需要家の使用した電力を計測する。開閉器4は、サーバS0からの信号に基づいて、電力需要家への電力の供給の開始と停止を制御するスイッチである。
【0024】
通信装置2は、無線通信部21、制御部22、タイマー23、報知データ生成部24、経路情報比較部25、経路情報記憶部26、電力量記憶部27と、を含んで構成する。無線通信部21は、制御部22から入力したデータを他のスマートメータMやコンセントレータCへ無線送信する。制御部22は、電力量計3から入力した電力需要家の使用電力量情報を、電力量記憶部27に記録する。制御部22は、無線通信部21を通して電力会社から入力された電力供給開始や停止信号に従い、開閉器4へ電力需要家に対する電力供給を開始したり、停止したりする信号を出力する。また制御部22は、無線通信部21で受信した信号を経路情報記憶部26へ記録する。制御部22は、経路情報比較部25での比較結果に基づいて他の通信装置2との間で相互グループを形成する場合には、報知データ生成部24で報知データを生成させ、当該他の通信装置2に自装置の経路情報を送信する。また制御部22は、相互ヘルスチェックする対象の通信装置2からの報知データを監視し、所定期間受信しなかった場合に対象が停電したと推定される旨の信号を、自装置が属するネットワーク構造に含まれるコンセントレータCとサーバS0を通して電力会社へ通知する。さらに制御部22はヘルスチェックの相互グループに含めた対象の通信装置2へ、ヘルスチェックに設定した旨の信号を生成して送信する。
【0025】
経路情報記憶部26は、自装置が属するツリー構造のネットワーク内のコンセントレータCから送信され無線通信部12で受信したルーティング構成情報に基づく経路情報を記憶する。ルーティング構成情報は、一例としては、無線通信と電力線通信を組み合わせた相互補完ネットワーク(MCCP;Mutual Complementary Communication Protocol)構築の経路決定に利用されるプロトコルで使用されているDODAG(Destination Oriented Directed Acyclic Graph)ルーティングの情報であってよい。
【0026】
経路情報比較部25は、例えば通信できた他の通信装置のルーティング構成情報が示す通信経路情報から、当該他の通信装置のコンセントレータCの情報を抜き出す。経路情報比較部25は、他の通信装置のコンセントレータCの情報と、経路情報記憶部26に記録している自装置の通信経路のコンセントレータCの情報とを比較する。経路情報比較部25が当該比較において一致すると判定した場合、制御部22は、通信できた他の通信装置を相互にヘルスチェックする対象外と判断し、ヘルスチェックに利用する報知データの送信を行わないよう制御する。一方、経路情報比較部25が当該比較においてコンセントレータCが異なると判定した場合、制御部22は、当該通信装置を相互にヘルスチェックする対象の通信装置2と判断し、ヘルスチェックに利用する報知データを報知データ生成部24で生成させる処理を開始する。タイマー23は、報知データを送信するための周期的なタイミングを生成する。制御部22は、そのタイミングで無線通信部21を通して報知データを、相互グループを形成する他の通信装置2へ送信する。報知データ生成部24は、経路情報比較部25で相互にヘルスチェックする対象と判断した通信装置2宛てに送信する報知データを生成し、無線通信部21から送信する。
【0027】
図4はルーティング構成情報のデータ例を示す図である。
次にルーティングプロトコルの1種であるRPL(IPv6 routing protocol for low-power and lossy networks)で使用される制御メッセージであるDIO(DAG Information Object)やDAO(Destination Advertisement Object)のフォーマットを説明する。DIOやDAOやルーティング構成情報の一例である。RPLはDODAG(destination-oriented directed acyclic graph)と呼ばれる複数スマートメータMから構成されるツリーで、DODAGのルートノード(DODAG root)までデータを転送し、そのデータをサーバS0に送付することによってスマートメータMの情報を収集する形態をとる。
【0028】
スマートメータMを構成する通信装置2は、無線マルチホップ方式のルーティング(経路制御)プロトコルにおける、RPLを使用することにより、動的に経路を構築することができる。RPLはフラット型のテーブル駆動型(プロアクティブ型)のルーティングプロトコルの1種で、各スマートメータMの通信装置2がネットワーク内の他の通信装置2と経路に関する情報(トポロジー情報)を交換し、あらかじめ経路表を作成する方式である。また、通信装置2は他のプロトコルを使用して無線マルチホップのツリー構造のネットワークを構成してもよい。
【0029】
図4で示すルーティング構成情報に相当するメッセージ51は、メッセージの種類52(たとえばRPL制御メッセージ)として、メッセージの特定の種類(例えばDIO、DAOを示す特定のコード)、その他の様々なフラグ/ビット53、シーケンス番号54、ランク値55、インスタンスID56、DODAG ID57、コンセントレータCを示す最終宛先情報58、経路情報59、などのフィールドおよびその他の情報を保持する。経路情報には、無線マルチホップ通信における自装置からの送信先の通信装置(例えばサーバS0など)、自装置へ情報を送信する通信元の通信装置の情報などが含まれる。本実施形態の通信装置は、このメッセージ51をコンセントレータCや、他のスマートメータMの通信装置2から受信して記憶する。また相互グループを形成する他の通信装置2へ最終宛先情報を交換する。通信装置2は自装置の最終宛先情報が示すコンセントレータCと、通信できた他の通信装置から取得した最終宛先情報が示すコンセントレータCとを比較して、当該他の通信装置とヘルスチェックの相互グループを形成するかどうかを判定する。
【0030】
次に、第一の実施形態による電力計測システムの処理フローについて説明する。図5は、第一の実施形態による電力計測システムの処理フローを示す第一の図である。
スマートメータMA1の通信装置2を、通信装置2(A1)と呼ぶこととする。通信装置2(A1)などのツリー構造Aに含まれる各スマートメータMAの通信装置2は、コンセントレータCAをDODAG rootとして発信されるDIO(DAG Information Object)と子ノードの情報とを、DODAGの親ノードに対して伝搬させながら末端ノードの情報を伝達するDAO(Destination Advertisement Object)をやり取りする。これにより通信装置2(A1)などの各スマートメータMAの通信装置2はDODAG構築に基づくツリー構造Aのネットワークを構築する(ステップS101)。この時、スマートメータMA1の通信装置2(A1)の制御部22は、DIOとDAOとに含まれる経路情報や最終宛先情報を読み取り、それら経路情報や最終宛先情報を経路情報記憶部26に記録する(ステップS102)。
【0031】
次に制御部22は、無線通信部21を介して自装置の経路情報を無線通信によりブロードキャストする(ステップS103)。または制御部22は、DODAG構築時に入手した通信可能なスマートメータM全てに宛てて、自装置の経路情報をブロードキャストする。制御部22は、経路情報のブロードキャストに応じた、グループ形成要求を待機する(ステップS104)。
【0032】
スマートメータMA1の通信装置2(A1)による経路情報のブロードキャストを、スマートメータMA1の近傍に位置するスマートメータMB1の通信装置2が受信したとする。スマートメータMB1の通信装置2を通信装置2(B1)と呼ぶこととする。通信装置2(B1)の制御部22は無線通信部21を介して、通信装置2(A1)がブロードキャストした経路情報を受信する(ステップS105)。通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)の経路情報を取得すると、その経路情報を経路情報比較部25に出力する。経路情報比較部25は、経路情報記憶部26に記録されている自装置の経路情報を読み取る。通信装置2(B1)の経路情報比較部25は、通信装置2(A1)の経路情報に含まれるコンセントレータの識別子と、経路情報記憶部26から読み取った自装置の経路情報に含まれるコンセントレータの識別子とを比較して、一致するか否かを判定する(ステップS106)。経路情報比較部25は一致するか否かを示す情報を制御部22へ出力する。制御部22は、経路情報比較部25から一致することを示す情報を入力すると、通信装置2(A1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成しないと判定する(ステップS107)。制御部22は、経路情報比較部25から一致しないことを示す情報を入力すると、通信装置2(A1)をヘルスチェックの対象の通信装置2と判定し、その通信装置2(A1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成すると判定する(ステップS108)。
【0033】
通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成しないと判定した場合、自装置の経路情報記憶部26に記憶する経路情報を、無線通信部21を介して、上記の通信装置2(A1)の処理と同様にブロードキャストすることで、他のヘルスチェックの相互グループを形成できる他のスマートメータMの通信装置2を探索する。
【0034】
通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成すると判定した場合、例えば、通信装置2(A1)を相互グループの通信先アドレスとして記憶する(ステップS109)。これにより通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)を相互グループの通信相手として設定することができる。そして、通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)へ相互グループとして設定したことを示すグループ形成要求を送信する(ステップS110)。その後、通信装置2(B1)の制御部22は、タイマー23が繰り返しカウントするヘルスチェックの開始タイミングに基づいて、自装置が動作していることを通知するための報知データを通信装置2(A1)へ繰り返し送信する(ステップS111)。通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)から送信された周期的な報知データの受信に基づいて、通信装置2(B1)が動作していることを検知する。通信装置2(A1)の制御部22も同様に、通信装置2(B1)に対して周期的に報知データを送信する(ステップS112)。通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)から送信された周期的な報知データの受信に基づいて、通信装置2(A1)が動作していることを検知する。
【0035】
図6は第一の実施形態による電力計測システムの処理フローを示す第二の図である。
他方、通信装置2(A1)も、通信装置2(B1)と同様の処理を行って、通信装置2(B1)と相互グループを形成するか否かを判定してよい。上記ステップS104の待機の後、通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)から経路情報のブロードキャストを受信したとする(ステップS201)。この場合、通信装置2(A1)の制御部22は、無線通信部21を介して、通信装置2(B1)がブロードキャストした経路情報を取得する。なお、通信装置2(B1)は、経路情報のブロードキャストに応じた、グループ形成要求を待機する。通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)の経路情報を取得すると、その経路情報を経路情報比較部25に出力する。経路情報比較部25は、経路情報記憶部26に記録されている自装置の経路情報を読み取る。通信装置2(A1)の経路情報比較部25は、通信装置2(B1)の経路情報に含まれるコンセントレータCの識別子と、経路情報記憶部26から読み取った自装置の経路情報に含まれるコンセントレータCの識別子とを比較して、一致するか否かを判定する(ステップS202)。経路情報比較部25は一致するか否かを示す情報を制御部22へ出力する。制御部22は、経路情報比較部25から一致することを示す情報を入力すると、通信装置2(B1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成しないと判定する(ステップS203)。制御部22は、経路情報比較部25から一致しないことを示す情報を入力すると、通信装置2(B1)をヘルスチェックの対象の通信装置2と判定し、その通信装置2(B1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成すると判定する(ステップS204)。
【0036】
通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成しないと判定した場合、自装置の経路情報記憶部26に記憶する経路情報を、無線通信部21を介して、再度ブロードキャストしてよい。これにより通信装置2(A1)の制御部22は、他のヘルスチェックの相互グループを形成できる他のスマートメータMの通信装置2を探索する。
【0037】
通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成すると判定した場合、例えば、通信装置2(B1)を相互グループの通信先アドレスとして記憶する(ステップS205)。これにより通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)を相互グループの通信相手として設定することができる。そして、通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)へ、相互グループとして設定したことを示すグループ形成要求を送信する(ステップS206)。その後、通信装置2(A1)の制御部22は、タイマー23が繰り返しカウントするヘルスチェックの開始タイミングに基づいて、自装置が動作していることを通知するための報知データを通信装置2(B1)へ繰り返し送信する(ステップS207)。通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)から送信された周期的な報知データの受信に基づいて、通信装置2(A1)が動作していることを検知する。グループ形成要求を受信した通信装置2(B1)の制御部22も同様に、通信装置2(A1)に対して周期的に報知データを送信する(ステップS208)。通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)から送信された周期的な報知データの受信に基づいて、通信装置2(B1)が動作していることを検知する。
【0038】
ここでスマートメータMA1の通信装置2(A1)が、同じツリー構造Aに含まれるスマートメータMA2の通信装置2(A2)からブロードキャストによる経路情報を受信したとする。この場合、通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(A2)の経路情報を取得すると、その経路情報を経路情報比較部25に出力する。経路情報比較部25は、経路情報記憶部26に記録されている自装置の経路情報を読み取る。通信装置2(A1)の経路情報比較部25は、通信装置2(A2)の経路情報に含まれるコンセントレータCの識別子と、経路情報記憶部26から読み取った自装置の経路情報に含まれるコンセントレータCの識別子とを比較して、一致するか否かを判定する。経路情報比較部25は一致するか否かを示す情報を制御部22へ出力する。通信装置2(A1)と通信装置2(A2)は同一のツリー構造Aに含まれるため、制御部22は、経路情報比較部25から一致することを示す情報を入力する。この場合、通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(A2)との間でヘルスチェックの相互グループを形成しないと判定する。
【0039】
以上により、通信装置2(A1)は、通信接続できる他のツリー構造に含まれる通信装置2を探索する。上述の処理は、通信装置2が、他の通信装置との間で通信ネットワークのツリー構造を形成し、自装置が属するツリー構造とは異なるツリー構造に属する他の通信装置のうち直接通信接続できる対象の通信装置を探索する処理の一態様である。
【0040】
上述の処理において、通信装置2は複数の他の通信装置2との間でヘルスチェックの相互グループを形成するようにしてもよい。または通信装置2は、1つの通信装置2との間でのみヘルスチェックの相互グループを形成するようにしてもよい。通信装置2は、所定の時間、経路情報をブロードキャストし、他の通信装置2との間で相互グループが形成できない場合には、経路情報のブロードキャストを停止して、他の通信装置2から経路情報のブロードキャストを受信するまで待機してよい。通信装置2は、自装置の電源が停止して、再起動した際に、経路情報のブロードキャストによる他の通信装置2の探索を再開するようにしてよい。
【0041】
図7は第一の実施形態による電力計測システムの処理フローを示す第三の図である。
上述したように通信装置2の制御部22は、タイマー23で生成した周期的なタイミングで報知データの生成を報知データ生成部24に指示する。制御部22は、報知データ生成部24の生成した報知データを周期的に無線通信部21から相互グループを形成する他の通信装置2へ送信する。報知データには、自装置の識別情報と、報知データであることを示す情報が含まれる。同様に、制御部22は、相互グループを形成する通信装置2から報知データを受信する。報知データにはヘルスチェックの相互グループを形成する通信相手の装置の識別情報と報知データであることを示す情報が含まれている。
【0042】
ここで、相互グループを形成する通信装置2はそれぞれ、周期的に報知データを受信し続けている間はヘルスチェック対象の通信相手が停電ではない通電状態であると推測する。一方で、通信装置2の制御部22は、相互グループを形成する、ヘルスチェック対象の通信相手となる他の通信装置2が停電となった場合、報知データを受信できなくなり、連続して一定回数以上、例えば3回以上連続で報知データを受信しなかった場合には、ヘルスチェック対象の通信相手が停電となった、と推測する(ステップS301)。例えばスマートメータMA1の通信装置2(A1)の制御部22は、スマートメータMB1の通信装置2(B1)から報知データを3回以上連続で受信できない場合、自装置のコンセントレータCAを経由して電力会社のサーバS0へ「ヘルスチェック対象の通信相手が停電と推測される」ことを示し、相互グループを形成する通信装置2(B1)の識別情報を含む停電通知信号を送信する(ステップS302)。電力会社はサーバS0で受信した情報をもとに、停電と推測されるスマートメータMB1の停電復旧作業を行うことができる。
【0043】
上述の処理は、通信装置が、探索により通信できる対象の通信装置との間で相互通信を行い、その相互通信において所定の条件を契機に、自装置が属するツリー構造に属する各通信装置を用いて、当該ツリー構造における所定の通信先装置へ対象の通信装置に関する情報を送信する処理の一態様である。本実施形態においては所定の条件とは、相互グループを形成する他の通信装置2が停電状態となったことを示す条件である。所定の通信先装置は、本実施形態においてはサーバS0である。
【0044】
以上の処理によれば、通信装置2は、周期的に相互グループを形成した対象の通信装置2との間でヘルスチェックを行うことで、当該対象の通信装置2の停電検出を、自装置が属するツリー構造におけるマルチホップ無線通信の単位時間当たりの伝送量を低下させずに行うことができる。従って、上述の通信装置2を含む電力計測システム100においては、自装置とは異なるツリー構造を構成する対象の通信装置2のヘルスチェックを行う際に、自装置のツリー構造における通信接続における単位時間当たりの伝送量を増加する必要が無い。また上述の処理によれば、通信装置2が自動的に、通信できる通信接続先を探索して、相互グループを形成するかどうかを判定している。従って、異なるツリー構造に含まれる通信装置2のうち、予め、近傍にある通信装置間で通信リンクを張っておくための機能や管理者の作業が不要となる。また上述の処理によれば、あるツリー構造に含まれる通信装置2の内、末端などの何れかの通信装置2が停電等により動作していない場合、他のツリー構造に含まれる通信装置2により動作していないことの情報を検知することができる。これにより通信装置2が電力計測システム100で用いられている場合には、電力会社の管理者は、隠れ停電の状況を判定することができる。
【0045】
上述の例では複数の通信装置2が複数のツリー構造を構成して電力計測システム100を形成しているが、電力需要家の電力量を計測する目的とは異なる他の通信ネットワークシステムにおいて上述の通信装置2が用いられてもよい。つまり本開示の通信装置2は他の様々な用途の通信ネットワークを構成するものであってよい。
【0046】
<第二の実施形態>
第二の実施形態として、PRLのランク値を利用して、自装置のルーティング経路を解析し、ルーティング経路が重複しない相手とヘルスチェックの相互グループを形成し、当該相互グループを形成した通信装置が相互に周期的にヘルスチェックを行ってもよい。
【0047】
図8は第二の実施形態によるスマートメータMの機能ブロック図である。
第二の実施形態によるスマートメータMに備わる、電力量計3、開閉器4は、上述のスマートメータMで説明した電力量計3、開閉器4と同様である。また第二の実施形態によるスマートメータMの通信装置2に備わる、無線通信部21、制御部22、タイマー23、報知データ生成部24、電力量記憶部27は、上述のスマートメータMで説明した無線通信部21、制御部22、タイマー23、報知データ生成部24、電力量記憶部27と同様である。
【0048】
図8の通信装置2に示すように、第二の実施形態による通信装置2は、上述の経路情報比較部25に代えて、ランク比較部28を備える。図8の通信装置2に示すように、第二の実施形態による通信装置2は、上述の経路情報記憶部26に代えて、ランク記憶部29を備える。
【0049】
ランク比較部28は、例えば自装置との間で通信ネットワークのリンクを直接張っていないが通信接続ができた他の通信装置2のDIOやDAOの信号から当該通信装置2のランク値を抜き出して、ランク記憶部29に記憶している自装置のランク値と比較する。制御部22は、ランク比較部28の結果、ランク値が一致する場合は、通信接続した通信装置2をヘルスチェックする対象と判断し相互グループを形成して、ヘルスチェックのための報知データを当該通信装置2に送信する。ランク比較部28の比較の結果、通信接続できた相手側の通信装置2のランク値が異なる場合は、相互にヘルスチェックする対象外と判断し報知データ送信を行わない。
【0050】
ランク記憶部29は無線通信部21で受信したDIOとDAOに含まれる自装置のランク値55の情報を記憶する。なおランク値とは通信装置2が属するツリー構造において、コンセントレータCとの通信のしやすさを表す情報であり、コンセントレータCとの距離などに応じて、DODAGを利用したツリー構造の形成において、通信装置2に対して割り振られる情報である。コンセントレータCから発信される無線信号を通信装置2において受信した際の受信強度に応じて定まる値であってよい。これにより、同じランク値を示す通信装置2は、コンセントレータCからの距離が比較的近い。従って、通信装置2同士で通信接続ができ、さらにランク値が同じ場合には、その通信装置2同士は近い位置に位置する通信装置2であることが推定される。
【0051】
次に、第二の実施形態による電力計測システムの処理フローについて説明する。図9は、第二の実施形態による電力計測システムの処理フローを示す第一の図である。
通信装置2(A1)などの各スマートメータMAの通信装置2はDODAG構築に基づくツリー構造のネットワークを構築する(ステップS401)。この時、スマートメータMA1の通信装置2(A1)の制御部22は、DIOとDAOとに含まれるランク値を読み取り、それらランク値をランク記憶部29に記録する(ステップS402)。
【0052】
次に制御部22は、無線通信部21を介して自装置のランク値を無線通信によりブロードキャストする(ステップS403)。または制御部22は、DODAG構築時に入手した通信可能なスマートメータM全てに宛てて、自装置のランク値をブロードキャストする。制御部22は、ランク値のブロードキャストに応じた、グループ形成要求を待機する(ステップS404)。
【0053】
スマートメータMA1の通信装置2(A1)によるランク値のブロードキャストを、スマートメータMA1の近傍に位置するスマートメータMB1の通信装置2が受信したとする。スマートメータMB1の通信装置2を通信装置2(B1)と呼ぶこととする。通信装置2(B1)の制御部22は無線通信部21を介して、通信装置2(A1)がブロードキャストしたランク値を受信する(ステップS405)。通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)のランク値を取得すると、そのランク値をランク比較部28に出力する。ランク比較部28は、ランク記憶部29に記録されている自装置のランク値を読み取る。通信装置2(B1)のランク比較部28は、通信装置2(A1)のランク値と、ランク記憶部29から読み取った自装置のランク値とを比較して、一致するか否かを判定する(ステップS406)。ランク比較部28は一致するか否かを示す情報を制御部22へ出力する。制御部22は、ランク比較部28から一致しないことを示す情報を入力すると、通信装置2(A1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成しないと判定する(ステップS407)。制御部22は、ランク比較部28から一致することを示す情報を入力すると、通信装置2(A1)をヘルスチェックの対象の通信装置2と判定し、その通信装置2(A1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成すると判定する(ステップS408)。
【0054】
通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成しないと判定した場合、自装置のランク記憶部29に記憶するランク値を、無線通信部21を介して、上記の通信装置2(A1)の処理と同様にブロードキャストすることで、他のヘルスチェックの相互グループを形成できる他のスマートメータMの通信装置2を探索する。
【0055】
通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成すると判定した場合、例えば、通信装置2(A1)を相互グループの通信先アドレスとして記憶する(ステップS409)。これにより通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)を相互グループの通信相手として設定することができる。そして、通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)へ相互グループとして設定したことを示すグループ形成要求を送信する(ステップS410)。その後、通信装置2(B1)の制御部22は、タイマー23が繰り返しカウントするヘルスチェックの開始タイミングに基づいて、自装置が動作していることを通知するための報知データを通信装置2(A1)へ繰り返し送信する(ステップS411)。通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)から送信された周期的な報知データの受信に基づいて、通信装置2(B1)が動作していることを検知する。通信装置2(A1)の制御部22も同様に、通信装置2(B1)に対して周期的に報知データを送信する(ステップS412)。通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)から送信された周期的な報知データの受信に基づいて、通信装置2(A1)が動作していることを検知する。
【0056】
図10は第二の実施形態による電力計測システムの処理フローを示す第二の図である。
他方、通信装置2(A1)も、通信装置2(B1)と同様の処理を行って、通信装置2(B1)と相互グループを形成するか否かを判定してよい。上記ステップS404の待機の後、通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)からランク値のブロードキャストを受信したとする(ステップS501)。この場合、通信装置2(A1)の制御部22は、無線通信部21を介して、通信装置2(B1)がブロードキャストしたランク値を取得する。なお、通信装置2(B1)は、ランク値のブロードキャストに応じた、グループ形成要求を待機する。通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)のランク値を取得すると、そのランク値をランク比較部28に出力する。ランク比較部28は、ランク記憶部29に記録されている自装置のランク値を読み取る。通信装置2(A1)のランク比較部28は、通信装置2(B1)のランク値と、ランク記憶部29から読み取った自装置のランク値とを比較して、一致するか否かを判定する(ステップS502)。ランク比較部28は一致するか否かを示す情報を制御部22へ出力する。制御部22は、ランク比較部28から一致しないことを示す情報を入力すると、通信装置2(B1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成しないと判定する(ステップS503)。制御部22は、ランク比較部28から一致することを示す情報を入力すると、通信装置2(B1)をヘルスチェックの対象の通信装置2と判定し、その通信装置2(B1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成すると判定する(ステップS504)。
【0057】
通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成しないと判定した場合、自装置のランク記憶部29に記憶するランク値を、無線通信部21を介して、再度ブロードキャストしてよい。これにより通信装置2(A1)の制御部22は、他のヘルスチェックの相互グループを形成できる他のスマートメータMの通信装置2を探索する。
【0058】
通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)との間でヘルスチェックの相互グループを形成すると判定した場合、例えば、通信装置2(B1)を相互グループの通信先アドレスとして記憶する(ステップS505)。これにより通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)を相互グループの通信相手として設定することができる。そして、通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)へ、相互グループとして設定したことを示すグループ形成要求を送信する(ステップS506)。その後、通信装置2(A1)の制御部22は、タイマー23が繰り返しカウントするヘルスチェックの開始タイミングに基づいて、自装置が動作していることを通知するための報知データを通信装置2(B1)へ繰り返し送信する(ステップS507)。通信装置2(B1)の制御部22は、通信装置2(A1)から送信された周期的な報知データの受信に基づいて、通信装置2(A1)が動作していることを検知する。グループ形成要求を受信した通信装置2(B1)の制御部22も同様に、通信装置2(A1)に対して周期的に報知データを送信する(ステップS508)。通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(B1)から送信された周期的な報知データの受信に基づいて、通信装置2(B1)が動作していることを検知する。
【0059】
第二の実施形態においても、通信装置2の制御部22は、相互グループを形成する、ヘルスチェック対象の通信相手となる他の通信装置2が停電となった場合、報知データを受信できなくなる。通信装置2の制御部22は、連続して一定回数以上、例えば3回以上連続で報知データを受信しなかった場合には、ヘルスチェック対象の通信相手が停電となった、と推測する。そして例えばスマートメータMA1の通信装置2(A1)の制御部22は、スマートメータMB1の通信装置2(B1)から報知データを3回以上連続で受信できない場合、自装置のコンセントレータCAを経由して電力会社のサーバS0へ「ヘルスチェック対象の通信相手が停電と推測される」ことを示し、相互グループを形成する通信装置2(B1)の識別情報を含む停電通知信号を送信する。
【0060】
このような第二の実施形態の電力計測システム100を構成する上述の通信装置2の処理は、他の通信装置との間で通信ネットワークを形成し、自装置を含んで構成する通信ネットワークに含まれない他の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置を探索する処理の一態様である。またこのような第二の実施形態の電力計測システム100を構成する上述の通信装置2の処理は、探索できた対象の通信装置との間で相互通信を行い、相互通信において所定の条件を契機に、通信ネットワークを構成する通信装置のうちの所定の通信先装置へ対象の通信装置に関する情報を送信する処理の一態様である。
【0061】
ここでスマートメータMA1の通信装置2(A1)が、同じツリー構造Aにおいて直接リンクを張っているスマートメータMA2の通信装置2(A2)からブロードキャストによるランク値を受信したとする。この場合、通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(A2)のランク値を取得すると、そのランク値をランク比較部28に出力する。ランク比較部28は、ランク記憶部29に記録されている自装置のランク値を読み取る。通信装置2(A1)のランク比較部28は、通信装置2(A2)のランク値と、ランク記憶部29から読み取った自装置のランク値とを比較して、一致するか否かを判定する。ランク比較部28は一致するか否かを示す情報を制御部22へ出力する。通信装置2(A1)と通信装置2(A2)は同一のツリー構造Aにおいてリンクを張っている通信装置2同士であるため、通信装置2(A1)の制御部22は、ランク比較部28から一致しないことを示す情報を入力する。この場合、通信装置2(A1)の制御部22は、通信装置2(A2)との間でヘルスチェックの相互グループを形成しないと判定する。
【0062】
上述したようにランク値が同じであり通信接続ができた通信装置2は、コンセントレータCからのそれぞれの距離が所定の範囲であり、さらに通信接続できるため比較的近い位置にある通信装置2同士であると推定できる。一方で、DODAGにより構成されるツリー構造のネットワークにおいては、ランク値が等しい場合には、直接のリンクが無いネットワークとなる。従って、そのツリー構造において、直接のリンクが無いネットワーク間では、通常の計測電力などの情報が流れていない。従って、第二の実施形態による電力計測システム100では、そのようなランク値の等しい通信装置2間で通信接続できる場合には、相互グループを形成してヘルスチェックを行う。これにより、通常の電力計測などの情報が流れない通信装置2間でヘルスチェックを行う為、停電検出を、自装置が属するツリー構造におけるマルチホップ無線通信の単位時間当たりの伝送量を低下させずに行うことができる。またこれにより、通信装置2を含む電力計測システム100においては、ツリー構造を構成する各通信装置2のヘルスチェックを行う際に、当該ツリー構造における通信接続における単位時間当たりの伝送量を増加する必要が無い。また第二の実施形態の処理によれば、通信装置2が自動的に、通信できる通信接続先を探索して、ランク値の同じ通信装置と相互グループを形成するかどうかを判定している。従って、予め、ヘルスチェックを行うための第二の通信装置との間で通信リンクを張っておくための機能や管理者の作業が不要となる。
【0063】
図11は第二の実施形態による通信装置の処理結果を示す図である。
図11はスマートメータMをノードとする電力計測システム100の通信ネットワークを示す。各スマートメータMに記載した数値は、スマートメータMに含まれる通信装置2のランク値を示す。ランク値が0を示すノードはコンセントレータCを示す。この図が示すように、第二の実施形態によれば、楕円に含めた2つのランク値の等しい通信装置2の間でヘルスチェックの相互グループを形成する。図11において、ノード間の実線は制御部22のネットワークの形成手段で形成した通信経路、点線はDODAG構築プロセスにおける選定から除外された経路候補、実線や点線に付帯した数字はリンクメトリック、楕円で囲んだ2つのランク値の等しいスマートメータMが相互グループを示す。上述のネットワークの形成手法によっては、ランク値が等しい通信装置2(ノード)は必ず相互にリンクを張っていない。従って、リンクを張っていない通信装置2間でヘルスチェックを行うことで、リンクを張っている通信経路の通信負荷を増やすことがない。またリンクを張っていない通信装置2間でヘルスチェックを行うことで、本来のマルチホップ無線通信で送信したい無線レートの帯域増加などの通信速度の高速化をすることなく通信装置2のヘルスチェックを行うことができる。上述の第一の実施形態による相互グループの形成手法と、第二の実施形態による相互グループの形成手法とを併用することにより、電力計測システム100において位置が孤立したスマートメータMを除く多くのスマートメータMの停電監視を行うことができる。
【0064】
<第三の実施形態>
図12は第三の実施形態によるスマートメータMの機能ブロック図である。
第三の実施形態による電力計測システム100を構成するスマートメータMは、電源電圧確認部31とタイマー32とを構成として含む電力量計3を備える。また第三の実施形態によるスマートメータMに備わる通信装置2は、第一の実施形態における報知データ生成部24の代わりに、通電報知データ生成部201を備える。
【0065】
第三の実施形態において、電力量計3はタイマー32に周期的なカウントに基づいて、通電検出信号を通信装置2へ出力する。通信装置2の通電報知データ生成部201は、電力量計3の電源電圧確認部31からの周期的な通電検出信号を取得する。通電検出信号は、電源電圧が一定電圧以上であることを示す信号である。制御部22は、報知データを生成する際、通電検出信号を通電報知データ生成部201へ出力する。通電報知データ生成部201は、電源電圧が一定電圧以上であることを示す通電報知データを生成する。そして制御部22は、相互グループを形成した、ヘルスチェック先の通信装置2へ、通電報知データを送信する。これによりヘルスチェック先の通信装置2は、通電報知データを一定時間以上受信しなくなったときに、相互グループを形成したヘルスチェック先の通信装置2を停電状態と判断し、その情報をサーバS0へ送信する。
【0066】
次に第三の実施形態における電力計測システム100の処理フローについて説明する。
例として通信装置2の制御部22は、ヘルスチェックの相互グループを形成する相手側の通信装置2の電源電圧が交流70V未満であれば、その相手側の通信装置2が停電であると判定する。電源電圧確認部31は常に電源電圧を測定し、停電電圧(70V)以上である場合、タイマー32で生成した周期的なタイミングで通電状態であることを示す信号を制御部22に送付する。制御部22はヘルスチェックの相手側の通信装置2に、通電報知データを送信する。通電報知データには自装置の情報と、通電報知データであることを示す情報が含まれる。通信装置2はまた、ヘルスチェックの相手側の通信装置2から送信された通電報知データを受信する。通電報知データにはヘルスチェックの相手側の通信装置の装置情報と通電報知データであることを示す情報が含まれている。
【0067】
通信装置2の制御部22は、相手側の通信装置2から周期的に通電報知データを受信し続けている間はその相手側の通信装置2が停電ではない通電状態であると推測する。通信装置2の制御部22は、ヘルスチェックの相手側の通信装置からの通電報知データの受信が停止した場合、当該相手側の通信装置2が停電であると推定する。例えば制御部22は、通電報知データを受信できなくなり、一定回数、例えば3回以上、通電報知データを受信しなかった場合には、ヘルスチェックの相手側の通信装置が停電になったと推測する。
【0068】
通信装置2の制御部22は、相手側の通信装置2が停電になったと推定した場合、自装置のコンセントレータCを経由して電力会社のサーバS0へ、「ヘルスチェックの相手側の通信装置2が停電と推測される」旨の情報を送信する。電力会社の担当者は、サーバS0が受信した情報をもとに、停電と推測されるスマートメータMの停電復旧作業を行うことができる。
【0069】
電源電圧確認部31は、停電電圧(70V)未満であることを測定した場合、通電状態であることを示す信号を制御部22に送らない。すると制御部22は、ヘルスチェックの相手側の通信装置2に通電報知データを送信しない。これにより、制御部22は、一定回数以上の通電報知データを継続して電源電圧確認部31から受信しなくなると、自装置が停電したことを推定してもよい。この場合、制御部22は、コンセントレータCを経由して電力会社のサーバS0へ、自装置が停電と推測される旨を通知してもよい。電力会社の担当者は、サーバS0で受信した情報をもとに、通信装置2を備えたスマートメータMの停電復旧作業を行うことができる。
【0070】
上述の第三の実施形態の処理は、通信装置2が、相互グループを形成した対象の通信装置2との相互通信における所定の条件であって、対象の通信装置2の電力状態が低下していることを示す条件を満たす場合に、対象の通信装置2に関する情報を送信する処理の一多様である。
【0071】
第一の実施形態では、通信装置2が電源電圧を無線送信できなくなる電圧まで低下したときに報知データの送信をしなくなることにより、相手側の通信装置2が停電を検知していた。一方で、第三の実施形態では、停電電圧未満になったときに通電報知データを相手側の通信装置2へ送信することを停止する点で相違している。第三の実施形態では、停電電圧未満であるかどうかによって停電の推測が可能となる。なお、通信装置2は、交流70V未満時に報知データの送信を停止して、交流70V未満時に電圧低下のメッセージを相手側の通信装置2に送信するようにしてもよい。
【0072】
図13は通信装置の最小構成を示す図である。
図14は最小構成による通信装置の処理フローを示す図である。
通信装置2は、少なくとも、形成手段221、探索手段222、接続手段223、送信手段224を備える。
形成手段221は、他の通信装置との間で通信ネットワークを形成する(ステップS601)。
探索手段222は、自装置を含んで構成する通信ネットワークに含まれない他の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置を探索する(ステップS602)。
接続手段223は、探索に基づいて対象の通信装置との間で相互通信を行う(ステップS603)。
送信手段224は、相互通信において所定の条件を契機に、通信ネットワークを構成する通信装置のうちの所定の通信先の通信装置へ対象の通信装置に関する情報を送信する(ステップS604)。
【0073】
そして通信装置2は、電力計測システム100以外の通信ネットワークシステムを構成するものであってよい。例えば、通信装置2は、スマートメータM以外の、他の所定の情報をセンシングする計測装置に設けられており、これら計測装置が上述の各実施形態の通信装置2の機能を用いて通信ネットワークシステムを構成してもよい。通信装置2は、情報をセンシングすることのない装置に設けられて、通信システムを構成するようにしてもよい。
【0074】
(ハードウェア構成)
図15は、本発明の各実施形態に係る通信装置2を実現可能な計算処理装置80のハードウェア構成例を概略的に示すブロック図である。
通信装置2を、1つの計算処理装置(情報処理装置、コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。但し、係る通信装置2は、物理的または機能的に少なくとも2つの計算処理装置を用いて実現されてもよい。また、係る通信装置2は、専用の装置として実現されてもよい。
【0075】
計算処理装置80は、中央処理演算装置(Central_Processing_Unit、以降「CPU」と表す)81、揮発性記憶装置82、ディスク83、不揮発性記録媒体84、及び、通信インタフェース(以降、「通信IF」と表す)87を有する。計算処理装置80は、入力装置85、出力装置86に接続可能であってもよい。計算処理装置80は、通信IF87を介して、他の計算処理装置、及び、通信装置と情報を送受信することができる。
【0076】
不揮発性記録媒体84は、コンピュータが読み取り可能な、たとえば、コンパクトディスク(Compact_Disc)、デジタルバーサタイルディスク(Digital_Versatile_Disc)である。また、不揮発性記録媒体84は、ユニバーサルシリアルバスメモリ(USBメモリ)、ソリッドステートドライブ(Solid_State_Drive)等であってもよい。不揮発性記録媒体84は、電力を供給しなくても係るプログラムを保持し、持ち運びを可能にする。不揮発性記録媒体84は、上述した媒体に限定されない。また、不揮発性記録媒体84の代わりに、通信IF87、及び、通信ネットワークを介して係るプログラムを持ち運びしてもよい。
揮発性記憶装置82は、コンピュータが読み取り可能であって、一時的にデータを記憶することができる。揮発性記憶装置82は、DRAM(dynamic random Access memory)、SRAM(static random Access memory)等のメモリ等である。
【0077】
すなわち、CPU81は、ディスク83に格納されているソフトウェア・プログラム(コンピュータ・プログラム:以下、単に「プログラム」と称する)を、実行する際に揮発性記憶装置82にコピーし、演算処理を実行する。CPU81は、プログラム実行に必要なデータを揮発性記憶装置82から読み取る。表示が必要な場合に、CPU81は、出力装置86に出力結果を表示する。外部からプログラムを入力する場合に、CPU81は、入力装置85からプログラムを読み取る。CPU81は、図2(または図3)に示す各部が表す機能(処理)に対応するところの揮発性記憶装置82にある解析プログラム(図4、または、図5)を解釈し実行する。CPU81は、上述した本発明の各実施形態において説明した処理を実行する。すなわち、このような場合に、本発明の各実施形態は、係る解析プログラムによっても成し得ると捉えることができる。さらに、係る解析プログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な不揮発性の記録媒体によっても、本発明の各実施形態は成し得ると捉えることができる。
【0078】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態には限定されない。すなわち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
100・・・電力計測システム
2・・・通信装置
3・・・電力量計
4・・・開閉器
21・・・無線通信部
22・・・制御部(形成手段、探索手段、接続手段、送信手段)
23・・・タイマー
24・・・報知データ生成部
25・・・経路情報比較部
26・・・経路情報記憶部
27・・・電力量記憶部
28・・・ランク比較部
29・・・ランク記憶部
31・・・電源電圧確認部
32・・・タイマー
201・・・通電報知データ生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信装置との間で通信ネットワークのツリー構造を形成する形成手段と、
自装置を含んで構成する前記通信ネットワークのツリー構造に含まれない他のツリー構造に含まれる他の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置を探索する探索手段と、
前記探索に基づいて前記他のツリー構造に含まれる前記対象の通信装置との間で相互通信を行う接続手段と、
前記相互通信において所定の条件を契機に、前記通信ネットワークを構成する通信装置のうちの所定の通信先の通信装置へ前記他のツリー構造に含まれる前記対象の通信装置に関する情報を送信し、前記所定の条件を満たさない場合には前記他のツリー構造に含まれる前記対象の通信に関する情報の送信は行わない送信手段と、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記探索手段は、自装置が含まれるツリー構造の情報と前記直接の通信接続ができる通信装置が含まれるツリー構造の情報とを比較して一致しない場合に、当該直接の通信接続ができる通信装置を前記対象の通信装置と決定する
請求項に記載の通信装置。
【請求項3】
前記接続手段は、前記対象の通信装置との間で当該対象の通信装置の動作有無の確認を行う前記相互通信を行い、
前記送信手段は、前記動作有無の確認に基づいて前記対象の通信装置の動作が無いことを検出された場合に前記対象の通信装置に関する情報として前記対象の通信装置の動作が無いことを示す情報を送信する
請求項1または請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記相互通信における所定の条件であって、前記対象の通信装置の動作が無いことを示す条件を満たす場合に、前記対象の通信装置に関する情報を送信する
請求項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記送信手段は、前記相互通信における所定の条件であって、前記対象の通信装置の電力状態が低下していることを示す条件を満たす場合に、前記対象の通信装置に関する情報を送信する
請求項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信ネットワークを無線通信により形成する請求項からの何れか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
請求項1からの何れか一項に記載の通信装置を備えたスマートメータ。
【請求項8】
他の通信装置との間で通信ネットワークのツリー構造を形成し、
自装置を含んで構成する前記通信ネットワークのツリー構造に含まれない他のツリー構造に含まれる他の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置を探索し、
前記探索に基づいて前記他のツリー構造に含まれる前記対象の通信装置との間で相互通信を行い、
前記相互通信において所定の条件を契機に、前記通信ネットワークを構成する通信装置のうちの所定の通信先の通信装置へ前記他のツリー構造に含まれる前記対象の通信装置に関する情報を送信し、前記所定の条件を満たさない場合には前記他のツリー構造に含まれる前記対象の通信に関する情報の送信は行わない
通信装置の通信方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項に記載の通信装置の通信方法を実行させる、プログラム。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信装置との間で通信ネットワークのツリー構造を形成する形成手段と、
自装置を含んで構成する前記通信ネットワークのツリー構造に含まれない他のツリー構造に含まれる他の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置を探索する探索手段と、
前記探索に基づいて前記他のツリー構造に含まれる前記対象の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置との間で形成したヘルスチェック相互グループにおいてヘルスチェックのための相互通信を行う接続手段と、
前記相互通信において前記対象の通信装置のヘルスチェックが不成功となったことを契機に、前記通信ネットワークを構成する通信装置のうちの所定の通信先の通信装置へ前記他のツリー構造に含まれる前記対象の通信装置に関する情報を送信し、前記対象の通信装置のヘルスチェックが成功している状態の場合には前記他のツリー構造に含まれる前記対象の通信に関する情報の送信は行わない送信手段と、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記探索手段は、自装置が含まれるツリー構造の経路情報に含まれるコンセントレータとしての識別子が付与された通信装置と前記直接の通信接続ができる通信装置が含まれるツリー構造の経路情報に含まれるコンセントレータとしての識別子が付与された通信装置とを比較して一致しない場合に、当該直接の通信接続ができる通信装置を前記対象の通信装置と決定する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記接続手段は、前記対象の通信装置との間で当該対象の通信装置の動作有無の確認を行うヘルスチェックのための前記相互通信を行い、
前記送信手段は、前記動作有無の確認に基づいて前記対象の通信装置の動作が無いことを検出された場合に前記対象の通信装置に関する情報として前記対象の通信装置の動作が無いことを示す情報を送信する
請求項1または請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記送信手段は、ヘルスチェックのための前記相互通信における所定の条件であって、前記対象の通信装置の動作が無いことを示す条件を満たす場合に、前記対象の通信装置に関する情報を送信する
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記送信手段は、ヘルスチェックのための前記相互通信における所定の条件であって、前記対象の通信装置の電力状態が低下していることを示す条件を満たす場合に、前記対象の通信装置に関する情報を送信する
請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信ネットワークを無線通信により形成する請求項1から5の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の通信装置を備えたスマートメータ。
【請求項8】
他の通信装置との間で通信ネットワークのツリー構造を形成し、
自装置を含んで構成する前記通信ネットワークのツリー構造に含まれない他のツリー構造に含まれる他の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置を探索し、
前記探索に基づいて前記他のツリー構造に含まれる前記対象の通信装置であって自装置との間で直接の通信接続ができる対象の通信装置との間で形成したヘルスチェック相互グループにおいてヘルスチェックのための相互通信を行い、
前記相互通信において前記対象の通信装置のヘルスチェックが不成功となったことを契機に、前記通信ネットワークを構成する通信装置のうちの所定の通信先の通信装置へ前記他のツリー構造に含まれる前記対象の通信装置に関する情報を送信し、前記対象の通信装置のヘルスチェックが成功している状態の場合には前記他のツリー構造に含まれる前記対象の通信に関する情報の送信は行わない
通信装置の通信方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項8に記載の通信装置の通信方法を実行させる、プログラム。