特開 2023-12223 インクジェット印刷装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023012223

(43)【公開日】2023-01-25

(54)【発明の名称】インクジェット印刷装置

(51)【国際特許分類】

   B41J 2/165 20060101AFI20230118BHJP

【ＦＩ】

B41J2/165 303

【審査請求】未請求

【請求項の数】1

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021115735

(22)【出願日】2021-07-13

(71)【出願人】

【識別番号】000250502

【氏名又は名称】理想科学工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100083806

【弁理士】

【氏名又は名称】三好 秀和

(74)【代理人】

【識別番号】100101247

【弁理士】

【氏名又は名称】高橋 俊一

(74)【代理人】

【識別番号】100095500

【弁理士】

【氏名又は名称】伊藤 正和

(72)【発明者】

【氏名】大槻 正明

(72)【発明者】

【氏名】小西 裕子

【テーマコード（参考）】

2C056

【Ｆターム（参考）】

2C056EA12

2C056EC54

2C056EC56

2C056EE18

2C056JB04

2C056JB07

2C056JB08

2C056KB16

(57)【要約】

【課題】ノズル面上で混色したインクが他色のノズルに侵入することで生じる画像乱れを防止できるインクジェット印刷装置を提供する。
【解決手段】複数のノズル列Ｙ６，Ｇ６を持つインクジェットヘッドＹ６Ｇ６と、インクジェットヘッドＹ６Ｇ６のノズル列Ｙ６，Ｇ６の間の表面に先端が接触するように配置される２つのブレード３０，３１と、２つのブレード３０，３１のそれぞれを離間する方向に移動させて、ノズル列Ｙ６，Ｇ６の表面を清掃した後に元の位置に戻すワイプ部２０と、２つのブレード３０，３１を、元の位置に戻した状態でインクジェットヘッドの間で移動させるブレード移動部１０とを備え、ワイプ部２０は、インクジェットヘッドＹ６Ｇ６と対向しない位置で２つのブレード３０，３１を元の位置に戻す。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

複数のノズル列を持つインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドのノズル列の間の表面に先端が接触するように配置される２つのブレードと、
前記２つのブレードのそれぞれを離間する方向に移動させて、前記ノズル列の表面を清掃した後に元の位置に戻すワイプ部と、
前記２つのブレードを、前記元の位置に戻した状態で前記インクジェットヘッドの間で移動させるブレード移動部と
を備えるインクジェット印刷装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、インクジェット印刷装置に関する。

【背景技術】

【0002】

インクジェット印刷装置では、インク吐出不良を解消する目的で、インクジェットヘッドのクリーニングが定期的に行われる。例えば、インクジェットヘッドのノズルからインクを強制的に排出させるパージを行った後に、ワイパでインクジェットヘッドのノズル面をワイプすることによりクリーニングが行われる。

【0003】

特許文献１は、ワイプする下流側のノズルが汚れることを防止するために、くの字形状のブレードとし、そのくの字の頂点を移動方向の先端とする技術を開示している。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２００４－１６７９２８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかしながら、特許文献１に開示された技術では、インクの顔料固着物が下流のノズルに押し込まれ、インク吐出不良に至る可能性がある。また、複数色のノズル列（例えば、グレー、イエロー）を備えたインクジェットヘッドでは、ノズル面上で混色したインクが他色のノズルに侵入することで画像が乱れるという課題がある。

【0006】

本発明は上記に鑑みてなされたもので、ノズル面上で混色したインクが他色のノズルに侵入することで生じる画像乱れを防止できるインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

上記目的を達成するため、本発明の実施形態に係るインクジェット印刷装置は、複数のノズル列を持つインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドのノズル列の間の表面に先端が接触するように配置される２つのブレードと、前記２つのブレードのそれぞれを離間する方向に移動させて、前記ノズル列の表面を清掃した後に元の位置に戻すワイプ部と、前記２つのブレードを、前記元の位置に戻した状態で前記インクジェットヘッドの間で移動させるブレード移動部とを備える。

【発明の効果】

【0008】

本発明によれば、ノズル面上で混色したインクが他色のノズルに侵入することで生じる画像乱れを防止できるインクジェット印刷装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット印刷装置のブレード、ワイプ部、及びブレード移動部の構造を模式的に示す平面図である。

【図2】図１に示すＡ－Ａ線で切断した断面を模式的に示す図である。

【図3】図２に示すブレードの位置が離間する方向に変化する様子を模式的に示す平面透視図である。

【図4】インクジェットヘッドの下を移動するブレードの軌跡を模式的に示す図である。

【図5】図１に示すインクジェット印刷装置のインクジェットヘッドのクリーニング動作の動作手順を示すフローチャートである。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。

【0011】

図１は、本発明の実施形態に係るインクジェット印刷装置のブレード、ワイプ部、及びブレード移動部の構造を模式的に示す平面図である。本実施形態に係るインクジェット印刷装置１００は、インクジェットヘッドからインクを吐出させて印刷媒体に画像を印刷する印刷装置である。

【0012】

インクジェット印刷装置１００は、インクをノズルから吐出させる複数のインクジェットヘッド、及び印刷媒体を搬送する搬送部等の一般的な機能構成部を備える。図１において、それらの機能構成部の表記は省略している。

【0013】

図１は、インクジェット印刷装置１００のブレード移動部１０、ワイプ部２０、及びブレード３０，３１を模式的に示す平面図である。図１において、左右を左右方向、上下を前後方向、手前を上方向と定義する。

【0014】

ブレード移動部１０、ワイプ部２０、及びブレード３０，３１は、一体となって左右方向と上下方向に移動可能である。インクジェットヘッドのクリーニングを行う場合は、インクジェットヘッド（図示せず）の下側（クリーニング位置）に、ブレード移動部１０、ワイプ部２０、及びブレード３０，３１のそれぞれが配置される。

【0015】

印刷する場合、ブレード移動部１０、ワイプ部２０、及びブレード３０，３１は、インクジェットヘッドと上下方向で重ならない退避位置に移動させられる。これらの構成が、上記のクリーニング位置と退避位置の間を移動する点は、従来のインクジェット印刷装置と同じである。

【0016】

（ブレード移動部）
図１に示すように、ブレード移動部１０は、ワイプ部２０を、左右方向と前後方法に移動可能に保持する。

【0017】

ブレード移動部１０は、２つの左右レール支持部１１，１２、２つの左右方向レール１４，１５、前後レール支持部１３、前後方向レール１６、及びワイプ支持部１７を備える。

【0018】

左右レール支持部１１，１２のそれぞれは、前後レール支持部１３と同じ向きで左右方向に並列に配置される複数のヘッドユニットの前後方向の長さよりも少し大きな間隔を空けて配置される。左右レール支持部１１，１２の左右方向の長さは、並列に配置される複数のヘッドユニットの左右方向の長さよりも大きい。

【0019】

ヘッドユニットは、例えば６個のインクジェットヘッドで構成される。詳しくは後述する。

【0020】

左右レール支持部１１，１２の上には、左右方向レール１４，１５がそれぞれ配置される。左右方向レール１４，１５の左右方向の長さは、左右レール支持部１１，１２の長さと凡そ同じである。

【0021】

前後レール支持部１３の前後方向の両端部は、前後レール支持部１３が移動できるように左右方向レール１４，１５の上に係合されている。よって、前後レール支持部１３は、その駆動部（図示せず）によって左右方向に移動可能である。

【0022】

前後レール支持部１３の上には前後方向レール１６が配置される。そして、前後方向レール１６の上にワイプ支持部１７が移動できるように係止されている。よって、ワイプ支持部１７は、その駆動部（図示せず）によって前後方向に移動可能である。

【0023】

ワイプ支持部１７は、前後レール支持部１３の延伸方向と直交する向きでワイプ部２０を保持する。ワイプ部２０の平面形状は長方形であり、その中心部分に長方形の窓２１が開けられている。窓２１の長手方向と直交する向きに２つのブレード３０，３１が配置されている。

【0024】

したがって、ブレード３０，３１は、ヘッドユニットの下を前後左右に移動することができる。つまり、ブレード移動部１０は、ブレード３０，３１をインクジェットヘッドの間で移動させる。

【0025】

（ワイプ部）
図２は、図１に示すＡ－Ａ線で切断した断面を模式的に示す図である。図２において、左右を左右方向、上下を上下方向、奥を後ろ方向と定義する。

【0026】

ワイプ部２０は、窓２１、保持プレート２２、ワイプモータ２３、駆動軸２４、及び２つの台座２５，２６を備える。

【0027】

保持プレート２２は、左右方向で切った断面が、ワイプ支持部１７側の端部が直角に曲げられた鉤型である。その直角に曲げられた面がワイプ支持部１７の左側の側面に固定されている。

【0028】

窓２１は、平面が長方形の保持プレート２２の中心部分に開けられた開口部である。窓２１の平面形状も長方形（図１）である。

【0029】

台座２５，２６は、左右方向及び前後方向で切ったそれぞれの断面が略Ｔ型である。台座２５，２６は、その略Ｔ型の軸を窓２１の上から挿通させ、略Ｔ型の上辺の下面を保持プレート２２の表面に接触させて保持される。

【0030】

台座２５，２６の略Ｔ型の軸には、ネジが切られた穴が開けられ、駆動軸２４にそれぞれが挿通されている。台座２５は保持プレート２２の先端側、台座２６は保持プレート２２の支持側（ワイプ支持部１７側）に配置される。

【0031】

駆動軸２４は、左右方向の中心を境に逆ネジ２４ａ，２４ｂが切られ、ワイプ支持部１７側の端部がワイプモータ２３に係止されている。逆ネジ２４ａの部分には台座２５が係止され、逆ネジ２４ｂの部分には台座２６が係止される。

【0032】

ワイプモータ２３は、正逆の２方向に回転可能である。例えば、正方向に回転した場合、駆動軸２４によって台座２５は右方向に移動し、台座２６は左方向に移動する。そして、駆動軸２４の延伸方向の略中心で台座２５，２６は接触する。台座２５，２６が接触するとワイプモータ２３は回転を停止する。

【0033】

ワイプモータ２３が逆方向に回転した場合、台座２５，２６はそれぞれ離間する方向に移動する。ワイプモータ２３の回転制御は制御部（図示）が行う。制御部は、インクジェットヘッドのクリーニングを行う場合に、ワイプ部２０の前後左右の位置も制御する。

【0034】

台座２５，２６が接触するそれぞれの端部には、板状のブレード３０，３１が立てて配置される。ブレード３０，３１を左右方向に見た形状は長方形である。ブレード３０，３１の上方向の長さは、インクジェットヘッドの表面に接触する長さ（高さ）である。

【0035】

したがって、ワイプ部２０は、ブレード３０，３１のそれぞれを左右方向に移動させることができる。つまり、ワイプ部２０は、ブレード３０，３１のそれぞれを離間する方向に移動させた後に元の位置に戻す。

【0036】

（インクジェットヘッドとブレード）
図３は、ブレード３０，３１の位置が離間する方向に変化する様子を模式的に示す平面透視図である。図３において、左右を左右方向、上下を前後方向、奥を下方向と定義する。

【0037】

図３に示す〇は、インクを吐出するノズルである。ノズルは、前後方向に所定ピッチで配置され、その前後方向の位置は互いに半ピッチ分ずれてノズル列を構成する。

【0038】

図３に示すインクジェットヘッドは、２つのノズル列Ｙ６，Ｇ６を備える。ノズル列Ｙ６は、イエロー（Ｙ）のインクを吐出する。ノズル列Ｇ６は、グレー（Ｇ）のインクを吐出する。以降、そのヘッド列の参照符号を用いてインクジェットヘッドを表記することにする。

【0039】

例えば、６個のインクジェットヘッドＹ１Ｇ１～Ｙ１Ｇ６で１つのヘッドユニットを構成する。６個のインクジェットヘッドＹ１Ｇ１～Ｙ１Ｇ６は、千鳥配置される。つまり、前後方向に配置される６個のインクジェットヘッドＹ１Ｇ１～Ｙ１Ｇ６は、左右方向における位置を交互にずらして配置される。詳しくは後述する。

【0040】

図３に示すように、２つのブレード３０，３１は、インクジェットヘッドのノズル列の間の表面に先端が接触するように配置（実線で示す位置）される。その後、２つのブレード３０，３１のそれぞれは、離間する方向に移動される（二点鎖線で示す位置）。

【0041】

このように２つのブレード３０，３１が移動することにより、ノズル面上でインクの混色を生じさせない。したがって、インクが他色のノズルに侵入することで生じる画像乱れを防止することができる。

【0042】

（ワイプ部の移動）
図４は、インクジェットヘッドの下を移動するブレード３０，３１の軌跡を模式的に示す図である。図４において、左右を左右方向、上下を前後方向、奥を下方向と定義する。この定義は図３と同じである。

【0043】

図４に示すように、例えば３つのヘッドユニット４０Ｋ，４０ＣＭ，４０ＹＧは、左右方向に並列に配置される。左右方向は印刷媒体の搬送方向であり、左がその上流、右が下流である。
ヘッドユニット４０Ｋ，４０ＣＭ，４０ＹＧの下には、所定の間隔を空けて搬送部１１０が配置される。搬送部１１０の上を印刷媒体が左から右に移動する。

【0044】

ヘッドユニット４０Ｋは、ブラック（Ｋ）のインクを吐出する。図４に示すヘッドユニット４０Ｋは、６組のインクジェットヘッドＫ１～Ｋ６を備える。インクジェットヘッドＫ１～Ｋ６は、全てブラック（Ｋ）のインクを吐出する。

【0045】

ヘッドユニット４０ＣＭは、シアン（Ｃ）とマゼンダ（Ｍ）のインクを吐出する。この例では、６組のインクジェットヘッドＣ１Ｍ１～Ｃ６Ｍ６のそれぞれは、シアン（Ｃ）とマゼンダ（Ｍ）のインクを吐出する。

【0046】

ヘッドユニット４０ＹＧは、イエロー（Ｙ）とグレー（Ｇ）のインクを吐出する。この例では、６組のインクジェットヘッドＹ１Ｇ１～Ｙ６Ｇ６のそれぞれは、イエロー（Ｙ）とグレー（Ｇ）のインクを吐出する。

【0047】

図４に示すインクジェットヘッドと吐出するインク（色）の関係は、一例でありこの例に限られない。インクの各色に対応させて５つのヘッドユニットを並列に設けるようにしてもよい。

【0048】

ヘッドユニット４０ＹＧの部分に示す矢印は、ワイプ部２０の移動軌跡を示す。ワイプ部２０の初期位置は、例えば、図４の右下のインクジェットヘッドＹ６Ｇ６の前方向に配置されると仮定する。

【0049】

ヘッドユニット４０ＹＧのクリーニングを行う場合、ワイプ部２０は、その初期位置からインクジェットヘッドＹ６Ｇ６の下に移動する。この場合、ブレード３０，３１の先端は、インクジェットヘッドＹ６Ｇ６のノズル列の間の表面に接触する。

【0050】

その後に、ブレード３０，３１のそれぞれは離間する方向に移動する。この時、ブレード３０，３１のそれぞれの先端は、ノズルの表面のインクを拭き取る（Wipe）。ブレード３０は、イエロー（Ｙ）のインクを拭き取る。ブレード３１はグレー（Ｇ）のインクを拭き取る。したがって、ノズルの表面でインクの混色が生じない。

【0051】

それぞれが離間する方向に移動したブレード３０，３１は、インクジェットヘッドと対向しない後方の位置に移動した後に元の位置に戻される。その後、ワイプ部２０はインクジェットヘッドＹ４Ｇ４の下に移動する。

【0052】

ワイプ部２０は、上記のインクを拭き取り動作を、インクジェットヘッドＹ２Ｇ２→インクジェットヘッドＹ１Ｇ１→インクジェットヘッドＹ３Ｇ３→インクジェットヘッドＹ５Ｇ５の順に繰り返す。この動作によれば、ブレード３０は、各インクジェットヘッドのイエロー（Ｙ）のインクのみを拭き取る。またブレード３１は、グレー（Ｇ）のインクのみを拭き取る。したがって、インクの混色を生じさせない。

【0053】

隣のヘッドユニット４０ＣＭ，４０Ｋについても同様である。シアン（Ｃ）とマゼンダ（Ｍ）にそれぞれ対応するブレード３０，３１を備えるワイプ部２０と、ブラック（Ｋ）に対応するワイプ部２０を備えればよい。つまり、３つのワイプ部２０を設ければよい。

【0054】

なお、ヘッドユニット４０Ｋは、インクがブラック（Ｋ）のみである。したがって、２つのブレードを設ける必要はない。ヘッドユニット４０Ｋについては、従来のブレードを用いてクリーニングするようにしても構わない。

【0055】

以上説明したように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置１００のヘッドユニット４０ＹＧは、印刷媒体の搬送方向と直交する向きに配置され、且つ搬送方向における位置を交互にずらして配置される複数のインクジェットヘッドＹ１Ｇ１～Ｙ６Ｇ６を備え、ワイプ部２０は、インクジェットヘッドＹ１Ｇ１～Ｙ６Ｇ６と対向しない位置で、離間する方向に移動させた２つのブレード３０，３１を元の位置に戻す。これにより、インクの混色を生じさせない。

【0056】

なお、ワイプ部２０は、印刷媒体の搬送方向における位置を交互にすらして配置される２つのインクジェットヘッドにそれぞれ対応する２組のブレードを備えるようにしてもよい。例えば、図４において、インクジェットヘッドＹ１Ｇ１～Ｙ５Ｇ５の列と、インクジェットヘッドＹ２Ｇ２～Ｙ６Ｇ６の列とにそれぞれ対応するワイプ部２０を備えるようにしてもよい。

【0057】

つまり、ワイプ部２０は、搬送方向における位置を交互にずらして配置される２つのインクジェットヘッドにそれぞれ対応するブレードを備え、ブレード移動部は、ブレードを２つのインクジェットヘッドの単位で移動させる。これにより、クリーニングに要する時間を短縮することができる。

【0058】

（クリーニング方法）
図５は、インクジェット印刷装置１００が行うインクジェットヘッドのクリーニング動作の動作手順を示すフローチャートである。

【0059】

インクジェット印刷装置１００は、インクジェットヘッドのクリーニングを行う場合、インク内の顔料固着物の沈殿を防止する目的で行っているインクを循環させる動作を停止させる（ステップＳ１）。そして、ブレード移動部１０とワイプ部２０を、ヘッドユニット４０Ｋ，４０ＣＭ，４０ＹＧ（図４）の下側（クリーニング位置）に移動させる。

【0060】

次に、インクジェットヘッドのノズルからインクを吐出させるパージ動作を行わせる（ステップＳ２）。パージ動作は、ノズル面に付着したゴミ等の異物をインクと共に除去する目的で行う動作である。

【0061】

次に、ブレード３０，３１をヘッド下に移動させる（ステップＳ３）。例えば、上記の初期位置からインクジェットヘッドＹ６Ｇ６の下に、ブレード３０，３１を移動させる。

【0062】

次に、ブレード３０，３１を開く（ステップＳ４）。この例では、ブレード３０，３１のそれぞれを離間する方向に移動させる。

【0063】

次に、制御部（図示せず）は、全てのインクジェットヘッドについてクリーニングが終了したか否かを判定する（ステップＳ５）。ここでは、インクジェットヘッドＹ６Ｇ６のクリーニングが終了した段階であるので（ステップＳ５のＮＯ）、ブレード３０，３１を次のインクジェットヘッドＹ４Ｇ４の手前まで移動させた後に閉じる（ステップＳ６）。

【0064】

次に、ブレード３０，３１をインクジェットヘッドＹ４Ｇ４の下に移動させる（ステップＳ３）。以降、全てのインクジェットヘッドについてクリーニングが終了するまでステップＳ４、ステップＳ５のＮＯ、ステップＳ６、ステップＳ３の処理が繰り返される（ステップＳ５のＹＥＳ）。

【0065】

全てのインクジェットヘッドについてクリーニングが終了すると、ワイプ液（パージ動作で吐出されたインク）を空吐出（スピット）させる（ステップＳ７）。このスプット吐出は各色のインクジェットヘッドで行われる。

【0066】

次に、ブレード３０，３１を上記の初期位置に移動させる（ステップＳ８）。この後、ブレード移動部１０とワイプ部２０は、退避位置に移動される。

【0067】

そして、インクを循環させる動作を再開させる（ステップＳ９）。

【0068】

ステップＳ２～Ｓ８の処理は、ヘッドユニット４０Ｋ，４０ＣＭ，４０ＹＧのそれぞれについて同時並行で行われる。

【0069】

以上説明したように、本実施形態に係るインクジェット印刷装置１００は、複数のノズル列を持つインクジェットヘッドＹ１Ｇ１～Ｙ６Ｇ６と、インクジェットヘッドＹ１Ｇ１～Ｙ６Ｇ６のノズル列の間の表面に先端が接触するように配置される２つのブレード３０，３１と、２つのブレード３０，３１のそれぞれを離間する方向に移動させて、ノズル列の表面を清掃した後に元の位置に戻すワイプ部２０と、２つのブレードを、元の位置に戻した状態でインクジェトヘッドＹ１Ｇ１～Ｙ６Ｇ６の間で移動させるブレード移動部１０とを備える。これにより、ノズル面上で混色したインクが他色のノズルに侵入することで生じる画像乱れを防止できるインクジェット印刷装置を提供することができる。

【0070】

インクジェット印刷装置１００は、複数色のノズル列を持つインクジェットヘッドに対し、ヘッドの中央から外側（左右方向）に向かって、ノズル列と平行にブレード３０，３１を動かすことで、ノズルの表面に溜まったインクをヘッドの外側に押し出す形で清掃する。２つのブレード３０，３１を開いて清掃を行い、千鳥状に配置されたインクジェットヘッドの無いところでブレード３０，３１を閉じる。よって、ブレード３０，３１に付着したインクをノズルに戻さない。これにより、インクの混色と、ノズルへのインク侵入とを防止することができる。その結果、画像が乱れることを防止できる。

【0071】

なお、上記の実施形態では、ブレード３０，３１を逆ネジ２４ａ，２４ｂを用いた１つの駆動軸２４で駆動する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。ブレード３０，３１は、それぞれに対応する２つの駆動軸で駆動するようにしてもよい。

【0072】

また、上記の実施形態では、１つのヘッドユニット（例えば４０ＹＧ）を６個のインクジェットヘッドで構成する例で説明したが、１つのヘッドユニットを構成するインクジェットヘッドの数は６個に限定されない。

【0073】

また、３つのヘッドユニット４０Ｋ，４０ＣＭ，４０ＹＧを備える例で説明したが、本発明はこの例に限定されない。使用するインクの色にそれぞれ対応するヘッドユニットを備えるようにしてもよい。その場合でも本実施形態はそのまま適用することができる。

【0074】

このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。

【0075】

[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。

【0076】

（付記１）
複数のノズル列を持つインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドのノズル列の間の表面に先端が接触するように配置される２つのブレードと、
前記２つのブレードのそれぞれを離間する方向に移動させて、前記ノズル列の表面を清掃した後に元の位置に戻すワイプ部と、
前記２つのブレードを、前記元の位置に戻した状態で前記インクジェットヘッドの間で移動させるブレード移動部と
を備えるインクジェット印刷装置。

【0077】

（付記２）
前記ワイプ部は、
前記インクジェットヘッドと対向しない位置で前記ブレードを前記元の位置に戻す
付記１に記載のインクジェット印刷装置。

【0078】

（付記３）
前記ワイプ部は、
印刷媒体の搬送方向における位置を交互にずらして配置される２つのインクジェットヘッドにそれぞれ対応する前記ブレードを備え、
前記ブレード移動部は、
前記ブレードを２つの前記インクジェットヘッドの単位で移動させる
付記２に記載のインクジェット印刷装置。

【符号の説明】

【0079】

１０ ブレード移動部
２０ ワイプ部
３０，３１ ブレード
４０Ｋ，４０ＣＭ，４０ＹＧ ヘッドユニット
Ｙ１Ｇ１～Ｙ６Ｇ６ インクジェットヘッド
Ｙ６，Ｇ６ ノズル列
１００ インクジェット印刷装置

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】