(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122158
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】焼却システム、焼却方法及び学習モデルの学習方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
F23G5/50 Q
F23G5/50 G
F23G5/50 J
F23G5/50 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025659
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】的野 真理愛
(72)【発明者】
【氏名】望月 修一
(72)【発明者】
【氏名】服部 保彦
【テーマコード(参考)】
3K062
【Fターム(参考)】
3K062AA16
3K062AB01
3K062AC02
3K062BA02
3K062CA00
3K062CB00
3K062DA32
3K062DA35
3K062DA40
3K062DB01
3K062DB05
3K062DB12
(57)【要約】
【課題】焼却炉に投入される汚泥の含水率を精度良く予測することを可能とする焼却システム、焼却方法及び学習モデルの学習方法を提供する。
【解決手段】焼却炉と、焼却炉において焼却される被焼却物の第1含水率と、焼却炉に対する被焼却物の第1投入条件と被焼却物を焼却する際の焼却炉の第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第1条件情報と、をそれぞれ含む複数の教師データを用いた機械学習によって生成された学習モデルを記憶する記憶装置と、焼却炉に対する新たな被焼却物の第2投入条件と新たな被焼却物を焼却する際の焼却炉の第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第2条件情報の入力に伴って学習モデルから出力された含水率を新たな被焼却物の第2含水率として予測する制御装置と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却炉と、
前記焼却炉において焼却される被焼却物の第1含水率と、前記焼却炉に対する前記被焼却物の第1投入条件と前記被焼却物を焼却する際の前記焼却炉の第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第1条件情報と、をそれぞれ含む複数の教師データを用いた機械学習によって生成された学習モデルを記憶する記憶装置と、
前記焼却炉に対する新たな被焼却物の第2投入条件と前記新たな被焼却物を焼却する際の前記焼却炉の第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第2条件情報の入力に伴って前記学習モデルから出力された含水率を前記新たな被焼却物の第2含水率として予測する制御装置と、を備えた、焼却システム。
【請求項2】
前記制御装置は、予測した前記第2含水率に基づいて、前記新たな被焼却物を焼却する際の前記焼却炉の焼却条件を制御する、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項3】
焼却炉と、
前記焼却炉において焼却される被焼却物の第1含水率と、前記焼却炉に対する前記被焼却物の第1投入条件と前記被焼却物を焼却する際の前記焼却炉の第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第1条件情報と、をそれぞれ含む複数の教師データを用いた機械学習によって生成された学習モデルを記憶する記憶装置と、を備えた焼却システムにおける焼却方法であって、
前記焼却炉に対する新たな被焼却物の第2投入条件と前記新たな被焼却物を焼却する際の前記焼却炉の第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第2条件情報を取得し、
取得した前記第2条件情報の入力に伴って前記学習モデルから出力された含水率を前記新たな被焼却物の第2含水率として予測する、焼却方法。
【請求項4】
焼却炉において焼却される被焼却物の第1含水率と、前記焼却炉に対する前記被焼却物の第1投入条件と前記被焼却物を焼却する際の前記焼却炉の第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第1条件情報と、をそれぞれ含む複数の教師データを取得し、
取得した前記複数の教師データを用いた機械学習によって、前記焼却炉に対する新たな被焼却物の第2投入条件と前記新たな被焼却物を焼却する際の前記焼却炉の第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第2条件情報の入力に伴って前記新たな被焼却物の第2含水率を出力する学習モデルを生成する、処理をコンピュータが実行する学習モデルの学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却システム、焼却方法及び学習モデルの学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥(以下、汚泥または被焼却物とも呼ぶ)の焼却炉に投入する汚泥の量を制御する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような焼却システムでは、例えば、焼却炉に対する汚泥の投入量等の各パラメータを、焼却炉に投入される汚泥の含水率の予測値に応じて制御する。そのため、上記のような焼却システムでは、例えば、焼却炉に投入される汚泥の含水率を精度良く予測することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような汚泥の含水率を精度良く予測するため、本発明における焼却システムは、焼却炉と、前記焼却炉において焼却される被焼却物の第1含水率と、前記焼却炉に対する前記被焼却物の第1投入条件と前記被焼却物を焼却する際の前記焼却炉の第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第1条件情報と、をそれぞれ含む複数の教師データを用いた機械学習によって生成された学習モデルを記憶する記憶装置と、前記焼却炉に対する新たな被焼却物の第2投入条件と前記新たな被焼却物を焼却する際の前記焼却炉の第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第2条件情報の入力に伴って前記学習モデルから出力された含水率を前記新たな被焼却物の第2含水率として予測する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明における焼却システム、焼却方法及び学習モデルの学習方法によれば、焼却炉に投入される汚泥の含水率を精度良く予測することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、比較例における焼却システム900の構成例を説明する図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成例を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態における制御装置20の構成例を説明する図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態における情報処理装置30の構成例を説明する図である。
【
図5】
図5は、モデル生成処理を説明するフローチャート図である。
【
図6】
図6は、教師データDT3の第1の具体例について説明する図である。
【
図7】
図7は、教師データDT3の第2の具体例について説明する図である。
【
図8】
図8は、教師データDT3の第3の具体例について説明する図である。
【
図9】
図9は、パラメータ制御処理を説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
[比較例における焼却システム900]
初めに、比較例における焼却システム900について説明を行う。
図1は、比較例における焼却システム900の構成例を説明する図である。なお、以下に示すライン(配管)やポンプの配置位置や数は、例示であり、これに限られるものではない。
【0010】
焼却システム900は、
図1に示すように、例えば、焼却炉1と、熱交換器2と、スクラバ3と、洗煙処理塔4と、煙突5と、送風機B1と、送風機B2とを有する。また、焼却システム900は、例えば、切出装置11と、乾燥機12と、投入装置13と、制御装置920とを有する。なお、送風機B1及び送風機B2は、例えば、ファンやブロワ等の空気を送風する機能を有する機器である。
【0011】
切出装置11は、例えば、ラインL21を介して供給された汚泥(以下、脱水汚泥とも呼ぶ)を切り出す装置である。ラインL21は、例えば、切出装置11の前段装置(例えば、図示しない脱水機)の出口側と切出装置11の入口側とを連通する配管である。そして、切出装置11は、例えば、切り出した汚泥をラインL22から乾燥機12に供給する。ラインL22は、例えば、切出装置11の出口側と乾燥機12の入口側とを連通する配管である。
【0012】
具体的に、切出装置11は、例えば、焼却システム900の運転員(以下、単に運転員とも呼ぶ)によって設定されたパラメータに従って、ラインL21を介して供給された汚泥の切り出しを行う。ここでのパラメータは、例えば、乾燥機12に対して供給する単位時間あたりの汚泥の量である。
【0013】
さらに具体的に、切出装置11のコントローラ(図示せず)は、例えば、運転員によって設定されたパラメータに従って、切出装置11内に設けられたフィーダ(図示せず)の回転数(周波数)を制御することにより、汚泥の切り出し量(乾燥機12に対して供給する単位時間あたりの汚泥の量)の制御を行う。なお、切出装置11のコントローラは、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリを有するコンピュータ装置である。
【0014】
乾燥機12は、例えば、ラインL22を介して切出装置11から供給された汚泥を乾燥させることにより、汚泥の含水率を低下させる。そして、乾燥機12は、例えば、乾燥させた汚泥(以下、乾燥汚泥とも呼ぶ)をラインL23から投入装置13に供給する。ラインL23は、例えば、乾燥機12の出口側と投入装置13の入口側とを連通する配管である。
【0015】
投入装置13は、例えば、ラインL23を介して供給された汚泥を一時的に蓄積し、蓄積した汚泥をラインL24から焼却炉1に順次投入する装置である。ラインL24は、例えば、投入装置13の出口側と焼却炉1における汚泥の入口側とを連通する配管である。
【0016】
具体的に、投入装置13は、例えば、運転員によって設定されたパラメータに従って、ラインL23を介して供給された汚泥を焼却炉1に投入する。ここでのパラメータは、例えば、焼却炉1に対して供給する単位時間あたりの汚泥の量である。
【0017】
さらに具体的に、投入装置13のコントローラ(図示せず)は、例えば、運転員によって設定されたパラメータに従って、投入装置13内に設けられたフィーダ(図示せず)の回転数(周波数)を制御することにより、焼却炉1に対して投入する単位時間あたりの汚泥の量の制御を行う。投入装置13のコントローラは、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータ装置である。
【0018】
焼却炉1は、例えば、ラインL24を介して供給された汚泥を焼却する流動焼却炉であり、いわゆる流動層1cを有する。以下、焼却炉1が流動焼却炉である場合について説明を行うが、焼却炉1は、流動焼却炉以外の様々な形式の焼却炉であってもよい。また、以下、焼却炉1に供給される空気を燃焼用空気とも呼ぶ。
【0019】
なお、焼却炉1は、例えば、それぞれ別体のガス化炉1aと熱回収炉1bとから構成されるものであってもよい。ガス化炉1aは、例えば、ラインL24を介して供給された汚泥の焼却することによって燃焼ガスを発生させる炉である。また、熱回収炉1bは、例えば、ガス化炉1aにおいて発生した燃焼ガスを完全燃焼させる炉である。
【0020】
送風機B1は、例えば、ラインL11を介して燃焼用空気を熱交換器2に供給する。ラインL11は、例えば、送風機B1の出口側と熱交換器2の燃焼用空気の入口側とを連通する配管である。
【0021】
熱交換器2は、例えば、焼却炉1から排出された排ガスGと送風機B1によって供給された燃焼用空気との間において熱交換を行う。
【0022】
具体的に、熱交換器2は、例えば、ラインL1を介して焼却炉1から供給された排ガスGを用いることによって、ラインL11を介して供給された燃焼用空気を昇温する。そして、熱交換器2は、例えば、ラインL12を介して昇温後の燃焼用空気を焼却炉1における流動層1cに供給する。ラインL1は、例えば、焼却炉1の排ガスGの出口側と熱交換器2における排ガスGの入口側とを連通する配管である。また、ラインL12は、例えば、熱交換器2における燃焼用空気の出口側と焼却炉1における燃焼用空気の入口側とを連通する配管である。
【0023】
スクラバ3は、例えば、熱交換器2の後段に設置され、ラインL2を介して熱交換器2から供給された排ガスGの不純物を除去する。ラインL2は、例えば、熱交換器2における排ガスGの出口側とスクラバ3の入口側とを連結する配管である。なお、焼却システム900は、例えば、スクラバ3の前段において、熱交換器2から供給された排ガスGを冷却する冷却塔(図示せず)を有するものであってもよい。
【0024】
洗煙処理塔4は、例えば、スクラバ3の後段に配置され、ラインL3を介してスクラバ3から供給された排ガスGを塔の下部から導入し、上部の散水ノズル(図示せず)から散水される洗煙水と接触させることによって、排ガスG中のSOX等の成分を洗煙水に含ませて除去する。ラインL3は、例えば、スクラバ3の出口側と洗煙処理塔4の入口側とを連結する配管である。
【0025】
煙突5は、例えば、洗煙処理塔4の上部に設置される。そして、洗煙処理塔4において洗浄された排ガスGは、例えば、煙突5から外部に放出される。
【0026】
送風機B2は、例えば、誘引ファンであり、焼却炉1から排出される排ガスGを誘引する。具体的に、送風機B2は、例えば、ラインL1、ラインL2、ラインL3及びラインL4を介して排ガスGを誘引する。ラインL4は、例えば、洗煙処理塔4の出口側と送風機B2の入口側とを連通する配管である。そして、送風機B2は、例えば、ラインL5を介して排ガスGを煙突5に供給する。ラインL5は、例えば、送風機B2の出口側と煙突5の入口側とを連通する配管である。
【0027】
制御装置920は、例えば、焼却システム900における各パラメータを制御することにより、焼却炉1の炉内温度(例えば、焼却炉1の濃厚層及び希薄層の温度)を制御する。制御装置920は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータ装置である。
【0028】
具体的に、制御装置920は、例えば、投入装置13の設定値(投入装置13が焼却炉1に対して投入する単位時間あたりの汚泥の量等)や、送風機B1の回転数(ラインL12を介して熱交換器2から焼却炉1に供給する燃焼用空気の量等)を制御する。また、制御装置20は、例えば、焼却炉1に対する注水量や、焼却炉1に対して供給される補助燃料の量や、昇温バーナ(図示せず)から焼却炉1に供給する燃焼用空気の量を制御する。また、制御装置20は、例えば、ガス化炉1aから熱回収炉1bに供給される燃焼ガス(ガス化炉1aにおいて発生する燃焼ガス)の流量及び温度を制御する。なお、補助燃料は、例えば、重油、灯油、都市ガス及び消化ガス等である。
【0029】
ここで、例えば、制御装置920の自動制御によっても焼却炉1の炉内温度が安定しない場合、運転員は、焼却炉1に対する汚泥の投入量等の調整を手動によって行う必要がある。そのため、運転員は、例えば、制御装置920による制御状況によって長時間拘束される場合がある。
【0030】
この点、焼却炉1の炉内温度の変動は、例えば、焼却炉1に対する汚泥の投入量等に加え、焼却炉1に投入される汚泥(例えば、乾燥汚泥)の含水率の影響を受けるものと判断できる。そのため、焼却システム900は、例えば、精度の高い含水率の測定結果を取得することによって、焼却炉1の炉内温度を安定させることが可能になる。
【0031】
しかしながら、焼却炉1に投入される汚泥の含水率は、例えば、運転員が手動によって測定する必要がある場合があり、さらに、人手不足や時間的制約から、測定回数が1日数回程度に限られる場合がある。そのため、焼却システム900は、精度の高い含水率の測定結果を取得することができず、焼却炉1の炉内温度を安定させることができない場合がある。
【0032】
このように、汚泥の含水率を高精度かつ頻繁に測定する必要があるが、前記したように、人手不足や時間的制約から、かかる測定は困難である。
【0033】
発明者は、実際に測定した汚泥の含水率と、以下の条件情報との間に相関関係があることを見出した。例えば、汚泥の含水率と、焼却炉1において汚泥の焼却を行う際の日時、降水量、気温及び湿度のうちの少なくともいずれか1との間の相関関係である。
【0034】
日にちの場合、梅雨時や、豪雪地帯では冬季には、下水処理施設に流れ込む下水の量が増えるため、汚泥の含水率が高くなる傾向がある。また、時間の場合、時間に応じて含水率が変動する。例えば、早朝時又は深夜時は汚泥の濃度が低下する結果、汚泥の含水率が高くなるが、日中は汚泥の濃度が高くなる結果、汚泥の含水率が低くなる。また、気温や湿度の高低に応じて汚泥の含水率が変動する場合がある。気温や湿度の高低に応じて、例えば、汚泥濃縮機における汚泥濃縮率が変動したり、汚泥の脱水機における脱水率が変動したりする。
【0035】
また、例えば、汚泥の含水率と、投入装置13から焼却炉1に投入される単位時間あたりの汚泥の量との間の相関関係である。投入装置13では、いわゆるフィーダを利用して後段の装置に汚泥を排出(供給)する。このフィーダは、例えば、羽根を有する回転軸を回転させて、垂直方向下側に汚泥を落下させることで、後段の装置に汚泥を排出する。
【0036】
汚泥の含水率が変動すると、焼却炉1に投入する汚泥の量を運転者が変動させて焼却炉1内の燃焼状態を最適化する必要がある。そこで、投入装置13の運転者は、汚泥のフィーダの回転数を調整して、汚泥の含水率に応じて投入装置13からの汚泥投入量を調整する。例えば、含水率が高い場合、運転者は投入装置13からの投入量を増加させる。
【0037】
また、例えば、汚泥の含水率と、切出装置11から乾燥機12に供給される単位時間あたりの汚泥の量の相関関係である。
【0038】
含水率が変化すると汚泥の乾燥具合も変化する。例えば、汚泥の含水率が高くなると、汚泥が十分に乾燥されなくなる。よって、汚泥の含水率が高くなると、投入装置13に供給される汚泥の含水率も高くなり汚泥の流動性が低下する。そこで、乾燥機12において汚泥を十分に乾燥させるために、汚泥の切出装置11からの切出量を低くする。
【0039】
また、例えば、汚泥の含水率と、乾燥機12内の温度や、乾燥機12内において汚泥に送風する空気(熱風)の量や、乾燥機12内に設けられた撹拌機(図示せず)やドラム(図示せず)の回転数(周波数)との間の相関関係である。
【0040】
例えば、汚泥の含水率が高い場合、乾燥機12内の温度を上昇させたり、熱風の量(送風量)を増やしたりして汚泥の含水率を低くして焼却炉1に投入する。また、汚泥の含水率が高い場合、乾燥機12における汚泥の乾燥時間を長くするために乾燥機12内の汚泥移送機(例えば、コンベア)の汚泥移送速度を遅くすることで汚泥の含水率を低くして焼却炉1に投入する。また、汚泥の含水率が高い場合、乾燥機12において汚泥を十分に撹拌して汚泥を乾燥させるため撹拌機の回転数を高くする。
【0041】
このように、発明者は、実際に測定した汚泥の含水率と、上記の条件情報との間に相関関係を見出し、この相関関係を学習した機械学習モデルを生成し、生成した機械学習モデルに上記の条件情報を入力すれば、汚泥の含水率を出力することを想達した。以下、本実施形態では、この機械学習モデルの生成について説明する。更に、この機械学習モデルから出力された汚泥の含水率に基づく、焼却システム100の制御について説明する。
【0042】
本実施の形態における焼却システム100は、例えば、焼却炉1に投入される汚泥の含水率を予測する機械学習モデル(以下、単に学習モデルとも呼ぶ)を生成する。そして、焼却システム100は、例えば、学習モデルによって予測した汚泥の含水率に基づいて、焼却システム100における各パラメータの制御を行う。以下、第1の実施の形態における焼却システム100について説明を行う。
【0043】
[第1の実施の形態における焼却システム100]
図2は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成例を説明する図である。また、
図3は、第1の実施の形態における制御装置20の構成例を説明する図である。さらに、
図4は、第1の実施の形態における情報処理装置30の構成例を説明する図である。以下、比較例における焼却システム900と異なる点について説明を行う。
【0044】
焼却システム100は、
図2に示すように、例えば、制御装置20と、情報処理装置30とを有する。
【0045】
制御装置20は、例えば、乾燥機12において乾燥される前の汚泥(脱水汚泥)または乾燥機12において乾燥された後の汚泥(乾燥汚泥)の含水率に基づいて、焼却システム100における各パラメータを制御することにより、焼却炉1の炉内温度を制御する処理(以下、パラメータ制御処理とも呼ぶ)を行う。制御装置20は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータ装置である。
【0046】
具体的に、制御装置20は、制御装置920と同様に、例えば、投入装置13の設定値(投入装置13が焼却炉1に対して投入する単位時間あたりの汚泥の量等)や、送風機B1の回転数(ラインL12を介して熱交換器2から焼却炉1に供給する燃焼用空気の量等)を制御する。また、制御装置20は、制御装置920と同様に、例えば、焼却炉1に対する注水量や、焼却炉1に対して供給される補助燃料の量や、昇温バーナ(図示せず)から焼却炉1に供給する燃焼用空気の量を制御する。また、制御装置20は、制御装置920と同様に、例えば、ガス化炉1aから熱回収炉1bに供給される燃焼ガス(ガス化炉1aにおいて発生する燃焼ガス)の流量及び温度を制御する。
【0047】
情報処理装置30は、例えば、焼却炉1に投入される汚泥の含水率の予測を行う学習モデルを生成する処理(以下、モデル生成処理とも呼ぶ)を行う。情報処理装置30は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータ装置である。なお、制御装置20及び情報処理装置30は、例えば、単一のコンピュータ装置であってもよい。
【0048】
具体的に、情報処理装置30は、例えば、投入装置13から焼却炉1に対する汚泥の投入条件と、汚泥の焼却を行う際の焼却炉1の環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す情報(以下、条件情報とも呼ぶ)の入力に伴って、焼却炉1に投入される汚泥の含水率を出力する学習モデルの生成を行う。汚泥の投入条件は、例えば、切出装置11から乾燥機12に供給される単位時間あたりの汚泥の量や、投入装置13から焼却炉1に投入される単位時間あたりの汚泥の量である。また、汚泥の投入条件は、例えば、乾燥機12内の温度や、乾燥機12内において汚泥に送風する空気(熱風)の量や、乾燥機12内に設けられた撹拌機(図示せず)やドラム(図示せず)の回転数(周波数)である。
【0049】
また、焼却炉1の環境情報は、例えば、焼却炉1において汚泥の焼却を行う際の日時、降水量、気温及び湿度のうちの少なくともいずれかである。
【0050】
さらに具体的に、運転員は、
図3に示すように、例えば、複数のタイミングにおいて焼却炉1に投入された汚泥の含水率DT1(以下、第1含水率とも呼ぶ)を予め計測する。また、制御装置20は、例えば、汚泥の含水率DT1の計測を行った複数のタイミングのそれぞれについて、各タイミングにおける汚泥の投入条件(以下、第1投入条件とも呼ぶ)と焼却炉1の環境条件(以下、第1環境条件とも呼ぶ)とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT2(以下、第1条件情報とも呼ぶ)を予め取得する。
【0051】
そして、情報処理装置30は、例えば、複数のタイミングのそれぞれについて、各タイミングに対応する汚泥の含水率DT1と各タイミングに対応する条件情報DT2との組合せを含む教師データDT3をそれぞれ生成する。その後、情報処理装置30は、例えば、生成した複数の教師データDT3を用いた機械学習を行うことによって学習モデルMDを生成する。
【0052】
さらに、情報処理装置30は、例えば、生成した学習モデルMDを制御装置20がアクセス可能な記憶装置40に記憶する。記憶装置40は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する記憶装置である。なお、記憶装置40は、例えば、制御装置20及び情報処理装置30と異なる装置であってもよいし、制御装置20または情報処理装置30に内蔵された記憶装置であってもよい。
【0053】
その後、制御装置20は、
図4に示すように、例えば、定期的なタイミングにおいて、各タイミングにおける汚泥の投入条件(以下、第2投入条件とも呼ぶ)と焼却炉1の環境条件(以下、第2環境条件とも呼ぶ)とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT11(以下、第2条件情報とも呼ぶ)を取得する。そして、制御装置20は、例えば、取得した条件情報DT11を記憶装置40に記憶された学習モデルMDに対して入力する。さらに、制御装置20は、例えば、条件情報DT11の入力に伴って学習モデルMDから出力された値を、各タイミングにおける汚泥の含水率DT12(以下、第2含水率とも呼ぶ)として取得する。
【0054】
このように、本実施の形態における焼却システム100は、焼却炉1と、焼却炉1において焼却される汚泥の含水率DT1と、焼却炉1に対する汚泥の第1投入条件と汚泥を焼却する際の焼却炉1の第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT2と、をそれぞれ含む複数の教師データDT3を用いた機械学習によって生成された学習モデルMDを記憶する記憶装置40と、焼却炉1に対する新たな汚泥の第2投入条件と新たな汚泥を焼却する際の焼却炉1の第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT11の入力に伴って学習モデルMDから出力された含水率を新たな汚泥の含水率DT12として予測する制御装置20と、を備える。
【0055】
すなわち、焼却システム100において同じタイミングに取得(測定)された含水率DT1及び条件情報DT2は、一定の相関関係があるものと判断することが可能である。そこで、本実施の形態における情報処理装置30は、例えば、過去のタイミングにおいて取得(計測)された含水率DT1と条件情報DT2とを含む教師データDT3を用いた機械学習を行うことによって学習モデルMDを生成する。そして、本実施の形態における制御装置20は、例えば、情報処理装置30が生成した学習モデルMDを用いることによって、焼却炉1に投入される汚泥の含水率(現在の含水率)の予測を行う。
【0056】
これにより、本実施の形態における制御装置20は、例えば、焼却システム100の運用中において焼却炉1に投入される汚泥の含水率DT12を、焼却システム100における過去の稼働実績に基づいて生成された学習モデルMDを用いて予測することが可能になる。そのため、制御装置20は、例えば、焼却炉1に投入される汚泥の含水率DT12を精度良く行うことが可能になる。
【0057】
[モデル生成処理]
次に、情報処理装置30におけるモデル生成処理について説明を行う。
図5は、モデル生成処理を説明するフローチャート図である。また、
図6から
図8は、モデル生成処理を説明する図である。なお、モデル生成処理は、例えば、情報処理装置30内において、記憶媒体からメモリにロードされたプログラムとCPUとが協働することによって実行される処理である。
【0058】
情報処理装置30は、例えば、複数のタイミングにおいて焼却炉1に投入された汚泥の含水率DT1を取得する(
図5におけるステップS1)。具体的に、情報処理装置30は、例えば、複数のタイミングのそれぞれにおいて運転員が計測した複数の含水率DT1を取得する。
【0059】
また、情報処理装置30は、例えば、複数のタイミング(含水率DT1の取得が行われた複数のタイミング)における条件情報DT2を取得する(
図5におけるステップS1)。具体的に、情報処理装置30は、例えば、複数のタイミングのそれぞれにおいて制御装置20が取得した複数の条件情報DT2を取得する。
【0060】
そして、情報処理装置30は、例えば、複数のタイミングのそれぞれについて、各タイミングに対応する汚泥の含水率DT1と条件情報DT2との組合せを含む教師データDT3を生成する(
図5におけるステップS2)。
【0061】
なお、情報処理装置30は、例えば、各タイミングにおける焼却炉1の炉内温度を条件情報DT2の少なくとも1つとして教師データDT3に含めるものであってもよい。これにより、情報処理装置30は、例えば、汚泥の含水率DT12の予測を行う際に、焼却炉1の炉内温度を学習モデルMDに対する入力として用いることが可能になる。以下、複数の教師データDT3の具体例について説明を行う。
【0062】
[教師データDT3の第1の具体例]
初めに、教師データDT3の第1の具体例について説明を行う。
図6は、教師データDT3の第1の具体例について説明する図である。
図6に示す教師データDT3(以下、教師データDT3aとも呼ぶ)は、条件情報DT2として、乾燥機12内の温度と、切出装置11から乾燥機12に供給される1時間あたりの汚泥の量(切出量)と、投入装置13から焼却炉1に投入される1時間あたりの汚泥の量(投入量)とを含む教師データDT3である。すなわち、
図6に示す教師データDT3aは、条件情報DT2として、汚泥の投入条件を含む教師データDT3である。
【0063】
具体的に、
図6に示す教師データDT3aにおいて、1行目のデータには、「含水率」として「12(%)」が設定され、「乾燥機の温度」として「190(℃)」が設定され、「切出装置の切出量」として「4.6(t/h)」が設定され、「投入装置の投入量」として「0.8(t/h)」が設定されている。
【0064】
また、
図6に示す教師データDT3aにおいて、2行目のデータには、「含水率」として「14(%)」が設定され、「乾燥機の温度」として「180(℃)」が設定され、「切出装置の切出量」として「4(t/h)」が設定され、「投入装置の投入量」として「1(t/h)」が設定されている。
図6に含まれる他のデータのついての説明は省略する。
【0065】
[教師データDT3の第2の具体例]
次に、教師データDT3の第2の具体例について説明を行う。
図7は、教師データDT3の第2の具体例について説明する図である。
図7に示す教師データDT3(以下、教師データDT3bとも呼ぶ)は、条件情報DT2として、焼却炉1において汚泥の焼却が行われたタイミングにおける日付、時間、降水量、気温及び湿度を含む教師データDT3である。すなわち、
図7に示す教師データDT3bは、条件情報DT2として、焼却炉1の環境条件を含む教師データDT3である。
【0066】
具体的に、
図7に示す教師データDT3bにおいて、1行目のデータには、「含水率」として「12(%)」が設定され、「日付」として「4/1」が設定され、「時間」として「8:00」が設定され、「降水量」として「0(mm)」が設定され、「気温」として「15(℃)」が設定され、「湿度」として「10(%)」が設定されている。
【0067】
また、
図7に示す教師データDT3bにおいて、2行目のデータには、「含水率」として「14(%)」が設定され、「日付」として「4/1」が設定され、「時間」として「10:00」が設定され、「降水量」として「0(mm)」が設定され、「気温」として「13(℃)」が設定され、「湿度」として「15(%)」が設定されている。
図7に含まれる他のデータのついての説明は省略する。
【0068】
[教師データDT3の第3の具体例]
次に、教師データDT3の第3の具体例について説明を行う。
図8は、教師データDT3の第3の具体例について説明する図である。
図8に示す教師データDT3(以下、教師データDT3cとも呼ぶ)は、
図6で説明した教師データDT3に含まれる各情報に加え、汚泥の焼却時における焼却炉1の炉内温度を含む。
【0069】
具体的に、
図8に示す教師データDT3cにおいて、1行目のデータには、「含水率」として「12(%)」が設定され、「乾燥機の温度」として「190(℃)」が設定され、「切出装置の切出量」として「4.6(t/h)」が設定され、「投入装置の投入量」として「0.8(t/h)」が設定され、「焼却炉の温度」として「800(℃)」が設定されている。
【0070】
また、
図8に示す教師データDT3cにおいて、2行目のデータには、「含水率」として「14(%)」が設定され、「乾燥機の温度」として「180(℃)」が設定され、「切出装置の切出量」として「4(t/h)」が設定され、「投入装置の投入量」として「1(t/h)」が設定され、「焼却炉の温度」として「780(℃)」が設定されている。
図8に含まれる他のデータについての説明は省略する。
【0071】
図5に戻り、情報処理装置30は、例えば、複数のタイミングのそれぞれについて生成した複数の教師データDT3を用いた機械学習を行うことによって学習モデルMDを生成する(
図5におけるステップS3)。
【0072】
このように、本実施の形態における情報処理装置30は、例えば、焼却炉1において焼却される汚泥の含水率DT1と、焼却炉1に対する汚泥の第1投入条件と汚泥を焼却する際の焼却炉1の第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT2と、をそれぞれ含む複数の教師データDT3を取得する。なお、取得する教師データDT3は、例えば、
図6から
図8で説明した教師データDT3aからDT3cの少なくとも1つのデータ(セット)を含む。そして、情報処理装置30は、例えば、取得した複数の教師データDT3を用いた機械学習によって、焼却炉1に対する新たな汚泥の第2投入条件と新たな汚泥を焼却する際の焼却炉1の第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT11の入力に伴って新たな汚泥の含水率DT12を出力する学習モデルMDを生成する。
【0073】
これにより、本実施の形態における情報処理装置30は、例えば、焼却炉1に投入される汚泥の含水率DT12を精度良く行うことが可能な学習モデルMDを生成することが可能になる。
【0074】
なお、情報処理装置30は、例えば、ステップS3において、線形回帰、GBDT(Gradient Boosting Decision Tree)、決定木、回帰木及びk近傍法を含む複数の手法のうちのいずれかを用いることによって、複数の教師データDT3の機械学習を行うものであってよい。
【0075】
[パラメータ制御処理]
次に、制御装置20におけるパラメータ制御処理について説明を行う。
図9は、パラメータ制御処理を説明するフローチャート図である。なお、パラメータ制御処理は、例えば、制御装置20内において、記憶媒体からメモリにロードされたプログラムとCPUとが協働することによって実行される処理である。
【0076】
制御装置20は、例えば、定期的なタイミングにおいて条件情報DT11を取得する(
図9におけるステップS11)。
【0077】
具体的に、制御装置20は、例えば、
図5におけるステップS2で生成した教師データDT3に含まれる条件情報DT2と同じ種類の情報を焼却システム100から取得する。すなわち、例えば、教師データDT3に含まれる条件情報DT2が投入装置13から焼却炉1に対する汚泥の投入量の設定値である場合、制御装置20は、条件情報DT11として、投入装置13から焼却炉1に対する現在の汚泥の投入量の設定値を投入装置13から取得する。また、例えば、教師データDT3に含まれる条件情報DT2が乾燥機12内の温度である場合、制御装置20は、条件情報DT11として、乾燥機12内の現在の温度を乾燥機12に取り付けられた温度計(図示せず)から取得する。
【0078】
そして、制御装置20は、例えば、ステップS11において取得した条件情報DT11を学習モデルMDに入力する。その後、制御装置20は、例えば、学習モデルMDから出力された値を、焼却炉1に投入される汚泥の現在の含水率DT12として予測する(
図9におけるステップS12)。
【0079】
続いて、制御装置20は、例えば、ステップS12において予測した含水率DT12に従って、焼却システム10における各パラメータ(以下、焼却条件とも呼ぶ)の制御を行う(
図9におけるステップS13)。
【0080】
具体的に、例えば、ステップS12において予測した含水率DT12が予め定められた閾値よりも大きいと判定した場合、制御装置20は、投入装置13から焼却炉1に投入される汚泥の単位時間あたりの投入量を調整する。例えば、制御装置20は、投入装置13を制御して、単位時間あたりの汚泥の投入量を増加させる。他にも、ステップS12において予測した含水率DT12が予め定められた閾値よりも大きいと判定した場合、制御装置20は、補助燃料の投入量を増やしてもよい。
【0081】
なお、制御装置20は、例えば、ステップS12において予測した含水率DT12に加え、焼却炉1に対して投入している補助燃料の量についても用いることによって、焼却システム10における各パラメータの制御を行うものであってもよい。
【0082】
このように、本実施の形態における制御装置20は、例えば、学習モデルMDを用いることによって予測した第2含水率に基づいて、新たな汚泥を焼却する際の各パラメータを制御する。
【0083】
すなわち、本実施の形態における制御装置20は、例えば、焼却システム10における各パラメータの制御を、学習モデルMDから出力された予測精度の高い含水率DT12を用いて行うことが可能になる。
【0084】
これにより、本実施の形態における制御装置20は、例えば、焼却炉1に対する単位時間あたりの汚泥の投入量等の各パラメータの最適化を図ることが可能になる。そのため、制御装置20は、例えば、自動制御によって焼却炉1の炉内温度を安定化させることが可能になり、運転員による手動制御が必要となる時間(頻度)を抑制することが可能になる。また、本実施の形態における制御装置20は、例えば、焼却システム100からの温室効果ガスの発生を抑制することが可能になる。
【0085】
なお、情報処理装置30は、ステップS3において、例えば、互いに異なる条件情報DT2を有する複数種類の教師データDT3を用いることによって、複数の学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0086】
具体的に、情報処理装置30は、例えば、
図6で説明した複数の教師データDT3aを用いた学習モデルMDと、
図7で説明した複数の教師データDT3bを用いた学習モデルMDと、
図8で説明した複数の教師データDT3cを用いた学習モデルMDとをそれぞれ生成するものであってもよい。
【0087】
そして、制御装置20は、例えば、テスト段階(パラメータ制御処理の実行開始前)において、生成した複数の学習モデルMDのそれぞれを用いることによって含水率DT12の予測を行い、最も精度が高いと判断可能な学習モデルMDを、パラメータ制御処理において用いる学習モデルMDとして選定するものであってもよい。
【0088】
これにより、制御装置20は、例えば、焼却炉1に投入される汚泥の含水率DT12の予測に適した教師データDT3を特定することが可能になり、汚泥の含水率DT12の予測精度をより向上させることが可能になる。
【0089】
また、情報処理装置30は、ステップS3において、例えば、複数の手法(例えば、線形回帰、GBDT、決定木、回帰木及びk近傍法等)のうちの異なる手法を用いた複数の学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0090】
これにより、制御装置20は、例えば、焼却炉1に投入される汚泥の含水率DT12の予測に適した機械学習の手法を特定することが可能になり、汚泥の含水率DT12の予測精度をより向上させることが可能になる。
【0091】
また、情報処理装置30は、ステップS3において、例えば、同一種類の教師データDT3(例えば、条件情報DT2として同一種類の投入条件を含む教師データDT3)から複数の学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0092】
具体的に、情報処理装置30は、例えば、
図7で説明した複数の教師データDT3bのそれぞれを、各データに含まれる日付の範囲ごと、または、各データに含まれる時間の範囲ごとに複数のグループに分類し、分類した複数のグループごとに、各グループに分類された教師データDT3bを用いた学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0093】
さらに具体的に、情報処理装置30は、例えば、日付が1月から3月までの間である教師データDT3bを用いた学習モデルMDと、日付が4月から6月までの間である教師データDT3bを用いた学習モデルMDと、日付が7月から9月までの間である教師データDT3bを用いた学習モデルMDと、日付が10月から12月までの間である教師データDT3bを用いた学習モデルMDとをそれぞれ生成するものであってもよい。なお、情報処理装置30は、この場合、例えば、梅雨の時期や大型連休等に対応する学習モデルMDをさらに生成するものであってもよい。
【0094】
そして、制御装置20は、例えば、ステップS12において、例えば、生成した複数の学習モデルMDのうち、パラメータ制御処理を行う日付に対応する学習モデルMDを選択して含水率DT12の予測を行うものであってもよい。
【0095】
これにより、制御装置20は、例えば、焼却システム100の運転環境(例えば、季節)によって汚泥の含水率DT12の傾向が大きく異なる場合であっても、含水率DT12の予測を精度良く行うことが可能になる。
【0096】
さらに、情報処理装置30は、ステップS3において、例えば、同一種類の教師データDT3(例えば、条件情報DT2として同一種類の環境条件を含む教師データDT3)から複数の学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0097】
具体的に、情報処理装置30は、例えば、
図6で説明した複数の教師データDT3aのそれぞれを、各データに含まれる乾燥機12の温度の範囲ごとに複数のグループに分類し、分類した複数のグループごとに、各グループに分類された教師データDT3aを用いた学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0098】
さらに具体的に、情報処理装置30は、例えば、乾燥機12の温度が60℃未満である教師データDT3aを用いた学習モデルMDと、乾燥機12の温度が60℃以上である教師データDT3aを用いた学習モデルMDとをそれぞれ生成するものであってもよい。
【0099】
そして、制御装置20は、例えば、ステップS12において、例えば、生成した複数の学習モデルMDのうち、乾燥機12の現在の温度に対応する学習モデルMDを選択して含水率DT12の予測を行うものであってもよい。
【0100】
これにより、制御装置20は、例えば、焼却システム100の運転状況(例えば、乾燥機12の温度)によって汚泥の含水率DT12の傾向が大きく異なる場合であっても、含水率DT12の予測を精度良く行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0101】
1:焼却炉 1a:ガス化炉
1b:熱回収炉 1c:流動層
2:流動空気予熱器 3:スクラバ
4:洗煙処理塔 5:煙突
20:制御装置 30:情報処理装置
40:記憶装置 100:焼却システム
900:焼却システム 920:制御装置
B1:送風機 B2:送風機
DT1:含水率 DT2:条件情報
DT3:教師データ DT3a:教師データ
DT3b:教師データ DT3c:教師データ
DT11:条件情報 D12:含水率
G:排ガス L1:ライン
L2:ライン L3:ライン
L4:ライン L5:ライン
L11:ライン L12:ライン
L21:ライン L22:ライン
L23:ライン L24:ライン