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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122188
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】開閉構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20230825BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20230825BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
H05K5/03 C
H01R13/52 302C
F16C11/04 F
F16C11/04 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025735
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水口 はるな
(72)【発明者】
【氏名】穴見 剛久
【テーマコード(参考)】
3J105
4E360
5E087
【Fターム(参考)】
3J105AA04
3J105AA12
3J105AB02
3J105AB24
3J105AC06
3J105BB32
3J105BB53
3J105BC03
3J105BC13
4E360AB04
4E360BA06
4E360BA12
4E360BB02
4E360BB17
4E360BC06
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA03
4E360EA18
4E360EC05
4E360EC11
4E360EC14
4E360ED04
4E360ED23
4E360ED28
4E360GA08
4E360GA46
4E360GA60
4E360GB01
4E360GB11
4E360GB99
5E087LL04
5E087LL17
5E087RR11
(57)【要約】
【課題】開閉時の操作感を設定すること。
【解決手段】本体部1の開口部1Aを開閉する開閉扉2を含む開閉構造であって、開閉扉2に片持ち状に延びて設けられる可撓性を有する支持部2Aと、本体部1に対して支持部2Aを回動可能に支持する支軸1Bと、本体部1に設けられた凸部1Cと、支持部2Aに設けられて凸部1Cに嵌合する凹部2Cと、を含み、凹部2Cは、開閉扉2の開閉の一方向への移動時に凸部1Cに嵌合する第一凹部2Caと、開閉扉2の開閉の他方向への移動時に凸部1Cに嵌合する第二凹部2Cbと、を有し、第一凹部2Caと第二凹部2Cbとは、凸部1Cに対する嵌合形状が異なる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の開口部を開閉する開閉扉を含む開閉構造であって、
前記開閉扉に片持ち状に延びて設けられる可撓性を有する支持部と、
前記本体部に対して前記支持部を回動可能に支持する支軸と、
前記本体部に設けられた凸部と、
前記支持部に設けられて前記凸部に嵌合する凹部と、
を含み、
前記凹部は、前記開閉扉の開閉の一方向への移動時に前記凸部に嵌合する第一凹部と、前記開閉扉の開閉の他方向への移動時に前記凸部に嵌合する第二凹部と、を有し、前記第一凹部と前記第二凹部とは、前記凸部に対する嵌合形状が異なる、開閉構造。
【請求項2】
前記第一凹部と前記第二凹部の深さ、幅の少なくとも一方が異なる、請求項1に記載の開閉構造。
【請求項3】
前記第一凹部は、前記開閉扉の閉塞状態で前記凸部に嵌合し、前記第二凹部は、前記開閉扉の開放状態で前記凸部に嵌合する、請求項1または2に記載の開閉構造。
【請求項4】
前記凹部は、前記第一凹部と前記第二凹部とを繋ぎ前記支軸を中心に円弧状に形成された第三凹部をさらに有し、前記第三凹部の前記凸部への嵌合形状が前記第一凹部と前記第二凹部との間で漸次異なる、請求項1から3のいずれか1項に記載の開閉構造。
【請求項5】
前記第三凹部は、前記第一凹部と前記第二凹部との間で深さ、幅の少なくとも一方が漸次異なる、請求項4に記載の開閉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、本体ケースの前面に設けた接続端子の表面側を開閉蓋で覆う構造が示されている。開閉蓋は、接続端子の表面側を覆う蓋本体と、蓋本体の一端側から本体ケースの係止孔内に挿入された帯状の係止片とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-103594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示すような片持ち式の開閉構造は、開閉蓋から片持ち状に延びる支持部を有し、この支持部を固定側の支点で支持して開閉蓋を回動させる。そして、このような開閉構造において、開閉蓋を開放状態としたときと、閉塞状態としたときとで、適宜操作感をもたせることが望まれる。
【0005】
本発明は、片持ち式の開閉蓋において開閉時での操作感を設定することのできる開閉構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様の開閉構造は、本体部の開口部を開閉する開閉扉を含む開閉構造であって、前記開閉扉に片持ち状に延びて設けられる可撓性を有する支持部と、前記本体部に対して前記支持部を回動可能に支持する支軸と、前記本体部に設けられた凸部と、前記支持部に設けられて前記凸部に嵌合する凹部と、を含み、前記凹部は、前記開閉扉の開閉の一方向への移動時に前記凸部に嵌合する第一凹部と、前記開閉扉の開閉の他方向への移動時に前記凸部に嵌合する第二凹部と、を有し、前記第一凹部と前記第二凹部とは、前記凸部に対する嵌合形状が異なる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、開閉時での操作感が設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の開閉構造の閉鎖状態を表す斜視図である。
図2図2は、実施形態の開閉構造の開放状態を表す斜視図である。
図3図3は、実施形態の開閉構造の本体部を表す斜視図である。
図4図4は、実施形態の開閉構造の開閉扉を表す斜視図である。
図5図5は、実施形態の開閉構造の要部を表す断面展開図である。
図6図6は、実施形態の開閉構造の他の例の要部を表す平面図である。
図7図7は、実施形態の開閉構造の他の例の要部を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0010】
図1から図5に示す実施形態の開閉構造は、例えば、車両の車室内部に搭載される電子機器100に適用される。電子機器100は、例えば、AV(Audio Visual)一体型のカーナビゲーション装置がある。ここで、各図において、X方向を上下方向とし、Y方向を左右方向とし、Z方向を前後方向とする。
【0011】
実施形態の開閉構造は、図1から図4に示すように、本体部1と、開閉扉2と、を含む。
【0012】
本体部1は、例えば、電子機器100の操作パネル(図示せず)に配置され、開口部1Aを有する。開口部1Aは、その端子接続部10が配置される。端子接続部10は、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子接続部がある。開口部1Aは、当該端子接続部10の形状に合わせて上下方向および左右方向に沿って矩形状に形成される。開口部1Aは、図2および図3に示すように、その内部において端子接続部10を囲むように、上下方向に沿う側内壁1Aaと、左右方向に沿う上内壁1Abおよび下内壁1Acを有して形成される。
【0013】
本体部1は、開口部1Aの内部に、支軸1Bと、凸部1Cと、を有する。支軸1Bは、上内壁1Abおよび下内壁1Acに設けられ、上下方向で対向するように延びる円柱形状に形成される。凸部1Cは、上内壁1Abおよび下内壁1Acに設けられ、上下方向で対向するように突出して形成される。凸部1Cは、支軸1Bに対し、左右方向の一方側であって、実施形態では、開閉扉2を支軸1Bの周りに回動させる場合に、閉塞状態から開放状態に移動する側に配置される。凸部1Cは、円柱形状を基にして突出し、突出端が円錐形状または半球形状に窄まって形成される。なお、凸部1Cは、上内壁1Abまたは下内壁1Acのいずれか一方に設けた構成としてもよい。
【0014】
開閉扉2は、開口部1Aを塞ぐように上下方向および左右方向に沿って矩形の板状に形成される。開閉扉2は、図2および図4に示すように、支持部2Aを有する。支持部2Aは、開閉扉2の上部および下部において、開閉扉2で開口部1Aを閉塞した状態の開口部1Aに向く面から片持ち状に延び、上内壁1Abおよび下内壁1Acに沿って板状に設けられ、上下方向で対向するように一対で形成される。支持部2Aは、支軸1Bを挿通する軸孔2Bが貫通して形成される。従って、開閉扉2は、支持部2Aの軸孔2Bに支軸1Bを挿通して本体部1に組むことで、本体部1に対して支軸1Bの周りに回動可能に支持される。これにより、開閉扉2は、図1に示すように、本体部1の開口部1Aを塞いで端子接続部10を覆う閉塞状態と、図2に示すように、本体部1の開口部1Aを開けて端子接続部10を表出させる開放状態とに移動できる。
【0015】
開閉扉2は、支持部2Aに凹部2Cが形成される。凹部2Cは、上部の支持部2Aにおいて上内壁1Abに向く面に形成され、下部の支持部2Aにおいて下内壁1Acに向く面に形成される。各凹部2Cは、上部の支持部2Aと下部の支持部2Aとにおいて上下方向で一致する面対称に形成される。図5では、上部の支持部2Aにおける凹部2Cを示している。なお、凹部2Cは、凸部1Cと嵌合するものであり、当該凸部1Cが上内壁1Abのみに設けられた場合は上部の支持部2Aにのみ形成され、当該凸部1Cが下内壁1Acのみに設けられた場合は下部の支持部2Aにのみ形成される。凹部2Cは、第一凹部2Caと、第二凹部2Cbと、第三凹部2Ccと、を含む。
【0016】
第一凹部2Caは、図4に示すように、開閉扉2の開閉の一方向への回動の移動時、実施形態では、開閉扉2を閉塞状態に移動したときに、凸部1Cと嵌合する位置に設けられる。第一凹部2Caは、凸部1Cの円錐形状または半球形状の突出端が嵌合するように、すり鉢形状または半球形状に窪んで形成される。
【0017】
第二凹部2Cbは、図4に示すように、開閉扉2の開閉の他方向への回動の移動時、実施形態では、開閉扉2を開放状態に移動したときに、凸部1Cと嵌合する位置に設けられる。第二凹部2Cbは、凸部1Cの円錐形状または半球形状の突出端が嵌合するように、すり鉢形状または半球形状に窪んで形成される。
【0018】
第一凹部2Caと第二凹部2Cbは、軸孔2Bを中心とした円の軌跡上に配置される。実施形態では、第一凹部2Caと第二凹部2Cbは、開閉扉2を閉塞状態と開放状態とに90度回動させるため、軸孔2Bを中心とした90度の位置関係に配置される。例えば、第一凹部2Caと第二凹部2Cbは、開閉扉2を閉塞状態と開放状態とに100度回動させる場合は、軸孔2Bを中心とした100度の位置関係に配置される。
【0019】
また、図4および図5に示すように、第一凹部2Caと第二凹部2Cbは、開閉扉2から片持ち状に延びる支持部2Aの延長方向(前後方向(Z方向))において、第一凹部2Caが先端2Ab側に配置され、第二凹部2Cbが基端2Aa側に配置される。そして、第一凹部2Caは、支持部2Aの基端2Aaから距離L1の位置に配置される。第二凹部2Cbは、支持部2Aの基端2Aaから距離L2の位置に配置される。距離L1,L2は、第一凹部2Caの距離L1が、第二凹部2Cbの距離L2よりも遠い。
【0020】
また、図5に示すように、第一凹部2Caは、支持部2Aの板面から深さT1の位置に底を有する。第二凹部2Cbは、支持部2Aの板面から深さT2の位置に底を有する。深さT1,T2は、第一凹部2Caの深さT1が、第二凹部2Cbの深さT2よりも浅い。この深さT1,T2は、凹部2Ca,2Cbに凸部1Cが嵌合するとき、片持ち状の支持部2Aが支軸1Bの延びる軸方向である上下方向に撓むように設けられる。開閉扉2は、支持部2Aが撓むことで、本体部1に対し、閉塞状態および開放状態においてガタなく配置される。
【0021】
さらに、開閉扉2は、支持部2Aの基端2Aaから遠い距離L1の第一凹部2Caが浅い深さT1に形成されているため、第一凹部2Caに凸部1Cが嵌合する閉塞状態において、支持部2Aが比較的多い撓み量W1となる。また、開閉扉2は、支持部2Aの基端2Aaから近い距離L2の第二凹部2Cbが深い深さT2に形成されているため、第二凹部2Cbに凸部1Cが嵌合する開放状態において、支持部2Aが比較的少ない撓み量W2となる。このように、実施形態の開閉構造は、支持部2Aが片持ち梁であり基端2Aaから遠く先端2Abに近づくほど撓み易いことから、凹部2Ca,2Cbの距離L1,L2の配置に応じて深さT1,T2を異ならせることで支持部2Aの撓み量W1,W2を設定している。このため、実施形態の開閉構造は、開閉扉2の閉塞状態および開放状態において支持部2Aを撓ませる荷重P1,P2が同等となり、違和感のない操作感で操作者が開閉操作を行える。なお、閉塞状態および開放状態のいずれか一方での操作感を重たくしたい場合は、該当する方の凹部2Ca,2Cbの深さT1,T2を浅くし、逆に操作感を軽くしたい場合は、該当する方の凹部2Ca,2Cbの深さT1,T2を深くすることで、撓み量W1,W2を設定し、支持部2Aを撓ませる荷重P1,P2を適宜設定すればよい。
【0022】
ここで、凹部2Ca,2Cbの各位置での凸部1Cとの干渉量である撓み量W1,W2を支持部2Aがなす片持ち梁の撓み量Wmaxとする。また、凹部2Ca,2Cbの距離L1.L2を片持ち梁の支点(支持部2Aの基端2Aa)から力点(凹部2Ca,2Cb)までの長さLとする。また、支持部2Aを撓ませる荷重P1,P2を片持ち梁の力点にかかる荷重Pとする。そして、片持ち梁が同一材料で同一断面形状(長さに直交する断面)の場合、下記式1によって、梁長さLや撓み量Wmaxの値によって荷重Pが定まる。
【0023】
【数1】
【0024】
式1において、Eはヤング率、bは片持ち梁の断面幅、hは片持ち梁の断面高さである。荷重Pには、梁長さLの3乗という値が効いてくるため、梁長さLのわずかな違いが荷重Pの値として大きな差異となり、開閉扉2の閉塞状態および開放状態の操作感の違いとなる。従って、実施形態の開閉構造は、上記式1に基づき、凹部2Ca,2Cbの深さT1,T2を調整することで、撓み量W1,W2を設定し、荷重P1,P2を定め、操作感を適宜設定できる。なお、実施形態の開閉構造のように、開閉扉2が本体部1に対して片持ち状で回動する構造においては、距離L1.L2を調整することは困難であり、荷重P1,P2を調整するために撓み量W1,W2を調整している。
【0025】
第三凹部2Ccは、図4に示すように、第一凹部2Caと第二凹部2Cbとを繋ぎ、支軸1B(軸孔2B)を中心に円弧状に形成される。従って、第三凹部2Ccは、開閉扉2を閉塞状態および開放状態に移動する途中で凸部1Cが沿う軌跡上に配置される。実施形態の開閉構造において、第三凹部2Ccは、凸部1Cへの嵌合形状が第一凹部2Caと第二凹部2Cbとの間で漸次異なるように形成される。具体的に、第三凹部2Ccは、図5に示すように、支持部2Aの板面から深さT3が、比較的深さT1が浅い第一凹部2Caに近いほど浅く、比較的深さT2が深い第二凹部2Cbに近いほど深くなるように形成される。このため、開閉扉2は、閉塞状態および開放状態に移動する途中において、支持部2Aの撓み量W1,W2が調整され、支持部2Aを撓ませる荷重P3が第三凹部2Ccの長さ方向で同等となり、第一凹部2Caと第二凹部2Cbとの間で一定の操作感で操作者が開閉操作を行える。なお、実施形態の開閉構造では、第三凹部2Ccは、深さT3が深さT1,T2よりも浅く形成され、第一凹部2Caや第二凹部2Cbと接続される境に段部2Cdが形成される。従って、開閉扉2は、閉塞状態および開放状態に至り、段部2Cdの段差を経て凸部1Cが第一凹部2Caや第二凹部2Cbに嵌合する。このため、実施形態の開閉構造は、開閉扉2を閉塞状態および開放状態に操作されて段部2Cdを過ぎた際に凸部1Cが第一凹部2Caや第二凹部2Cbに落ち込んで操作者に手応えを感じさせる。なお、手応え感を望まない場合、段差2Cdは設けず、深さT3を深さT1,T2と同じ寸法にすればよい。
【0026】
ところで、図6は、実施形態の開閉構造の他の例の要部を表す平面図である。図7は、実施形態の開閉構造の他の例の要部を表す断面図である。図6および図7では、上述した凹部2Cとは他の形態の凹部2Dを示している。凹部2Dは、第一凹部2Daと、第二凹部2Dbと、第三凹部2Dcと、を含む。
【0027】
第一凹部2Daは、開閉扉2の開閉の一方向への回動の移動時、実施形態では、開閉扉2を閉塞状態に移動したときに、凸部1Cと嵌合する位置に設けられる。第一凹部2Daは、凸部1Cの円錐形状または半球形状に形成された突出端の途中が開口縁に嵌合するように形成される。
【0028】
第二凹部2Dbは、開閉扉2の開閉の他方向への回動の移動時、実施形態では、開閉扉2を開放状態に移動したときに、凸部1Cと嵌合する位置に設けられる。第二凹部2Dbは、凸部1Cの円錐形状または半球形状に形成された突出端の途中が開口縁に嵌合するように形成される。
【0029】
第一凹部2Daと第二凹部2Dbは、軸孔2Bを中心とした円の軌跡上に配置される。実施形態では、第一凹部2Daと第二凹部2Dbは、開閉扉2を閉塞状態と開放状態とに90度回動させるため、軸孔2Bを中心とした90度の位置関係に配置される。例えば、第一凹部2Daと第二凹部2Dbは、開閉扉2を閉塞状態と開放状態とに100度回動させる場合は、軸孔2Bを中心とした100度の位置関係に配置される。
【0030】
また、第一凹部2Daと第二凹部2Dbは、開閉扉2から片持ち状に延びる支持部2Aの延長方向(前後方向(Z方向))において、第一凹部2Daが先端2Ab側に配置され、第二凹部2Dbが基端2Aa側に配置される。そして、第一凹部2Daは、支持部2Aの基端2Aaから距離L1の位置に配置される。第二凹部2Dbは、支持部2Aの基端2Aaから距離L2の位置に配置される。距離L1,L2は、第一凹部2Daの距離L1が、第二凹部2Dbの距離L2よりも遠い。
【0031】
また、第一凹部2Daは、円形状に形成されて開口縁の差し渡し寸法が幅H1に形成される。第二凹部2Dbは、円形状に形成されて開口縁の差し渡し寸法が幅H2に形成される。幅H1,H2は、第一凹部2Daの幅H1が、第二凹部2Dbの幅H2よりも小さい。この幅H1,H2は、凹部2Da,2Dbに凸部1Cが嵌合するとき、片持ち状の支持部2Aが上下方向に撓むように設けられる。開閉扉2は、支持部2Aが撓むことで、本体部1に対し、閉塞状態および開放状態においてガタなく配置される。
【0032】
さらに、開閉扉2は、図6および図7(a)に示すように、支持部2Aの基端2Aaから遠い距離L1の第一凹部2Daが小さい幅H1に形成されているため、第一凹部2Daに凸部1Cが嵌合する閉塞状態において、凸部1Cの突出端の細い先端寄りが嵌合することで支持部2Aが比較的多い撓み量W1となる。また、開閉扉2は、図6および図7(b)に示すように、支持部2Aの基端2Aaから近い距離L2の第二凹部2Dbが大きい幅H2に形成されているため、第二凹部2Dbに凸部1Cが嵌合する開放状態において、凸部1Cの突出端の太い基端寄りが嵌合することで支持部2Aが比較的少ない撓み量W2となる。このように、実施形態の開閉構造は、支持部2Aが片持ち梁であり基端2Aaから遠く先端2Abに近づくほど撓み易いことから、凹部2Da,2Dbの距離L1,L2の配置に応じて幅H1,H2を異ならせることで支持部2Aの撓み量W1,W2を設定している。このため、実施形態の開閉構造は、開閉扉2の閉塞状態および開放状態において支持部2Aを撓ませる荷重P1,P2が同等となり、違和感のない操作感で操作者が開閉操作を行える。なお、閉塞状態および開放状態のいずれか一方での操作感を重たくしたい場合は、該当する方の凹部2Da,2Dbの幅H1,H2を小さくし、逆に操作感を軽くしたい場合は、該当する方の凹部2Da,2Dbの幅H1,H2を大きくすることで、撓み量W1,W2を設定し、支持部2Aを撓ませる荷重P1,P2を適宜設定すればよい。なお、実施形態において、図6に示すように、第二凹部2Dbは、凹部2Dにおいて支持部2Aの基端2Aaから最も近い距離L2であり、撓み量W2を最も小さくする場合、第二凹部2Dbの底に凸部1Cの突出端が接触するように幅H2が形成されていてもよい。
【0033】
第三凹部2Dcは、第一凹部2Daと第二凹部2Dbとを繋ぎ、支軸1B(軸孔2B)を中心に円弧状に形成される。従って、第三凹部2Dcは、開閉扉2を閉塞状態および開放状態に移動する途中で凸部1Cが沿う軌跡上に配置される。実施形態の開閉構造において、第三凹部2Dcは、凸部1Cへの嵌合形状が第一凹部2Daと第二凹部2Dbとの間で漸次異なるように形成される。具体的に、第三凹部2Dcは、円弧状の開口縁の間の幅H3が、比較的幅H1が小さい第一凹部2Daに近いほど小さく、比較的幅H2が大きい第二凹部2Dbに近いほど大きくなるように形成される。このため、開閉扉2は、閉塞状態および開放状態に移動する途中において、支持部2Aの撓み量W1,W2が調整され、支持部2Aを撓ませる荷重P3(図5参照)が第三凹部2Dcの長さ方向で同等となり、第一凹部2Daと第二凹部2Dbとの間で一定の操作感で操作者が開閉操作を行える。なお、実施形態の開閉構造では、第三凹部2Dcは、幅H3が幅H1,H2よりも小さく形成され、第一凹部2Daや第二凹部2Dbと接続される境が幅H1,H2よりも狭い狭窄部2Ddとして形成される。従って、開閉扉2は、閉塞状態および開放状態に至り、狭窄部2Ddを経て凸部1Cが第一凹部2Daや第二凹部2Dbに嵌合する。このため、実施形態の開閉構造は、開閉扉2を閉塞状態および開放状態に操作されて狭窄部2Ddを過ぎた凸部1Cが第一凹部2Daや第二凹部2Dbに落ち込んで操作者に手応えを感じさせる。なお、手応え感を望まない場合、狭窄部2Ddは設けず、幅H3を幅H1,H2と同じ寸法にすればよい。
【0034】
このように、実施形態の開閉構造は、本体部1の開口部1Aを開閉する開閉扉2を含む開閉構造であって、開閉扉2に片持ち状に延びて設けられる可撓性を有する支持部2Aと、本体部1に対して支持部2Aを回動可能に支持する支軸1Bと、本体部1に設けられた凸部1Cと、支持部2Aに設けられて凸部1Cに嵌合する凹部2C(2D)と、を含み、凹部2C(2D)は、開閉扉2の開閉の一方向への移動時に凸部1Cに嵌合する第一凹部2Ca(2Da)と、開閉扉2の開閉の他方向への移動時に凸部1Cに嵌合する第二凹部2Cb(2Db)と、を有し、第一凹部2Ca(2Da)と第二凹部2Cb(2Db)とは、凸部1Cに対する嵌合形状が異なる。
【0035】
支持部2Aに設けられた第一凹部2Ca(2Da)と第二凹部2Cb(2Db)は、支軸1Bの周りに回動移動し、開閉扉2の開閉の移動時に凸部1Cに嵌合する。片持ち状の支持部2Aにおいて、第一凹部2Ca(2Da)と第二凹部2Cb(2Db)は、支持部2Aの基端2Aaからの距離L1,L2が異なり、支持部2Aの撓み量による荷重が異なるため、凸部1Cへの嵌合時に操作者へ伝わる操作感が異なる。この点、実施形態の開閉構造によれば、第一凹部2Ca(2Da)と第二凹部2Cb(2Db)とが、凸部1Cに対する嵌合形状が異なるように構成される。このため、実施形態の開閉構造は、支持部2Aの撓み量W1,W2を調整し、荷重P1,P2を設定できる。このため、実施形態の開閉構造は、適宜荷重P1,P2を設定し、第一凹部2Ca(2Da)と第二凹部2Cb(2Db)との凸部1Cへの嵌合時において操作者へ伝わる操作感を設定できる。
【0036】
また、実施形態の開閉構造では、第一凹部2Caと第二凹部2Cbとの深さT1,T2が異なる。また、実施形態の開閉構造では、第一凹部2Daと第二凹部2Dbとの幅H1,H2が異なる。
【0037】
この開閉構造では、深さT1,T2や幅H1,H2によって、第一凹部2Ca(2Da)と第二凹部2Cb(2Db)の凸部1Cに対する嵌合形状が異ならせることで、支持部2Aの撓み量W1,W2を調整し、荷重P1,P2を設定できる。なお、実施形態の開閉構造は、第一凹部2Caと第二凹部2Cbの深さT1,T2および幅H1,H2が異なっていてもよい。即ち、実施形態の開閉構造は、第一凹部2Caと第二凹部2Cbの深さT1,T2、幅H1,H2の少なくとも一方が異なる。
【0038】
また、実施形態の開閉構造では、第一凹部2Ca(2Da)は、開閉扉2の閉塞状態で凸部1Cに嵌合し、第二凹部2Cb(2Db)は、開閉扉2の開放状態で凸部1Cに嵌合する。
【0039】
この開閉構造は、開閉扉2の閉塞状態と開放状態とで操作者へ伝わる操作感を設定できる。
【0040】
また、実施形態の開閉構造では、凹部2C(2D)は、第一凹部2Ca(2Da)と第二凹部2Cb(2Db)とを繋ぎ支軸1Bを中心に円弧状に形成された第三凹部2Cc(2Dc)をさらに有し、第三凹部2Cc(2Dc)の凸部1Cへの嵌合形状が第一凹部2Ca(2Da)と第二凹部2Cb(2Db)との間で漸次異なる。
【0041】
この開閉構造は、第三凹部2Cc(2Dc)によって、第一凹部2Ca(2Da)と第二凹部2Cb(2Db)との間で支持部2Aの撓み量W3を調整し、荷重P3を設定できる。このため、実施形態の開閉構造は、適宜荷重P3を設定し、第一凹部2Ca(2Da)と第二凹部2Cb(2Db)との間で操作者へ伝わる操作感を設定できる。
【0042】
また、実施形態の開閉構造では、第三凹部2Ccは、第一凹部2Caと第二凹部2Cbとの間で深さT3が漸次異なる。また、実施形態の開閉構造では、第三凹部2Dcは、第一凹部2Daと第二凹部2Dbとの間で幅H3が漸次異なる。
【0043】
この開閉構造では、深さT3や幅H3によって、第一凹部2Ca(2Da)と第二凹部2Cb(2Db)の間の第三凹部2Cc(2Dc)の凸部1Cに対する嵌合形状が異ならせることで、支持部2Aの撓み量W3を調整し、荷重P3を設定できる。なお、実施形態の開閉構造は、第三凹部2Ccが第一凹部2Caと第二凹部2Cbとの間で深さT3および幅H3が異なっていてもよい。即ち、実施形態の開閉構造は、第三凹部2Ccが第一凹部2Caと第二凹部2Cbとの間で深さT3、幅H3の少なくとも一方が漸次異なる。
【符号の説明】
【0044】
1 本体部
1A 開口部
1B 支軸
1C 凸部
2 開閉扉
2A 支持部
2C,2D 凹部
2Ca,2Da 第一凹部
2Cb,2Db 第二凹部
2Cc,2Dc 第三凹部
T1,T2,T3 深さ
H1,H2,H3 幅
W1,W2,W3 撓み量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7