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特開2023-122221安全対策支援装置、安全対策支援システム、安全対策支援方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122221
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】安全対策支援装置、安全対策支援システム、安全対策支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20230825BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B66F9/24 S
B66F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025798
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】592039543
【氏名又は名称】北陸電話工事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594155528
【氏名又は名称】NES株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】長木 清昭
(72)【発明者】
【氏名】西 竜介
(72)【発明者】
【氏名】中野 正昭
(72)【発明者】
【氏名】山口 徹
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 大剛
(72)【発明者】
【氏名】渕上 政明
(72)【発明者】
【氏名】原田 智樹
(72)【発明者】
【氏名】猪谷 和範
(72)【発明者】
【氏名】野崎 勝志
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AB02
3F333CA12
3F333FA02
3F333FA03
3F333FA08
3F333FA10
3F333FA34
3F333FA36
3F333FD07
3F333FE04
3F333FE05
3F333FE08
3F333FE09
3F333FG05
3F333FG09
(57)【要約】
【課題】 安全対策作業を終えるべき段階までに、現場作業者に対して安全対策を実施させることができる安全対策支援装置を提供する。
【解決手段】本実施形態における安全対策支援装置2は、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達可能な状態であること取得する状態取得部400と、高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となったことを条件として、高所作業用設備36を操作する操作盤360の操作部を覆う操作カバー360Aを開扉したことを検知するカバー検知部402と、カバー検知部402により操作カバー360Aを開扉したことを検知したときに対応するタイミングで、安全対策の実施の有無を判定する判定部404とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用自動車の走行装置の動力を作業用設備に伝達可能な状態であること取得する状態取得部と、
前記作業用設備に動力を伝達可能な状態となったことを条件として、前記作業用設備を操作する操作装置の操作部を覆う操作カバーを開扉したことを検知するカバー検知部と、
前記カバー検知部により前記操作カバーを開扉したことを検知したときに対応するタイミングで、安全対策の実施の有無を判定する判定部と
を有する安全対策支援装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記作業用設備に動力を伝達可能な状態となったことに対応するタイミングで、前記操作カバーを開扉したことを検知する
請求項1に記載の安全対策支援装置。
【請求項3】
作業用自動車は、高所作業を行うための作業用設備を具備した高所作業車であり、
前記安全対策には、高所作業車及び現場作業者に対する現場での安全対策、及び、作業現場に施される施設の設置が含まれ、
前記判定部により判定された判定結果に基づいて、前記安全対策が実施されていない場合に警告する警告部と、
作業現場で作業する時刻に基づいて、前記警告部により警告する警告手段を選択する警告手段選択部と
をさらに有し、
前記警告部は、前記警告手段選択部により選択された警告手段により警告する
請求項2に記載の安全対策支援装置。
【請求項4】
前記警告手段選択部は、前記カバー検知部により検知された検知結果に基づいて、前記操作カバーを開扉してから閉扉するまでの時間が所定の時間内である場合に、前記作業用自動車の車外において、音による警告手段以外の警告手段を選択する
請求項3に記載の安全対策支援装置。
【請求項5】
前記施設の設置には、標示施設の設置が含まれ、
前記標示施設に設けられ、電波を発信する無線装置と、
前記作業用自動車と前記標示施設とが所定の距離となったときに対応するタイミングで、前記標示施設を設置する位置を通知する通知部と
をさらに有し、
前記判定部は、前記無線装置から発信された電波の受信強度に基づいて、電波の受信強度が所定のしきい値以下の場合に、前記標示施設の設置する位置であると判定する
請求項3に記載の安全対策支援装置。
【請求項6】
前記状態取得部は、前記作業用自動車の走行装置の動力を前記作業用設備に伝達不能な状態であることを取得し、
前記判定部は、前記作業用設備に伝達不能な状態であることを取得したときに対応するタイミングで、前記無線装置から発信された電波の受信強度に基づいて、電波の受信強度が所定のしきい値以下の場合に、前記標示施設が未回収であると判定する
請求項5に記載の安全対策支援装置。
【請求項7】
前記作業用設備には、アウトリガーが含まれ、
前記現場での安全対策には、前記作業用自動車に対する輪止めの設置が含まれ、
前記判定部により、少なくとも前記輪止めの設置が実施されていない判定結果に基づいて、前記アウトリガーの張り出しを制限するよう制御する制御部
をさらに有する
請求項3に記載の安全対策支援装置。
【請求項8】
作業用自動車の走行装置の動力を作業用設備に伝達可能な状態であること取得する状態取得部と、
前記作業用設備に動力を伝達可能な状態となったことを条件として、前記作業用設備を操作する操作装置の操作部を覆う操作カバーを開扉したことを検知するカバー検知部と、
前記カバー検知部により前記操作カバーを開扉したことを検知したときに対応するタイミングで、安全対策の実施の有無を判定する判定部と
を有する安全対策支援システム。
【請求項9】
作業用自動車の走行装置の動力を作業用設備に伝達可能な状態であること取得するステップと、
前記作業用設備に動力を伝達可能な状態となったことを条件として、前記作業用設備を操作する操作装置の操作部を覆う操作カバーを開扉したことを検知するステップと、
前記操作カバーを開扉したことを検知したときに対応するタイミングで、安全対策の実施の有無を判定するステップと
を有する安全対策支援方法。
【請求項10】
作業用自動車の走行装置の動力を作業用設備に伝達可能な状態であること取得するステップと、
前記作業用設備に動力を伝達可能な状態となったことを条件として、前記作業用設備を操作する操作装置の操作部を覆う操作カバーを開扉したことを検知するステップと、
前記操作カバーを開扉したことを検知したときに対応するタイミングで、安全対策の実施の有無を判定するステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全対策支援装置、安全対策支援システム、安全対策支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車体の前後左右に、この車体を地面に対して支持するジャッキを備えてなる作業車の安全装置であって、前記車体が前上がり状態で所定角度以上傾斜していることを検出する傾斜検出手段と、前記ジャッキを作動させるための操作が行われたことを検出する操作検出手段と、前記傾斜検出手段による検出がなされた場合において前記操作検出手段による検出がなされたときに、所定の警報作動を行う警報手段とから構成されることを特徴とする作業車の安全装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7-8398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、安全対策作業を終えるべき段階までに、現場作業者に対して安全対策を実施させることができる安全対策支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る安全対策支援装置は、作業用自動車の走行装置の動力を作業用設備に伝達可能な状態であること取得する状態取得部と、前記作業用設備に動力を伝達可能な状態となったことを条件として、前記作業用設備を操作する操作装置の操作部を覆う操作カバーを開扉したことを検知するカバー検知部と、前記カバー検知部により前記操作カバーを開扉したことを検知したときに対応するタイミングで、安全対策の実施の有無を判定する判定部とを有する。
【0006】
好適には、前記検知部は、前記作業用設備に動力を伝達可能な状態となったことに対応するタイミングで、前記操作カバーを開扉したことを検知する。
【0007】
好適には、作業用自動車は、高所作業を行うための作業用設備を具備した高所作業車であり、前記安全対策には、高所作業車及び現場作業者に対する現場での安全対策、及び、作業現場に施される施設の設置が含まれ、前記判定部により判定された判定結果に基づいて、前記安全対策が実施されていない場合に警告する警告部と、作業現場で作業する時刻に基づいて、前記警告部により警告する警告手段を選択する警告手段選択部とをさらに有し、前記警告部は、前記警告手段選択部により選択された警告手段により警告する。
【0008】
好適には、前記警告手段選択部は、前記カバー検知部により検知された検知結果に基づいて、前記操作カバーを開扉してから閉扉するまでの時間が所定の時間内である場合に、前記作業用自動車の車外において、音による警告手段以外の警告手段を選択する。
【0009】
好適には、前記施設の設置には、標示施設の設置が含まれ、前記標示施設に設けられ、電波を発信する無線装置と、前記作業用自動車と前記標示施設とが所定の距離となったときに対応するタイミングで、前記標示施設を設置する位置を通知する通知部とをさらに有し、前記判定部は、前記無線装置から発信された電波の受信強度に基づいて、電波の受信強度が所定のしきい値以下の場合に、前記標示施設の設置する位置であると判定する。
【0010】
好適には、前記状態取得部は、前記作業用自動車の走行装置の動力を前記作業用設備に伝達不能な状態であることを取得し、前記判定部は、前記作業用設備に伝達不能な状態であることを取得したときに対応するタイミングで、前記無線装置から発信された電波の受信強度に基づいて、電波の受信強度が所定のしきい値以下の場合に、前記標示施設が未回収であると判定する。
【0011】
前記作業用設備には、アウトリガーが含まれ、前記現場での安全対策には、前記作業用自動車に対する輪止めの設置が含まれ、前記判定部により、少なくとも前記輪止めの設置が実施されていない判定結果に基づいて、前記アウトリガーの張り出しを制限するよう制御する制御部をさらに有する。
【0012】
また、本発明に係る安全対策支援システムは、作業用自動車の走行装置の動力を作業用設備に伝達可能な状態であること取得する状態取得部と、前記作業用設備に動力を伝達可能な状態となったことを条件として、前記作業用設備を操作する操作装置の操作部を覆う操作カバーを開扉したことを検知するカバー検知部と、前記カバー検知部により前記操作カバーを開扉したことを検知したときに対応するタイミングで、安全対策の実施の有無を判定する判定部とを有する。
【0013】
また、本発明に係る安全対策支援方法は、作業用自動車の走行装置の動力を作業用設備に伝達可能な状態であること取得するステップと、前記作業用設備に動力を伝達可能な状態となったことを条件として、前記作業用設備を操作する操作装置の操作部を覆う操作カバーを開扉したことを検知するステップと、前記操作カバーを開扉したことを検知したときに対応するタイミングで、安全対策の実施の有無を判定するステップとを有する。
【0014】
また、本発明に係るプログラムは、作業用自動車の走行装置の動力を作業用設備に伝達可能な状態であること取得するステップと、前記作業用設備に動力を伝達可能な状態となったことを条件として、前記作業用設備を操作する操作装置の操作部を覆う操作カバーを開扉したことを検知するステップと、前記操作カバーを開扉したことを検知したときに対応するタイミングで、安全対策の実施の有無を判定するステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、安全対策作業を終えるべき段階までに、現場作業者に対して安全対策を実施させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態における安全対策支援システム1の概要を例示する図である。
図2】安全対策支援システム1の構成を詳細に説明する図である。
図3】安全対策支援装置2のハードウェア構成を例示する図である。
図4】安全対策支援装置2の機能構成を例示する図である。
図5】安全対策検知部403の機能構成を説明する図である。
図6】安全対策支援処理(S10)を説明するフローチャートである。
図7】安全対策支援処理(S20)を説明するフローチャートである。
図8】安全対策支援処理(S30)を説明するフローチャートである。
図9】安全対策支援処理(S40)を説明するフローチャートである。
図10】安全対策支援処理(S50)を説明するフローチャートである。
図11】安全対策支援処理(S60)を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明がなされた背景を説明する。
特殊作業車のうち、高所作業車は、全国で2万台程が稼働しており、高所作業の現場で広く使用されている。通信建設業のみならず、例えば、庭園樹木の剪定、工事建設、工業据え付け、設備点検、建屋メンテナンス、造船、電力、市政、空港、または交通等における高所作業の現場に広範囲に及んでいる。高所作業の作業現場において、高所作業を行う前に、例えば、高所作業車の停車角度の確認、輪止めの設置、工事予告看板の設置、保安施設(セーフティコーン、及び、コーンバー)の設置、及び、墜落制止用器具(いわゆる安全帯)のランヤードフック(いわゆる安全帯フック)におけるフック掛け等の安全対策を実施する必要がある。
しかしながら、現場作業者によっては、適切な条件下で安全対策を実施できていない場合があり、その結果、高所作業車の横転や逸走事故等の重大事故を引き起こす原因となっていた。
【0018】
その対策として、例えば、管理職等による作業現場での安全指導の実施(安全パトロールの実施)や、安全作業把握担当者と、現場作業者との2重による安全確認の実施を行っている。しかし、作業現場毎に上記安全対策を行うことが好ましいが、高所作業車の管理台数が例えば200台以上と多くなると、これを徹底するには困難であり、安全作業把握担当者と、現場作業者の両方に手間も時間もかかるため、作業負担となる。
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態によれば、現場作業者が安全対策作業を終えるべき段階までに、現場作業者に対して安全対策を実施させることにより、安全対策を徹底させることができる。また、安全対策作業を終えた段階で、実施した安全対策の結果を自動的に安全作業把握担当者に通知することで、作業負担を軽減することができる。
以下、このような本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
まず、図1及び図2を参照し、安全対策支援システム1の概要を説明する
図1は、本実施形態における安全対策支援システム1の概要を例示する図である。
図2は、安全対策支援システム1の構成を詳細に説明する図である。
図1及び図2に例示するように、安全対策支援システム1は、有線又は無線のネットワーク8を介して情報通信可能に、作業現場にある高所作業車3と、現場業務管理センターにある管理サーバ9とを接続している。また同様に、現場作業者Wが使用する携帯情報端末も、ネットワーク8を介して、管理サーバ9と接続している。本例のネットワーク8は、閉域網と現場業務管理センター内VPN網とを含む。
作業現場において、現場作業者Wは、高所での作業を行う前に安全対策を実施する。ここで、安全対策の実施とは、高所作業車3又は現場作業者Wに対する現場での安全対策の実施と、作業現場に施される施設7の設置とが含まれる。高所作業車3に対する現場での安全対策の実施として、例えばパーキングブレーキの実施、高所作業車3の駐車時における適正な駐車角度の実施、輪止め54の設置、及び、地切り(車輪が地面から離れた状態)の実施である。また、現場作業者Wに対する現場での安全対策とは、墜落制止用器具のランヤードフック掛けの実施である。また、作業現場に施される施設7の設置には、標示施設70の設置と、保安施設72の設置とが含まれる。標示施設70の設置とは、高所作業車3からの適正離間距離での工事予告看板700の設置である。また、保安施設72の設置とは、高所作業車3の作業域を囲むよう立入禁止区域とするセーフティコーン726、コーンバー727、及び矢印板728の設置である。
高所作業車3は、安全対策支援装置2を搭載しており、搭載された安全対策支援装置2は、高所作業を行う前に行うべき安全対策の実施の有無を判定し、判定した判定結果を管理サーバ9に送信する。そして、現場業務管理センターにある管理サーバ9は、安全対策支援装置2から送られた安全対策の実施に関する判定結果を記録する。安全対策把握担当者Mは、管理サーバ9に送信された安全対策の実施に関する判定結果を確認しながら、現場作業者Wに連絡を入れ高所作業を行う許可を通知する。
【0020】
図1及び図2に例示したように、安全対策支援システム1は、安全対策支援装置2、高所作業車3、施設7、ネットワーク8、及び管理サーバ9を有する。
安全対策支援装置2は、高所作業を行う前に行うべき安全対策の実施有無を判定する情報処理装置である。安全対策支援装置2は、高所作業車3又は現場作業者Wに対する現場での安全対策の実施と、作業現場に施される施設7の設置について適正に安全対策を実施しているか否かの判定を行い、判定結果を現場作業者Wに通知すると共に、判定結果を管理サーバ9に送信する。また、安全対策支援装置2は、安全対策の実施が適正に実施されていない(すなわち未実施又は不十分な実施)判定結果である場合に、現場作業者Wに警報する。また、安全対策支援装置2は、現場作業者Wに警報後に安全対策の再実施を促してもよい。また、本例の安全対策支援装置2は、高所作業用設備36に設置したが、これに限定するものでなく、適宜設置する位置を変更することができる。
【0021】
高所作業車3は、特殊作業車であり、本発明に係る作業用自動車の一例である。高所作業車3は、走行装置と高所作業用設備36とを含む。走行装置には、パーキングブレーキ30、PTO装置操作レバー32、車体角度検知装置34、及び車内用スピーカー368Cが具備される。なお車内用スピーカー368Cは、後述する通知装置368にて説明する。
【0022】
パーキングブレーキ30は、高所作業車3の駐車時の静止状態を保持するための制動機構であり、ステッキ式、レバー式、足踏み式、又は電動式のブレーキである。本例のパーキングブレーキ30は、レバー式であり、サイドブレーキとも称呼される。パーキングブレーキ30は、配線を通して、安全対策支援装置2に情報伝達可能に接続しており、パーキングブレーキ30のON/OFF操作に対応する電位差又は電流差を安全対策支援装置2に通知する。なお、本例のパーキングブレーキ30は、パーキングブレーキ30のON/OFF操作に対応する電位差を安全対策支援装置2に通知する。
【0023】
PTO装置操作レバー32(以下PTOレバー32と称呼する)は、PTO(Power Take-OFF)装置の操作レバーであり、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達可能にする装置である。PTOレバー32のON/OFF操作に対応する電位差を安全対策支援装置2に通知する。
車体角度検知装置34は、高所作業車3の駐車時の傾きを計測する装置であり、例えば、傾斜センサ、角速度センサ、又は加速度センサである。車体角度検知装置34により検知された検知結果を安全対策支援装置2に通知する。
【0024】
また、高所作業用設備36には、操作盤360、輪止め検知装置(不図示)、地切り検知装置(不図示)、アウトリガー362、フック掛け検知装置364、保安施設用カメラ365、及び通知装置368が具備される。
操作盤360は、例えば、アウトリガー362の張り出しや格納、ジャッキアップやジャッキダウンの操作部を含む操作装置であり、本発明に係る操作装置の一例である。操作盤360は、その操作部に開閉可能な操作カバー360Aと、操作カバー360Aの開閉を検知する操作カバー開閉センサ361(以下、開閉センサ361)を含む。開閉センサ361は、操作カバー360Aの開閉を検知し、検知した検知結果を安全対策支援装置2に通知する。操作盤360は、走行装置のエンジンを停止するための操作ボタン又はレバーを含む。
輪止め検知装置は、高所作業車3の車輪の回転方向における接地面の前後両側に設置された輪止め54を検知する装置であり、例えば、撮影装置又はセンサである。輪止め検知装置は、高所作業車3の全ての車輪に設置してもよし、高所作業車3の左右前輪のみ又は左右後輪のみに設置してもよい。輪止め検知装置は、設置された輪止め54を検知し、検知結果を安全対策支援装置2に通知する。本例の輪止め検知装置は、高所作業車3の左後輪に設置された一対の輪止め54Aと、右後輪に設置された一対の輪止め54B(不図示)とを検知し、検知結果を安全対策支援装置2に通知する。
【0025】
アウトリガー362は、駐車した高所作業車3のジャッキアップ時に転倒を防止するための装備である。本例のアウトリガー362は、H型アウトリガーである。
地切り検知装置は、アウトリガー362のジャッキアップによる高所作業車3の車体上昇に伴って、車輪が地面から離間したか否かを検知する検知装置であり、例えば、撮影装置又はセンサである。地切り検知装置は、検知した検知結果を安全対策支援装置2に通知する。
【0026】
フック掛け検知装置364は、作業床として機能するバケット部に乗り込んだ現場作業者Wが装着する墜落制止用器具のランヤードフックを、所定の位置にある固定部に掛けた状態か否かを検知するセンサであり、例えば、非接触式センサあるいは接触式センサであって、圧力センサ、光センサあるいは磁気センサである。本例のフック掛け検知装置364は、磁気センサであり、ランヤードフックを固定部に掛けた状態に対応する磁気情報、又は、ランヤードフックを固定部に掛けていない状態に対応する磁気情報を検知する。また、フック掛け検知装置364は、フック掛け実施状況をセンシングするため、バケット部に現場作業者Wが乗ったことを検知する人感センサーを組み合わせてもよい。フック掛け検知装置364は、検知結果を安全対策支援装置2に通知する。
保安施設用カメラ365は、バケット部直下にある保安施設72の設置状態を撮影するための撮影装置であり、静止画又は動画を撮影できるカメラである。保安施設用カメラ365は、バケット部直下を撮影した撮影画像を安全対策支援装置2に通知する。
【0027】
通知装置368は、安全対策支援装置2から通知された警告又は通知内容に基づいて、現場作業者Wに対して通知する通知手段である。通知装置368は、パーキングブレーキ30の実施、駐車時の適正な車体角度の実施、輪止め54の設置、工事予告看板700の設置、ランヤードフック掛けの実施、及び、施設7の設置に関する警告又は通知案内と、輪止め54および工事予告看板700の回収に関する警告案内とを現場作業者Wに通知する。通知装置368は、音又は光による警告又は通知案内を行う。通知装置368は、光で警告又は通知する警告灯368Aと、音又は音声で警告又は通知する車外用スピーカー368B及び車内用スピーカー368Cとを含む。
警告灯368Aは、光を発する表示灯であり、有線又は無線にて安全対策支援装置2に接続される。警告灯368Aは、右後輪の輪止めに対する警告灯、左後輪の輪止めに対する警告灯、工事予告看板700Aに対する警告灯、工事予告看板700Bに対する警告灯を含む。
車外用スピーカー368B及び車内用スピーカー368Cは、高所作業車3の車内外にそれぞれ設置されたスピーカーであり、有線又は無線にて安全対策支援装置2に接続される。車外用スピーカー368B及び車内用スピーカー368Cは、警告案内及び通知案内を音に変えて出力する。なお、本例の警告灯368A、車外用スピーカー368B、及び車内用スピーカー368Cは、有線にて安全対策支援装置2に接続される。
【0028】
施設7は、標示施設70と、保安施設72とを含む。
標示施設70は、工事標示、工事予告標示、車線減少標示、方向標示、停止位置標示、徐行表示、段差予告標示、迂回路標示、通行止標示、又は工事情報表示等を標示する施設であり、本例では工事予告標示の工事予告看板700である。工事予告看板700は、道路上等で工事作業を行うにあたり、道路を通行する通行車両や歩行者に対して、進行方向に工事車両及び工事現場があることを周知するための看板であり、高所作業車3の前後の位置に対して、所定の距離離れた位置にそれぞれ設置される。具体的には、工事予告看板700は、高所作業車3から約50m、100m、又は300m離れた位置にそれぞれ設置される。本例の工事予告看板700は、高所作業車3から前方約50m離れた位置に設置した予告看板を工事予告看板700Aとし、高所作業車3から後方約50m離れた位置に設置した予告看板を工事予告看板700Bと称呼する。なお、工事予告看板700Aおよび工事予告看板700Bは、実質的に同様の構成であり、特に区別する必要がない場合は、単に工事予告看板700と称呼する。また、工事予告看板700は、ビーコン710を含む。ビーコン710Aは、工事予告看板700Aに設置したビーコンであり、ビーコン710Bは、工事予告看板700Bに設置したビーコンである。なお、ビーコン710Aおよびビーコン710Bは、実質的に同様の構成であり、特に区別する必要がない場合は、単にビーコン710と称呼する。ビーコン710は、本発明に係る無線装置の一例であり、電波を発信する無線装置である。ビーコン710は、高所作業車3に設置された受信機720に対して電波を発信する。受信機720は、ビーコン710から受信した電波の強度を安全対策支援装置2に通知する。受信機720は、安全対策支援装置2の内部に格納される。
また、保安施設72は、セーフティコーン726、コーンバー727、及び矢印板728を含む保安施設設備により所定の範囲を囲う設置された施設である。保安施設72は、高所作業用設備36による作業範囲を覆うと共に、道路を通行する通行車両(自転車含む)及び歩行者の侵入を防止する。
【0029】
管理サーバ9は、安全対策支援装置2により送信された、パーキングブレーキ30の実施、高所作業車3の適正な駐車角度の実施、輪止め54の設置、地切りの実施、ランヤードフック掛けの実施、及び、施設7の設置の判定結果を記録する。これにより、万一の事態が発生した場合においてもエビデンスが取得できるため状況の把握と分析、対策の実施等が可能となる。
【0030】
次に、図3図5を参照し、安全対策支援装置2のハードウェア構成、及び機能構成を説明する。
図3は、安全対策支援装置2のハードウェア構成を例示する図である。
図3に例示するように、安全対策支援装置2は、CPU200、メモリ202、HDD204、ネットワークインタフェース206(ネットワークIF206)、表示灯208、及び入出力装置210を有し、これらの構成はバス212を介して互いに接続している。
CPU200は、例えば、中央演算装置である。
メモリ202は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
HDD204は、例えば、ハードディスクドライブ装置であり、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラムやその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF206は、有線又は無線で通信するためのインタフェースであり、例えば、管理サーバ9との通信を実現する。なお、管理サーバ2は、クラウドサーバであってもよい。また、ネットワークIF206は、安全パトロールを行う担当者の情報端末との通信を実現してもよい。
表示灯208は、例えば、LEDやランプなどが点灯する表示器である。
入出力装置210は、例えば、USBポートであり、パーキングブレーキ30、PTO装置操作レバー32、車内外用スピーカー368及びアウトリガー362とそれぞれに接続された各ケーブルを接続される。
【0031】
図4は、安全対策支援装置2の機能構成を例示する図である。
図5は、安全対策検知部403の機能構成を説明する図である。
安全対策支援装置2には、安全対策支援プログラム44がインストールされる。図4及び図5に例示するように、安全対策支援プログラム44は、状態取得部400、カバー検知部402、安全対策検知部403、判定部404、警告部406、警告手段選択部408、通知部410、制御部412、及び、通信部414を有する。
なお、安全対策支援プログラム44の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよい。また、安全対策支援プログラム44は、例えば、CD-ROMなどの記録媒体に格納されており、この記録媒体を介してインストールされる。
【0032】
状態取得部400は、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達可能な状態であることを取得する。状態取得部400は、PTOレバー32がON操作に対応する電位差を検知した場合、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達可能な状態であることを取得する。また、状態取得部400は、PTOレバー32がOFF操作に対応する電位差を検知した場合、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達不能な状態であることを取得する。状態取得部400は、PTO装置の状態を取得した取得結果を判定部404に通知する。
【0033】
カバー検知部402は、状態取得部400により取得された取得結果が、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となったことを条件として、高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となったことに対応するタイミングで、高所作業用設備36を操作する操作盤360の操作部を覆う操作カバー360Aを開扉及び閉扉したことを検知する。つまり、カバー検知部402は、高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となったことをトリガーとして所定のタイミングで操作カバー360Aの開扉及び閉扉を検知する。カバー検知部402は、高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となった時から操作カバー360Aを開扉及び閉扉したことを検知してもよいし、高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となった後に所定のタイミングで操作カバー360Aの開扉及び閉扉をしたことを検知してもよい。また、カバー検知部402は、操作カバー360Aの開閉操作を検知してもよいし、開閉状態を検知してもよい。カバー検知部402は、開閉センサ361により検知した検知結果を判定部404に通知する。
【0034】
安全対策検知部403は、高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となったことを条件として、高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となったことに対応するタイミングで、センサ及び撮影装置により取得された、安全対策の実施の状態を検知する。本例の安全対策検知部403は、高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となった時から安全対策の実施の状態を検知する。安全対策検知部403は、図5に例示したブレーキ状態検知部4030、駐車角度検知部4032、輪止め検知部4033、地切り検知部4034、フック掛け検知部4035、及び、施設検知部4036を含む。
ブレーキ状態検知部4030は、パーキングブレーキ30のON操作の状態に対応する電位差、又は、OFF操作の状態に対応する電位差を検知する。
ブレーキ状態検知部4030は、パーキングブレーキ30のON操作の状態に対応する電位差、又は、OFF操作の状態に対応する電位差を検知する。ブレーキ状態検知部4030は、検知した検知結果を判定部404に通知する
また、駐車角度検知部4032は、車体角度検知装置34により検知された、駐車時の高所作業車3の車体角度の情報を検知結果として判定部404に通知する。駐車角度検知部4032は、駐車時の高所作業車3の適正な車体角度に対応する車体角度の情報、又は、不適正な車体角度に対応する車体角度の情報を検知結果として判定部404に通知する。
【0035】
また、輪止め検知部4033は、輪止め検知装置により検知された、高所作業車3の車輪の回転方向における接地面の前後両側に設置した輪止め54の有無の情報を検知結果として判定部404に通知する。すなわち、輪止め検知部4033は、高所作業車3の車輪に輪止め54を設置したか否かの情報を検知し、検知した検知結果を判定部404に通知する。また、輪止め検知部4033は、高所作業開始前と高所作業終了後とにそれぞれ輪止め54の有無の検知し、検知した検知結果を判定部404に通知する。
また、地切り検知部4034は、地切り検知装置に検知させた、車輪が地面から離間したか否かの情報を検知結果として判定部404に通知する。
【0036】
また、フック掛け検知部4035は、フック掛け検知装置364により検知された、ランヤードフックを固定部に掛けた状態に対応する磁気情報、又は、ランヤードフックを固定部に掛けていない状態に対応する磁気情報を、検知結果として判定部404に通知する。すなわち、フック掛け検知部4035は、フック掛けを実施したか否かの情報を検知し、検知した検知結果を判定部404に通知する。
【0037】
また、施設検知部4036は、受信機720によりに受信した、工事予告看板700に設置されたビーコン710から発信された電波の受信強度を検知結果として判定部404に通知する。また、施設検知部4036は、保安施設用カメラ365により撮影された俯瞰位置からの作業現場の撮影画像から保セーフティコーン726、コーンバー727、及び矢印板728の位置関係を検知し、検知した検知結果を判定部404に通知する。
【0038】
判定部404は、操作カバー360Aを開扉及び閉扉した情報を開閉センサ361で検知し、カバー検知部402により集約し、さらに集約した結果を基に操作カバー360Aを開扉してから閉扉するまでの時間が所定の時間内であるか否かを判定する。すなわち、判定部404は、カバー検知部402により検知された操作カバー360Aを開扉及び閉扉した検知結果に基づいて、操作カバー360Aを開扉してから閉扉するまでの時間が所定の時間内であるか否かを判定する。ここで、操作カバー360Aを開扉してから閉扉するまでの時間とは、現場作業者Wが操作カバー360Aを開扉し、開扉した操作盤360にあるエンジン操作ボタンを押下後に、操作カバー360Aを閉扉するまでの作業時間であり、例えば7秒以下、好適には2秒以上5秒以下の時間内に終えることができる。よって、本例の判定部404は、操作カバー360Aを開扉してから閉扉するまでの時間が3秒以下であるか否かを判定する。判定部404は、所定の時間内であると判定した場合に、所定の時間内であると判定した判定結果を警告手段選択部408に通知する。
また、判定部404は、操作カバー360Aを開扉してから閉扉するまでの時間が所定の時間内でないと判定した場合に、さらに作業現場で作業する時刻が、所定の時間帯であるか否かを判定する。具体的には、判定部404は、作業現場で作業する時刻が日中又は夜間であるかを判定する。例えば、判定部404は、作業時刻が6時から21時まで、好ましくは7時から20時までの日中の時間帯であるか、作業時刻が19時から翌朝8時まで、好ましくは20時から翌朝7時までの夜間の時間帯であるかを判定する。判定部404は、判定結果を判定結果を警告手段選択部408に通知する。
【0039】
また、判定部404は、カバー検知部402により操作カバー360Aを開扉したことを検知したときに対応するタイミングで、安全対策検知部403より検知された検知結果に基づいて、現場での安全対策の実施の有無を判定する。判定部404は、開扉を検知したタイミングに判定してもよいし、開扉を検知した後に所定のタイミングで判定してもよい。
【0040】
また、判定部404は、ブレーキ状態検知部4030により検知された、パーキングブレーキ30の操作状態の電位差に基づいて、高所作業車3の車輪を静止状態にしたか否かを判定する。判定部404は、ブレーキ状態検知部4030がパーキングブレーキ30のON操作時の状態に対応する電位差を検知した場合、高所作業車3の車輪を静止状態にしたと判定する。また、判定部404は、パーキングブレーキ30のOFF操作時に対応する電位差を検知した場合、高所作業車3の車輪を静止状態にしていないと判定し、高所作業車3の車輪を静止状態にしていない判定結果を警告部406に通知する。
【0041】
また、判定部404は、駐車角度検知部4032により検知した、高所作業車3の駐車時の車体角度に基づいて、適正な駐車角度で駐車を実施しているか否かを判定する。例えば、判定部404は、駐車角度検知部4032が-2度以上+7度以下の車体角度での前下がり駐車であることを検知した場合、高所作業車3が適正な駐車角度での駐車を実施していると判定する。また、判定部404は、-2度未満若しくは+7度を超える角度での、前下がり駐車又は前上がり駐車であると検知した場合、適正な駐車角度での駐車を実施していないと判定し、適正な駐車角度での駐車を実施していない判定結果を警告部406及び制御部412に通知する。
【0042】
また、判定部404は、輪止め検知部4033により検知した輪止め54の有無に基づいて、輪止め54を設置したか否かを判定する。判定部404は、輪止め検知部4033が輪止め54を検知した検知結果に基づいて、輪止め54を設置したと判定する。判定部404は、輪止め54を検知していない検知結果に基づいて、輪止め54を設置していないと判定し、輪止め54を設置していない判定結果を警告部406に通知する。また、判定部404は、輪止め54の有無に加えて、車輪と輪止め54との密着度を考慮して、輪止め54の設置有無を判定してもよい。
【0043】
また、判定部404は、地切り検知部4034により検知した車輪が地面から離間したか否かの検知結果に基づいて、地切りを実施したか否かを判定する。判定部404は、地切り検知部4034が車輪が地面から離間したことを検知した場合、地切りを実施したと判定する。判定部404は、車輪が地面から離間したことを検知していない場合、地切りを実施していないと判定する。
【0044】
また、判定部404は、フック掛け検知部4035により検知したランヤードフックを固定部に掛けることによる磁気の変化に基づいて、フック掛けの実施したか否かを判定する。判定部404は、フック掛け検知部4035がランヤードフックを固定部に掛けた状態に対応する磁気情報を検知した場合、フック掛けを実施したと判定する。判定部404は、ランヤードフックを固定部に掛けていない状態に対応する磁気情報を検知した場合、フック掛けを実施していないと判定し、フック掛けを実施していない判定結果を警告部406に通知する。
【0045】
また、判定部404は、施設検知部4036が検知したビーコン710から発信された電波の受信強度に基づいて、工事予告看板700の設置する位置を判定する。判定部404は、施設検知部4036が検知した電波の受信強度が所定のしきい値以下、具体的には所定のしきい値を下回った場合に、工事予告看板700の設置位置であると判定し、工事予告看板700の設置位置である判定結果を通知部410に通知する。判定部404は、電波の受信強度が所定のしきい値以下となっていない、具体的には所定のしきい値を下回っていない場合に、工事予告看板700の設置位置でないと判定する。
【0046】
また、判定部404は、施設検知部4036が検知したビーコン710から発信された電波の受信強度に基づいて、工事予告看板700を回収したか否かを判定する。判定部404は、施設検知部4036が検知した電波の受信強度が所定のしきい値以上、具体的には所定のしきい値を上回る場合に、工事予告看板700を回収したと判定する。判定部404は、電波の受信強度が所定のしきい値以下、具体的には所定のしきい値を下回る場合に、工事予告看板700を回収してないと判定と判定し、工事予告看板700を回収していない判定結果を警告部406に通知する。
【0047】
また、判定部404は、施設検知部4036により検知したセーフティコーン726、コーンバー727、及び矢印板728の設置された位置関係に基づいて、保安施設72を設置した否かを判定する。判定部404は、セーフティコーン76、コーンバー727、及び矢印板728が高所作業車3の作業域を囲み立入禁止区域を設定するように配置されている場合、セーフティコーン726、コーンバー727、及び矢印板728を適正な位置に配置した、すなわち、保安施設72の設置を適正に実施したと判定する。また、判定部404は、セーフティコーン76、コーンバー727、及び矢印板728が高所作業車3の作業域を囲み立入禁止区域を設定するように配置されていない場合、セーフティコーン726、コーンバー727、及び矢印板728を適正な位置に配置していない、すなわち、保安施設72の設置を適正に実施していないと判定し、保安施設72を設置を適正に実施していない判定結果を警告部406に通知する。
【0048】
また、判定部404は、高所作業開始前と高所作業終了後とにそれぞれ輪止め検知部4033が検知した輪止め54の有無の検知結果に基づいて、輪止め54を回収し所定の収納位置に収納したか否かを判定する。判定部404は、高所作業開始前に輪止め検知部4033が検知した輪止め54有りの検知結果と、高所作業終了後に輪止め検知部4033が検知した輪止め54無しの検知結果とに基づいて、輪止め54を回収し所定の収納位置に収納したと判定する。また、判定部404は、高所作業開始前に輪止め検知部4033が検知した輪止め54有りの検知結果と、高所作業終了後に輪止め検知部4033が検知した輪止め54有りの検知結果とに基づいて、輪止め54を回収し所定の収納位置に収納していないと判定し、輪止め54を回収していない判定結果を警告部406に通知する。
【0049】
警告部406は、判定部404により安全対策が実施されていないと判定された判定結果に基づいて、現場作業者Wに対して現場での安全対策が実施されていない旨を警告する。警告部406は、通知装置368に警告を通知するよう指示する。警告部406は、パーキングブレーキ30の実施、及び適正な駐車角度の実施に関して警告する場合に、車内用スピーカー368Cで警告する。また、警告部406は、輪止め54の設置、地切りの実施、墜落制止用器具のランヤードフック掛けの実施、保安施設72の設置に関して警告する場合に、警告灯368A及び車外用スピーカー368Bで警告する。
また、警告部406は、判定部404により、輪止め54及び工事予告看板700の回収がされていないと判定された判定結果に基づいて、現場作業者Wに対して回収がされていない旨を警告する。警告部406は、車内用スピーカー368Cで警告する。
【0050】
警告手段選択部408は、判定部404により判定された判定結果に基づいて、操作カバー360Aを開扉してから閉扉するまでの時間が所定の時間内である場合に、高所作業車3の車外において、音による警告手段以外の警告手段を選択する。警告手段選択部408は、現場作業者Wが操作カバー360Aを開扉し、開扉した操作盤360にあるエンジン操作ボタンを押下後に、操作カバー360Aを閉扉するまでの作業時間として、例えば7秒以下であり、好適には2秒以上5秒以下である判定結果である場合に、音による警告手段以外の警告手段を選択する。本例の警告手段選択部408は、操作カバー360Aを開扉してから閉扉するまでの時間が3秒以下である場合に、高所作業車3の車外において、音による警告手段以外の警告手段として、警告灯368Aによる警告を選択する。
【0051】
また、警告手段選択部408は、作業現場で作業する時刻に基づいて、警告部406により警告する警告手段を選択する。警告手段選択部408は、作業時刻が含まれる所定の時間帯に応じて警告手段を選択する。警告手段選択部408は、作業時刻が日中の場合と夜間の場合とで警告する警告手段選択する。警告手段選択部408は、作業時刻が日中の場合に、光及び音による警告手段を選択し、作業時刻が夜間の場合に、音による警告手段以外の警告手段、つまり光による警告手段を選択する。本例の警告手段選択部408は、作業時刻が7時から20時まで日中の時間帯ある場合に、警告灯368A及び車外用スピーカー368Bによる警告手段を選択し、作業時刻が20時から翌朝7時までの夜間の時間帯である場合に、警告灯368Aによる警告手段を選択する。
【0052】
通知部410は、通知装置368に工事予告看板700の設置位置を通知するよう指示し、工事予告看板700が高所作業車3から所定の距離離間したときに対応するタイミングで、工事予告看板700を設置する位置を通知する。通知部410は、判定部404が工事予告看板700の設置する位置であると判定した場合に、工事予告看板700を設置する位置となったタイミングで車外用スピーカー368Bで通知する。高所作業車3と工事予告看板700との離間距離は、約50m以上約300m以下の範囲で適宜設定でき、通知部410は、約50m以上約300m以下の範囲のうち、設定された所定の離間距離となったタイミングで通知する。また、通知部410は、高所作業車3の前後方向にそれぞれ設置される工事予告看板700A及び70Bについて、所定の離間距離となったタイミングでそれぞれ位置を通知する。本例の通知部410は、高所作業車3から前方約50mの位置に工事予告看板700Aを、高所作業車3から後方約50mの位置に工事予告看板700Bをそれぞれ設置したタイミングで、工事予告看板700A及び70Bの設置位置について車外用スピーカー368Bで通知する。
【0053】
制御部412は、判定部404により、少なくとも輪止め54の設置が実施されていない判定結果に基づいて、アウトリガー362の張り出しを制限するよう制御する。制御部412は、輪止め54の設置が実施されていない場合に、操作盤360にあるエンジン操作ボタンの操作を操作不能とするよう制御する。また、制御部412は、輪止め54の設置が実施された場合に、操作盤360にあるエンジン操作ボタンの操作を操作可能とするよう制御する。
【0054】
通信部414は、判定部404により判定された、安全対策の実施したか否かの判定結果を収集し、収集した安全対策の実施に関する判定結果を管理サーバ9に送信する。通信部414は、パーキングブレーキ30の実施、適正な駐車角度の実施、輪止め54の設置、地切りの実施、ランヤードフック掛けの実施、及び施設7(標示施設70及び保安施設72)の設置を実施したか否かの判定結果を管理サーバ9に送信する。通信部414は、安全対策の実施に関する判定結果を管理サーバ9に送信するタイミングとして、例えば、5秒間隔に1回の間隔で今現在の安全対策の実施に関する判定結果をリアルタイムで管理サーバ9に送信してもよいし、輪止め54の設置、地切りの実施、ランヤードフック掛けの実施、及び、施設7の設置の、各安全対策の実施を全て判定した後に、全ての判定結果を管理サーバ9に送信してもよい。また、通信部414は、それぞれの安全対策の実施を判定したタイミングで、その判定結果を管理サーバ9に送信してもよい。
また、通信部414は、判定部404により撮影画像を用いて安全対策の実施を判定した場合、その判定結果のみを送信してもよいし、撮影画像と判定結果とを関連付けてて送信してもよい。本例の通信部414は、安全対策の実施に関する判定結果のみを管理サーバ9に送信する。
【0055】
次に、図6図11を参照し、安全対策支援処理を説明する。
図6は、安全対策支援処理(S10)を説明するフローチャートである。
図7は、安全対策支援処理(S20)を説明するフローチャートである。
図8は、安全対策支援処理(S30)を説明するフローチャートである。
図9は、安全対策支援処理(S40)を説明するフローチャートである。
図10は、安全対策支援処理(S50)を説明するフローチャートである。
図11は、安全対策支援処理(S60)を説明するフローチャートである。
現場作業者Wは、高所作業車3で作業現場に到着し、作業現場に高所作業車3を駐車する。そして、現場作業者Wは、高所作業車3を駐車した後、車輪を静止状態とするためのパーキングブレーキ30を掛けるレバー操作(ON操作)を行う。その後、現場作業者Wは、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達するため、PTO装置を駆動するためのPTOレバー32のレバー操作(ON操作)を行う。安全対策支援処理(S10)は、PTOレバー32のON操作を行うことにより、図6に例示する安全対策支援処理(S10)を開始する。そして、安全対策支援処理(S10)を行った後に、図7に例示する安全対策支援処理(S20)、図8に例示する安全対策支援処理(S30)、図9に例示する安全対策支援処理(S40)、図10に例示する安全対策支援処理(S50)、及び、図11に例示する安全対策支援処理(S60)を開始する。安全対策支援処理(S20~S60)は、実行するタイミングとして、直列に処理してもよいし、並列に処理してもよく、本例では並列に処理する。
【0056】
図6に例示するように、ステップ100(S100)において、状態取得部400は、現場作業者WがPTOレバー32をON操作にした場合に、PTOレバー32のON操作時に対応する電位差を取得する。すなわち、状態取得部400は、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達可能な状態であることを取得する。また、状態取得部400は、現場作業者WがPTOレバー32をOFF操作にした場合に、PTOレバー32のOFF操作時に対応する電位差を取得する。すなわち、状態取得部400は、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達不能な状態であることを取得する。
【0057】
ステップ102(S102)において、判定部404は、状態取得部400により取得された取得結果がPTOレバー32をON操作時に対応する電位差である場合に、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達可能な状態であると判定し、本処理はS104の処理に移行する。また、判定部404は、状態取得部400により取得された取得結果がPTOレバー32をOFF操作時に対応する電位差である場合に、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達不能な状態であること判定し、本処理はS100の処理に移行する。
【0058】
ステップ104(S104)において、ブレーキ状態検知部4030は、パーキングブレーキ30のON/OFF操作時の状態に対応する電位差を検知結果として取得する。また、駐車角度検知部4032は、駐車時の高所作業車3の車体角度の情報を検知結果として取得する。また、輪止め検知部4033は、輪止め54の有無の情報を検知結果として取得する。また、地切り検知部4034は、車輪が地面から離間したか否かの情報を検知結果として取得する。また、フック掛け検知部4035は、ランヤードフックを固定部に掛けた状態に対応する磁気情報、又は、ランヤードフックを固定部に掛けていない状態に対応する磁気情報を検知結果として取得する。また、施設検知部4036は、工事予告看板700に設置されたビーコン710から発信された電波の受信強度を検知する。また、施設検知部4036は、保安施設用カメラ365により撮影された俯瞰位置からの作業現場の撮影画像からセーフティコーン72、コーンバー727、及び矢印板728を含む保安施設72の位置関係を検知する。
そして、ブレーキ状態検知部4030、駐車角度検知部4032、輪止め検知部4033、地切り検知部4034、フック掛け検知部4035、及び、施設検知部4036は、検知した検知結果を判定部404に通知する。
【0059】
ステップ106(S106)において、判定部404は、ブレーキ状態検知部4030がパーキングブレーキ30のON操作時に対応する電位差を検知した場合、パーキングブレーキ30がON操作の状態であると判定し、本処理はS110の処理に移行する。また、判定部404は、ブレーキ状態検知部4030がパーキングブレーキ30のOFF操作時の電位差を検知した場合、パーキングブレーキ30がOFF操作の状態であると判定し、本処理はS108の処理に移行する。
【0060】
ステップ108(S108)において、警告部406は、パーキングブレーキ30がOFF操作の状態である判定結果に基づいて、車内用スピーカー368Cで、音声による警告通知を行う。警告部406は、高所作業車3に乗車している現場作業者Wに対してパーキングブレーキ30をON操作にして車輪を静止状態とする旨を通知する。
【0061】
ステップ110(S110)において、判定部404は、駐車角度検知部4032が-2度以上+7度以下の車体角度での前下がり駐車であることを検知した場合、高所作業車3の適正な駐車角度での駐車を実施していると判定し、本処理はS114の処理に移行する。また、判定部404は、-2度未満若しくは+7度を超える角度での前下がり駐車、又は、前上がり駐車であると検知した場合、適正な駐車角度での駐車を実施していないと判定し、本処理はS112の処理に移行する。
【0062】
ステップ112(S112)において、警告部406は、適正な駐車角度での駐車を実施していない判定結果に基づいて、車内用スピーカー368Cで音声による警告通知を行う。警告部406は、高所作業車3に乗車している現場作業者Wに対して-2度以上+7度以下の車体角度での前下がり駐車を実施する旨を通知する。また警告部406は、現段階での高所作業車3の駐車角度を通知してもよい。
【0063】
ステップ114(S114)において、通信部414は、パーキングブレーキ30の実施、及び、適正な駐車角度の実施をしたか否かの判定結果を管理サーバ9に送信する。なお、通信部414は、パーキングブレーキ30の実施の判定結果、又は、適正な駐車角度の実施の判定結果がそれぞれ出たタイミングで、判定結果を管理サーバ9に送信してもよし、パーキングブレーキ30の実施の判定結果、及び、適正な駐車角度の実施の判定結果が出揃ったタイミングで、判定結果を管理サーバ9に送信してもよい。
また、本例の安全対策支援処理(S10)では、パーキングブレーキ30の実施の判定及び警告や、適正な駐車角度の実施の判定及び警告を一連の流れで行っているが、別流してもよい。
このように、本処理によれば、現場作業者Wにパーキングブレーキ30の実施、及び、適正な駐車角度の実施をさせると共に、これら実施結果を管理サーバ9に送信し安全対策把握担当者Mに通知することができる。
【0064】
図7に例示するように、ステップ200(S200)において、カバー検知部402は、状態取得部400により取得された取得結果が高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となった時から操作カバー360Aを開扉したことを検知し、検知した検知結果を判定部404に通知する。
【0065】
ステップ202(S202)において、判定部404は、操作カバー360Aを開扉したことに対応するタイミングで、カバー検知部402により検知された検知結果が操作カバー360Aを開扉した検知結果である場合に、操作カバー360Aを開扉したと判定し、本処理はS204の処理に移行する。また、判定部404は、操作カバー360Aを閉扉した検知結果である場合に、操作カバー360Aを開扉していないと判定し、本処理はS200の処理に移行する。
【0066】
ステップ204(S204)において、カバー検知部402は、操作カバー360Aを閉扉したことを検知し、検知した検知結果を判定部404に通知する。
【0067】
ステップ206(S206)において、判定部404は、カバー検知部402により検知された検知結果が操作カバー360Aを閉扉した検知結果である場合に、操作カバー360Aを閉扉したと判定し、本処理はS208の処理に移行する。また、判定部404は、操作カバー360Aを閉扉していない検知結果である場合に、操作カバー360Aを閉扉していないと判定し、本処理はS204の処理に移行する。
【0068】
ステップ208(S208)において、判定部404は、カバー検知部402により検知された操作カバー360Aの開扉及び閉扉した検知結果に基づいて、操作カバー360Aを開扉してから閉扉するまでの時間が3秒以下であるか否かを判定する。判定部404は、3秒以下の所定の時間内での作業時間であると判定した場合に、本処理はS212の処理に移行し、3秒を超える作業時間であると判定した場合に、本処理はS210の処理に移行する。
【0069】
ステップ210(S210)において、判定部404は、操作カバー360Aを開扉してから閉扉するまでの時間が3秒を超える時間であると判定した場合に、作業現場で作業する時刻が7時から20時までの日中の時間帯か、20時から翌朝7時までの夜間の時間帯かを判定する。判定部404は、作業現場で作業する時刻が日中であると判定した場合に、本処理はS214の処理に移行し、夜間であると判定した場合に、本処理はS212の処理に移行する。
【0070】
ステップ212(S212)において、警告手段選択部408は、判定部404により操作カバー360Aの開閉作業時間が3秒以下の作業時間であると判定された場合、又は、判定部404により作業現場で作業する時刻が夜間であると判定された場合に、高所作業車3の車外において、警告灯368Aによる警告手段を選択し、選択した警告手段を警告部406に通知する。
【0071】
ステップ214(S214)において、警告手段選択部408は、判定部404により作業時刻が日中であると判定された場合に、警告灯368A及び車外用スピーカー368Bによる警告手段を選択し、選択した警告手段を警告部406に通知する。
このように、本処理によれば、警告灯368A及び車外用スピーカー368Bを時間帯に応じて使い分けることで、例えば作業現場の近傍にある住宅に対して騒音問題等が生じないよう配慮しながら作業することができる。
【0072】
図8に例示するように、ステップ300(S300)において、カバー検知部402は、状態取得部400により取得された取得結果が高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となった時から操作カバー360Aを開扉したことを検知し、検知した検知結果を判定部404に通知する。
【0073】
ステップ302(S302)において、判定部404は、操作カバー360Aを開扉したことに対応するタイミングで、カバー検知部402により検知された検知結果が操作カバー360Aを開扉した検知結果である場合に、操作カバー360Aを開扉したと判定し、本処理はS304の処理に移行する。また、判定部404は、操作カバー360Aを開扉していない検知結果である場合に、操作カバー360Aを開扉していないと判定し、本処理はS300の処理に移行する。
【0074】
ステップ304(S304)において、判定部404は、輪止め検知部4033が輪め54を検知した検知結果に基づいて、輪止め54を設置したと判定した場合、本処理はS306の処理に移行する。また、判定部404は、輪止め検知部4033が輪止め54を検知していない検知結果に基づいて、輪止め54を設置していないと判定した場合、本処理はS308の処理に移行する。
【0075】
ステップ306(S306)において、制御部412は、判定部404により輪止め54の設置が実施された判定結果に基づいて、操作盤360にあるエンジン操作ボタンの操作を操作可能とするよう制御する。これにより、現場作業者Wは、アウトリガー362の張り出しを行うことができる。
【0076】
ステップ308(S308)において、警告部406は、判定部404によりに判定された輪止め54の設置をが実施した判定結果に基づいて、輪止め54を設置していない旨を警告する。警告部406は、安全対策支援処理(S20)により選択された警告灯368Aのみでの警告、又は、警告灯368Aと車外用スピーカー368Bとを併用した警告を行う。
【0077】
ステップ310(S310)において、制御部412は、判定部404に判定された輪止め54の設置が実施されていない判定結果に基づいて、アウトリガー362の張り出しを制限するよう制御する。具体的には、制御部412は、輪止め54の設置が実施されていない場合に、操作盤360にあるエンジン操作ボタンの操作を操作不能とするよう制御する。これにより、現場作業者Wが操作盤360でアウトリガー362の張り出し操作を行っても、アウトリガー362の張り出し操作を行えない。
【0078】
ステップ312(S312)において、輪止め検知部4033は、高所作業車3の左後輪に輪止め54A及び右後輪に輪止め54Bをそれぞれ設置したか否かを再度検知し、検知結果を判定部404に通知する。
【0079】
ステップ314(S314)において、判定部404は、地切り検知部4034により検知された、車輪が地面から離間したか否かの検知結果に基づいて、地切りを実施したか否かを判定する。判定部404は、地切り検知部4034が車輪が地面から離間したことを検知した場合、地切りを実施したと判定し、本処理はS318の処理に移行する。また判定部404は、車輪が地面から離間したことを検知していない場合、地切りを実施していないと判定し、本処理はS316の処理に移行する。
【0080】
ステップ316(S316)において、地切り検知部4034は、車輪が地面から離間したか否かを再度検知し、検知結果を判定部404に通知する。
【0081】
ステップ318(S318)において、通信部414は、輪止め54の実施、及び、地切りの実施をしたか否かの判定結果を管理サーバ9に送信する。なお、通信部414は、輪止め54の実施の判定結果、又は、地切りの実施の判定結果がそれぞれ出たタイミングで、判定結果を管理サーバ9に送信してもよし、輪止め54の実施の判定結果、及び、地切りの実施の判定結果が出揃ったタイミングで、判定結果を管理サーバ9に送信してもよい。
また、本例の安全対策支援処理(S30)では、輪止め54の実施の判定及び警告や、地切りの実施の判定を一連の流れで行っているが、別流してもよい。
このように、本処理によれば、現場作業者Wに輪止め54の設置、及び、適正な地切りを実施させると共に、これら実施結果を管理サーバ9に送信し安全対策把握担当者Mに通知することができる。
【0082】
図9に例示するように、ステップ400(S400)において、カバー検知部402は、状態取得部400により取得された取得結果が高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となった時から、操作カバー360Aを開扉したことを検知し、検知した検知結果を判定部404に通知する。
【0083】
ステップ402(S402)において、判定部404は、操作カバー360Aを開扉したことに対応するタイミングで、カバー検知部402により検知された検知結果が操作カバー360Aを開扉した検知結果である場合に、操作カバー360Aを開扉したと判定し、本処理はS404の処理に移行する。また、判定部404は、操作カバー360Aを開扉していない検知結果である場合に、操作カバー360Aを開扉していないと判定し、本処理はS400の処理に移行する。
【0084】
ステップ404(S404)において、判定部404は、施設検知部4036が検知した電波の受信強度が所定のしきい値を下回った場合に、工事予告看板700を設置する位置が適正であると判定し、本処理はS408の処理に移行する。また、判定部404は、施設検知部4036が検知した電波の受信強度が所定のしきい値を下回っていない場合に、工事予告看板700を設置する位置が適正でないと判定し、本処理はS406の処理に移行する。
【0085】
ステップ406(S406)において、警告部406は、判定部404により工事予告看板700を設置する位置が適正でないと判定された判定結果に基づいて、工事予告看板700の設置の実施をしていない旨を警告する。警告部406は、安全対策支援処理(S20)により選択された警告灯368Aのみでの警告、又は、警告灯368Aと車外用スピーカー368Bとを併用した警告を行う。
【0086】
ステップ408(S408)において、通知部410は、高所作業車3から前方約50mの位置に工事予告看板700Aを離間させたタイミングで、車外用スピーカー368Bから音で通知する。また同様に、通知部410は、高所作業車3から後方約50mの位置に工事予告看板700Bを離間させたタイミングで、車外用スピーカー368Bから音で通知する。
【0087】
ステップ410(S410)において、判定部404は、施設検知部4036により検知したセーフティコーン726、コーンバー727、及び矢印板728の位置関係に基づいて、高所作業車3の作業域(立入禁止区域も兼務)を囲むように設置されている、すなわち保安施設72の設置を実施したと判定した場合に、本処理はS414に移行する。判定部404は、高所作業車3の作業域(立入禁止区域も兼務)を囲むように設置されていない、すなわち保安施設72の設置を実施していないと判定した場合に、本処理はS412に移行する。
【0088】
ステップ412(S412)において、警告部406は、判定部404により工事予告看板700を設置する位置が適正でないと判定された判定結果に基づいて、工事予告看板700の設置の実施をしていない旨を警告する。警告部406は、安全対策支援処理(S20)により選択された警告灯368Aのみでの警告、又は、警告灯368Aと車外用スピーカー368Bとを併用した警告を行う。
【0089】
ステップ414(S414)において、通信部414は、工事予告看板700の適正位置での設置、及び、セーフティコーン726等の適正位置での設置を、それぞれ実施したか否かの判定結果を管理サーバ9に送信する。なお、通信部414は、標示施設70の実施の判定結果、及び、保安施設72の実施の判定結果がそれぞれ出たタイミングで、判定結果を管理サーバ9に送信してもよし、標示施設70の実施の判定結果、及び、保安施設72の実施の判定結果が出揃ったタイミングで、判定結果を管理サーバ9に送信してもよい。
また、本例の安全対策支援処理(S40)では、標示施設70の実施の判定及び警告や、保安施設72の実施の判定を一連の流れで行っているが、別流してもよい。
このように、本処理によれば、現場作業者Wに工事予告看板700の適正位置での設置、及び、セーフティコーン726等の適正位置を実施させると共に、これら実施結果を管理サーバ9に送信し安全対策把握担当者Mに通知することができる。
【0090】
図10に例示するように、ステップ500(S500)において、カバー検知部402は、状態取得部400により取得された取得結果が高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となった時から操作カバー360Aを開扉したことを検知し、検知した検知結果を判定部404に通知する。
【0091】
ステップ502(S502)において、判定部404は、操作カバー360Aを開扉したことに対応するタイミングで、カバー検知部402により検知された検知結果が操作カバー360Aを開扉した検知結果である場合に、操作カバー360Aを開扉したと判定し、本処理はS504の処理に移行する。また、判定部404は、操作カバー360Aを開扉していない検知結果である場合に、操作カバー360Aを開扉していないと判定し、本処理はS500の処理に移行する。
【0092】
ステップ504(S504)において、判定部404は、フック掛け検知部4035によりランヤードフックを固定部に掛けた状態に対応する磁気情報を検知した場合に、フック掛けの実施したと判定し、本処理はS508に移行する。判定部404は、ランヤードフックを固定部に掛けていない状態に対応する磁気情報を検知した場合に、フック掛けの実施していないと判定し、本処理はS506に移行する。
【0093】
ステップ506(S506)において、警告部406は、判定部404によりフック掛けの実施していないと判定された判定結果に基づいて、フック掛けの実施していない旨を警告する。警告部406は、安全対策支援処理(S20)により選択された警告灯368Aのみでの警告、又は、警告灯368Aと車外用スピーカー368Bとを併用した警告してもよいし、車外用スピーカー368Bで警告してもよい。
ステップ508(S508)において、通信部414は、フック掛けを実施したか否かの判定結果を管理サーバ9に送信する。
このように、本処理によれば、現場作業者Wにフック掛けを実施させると共に、フック掛けを実施結果を管理サーバ9に送信し安全対策把握担当者Mに通知することができる。
【0094】
図11に例示するように、ステップ600(S600)において、カバー検知部402は、状態取得部400により取得された取得結果が高所作業用設備36に動力を伝達可能な状態となった時から、操作カバー360Aを開扉したことを検知し、検知した検知結果を判定部404に通知する。
【0095】
ステップ602(S602)において、判定部404は、操作カバー360Aを開扉したことに対応するタイミングで、カバー検知部402により検知された検知結果が操作カバー360Aを開扉した検知結果である場合に、操作カバー360Aを開扉したと判定し、本処理はS604の処理に移行する。また、判定部404は、操作カバー360Aを開扉していない検知結果である場合に、操作カバー360Aを開扉していないと判定し、本処理はS600の処理に移行する。
【0096】
ステップ604(S604)において、状態取得部400は、現場作業者WがPTOレバー32をOFF操作にした場合に、PTOレバー32のOFF操作時に対応する電位差を取得する。すなわち、状態取得部400は、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達不能な状態であることを取得する。
【0097】
ステップ606(S606)において、判定部404は、状態取得部400により取得された取得結果がPTOレバー32をOFF操作時に対応する電位差である場合に、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達不能な状態であること判定し、本処理はS608の処理に移行する。また、判定部404は、状態取得部400により取得された取得結果がPTOレバー32をON操作時に対応する電位差である場合に、高所作業車3の走行装置の動力を高所作業用設備36に伝達可能な状態であると判定し、本処理はS604の処理に移行する。
【0098】
ステップ608(S608)において、輪止め検知部4033は、高所作業車3の左後輪に設置された一対の輪止め54A及び右後輪に設置された一対の輪止め54Bの有無を検知する。
【0099】
ステップ610(S610)において、判定部404は、安全対策支援処理(S30)にて輪止め検知部4033が検知した輪止め54の有無の検知結果と、本処理S608にて輪止め検知部4033が検知した輪止め54の有無の検知結果とに基づいて、輪止め54を回収し所定の収納位置に収納したか否かを判定する。判定部404は、安全対策支援処理(S30)にて輪止め検知部4033が検知した輪止め54有りの検知結果と、本処理S608にて輪止め検知部4033が検知した輪止め54無しの検知結果とに基づいて、輪止め54を回収し所定の収納位置に収納したと判定し、本処理はS614の処理に移行する。また、判定部404は、安全対策支援処理(S30)にて輪止め検知部4033が検知した輪止め54有りの検知結果と、本処理S608にて輪止め検知部4033が検知した輪止め54有りの検知結果とに基づいて、輪止め54を回収し所定の収納位置に収納していないと判定し、本処理はS612の処理に移行する。
【0100】
ステップ612(S612)において、警告部406は、判定部404により輪止め54を回収し所定の収納位置に収納していないと判定された判定結果に基づいて、輪止め54を回収し所定の収納位置に収納していない旨を車内用スピーカー368Cで警告する。
【0101】
ステップ614(S614)において、施設検知部4036は、工事予告看板700に設置されたビーコン710から発信された電波の受信強度を検知する。
ステップ616(S616)において、判定部404は、施設検知部4036が検知した電波の受信強度が所定のしきい値を上回る場合に、工事予告看板700を回収したと判定し、本処理はS620の処理に移行する。また、判定部404は、施設検知部4036が検知した電波の受信強度が所定のしきい値を下回る場合に、工事予告看板700を回収していないと判定し、本処理はS618の処理に移行する。
【0102】
ステップ618(S618)において、警告部406は、判定部404により工事予告看板700を回収していないと判定された判定結果に基づいて、工事予告看板700を回収していない旨を車内用スピーカー368Cで警告する。
【0103】
ステップ620(S620)において、カバー検知部402は、操作カバー360Aを閉扉したことを検知し、検知した検知結果を判定部404に通知する。
ステップ622(S622)において、判定部404は、カバー検知部402により検知された検知結果が操作カバー360Aを閉扉した検知結果である場合に、操作カバー360Aを閉扉したと判定し、本処理は終了する。また、判定部404は、操作カバー360Aを閉扉していない検知結果である場合に、操作カバー360Aを閉扉していないと判定し、本処理はS624の処理に移行する。
【0104】
ステップ624(S624)において、警告部406は、判定部404により操作カバー360Aを閉扉していないと判定された判定結果に基づいて、操作カバー360Aが開扉した状態である旨を車内用スピーカー368Cで警告する。
このように、本処理によれば、輪止め54および工事予告看板700の未回収と、操作カバー360Aの閉め忘れとを防止することができる。
【0105】
以上説明したように、本実施形態における安全対策支援システム1によれば、アウトリガーの張り出し及びジャッキアップ操作前の段階で、現場での安全対策(パーキングブレーキ30の実施、適正な駐車角度の実施、標示施設70及び保安施設72の設置、並びに、輪止め54の設置)を現場作業者に対して実施させることができる。また、輪止め54の設置を徹底させることができるため、高所作業車の逸走防止を行うことができる。
【0106】
また、安全対策支援システム1によれば、現状、安全対策の確認として現場作業者Wが実施している、駐車時の車体角度を示す角度計の写真撮影、輪止めの設置状況の写真撮影、工事予告看板の設置状況の撮影が不要とすること、かつ、これらの実施状況写真を安全対策把握担当者Mに通知する作業時間の削減することが期待できる。
また、安全対策支援システム1によれば、現場で作業している高所作業車が複数台ある場合であっても、各高所作業車毎に安全対策の実施確認が取れるため、よりきめ細かい安全対策の実施状況を把握することが期待できる。さらに、現場作業者Wと安全対策把握担当者Mとの電話連絡による確認も不要となることが期待でき、安全作業把握者Mの業務効率化も向上する。
また、安全対策支援システム1の一部の機能を、宅配等のトラックの安全対策にも流用してもよい。
【0107】
(変形例1)
上記実施形態の制御部412は、輪止め54の設置が実施されていない判定結果に基づいて、アウトリガー362の張り出しを制限するよう制御したが、これに限定するものではなく、制御部412は、輪止め54の設置の実施に加えて、パーキングブレーキ30の実施、適正な駐車角度の実施、並びに、標示施設70及び保安施設72の設置の実施がされていない判定結果に基づいて、アウトリガー362の張り出しを制限するよう構成してもよい。これにより、アウトリガーの張り出し及びジャッキアップ操作前の段階で、パーキングブレーキ30の実施、適正な駐車角度の実施、標示施設70及び保安施設72の設置、並びに、輪止め54の設置の安全対策を実施させることができる。
【0108】
(変形例2)
上記実施形態の安全対策支援処理(S60)のS616において、判定部404は、施設検知部4036が検知した電波の受信強度に基づいて、工事予告看板700を回収したか否かを判定したが、これに限定するものではない。例えば、判定部404は、高所作業開始前と高所作業終了後とにそれぞれ施設検知部4036が検知したビーコン710から発信された電波の受信強度の検知結果に基づいて、工事予告看板700を回収したか否かを判定してもよい。具体的には、判定部404は、安全対策支援処理(S40)にて施設検知部4036が検知したビーコン710から発信された電波の受信強度の検知結果と、本処理にて施設検知部4036が検知したビーコン710から発信された電波の受信強度の検知結果とに基づいて、工事予告看板700を回収したか否かを判定する。判定部404は、安全対策支援処理(S40)にて施設検知部4036が検知したビーコン710から電波の受信強度より、本処理S614にて施設検知部4036が検知したビーコン710から電波の受信強度の方が電波の受信強度が強い場合に、工事予告看板700を回収したと判定する。また、安全対策支援処理(S40)にて施設検知部4036が検知したビーコン710から電波の受信強度より、本処理S614にて施設検知部4036が検知したビーコン710から電波の受信強度の方が、電波の受信強度が弱い又は変化しない場合に、工事予告看板700を回収していないと判定する。
このように、高所作業開始前と高所作業終了後との検知結果の差分から工事予告看板700を回収したか否かを判定することができる。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、これらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。
【符号の説明】
【0109】
1…安全対策支援システム
2…安全対策支援装置
3…高所作業車
7…施設
70…標示施設
700…工事予告看板
710…ビーコン
720…受信機
72…保安施設
726…セーフティコーン
727…コーンバー
728…矢印板
8…ネットワーク
9…管理サーバ
30…パーキングブレーキ
32…PTO装置操作レバー
34…車体角度検知装置
36…高所作業用設備
360…操作盤
360A…操作カバー
361…操作カバー開閉センサ
362…アウトリガー
364…フック掛け検知装置
365…保安施設用カメラ
368…通知装置
368A…警告灯
368B…車外用スピーカー
368C…車内用スピーカー
400…状態取得部
402…カバー検知部
403…安全対策検知部
4030…ブレーキ状態検知部
4032…駐車角度検知部
4033…輪止め検知部
4034…地切り検知部
4035…フック掛け検知部
4036…保安施設検知部
405…判定部
406…警告部
408…警告手段選択部
410…通知部
412…制御部
414…通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11