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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122161
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】回転電機、およびポンプ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/33 20160101AFI20230825BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
H02K11/33
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025667
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】梶田 国博
(72)【発明者】
【氏名】本間 和博
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605BB05
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC06
5H605CC08
5H605DD01
5H605DD09
5H605DD32
5H605EB16
5H605EB17
5H605EC05
5H605EC08
5H605EC20
5H605GG04
5H605GG06
5H611BB01
5H611TT01
5H611UA04
5H611UB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】制御基板と接続端子とを安定して接続できる回転電機およびポンプを提供する。
【解決手段】中心軸Jを中心として回転可能なロータ20と、ステータ30と、ステータ30の軸方向一方側に配置される制御基板70と、制御基板70の軸方向一方側に配置されるコネクタユニット80と、ロータ20、ステータ30、および制御基板70を収容するハウジング10と、を備える。制御基板70は、制御基板70を軸方向に貫通する貫通孔70aを有する。コネクタユニット80は、制御基板70に接続される接続端子と、接続端子を保持する接続端子保持部材81と、を有する。接続端子保持部材81は、軸方向に貫通する孔部81gが設けられた固定部を有する。固定部には、筒状のカラー部材85が保持される。カラー部材85の内部を軸方向に通される締結部材93によって、ハウジング10と固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転可能なロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、
前記ステータの軸方向一方側に配置される制御基板と、
前記制御基板の軸方向一方側に配置されるコネクタユニットと、
前記ロータ、前記ステータ、および前記制御基板を内部に収容するハウジングと、
を備え、
前記制御基板は、前記制御基板を軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記コネクタユニットは、前記制御基板に接続される接続端子と、前記接続端子を保持する接続端子保持部材と、を有し、
前記接続端子保持部材は、軸方向に貫通する孔部が設けられた固定部を有し、
前記固定部には、前記固定部よりも軸方向他方側に突出する筒状のカラー部材が保持され、
前記カラー部材は、
前記固定部よりも軸方向他方側に突出し、前記貫通孔に通される突出部と、
前記制御基板よりも軸方向一方側に位置し、前記突出部よりも外径が大きい大径部と、
を有し、前記カラー部材の内部を軸方向に通される締結部材によって、前記ハウジングと固定される、回転電機。
【請求項2】
前記大径部は、前記制御基板の軸方向一方側を向く面と接触し、
前記ハウジングは、軸方向一方側を向く基板支持面を有し、
前記基板支持面は、前記制御基板の軸方向他方側を向く面と接触する、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記基板支持面には、軸方向他方側に窪む穴部が設けられ、
前記穴部の内面は、軸方向一方側を向く対向面を有し、
前記穴部には、軸方向一方側から前記突出部が挿入され、
前記突出部の軸方向他方側の端部は、前記対向面から軸方向一方側に離れて位置する、請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記大径部および前記固定部は、前記制御基板の軸方向一方側に位置し、前記制御基板と隙間を介して対向する、請求項1に記載の回転電機。
【請求項5】
前記ハウジングは、軸方向一方側を向く基板支持面を有し、
前記基板支持面には、軸方向他方側に窪む穴部が設けられ、
前記穴部の内面は、軸方向一方側を向く対向面を有し、
前記穴部には、軸方向一方側から前記突出部が軸方向に挿入され、
前記突出部の軸方向他方側の端部は、前記対向面と接触する、請求項4に記載の回転電機。
【請求項6】
前記突出部は、前記穴部に嵌め合わされている、請求項3または5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記突出部は、前記大径部から軸方向他方側に突出し、
前記突出部の外周面における軸方向一方側の端部には、内側に向けて窪む環状の溝部が設けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項8】
前記大径部は、
軸方向に延びる円筒状であり、
前記大径部の外周面であって、前記大径部の軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側、かつ、前記大径部の軸方向他方側の端部よりも軸方向一方側の部分に、軸方向と直交する方向に延びる平面部を有し、
前記平面部は、前記固定部に埋め込まれている、請求項1から7いずれか一項に記載の回転電機。
【請求項9】
前記ハウジングは、
軸方向一方側に開口する開口を有する本体部と、
前記開口を塞ぐカバー部材と、
を有し、
前記カバー部材は、軸方向に貫通する挿通孔を有し、
前記コネクタユニットは、前記挿通孔を軸方向に通される、請求項1から8のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の回転電機と、
前記ロータに接続されるポンプ機構と、
を備える、ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機、およびポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
電子基板と、電子基板と外部機器とを電気的に接続するためのコネクタターミナルと、を有する電動モータ装置が知られている。例えば、特許文献1には、電子基板とコネクタターミナルとの接続構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-16223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動モータ装置においては、電子基板を保持する部材と、コネクタターミナルを保持する部材とが互いに異なる部材であるため、電動モータ装置の駆動時に振動が生じると、電子基板の位置とコネクタターミナルの位置が相対的に変動する。そのため、コネクタターミナルに保持され電子基板にはんだ付け等によって接続される接続端子と、電子基板との接続部に負荷がかかり、接続端子と電子基板との接続が不安定になる問題があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、制御基板と接続端子とを安定して接続できる回転電機およびポンプを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転電機の一つの態様は、中心軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、前記ステータの軸方向一方側に配置される制御基板と、前記制御基板の軸方向一方側に配置されるコネクタユニットと、前記ロータ、前記ステータ、および前記制御基板を内部に収容するハウジングと、を備える。前記制御基板は、前記制御基板を軸方向に貫通する貫通孔を有する。前記コネクタユニットは、前記制御基板に接続される接続端子と、前記接続端子を保持する接続端子保持部材と、を有する。前記接続端子保持部材は、軸方向に貫通する孔部が設けられた固定部を有する。前記固定部には、前記固定部よりも軸方向他方側に突出する筒状のカラー部材が保持される。前記カラー部材は、前記固定部よりも軸方向他方側に突出し、前記貫通孔に通される突出部と、前記制御基板よりも軸方向一方側に位置し、前記突出部よりも外径が大きい大径部と、を有し、前記カラー部材の内部を軸方向に通される締結部材によって、前記ハウジングと固定される。
【0007】
本発明のポンプの一つの態様は、上記の回転電機と、上記のロータに接続されるポンプ機構部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、回転電機およびポンプにおいて、制御基板と接続端子とを安定して接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態のポンプを示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態のポンプを示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態のポンプの分解斜視図である。
図4図4は、第1実施形態の制御基板とコネクタユニットとを示す斜視図である。
図5図5は、第1実施形態の制御基板の一部とコネクタユニットの一部とを示す断面図である。
図6図6は、第1実施形態のコネクタユニットを示す斜視図である。
図7図7は、第2実施形態の制御基板の一部とコネクタユニットの一部とを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において図には、適宜、X軸、Y軸、およびZ軸を示す。Z軸は、以下に説明する実施形態の回転電機の中心軸Jが延びる方向を示している。各図に示す中心軸Jは、仮想軸線である。以下の説明においては、中心軸Jが延びる方向、つまりZ軸と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「軸方向一方側」または「上側」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「軸方向他方側」または「下側」と呼ぶ。
【0011】
X軸と平行な方向を「幅方向X」と呼ぶ。幅方向XのうちX軸の矢印が向く側(+X側)を「幅方向一方側」と呼ぶ。幅方向XのうちX軸の矢印が向く側と逆側(-X側)を「幅方向他方側」と呼ぶ。Y軸と平行な方向を「前後方向Y」と呼ぶ。前後方向YのうちY軸の矢印が向く側(+Y側)を「前方側」と呼ぶ。前後方向YのうちY軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)を「後方側」と呼ぶ。軸方向と幅方向Xと前後方向Yとは、互いに直交する方向である。なお、「上側」、「下側」、「幅方向X」、および「前後方向Y」は、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態のポンプ1は、車両に搭載される機器に取り付けられる電動ポンプである。ポンプ1が取り付けられる機器は、自動変速機であってもよいし、車両の車軸を駆動する駆動装置であってもよい。ポンプ1は、例えば、車両に搭載される機器にオイルを供給する電動オイルポンプである。
【0013】
図2に示すように、ポンプ1は、回転電機2と、ポンプ機構40と、を備える。本実施形態において、回転電機2は、モータである。回転電機2は、ハウジング10と、ロータ20と、ステータ30と、制御装置7と、コネクタユニット80と、封止部材63と、ベアリング61,62とを備える。
【0014】
ハウジング10は、ロータ20と、ステータ30と、制御装置7と、コネクタユニット80の下側の部分と、封止部材63と、ベアリング61,62と、ポンプ機構40と、を内部に収容する。ハウジング10は、本体部11と、カバー部材16と、ポンプカバー17と、ベアリング保持部材19とを有する。本体部11と、カバー部材16と、ポンプカバー17と、ベアリング保持部材19とは、互いに別部材である。カバー部材16は、本体部11の上側に固定されている。ポンプカバー17は、本体部11の下側に固定されている。ベアリング保持部材19は、本体部11の内部に収容されている。
【0015】
本体部11は、中心軸Jを囲み、軸方向に延びる筒状である。本体部11は、上側および下側に開口する。本体部11は、モータ収容部12と、制御装置収容部13と、底壁部14と、ポンプ収容部14aと、ベアリング保持部15と、吸入部11fと、吐出部11hと、を有する。
【0016】
モータ収容部12は、ロータ20と、ステータ30と、を内部に収容する。モータ収容部12は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。モータ収容部12の上側の端部は、制御装置収容部13の下側の端部と繋がっている。モータ収容部12の下側の端部は、底壁部14の径方向外側の端部と繋がっている。モータ収容部12の上側の端部は上側に開口している。図1に示すように、モータ収容部12の外周面には、取付部12b,12dが設けられている。
【0017】
取付部12b,12dは、それぞれ、前後方向Yに延びる円筒状である。取付部12bは、取付部12bを前後方向Yに貫通する孔12cを有している。取付部12bは2つ設けられている。取付部12dは、取付部12dを前後方向Yに貫通する孔12eを有している。取付部12dは2つ設けられている。各孔12c,12eには、図示しない車両と締結されるボルトが前後方向Yに通される。これにより、ポンプ1は車両に固定される。
【0018】
図1に示すように、制御装置収容部13は、中心軸Jを囲む四角筒状である。軸方向に見て、制御装置収容部13は、略正方形状である。図2に示すように、制御装置収容部13は、上側および下側に開口する。制御装置収容部13の内部には、制御装置7が収容される。制御装置収容部13の上側の端部は、本体部11の上側の端部である。制御装置収容部13の内部は、下側の開口を介して、モータ収容部12の内部と繋がっている。また、制御装置収容部13の上側の開口は、カバー部材16によって塞がれている。図3に示すように、制御装置収容部13は、底部13aと、側部13bと、第1基板固定部13cと、第2基板固定部13iと、第1突出部13kと、を有する。
【0019】
底部13aは軸方向を向く板状である。軸方向に見て、底部13aは略正方形状である。底部13aには軸方向に貫通する円形状の孔13a1が設けられている。孔13a1の内周面は、モータ収容部12の内周面と繋がっている。これにより、制御装置収容部13の内部は、モータ収容部12の内部と繋がっている。
【0020】
図2に示すように、側部13bは、底部13aの外縁部から上側に突出する四角筒状である。側部13bの上側の端部には、上側に開口する開口13nが設けられている。つまり、ハウジング10は、上側、すなわち軸方向一方側に開口する開口13nを有する本体部11を有する。図3に示すように、側部13bは、軸方向に見て、幅方向Xに延びる2つの辺と前後方向Yに延びる2つの辺とを有する略正方形状である。側部13bの上側を向く面には、下側に窪む雌ネジ穴13b1が設けられている。本実施形態において、雌ネジ穴13b1は4つ設けられている。
【0021】
第1基板固定部13cは、底部13aから上側に突出する円筒状である。第1基板固定部13cの上側の端部は、側部13bの上側の端部よりも下側に位置している。本実施形態において、第1基板固定部13cは2つ設けられている。一方の第1基板固定部13cは、側部13bの内周面のうち、幅方向一方側(+X側)を向く面と繋がっている。他方の第1基板固定部13cは、側部13bの内周面のうち、前方側(+Y側)を向く面と繋がっている。2つの第1基板固定部13cは、設けられる位置が異なる点を除いて同様の構成である。そのため、以下の説明では、2つの第1基板固定部13cにおいて互いに重複する構成については、側部13bの内周面のうち、幅方向一方側(+X側)を向く面と繋がる第1基板固定部13cについてのみ説明を行う場合がある。
【0022】
図5に示すように、第1基板固定部13cは、それぞれ、基板支持面13dと、穴部13eと、雌ネジ穴13gとを有する。基板支持面13dは、第1基板固定部13cの上側を向く面である。つまり、ハウジング10は、上側、すなわち軸方向一方側を向く基板支持面13dを有する。基板支持面13dは、後述する制御基板70の下側、すなわち軸方向他方側を向く面と接触する。これにより、ハウジング10は、制御基板70を軸方向に支持する。
【0023】
穴部13eは、基板支持面13dから下側に窪む円形状の穴である。つまり、基板支持面13dには、下側、すなわち軸方向他方側に窪む穴部13e設けられる。穴部13eには、後述するカラー部材85の突出部85bが挿入される。穴部13eの底面は、上側を向く対向面13fである。対向面13fには、雌ネジ穴13gが設けられている。雌ネジ穴13gは、対向面13fから下側に窪む穴である。雌ネジ穴13gの内周面には、ネジ部が設けられている。雌ネジ穴13gが設けられていることで、対向面13fは、軸方向に見て、円環状となっている。対向面13fの外縁部は、穴部13eの内周面と繋がる。対向面13fは、穴部13eの内周面と雌ネジ穴13gの内周面との間の段差面である。
【0024】
図3に示すように、第2基板固定部13iは、底部13aから上側に突出する円筒状である。軸方向において、第2基板固定部13iの上側の端部の位置は、第1基板固定部13cの上側の端部の位置と同じ位置に設けられている。本実施形態において、第2基板固定部13iは3つ設けられている。3つの第2基板固定部13iは、それぞれ、側部13bの内周面のうち、前方側(+Y側)を向く面、幅方向他方側(-X側)を向く面、および後方側(-Y側)を向く面と繋がっている。各第2基板固定部13iの上側を向く面は、後述する制御基板70の下側を向く面と接触する。これにより、ハウジング10は、制御基板70を軸方向に支持する。また、各第2基板固定部13iの上側を向く面には、それぞれ、雌ネジ穴13jが設けられている。
【0025】
第1突出部13kは、底部13aから上側に突出する円筒状である。第1突出部13kの上側の端部は、第1基板固定部13cの上側の端部よりも下側に位置している。第1突出部13kは、底部13aの孔13a1の縁部に沿って、間隔をあけて設けられる。本実施形態において、第1突出部13kは4つ設けられている。各第1突出部13kの上側を向く面は、ベアリング保持部材19の下側を向く面と接触する。これにより、各第1突出部13kは、ベアリング保持部材19を軸方向に支持する。また、各第1突出部13kの上側を向く面には、それぞれ、雌ネジ穴13mが設けられている。
【0026】
図2に示すように、底壁部14は、中心軸Jを囲む円環状である。底壁部14は、ステータ30よりも下側に位置している。底壁部14の径方向外側の端部は、モータ収容部12の下側の端部と繋がっている。
【0027】
ポンプ収容部14aは、ポンプ機構40の上側の部分を内部に収容する。ポンプ収容部14aは、中心軸Jを中心とし、下側に開口する略円筒状である。ポンプ収容部14aの上側の端部は、底壁部14の下側を向く面のうち、径方向外側の端部と繋がっている。ポンプ収容部14aの下側を向く面には、ポンプカバー17が固定されている。ポンプ収容部14aの開口14bは、ポンプカバー17によって塞がれている。ポンプ収容部14aの下側を向く面には溝が設けられ、溝にはOリング65が嵌め込まれている。Oリング65は、ポンプ収容部14aの下側を向く面と、ポンプカバー17の上側を向く面とに接触して、本体部11とポンプカバー17との間を封止している。
【0028】
ベアリング保持部15は、底壁部14の内縁から上側に延びている。ベアリング保持部15は、中心軸Jを中心として軸方向に突出する円筒状である。ベアリング保持部15は、モータ収容部12の内部に配置されている。ベアリング保持部15の内部には、後述するシャフト23が通されている。ベアリング保持部15の内周面には、ベアリング62が保持されている。ベアリング62は、シャフト23を中心軸J回りに回転可能に支持している。ベアリング62は、シャフト23の外周面のうちステータ30よりも下側の部分を支持している。ベアリング保持部15の内周面のうち、ベアリング62よりも下側の部分には、封止部材63が保持されている。本実施形態において、封止部材63は、径方向内側にリップ部を有するリップシールである。封止部材63のリップ部は、シャフト23の外周面に接触している。これにより、封止部材63は、シャフト23と本体部11との間を封止する。
【0029】
図1に示すように、吸入部11fは、軸方向に延びる円筒状である。吸入部11fは、径方向に延びる円筒状の部分を有する。吸入部11fの内部には、オイルが流れる吸入流路11gが設けられている。吸入流路11gの一端は、吸入部11fの前方側(+Y側)を向く面から開口している。図示は省略するが、吸入流路11gの他端は、ポンプカバー17の内部と繋がっている。これにより、ポンプ1の外部のオイルが、吸入流路11gを介して、ポンプ機構40に供給される。
【0030】
吐出部11hは、軸方向に延びる円筒状である。吐出部11hは、径方向に延びる円筒状の部分を有する。吐出部11hの内部には、オイルが流れる吐出流路11iが設けられている。吐出流路11iの一端は、吐出部11hの前方側(+Y側)を向く面から開口している。図示は省略するが、吐出流路11iの他端は、ポンプカバー17の内部と繋がっている。これにより、吐出流路11iを介して、オイルがポンプ機構40からポンプ1の外部に吐出される。
【0031】
図1に示すように、カバー部材16は、本体部11の上側に固定されている。図2に示すように、カバー部材16は、上側から開口13nを塞いでいる。つまり、ハウジング10は開口13nを塞ぐカバー部材16を有する。図1に示すように、カバー部材16は、軸方向に見て、略正方形状である。軸方向に見て、カバー部材16の2つの外周辺は幅方向Xと略平行に延びている。軸方向に見て、カバー部材16の他の2つの外周辺は前後方向Yと略平行に延びている。カバー部材16は、ネジ91によって、本体部11の上側に固定されている。ネジ91は、図3に示す本体部の雌ネジ穴13b1に締め込まれる。図1に示すように、カバー部材16は、カバー本体部16aと、コネクタ収容部16bと、凸部16dと、カバー側壁部16fと、挿通孔16cと、を有している。
【0032】
カバー本体部16aは、四角板状である。カバー本体部16aの板面は軸方向を向いている。カバー本体部16aは、上側から開口13nを塞いでいる。カバー本体部16aは、複数のリブ16eを有している。複数のリブ16eは、カバー本体部16aの上側を向く面に設けられている。複数のリブ16eは、それぞれ、幅方向Xに互いに平行に延びている。カバー本体部16aの前方側(+Y側)の部分において、複数のリブ16eは、カバー本体部16aの幅方向X全体に亘って設けられている。カバー本体部16aの後方側(-Y側)の部分において、複数のリブ16eは、カバー本体部16aの幅方向一方側(+X側)の部分に設けられている。
【0033】
図1に示すように、コネクタ収容部16bは、カバー本体部16aの上側を向く面から上側に突出する略四角筒状である。コネクタ収容部16bは、上側に開口している。コネクタ収容部16bの内部は、本体部11の内部と繋がる。軸方向に見て、コネクタ収容部16bは、略長方形状である。軸方向に見て、コネクタ収容部16bの2つの外周辺は幅方向Xと略平行に延びている。軸方向に見て、コネクタ収容部16bの他の2つの外周辺は前後方向Yと略平行に延びている。コネクタ収容部16bは、カバー本体部16aのうち、幅方向他方側(-X側)、且つ、後方側(-Y側)の部分に設けられている。
【0034】
図3に示すように、挿通孔16cは、コネクタ収容部16bおよびカバー本体部16aを軸方向に貫通する孔である。挿通孔16cの内側面の一部は、コネクタ収容部16bの内側面によって構成されている。軸方向に見て、挿通孔16cは略長方形状の孔である。
【0035】
図2に示すように、凸部16dは、カバー本体部16aから下側に突出する四角柱状である。本実施形態において、凸部16dは、5つ設けられている。各凸部16dの下側を向く面は、それぞれ、後述する伝熱部材72と接触している。
【0036】
カバー側壁部16fは、カバー本体部16aの外縁から下側に突出する四角枠状である。カバー側壁部16fの下側を向く面は、制御装置収容部13の上側を向く面と接触している。
【0037】
図2に示すように、ポンプカバー17は、ポンプ収容部14aの下側にボルト92によって固定される。ポンプカバー17は、中心軸Jを中心とし上側に開口する円筒状である。ポンプカバー17は、ポンプ機構40の下側の部分を内部に収容している。ポンプカバー17は、ポンプ収容部14aの開口14bを塞いでいる。ポンプカバー17の内面のうち上側を向く面には、Oリング66が配置されている。Oリング66は、ポンプ機構40の下側の端部と接触している。これにより、Oリング66は、ポンプカバー17とポンプ機構40との間を封止している。
【0038】
ベアリング保持部材19は、ベアリング61を保持する。図2に示すように、軸方向において、ベアリング保持部材19は、ステータ30と制御装置7との間に配置されている。ベアリング保持部材19は、第1円環部19aと、第1部分19bと、第2部分19cと、保持部19dと、第2円環部19eと、を有する。
【0039】
第1円環部19aは、中心軸Jを中心とする略円環板状である。第1円環部19aには図示しない軸方向に貫通する孔が4つ設けられている。各孔には、図3に示す雌ネジ穴13mに締め込まれる図示しないネジが通される。これにより、ベアリング保持部材19は、本体部11に固定される。図2に示すように、第1部分19bは、第1円環部19aの内縁部から下側に突出する円筒状である。第2部分19cは、第1部分19bの下側の端部から、径方向内側に突出する円環板状である。保持部19dは、第2部分19cの内縁部から上側に突出する円筒状である。保持部19dの内周面には、ベアリング61が保持されている。ベアリング61は、シャフト23を中心軸J回りに回転可能に支持している。ベアリング61は、シャフト23の外周面のうちステータ30よりも上側の部分を支持している。第2円環部19eは、中心軸Jを中心とする略円環板状である。第2円環部19eは、保持部19dと繋がっている。第2円環部19eの下側を向く面は、ベアリング61の上側を向く面と接触している。これにより、ベアリング61の軸方向の位置が決まる。
【0040】
図2に示すロータ20は、中心軸Jを中心として回転可能である。ロータ20は、ロータコア21と、磁石22と、シャフト23と、を有する。シャフト23および磁石22は、ロータコア21に固定されている。ロータ20は、シャフト23を支持するベアリング61,62によって、中心軸J回りに回転可能に支持されている。シャフト23は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。シャフト23は、モータ収容部12の内部と、ポンプ収容部14aの内部と、ポンプカバー17の内部とに跨って配置されている。
【0041】
ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向している。ステータ30は、ロータ20の径方向外側に位置している。ステータ30は、ステータコア31と、図示しないインシュレータと、複数のコイル32と、を有する。ステータ30は、モータ収容部12の内周面に固定されている。複数のコイル32は、図示しないバスバーを介して後述する制御基板70に電気的に接続されている。複数のコイル32には、制御基板70を介して電流が供給される。
【0042】
図2に示すように、ポンプ機構40は、ポンプ収容部14aの内部と、ポンプカバー17の内部とに跨って収容される。ポンプ機構40は、図示しないインナーロータと、アウターロータと、を有している。インナーロータは、シャフト23のうちポンプ収容部14aの内部およびポンプカバー17の内部に突出する部分と接続されている。これにより、ポンプ機構40は、ロータ20に接続される。インナーロータは、シャフト23を囲む環状である。アウターロータは、インナーロータを囲む環状である。インナーロータとアウターロータとは、互いに噛み合っている。そのため、ロータ20によってインナーロータが回転させられることで、アウターロータも回転する。
【0043】
制御装置7は、複数のコイル32に供給する電流を制御する。図2に示すように、制御装置7は、ステータ30の上側に配置される。制御装置7は、制御装置収容部13の内部およびカバー部材16の内部に跨って収容される。図4に示すように、制御装置7は、制御基板70と、複数の電子部品71と、伝熱部材72と、を有する。
【0044】
制御基板70は、略正方形の板状である。制御基板70の板面は、軸方向を向いている。制御基板70は、ステータ30の上側、すなわち軸方向一方側に配置される。制御基板70には、複数の電子部品71と、伝熱部材72と、後述するコネクタユニット80と、図示しないバスバーと、が取り付けられる。制御基板70の下側を向く面は、図3に示す制御装置収容部13の第1基板固定部13cの上側を向く面、および第2基板固定部13iの上側を向く面と接触する。これにより、制御基板70の軸方向に位置が決まる。図3に示すように、制御基板70には、貫通孔70aと、孔70bとが設けられている。
【0045】
貫通孔70aは、制御基板70を軸方向に貫通する円形状の孔である。本実施形態において、貫通孔70aは2つ設けられる。軸方向に見て、各貫通孔70aは、それぞれ、第1基板固定部13cに設けられる穴部13eと重なる。図5に示すように、貫通孔70aには、それぞれ、後述する、カラー部材85および締結部材93が軸方向に通される。
【0046】
図3に示すように、孔70bは、制御基板70を軸方向に貫通する円形状の孔である。孔70bの内径は、貫通孔70aの内径よりも小さい。本実施形態において、孔70bは3つ設けられる。軸方向に見て、孔70bは、それぞれ、第2基板固定部13iに設けられる雌ネジ穴13jと重なる。図4に示すように、各孔70bには、それぞれ、雌ネジ穴13jに締め込まれるネジ94が通される。各ネジ94が、それぞれ、各雌ネジ穴13jに締め込まれることにより、制御基板70は、本体部11に固定される。
【0047】
複数の電子部品71は、制御基板70に取り付けられている。複数の電子部品71は、はんだ付け等によって制御基板70に固定され、制御基板70と電気的に接続される。本実施形態において、複数の電子部品71は、コンデンサおよびトランジスタ等の電子部品である。本実施形態において複数の電子部品71は、制御基板70の上側の面に取り付けられる電子部品71と、制御基板70の下側の面に取り付けられる電子部品71と、を含む。
【0048】
図4に示すように、伝熱部材72は、制御基板70の上側を向く面上に取り付けられる。伝熱部材72は、略四角形の板状である。伝熱部材72の板面は、軸方向を向いている。本実施形態において、伝熱部材72は、10個設けられている。各伝熱部材72の下側を向く面は、それぞれ、制御基板70の上側を向く面と接触している。図2に示すように、各伝熱部材72の上側を向く面は、カバー部材16の凸部16dの下側を向く面と接触する。これにより、トランジスタなどの電子部品71において発生した熱を、伝熱部材72を介して、カバー部材16に好適に伝熱できる。また、上述のように、カバー部材16のカバー本体部16aの上側を向く面には複数のリブ16eが設けられている。そのため、カバー部材16とポンプ1の外部の空気とが接触する面積を広くでき、カバー部材16に伝熱された熱を好適にポンプ1の外部に放熱できる。
【0049】
図4に示すように、コネクタユニット80は、制御基板70の上側、すなわち軸方向一方側に配置される。図1に示すように、コネクタユニット80は、カバー部材16の挿通孔16cを軸方向に通される。コネクタユニット80は、ポンプ1に電力を供給する図示しない外部電源およびポンプ1の動作を監視する図示しない外部機器と、制御基板70とを電気的に接続する。図4に示すように、コネクタユニット80は、接続端子保持部材81と、信号用接続端子82と、電源用接続端子83と、カラー部材85とを有する。
【0050】
接続端子保持部材81は、信号用接続端子82、電源用接続端子83、およびカラー部材85を保持する。本実施形態において、接続端子保持部材81は、信号用接続端子82、電源用接続端子83、およびカラー部材85をインサート部材とするインサート成形によって構成される。接続端子保持部材81は樹脂製である。図6に示すように、接続端子保持部材81は、基部81aと、端子収容部81bと、第1端子保持部81cと、第2端子保持部81dと、下突出部81eと、固定部81fと、を有する。
【0051】
基部81aは、幅方向Xに延びる略直方体状である。軸方向に見て、基部81aは略長方形状である。図1に示すように、基部81aの上側部分は、コネクタ収容部16bの内部に収容されている。軸方向において、基部81aの上側の端部の位置は、コネクタ収容部16bの上側の端部の位置と略同じ位置である。図2に示すように、基部81aの下側の部分は、カバー本体部16aよりも下側に突出し、カバー側壁部16fの内側に位置する。基部81aの下側の端部は、制御基板70の上側を向く面と接触している。基部81aの内部には、信号用接続端子82および電源用接続端子83それぞれの一部が埋め込まれている。図6に示すように、基部81aの側面には、基部81aを囲む溝81hが設けられている。図示は省略するが、溝81hには、コネクタ収容部16bの内側面と基部81aの外側面との間を封止するOリングが嵌め込まれる。
【0052】
図6に示すように、端子収容部81bは、基部81aの上側を向く面のうち、幅方向一方側(+X側)の部分から上側に延びる略四角筒状である。端子収容部81bは、上側に開口している。図1に示すように、端子収容部81bは、コネクタ収容部16bよりも上側に突出している。端子収容部81bの内部には、後述する信号用接続端子82の上側の部分が収容されている。
【0053】
図6に示すように、第1端子保持部81cは、基部81aの上側を向く面のうち、端子収容部81bよりも幅方向他方側(-X側)の部分から上側に延びる略四角柱状である。図1に示すように、第1端子保持部81cは、コネクタ収容部16bよりも上側に突出している。第1端子保持部81cの上側の端部は、端子収容部81bの端部よりも下側に位置している。図6に示すように、第1端子保持部81cの上側を向く面には、下側に窪む穴81c1が設けられている。穴81c1の内周面には、図示しない雌ネジ部を備え、導電性を有する固定部材が固定される。第1端子保持部81cの内部には、後述する電源用接続端子83の一部が埋め込まれている。これにより、第1端子保持部81cは電源用接続端子83を保持している。
【0054】
第2端子保持部81dは、基部81aの上側を向く面のうち、第1端子保持部81cよりも幅方向他方側(-X側)の部分から上側に延びる略四角柱状である。図1に示すように、第2端子保持部81dは、コネクタ収容部16bよりも上側に突出している。第2端子保持部81dの上側の端部は、第1端子保持部81cの端部よりも上側に位置している。図6に示すように、第2端子保持部81dの上側を向く面には、下側に窪む穴81d1が設けられている。穴81d1の内周面には、図示しない雌ネジ部を備え、導電性を有する固定部材が固定される。第2端子保持部81dの内部には、後述する電源用接続端子83の一部が埋め込まれている。これにより、第2端子保持部81dは電源用接続端子83を保持している。
【0055】
下突出部81eは、基部81aの外側面のうち下端の部分から基部81aの外側に向けて突出する板状である。下突出部81eの板面は、軸方向を向いている。図4に示すように、下突出部81eの下側を向く面は、制御基板70の上側を向く面と接触している。
【0056】
固定部81fは、基部81aの外縁部から前後方向Yに向けて突出する板状である。固定部81fの板面は、軸方向を向いている。本実施形態において、固定部81fは、2つ設けられている。一方の固定部81fは、基部81aの前方側(+Y側)の縁部から、前方側(+Y側)に突出している。図3に示すように、軸方向に見て、一方の固定部81fは、貫通孔70aおよび第1基板固定部13cに設けられる穴部13eと重なっている。図4に示すように、他方の固定部81fは、基部81aの後方側(-Y側)の縁部から、後方側(-Y側)に突出している。図示は省略するが、軸方向に見て、他方の固定部81fは、貫通孔70aおよび第1基板固定部13cに設けられる穴部13eと重なっている。図5に示すように、各固定部81fの下側を向く面は、制御基板70の上側を向く面と軸方向に間隔をあけて対向している。図4に示すように、各固定部81fには、それぞれ、各固定部81fを軸方向に貫通する円形状の孔部81gが設けられている。
【0057】
信号用接続端子82および電源用接続端子83は、それぞれ、接続端子保持部材81に保持されている。上述のように、信号用接続端子82および電源用接続端子83は、それぞれ、信号用接続端子82および電源用接続端子83等をインサート部材とするインサート成形によって、接続端子保持部材81の内部に埋め込まれている。本実施形態において、信号用接続端子82および電源用接続端子83は、それぞれ、導電性を有する。
【0058】
信号用接続端子82の一部は、基部81aおよび下突出部81eの内部に埋め込まれている。信号用接続端子82は、下突出部81eの後方側(-Y側)を向く面から後方側(-Y側)に突出する部分を有する。当該後方側に突出する部分は、途中で下側に向けて曲がり、はんだ付けによって制御基板70に接続されている。これにより、信号用接続端子82は、制御基板70と電気的に接続される。本実施形態において、信号用接続端子82は、制御基板70に接続される接続端子の一つである。以下の説明では、接続端子と称する場合がある。信号用接続端子82は、基部81aから上側に突出し端子収容部81bの内部に収容される部分を有する。本実施形態において信号用接続端子82は3つ設けられている。
【0059】
端子収容部81bには、図示しない外部接続端子を有する外部コネクタが挿抜可能である。端子収容部81bに外部コネクタが挿入されると、各信号用接続端子82は、それぞれ、外部コネクタが有する外部接続端子と接続される。各信号用接続端子82と外部接続端子とを介して、制御基板70と、ポンプ1の動作を監視する外部機器とが電気的に接続される。端子収容部81bから外部コネクタが抜去されると、制御基板70と外部機器との電気的な接続が遮断される。
【0060】
本実施形態において、電源用接続端子83は2つ設けられる。一方の電源用接続端子83は、第1電源用接続端子83aである。他方の電源用接続端子83は、第2電源用接続端子83bである。第1電源用接続端子83aの一部は、第1端子保持部81c、基部81a、および下突出部81eの内部に埋め込まれている。第2電源用接続端子83bの一部は、第2端子保持部81d、基部81a、および下突出部81eの内部に埋め込まれている。各電源用接続端子83a,83bの下側の部分は、それぞれ、下突出部81eの後方側(-Y側)を向く面から後方側(-Y側)に突出する部分を有する。当該後方側に突出する部分は、途中で下側に向けて曲がり、はんだ付けによって制御基板70に接続される。これにより、各電源用接続端子83a,83bは、それぞれ、制御基板70と電気的に接続される。本実施形態において、電源用接続端子83は、制御基板70に接続される接続端子である。以下の説明では、接続端子と称する場合がある。
【0061】
各電源用接続端子83a,83bの上側の部分は、それぞれ、軸方向を向く略正方形の板状である。各電源用接続端子83a、83bの上側の部分の板面は、それぞれ、軸方向を向く。第1電源用接続端子83aの上側の部分の下側を向く面は、第1端子保持部81cの上側を向く面と接触している。第2電源用接続端子83bの上側の部分の下側を向く面は、第2端子保持部81dの上側を向く面と接触している。各電源用接続端子83a,83bの上側の部分には、それぞれ、軸方向に貫通する孔83a1,83b1が設けられている。軸方向に見て、孔83a1は、第1端子保持部81cの穴81c1と重なっている。軸方向に見て、孔83b1は、第2端子保持部81dの穴81d1と重なっている。各電源用接続端子83a,83bは、それぞれ、図示しない固定部材と接触する。外部電源と接続される図示しない2つの電源端子が、それぞれ、各固定部材に固定されると、固定部材を介して、電源端子と各電源用接続端子83a,83bとが電気的に接続される。これにより、電源用接続端子83と、固定部材と、電源端子とを介して外部電源と制御基板70とが電気的に接続される。これにより、外部電源から、制御基板70および複数のコイル32に電力が供給される。また、本実施形態によれば、コネクタユニット80は、挿通孔16cを軸方向に通される。そのため、コネクタユニット80の一端を、挿通孔16cを介して、ハウジング10の外部に配置できる。したがって、コネクタユニット80に、電源端子および外部コネクタを容易に挿抜できる。
【0062】
図6に示すように、カラー部材85は、固定部81fよりも下側、すなわち軸方向他方側に突出する筒状である。上述のように、カラー部材85は、カラー部材85等をインサート部材とするインサート成形によって、固定部81fの内部に埋め込まれている。本実施形態において、カラー部材85は軸方向両側に開口する円筒状である。また、本実施形態において、カラー部材85は、金属製である。なお、図4に示すように、本実施形態において、カラー部材85は2つ設けられている。各カラー部材85は、それぞれ、固定部81fに保持されている。本実施形態において、各カラー部材85の構成は互いに同一である。そのため、以下の説明では、一方のカラー部材85についてのみ説明を行う場合がある。図5に示すように、カラー部材85は、大径部85aと、突出部85bと、を有する。
【0063】
大径部85aは、カラー部材85の上側部分である。大径部85aは、軸方向に延び、上側に開口する円筒状である。大径部85aの一部は、固定部81fの孔部81gの内部に配置されている。大径部85aの一部は、固定部81fに埋め込まれている。これにより、固定部81fにはカラー部材85が保持される。軸方向において、大径部85aは、制御基板70よりも上側、すなわち軸方向一方側に位置している。大径部85aの上側の端部は、固定部81fの上側を向く面よりも上側に位置している。なお、大径部85aの上側の端部は、固定部81fの上側を向く面と同じ位置であってもよい。大径部85aの下側の端部は、固定部81fの下側を向く面よりも下側に位置している。大径部85aの下側を向く面は、制御基板70の上側を向く面と接触している。上述のように、制御基板70の下側を向く面は、基板支持面13dと接触している。これらにより、軸方向における制御基板70の位置が決まる。図6に示すように、大径部85aは、平面部85eと、第1段差面85fと、第2段差面85gと、を有している。
【0064】
平面部85eは、大径部85aの外周面から内側に窪む平面である。平面部85eは、大径部85aの外周面であって、大径部85aの上側の端部よりも下側、かつ、大径部85aの下側の端部よりも上側の部分に設けられている。平面部85eは、軸方向と直交する方向に延びている。本実施形態において、平面部85eは2つ設けられている。一方の平面部85eは、前方側(+Y側)を向いている。図示は省略するが、他方の平面部85eは、後方側(-Y側)を向いている。各平面部85eは、固定部81fの内部に埋め込まれている。そのため、本実施形態によれば、カラー部材85が固定部81fに対して回転しようとしても、平面部85eが固定部81fに引っ掛かるため、カラー部材85が固定部81fに対して回転することを抑制できる。
【0065】
第1段差面85fは、平面部85eの上側の端部と、大径部85aの外周面とを繋ぐ面である。第1段差面85fは、下側を向いている。第2段差面85gは、平面部85eの下側の端部と、大径部85aの外周面とを繋ぐ面である。第2段差面85gは、上側を向いている。第1段差面85fと第2段差面85gとの間の部分には、固定部81fの一部が入り込んでいる。そのため、本実施形態によれば、カラー部材85が固定部81fに対して下側に移動しようとしても、第1段差面85fが固定部81fに引っ掛かるため、カラー部材85が固定部81fに対して下側に移動することを抑制できる。また、カラー部材85が固定部81fに対して上側に移動しようとしても、第2段差面85gが固定部81fに引っ掛かるため、カラー部材85が固定部81fに対して上側に移動することを抑制できる。つまり、本実施形態では、カラー部材85が固定部81fに対して軸方向に移動することを抑制できる。
【0066】
図5に示すように、突出部85bは、カラー部材85の下側部分である。突出部85bは、大径部85aから下側、すなわち軸方向他方側に突出し、下側に開口する円筒状である。突出部85bは、固定部81fよりも下側に突出する。突出部85bの外径は、大径部85aの外径よりも小さい。突出部85bは、制御基板70の貫通孔70aを軸方向に通されている。本実施形態において、突出部85bは、貫通孔70aに隙間嵌めされている。突出部85bの外周面の一部は、貫通孔70aの内周面と接触している。また、突出部85bの下側の部分は、基板支持面13dの穴部13eに上側、すなわち軸方向一方側から挿入されている。突出部85bは、穴部13eに嵌め合わされている。突出部85bの外周面の一部は、穴部13eの内周面と接触している。突出部85bの下側の端部は、対向面13fから上側、すなわち軸方向一方側に離れて位置している。突出部85bの内周面は、大径部85aの内周面と軸方向に繋がっている。突出部85bには、溝部85dが設けられている。
【0067】
溝部85dは、突出部85bの外周面における上側、すなわち軸方向一方側の端部に設けられている。溝部85dは、突出部85bの外周面から内側に向けて窪む。溝部85dは、突出部85bの外周面の一周に亘って設けられる環状である。本実施形態において、溝部85dは、カラー部材85を成形した後に、切削加工を行うことによって設けられる。そのため、カラー部材85が成形された際に、大径部85aと突出部85bとが接続される部分が円弧状に繋がる形状であっても、切削加工によって、当該円弧状の部分を除去できる。そのため、本実施形態によれば、制御基板70の上側を向く面と、大径部85aの下側を向く面とを安定して接触させることができる。したがって、軸方向における制御基板70の位置をより安定的に決めることができる。
【0068】
カラー部材85の内部には、締結部材93が通されている。本実施形態において締結部材93は、軸方向に延びるボルトである。締結部材93は、軸方向に延びるボルト本体部93aと、ボルト本体部93aの上端部に設けられたボルト頭部93bと、を有する。ボルト本体部93aは、カラー部材85の内部を軸方向に通されている。ボルト本体部93aの下側の部分は、雌ネジ穴13gに締め込まれている。ボルト頭部93bは、カラー部材85よりも上側に位置する。ボルト頭部93bは、カラー部材85の上側の面、すなわち大径部85aの上側の面に接触している。ボルト本体部93aが雌ネジ穴13gに締め込まれることにより、ボルト頭部93bは、大径部85aを制御基板70に対して押し付け、制御基板70は第1基板固定部13cの上面に押し付けられる。つまり、締結部材93を雌ネジ穴13gに締め込むことによって、カラー部材85を介して、制御基板70をハウジング10に固定できる。
【0069】
また、上述のように、カラー部材85の下側の端部は、対向面13fと上側、すなわち軸方向一方側に離れて位置している。そのため、締結部材93を雌ネジ穴13gに締め込むことによって、大径部85aの下側を向く面と制御基板70の上側を向く面とを好適に接触させることができる。また、締結部材93を雌ネジ穴13gに締め込むことによって、制御基板70の下側を向く面と、基板支持面13dとを好適に接触させることができる。そのため、本実施形態によれば、カラー部材85によって、制御基板70とコネクタユニット80とを共にハウジング10に強固に固定できる。
【0070】
本実施形態によれば、制御基板70は、制御基板70を軸方向に貫通する貫通孔70aを有する。コネクタユニット80は、制御基板に接続される接続端子82,83と、接続端子82,83を保持する接続端子保持部材81と、を有し、接続端子82,83の軸方向他方側の端部は、制御基板70に接続され、接続端子保持部材81は、固定部81fを有し、固定部81fには、固定部81fよりも下側、すなわち軸方向他方側に突出する筒状のカラー部材85が保持される。カラー部材85は、貫通孔70aに通される突出部85bと、制御基板70よりも上側、すなわち軸方向一方側に位置し、突出部85bよりも外径が大きい大径部85aと、を有し、カラー部材85の内部を軸方向に通される締結部材93によって、ハウジング10と固定される。そのため、カラー部材85を介して、コネクタユニット80をハウジング10に強固に固定できる。また、制御基板70の上側に大径部85aが位置するため、制御基板70の軸方向への移動を抑制できる。さらに、制御基板70の貫通孔70aに突出部85bが軸方向に通されているため、制御基板70の軸方向と直交する方向への移動を抑制できる。これらにより、コネクタユニット80と制御基板70との相対的な位置がずれることを抑制できる。よって、回転電機2およびポンプ1の動作時の振動によって、コネクタユニット80と制御基板70との相対的な位置がずれることを抑制できる。そのため、接続端子82,83と制御基板70との接続部にかかる負荷を低減できる。したがって、制御基板70と接続端子82,83とを安定して接続できる。
【0071】
また、本実施形態では、コネクタユニット80に電源端子および外部コネクタを挿抜する際に、コネクタユニット80に軸方向に向く力がかかっても、上述のように、コネクタユニット80と制御基板70との相対的な位置がずれることを抑制できる。そのため、接続端子82,83と制御基板70との接続部にかかる負荷を低減できる。したがって、制御基板70と接続端子82,83とを安定して接続できる。
【0072】
また、本実施形態では、突出部85bの外周面と、貫通孔70aの内周面とが接触するため、軸方向と直交する方向において、コネクタユニット80と制御基板70との相対的な位置がずれることをより好適に抑制できる。そのため、回転電機2およびポンプ1の動作時および電源端子および外部コネクタの挿抜時において、接続端子82,83と制御基板70との接続部にかかる負荷をより好適に低減できる。したがって、制御基板70と接続端子82,83とをより安定して接続できる。
【0073】
本実施形態によれば、大径部85aは、制御基板70の上側、すなわち軸方向一方側を向く面と接触し、ハウジング10は、上側、すなわち軸方向一方側を向く基板支持面13dを有し、基板支持面13dは、制御基板70の下側、すなわち軸方向他方側を向く面と接触する。よって、カラー部材85によって、制御基板70をハウジング10に強固に固定できる。そのため、コネクタユニット80と制御基板70との相対的な位置がずれることをより好適に抑制できる。特に、軸方向において、コネクタユニット80と制御基板70との相対的な位置がずれることをより好適に抑制できる。したがって、制御基板70と接続端子82,83とをより安定して接続できる。
【0074】
また、本実施形態によれば、カラー部材85によって、制御基板70とコネクタユニット80とを共にハウジング10に固定できる。そのため、制御基板70とコネクタユニット80とを同軸上でハウジング10に固定できる。よって、コネクタユニット80と制御基板70との相対的な位置がずれることをより好適に抑制できる。したがって、制御基板70と接続端子82,83とをより安定して接続できる。
【0075】
本実施形態によれば、突出部85bは、穴部13eに嵌め合わされている。そのため、カラー部材85が、軸方向と直交する方向に移動することをより好適に抑制できる。よって、軸方向と直交する方向において、ハウジング10に対する、制御基板70の位置およびコネクタユニット80の位置をより安定的に決めることができる。そのため、軸方向と直交する方向において、コネクタユニット80と制御基板70との相対的な位置がずれることをより好適に抑制できる。したがって、制御基板70と接続端子82,83とをより安定して接続できる。
【0076】
<第2実施形態>
図7に示すように、本実施形態のカラー部材285において、大径部285aおよび固定部81fは、制御基板70の上側、すなわち軸方向一方側に位置している。大径部285aおよび固定部81fの下側を向く面は、制御基板70の上側を向く面と軸方向にわずかな隙間を介して対向している。そのため、本実施形態によれば、回転電機202およびポンプ201の動作時において、制御基板70が有するトランジスタなどの複数の電子部品71において発生した熱などによって、制御基板70の温度が上昇して、制御基板70が熱膨張しても、大径部285aおよび固定部81fと、制御基板70とが接触することを抑制できる。そのため、大径部285aおよび固定部81fが、制御基板70に与える負荷を抑制することができる。よって、制御基板70の陥没および割れ等の破損が発生することを抑制できる。したがって、回転電機202およびポンプ201を安定して動作させることができる。
【0077】
また、本実施形態では、突出部285bは、制御基板70の貫通孔70aに通され、突出部285bの外周面と、貫通孔70aの内周面とは、わずかな隙間を介して対向している。そのため、上述のように、制御基板70の温度が上昇して、制御基板70が熱膨張しても、突出部285bと、制御基板70とが接触することを抑制できる。そのため、突出部285bが、制御基板70に与える負荷を抑制することができる。よって、制御基板70の割れ等の破損が発生することを抑制できる。
【0078】
図7に示すように、突出部285bは、第1基板固定部13cの穴部13eに上側から挿入され、突出部285bの下側、すなわち軸方向他方側の端部は、対向面13fと接触して配置されている。カラー部材285の内部には、締結部材93のボルト本体部93aが通され、ボルト本体部93aの下側の部分は雌ネジ穴13gに締め込まれている。また、ボルト頭部93bは、カラー部材85の上側の面、すなわち大径部85aの上側の面に接触している。これらにより、カラー部材285は、ハウジング10に強固に固定される。すなわち、コネクタユニット80は、ハウジング10に強固に固定される。カラー部材285のその他の構成は、第1実施形態のカラー部材285のその他の構成と同様である。
【0079】
上述のように、本実施形態によれば、カラー部材285によって、コネクタユニット80をハウジング10に強固に固定できる。また、大径部285aおよび固定部81fは、制御基板70の上側に位置し、制御基板70と隙間を介して対向している、そのため、制御基板70の軸方向への移動を抑制できる。さらに、制御基板70の貫通孔70aに突出部285bが通されているため、制御基板70の軸方向と直交する方向への移動を抑制できる。これらにより、コネクタユニット80と制御基板70との相対的な位置がずれることを抑制できる。よって、回転電機2およびポンプ1の動作時の振動によって、コネクタユニット80と制御基板70との相対的な位置がずれることを抑制できる。また、コネクタユニット80に電源端子および外部コネクタを挿抜する際に、コネクタユニット80と制御基板70との相対的な位置がずれることを抑制できる。そのため、接続端子82,83と制御基板70との接続部にかかる負荷を低減できる。したがって、制御基板70と接続端子82,83とを安定して接続できる。
【0080】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。カラー部材は、固定部に固定されるならば、固定部の内部に埋め込まれて保持される必要は無く、例えば、エポキシ樹脂系接着剤などの接着剤によって固定部に接着固定されてもよいし、ねじなどの別途の部材によって固定部に固定されてもよい。また、カラー部材が固定部に安定して固定されるならば、平面部、第1段差面、および第2段差面は、設けられなくてもよい。この場合、カラー部材の製造工数の低減を図ることができる。カラー部材の形状は、本実施形態の形状に限定されず、例えば、角筒状等の形状であってもよい。
【0081】
大径部と制御基板とが安定して接触できるならば、溝部は設けられなくてもよい。これにより、カラー部材の製造工数および製造コストの低減を図ることができる。また、軸方向と直交する方向において、コネクタユニットと制御基板のずれを抑制できるならば、突出部の外周面と制御基板の貫通孔の内周面とは接触していなくてもよい。この場合、貫通孔に突出部を容易に通すことができるため、ポンプの組立性の向上を図ることができる。
【0082】
また、軸方向と直交する方向における、ハウジングに対する、制御基板およびコネクタユニットの位置を決めることができるならば、カラー部材の突出部は、第1基板固定部の穴部と嵌め合わされている必要は無く、突出部の外周面と穴部の内周面との間に隙間を設けてもよい。これにより、突出部を穴部により容易に挿入することが可能となるため、回転電機およびポンプの組み立て性を向上させることができる。
【0083】
本発明が適用される回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、ポンプ以外の機器に搭載されてもよい。回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。本発明が適用される回転電機を備えるポンプの用途は、特に限定されない。ポンプによって送られる流体の種類は、特に限定されず、水などであってもよい。回転電機およびポンプは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0084】
1…ポンプ、2…回転電機、10…ハウジング、11…本体部、13d…基板支持面、13e…穴部、13f…対向面、13n…開口、16…カバー部材、16c…挿通孔、20…ロータ、30…ステータ、40…ポンプ機構、70…制御基板、70a…貫通孔、80…コネクタユニット、81…接続端子保持部材、81f…固定部、81g…孔部、82,83…接続端子、85,285…カラー部材、85a,285a…大径部、85b,285b…突出部、85d…溝部、85e…平面部、93…締結部材、J…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7