(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012229
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20230118BHJP
【FI】
G06Q40/00 410
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115750
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】513056101
【氏名又は名称】フリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高木 悟
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】税務申告に対応するための複雑な情報の要/不要を判定し、より簡便に税務申告をすることを可能にする技術を提供する。
【解決手段】税務申告サービス提供システム1のサーバ20は、その機能として、ユーザに対してあらかじめ設定されている質問と、その質問に対する回答の選択肢とを提示する質問提示モジュール2033と、質問に対する回答を受け付ける回答受付モジュール2034と、質問に対する回答に基づいて定められる申告書データの種類、及び記載項目を判定する申告内容判定モジュール2035と、判定結果に基づく申告書データを作成する申告書データ作成モジュール2036と、作成した申告書データをユーザに提示する申告書データ提示モジュール2037と、申告書データを所定の所轄官庁へ提出する税務申告モジュール2038と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させ、税務申告サービスを支援するためのプログラムであって、
前記メモリには、ユーザの事業に係る会計データが登録され、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記ユーザに対して、前記税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、前記質問に対する選択肢とを提示するステップと、
前記ユーザから、前記質問に対する選択肢の回答を受け付けるステップと、
前記選択肢の回答に基づいて定められる、前記ユーザの前記税務申告に必要な申告書データの種類及び記載項目を判定するステップと、
前記ユーザの事業に係る会計データから、前記判定の結果である、前記記載項目に記載する記載データを抽出し、前記記載項目へ前記記載データを入力して前記ユーザの申告書データを作成するステップと、
前記ユーザに対して、作成した前記ユーザの申告書データを提示するステップと、
前記ユーザからの指示により、前記申告書データを所定の所轄官庁へ提出するステップと、を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記プログラムは、さらに、
前記判定の結果である、前記ユーザの申告書データの種類及び前記記載項目を、前記ユーザに対して提示するステップを実行させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記判定の結果を前記ユーザに対して提示するステップにおいて、前記ユーザの申告書データを模した作成途中申告書データを提示する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記作成途中申告書データを提示するステップにおいて、前記作成途中申告書データにおける前記記載項目へ前記記載データを入力し、前記作成途中申告書データを提示する、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記作成途中申告書データを提示するステップにおいて、前記ユーザに対して、前記作成途中申告書データにおける前記記載項目への入力を促す、請求項3または請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記作成途中申告書データを提示するステップにおいて、前記ユーザに対して、前記作成途中申告書データにおける前記記載項目への入力データの選択を促し、前記入力データを読み取って前記記載項目へ入力する、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記プログラムは、さらに、
前記ユーザの申告書データにおける、前記記載項目へ入力された前記記載データについての正当性チェックを行うステップを実行させる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記正当性チェックを行うステップにおいて、前記記載データが金額の場合、前記記載データの金額についての正当性チェックを行う、請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記正当性チェックを行うステップにおいて、前記記載データが金額の場合、前記記載データの金額が正の値であること、または負の値であることについての正当性チェックを行う、請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
制御部と、記憶部とを備え、税務申告サービスを支援する情報処理装置であって、
前記記憶部には、ユーザの事業に係る会計データが登録され、
前記制御部は、
前記ユーザに対して、前記税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、前記質問に対する選択肢とを提示するステップと、
前記ユーザから、前記質問に対する選択肢の回答を受け付けるステップと、
前記選択肢の回答に基づいて定められる、前記ユーザの前記税務申告に必要な申告書データの種類及び記載項目を判定するステップと、
前記ユーザの事業に係る会計データから、前記判定の結果である、前記記載項目に記載する記載データを抽出し、前記記載項目へ前記記載データを入力して前記ユーザの申告書データを作成するステップと、
前記ユーザに対して、作成した前記ユーザの申告書データを提示するステップと、
前記ユーザからの指示により、前記申告書データを所定の所轄官庁へ提出するステップと、を実行する、情報処理装置。
【請求項11】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータにより実行され、税務申告サービスを支援するための方法であって、
前記メモリには、ユーザの事業に係る会計データが登録され、
前記方法は、前記プロセッサが、
前記ユーザに対して、前記税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、前記質問に対する選択肢とを提示するステップと、
前記ユーザから、前記質問に対する選択肢の回答を受け付けるステップと、
前記選択肢の回答に基づいて定められる、前記ユーザの前記税務申告に必要な申告書データの種類及び記載項目を判定するステップと、
前記ユーザの事業に係る会計データから、前記判定の結果である、前記記載項目に記載する記載データを抽出し、前記記載項目へ前記記載データを入力して前記ユーザの申告書データを作成するステップと、
前記ユーザに対して、作成した前記ユーザの申告書データを提示するステップと、
前記ユーザからの指示により、前記申告書データを所定の所轄官庁へ提出するステップと、を実行する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業等の事業者に対して税務申告サービスを提供して申告書の作成を支援し、作成した申告書の電子データである申告書データを所定の所轄官庁(例えば、国税庁)へ提出するWebサービスが提供されている。
【0003】
税務申告サービスを提供するサービスについては、顧問先から依頼を受け、会計事務所で会計処理を行うためのシステムとして、取引の入力に際しての会計基準や税法上の取り扱い等に関する注意事項等の指摘事項について、例えば顧問先に対して指導を行うことが可能な会計処理システムについての技術が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、企業等の事業者は、税務申告に対応するため、申告に必要な情報を取得しているが、非常に煩雑な作業となっている。特に2月から3月頃の確定申告の時期は、担当者の負荷が非常に高くなっている。そのため、より簡便に税務申告をすることが可能な技術が求められている。
【0006】
一方、企業の規模や事業形態によっては、税務申告に対応するための複雑な情報は不要であり、煩雑な作業は必要ないのが現状である。このような場合、当該企業の会計データがあれば、税務申告に必要な申告書を作成することは可能である。
【0007】
そこで、本開示では、税務申告に対応するための複雑な情報の要/不要を判定し、より簡便に税務申告をすることを可能にする技術について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態によると、プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させ、税務申告サービスを支援するためのプログラムが提供される。メモリには、ユーザの事業に係る会計データが登録される。プログラムは、プロセッサに、ユーザに対して、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、質問に対する選択肢とを提示するステップと、ユーザから、質問に対する選択肢の回答を受け付けるステップと、選択肢の回答に基づいて定められる、ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類及び記載項目を判定するステップと、ユーザの事業に係る会計データから、判定の結果である、記載項目に記載する記載データを抽出し、記載項目へ記載データを入力してユーザの申告書データを作成するステップと、ユーザに対して、作成したユーザの申告書データを提示するステップと、ユーザからの指示により、申告書データを所定の所轄官庁へ提出するステップと、を実行させる。
【0009】
本開示の一実施形態によると、制御部と、記憶部とを備え、税務申告サービスを支援する情報処理装置が提供される。記憶部には、ユーザの事業に係る会計データが登録される。制御部は、ユーザに対して、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、質問に対する選択肢とを提示するステップと、ユーザから、質問に対する選択肢の回答を受け付けるステップと、選択肢の回答に基づいて定められる、ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類及び記載項目を判定するステップと、ユーザの事業に係る会計データから、判定の結果である、記載項目に記載する記載データを抽出し、記載項目へ記載データを入力してユーザの申告書データを作成するステップと、ユーザに対して、作成したユーザの申告書データを提示するステップと、ユーザからの指示により、申告書データを所定の所轄官庁へ提出するステップと、を実行する。
【0010】
また、本開示の一実施形態によると、プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行され、税務申告サービスを支援するための方法が提供される。メモリには、ユーザの事業に係る会計データが登録される。方法は、プロセッサが、ユーザに対して、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、質問に対する選択肢とを提示するステップと、ユーザから、質問に対する選択肢の回答を受け付けるステップと、選択肢の回答に基づいて定められる、ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類及び記載項目を判定するステップと、ユーザの事業に係る会計データから、判定の結果である、記載項目に記載する記載データを抽出し、記載項目へ記載データを入力してユーザの申告書データを作成するステップと、ユーザに対して、作成したユーザの申告書データを提示するステップと、ユーザからの指示により、申告書データを所定の所轄官庁へ提出するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ユーザに対して、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問とその質問に対する選択肢とを提示し、回答を受け付ける。その回答に基づいてユーザの税務申告に必要な申告書データの種類及び記載項目を判定し、会計データから申告書データを作成する。そのため、1問1答形式で、税務申告に必要な申告書データの作成が可能になる。これにより、より簡便に税務申告をすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1の税務申告サービス提供システム1の全体の構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1の税務申告サービス提供システム1を構成する端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1の税務申告サービス提供システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。
【
図4】サーバ20が記憶する質問内容データベース2021、申告書データベース2022のデータ構造の例を示す図である。
【
図5】サーバ20が記憶する会計データベース2023のデータ構造の例を示す図である。
【
図6】実施の形態1の税務申告サービス提供システム1による申告書作成処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態1の税務申告サービス提供システム1による税務申告処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】端末装置10に表示する質問提示の画面例を示す図である。
【
図9】端末装置10に表示する質問回答を表示する画面例を示す図である。
【
図10】実施の形態2の税務申告サービス提供システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
<概要>
以下、本開示に係る税務申告サービス提供システムについて説明する。この税務申告サービス提供システムは、企業等の事業者に対して税務申告サービスを支援するためのシステムである。税務申告サービスとは、具体的には、企業における法人税、消費税、所得税、従業員の年末調整について、確定申告書等の法定調書及び申告届出書の電子申告に対応したサービスである。
【0015】
本開示に係る税務申告サービス提供システムは、上記のように税務申告サービスを提供する機能を単独で提供するシステムに限られず、1または複数の事業者に係る会計処理全般のサービスを提供するシステムであってもよい。例えば、企業等の事業者の取引に係る費用や入出金の情報を仕訳として生成して会計処理を行い、確定申告書等の作成を行う税務申告サービスの機能も備えた会計サービスを提供するシステムとして提供してもよい。また、本開示に係る税務申告サービス提供システムは、例えばクラウドサーバ等によりWebサービスとして、いわゆるSaaS(Software as a Service)によって提供されるシステムであり、企業等の事業者における管理者や担当者であるユーザが所定の認証によりアクセス可能に構成されている。
【0016】
上記のように、企業等の事業者は、税務申告に対応するため、申告に必要な情報を取得しているが、非常に煩雑な作業となっている。特に2月から3月頃の確定申告の時期は、担当者の負荷が非常に高くなっている。そのため、より簡便に税務申告をすることが可能な技術が求められている。一方、企業の規模や事業形態によっては、税務申告に対応するための複雑な情報は不要であり、煩雑な作業は必要ないのが現状である。具体的には、資本金が一千万円程度の企業等であれば、税務申告に対応するための複雑な情報は不要であるのが現状である。このような場合、当該企業の会計データを取得することができれば、税務申告に必要な申告書を作成することは可能である。
【0017】
そのため、本開示に係る税務申告サービス提供システムは、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、その質問に対する選択肢とをユーザに対して提示し、回答を受け付ける。そして、ユーザからの回答に基づいて、当該ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類、及びその申告書データにおける記載項目を判定し、申告書データを作成するように構成されている。すなわち、本開示に係る税務申告サービス提供システムは、1問1答形式で、税務申告に必要な申告書データの作成を可能にするシステムである。
【0018】
また、本開示に係る税務申告サービス提供システムは、ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類、及びその申告書データにおける記載項目について、申告書データを作成する。さらに、この税務申告サービス提供システムは、当該申告書データを所定の所轄官庁(例えば、国税庁)へ提出できるように構成されている。
【0019】
上記のような構成により、企業等の事業者における税務申告について、より簡便に税務申告をすることを可能にしている。
【0020】
<第1の実施の形態>
以下、税務申告サービス提供システム1について説明する。以下の説明では、例えば、端末装置10がサーバ20へアクセスすることにより、サーバ20が、端末装置10で画面を生成するための情報を応答する。端末装置10は、サーバ20から受信した情報に基づいて画面を生成し表示する。
【0021】
<1 税務申告サービス提供システム1の全体構成>
図1は、実施の形態1の税務申告サービス提供システム1の全体の構成を示す図である。
図1に示すように、税務申告サービス提供システム1は、複数の端末装置(
図1では、端末装置10A及び端末装置10Bを示している。以下、総称して「端末装置10」ということもある)と、サーバ20と、外部サーバ30とを含む。端末装置10とサーバ20と外部サーバ30とは、ネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク80は、有線または無線ネットワークにより構成される。
【0022】
端末装置10は、各ユーザが操作する装置である。ここで、ユーザとは、端末装置10を使用して税務申告サービス提供システム1の機能である、税務申告サービスを利用する企業等の事業者における管理者や担当者等をいう。端末装置10は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPC等により実現される。この他、端末装置10は、例えば移動体通信システムに対応したタブレットや、スマートフォン等の携帯端末であるとしてもよい。
【0023】
端末装置10は、ネットワーク80を介してサーバ20と通信可能に接続される。端末装置10は、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格に対応した無線基地局81、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11等の無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ82等の通信機器と通信することにより、ネットワーク80に接続される。
図1に端末装置10Bとして示すように、端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。
【0024】
通信IF12は、端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、キーボードや、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス等)である。出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。メモリ15は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。記憶部16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0025】
サーバ20は、税務申告サービスを提供するためにあらかじめ設定されている質問及びその質問に対する選択肢と、申告書データに関する情報と、顧客である企業等の会計データとを管理する装置である。サーバ20は、企業等の事業者における管理者や担当者であるユーザに対して、あらかじめ設定されている質問、及びその質問に対する選択肢を提示し、回答を受け付けて申告書データを作成する。また、サーバ20は、当該申告書データを所定の所轄官庁(例えば、国税庁)の外部サーバ30へ提出する。
【0026】
サーバ20は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0027】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、及び、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。メモリ25は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。ストレージ26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0028】
外部サーバ30は、税務申告データを受け付ける所定の所轄官庁、例えば、国税庁が提供、管理するサーバ装置であり、申告書データを受け付けて税務に係る各種処理を行う装置である。外部サーバ30は、ユーザに対して所定の認証を行い、申告書データを税務申告書類データとして受け付ける。外部サーバ30は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。
【0029】
<1.1 端末装置10の構成>
図2は、実施の形態1の税務申告サービス提供システム1を構成する端末装置10の機能的な構成を示すブロック図である。
図2に示すように、端末装置10は、複数のアンテナ(アンテナ111、アンテナ112)と、各アンテナに対応する無線通信部(第1無線通信部121、第2無線通信部122)と、操作受付部130(キーボード131及びマウス132を含む)と、音声処理部140と、マイク141と、スピーカ142と、ディスプレイ150と、記憶部160と、制御部170とを含む。端末装置10は、
図2では特に図示していない機能及び構成(例えば、電力を保持するためのバッテリー、バッテリーから各回路への電力の供給を制御する電力供給回路等)も有している。
図2に示すように、端末装置10に含まれる各ブロックは、バス等により電気的に接続される。
【0030】
アンテナ111は、端末装置10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ111は、空間から電波を受信して受信信号を第1無線通信部121へ与える。
【0031】
アンテナ112は、端末装置10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ112は、空間から電波を受信して受信信号を第2無線通信部122へ与える。
【0032】
第1無線通信部121は、端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ111を介して信号を送受信するための変復調処理等を行う。第2無線通信部122は、端末装置10が他の無線機器と通信するため、アンテナ112を介して信号を送受信するための変復調処理等を行う。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、チューナー、RSSI(Received Signal Strength Indicator)算出回路、CRC(Cyclic Redundancy Check)算出回路、高周波回路等を含む通信モジュールである。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、端末装置10が送受信する無線信号の変復調や周波数変換を行い、受信信号を制御部170へ与える。
【0033】
操作受付部130は、ユーザの入力操作を受け付けるための機構を有する。具体的には、操作受付部130は、キーボード131と、マウス132とを含む。なお、操作受付部130は、例えば静電容量方式のタッチパネルを用いることによって、タッチパネルに対するユーザの接触位置を検出する、タッチスクリーンとして構成してもよい。
【0034】
キーボード131は、端末装置10のユーザの入力操作を受け付ける。キーボード131は、文字入力を行う装置であり、入力された文字情報を入力信号として制御部170へ出力する。
【0035】
マウス132は、端末装置10のユーザの入力操作を受け付ける。マウス132は、ディスプレイ150に表示されている表示物を選択等するためのポインティングデバイスであり、画面上で選択された位置情報と、ボタン押下されていることを示す情報とを入力信号として制御部170へ出力する。
【0036】
音声処理部140は、音声信号の変復調を行う。音声処理部140は、マイク141から与えられる信号を変調して、変調後の信号を制御部170へ与える。また、音声処理部140は、音声信号をスピーカ142へ与える。音声処理部140は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク141は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部140へ与える。スピーカ142は、音声処理部140から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を端末装置10の外部へ出力する。
【0037】
ディスプレイ150は、制御部170の制御に応じて、画像、動画、テキスト等のデータを表示する。ディスプレイ150は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイによって実現される。
【0038】
記憶部160は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、端末装置10が使用するデータ及びプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部160は、ユーザ情報161を記憶する。
【0039】
ユーザ情報161は、端末装置10を使用して税務申告サービス提供システム1の機能である税務申告サービスを利用する、企業等の事業者における管理者や担当者であるユーザの情報である。ユーザ情報としては、ユーザを識別する情報(ユーザID)、ユーザの氏名、ユーザが所属している企業等の組織情報及び所属情報等が含まれる。
【0040】
制御部170は、記憶部160に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、端末装置10の動作を制御する。制御部170は、例えば予め端末装置10にインストールされているアプリケーションである。制御部170は、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部171と、送受信部172と、データ処理部173と、通知制御部174としての機能を発揮する。
【0041】
入力操作受付部171は、キーボード131等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。
【0042】
送受信部172は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0043】
データ処理部173は、端末装置10が入力を受け付けたデータに対し、プログラムに従って演算を行い、演算結果をメモリ等に出力する処理を行う。
【0044】
通知制御部174は、ユーザに対し情報を提示する処理を行う。通知制御部174は、表示画像をディスプレイ150に表示させる処理、音声をスピーカ142に出力させる処理等を行う。
【0045】
<1.2 サーバ20の機能的な構成>
図3は、実施の形態1の税務申告サービス提供システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。
図3に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0046】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0047】
記憶部202は、サーバ20が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部202は、質問内容データベース2021と、申告書データベース2022と、会計データベース2023等を記憶する。
【0048】
質問内容データベース2021は、税務申告サービス提供システム1にあらかじめ設定されている税務申告に関する質問、具体的にはユーザの事業や個人としての給与等についての質問、その質問に対する選択肢の情報、選択肢の回答に応じた具体的な対応についての情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0049】
申告書データベース2022は、税務申告サービス提供システム1で使用する税務申告書のフォーマットデータを保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0050】
会計データベース2023は、税務申告サービス提供システム1を利用する事業者の各種取引に係る会計情報、具体的には企業等に係る仕訳の情報を保持するためのデータベースである。当該会計データは、税務申告サービス提供システム1が提供する会計サービスが保持する会計データでもよく、外部の会計サービスから取得した会計データでもよい。詳細は後述する。
【0051】
制御部203は、サーバ20のプロセッサ29がプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、質問提示モジュール2033、回答受付モジュール2034、申告内容判定モジュール2035、申告書データ作成モジュール2036、申告書データ提示モジュール2037、及び税務申告モジュール2038に示す機能を発揮する。
【0052】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0053】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0054】
質問提示モジュール2033は、税務申告サービス提供システム1を使用するユーザである企業等の事業者における管理者や担当者に対して、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、その質問に対する回答の選択肢とを提示する処理を制御する。質問提示モジュール2033が提示する、あらかじめ設定されている質問とは、例えば、当該ユーザの企業等における当年度の事業状況についての質問や、特定の取引を行っているか否か、当該ユーザが個人である場合に他の事業者から給与を受け取っているか否か、等の質問であり、税務申告の種類等を判定するために必要な質問事項である。また、質問に対する回答の選択肢とは、当該質問に対して該当するか否かを回答する選択肢(例えば、該当することを示す「○」や「はい」等、該当しないことを示す「×」や「いいえ」等)、当該質問に対する範囲を選択する選択肢(例えば、「○○万円以上」、「○○万円未満」等)であるが、このような選択肢に限られず、ユーザが選択して回答可能なものであればよい。
【0055】
質問提示モジュール2033は、例えば、質問内容データベース2021に格納されている質問及びその質問に対する選択肢を読み取り、ユーザの端末装置10へ送信することでユーザに提示する。
【0056】
回答受付モジュール2034は、ユーザが端末装置10を操作して、質問提示モジュール2033が提示した質問に対する選択肢から回答を選択するので、端末装置10から送信された当該質問に対する選択肢の回答を受け付ける処理を制御する。ユーザは、端末装置10に表示された質問に対する選択肢から、マウス132でクリックする操作等により自己の状況に当てはまるものを回答し、端末装置10が当該選択肢の情報を送信するので、回答受付モジュール2034はその選択肢の情報を受け付ける。
【0057】
申告内容判定モジュール2035は、回答受付モジュール2034が受け付けた、税務申告に関する質問に対する選択肢の回答に基づいて定められる、当該ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類、及び記載項目を判定する処理を制御する。税務申告に必要な申告書データの種類とは、ユーザの企業における法人税を申告するための法人税、消費税及び地方法人税の申告書の各種申告書データ、法人税申告書別表等の申告書データ、個人所得税の各種申告書データ等の種類である。申告内容判定モジュール2035は、ユーザの回答内容から、これらの申告書データの中から必要な申告書データの種類を判定し、さらに、当該申告書データに設定されている記載項目の中から必要な記載項目を判定する。
【0058】
申告内容判定モジュール2035は、例えば、質問内容データベース2021に格納されている、選択肢の回答に応じた具体的な対応についての情報を読み取り、ユーザの回答内容から必要な申告書データの種類を判定し、申告書データに設定されている必要な記載項目を判定する。
【0059】
申告書データ作成モジュール2036は、ユーザの事業に係る会計データから、申告内容判定モジュール2035の判定結果に基づく申告書データを作成する処理を制御する。申告書データ作成モジュール2036は、申告内容判定モジュール2035の判定結果に基づく申告書データの記載項目に対して、当該ユーザである事業者の取引に係る費用や入出金の情報(仕訳)を会計データベース2023から取得し、その会計データから記載項目に記載すべき記載データを抽出し、申告書データの記載項目へ入力することで申告書データを作成する。このとき、申告書データ作成モジュール2036は、会計データから当該企業における法人税、消費税、所得税、従業員の年末調整について、確定申告書等の法定調書及び申告届出書の電子申告に必要な申告書データを作成する。
【0060】
申告書データ作成モジュール2036は、例えば、申告書データベース2022に格納されている、XML形式やPDF形式である税務申告書のフォーマットデータの各項目に対して、会計データから取得、集計した各種データ、及び顧客企業の各種情報を入力することで、自動生成により申告書データを作成する。
【0061】
ある局面において、申告書データ作成モジュール2036は、申告内容判定モジュール2035の判定結果に基づく申告書データの種類及び記載項目をユーザに対して提示し、作成した申告書データ及び記載項目を、ユーザに対して提示してもよい。また、申告書データ作成モジュール2036は、作成する申告書データを模したXML形式等の税務申告書のフォーマットデータ(作成途中申告書データ)をユーザに対して提示し、そのフォーマットデータに対して記載データを入力することで申告書データを作成し、ユーザに提示してもよい。
【0062】
また、ある局面において、申告書データ作成モジュール2036は、作成した申告書データの記載項目への記載データについて、正当性チェックを行ってもよい。記載データについての正当性チェックとは、例えば、当該記載項目に記載すべき記載データの属性(日時情報、金額の数値情報等)が正しいことのチェックや、その数値が金額の場合、記載データの金額が正の値であること、または負の値であることが正当であるか否かのチェックである。この正当性チェックは、例えば、申告書データベース2022のフォーマットデータに正当性チェックの基準を格納しておき、その基準に基づいてチェックを行ってもよい。この正当性チェックの結果は、申告書データを模したXML形式等の税務申告書のフォーマットデータに示すことにより、ユーザに提示してもよい。
【0063】
申告書データ提示モジュール2037は、申告書データ作成モジュール2036が作成した申告書データを、ユーザに提示する処理を制御する。申告書データ提示モジュール2037は、XML形式やPDF形式である申告書データに記載データを入力して作成した同形式の申告書データを、ユーザが操作する端末装置10へ送信し、端末装置10に表示させることでユーザに提示する。また、申告書データ提示モジュール2037は、申告書データ作成モジュール2036による正当性チェックの結果をユーザに提示してもよく、正当ではない場合、取得した会計データがどのように正当ではないかをユーザに提示してもよく、取得した会計データをユーザに提示してもよい。
【0064】
税務申告モジュール2038は、ユーザの指示により、申告書データ作成モジュール2036が作成した申告書データを、所定の所轄官庁(例えば、国税庁)へ提出する処理を制御する。税務申告モジュール2038は、申告書データの作成を指示した(質問提示モジュール2033からの質問に回答した)申告書データを提出してもよく、他のユーザ、例えば当該ユーザとは別の承認者の指示により申告書データを提出してもよい。税務申告モジュール2038は、作成された申告書データを、電子申告により外部サーバ30へ提出する。
【0065】
<2 データ構造>
図4は、サーバ20が記憶する質問内容データベース2021、申告書データベース2022のデータ構造の例を示す図である。また、
図5は、サーバ20が記憶する会計データベース2023のデータ構造の例を示す図である。
【0066】
図4に示すように、質問内容データベース2021のレコードのそれぞれは、項目「質問ID」と、項目「質問内容」と、項目「回答別対応情報」等を含む。
【0067】
項目「質問ID」は、税務申告サービス提供システム1にてユーザに提示する、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問それぞれを識別する情報である。
【0068】
項目「質問内容」は、税務申告サービス提供システム1にてユーザに提示する、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問の内容を示す情報である。
【0069】
項目「回答別対応情報」は、税務申告サービス提供システム1にてユーザに提示する質問に対する回答の選択肢と、その選択肢に基づいて定められる、当該ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類、及び記載項目に関する情報であり、具体的には、項目「回答内容」と、項目「対応内容」と、項目「項目」と、項目「取得データ」等を含む。
【0070】
項目「回答内容」は、税務申告サービス提供システム1にてユーザに提示する質問に対する回答の選択肢の情報であり、例えば、質問に該当することを示す「○」、該当しないことを示す「×」等が格納されている。
【0071】
項目「対応内容」は、税務申告サービス提供システム1にてユーザに提示する質問に対する回答に対応する、作成する申告書データの種類、または申告書データを作成しないことを示す情報と、申告書データへの対応内容を示す情報である。
【0072】
項目「項目」は、税務申告サービス提供システム1にてユーザに提示する質問に対する回答に対応する、作成する申告書データにおける記載項目を示す情報である。
【0073】
項目「取得データ」は、税務申告サービス提供システム1にてユーザに提示する質問に対する回答に対応する、作成する申告書データにおける記載項目に入力する記載データを示す情報である。
【0074】
サーバ20は、法改正等により税務申告書のフォーマットが変更されることに伴って、ユーザの操作により質問内容データベース2021のレコード追加し、または変更する。
【0075】
申告書データベース2022のレコードのそれぞれは、項目「申告書ID」と、項目「申告書名」と、項目「申告書データ」等を含む。
【0076】
項目「申告書ID」は、税務申告サービス提供システム1にて作成可能な税務申告書の申告書データそれぞれを識別する情報である。
【0077】
項目「申告書名」は、税務申告サービス提供システム1にて作成可能な税務申告書の名称を示す情報であり、例えば、「確定申告書B」のような申告書の名称が格納されている。
【0078】
項目「申告書データ」は、税務申告サービス提供システム1にて作成可能な税務申告書のフォーマットデータである。具体的には、XML形式やPDF形式である税務申告書のフォーマットデータであり、当該フォーマットデータが格納されてもよく、当該フォーマットデータの格納先を示すリンク情報が格納されてもよい。
【0079】
サーバ20は、法改正等により税務申告書のフォーマットが変更されることに伴って、ユーザの操作により申告書データベース2022のレコード追加し、または変更する。
【0080】
図5に示すように、会計データベース2023のレコードのそれぞれは、項目「事業者ID」と、項目「事業者名」と、項目「仕訳データ詳細情報」等を含む。
【0081】
項目「事業者ID」は、税務申告サービス提供システム1にて税務申告サービスの提供を受ける企業等の事業者それぞれを識別する情報である。
【0082】
項目「事業者名」は、税務申告サービス提供システム1にて税務申告サービスの提供を受ける税理士事務所の顧客である企業等の名称を示す情報である。
【0083】
項目「仕訳データ詳細情報」は、税務申告サービス提供システム1にて税務申告サービスの提供を受ける企業等の事業者における売上、売掛金、買掛金等の入出金の取引を記帳した仕訳データであり、具体的には、項目「日付」と、項目「借方/貸方」と、項目「摘要」と、項目「金額」等を含む。この項目「仕訳データ詳細情報」は、企業等が日々の取引について登録した情報に基づき、仕訳を行い、会計情報として登録した情報であり、例えば、項目「日付」の順に時系列で、最新の情報がレコードとして追加されるように構成されている。
【0084】
項目「日付」は、税務申告サービス提供システム1にて管理する売上、売掛金、買掛金等の入出金の取引が発生した日付の情報である。
【0085】
項目「借方/貸方」は、入出金の取引について仕訳を行った仕訳データの借方または貸方の区別を示す情報であり、例えば、借方である場合は「借方」の情報が、貸方である場合は「貸方」の情報が格納されている。借方及び貸方は、現在帳簿への記帳で一般的に使用されている、複式簿記における記載項目である。
【0086】
項目「摘要」は、仕訳を行った仕訳データの勘定科目を示す情報である。勘定科目は、取引の入力で使用される費目の内容を示す情報であり、例えば
図5に示すように、「クレジット売掛金」、「売上」、「現金」等の内容が格納されている。
【0087】
項目「金額」は、仕訳を行った仕訳データの金額を示す情報である。項目「金額」には、項目「摘要」が示す勘定科目の例である、「クレジット売掛金」、「売上」、「現金」等の金額が格納されている。
【0088】
<3 動作>
以下、
図6及び
図7を参照しながら、第1の実施の形態における税務申告サービス提供システム1による申告書作成処理及び税務申告処理について説明する。
【0089】
図6は、実施の形態1の税務申告サービス提供システム1による申告書作成処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【0090】
ステップS111の前処理として、端末装置10の入力操作受付部171は、税務申告サービスを利用する企業等の事業者における管理者や担当者であるユーザから、税務申告サービス提供システム1のサービスを利用するために必要な認証を行うためのユーザID及びパスワードを入力する操作を受け付ける。送受信部172は、受け付けたユーザID及びパスワード、及びユーザ情報をサーバ20へ送信する。サーバ20は、ユーザID及びパスワードを、通信部201を介して受け付けて当該ユーザのユーザID及びパスワードが正当であることを確認し、所定の認証を行う。正当である場合、サーバ20は、認証完了の情報を、端末装置10へ通信部201を介して送信する。端末装置10の送受信部172は、サーバ20から送信された認証完了の情報を受け付ける。通知制御部174は、受け付けた認証完了の情報を、ディスプレイ150に表示させ、ステップS111が開始される。
【0091】
ステップS111において、端末装置10の入力操作受付部171は、ユーザからの操作により、当該ユーザの企業等の税務申告についての処理画面を表示する表示指示を受け付ける。送受信部172は、受け付けた表示指示を、サーバ20へ送信する。端末装置10の送受信部172は、サーバ20から送信された当該ユーザの税務申告についての処理画面の表示データを受け付ける。通知制御部174は、受け付けた処理画面の表示データを、ディスプレイ150に表示させる。
【0092】
ステップS121において、サーバ20は、端末装置10から送信された当該ユーザの企業等の税務申告についての処理画面の表示指示を、通信部201を介して受け付ける。サーバ20は、当該ユーザの企業等の税務申告についての処理画面の表示データを、通信部201を介して端末装置10へ送信する。このとき、サーバ20の質問提示モジュール2033は、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、その質問に対する回答の選択肢とを提示するため、質問及びその質問に対する回答の選択肢の情報を、通信部201を介して端末装置10へ送信し、ディスプレイ150に表示させる。
【0093】
ステップS112において、端末装置10の入力操作受付部171は、ユーザからの操作により、ステップS111で送信された質問に対する選択肢から回答を選択する入力を受け付ける。送受信部172は、受け付けた回答を選択する入力情報を、サーバ20へ送信する。
【0094】
ステップS122において、サーバ20の回答受付モジュール2034は、端末装置10から送信された回答を選択する入力情報を、通信部201を介して受け付ける。
【0095】
ステップS123において、サーバ20の申告内容判定モジュール2035は、ステップS122で受け付けた、税務申告に関する質問に対する選択肢の回答に基づいて定められる、当該ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類、及び記載項目を判定する。例えば、税務申告に必要な申告書データの種類として、ユーザの企業における法人税を申告するための法人税、消費税及び地方法人税の申告書の各種申告書データ、法人税申告書別表等の申告書データ、個人所得税の各種申告書データ等の種類を判定し、当該申告書データに設定されている記載項目の中から必要な記載項目を判定する。
【0096】
ステップS124において、サーバ20の申告書データ作成モジュール2036は、ステップS123の判定結果に基づく申告書データを作成する。ステップS124では、判定結果に基づく申告書データの記載項目に対して、当該ユーザである事業者の取引に係る費用や入出金の情報(仕訳)を会計データベース2023から取得し、その会計データから記載項目に記載すべき記載データを抽出し、申告書データの記載項目へ入力することで申告書データを作成する。
【0097】
ステップS125において、サーバ20の申告書データ提示モジュール2037は、ステップS124で作成した申告書データをユーザに提示するため、申告書データを、通信部201を介して端末装置10へ送信する。
【0098】
ステップS115において、端末装置10の送受信部172は、サーバ20から送信された申告書データを受け付ける。通知制御部174は、受け付けた申告書データを、ディスプレイ150に表示させる。
【0099】
以上のように、税務申告サービス提供システム1では、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、その質問に対する選択肢とをユーザに対して提示し、回答を受け付ける。そして、ユーザからの回答に基づいて、当該ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類、及びその申告書データにおける記載項目を判定し、申告書データを作成する。作成した申告書データは、ユーザに提示される。これにより、1問1答形式で、税務申告に必要な申告書データを作成することができる。
【0100】
図7は、実施の形態1の税務申告サービス提供システム1による税務申告処理を行う流れの一例を示すフローチャートである。
【0101】
ステップS211において、端末装置10の入力操作受付部171は、ユーザからの操作により、当該ユーザの企業等の税務申告についての処理画面を表示する表示指示を受け付ける。送受信部172は、受け付けた表示指示を、サーバ20へ送信する。端末装置10の送受信部172は、サーバ20から送信された当該ユーザの税務申告についての処理画面の表示データを受け付ける。通知制御部174は、受け付けた処理画面の表示データを、ディスプレイ150に表示させる。
【0102】
ステップS221において、サーバ20は、端末装置10から送信された当該ユーザの企業等の税務申告についての処理画面の表示指示を、通信部201を介して受け付ける。サーバ20は、当該ユーザの企業等の税務申告についての処理画面の表示データを、通信部201を介して端末装置10へ送信する。
【0103】
ステップS212において、端末装置10の入力操作受付部171は、ユーザからの操作により、ステップS125で端末装置10へ送信した申告書データを、所定の所轄官庁(例えば、国税庁)へ提出する指示入力を受け付ける。送受信部172は、受け付けた申告書データを提出する指示情報を、サーバ20へ送信する。
【0104】
ステップS222において、サーバ20の税務申告モジュール2038は、端末装置10から送信された申告書データを提出する指示情報を、通信部201を介して受け付ける。税務申告モジュール2038は、ステップS125で端末装置10へ送信した申告書データを、電子申告により所定の所轄官庁(例えば、国税庁)へ提出するため、通信部201を介して外部サーバ30へ送信する。
【0105】
ステップS232において、外部サーバ30は、サーバ20から送信された税務申告書類データ(申告書データ)を受け付け、当該企業等の税務申告書類データとして登録する。
【0106】
以上のように、税務申告サービス提供システム1では、作成した申告書データを所定の所轄官庁(例えば、国税庁)へ提出する。これにより、税務申告の手続きを確実に行うことが容易になる。
【0107】
<4 画面例>
以下、
図8及び
図9を参照しながら、税務申告サービス提供システム1による申告書作成処理における質問提示及び質問回答を表示する画面例について説明する。
【0108】
図8は、端末装置10に表示する質問提示の画面例を示す図である。
図8の画面例は、質問提示モジュール2033による、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問をユーザに提示し、回答を受け付けるための操作状態が表示された画面例を示す。
図6のステップS111に相当する。
【0109】
図8に示すように、端末装置10のディスプレイ150には、税務申告に関する質問を表示する画面として、質問表示欄1031aが表示されている。質問表示欄1031aには、質問の内容を示す質問項目1031bと、質問項目1031bの質問内容に対して回答の入力を受け付ける回答入力欄1031cとが設けられている。質問項目1031bは、例えば質問内容データベース2021に格納されている質問の内容であり、回答入力欄1031cに設定されている回答の選択肢は、例えば質問内容データベース2021に格納されている質問に対する選択肢である。
【0110】
図8に示す画面において、ユーザである企業等の事業者における管理者や担当者は、質問項目1031bに対する回答として、回答入力欄1031cに設定されている選択肢から該当するものを、マウス132でクリック等することにより選択すると、当該回答がサーバ20へ送信される。これにより、該当する選択肢に対して容易に回答できるように構成されている。
【0111】
図9は、端末装置10に表示する質問回答を表示する画面例を示す図である。
図9の画面例は、
図8の画面例において、ユーザが回答入力欄1031cの選択肢から該当するものを選択して回答した状態の画面例を示す。
図6のステップS112に相当する。
【0112】
図9に示すように、端末装置10のディスプレイ150には、税務申告に関する質問に対して回答した状態を表示する画面として、選択回答表示欄1032aが表示されている。選択回答表示欄1032aには、
図8に示す質問項目1031bと同様の質問項目1032bと、
図8に示す回答入力欄1031cと同様の回答入力欄1032cとが設けられ、さらに、申告書データを模したフォーマットデータ1032dと、申告書データにおける記載項目1032eとが表示されている。
図9に示す画面例は、
図8の画面例においてユーザが回答入力欄1031cの選択肢から「○」を選択した状態を示しており、ユーザが「○」を選択すると、例えば、フォーマットデータ1032dと記載項目1032eとが表示されるように構成されている。
【0113】
図9に示す画面において、フォーマットデータ1032dは、ユーザの回答入力欄1031cへの回答に基づいて定められる、当該ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類であり、例として確定申告書のフォーマットデータが表示されている。記載項目1032eは、フォーマットデータ1032dにおける、当該ユーザの税務申告に必要な記載項目であり、当該ユーザの会計データから必要な値が算出されて入力されるように構成されている。
【0114】
<小括>
以上のように、本実施形態によると、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、その質問に対する選択肢とがユーザに対して提示され、ユーザからの回答が受け付けられる。ユーザからの回答に基づいて、当該ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類、及びその申告書データにおける記載項目が判定され、当該記載項目に記載すべき記載データが抽出されて記載項目に入力されることにより、申告書データが作成される。作成された申告書データは、ユーザに提示される。そのため、1問1答形式で、税務申告に必要な申告書データを作成することが可能になる。これにより、より簡便に税務申告をすることが可能になる。
【0115】
また、本実施形態によると、作成した申告書データを、所定の所轄官庁(例えば、国税庁)へ提出する。これにより、税務申告の手続きを確実に行うことが容易になる。
【0116】
<第2の実施の形態>
以下、税務申告サービス提供システム1の他の実施の形態について説明する。
【0117】
<1 税務申告サービス提供システム1の全体構成>
図10は、実施の形態2の税務申告サービス提供システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。第2の実施の形態における税務申告サービス提供システム1の全体の構成、端末装置10の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、繰り返して説明しない。サーバ20の構成については、
図10に示すように、新たに入力受付モジュール2039の機能を備える以外、第1の実施の形態と同様である。以下、第2の実施の形態における入力受付モジュール2039の機能について説明する。
【0118】
入力受付モジュール2039は、申告内容判定モジュール2035にて判定された、当該ユーザの税務申告に必要な申告書データの記載項目に対して、ユーザから入力を促し、ユーザからの入力を受け付ける処理を制御する。入力受付モジュール2039は、申告書データ作成モジュール2036が申告書データの記載項目に対する会計データを取得できなかったような場合に、ユーザからの入力を促し、その入力を受け付ける。入力受付モジュール2039は、例えば、
図9に示す記載項目1032eからの入力を受け付ける。
【0119】
ある局面において、入力受付モジュール2039は、申告内容判定モジュール2035にて判定された、当該ユーザの税務申告に必要な申告書データの記載項目に対して、複数の入力候補となる記載データを提示し、ユーザからの選択を受け付ける。入力受付モジュール2039は、申告書データ作成モジュール2036が申告書データの記載項目に対する会計データから入力候補となり得る記載データを複数抽出したような場合に、記載データを提示し、ユーザからの選択を受け付ける。
【0120】
<2 データ構造>
第2の実施の形態におけるデータ構造は、第1の実施の形態と同様であるので、繰り返して説明しない。
【0121】
<3 動作>
第2の実施の形態における動作は、第1の実施の形態と同様であるので、繰り返して説明しない。
【0122】
<4 画面例>
第2の実施の形態における画面例は、第1の実施の形態と同様であるので、繰り返して説明しない。
【0123】
<小括>
以上のように、本実施形態によると、ユーザからの回答に基づく申告書データの記載項目に対して、会計データからの記載データ抽出ができなかった場合に、ユーザからの入力を受け付ける。これにより、申告書データの自動作成を補完することが可能になる。
【0124】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換及び変更を行なって実施することができる。これらの実施形態及び変形例ならびに省略、置換及び変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【0125】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0126】
(付記1)プロセッサ29と、メモリ25とを備えるコンピュータに実行させ、税務申告サービスを支援するためのプログラムであって、メモリ25には、ユーザの事業に係る会計データが登録され、プログラムは、プロセッサ29に、ユーザに対して、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、質問に対する選択肢とを提示するステップ(S121)と、ユーザから、質問に対する選択肢の回答を受け付けるステップ(S122)と、選択肢の回答に基づいて定められる、ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類及び記載項目を判定するステップ(S123)と、ユーザの事業に係る会計データから、判定の結果である、記載項目に記載する記載データを抽出し、記載項目へ記載データを入力してユーザの申告書データを作成するステップ(S124)と、ユーザに対して、作成したユーザの申告書データを提示するステップ(S125)と、ユーザからの指示により、申告書データを所定の所轄官庁へ提出するステップ(S222)と、を実行させる、プログラム。
【0127】
(付記2)プログラムは、さらに、判定の結果である、ユーザの申告書データの種類及び記載項目を、ユーザに対して提示するステップを実行させる、(付記1)に記載のプログラム。
【0128】
(付記3)判定の結果をユーザに対して提示するステップにおいて、ユーザの申告書データを模した作成途中申告書データを提示する、(付記2)に記載のプログラム。
【0129】
(付記4)作成途中申告書データを提示するステップにおいて、作成途中申告書データにおける記載項目へ記載データを入力し、作成途中申告書データを提示する、(付記3)に記載のプログラム。
【0130】
(付記5)作成途中申告書データを提示するステップにおいて、ユーザに対して、作成途中申告書データにおける記載項目への入力を促す、(付記3)または(付記4)に記載のプログラム。
【0131】
(付記6)作成途中申告書データを提示するステップにおいて、ユーザに対して、作成途中申告書データにおける記載項目への入力データの選択を促し、入力データを読み取って記載項目へ入力する、(付記3)から(付記5)のいずれかに記載のプログラム。
【0132】
(付記7)プログラムは、さらに、ユーザの申告書データにおける、記載項目へ入力された記載データについての正当性チェックを行うステップを実行させる、(付記1)から(付記6)のいずれかに記載のプログラム。
【0133】
(付記8)正当性チェックを行うステップにおいて、記載データが金額の場合、記載データの金額についての正当性チェックを行う、(付記7)に記載のプログラム。
【0134】
(付記9)正当性チェックを行うステップにおいて、記載データが金額の場合、記載データの金額が正の値であること、または負の値であることについての正当性チェックを行う、(付記8)に記載のプログラム。
【0135】
(付記10)制御部203と、記憶部202とを備え、税務申告サービスを支援する情報処理装置であって、記憶部202には、ユーザの事業に係る会計データが登録され、制御部203は、ユーザに対して、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、質問に対する選択肢とを提示するステップ(S121)と、ユーザから、質問に対する選択肢の回答を受け付けるステップ(S122)と、選択肢の回答に基づいて定められる、ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類及び記載項目を判定するステップ(S123)と、ユーザの事業に係る会計データから、判定の結果である、記載項目に記載する記載データを抽出し、記載項目へ記載データを入力してユーザの申告書データを作成するステップ(S124)と、ユーザに対して、作成したユーザの申告書データを提示するステップ(S125)と、ユーザからの指示により、申告書データを所定の所轄官庁へ提出するステップ(S222)と、を行う、情報処理装置。
【0136】
(付記11)プロセッサ29と、メモリ25とを備えるコンピュータにより実行され、税務申告サービスを支援するための方法であって、メモリ25には、ユーザの事業に係る会計データが登録され、方法は、プロセッサ29が、ユーザに対して、税務申告に関してあらかじめ設定されている質問と、質問に対する選択肢とを提示するステップ(S121)と、ユーザから、質問に対する選択肢の回答を受け付けるステップ(S122)と、選択肢の回答に基づいて定められる、ユーザの税務申告に必要な申告書データの種類及び記載項目を判定するステップ(S123)と、ユーザの事業に係る会計データから、判定の結果である、記載項目に記載する記載データを抽出し、記載項目へ記載データを入力してユーザの申告書データを作成するステップ(S124)と、ユーザに対して、作成したユーザの申告書データを提示するステップ(S125)と、ユーザからの指示により、申告書データを所定の所轄官庁へ提出するステップ(S222)と、を実行する、方法。
【符号の説明】
【0137】
10 端末装置、20 サーバ、80 ネットワーク、130 操作受付部、161 ユーザ情報、22 通信IF、23 入出力IF、25 メモリ、26 ストレージ、29 プロセッサ、201 通信部、202 記憶部、2021 質問内容データベース、2022 申告書データベース、2023 会計データベース、203 制御部