(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122190
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】充電システムおよび充電システム用制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20230825BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230825BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 P
H02J13/00 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025737
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 尊衛
(72)【発明者】
【氏名】古川 公久
(72)【発明者】
【氏名】馬淵 雄一
(72)【発明者】
【氏名】上妻 央
(72)【発明者】
【氏名】河口 祐樹
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB21
5G064DA11
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CC08
5G503EA05
5G503FA06
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】充電対象機器に対して電力変換ユニットを適切に割り当てられる充電システムを提供する。
【解決手段】ユニット割当部54は、何れかの充電ポート(40-k)に新たな充電対象機器(42-k)が接続されると、割当ユニット数Nmが複数である充電対象機器(42-m)のうち、前記割当ユニット数Nmを削減した場合に充電電力の低下が小であるものを優先して前記割当ユニット数Nmを削減し、削減によって生じた空き状態の前記電力変換ユニット22を新たに接続された前記充電対象機器(42-k)に割り当てるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力変換ユニットと、
複数の充電対象機器にそれぞれ電力を供給する複数の充電ポートと、
複数の前記電力変換ユニットと複数の前記充電ポートとの接続関係を切り替えるスイッチ部と、
各々の前記充電対象機器に対して、一または複数の数である割当ユニット数だけ前記電力変換ユニットを割り当てるユニット割当部と、
前記ユニット割当部による割当結果に応じて、前記スイッチ部における接続関係を設定する切替制御部と、を備え、
前記ユニット割当部は、何れかの前記充電ポートに新たな前記充電対象機器が接続されると、前記割当ユニット数が複数である前記充電対象機器のうち、前記割当ユニット数を削減した場合に充電電力の低下が小であるものを優先して前記割当ユニット数を削減し、削減によって生じた空き状態の前記電力変換ユニットを新たに接続された前記充電対象機器に割り当てる
ことを特徴とする充電システム。
【請求項2】
複数の前記電力変換ユニットは、交流電源に対して直列接続され、各々が入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記ユニット割当部は、充電時間が所定時間を超えた前記充電対象機器が存在する場合に、対応する前記充電ポートに対する前記電力変換ユニットの割当を解除する機能をさらに備える
ことを特徴とする請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
駐車場の天井に装着される筐体をさらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載の充電システム。
【請求項5】
複数の電力変換ユニットと、
複数の充電対象機器にそれぞれ電力を供給する複数の充電ポートと、
複数の前記電力変換ユニットと複数の前記充電ポートとの接続関係を切り替えるスイッチ部と、を備える
充電システムに適用される充電システム用制御装置であって、
各々の前記充電対象機器に対して、一または複数の数である割当ユニット数だけ前記電力変換ユニットを割り当てるユニット割当部と、
前記ユニット割当部による割当結果に応じて、前記スイッチ部における接続関係を設定する切替制御部と、を備える
ことを特徴とする充電システム用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システムおよび充電システム用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、下記特許文献1の請求項1には、「電気自動車に搭載された蓄電池を充電する充電装置において、電流制御が可能で且つ並列運転可能な複数の直流電源ユニットと、車両に接続して電流を供給するための複数の送電手段と、車両毎で充電開始と充電停止の操作を行う操作手段と、前記直流電源ユニットの複数の出力電路を複数の前記送電手段の任意の電路に割り当てるマトリックススイッチャと、前記直流電源ユニットの出力電流の大きさを個々に制御する電流制御手段と、前記マトリックススイッチャを制御するスイッチ制御手段を備え、前記スイッチ制御手段は、1つの前記直流電源ユニットが前記送電手段の2つ以上の電路に接続しないように前記マトリックススイッチャを制御し、前記電流制御手段は、前記スイッチ制御手段が割り当てた前記直流電源ユニットを並列運転して合計出力電流を車両の蓄電池の充電に必要な電流とするように制御することを特徴とする充電装置。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した技術において、電力変換ユニット(直流電源ユニット)を充電対象機器に適切に割り当てられると好ましい。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、充電対象機器に対して電力変換ユニットを適切に割り当てられる充電システムおよび充電システム用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明の充電システムは、複数の電力変換ユニットと、複数の充電対象機器にそれぞれ電力を供給する複数の充電ポートと、複数の前記電力変換ユニットと複数の前記充電ポートとの接続関係を切り替えるスイッチ部と、各々の前記充電対象機器に対して、一または複数の数である割当ユニット数だけ前記電力変換ユニットを割り当てるユニット割当部と、前記ユニット割当部による割当結果に応じて、前記スイッチ部における接続関係を設定する切替制御部と、を備え、前記ユニット割当部は、何れかの前記充電ポートに新たな前記充電対象機器が接続されると、前記割当ユニット数が複数である前記充電対象機器のうち、前記割当ユニット数を削減した場合に充電電力の低下が最小であるものを優先して前記割当ユニット数を削減し、削減によって生じた空き状態の前記電力変換ユニットを新たに接続された前記充電対象機器に割り当てることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、充電対象機器に対して電力変換ユニットを適切に割り当てられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態による充電システムのブロック図である。
【
図2】セルコンバータ・ユニットのブロック図である。
【
図4】電力変換装置を設置した駐車場の例を示す模式図である。
【
図5】ユニット割当ルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態による充電システム1のブロック図である。
図1において充電システム1は、高圧入力部10と、電力変換部20と、マトリクススイッチ部30(スイッチ部)と、4台の充電ポート40-1~40-4と、制御装置50(充電システム用制御装置)と、を備えている。
【0009】
充電ポート40-1~40-4は、例えば電気自動車である車両42-1~42-4(充電対象機器)に接続される。なお、以下の説明において、同一または同様の機能、意義を有する複数の構成要素や情報等を、例えば「充電ポート40-1~40-4」のように、同一の符号に「-」と英数字を付して、表記する場合がある。但し、これら複数の構成要素等を区別する必要がない場合には、例えば「充電ポート40」のように、「-」と英数字を省略して表記する場合がある。
【0010】
高圧入力部10は、例えば3相6.6kVの交流系統16(交流電源)から電力を受電し、開閉器12およびリアクトル14を介して3相6.6kVの交流電圧をU相,V相,W相の線路18U,18V,18Wに出力する。電力変換部20は、合計21台のセルコンバータ・ユニット22(電力変換ユニット)を備えている。線路18Uと中性点24の間には、7台のセルコンバータ・ユニット22-U1~22-U7のAC端子(図中の左側)が直列に接続されている。
【0011】
同様に、線路18Vと中性点24の間には、7台のセルコンバータ・ユニット22-V1~22-V7のAC端子が直列に接続され、線路18Wと中性点24の間には、7台のセルコンバータ・ユニット22-W1~22-W7のAC端子が直列に接続されている。また、セルコンバータ・ユニット22-U1,22-V1,22-W1のDC端子(図中の右側)は線路26-1に対して並列接続されている。同様に、セルコンバータ・ユニット22-Up,22-Vp,22-Wp(但しp=2~6)のDC端子も、線路26-pに対して並列接続されている。
【0012】
マトリクススイッチ部30は、3本の直流バス32-A,32-B,32-Cと、複数のスイッチ34と、を備えている。線路26-1と、直流バス32-A,32-B,32-Cとの間には、各1個、合計3個のスイッチ34が接続され、これらスイッチ34は、線路26-1と直流バス32-A,32-B,32-Cとの間の接続のオン/オフ状態を切り替える。
【0013】
同様に、線路26-p(但しp=2~6)と、直流バス32-A,32-B,32-Cとの間には、各1個、合計3個のスイッチ34が接続され、これらスイッチ34は、線路26-pと直流バス32-A,32-B,32-Cとの間の接続のオン/オフ状態を切り替える。また、セルコンバータ・ユニット22-U7,22-V7,22-W7のDC端子(図中の右側)と、直流バス32-A,32-B,32-Cとの間には、合計9個のスイッチ34が接続されている。これらスイッチ34は、セルコンバータ・ユニット22-U7,22-V7,22-W7と直流バス32-A,32-B,32-Cとの間の接続のオン/オフ状態を切り替える。
【0014】
充電ポート40-1,40-2,40-3は、各々直流バス32-A,32-B,32-Cに接続されている。また、充電ポート40-4は、直流バス32-A,32-Bの双方に接続されている。各充電ポート40は、対応する直流バス32から受電した直流電力を当該充電ポート40に接続された車両42に供給し、これによって車両42に設けられたバッテリー(図示せず)を充電する。制御装置50は、充電システム1の各部を制御する。なお、制御装置50の詳細については後述する。
【0015】
図2は、セルコンバータ・ユニット22のブロック図である。
図2において、セルコンバータ・ユニット22は、AC/DC変換器71と、平滑コンデンサ72と、DC/AC変換器73と、高周波トランス74と、AC/DC変換器75と、平滑コンデンサ76と、を備えている。
【0016】
AC/DC変換器71は、入力端子INから入力された商用周波数の単相AC電圧を直流電圧に変換し、平滑コンデンサ72を介して、DC/AC変換器73に供給する。DC/AC変換器73は、該直流電圧を高周波の単相AC電圧に変換し、高周波トランス74を介してAC/DC変換器75に供給する。ここで、高周波とは、例えば100Hz以上の周波数であるが、1kHz以上の周波数を採用することが好ましく、10kHz以上の周波数を採用することがより好ましい。AC/DC変換器75は、この高周波の単相AC電圧を整流し、平滑コンデンサ76を介して、出力端子OUTから直流電圧を出力する。
【0017】
AC/DC変換器71,75およびDC/AC変換器73は、何れも、Hブリッジ状に接続された4個のスイッチング素子(符号なし)と、これらスイッチング素子に逆並列に接続されたダイオード(符号なし)と、を有している。これらスイッチング素子としてはMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体スイッチング素子が適用できるが、他の半導体スイッチング素子を適用してもよい。
【0018】
図3は、コンピュータ980のブロック図である。
図1に示した制御装置50は、
図3に示すコンピュータ980を、1台または複数台備えている。
図3において、コンピュータ980は、CPU981と、記憶部982と、通信I/F(インタフェース)983と、入出力I/F984と、メディアI/F985と、を備える。ここで、記憶部982は、RAM982aと、ROM982bと、HDD982cと、を備える。通信I/F983は、通信回路986に接続される。入出力I/F984は、入出力装置987に接続される。メディアI/F985は、記録媒体988からデータを読み書きする。
【0019】
ROM982bには、CPUによって実行される制御プログラム、各種データ等が格納されている。CPU981は、RAM982aに読み込んだアプリケーションプログラムを実行することにより、各種機能を実現する。先に
図1において示した、制御装置50の内部は、アプリケーションプログラム等によって実現される機能をブロックとして示したものである。すなわち、
図1に示すように、制御装置50は、充電時間監視部52と、ユニット割当部54と、切替制御部56と、を備えている。
【0020】
充電時間監視部52は、各車両42-1~42-4に対する充電時間T1~T4、すなわち充電開始時刻からの経過時間を監視する。ユニット割当部54は、各車両42-1~42-4に割り当てるセルコンバータ・ユニット22の数である割当ユニット数N1~N4を決定する。切替制御部56は、決定された割当ユニット数N1~N4を実現するように、マトリクススイッチ部30における各スイッチ34のオン/オフ状態を設定する。
【0021】
図4は、充電システム1を設置した駐車場の例を示す模式図である。
図4において、駐車場200は、天井210と、床220と、を備えている。上述した車両42は受電コネクタ42aを備えており、駐車場200の床220に駐車している。充電システム1は、天井210の形状に沿った略平板状の筐体106を備え、駐車場200の天井210に装着されている。
【0022】
充電システム1にはケーブル102が装着され、ケーブル102は下方に垂下している。そして、ケーブル102の下端には給電コネクタ104が装着されている。ユーザが給電コネクタ104を受電コネクタ42aに嵌合させ、所定の操作を行うと、充電システム1から車両42に電力が供給され、車両42のバッテリー(図示略)が充電される。このように、駐車場200の天井210に充電システム1を装着することにより、既存の駐車場200に充電システム1を容易に設置することができる。
【0023】
図5は、ユニット割当ルーチンのフローチャートである。
制御装置50は、何れかの充電ポート40に対して、新たに車両42が接続された場合に本ルーチンを起動させる。なお、以下の説明において、「m」および「k」は、充電ポート40のポート番号であり、
図1に示した例では、「1」~「4」の何れかである。特に、ポート番号kは、車両42が新たに接続された充電ポート40-kのポート番号である。
【0024】
図5において処理がステップS4に進むと、充電時間監視部52は、充電時間Tmが所定時間Tthを超えた充電ポート40-mが存在するか否かを判定する。ここで所定時間Tthは、例えば充電の上限時間である。ステップS4において「Yes」と判定されると処理はステップS6に進み、ユニット割当部54は、当該充電ポート40-mに対するセルコンバータ・ユニット22の割当を解除する。ステップS4で「No」と判定された場合またはステップS6の処理が終了すると、処理はステップS8に進む。
【0025】
ステップS8において、ユニット割当部54は、空きユニット、すなわちセルコンバータ・ユニット22のうち充電に供されていないユニットが存在するか否かを判定する。ステップS8において「Yes」と判定されると、処理はステップS20に進む。ここでは、ユニット割当部54は、充電ポート40-kすなわち新たに車両42-kが接続された充電ポートに対して、空きユニットを割り当てる。次に、処理がステップS26に進むと、充電ポート40-kから、新たに接続された車両42-kに対して充電が開始され、本ルーチンの処理が終了する。
【0026】
一方、空きユニットが存在しなかった場合には、ステップS8において「No」と判定され、処理はステップS10に進む。なお、以下の説明において、充電ポート40-mに割り当てられているセルコンバータ・ユニット22の数を割当ユニット数Nmと呼ぶ。また、充電ポート40-mから車両42-mに供給されている電力を供給電力Pmと呼ぶ。また、1台のセルコンバータ・ユニット22が出力可能な定格電力をユニット定格電力Puと呼ぶ。
【0027】
ステップS10において、ユニット割当部54は、割当ユニット数Nmが複数である充電ポート40-mについて、供給電力Pm/ユニット定格電力Puの整数除算を行い、商Qmと、剰余Rmとを算出する。次に、処理がステップS12に進むと、ユニット割当部54は、「Nm>Qm+1」である充電ポート40-mが存在するか否かを判定する。すなわち割当ユニット数Nmが必要以上に大きい充電ポート40-mが存在するか否かを判定する。
【0028】
なお、割当ユニット数Nmが必要以上に大きくなり得る理由は、車両42に設けられたバッテリーの充電率が高くなるほど、車両42に供給可能な充電電流が減少するためである。すなわち、充電開始時において割当ユニット数Nmが必要十分な数であったとしても、充電時間の経過とともに割当ユニット数Nmが必要以上に大きな数になり得る。ステップS10において「Yes」と判定されると、処理はステップS22に進む。
【0029】
ステップS22において、ユニット割当部54は、当該充電ポート40-mの割当ユニット数Nmを「Qm+1」まで削減する。このように割当ユニット数Nmを削減したとしても、従前の供給電力Pmを維持することができる。さらに、ユニット割当部54は、割当ユニット数Nmを削減した結果として生じた空きユニットを、新たに車両42-kが接続された充電ポート40-kに割り当てる。
【0030】
一方、ステップS12において「No」と判定されると、処理はステップS14に進む。ここでは、ユニット割当部54は、剰余Rmの最小値が所定値Rthよりも小さいか否かを判定する。なお、所定値Rthは、例えばユニット定格電力Puの1/2である。ここで「Yes」と判定されると、処理はステップS24に進む。ステップS24において、ユニット割当部54は、剰余Rmが最小である充電ポート40-mの割当ユニット数Nmを商Qmまで削減する。さらに、ユニット割当部54は、その結果として生じた空きユニットを、新たに車両42-kが接続された充電ポート40-kに割り当てる。
【0031】
上述のステップS22またはS24の処理が終了すると、処理がステップS26に進む。ここでは、上述したように、充電ポート40-kから、新たに接続された車両42-kに対して充電が開始され、本ルーチンの処理が終了する。一方、ステップS14において「No」と判定されると、処理はステップS16に進み、処理が所定時間待機する。その後、処理はステップS4に戻り、上述したものと同様の処理が繰り返される。
【0032】
ここで、ステップS14およびS24の意義について、具体例を挙げて説明する。一例として、ユニット定格電力Puが50[kW]であり、ある充電ポート40-mにおいて供給電力Pmが210[kW]であり、割当ユニット数Nmが「5」であったとする。この場合、ステップS10で求められる商Qmは「4」になり、剰余Rmが「10[kW]」になる。
【0033】
この剰余Rm=10[kW]が全ての充電ポート40-1~40-4における剰余R1~R4の中の最小値であり、かつ、所定値Rthよりも小さかったとする。すると、ステップS24において、元々「5」であった割当ユニット数Nmが商Qm=4に削減される。割当ユニット数Nm=4で実現可能な最大の供給電力Pmは、4×50[kW]=200[kW]である。従って、元々210[kW]であった供給電力Pmは、剰余Rm=10[kW]だけ削減され、200[kW]になる。
【0034】
充電ポート40-mの供給電力Pmが削減されると、充電ポート40-mにおける充電時間が長くなる。しかし、剰余Rmすなわち削減される電力が小さい場合は、その影響を比較的軽微なものに抑制することができる。そこで、上述したステップS14およびS24では、剰余Rmが最小である充電ポート40-mに対して割当ユニット数Nmを削減するようにした。
【0035】
[実施形態の効果]
以上のように上述の実施形態によれば、充電システム1は、複数の電力変換ユニット(22)と、複数の充電対象機器(42)にそれぞれ電力を供給する複数の充電ポート40と、複数の電力変換ユニット(22)と複数の充電ポート40との接続関係を切り替えるスイッチ部(30)と、各々の充電対象機器(42-m)に対して、一または複数の数である割当ユニット数Nmだけ電力変換ユニット(22)を割り当てるユニット割当部54と、ユニット割当部54による割当結果に応じて、スイッチ部(30)における接続関係を設定する切替制御部56と、を備え、ユニット割当部54は、何れかの充電ポート(40-k)に新たな充電対象機器(42-k)が接続されると、割当ユニット数Nmが複数である充電対象機器(42-m)のうち、割当ユニット数Nmを削減した場合に充電電力の低下が小であるものを優先して割当ユニット数Nmを削減し、削減によって生じた空き状態の電力変換ユニット(22)を新たに接続された充電対象機器(42-k)に割り当てる。これにより、充電電力の低下が小であるもの(実施形態では最小であるもの)を優先して割当ユニット数Nmを削減できるため、既に充電されている充電対象機器(42-m)に対する影響を抑制しつつ、全ての充電対象機器(42)に対して電力変換ユニット(22)を適切に割り当てることができる。
【0036】
また、複数の電力変換ユニット(22)は、交流電源(16)に対して直列接続され、各々が入力された交流電圧を直流電圧に変換して出力すると一層好ましい。これにより、高圧の交流系統16から電力を直接的に受電することができる。
【0037】
また、ユニット割当部54は、充電時間Tmが所定時間Tthを超えた充電対象機器(42)が存在する場合に、対応する充電ポート40に対する電力変換ユニット(22)の割当を解除する機能をさらに備えると一層好ましい。これにより、電力変換ユニット(22)を一層有効利用できるようになる。
【0038】
また、充電システム1は、駐車場200の天井210に装着される筐体106をさらに備えると一層好ましい。これにより、既存の駐車場200に充電システム1を容易に設置することができる。
【0039】
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記実施形態の構成に他の構成を追加してもよく、構成の一部について他の構成に置換をすることも可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
【0040】
(1)上記実施形態においては、充電対象機器の例として車両42を適用した例を説明したが、充電対象機器は車両42に限られず、バッテリーを備えた船舶、飛翔体等の移動体や電気機器であってもよい。
【0041】
(2)上記実施形態において、充電システム1は交流系統16から電力を受電した。しかし、近年、直流電力系統も普及しつつあるため、交流系統16に代えて、直流電力系統等の直流電源に充電システム1を接続してもよい。この場合、セルコンバータ・ユニット22の内部において
図2に示したAC/DC変換器71および平滑コンデンサ72は省略可能である。
【0042】
(3)上記実施形態における制御装置50のハードウエアは一般的なコンピュータによって実現できるため、
図5に示したフローチャート、その他上述した各種処理を実行するプログラム等を記憶媒体に格納し、または伝送路を介して頒布してもよい。
【0043】
(4)
図5に示した処理、その他上述した各処理は、上記実施形態ではプログラムを用いたソフトウエア的な処理として説明したが、その一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)、あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたハードウエア的な処理に置き換えてもよい。
【0044】
(5)上記実施形態において実行される各種処理は、図示せぬネットワーク経由でサーバコンピュータが実行してもよく、上記実施形態において記憶される各種データも該サーバコンピュータに記憶させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 充電システム
16 交流系統(交流電源)
22 セルコンバータ・ユニット(電力変換ユニット)
30 マトリクススイッチ部(スイッチ部)
40 充電ポート
42 車両(充電対象機器)
50 制御装置(充電システム用制御装置)
54 ユニット割当部
56 切替制御部
106 筐体
200 駐車場
210 天井
Nm 割当ユニット数
Tm 充電時間
Tth 所定時間