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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122247
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】スイッチング装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/16 20060101AFI20230825BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
H03K17/16 F
H03K17/687 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025841
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 庸行
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX25
5J055AX27
5J055BX16
5J055CX23
5J055DX14
5J055DX61
5J055EY01
5J055EY21
5J055EZ50
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX04
5J055GX05
(57)【要約】
【課題】スイッチング装置における急激な電流の増加を防ぎ、且つ起動を速く行う。
【解決手段】実施形態のスイッチング装置は、第1のP型MOSトランジスタ、第1の制御回路、及び第2の制御回路を備える。第1のP型MOSトランジスタのゲート並びに第1及び第2の制御回路は、第1のノードに電気的に接続される。第1の制御回路は、第1のP型MOSトランジスタがオフ状態である第1の時刻から第2の時刻まで、第1のノードの電圧を引き下げるように構成されている。第2の制御回路は、第3の時刻から第1のP型MOSトランジスタがオン状態である第4の時刻まで、第1のノードの電圧を引き下げるように構成されている。第2の時刻は、第1の時刻よりも後の時刻である。第4の時刻は、第2の時刻及び第3の時刻よりも後の時刻である。第1のP型MOSトランジスタは、第1の時間の間にオン状態となる。単位時間当たりに引き下げられる第1のノード電圧は、第1の制御回路の方が第2の制御回路よりも大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートが第1のノードに接続された第1のP型MOSトランジスタと、
前記第1のノードに電気的に接続された第1の制御回路と、
前記第1のノードに電気的に接続された第2の制御回路と、を備え、
前記第1の制御回路は、前記第1のP型MOSトランジスタがオフ状態である第1の時刻から第2の時刻まで前記第1のノードの電圧を引き下げるように構成されており、
前記第2の制御回路は、第3の時刻から前記第1のP型MOSトランジスタがオン状態である第4の時刻までの第1の時間において、前記第1のノードの電圧を引き下げるように構成されており、
前記第2の時刻は、前記第1の時刻よりも後の時刻であり、
前記第4の時刻は、前記第2の時刻及び前記第3の時刻よりも後の時刻であり、
前記第1のP型MOSトランジスタは、前記第1の時間の間にオン状態となり、
前記第1の制御回路において、単位時間当たりに引き下げられる前記第1のノードの電圧は、前記第2の制御回路よりも大きく、
前記第1の制御回路は、
一端が電圧源に接続された第2のP型MOSトランジスタと、
前記第2のP型MOSトランジスタの他端と前記第1のノードとの間に接続され、ゲートが前記第1のノードに接続された第3のP型MOSトランジスタと、
前記第1のノードと前記電圧源の電圧より低い電圧である第1電源との間に電気的に接続された第1のN型MOSトランジスタと、を含む、
スイッチング装置。
【請求項2】
前記第1の制御回路を制御するパルス回路と、
前記第2の制御回路を制御する遅延回路と、を更に含み、
前記第1のP型MOSトランジスタは、一端が前記電圧源に接続され、
前記第1の制御回路は、
前記第1のノードと前記第1のN型MOSトランジスタの一端との間に電気的に接続された第1の抵抗を更に含み、
前記パルス回路は、前記第2のP型MOSトランジスタのゲート及び前記第1のN型MOSトランジスタのゲートの各々に接続される、
請求項1に記載のスイッチング装置。
【請求項3】
前記遅延回路は、第1の信号を受信し、第2の信号を前記第2の制御回路に送信し、
前記遅延回路は、前記第1の信号がローレベルからハイレベルに移行する時刻から、第2の時間だけ後の時刻に前記第2の信号をローレベルからハイレベルに移行し、
前記パルス回路は、前記第1の信号を受信し、第3の信号及び第4の信号を前記第2のP型MOSトランジスタのゲート及び前記第1のN型MOSトランジスタのゲートにそれぞれ送信し、
前記第2の制御回路は、前記第2の信号がローレベルからハイレベルに移行することに基づいて前記第1のノードの電圧を引き下げ始め、
前記第1の信号は、前記第1のP型MOSトランジスタがオフ状態である間にローレベルからハイレベルに移行し、
前記第3の信号は、前記第1の信号がローレベルからハイレベルに移行することに基づいてハイレベルからローレベルに移行する、ワンショットのパルスを有し、
前記第4の信号は、前記第1の信号がローレベルからハイレベルに移行することに基づいてローレベルからハイレベルに移行する、ワンショットのパルスを有する、
請求項2に記載のスイッチング装置。
【請求項4】
前記第1の制御回路は、前記第4の信号がローレベルからハイレベルに移行することに基づいて前記第1のノードの電圧を引き下げ始める、
請求項3に記載のスイッチング装置。
【請求項5】
前記遅延回路は、
フリップフロップ回路を有し、
且つ前記パルス回路から前記第3の信号を受信し、
前記第3の信号のパルスがローレベルからハイレベルに移行することに基づいて、前記第2の信号をローレベルからハイレベルに移行する、
請求項3に記載のスイッチング装置。
【請求項6】
前記第3の時刻は、前記第2の時刻と、同一時刻である、
請求項1に記載のスイッチング装置。
【請求項7】
前記第3の時刻は、前記第2の時刻よりも後の時刻である、
請求項1に記載のスイッチング装置。
【請求項8】
前記パルス回路は、前記第3の信号をハイレベルからローレベルに移行し、
前記第4の信号をローレベルからハイレベルに移行する、
請求項3に記載のスイッチング装置。
【請求項9】
前記第3の信号及び前記第4の信号のパルス幅は、前記第2の時間以上の時間である、
請求項8に記載のスイッチング装置。
【請求項10】
ゲートが第1のノードに接続された第1のP型MOSトランジスタと、
前記第1のノードに電気的に接続された第1の制御回路と、
前記第1のノードに電気的に接続された第2の制御回路と、
前記第1の制御回路を制御するパルス回路と、
前記第2の制御回路を制御する遅延回路と、を備え、
前記パルス回路は、第1信号に基づいて、第1の時間に亘って第1レベルを有する第2信号を出力し、
前記遅延回路は、前記第1信号が一定時間遅延された第3信号を出力し、
前記第1の制御回路は、前記第1レベルの前記第2信号を受け取っている間、前記第1のノードの電圧を引き下げるように構成されており、
前記第2の制御回路は、前記第3信号に基づいて、前記第1のノードの電圧を引き下げるように構成されており、
前記第1の制御回路において、単位時間当たりに引き下げられる前記第1のノードの電圧は、前記第2の制御回路よりも大きい、
スイッチング装置。
【請求項11】
前記第2の制御回路は、前記第3信号が第2レベルから第3レベルに変わることに基づいて、前記第1のノードの電圧を引き下げる、
請求項10に記載のスイッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、概してスイッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の制御等にスイッチング装置が用いられる。そのようなスイッチング装置は、急激に電流が流れ出すことを防ぎ、且つ起動を速く行えることを求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-134622号公報
【特許文献2】特開2014-138303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
急激に電流が流れ出すことを防ぎ、且つ起動を速く行うことのできるスイッチング装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のスイッチング装置は、第1のP型MOSトランジスタ、第1の制御回路、及び第2の制御回路を備える。第1のP型MOSトランジスタは、ゲートが第1のノードに接続される。第1の制御回路及び第2の制御回路は、第1のノードに電気的に接続される。第1の制御回路は、第1のP型MOSトランジスタがオフ状態である第1の時刻から第2の時刻まで第1のノードの電圧を引き下げるように構成されている。第2の制御回路は、第3の時刻から第1のP型MOSトランジスタがオン状態である第4の時刻までの第1の時間において、第1のノードの電圧を引き下げるように構成されている。第2の時刻は、第1の時刻よりも後の時刻である。第4の時刻は、第2の時刻及び第3の時刻よりも後の時刻である。第1のP型MOSトランジスタは、第1の時間の間にオン状態となる。単位時間当たりに引き下げられる第1のノード電圧は、第1の制御回路の方が第2の制御回路よりも大きい。第1の制御回路は、第2及び第3のP型MOSトランジスタ、並びに第1のN型MOSトランジスを含む。第2のP型MOSトランジスタは、一端が電圧源に接続される。第3のP型MOSトランジスタは、第2のP型MOSトランジスタの他端と第1のノードとの間に接続され、ゲートが第1のノードに接続される。第1のN型MOSトランジスタは、第1のノードと電圧源の電圧より低い電圧である第1電源との間に電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係るシステムの構成例であるブロック図を示す。
図2図2は、第1実施形態に係るロードスイッチICの構成例であるブロック図を示す。
図3図3は、第1実施形態に係るロードスイッチICの回路構成の一例である回路図を示す。
図4図4は、第1実施形態に係るロードスイッチICがオフからオンに切り替わるタイミングにおける信号の状態を示したタイミングチャートである。
図5図5は、時刻t0から時刻t1までの間における、第1実施形態に係るロードスイッチICの接続の状態の一例を示す回路図である。
図6図6は、時刻t1と時刻t2との間における、第1実施形態に係るロードスイッチICの接続の状態の一例を示す回路図である。
図7図7は、時刻t3から時刻t6までの間における、第1実施形態に係るロードスイッチICの接続の状態の一例を示す回路図である。
図8図8は、第1実施形態の比較例に係るロードスイッチICにおける回路構成の一例である回路図を示す。
図9図9は、第1実施形態の比較例に係るロードスイッチICがオフからオンに切り替わるタイミングにおける信号の状態を示したタイミングチャートである。
図10図10は、第1実施形態の変形例に係るロードスイッチICがオフからオンに切り替わるタイミングにおける信号の状態を時間に沿って示したタイミングチャートである。
図11図11は、第2実施形態に係るロードスイッチICの回路構成の一例である回路図を示す。
図12図12は、第2実施形態に係るロードスイッチICがオフからオンに切り替わるタイミングにおける信号の状態を示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に実施形態が図面を参照して記述される。各実施形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示している。図面は模式的又は概念的なものであり、各図面の寸法及び比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。ある実施形態についての記述は全て、明示的にまたは自明的に排除されない限り、別の実施形態の記述としても当てはまる。本発明の技術的思想は、構成要素の形状、構造、配置等によって特定されるものではない。
【0008】
尚、以下の記述において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一の符号が付される。参照符号を構成する文字の後の数字は、同じ文字を含んだ参照符号によって参照され、且つ同様の構成を有する要素同士を区別するために使用される。同じ文字を含んだ参照符号で示される要素を相互に区別する必要がない場合、これらの要素はそれぞれ文字のみを含んだ参照符号により参照される。
【0009】
[1]第1実施形態
[1-1]構成(構造)
以下に、第1実施形態に係るロードスイッチIC104について説明する。
【0010】
[1-1-1]システム300の構成
図1は、第1実施形態に係るシステム300の構成例を示すブロック図である。システム300は、様々な電化製品を外部電源と繋ぐ際のシステムとして実現されることができる。図1に示されるように、システム300は、外部電源200及び電化製品100を含む。外部電源200は、電化製品100に外部から電力を供給する。
【0011】
電化製品100は、例えばスマートフォンやタブレット等、外部の電源と接続される様々な電化製品を含む。電化製品100は、AC-DCコンバータ101、DC-DCコンバータ102、マイクロコントローラ103、ロードスイッチIC104、及びアプリケーションモジュール105を含む。
【0012】
AC-DCコンバータ101は、外部電源200から供給されたAC電圧を、DC電圧に変換する。DC-DCコンバータ102は、AC-DCコンバータ101から供給されたDC電圧を、アプリケーションモジュール105を動作させるのに適したDC電圧に変換する。アプリケーションモジュール105を動作させるのに適したDC電圧は、例えば入力電圧VDDである。
【0013】
マイクロコントローラ103は、電化製品100を制御する。マイクロコントローラ103は、記憶媒体に保持されたコード(プログラム)に基づいて動作する。マイクロコントローラ103は、コードに基づいて、制御信号ENを生成する。マイクロコントローラ103は、生成された制御信号ENをロードスイッチIC104(スイッチング装置)に出力する。制御信号ENは、電化製品100を動作させるための信号を含む。電化製品100は、例えば制御信号ENに基づいて、オンとオフとの切り替えを行う。
【0014】
ロードスイッチIC104は、DC-DCコンバータ102から入力電圧VDDを供給される。ロードスイッチIC104は、マイクロコントローラ103から制御信号ENを受信する。ロードスイッチIC104は、制御信号ENに基づいて、アプリケーションモジュール105への電源の供給を制御する。すなわち、ロードスイッチIC104は、システム300において、外部電源200とアプリケーションモジュール105との間に配置され、アプリケーションモジュール105の電源を制御する。ロードスイッチIC104の詳細については後述される。
【0015】
[1-1-2]ロードスイッチIC104の構成
図2は、第1実施形態に係るロードスイッチIC104の構成例を示すブロック図である。図2に示されるように、ロードスイッチIC104は、スイッチPMOSトランジスタP1、プリ放電回路1、スルーレート制御回路2、及びコントロール回路3を含む。
【0016】
スイッチPMOSトランジスタP1は、アプリケーションモジュール105に電圧を印加するか否かを切り替えるスイッチとして機能するトランジスタである。スイッチPMOSトランジスタP1の一端は、電源電圧VDDのノードと接続される。電源電圧VDDのノードは、例えば、DC-DCコンバータ102によって、或る一定の大きさVDDの電圧を印加されている。スイッチPMOSトランジスタP1の他端は、アプリケーションモジュール105に接続される。スイッチPMOSトランジスタP1のゲートは、ノードS1に接続される。
【0017】
スイッチPMOSトランジスタP1がオフのとき、アプリケーションモジュール105に電圧は印加されない。スイッチPMOSトランジスタP1がオンのとき、アプリケーションモジュール105には出力電圧VOUTが印加され、出力電流IOUTが流れこむ。
【0018】
コントロール回路3は、マイクロコントローラ103から受信した制御信号ENに基づいて、プリ放電回路1及びスルーレート制御回路2を制御する。
【0019】
プリ放電回路1は、スイッチPMOSトランジスタP1のゲートであるノードS1に印加される電圧の制御を行う。プリ放電回路1は、ノードS1の電位を入力電圧VDDから起動電圧Vonまで引き下げる。起動電圧Vonは、電源電圧VDDよりもスイッチPMOSトランジスタP1の閾値電圧Vthpだけ小さい電圧である。言い換えると、起動電圧Von=電源電圧VDD-閾値電圧Vthpである。すなわちノードS1の電位は、プリ放電回路1によって、スイッチPMOSトランジスタP1がオンする電位(=起動電圧Von)まで引き下げられる。ノードS1の電位が起動電圧Vonに達した時点で、スイッチPMOSトランジスタP1はオン状態となる。プリ放電回路1の詳細な説明については後述される。
【0020】
スルーレート制御回路2は、アプリケーションモジュール105に流れる電流を制御する。アプリケーションモジュール105に流れる電流は、出力電流IOUTと称される場合がある。スルーレート制御回路2は、プリ放電回路1によって起動電圧Vonまで下げられたノードS1の電位をさらに引き下げる。このとき、スルーレート制御回路2は、ノードS1に対して徐々に変化する電圧を印加し、ノードS1の電位を徐々に電位を引き下げる。ノードS1の電位が徐々に引き下げられることで、アプリケーションモジュール105に流れる電流が徐々に増加する。
【0021】
出力電流IOUTが急激に大きくなった場合、アプリケーションモジュール105の故障等を引き起こし得る。このため、スルーレート制御回路2は、アプリケーションモジュール105に急激に電流が流れ込まないよう、ノードS1に徐々に変化する電圧を印加している。
【0022】
図3は、図2における説明で示された第1実施形態に係るロードスイッチIC104の具体的な回路構成を示す。図3に示されるように、スルーレート制御回路2は、抵抗R1及びNMOSトランジスタN1を含む。抵抗R1の一端は、ノードS1に接続される。抵抗R1の他端は、NMOSトランジスタN1の一端に接続される。NMOSトランジスタN1の他端は、接地電圧VSS(例えば、0V)のノードに接続される。NMOSトランジスタN1のゲートは、ノードS0に接続される。
【0023】
プリ放電回路1は、抵抗R2、NMOSトランジスタN2、並びにPMOSトランジスタP2及びP3を含む。PMOSトランジスタP2の一端は、電源電圧VDDのノードと接続される。PMOSトランジスタP2の他端は、PMOSトランジスタP3の一端に接続される。PMOSトランジスタP2のゲートは、ノードS2に接続される。
【0024】
PMOSトランジスタP3の他端は、抵抗R2の一端に接続される。PMOSトランジスタP3のゲートは、ノードS1に接続される。PMOSトランジスタP3の他端は、ノードS1に接続される。すなわち、PMOSトランジスタP3は、ダイオード接続されている。PMOSトランジスタP3は、スイッチPMOSトランジスタP1とカレントミラーを構成している。
【0025】
PMOSトランジスタP3の閾値電圧は、例えばスイッチPMOSトランジスタP1の閾値電圧と同じ閾値電圧Vthpである。PMOSトランジスタP3の閾値電圧は、閾値電圧Vthpよりも低い値に設定されることもあり、この例については変形例で示される。
【0026】
抵抗R2の他端は、NMOSトランジスタN2の一端に接続される。NMOSトランジスタN2の他端は、接地電圧VSSのノードに接続される。NMOSトランジスタN2のゲートは、ノードS3に接続される。
【0027】
コントロール回路3は、PMOSトランジスタP4、遅延回路31、及びOneShotPulse回路32を含む。各信号の詳細については、図5を参照して後述される。
【0028】
ノードS4は、マイクロコントローラ103から制御信号ENを受信する。PMOSトランジスタP4の一端は、電源電圧VDDのノードと接続される。PMOSトランジスタP4の他端は、ノードS1に接続される。PMOSトランジスタP4のゲートは、ノードS4から制御信号ENを受信する。PMOSトランジスタP4は、制御信号ENがローレベルのときにオン状態となり、ハイレベルのときにオフ状態となる。
【0029】
遅延回路31は、スルーレート制御回路2を制御する。遅延回路31の入力端は、ノードS4から制御信号ENを受信する。遅延回路31は、受信した制御信号ENから遅延信号ENaを生成する。遅延信号ENaは、制御信号ENがローレベルからハイレベルに切り替わるときに、切り替わるタイミングを或る一定の時間である遅延時間Δtだけ遅延させた信号である。制御信号ENがハイレベルからローレベルに切り替わるときは、この遅延が無いように出力される。遅延回路31の出力端は、ノードS0に遅延信号ENaを送信する。遅延回路31は、遅延時間Δtを設定することによって、スルーレート制御回路2のNMOSトランジスタN1をオンさせる時間を制御している。NMOSトランジスタN1は、遅延信号ENaがハイレベルのときにオン状態となり、ローレベルのときにオフ状態となる。
【0030】
OneShotPulse回路32は、プリ放電回路1を制御する。OneShotPulse回路32の入力端は、ノードS4から制御信号ENを受信する。OneShotPulse回路32は、受信した制御信号ENを基にパルス信号ENPを生成する。パルス信号ENPは、制御信号ENがローレベルからハイレベルに切り替わったタイミングでオンになるワンショットのパルス信号である。ワンショットのパルス信号のパルス幅は、例えば遅延時間Δtである。OneShotPulse回路32は、パルス信号ENPのパルス幅を任意に設定できる。
【0031】
OneShotPulse回路32の第1出力端は、ノードS2にパルス信号ENP_nを出力する。OneShotPulse回路32の第2出力端は、ノードS3にパルス信号ENPを出力する。パルス信号ENP_nは、パルス信号ENPの反転信号である。
【0032】
OneShotPulse回路32は、パルス信号ENP及びENP_nのパルス幅を設定することによって、プリ放電回路1のNMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2をオンさせる時間を制御している。NMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2は、パルスが出力されている期間だけオンしている。
【0033】
[1-2]動作
図4は、第1実施形態のロードスイッチIC104がオフからオンに切り替わるタイミングにおけるいくつかの信号の状態を時間に沿って示したタイミングチャートである。図4は、制御信号EN、遅延信号ENa、パルス信号ENP、パルス信号ENP_n、ノードS1の電位、及び出力電圧VOUTのタイミングチャートを示す。
【0034】
時刻t0において、マイクロコントローラ103は、アプリケーションモジュール105をオンにする制御を開始する。時刻t0において、制御信号ENは、ローレベルに設定されている。制御信号ENがローレベルであるため、遅延回路31は、時刻t0において、遅延信号ENaをローレベルに維持する。制御信号ENがローレベルであるため、OneShotPulse回路32は、パルス信号ENPをローレベルに維持し、パルス信号ENP_nをハイレベルに維持する。時刻t0において、ノードS1の電位は、電源電圧VDDである。時刻t0において、出力電圧VOUTは、接地電圧VSSである。
【0035】
このときのロードスイッチIC104の接続の一例を図5として示す。図5は、時刻t0以降から時刻t1までの間における、第1実施形態に係るロードスイッチIC104の接続の状態の一例を示す回路図である。時刻t1での動作については後述される。図5に示されるように、時刻t0以降から時刻t1の間において、制御信号ENがローレベルであるため、PMOSトランジスタP4はオン状態である。
【0036】
時刻t0以降から時刻t1までの間において、遅延信号ENaがローレベルであるため、NMOSトランジスタN1は、オフ状態である。
【0037】
時刻t0以降から時刻t1までの間において、パルス信号ENPがローレベルであるため、NMOSトランジスタN2は、オフ状態である。同様に、パルス信号ENP_nがハイレベルであるため、PMOSトランジスタP2は、オフ状態である。
【0038】
上述のようなPMOSトランジスタP2、P3、及びP4並びにNMOSトランジスタN1及びN2の状態に基づき、時刻t0以降から時刻t1までの間において、ノードS1の電位は、電源電圧VDDである。ノードS1の電位が電源電圧VDDであるため、時刻t0以降から時刻t1までの間において、スイッチPMOSトランジスタP1及びPMOSトランジスタP3はオフ状態である。
【0039】
スイッチPMOSトランジスタP1がオフ状態であるため、時刻t0以降から時刻t1までの間において、アプリケーションモジュール105にDC-DCコンバータ102からの電圧は印加されない。このとき、出力電圧VOUTは、例えば接地電圧VSSである。
【0040】
図4に示されるように、時刻t1において、マイクロコントローラ103は、制御信号ENをハイレベルに移行し始める。前述の通り、遅延信号ENaは、制御信号ENがローレベルからハイレベルに切り替わるタイミングを遅延時間Δtだけ遅延させた信号である。時刻t1では、時刻t1からの遅延時間Δtは経過しておらず、このため、時刻t1において、遅延信号ENaは、ローレベルである。
【0041】
制御信号ENがハイレベルに移行したことに基づいて、OneShotPulse回路32は、パルス信号ENPをハイレベルにする。OneShotPulse回路32は、パルス信号ENPがハイレベルになった後、遅延時間Δtだけパルス信号ENPをハイレベルに維持する。遅延時間Δtは、時刻t1から時刻t2までの期間に等しい。すなわち、時刻t1から遅延時間Δt後の時刻t2まで、パルス信号ENPはハイレベルを維持する。
【0042】
一方、OneShotPulse回路32は、制御信号ENがハイレベルになったことに基づいて、パルス信号ENP_nをローレベルにする。OneShotPulse回路32は、パルス信号ENP_nがローレベルになった後、遅延時間Δtだけパルス信号ENP_nをローレベルに維持する。すなわち、時刻t1から時刻t2まで、パルス信号ENP_nはローレベルを維持する。
【0043】
時刻t1においてパルス信号ENPは、ハイレベルに移行し始める。パルス信号ENPがハイレベルに移行したことに基づいて、NMOSトランジスタN2はオン状態になる。よって、時刻t1から、プリ放電回路1が動作を開始し、ノードS1の電位は、電源電圧VDDから低下し始める。言い換えると、ノードS1の電位は、時刻t1において立ち下がり始める。このとき、ノードS1の電位は、例えば単位時間当たり一定の大きさで低下する。ノードS1の電位の低下の程度は、抵抗R2の大きさ及びNMOSトランジスタN2の駆動能力に依存する。ノードS1の電位は、時刻t2まで起動電圧Vonに達しない。
【0044】
ノードS1の電位は時刻t1から低下を始めるが、時刻t1から時刻t2までの間において、ノードS1の電位は起動電圧Vonに達しない。このため、時刻t1から時刻t2までの間において、スイッチPMOSトランジスタP1はオフ状態であり、出力電圧VOUTは、接地電圧VSSである。
【0045】
このときのロードスイッチIC104の接続の一例を図6として示す。図6は、時刻t1と時刻t2との間における、第1実施形態に係るロードスイッチIC104の接続の状態の一例を示す回路図である。図6に示されるように、時刻t1から時刻t2までの間において、制御信号ENがハイレベルであるため、PMOSトランジスタP4はオフ状態である。
【0046】
時刻t1から時刻t2までの間において、遅延信号ENaがローレベルであるため、NMOSトランジスタN1は、オフ状態である。
【0047】
時刻t1から時刻t2までの間において、パルス信号ENPがハイレベルであるため、NMOSトランジスタN2は、オン状態である。同様に、パルス信号ENP_nがローレベルであるため、PMOSトランジスタP2は、オン状態である。
【0048】
具体的には、時刻t1において、NMOSトランジスタN2は、オン状態に移行をし始める。NMOSトランジスタN2は、オン状態になったことで、ノードS1に蓄積された電荷の放出を開始する。NMOSトランジスタN2は、抵抗R2を介してノードS1に蓄積された電荷を放出する。電荷が放出されることによって、ノードS1の電位は徐々に低下する。しかし、時刻t2までの間に、ノードS1の電位は起動電圧Vonには達しない。
【0049】
時刻t1から時刻t2までの間において、ノードS1の電位は起動電圧Vonに達しないため、スイッチPMOSトランジスタP1及びPMOSトランジスタP3はオフ状態である。スイッチPMOSトランジスタP1がオフ状態であるため、時刻t1から時刻t2までの間において、出力電圧VOUTは、接地電圧VSSである。
【0050】
図4に示されるように、時刻t3において、遅延回路31は、遅延信号ENaをハイレベルにする。このため、NMOSトランジスタN1がオンし、スルーレート制御回路2が動作を開始する。ここで、時刻t3は、時刻t1よりもΔtだけ後の時刻である。時刻t3は、時刻t2よりも僅かに後の時刻である。
【0051】
時刻t3において、OneShotPulse回路32は、パルス信号ENPをローレベルにする。一方、OneShotPulse回路32は、パルス信号ENP_nをハイレベルにする。このため、NMOSトランジスタN2はオフし、NMOSトランジスタN2によるノードS1の電位の制御は停止する。NMOSトランジスタN2をオフにする時刻は、時刻t3よりも後の時刻に設定されることもあり、この例については変形例で示される。
【0052】
時刻t3において、ノードS1の電位は、起動電圧Vonに達する。これにより、スイッチPMOSトランジスタP1がオンする。
【0053】
時刻t3から、ノードS1の電位は、スルーレート制御回路2の制御により、引き続き低下する。このとき、ノードS1の電位は、例えば単位時間当たり一定の大きさで低下する。ノードS1の電位の低下の程度は、抵抗R1の大きさ及びNMOSトランジスタN1の駆動能力に依存する。例えば、ノードS1の電位の単位時間当たりの低下量は、時刻t1から時刻t2までの間よりも時刻t3から時刻t5までの間の方が小さい。すなわち、ノードS1の電位の単位時間当たりの低下量は、プリ放電回路1を駆動させたときの方が、スルーレート制御回路2を駆動させたときよりも大きい。これは、ノードS1に、急激に起動電圧Von以下の電圧が印加され、アプリケーションモジュール105に急激に電流が流れ込むのを防ぐためである。詳細については後述される。
【0054】
スイッチPMOSトランジスタP1がオンしたことに基づいて、時刻t3から、出力電圧VOUTは、接地電圧VSSから上昇し始める。
【0055】
出力電圧VOUTの上昇は、時刻t3から時刻t4まで継続する。時刻t4において、出力電圧VOUTは、電圧Vmに上昇する。言い換えると、出力電圧VOUTは、時刻t3において立ち上がり始め、時刻t4において、電圧Vmに達する。電圧Vmは、アプリケーションモジュール105の有する負荷に依存する値である。このとき、出力電圧VOUTは、例えば単位時間当たり一定の大きさで上昇する。出力電圧VOUTは、時刻t4において電圧Vmに達した後は、電圧Vmを維持する。
【0056】
時刻t3からのノードS1の電位の低下は継続し、時刻t5において、接地電圧VSSに達する。
【0057】
このときのロードスイッチIC104の接続の一例を図7として示す。図7は、時刻t3から、時刻t5の後の時刻t6までの間における、第1実施形態に係るロードスイッチIC104の接続の状態の一例を示す回路図である。図7に示されるように、時刻t3から時刻t6までの間において、制御信号ENがハイレベルであるため、PMOSトランジスタP4はオフ状態である。
【0058】
時刻t3から時刻t6までの間において、遅延信号ENaがハイレベルであるため、NMOSトランジスタN1は、オン状態である。
【0059】
時刻t3において、NMOSトランジスタN1は、オン状態になったことで、ノードS1に蓄積された電荷の放出を開始する。NMOSトランジスタN1は、抵抗R1を介してードS1に蓄積された電荷を放出する。電荷が放出されることによって、ノードS1の電位は徐々に低下し、時刻t5において接地電圧VSSに達する。
【0060】
このように、第1実施形態に係るロードスイッチIC104は、プリ放電回路1によってノードS1の電位を起動電圧Vonまで引き下げ、その後にスルーレート制御回路2を動作させる。
【0061】
時刻t3から時刻t6までの間において、パルス信号ENPがローレベルであるため、NMOSトランジスタN2は、オフ状態である。同様に、パルス信号ENP_nがハイレベルであるため、PMOSトランジスタP2は、オフ状態である。仮に、NMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2がオンの状態で、PMOSトランジスタP3がオン状態となった場合、ノードVDDとノードVSSとの間に貫通電流が流れてしまう場合がある。第1実施形態に係るロードスイッチIC104は、時刻t3から時刻t6までの間において、NMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2をオフ状態にすることにより、貫通電流を抑制することが可能である。
【0062】
時刻t3において、ノードS1の電位が起動電圧Vonとなるため、スイッチPMOSトランジスタP1及びPMOSトランジスタP3はオン状態となる。その後、時刻t3から時刻t6までの間において、ノードS1の電位は下がり続けるため、スイッチPMOSトランジスタP1及びPMOSトランジスタP3は常にオン状態である。
【0063】
図4に示されるように、時刻t6において、マイクロコントローラ103は、制御信号ENをローレベルに移行し始める。制御信号ENがローレベルに移行したことに基づいて、PMOSトランジスタP4がオン状態になる。
【0064】
前述の通り、遅延信号ENaは、制御信号ENがハイレベルからローレベルに切り替わるときには、遅延信号Enから遅延しない。このため、制御信号ENがローレベルに移行したことに基づいて、遅延回路31は、遅延信号ENaをローレベルにする。遅延信号ENaがローレベルになったことに基づいて、NMOSトランジスタN1はオフ状態になる。
【0065】
仮に、遅延時間が生じてしまうと、NMOSトランジスタN1のオフがPMOSトランジスタP4のオンよりも遅くなり、ノードVDDとノードVSSとの間に貫通電流が生じ得る。第1実施形態に係るロードスイッチIC104は、制御信号ENがハイからローに切り替わるときには遅延時間を設けないことにより、貫通電流を抑制することが可能である。
【0066】
NMOSトランジスタN1がオフ状態になったことに基づき、ノードS1の電位は、電源電圧VDDに上昇する。
【0067】
電源電圧VDDに上昇することに基づいて、スイッチPMOSトランジスタP1がオフし、出力電圧VOUTは、接地電圧VSSに低下する。
【0068】
[1-3]第1実施形態の利点(効果)
以上で説明した第1実施形態に係るロードスイッチIC104によれば、ロードスイッチIC104がオン状態になる際に、アプリケーションモジュール105に急激に電流が流れ込むのを防ぎ、且つロードスイッチIC104の起動を速く行うことができる。以下では、第1実施形態に係るロードスイッチIC104の詳細な効果について説明される。
【0069】
ロードスイッチIC104が起動するまでに掛かる時間は、出力オン時間ton1と称される場合がある。「ロードスイッチIC104が起動する」とは、スイッチPMOSトランジスタP1がオンすることである。出力オン時間ton1は、制御信号ENがオンになってから、スイッチPMOSトランジスタP1がオンするまでに掛かる時間である。すなわち、ロードスイッチIC104の出力オン時間ton1は、時刻t1から時刻t3までの時間である。アプリケーションモジュール105に急激に電流が流れ込むとは、出力電流IOUTが急激に大きくなるということである。
【0070】
図8は、第1実施形態の比較例に係るロードスイッチIC111における回路構成の一例を示す。比較例に係るロードスイッチIC111は、主にプリ放電回路1、遅延回路31、及びOneShotPulse回路32を有しない点において第1実施形態に係るロードスイッチIC104(図3)と異なる。その他の構造については、ロードスイッチIC111は、ロードスイッチIC104とほぼ同様である。以下では、ロードスイッチIC111の構造について、ロードスイッチIC104と異なる点について主に説明される。各信号の詳細については、図9を参照して後述される。
【0071】
図8に示されるように、スイッチPMOSトランジスタP1のゲートは、ノードS1に接続される。スイッチPMOSトランジスタP1がオンのとき、アプリケーションモジュール105には出力電圧VOUTが印加され、出力電流IOUTが流れこむ。
【0072】
比較例に係るロードスイッチIC111のスルーレート制御回路2は、ロードスイッチIC104のスルーレート制御回路2と同様に、抵抗R1及びNMOSトランジスタN1を有する。NMOSトランジスタN1のゲートは、ノードS4から制御信号ENを受信する。NMOSトランジスタN1は、制御信号ENがハイレベルのときにオン状態となり、ローレベルのときにオフ状態となる。
【0073】
図9は、第1実施形態の比較例に係るロードスイッチIC111がオフからオンに切り替わるタイミングにおけるいくつかの信号の状態を時間に沿って示したタイミングチャートである。図9は、ロードスイッチIC111における制御信号EN、ノードS1の電位、及び出力電圧VOUTのタイミングチャートを示す。図9には、比較のために図4に示されたロードスイッチIC104におけるノードS1の電位及び出力電圧VOUTの状態を併せて示している。以下では、第1実施形態に係るロードスイッチIC104についての波形と異なる点について主に説明される。
【0074】
時刻t0以降から時刻t1の間において、制御信号ENがローレベルであるため、PMOSトランジスタP4はオン状態である。また、NMOSトランジスタN1は、オフ状態である。このため、第1実施形態と同じく、スイッチPMOSトランジスタP1はオフ状態であり、出力電圧VOUTは、例えば接地電圧VSSである。
【0075】
時刻t1において、マイクロコントローラ103は、制御信号ENをハイレベルに移行し始める。制御信号ENがハイレベルに移行したことに基づいて、NMOSトランジスタN1はオン状態になる。よって、時刻t1から、ノードS1の電位は、スルーレート制御回路2の制御により、電源電圧VDDから低下し始める。このとき、ノードS1の電位は、例えば単位時間当たり一定の大きさで低下する。ノードS1の電位の低下の程度は、抵抗R1の大きさ及びNMOSトランジスタN2の駆動能力に依存する。
【0076】
ノードS1の電位は時刻t1から低下を始めるが、時刻t1から時刻t2’までの間において、ノードS1の電位は起動電圧Vonに達しない。このため、時刻t1から時刻t2’までの間において、スイッチPMOSトランジスタP1はオフ状態であり、出力電圧VOUTは、接地電圧VSSである。
【0077】
時刻t1から時刻t2’までの間において、制御信号ENがハイレベルであるため、NMOSトランジスタN1は、オン状態である。具体的には、時刻t1において、NMOSトランジスタN1は、オン状態に移行し始める。NMOSトランジスタN1は、オン状態になったことで、ノードS1に蓄積された電荷の放出を開始する。電荷が放出されることによって、ノードS1の電位は徐々に低下する。しかし、時刻t2’までの間に、ノードS1の電位は起動電圧Vonには達しない。
【0078】
時刻t3’において、ノードS1の電位は、起動電圧Vonに達する。これにより、スイッチPMOSトランジスタP1がオンする。ここで、時刻t3’は、時刻t2’よりも僅かに後の時刻である。
【0079】
前述の通り、ノードS1の電位の単位時間当たりの低下量は、プリ放電回路1を駆動させたときの方が、スルーレート制御回路2を駆動させたときよりも大きい。ロードスイッチIC111は、スルーレート制御回路2によって、ノードS1の電位を低下させている。ロードスイッチIC104は、プリ放電回路1によって、ノードS1の電位を起動電圧Vonまで低下させている。このため、ロードスイッチIC111におけるノードS1の電位が起動電圧Vonに達する時刻t3’の方が、ロードスイッチIC104におけるノードS1の電位が起動電圧Vonに達する時刻t3よりも後の時刻である。このため、時刻t2’の方が、時刻t2よりも後の時刻である。
【0080】
時刻t3’において、制御信号ENがハイレベルであるため、NMOSトランジスタN1は、引き続きオン状態である。ノードS1の電位は、スルーレート制御回路2の制御により、引き続き低下する。時刻t1から時刻t5’までの間、ノードS1の電位は、例えば単位時間当たり一定の大きさで低下する。ノードS1の電位は、時刻t5’において、接地電圧VSSに達する。時刻t3よりも時刻t3’の方が後の時刻であるために、時刻t5’は、時刻t5よりも後の時刻である。
【0081】
このように、第1実施形態の比較例に係るロードスイッチIC111は、スルーレート制御回路2によってノードS1の電位を起動電圧Vonまで引き下げ、その後もスルーレート制御回路2を動作させる。
【0082】
ロードスイッチIC111は、時刻t1から時刻t5’までの間、スルーレート制御回路2に制御され、ロードスイッチIC104は、時刻t3から時刻t5までの間、スルーレート制御回路2に制御される。このため、ロードスイッチIC111の時刻t1から時刻t5’までの間と、ロードスイッチIC104の時刻t3から時刻t5までの間とにおいて、ノードS1の電位の単位時間当たりの低下量は、例えば同じである。
【0083】
スイッチPMOSトランジスタP1がオンしたことに基づいて、時刻t3’から、出力電圧VOUTは、接地電圧VSSから上昇し始める。出力電圧VOUTの上昇は、時刻t3’から時刻t4’まで継続する。出力電圧VOUTは、ロードスイッチIC104の時刻t3から時刻t4までの間と同じ単位時間当たりの上昇量で上昇する。
【0084】
このように、ロードスイッチIC111のノードS1の電位は、電源電圧VDDから、起動電圧Vonまで、スルーレート制御回路2に制御されて低下する。このため、ロードスイッチIC111のノードS1が起動電圧Vonに到達する時刻は、時刻t3よりも遅い時刻である時刻t3’である。時刻t3は、第1実施形態に係るロードスイッチIC104のノードS1が起動電圧Vonに到達する時刻である。すなわち、ロードスイッチIC111のノードS1の電位は、ロードスイッチIC104のノードS1の電位と比較して、起動電圧Vonに到達するまでの時間が長くなり得る。すなわちロードスイッチIC111は、ロードスイッチIC104と比較して、ロードスイッチICがオンするまでに掛かる時間が長くなり得る。言い換えると、ロードスイッチIC111は、ロードスイッチIC104と比較して、出力オン時間ton1が長くなり得る。
【0085】
前述の通り、スルーレート制御回路2は、出力電流IOUTが急激に増加しないよう、ノードS1に徐々に変化する電圧を印加する役割を有している。このため、出力オン時間ton1を短くするためにロードスイッチICからスルーレート制御回路2を除いた場合、出力電流IOUTが急激に増加し、アプリケーションモジュール105の故障等を引き起こし得る。
【0086】
これに対して、第1実施形態に係るロードスイッチIC104は、ロードスイッチIC内にプリ放電回路1及びスルーレート制御回路2を有している。プリ放電回路1は、スルーレート制御回路2と比較して、ノードS1の電位を下げる速度が速い。このため、第1実施形態に係るロードスイッチIC104は、プリ放電回路1を使用できる分、比較例のようにスルーレート制御回路2のみを使用する場合と比較して、出力オン時間ton1を短くすることが可能である。
【0087】
前述の通り、第1実施形態に係るロードスイッチIC104は、プリ放電回路1によってノードS1の電位を起動電圧Vonまで引き下げ、その後にスルーレート制御回路2を動作させる。プリ放電回路1によってノードS1の電位を引き下げるのは、ノードS1の電位が起動電圧Vonに達するまで、すなわちスイッチPMOSトランジスタP1がオンするまでである。このため、プリ放電回路1によって急速にノードS1の電位を引き下げたとしても、アプリケーションモジュール105に急激に出力電流IOUTが流れ込むことはない。
【0088】
ロードスイッチIC104は、ノードS1の電位が起動電圧Vonに達してからは、スルーレート制御回路2によってノードS1の電位を引き下げる。このため、緩やかにノードS1の電位を引き下げることができ、急激に出力電流IOUTが増加することを防ぎ得る。
【0089】
すなわちロードスイッチIC104は、ロードスイッチIC111と比較して、出力オン時間ton1を短くすることが可能であり、且つ出力電流IOUTが急激に増加することを防ぎ得る。
【0090】
これは、ロードスイッチIC104は、プリ放電回路1とスルーレート制御回路2とを有していることにより、出力オン時間ton1と、出力電流IOUTとを別々に制御することが可能であることに依る。具体的には、ロードスイッチIC104は、プリ放電回路1によって主に出力オン時間ton1を制御し、スルーレート制御回路2によって主に出力電流IOUTを制御している。こうすることで、ロードスイッチIC104は、出力オン時間ton1に依存することなく、出力電流IOUTを制御し得る。
【0091】
また、第1実施形態に係るロードスイッチIC104は、時刻t3から時刻t6までの間において、NMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2をオフ状態にすることにより、貫通電流を抑制することが可能である。第1実施形態に係るロードスイッチIC104は、貫通電流を抑制することで、省エネルギーに起動をすること可能である。
【0092】
[2]第1実施形態の変形例
(第1例)
上述した第1実施形態では、NMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2がオフになるタイミングと、NMOSトランジスタN1がオンになるタイミングとが同時刻(時刻t3)である場合について例示された。しかしながら、NMOSトランジスタN2、PMOSトランジスタP2、及びNMOSトランジスタN1の挙動は、これに限定されない。例えば、NMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2は、NMOSトランジスタN1がオンになってある程度時間が経過した後にオフ状態になってもよい。
【0093】
図10は、第1実施形態の変形例に係るロードスイッチIC104がオフからオンに切り替わるタイミングにおけるいくつかの信号の状態を時間に沿って示したタイミングチャートである。制御信号EN、遅延信号ENa、パルス信号ENP、パルス信号ENP_n、ノードS1の電位、及び出力電圧VOUTは、図4を引用して説明されたものと同様であるため、説明は省略される。
【0094】
上述した第1実施形態に係るロードスイッチIC104では、時刻t3においてパルス信号ENPのパルスがローレベルにされると共に、パルス信号ENP_nのパルスがハイレベルにされる場合について例示された。第1実施形態の変形例に係るロードスイッチIC104では、時刻txにおいてパルス信号ENPのパルスがローレベルにされると共に、パルス信号ENP_nのパルスがハイレベルにされる。時刻txは、時刻t3よりも遅く、時刻t4よりも早い時刻である。
【0095】
言い換えると、変形例に係るロードスイッチIC104において、パルス信号ENP及びパルス信号ENP_nのパルス幅は、パルス幅Δtxである。パルス幅Δtxは、遅延時間Δtよりも長い。すなわち、第1実施形態の変形例に係るロードスイッチIC104において、パルス信号ENP及びパルス信号ENP_nのパルス幅は、第1実施形態に係るロードスイッチIC104におけるパルス信号ENP及びパルス信号ENP_nのパルス幅よりも長い。
【0096】
前述の通り、OneShotPulse回路32は、パルス信号ENP及びENP_nのパルス幅を設定することによって、プリ放電回路1のNMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2をオンさせる時間を制御している。また、前述の通り、遅延回路31は、遅延時間Δtを設定することによって、スルーレート制御回路2のNMOSトランジスタN1をオンさせる時間を制御している。
【0097】
すなわち、第1実施形態の変形例では、NMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2がオフになるタイミング(時刻tx)は、NMOSトランジスタN1がオンになるタイミング(時刻t3)よりも後の時刻である。
【0098】
第1実施形態に係るロードスイッチIC104では、例えば時刻t3においてNMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2がオフになってから、NMOSトランジスタN1がオンになるまでの間に、意図しない遅延が生じる場合がある。意図しない理由とは、例えば信号を伝送する為の時間による遅延やトランジスタの性能のばらつき等である。この場合、スイッチPMOSトランジスタP1がプリ放電回路1によってオンしないことがある。
【0099】
変形例に係るロードスイッチIC104では、NMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2がオフする時刻を時刻t3から時刻txに遅らせることで、意図しない遅延に対してある程度のマージンを確保できる。すなわち、意図しない遅延が生じても、プリ放電回路1によってスイッチPMOSトランジスタP1をオンさせることができる。
【0100】
しかしながら、時刻t3から時刻txの間は、プリ放電回路1とスルーレート制御回路2の両方がノードS1の電位を引き下げる。また、時刻t3から時刻txの間は、NMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2がオン状態であると同時に、PMOSトランジスタP3もオン状態である。このため、ノードVDDとノードVSSとの間に貫通電流が生じ得る。これに対して、時刻txをできるだけ時刻t3に近い時刻にすることで貫通電流を抑制することができる。
【0101】
(第2例)
第1実施形態では、PMOSトランジスタP3の閾値電圧が、スイッチPMOSトランジスタP1の閾値電圧と同じ閾値電圧Vthpである場合について例示された。しかしながら、PMOSトランジスタP3の閾値電圧は、閾値電圧Vthpよりも低い値に設定される場合もある。
【0102】
前述の通り、PMOSトランジスタP3は、スイッチPMOSトランジスタP1とカレントミラーを構成している。このため、PMOSトランジスタP3がオンして電流が流れると、スイッチPMOSトランジスタP1にも電流が流れる。このときの電流が急激に大きくならないよう、すなわち出力電流IOUTを急激に増加させる要因にならないよう、制御する場合がある。
【0103】
第1実施形態の変形例に係るロードスイッチIC104において、PMOSトランジスタP3の閾値電圧は、閾値電圧Vthpよりも低い値に設定される。こうすることで、変形例に係るロードスイッチIC104は、PMOSトランジスタP3よりも先にスイッチPMOSトランジスタP1をオンさせることができる。スイッチPMOSトランジスタP1がオンした後(時刻t3以降)は、スルーレート制御回路2が作動しているため、出力電流IOUTが急激に増加しないように制御されている。すなわち、変形例に係るロードスイッチIC104は、スルーレート制御回路2が動作する前に、PMOSトランジスタP3がオンしない構造を有している。このため、変形例に係るロードスイッチIC104は、出力電流IOUTが急激に増加するリスクが低減され得る。
【0104】
また、変形例に係るロードスイッチIC104は、PMOSトランジスタP3及び(又は)スイッチPMOSトランジスタP1のゲート長及び(又は)ゲート幅を調整することによって、カレントミラー構造による出力電流IOUTが急激に増加するリスクを低減し得る。
【0105】
[3]第2実施形態
以下では、第2実施形態に係るロードスイッチIC104について説明される。第2実施形態に係るロードスイッチIC104は、第1実施形態に係るロードスイッチIC104と異なる。以下、第2実施形態のロードスイッチIC104は、第1実施形態のロードスイッチIC104との区別のために、ロードスイッチIC104bと称される場合がある。
【0106】
[3-1]ロードスイッチIC104bの構造
第2実施形態に係るロードスイッチIC104bは、主に遅延回路31の構造において第1実施形態に係るロードスイッチIC104と異なる。以下、第2実施形態の遅延回路31は、第1実施形態の遅延回路31との区別のために、遅延回路31bと称される場合がある。ロードスイッチIC104bにおける遅延回路31bは、OneShotPulse回路32と同期されている。その他の構造については、第2実施形態は、第1実施形態とほぼ同様である。以下では、第2実施形態に係るロードスイッチIC104bについて、第1実施形態と異なる点について主に説明される。
【0107】
遅延回路31bの構造について、図11を用いて説明される。図11は、第2実施形態に係るロードスイッチIC104bの構成例を示す回路図である。第1実施形態における遅延回路31と、OneShotPulse回路32とは、非同期に動作している。このため、遅延回路31は、あらかじめ設定された遅延時間Δtに基づいて動作し、遅延信号ENaを生成している。これに対して、第2実施形態における遅延回路31bは、OneShotPulse回路32から送信されたパルス信号ENP_nをトリガーに動作する。すなわち、遅延回路31bは、OneShotPulse回路32と同期されている。
【0108】
図11に示されるように、遅延回路31bは、フリップフロップ回路311及びANDゲート312を含む。各信号の詳細については、図12を参照して後述される。
【0109】
フリップフロップ回路311は、データ入力端Dに供給される信号及びパルス信号ENP_n等を基に生成される信号を出力端Qから出力する。以下、出力端Qから出力される信号は出力信号Qと称される場合がある。フリップフロップ回路311のデータ入力端Dは、電源電圧VDDのノードと接続される。フリップフロップ回路311のクロック入力端CKは、ノードS2に接続される。フリップフロップ回路311のクロック入力端CKは、OneShotPulse回路32から送信されたパルス信号ENP_nを受信する。パルス信号ENP_nは、フリップフロップ回路311内でクロック信号として使用される。フリップフロップ回路311は、パルス信号ENP_nがローレベルからハイレベルに切り替わるタイミングでデータ入力端Dに供給されているレベルを保持し、保持されているレベルを出力端Qから出力し、すなわち、出力信号Qをハイレベルに切り替える。ハイレベルに切り替えられた出力信号Qは、後述される条件によってフリップフロップ回路311内に保持されたデータがリセットされるまで、ハイレベルの状態を維持する。
【0110】
フリップフロップ回路311のリセット信号入力端CLRは、ノードS4から制御信号ENを受信する。フリップフロップ回路311は、リセット信号入力端CLRから受信した制御信号ENがローレベルになると、フリップフロップ回路311内に保持されたデータをリセットし、ローレベルの信号を出力し続ける。
【0111】
ANDゲート312の第1入力端は、ノードS4から制御信号ENを受信する。ANDゲート312の第2入力端は、フリップフロップ回路311から出力信号Qを受信する。ANDゲート312の出力端は、ノードS0に接続される。ANDゲート312は、第1入力端から受信した信号と、第2入力端から受信した信号の論理積である遅延信号ENbを出力端からノードS0に送信する。NMOSトランジスタN1のゲートは、ノードS0から遅延信号ENbを受信する。
【0112】
[3-2]動作
図12は、第2実施形態のロードスイッチIC104bがオフからオンに切り替わるタイミングにおけるいくつかの信号の状態を時間に沿って示したタイミングチャートである。制御信号EN、パルス信号ENP、パルス信号ENP_n、ノードS1の電位、及び出力電圧VOUTは、図4を引用して説明されたものと同様であるため、説明は省略される。以下では、遅延信号ENb及び出力信号Qについて主に述べられる。
【0113】
時刻t0において、フリップフロップ回路311は、リセットされた状態にあり、出力信号Qをローレベルに維持する。時刻t0において、制御信号ENがローレベルであり、且つ出力信号Qがローレベルであるため、ANDゲート312は、遅延信号ENbをローレベルに維持する。
【0114】
時刻t1において、マイクロコントローラ103は、制御信号ENをハイレベルに移行し始める。時刻t1において、フリップフロップ回路311は、リセットされた状態にあり、出力信号Qをローレベルに維持する。時刻t1より後で且つ時刻t2より前までの期間において、制御信号ENがハイレベルであり、且つ出力信号Qがローレベルであるため、ANDゲート312は、遅延信号ENbをローレベルに維持する。
【0115】
時刻t2において、パルス信号ENP_nは、ローレベルである。このため、出力信号Qはローレベルである。時刻t2において、制御信号ENがハイレベルであり、且つ出力信号Qがローレベルであるため、ANDゲート312は、遅延信号ENbをローレベルに維持する。
【0116】
時刻t3において、パルス信号ENP_nは、ローレベルからハイレベルに切り替わる。前述の通り、フリップフロップ回路311は、パルス信号ENP_nがローレベルからハイレベルに切り替わるときに、出力信号Qをハイレベルに切り替える。このため、時刻t3において、出力信号Qは、ローレベルからハイレベルに移行する。
【0117】
時刻t3において、制御信号ENがハイレベルであり、且つ出力信号Qがハイレベルであるため、ANDゲート312は、遅延信号ENbをハイレベルに移行する。
【0118】
時刻t6において、マイクロコントローラ103は、制御信号ENをローレベルに移行し始める。前述の通り、フリップフロップ回路311は、受信した制御信号ENがローレベルに移行すると、出力信号Qをローレベルに維持する。制御信号ENがローレベルに移行したことに基づいて、フリップフロップ回路311は、出力信号Qをハイレベルからローレベルに移行する。このとき、制御信号ENがローレベルであり、且つ出力信号Qがローレベルであるため、ANDゲート312は、遅延信号ENbをローレベルに維持する。
【0119】
以上のように、遅延信号ENbのタイミングチャートは、遅延信号ENaのタイミングチャートと同様である。このため、ノードS1の電位及び出力電圧VOUTのタイミングチャート、並びに各トランジスタの挙動は、図4を引用して説明されたものと同様であり、説明は省略される。
【0120】
[3-3]第2実施形態の利点(効果)
以上で説明した第2実施形態に係るロードスイッチIC104bによれば、第1実施形態と同様に、ロードスイッチIC104bの出力オン時間ton1を短くすることが可能であり、且つ出力電流IOUTが急激に増加することを防ぎ得る。更に、第2実施形態に係るロードスイッチIC104bによれば、スルーレート制御回路2を駆動させるタイミングを、プリ放電回路1の挙動と同期させることができる。
【0121】
まず、第2実施形態に係るロードスイッチIC104bによれば、第1実施形態と同様に、プリ放電回路1とスルーレート制御回路2とを有していることにより、出力オン時間ton1に依存することなく、出力電流IOUTを制御し得る。このため、ロードスイッチIC104bは、第1実施形態と同様に、ロードスイッチIC111と比較して、出力オン時間ton1を短くすることが可能であり、且つ出力電流IOUTが急激に増加することを防ぎ得る。
【0122】
また、第2実施形態に係るロードスイッチIC104bによれば、第1実施形態と同様に、時刻t3から時刻t6までの間において、NMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2をオフ状態にすることにより、貫通電流を抑制することが可能である。第1実施形態に係るロードスイッチIC104は、貫通電流を抑制することで、省エネルギーに起動をすることが可能である。
【0123】
また、第1実施形態における遅延回路31と、OneShotPulse回路32とは、非同期に動作している。このため、遅延回路31は、変形例のようにマージンを考慮した場合、スルーレート制御回路2と、プリ放電回路1との両方が、ノードS1の電位を引き下げることがある。
【0124】
これに対して、第2実施形態におけるロードスイッチIC104bは、スルーレート制御回路2を駆動させるタイミングを、プリ放電回路1の挙動と同期させることができる。前述の通り、第2実施形態における遅延回路31bは、OneShotPulse回路32から送信されたパルス信号ENP_nをトリガーに動作する。パルス信号ENP_nをトリガーとして動作することにより、遅延回路31bは、時刻t3においてNMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2をオフにすることと、NMOSトランジスタN1をオンにすることとを、同期させることができる。
【0125】
このため、第2実施形態におけるロードスイッチIC104bは、第1実施形態の変形例のように、パルス信号ENP_nのパルス幅Δtxと、遅延信号ENaの遅延時間Δtとを調整する必要がない。
【0126】
結果として、第2実施形態におけるロードスイッチIC104bは、スルーレート制御回路2と、プリ放電回路1との両方が、ノードS1の電位を引き下げる状況を防ぎ得る。すなわち、ロードスイッチIC104bによれば、第1実施形態に係るロードスイッチIC104よりも、出力電流IOUTが急激に増加することを効果的に防ぎ得る。
【0127】
また、ロードスイッチIC104bによれば、NMOSトランジスタN2及びPMOSトランジスタP2がオンであるのと同時に、PMOSトランジスタP3もオン状態となることはない。このため、ノードVDDとノードVSSとの間に貫通電流が生じることを防ぎ得る。
【0128】
[4]その他の変形例等
第1乃至第2実施形態において、ロードスイッチIC104及び104bの構造はその他の構造であってもよい。
【0129】
本明細書において“接続”は、電気的に接続されている事を示し、例えば間に別の素子を介することを除外しない。“電気的に接続される”は、電気的に接続されたものと同様に動作することが可能であれば、絶縁体を介していてもよい。
【0130】
略同じ時刻とは、例えば、信号を伝送する為の時間等の意図しない遅延が生じた場合における誤差を含んだ時刻である。
【0131】
本発明の第1乃至第2実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。第1乃至第2実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。第1乃至第2実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
1…プリ放電回路、2…スルーレート制御回路、3…コントロール回路、31,31b…遅延回路、32…OneShotPulse回路、100…電化製品、101…コンバータ、102…コンバータ、103…マイクロコントローラ、105…アプリケーションモジュール、200…外部電源、300…システム、311…フリップフロップ回路、312…ANDゲート、104,104b…ロードスイッチIC、N1,N2…NMOSトランジスタ、P1…スイッチPMOSトランジスタ、P2~P4…PMOSトランジスタ、R1,R2…抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12