(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122297
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24D 17/00 20220101AFI20230825BHJP
【FI】
F24D17/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025933
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】植田 三津郎
(72)【発明者】
【氏名】石本 秀介
【テーマコード(参考)】
3L073
【Fターム(参考)】
3L073AA02
3L073AA13
3L073AB02
3L073AB06
3L073AB09
3L073AC10
3L073AD02
3L073AD03
3L073AD04
3L073AD05
3L073AD07
3L073AE04
3L073AE10
(57)【要約】
【課題】複数の回路に適切に水張りをすることができる給湯システムを提供する。
【解決手段】水張りに際し、給水加圧ポンプ37を作動させて、給水タンク2から給水回路、貯湯タンク6、及び給湯往き管71に水張りする給水タンクモードを実行してから、給水加圧ポンプ37と加熱循環ポンプ51,52とを作動させて、加熱循環回路に水張りする加熱回路モードを実行することにより、各回路に適切に水張りをする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱熱源と、
加熱熱源で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、
加熱熱源と貯湯タンクとを接続し、加熱熱源と貯湯タンクとの間で湯水を循環させる加熱循環回路と、
加熱循環回路に設けられた加熱循環ポンプと、
貯湯タンクに接続され、貯湯タンクから出湯端末に湯水を供給する給湯往き管と、
給水源から供給される水を受水する給水タンクと、
加熱循環回路と接続され、給水タンクから加熱熱源、貯湯タンク、及び出湯端末に水を供給する給水回路と、
給水回路に設けられた給水加圧ポンプと、
試運転で水張りを制御する制御装置と、を有し、
制御装置は、水張りに際し、給水加圧ポンプを作動させて、給水タンクから給水回路、貯湯タンク、及び給湯往き管に水張りする給水タンクモードが実行されてから、給水加圧ポンプと加熱循環ポンプとを作動させて、加熱循環回路に水張りする加熱回路モードが実行されるように構成されている給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムは、さらに、
貯湯タンクと接続され、貯湯タンクから出湯端末に供給された湯水を貯湯タンクに戻す給湯戻り管と、
給湯往き管と給湯戻り管とが接続され、貯湯タンクと出湯端末との間で湯水を循環させる即湯循環回路と、
即湯循環回路に設けられた即湯循環ポンプと、を有し、
制御装置は、水張りに際し、給水タンクモードと加熱回路モードとが実行されてから、さらに、給水加圧ポンプと即湯循環ポンプとを作動させて、即湯循環回路に水張りする即湯回路モードが実行されるように構成されているか、または、
給水タンクモードが実行されてから、給水加圧ポンプと即湯循環ポンプとを作動させて、即湯循環回路に水張りする即湯回路モードが実行され、さらに、加熱回路モードが実行されるように構成されている給湯システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給湯システムにおいて、
制御装置は、少なくともいずれか1つのモードで、水張りが各モードの所定の下限実行時間以上、実行されなければ、給湯システムの一部機能を無効とするように構成されている給湯システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯システムは、さらに、
給水回路内の水圧を検出する圧力検出手段と、
給水タンク内の水の所定の低水位を検出する低水位検出手段と、を有し、
制御装置は、各モードで、給水回路内の水圧が所定の作動開始圧力未満であれば、給水加圧ポンプを作動させ、
給水加圧ポンプの作動中、低水位が検出されると、水圧が作動開始圧力未満であっても、給水加圧ポンプを停止させるように構成されている給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに関する。特に、本発明は、試運転で水張りが実行される給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給水装置と、貯湯装置と、加熱熱源と、給水装置と貯湯装置とを接続する回路に設けられた給水用のポンプと、貯湯装置と加熱熱源とを接続する回路に設けられた循環用のポンプとを備え、加熱熱源で加熱された湯水を貯湯タンクに貯湯し、貯湯された湯水を出湯端末に供給する給湯システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような給湯システムでは、設置工事が完了した後、貯湯装置やこれに繋がった回路に適切に水張りを行う必要がある。しかしながら、特許文献1のように複数の回路に複数のポンプが設けられている場合、水張りの開始時から複数のポンプを同時に作動させても、水張りが適切に行われない場合がある。水張りが適切に行われていない状態で加熱熱源が作動されると、空焚きが生じる虞がある。また、回路内に空気が残っていると、ポンプが空転し、ポンプの耐久性を低下させるという問題がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、複数の回路に適切に水張りされる給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
加熱熱源と、
加熱熱源で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、
加熱熱源と貯湯タンクとを接続し、加熱熱源と貯湯タンクとの間で湯水を循環させる加熱循環回路と、
加熱循環回路に設けられた加熱循環ポンプと、
貯湯タンクに接続され、貯湯タンクから出湯端末に湯水を供給する給湯往き管と、
給水源から供給される水を受水する給水タンクと、
加熱循環回路と接続され、給水タンクから加熱熱源、貯湯タンク、及び出湯端末に水を供給する給水回路と、
給水回路に設けられた給水加圧ポンプと、
試運転で水張りを制御する制御装置と、を有し、
制御装置は、水張りに際し、給水加圧ポンプを作動させて、給水タンクから給水回路、貯湯タンク、及び給湯往き管に水張りする給水タンクモードが実行されてから、給水加圧ポンプと加熱循環ポンプとを作動させて、加熱循環回路に水張りする加熱回路モードが実行されるように構成されている給湯システムが提供される。
【0007】
上記給湯システムによれば、水張りに際し、給水加圧ポンプを作動させて、給水タンクから給水回路、貯湯タンク、及び給湯往き管に水張りする給水タンクモードがまず実行されるから、加熱循環ポンプを作動させずに、給水加圧ポンプのみを作動させて水張りが実行される。これにより、給水回路から容量の大きな貯湯タンクに水が集中して供給され、貯湯タンクと貯湯タンクに接続された給湯往き管とに水張りされるから、円滑に配管内や貯湯タンク内のエア抜きをすることができる。
【0008】
また、上記給湯システムによれば、給水回路は加熱循環回路に接続されているから、給水タンクモードが実行されて給水回路に適切に水張りがされていれば、給水加圧ポンプを作動させて給水回路に水を供給しながら、加熱循環回路に設けられた加熱循環ポンプを作動させることにより、加熱循環回路に水張りして、配管内のエア抜きをすることができる。
【0009】
好ましくは、上記給湯システムは、さらに、
貯湯タンクと接続され、貯湯タンクから出湯端末に供給された湯水を貯湯タンクに戻す給湯戻り管と、
給湯往き管と給湯戻り管とが接続され、貯湯タンクと出湯端末との間で湯水を循環させる即湯循環回路と、
即湯循環回路に設けられた即湯循環ポンプと、を有し、
制御装置は、水張りに際し、給水タンクモードと加熱回路モードとが実行されてから、さらに、給水加圧ポンプと即湯循環ポンプとを作動させて、即湯循環回路に水張りする即湯回路モードが実行されるように構成されているか、または、
給水タンクモードが実行されてから、給水加圧ポンプと即湯循環ポンプとを作動させて、即湯循環回路に水張りする即湯回路モードが実行され、さらに、加熱回路モードが実行されるように構成される。
【0010】
上記給湯システムによれば、給水回路、貯湯タンク、加熱循環回路や、さらに給湯往き管と給湯戻り管とが接続されて形成される即湯循環回路に水張りを行う必要があるが、給水タンクモードがまず実行されるから、給湯往き管に水張りすることができる。また、即湯循環回路の給湯往き管と給湯戻り管とは接続されているから、給湯往き管に適切に水張りされていれば、給水加圧ポンプを作動させて給水回路に水を供給しながら、即湯循環回路に設けられた即湯循環ポンプを作動させることにより、即湯循環回路に水張りして、配管内のエア抜きをすることができる。また、上記給湯システムによれば、給水回路は加熱循環回路に接続されているから、給水回路に適切に水張りがされていれば、即湯循環回路に水張りを実行する前後に関わらず、給水加圧ポンプを作動させて給水回路に水を供給しながら、加熱循環回路に設けられた加熱循環ポンプを作動させることにより、加熱循環回路に水張りして、配管内のエア抜きをすることができる。
【0011】
好ましくは、上記給湯システムにおいて、
制御装置は、少なくともいずれか1つのモードで、水張りが各モードの所定の下限実行時間以上、実行されなければ、給湯システムの一部機能を無効とするように構成される。
【0012】
上記給湯システムによれば、少なくともいずれか1つのモードで水張りが各モードの所定の下限実行時間以上、実行されなければ、給湯システムの一部機能が無効とされるから、配管内のエア抜きが不十分な状態で加熱熱源やポンプが作動されるのを確実に防止することができる。
【0013】
好ましくは、上記給湯システムは、さらに、
給水回路内の水圧を検出する圧力検出手段と、
給水タンク内の水の所定の低水位を検出する低水位検出手段と、を有し、
制御装置は、各モードで、給水回路内の水圧が所定の作動開始圧力未満であれば、給水加圧ポンプを作動させ、
給水加圧ポンプの作動中、低水位が検出されると、水圧が作動開始圧力未満であっても、給水加圧ポンプを停止させるように構成される。
【0014】
上記給湯システムによれば、各モードで、給水回路内の水圧が所定の作動開始圧力未満であれば、給水加圧ポンプが連続して作動される。これにより、円滑に水張りを実行することができる。
【0015】
一方、給水タンクから給水回路に水が供給される場合、給水タンク内の水が不足して、給水タンクから給水回路に空気が混入したときも、水圧は作動開始圧力未満となるから、給水加圧ポンプの作動が継続されて、空転が生じる虞がある。
【0016】
しかしながら、上記給湯システムによれば、各モードで給水加圧ポンプが作動されているときに低水位が検出されると、水圧が作動開始圧力未満であっても、給水加圧ポンプを停止させるから、給水タンク内の水が減少したときに給水タンクから給水回路内に空気が混入するのを防止でき、空転を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、複数の回路に適切に水張りされる給湯システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る給湯システムの一例を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る給湯システムでスイッチ操作に設定されている水張りのモード等を示すテーブルである。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る給湯システムにおける水張りの制御動作の一部を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る給湯システムにおける水張りの制御動作の一部を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る給湯システムにおける水張りの制御動作の一部を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る給湯システムにおける水張りの制御動作の一部を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る給湯システムにおける給水加圧ポンプの制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る給湯システムを説明する。
図1は、本実施の形態の給湯システムの一例を示す概略構成図である。この給湯システムは、理美容院などの商業施設に利用することができる。給湯システムは、給湯加圧タンクユニット1と熱源機ユニット500とを備え、給湯加圧タンクユニット1から複数のシャワーやカランなどの出湯端末400に水や湯水が供給されるように構成されている。熱源機ユニット500は、加熱熱源である第1ガス熱源機501と第2ガス熱源機502とを有する。給湯加圧タンクユニット1は、一次給水を受水する給水タンク2と、第1及び第2ガス熱源機501,502で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンク6とを備える。なお、給湯システムは、加熱熱源として1台または3台以上のガス熱源機を有してもよいし、ガス熱源機の代わりにヒートポンプや電気ヒータなどを用いてもよい。
【0020】
第1及び第2ガス熱源機501,502は、ガス給湯器であり、図示しないが、筐体内にガスバーナや熱交換器などを有する加熱ユニットを有する。第1及び第2ガス熱源機501,502と貯湯タンク6とは、貯湯タンク6からの湯水や給水タンク2からの水を第1及び第2ガス熱源機501,502に送る加熱往き管40と、第1及び第2ガス熱源機501,502で加熱された湯水を貯湯タンク6に戻す加熱戻り管44とからなる加熱循環回路により接続されている。
【0021】
加熱往き管40は、一端が貯湯タンク6の下部に接続され、他端が第1ガス熱源機501と第2ガス熱源機502とに接続されるように中途で第1加熱往き管41と第2加熱往き管42とに分岐されている。加熱戻り管44は、一端が各ガス熱源機501,502に接続された第1加熱戻り管45と第2加熱戻り管46とが中途で合流し、他端が貯湯タンク6の上部に接続されている。また、加熱往き管40における第1及び第2加熱往き管41,42の分岐部より上流側で、後述する給水管3との合流部より下流側には、加熱往き温度センサ50が介設されている。
【0022】
第1及び第2加熱往き管41,42にはそれぞれ、第1加熱循環ポンプ51及び第2加熱循環ポンプ52が介設され、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の下流側には、逆止弁53,54が介設されている。従って、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52を作動させるとともに、第1及び第2ガス熱源機501,502を作動させることにより、第1及び第2ガス熱源機501,502で加熱された湯水が貯湯タンク6に貯湯される。第1及び第2加熱循環ポンプ51,52は給湯制御装置Cに接続されており、給湯制御装置Cからの制御信号によりその作動及び停止や回転数が制御される。また、第1及び第2ガス熱源機501,502の熱源機制御装置C1,C2は、給湯制御装置Cと接続されており、給湯制御装置Cからの制御信号により第1及び第2ガス熱源機501,502の作動が制御される。加熱往き温度センサ50で検出される検出温度の検出信号は給湯制御装置Cに出力され、ガス熱源機501,502内に配設された図示しない各種センサで検出される検出温度等の検出信号は、熱源機制御装置C1,C2に出力される。
【0023】
貯湯タンク6の下部に接続された加熱往き管40には、給水管3との合流部より上流側に、貯湯タンク6から加熱往き管40に供給される湯水の温度を検出するタンク下温度センサ55と、バルブ56とが介設されている。タンク下温度センサ55で検出される検出温度の検出信号は、給湯制御装置Cに出力される。バルブ56は、手動で開閉可能なものだが、給湯制御装置Cからの制御信号により開閉制御される構成としてもよい。
【0024】
貯湯タンク6は、耐食性に優れた金属(例えば、ステンレス)製のタンクであり、図示しないが、外周が断熱材によって覆われている。本実施の形態の貯湯タンク6の容量は、例えば、50Lである。貯湯タンク6の下部には、既述した加熱往き管40と、後述する出湯端末400からの湯水を戻す給湯戻り管72とが接続されており、貯湯タンク6の上部には、既述した加熱戻り管44と、後述する出湯端末400に繋がる給湯往き管71とが接続されている。貯湯タンク6には、内部の湯水の温度を検出するための第1貯湯温度センサ61、第2貯湯温度センサ62、及び第3貯湯温度センサ63が、上方から順に、所定の間隔をあけて取り付けられている。また、給湯加圧タンクユニット1は、貯湯タンク6の下方に、外気温を検出する外気温温度センサ80を有する。これらの温度センサ61,62,63,80で検出される検出温度の検出信号は、給湯制御装置Cに出力される。
【0025】
貯湯タンク6の上部に接続された加熱戻り管44には、貯湯タンク6内の空気を排気するための自動エア抜き弁57と、貯湯タンク6に流入する湯水の温度を検出する加熱戻り温度センサ58とが介設されている。加熱戻り温度センサ58で検出される検出温度の検出信号は、給湯制御装置Cに出力される。
【0026】
貯湯タンク6の上方には、ガス熱源機501,502、貯湯タンク6や出湯端末400に給水するための略矩形箱状の給水タンク2が配設されている。本実施の形態の給水タンク2の容量は、例えば、45Lである。給水タンク2の上部には、市水が流れてくる一次給水管10が接続され、給水タンク2の下部には、給水管3が接続されている。一次給水管10は、2本の第1一次給水管11と第2一次給水管12とに分岐して給水タンク2に接続されており、第1及び第2一次給水管11,12にはそれぞれ、上流側から順に、第1ガバナ13及び第2ガバナ14と第1給水電磁弁15及び第2給水電磁弁16とが介設されている。第1及び第2給水電磁弁15,16は給湯制御装置Cと接続されており、給湯制御装置Cからの制御信号により開閉制御される。このように、複数の一次給水管11,12を給水タンク2に接続することにより、圧力損失を低減して、短時間で給水タンク2に水を給水することができる。図示しないが、給水タンク2は、一部、大気開放されている。
【0027】
給水タンク2は、第1及び第2一次給水管11,12の接続口より下方で給水管3の接続口より上方の一側壁に開口を有する。この側壁の開口には、オーバーフロー管200が接続されている。給水タンク2の他の一側壁には、給水タンク2内の水位を検出するオーバーフロートセンサ22、Hiフロートセンサ23、Lowフロートセンサ24、及び低水位フロートセンサ25が、上方から順に、所定の間隔で配設されている。図示しないが、給水タンク2内には、一端がオーバーフロー管200に連通し、他端がオーバーフロートセンサ22と略同一の高さで、上方に開放する略U字状のトラップ管が配設されている。このため、余分な水は、トラップ管及びオーバーフロー管200を通って外部に排出される。フロートセンサ22,23,24,25で検出される水位の検出信号は、給湯制御装置Cに出力される。
【0028】
給水タンク2の下部に一端が接続された給水管3は、水が並列に流れるように、上流側で第1給水管31と第2給水管32とに分岐している。第1給水管31と第2給水管32との分岐部より上流側には、給水加圧ポンプ37が介設されている。給水加圧ポンプ37は給湯制御装置Cに接続されており、給湯制御装置Cからの制御信号によりその作動及び停止や回転数が制御される。
【0029】
第1給水管31には、上流側から順に、逆止弁33と、水圧を検出する圧力センサ(圧力検出手段)35とが介設されており、第2給水管32には、上流側から順に、逆止弁34と、水の流量を検出する水量センサ(水量検出手段)36とが介設されている。並列の水路を設けることなく、圧力センサと水量センサとを単一の水路に介設することもできるが、水が並列に流れるように水路を形成して、各水路に圧力センサと水量センサとを介設することにより、圧力損失を低減することができる。なお、各水路で水の流量は異なるが、圧力損失が分かっていれば、水量センサ36で検出される水の流量から給水管3全体の水の流量を算出することができる。圧力センサ35で検出される検出圧力の検出信号や水量センサ36で検出される検出流量の検出信号は、給湯制御装置Cに出力される。
【0030】
第1給水管31と第2給水管32とは、圧力センサ35及び水量センサ36より下流側の合流部で合流しており、給水管3の他端は、貯湯タンク6の下部に接続された加熱往き管40との合流部に繋がっている。また、給水管3は、第1及び第2給水管31,32の合流部より下流側で、出湯端末400に接続される給水往き管38に分岐している。従って、本実施の形態では、給水加圧ポンプ37を作動させることにより、貯湯タンク6、ガス熱源機501,502や出湯端末400に水が供給され、第1及び第2給水管31,32や給水往き管38を含む給水管3が給水回路を構成する。給水往き管38は、出湯端末400のシャワーやカランの数などに応じて複数に分岐している。給水往き管38の分岐部より下流側の給水管3には、逆止弁39が介設されている。
【0031】
貯湯タンク6の下部に一端が接続された給湯戻り管72は、他端が出湯端末400で給湯往き管71と接続されている。給湯戻り管72には、即湯循環ポンプ73が介設され、即湯循環ポンプ73の下流側には、即湯戻り温度センサ74と、逆止弁75とが介設されている。従って、本実施の形態では、即湯循環ポンプ73を作動させることによって、貯湯タンク6と出湯端末400との間で湯水が循環され、貯湯タンク6と出湯端末400との間を接続する給湯往き管71及び給湯戻り管72が即湯循環回路を構成する。
【0032】
本実施の形態の給湯システムにおける主たる運転制御について概要すると、出湯端末400の湯栓が開栓されて、給水加圧ポンプ37の作動が開始されたときに、第3貯湯温度センサ63で検出される湯水の温度が所定の貯湯開始温度より高ければ、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52を作動させることなく、給水タンク2から給水管3及び貯湯タンク6に接続されたタンク下の加熱往き管40を介して貯湯タンク6に水が供給され、貯湯タンク6内の湯水が給湯往き管71を介して出湯端末400に供給される。また、貯湯タンク6内への水の供給により湯水の温度が低下してきて、第3貯湯温度センサ63で検出される湯水の温度が貯湯開始温度以下になると、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の作動が開始されて、貯湯タンク6の下部から加熱往き管40に湯水が供給され、給水タンク2からの水と貯湯タンク6からの湯水とが混合されて、第1及び第2ガス熱源機501,502に供給される。そして、第1及び第2ガス熱源機501,502で所定の出湯温度に加熱された湯水が加熱戻り管44を介して貯湯タンク6に戻される。また、貯湯タンク6から給湯往き管71に湯水が送出され、給湯往き管71を介して出湯端末400に湯水が供給される(出湯制御)。
【0033】
また、全ての出湯端末400が閉栓された状態で、第3貯湯温度センサ63で検出される湯水の温度が貯湯開始温度以下になると、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の作動が開始されて、貯湯タンク6内の湯水が第1及び第2ガス熱源機501,502に供給され、第1及び第2ガス熱源機501,502で所定の出湯温度に加熱された湯水が貯湯タンク6に戻されることにより、貯湯タンク6内の湯水の温度が維持される(貯湯制御)。
【0034】
また、全ての出湯端末400が閉栓された状態で、所定の即湯開始時間が経過して給湯往き管71及び給湯戻り管72内に滞留する湯水の温度が低下した場合、即湯循環ポンプ73の作動が開始されることにより、貯湯タンク6と出湯端末400との間で、給湯往き管71及び給湯戻り管72を介して湯水が循環される(即湯制御)。
【0035】
なお、上記の運転制御では、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52は、出湯端末400での湯水の使用量や即湯制御の設定等に応じて、同時にまたは個別に作動され、それに応じて第1及び第2ガス熱源機501,502も、同時にまたは個別に作動される。
【0036】
給湯システムは、給湯加圧タンクユニット1に設けられた給湯制御装置Cと、第1及び第2ガス熱源機501,502に設けられた熱源機制御装置C1,C2と、給湯システムの運転に関する操作をユーザが行うためのリモコンRとを備える。給湯制御装置Cと熱源機制御装置C1,C2とは、相互に通信可能に有線または無線により接続されており、給湯制御装置CとリモコンRとは、相互に通信可能に有線または無線により接続されている。
【0037】
リモコンRは、ユーザによる図示しない操作スイッチの操作に応じて、給湯システムの電源のオンオフ、貯湯タンク6内の湯水の貯湯設定温度(出湯制御や貯湯制御において第1及び第2ガス熱源機501,502から出湯される湯水の出湯温度)、水圧モードの設定などの運転操作情報を給湯制御装置Cに指示するように構成された端末装置である。リモコンRには、給湯システムの各種情報を表示する表示器が備えられている。なお、リモコンRの代わりに、またはリモコンRとともに、給湯制御装置Cと通信可能に接続されたスマートホンやタブレット端末などの携帯端末を用いることができる。
【0038】
給湯制御装置C及び熱源機制御装置C1,C2はそれぞれ、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。メモリには、各種運転プログラムや運転プログラムを実行するための設定値などの各種データが格納されている。
【0039】
給湯制御装置Cには、既述した各種センサ(温度センサ50,55,58,61,62,63,74,80、圧力センサ35、水量センサ36、フロートセンサ22~25)の検出信号が入力されるとともに、リモコンRから運転操作情報が入力される。また、熱源機制御装置C1,C2には、第1及び第2ガス熱源機501,502に設けられた図示しない各種センサからの検出信号が入力され、制御信号を給湯制御装置Cに出力する。そして、給湯制御装置Cは、ガス熱源機501,502、各種ポンプ37,51,52,73、給水電磁弁15,16などの作動制御を行うことで、給湯システム全体の運転制御を行う。
【0040】
図示しないが、給湯制御装置Cは、試運転で水張りや他の運転を実行するための操作部として複数のタクトスイッチ(登録商標)と表示部とが設けられた操作基板を有する。本実施の形態では、作業者が水張り用のタクトスイッチを1回押すごとに対応した操作信号が発生し、
図2に示す水張りを実行する。水張りにおける制御動作の詳細は後述するが、スイッチ操作によって実行される各モード等について概略すると、最初にタクトスイッチが押されると、水張りの運転プログラムが起動され、まず給水タンクモードの水張りが実行される。この給水タンクモードでは、第1及び第2給水電磁弁15,16の動作と給水加圧ポンプ37の動作とが有効とされ、表示部には給水タンクモードの実行中であることを示す所定の表示(例えば、「1-A」)が表示される。なお、第1及び第2給水電磁弁15,16の動作を有効にすることにより、給湯制御装置Cからの制御信号によって、第1及び第2給水電磁弁15,16の開閉が制御され、給水加圧ポンプ37の動作を有効とすることにより、給湯制御装置Cからの制御信号によって、給水加圧ポンプ37の作動及び停止や回転数が制御される。2回目のタクトスイッチが押されると、即湯回路モードの水張りが実行される。この即湯回路モードでは、第1及び第2給水電磁弁15,16の動作と給水加圧ポンプ37の動作とが有効とされるとともに、即湯循環ポンプ73が作動され、表示部に即湯回路モードの実行中であることを示す所定の表示(例えば、「1-b」)が表示される。また、3回目のタクトスイッチが押されると、加熱回路モードの水張りが実行される。この加熱回路モードでは、第1及び第2給水電磁弁15,16の動作と給水加圧ポンプ37の動作とが有効とされるとともに、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52が作動され、表示部に加熱回路モードの実行中であることを示す所定の表示(例えば、「1-C」)が表示される。4回目のタクトスイッチが押されると、各モードの実行時間(すなわち、タクトスイッチが押し操作される間隔)が少なくとも所定の下限実行時間以上であれば、試運転完了として、表示部に試運転完了であることを示す所定の表示(例えば、「End」)が所定時間、表示され、いずれか1つのモードの実行時間が所定の下限実行時間未満であれば、試運転未完了として、表示部に試運転未完了であることを示す所定の表示(例えば、「CL」)が所定時間、表示されて、水張りを終了させる。従って、本実施の形態では、給湯制御装置Cが、試運転で水張りを制御する制御装置を構成する。なお、誤操作を回避するため、タクトスイッチの押し操作は、一定時間、継続して押すことにより操作信号を発生するようにしてもよい。また、各モードの下限実行時間は、同一でも異なっていてもよい。
【0041】
給湯システムは、出湯制御や貯湯制御などの通常運転が実行される前に、試運転で水張りが実行される。給湯システムを施設に設置する際には、給湯加圧タンクユニット1と熱源機ユニット500とをそれぞれ、適切な設置場所に据え付けた後、給水源と給湯加圧タンクユニット1との間、給湯加圧タンクユニット1と熱源機ユニット500との間や、給湯加圧タンクユニット1と出湯端末400との間を配管によって接続し、各ユニットへの電力供給線を接続する。そして、作業者が試運転を実行するための準備作業が終了すると、試運転で水張りを実行する。
【0042】
図3~
図7は、水張りが実行されるときの給湯制御装置Cの処理を示す。本実施の形態では、試運転で、既述した給水タンクモード、即湯回路モード、加熱回路モードの順に水張りが実行されるが、給水タンクモード、加熱回路モード、即湯回路モードの順に水張りを実行することもできる。さらに、他の回路が設けられている場合、給水タンクモードが最初に実行されれば、即湯回路モードや加熱回路モードの前後に他の回路の水張りを実行することができる。
【0043】
作業者が全ての出湯端末400を開栓した後、1回目のタクトスイッチが押されると(ステップS1)、後述する試運転完了のフラグFがリセット(F=0)され(ステップS2)、試運転未完了の状態となり、給水タンクモードが開始される(ステップS3)。そして、表示部に既述した所定の表示が表示され、第1及び第2給水電磁弁15,16の動作が有効とされて、第1及び第2給水電磁弁15,16が開弁され、給水タンク2に水が給水される(ステップS4)。なお、水張りの実行中、第1及び第2給水電磁弁15,16は、Hiフロートセンサ23がオンすると閉弁されて、給水タンク2への給水を停止し、Lowフロートセンサ24がオフするといずれか一方または両方が開弁されて、給水タンク2へ給水するように作動制御される。
【0044】
Hiフロートセンサ23がオンすると(ステップS5で、Yes)、所定の下限実行時間(例えば、1分間)を計時するためのタイマをスタートさせる。次いで、給水加圧ポンプ37の動作が有効とされ、所定の回転数で給水加圧ポンプ37を作動させて、給水タンク2から給水回路への水の供給が開始される(ステップS6)。これにより、給水回路からタンク下の加熱往き回路40を介して貯湯タンク6内に水が供給され、さらに貯湯タンク6から給湯往き管71へ水が供給されて、給水回路、貯湯タンク6、給湯往き管71、及び給水往き管38への水張りが実行される。なお、給水回路と加熱循環回路とは、貯湯タンク6下の加熱往き管40の合流部で接続されているが、加熱循環回路に設けられた加熱循環ポンプ51,52は作動されないため、給水タンクモードでは加熱循環ポンプ51,52より下流側の加熱循環回路まで水張りされない。
【0045】
図7に示すように、本実施の形態では、給水加圧ポンプ37は、水張りの実行中、給水加圧ポンプ37の動作が有効とされると、Hiフロートセンサ23がオンすれば作動し(ステップS71~S72)、低水位フロートセンサ25がオフすれば停止するように作動制御されている(ステップS73~S74)。これにより、給水タンク2から給水回路に空気が混入するのを防止することができる。
【0046】
また、図示しないが、本実施の形態では、給水加圧ポンプ37は、給水加圧ポンプ37の動作が有効とされると、圧力センサ35で検出される給水回路内の水圧が所定の作動開始圧力(例えば、135kPa)未満になると作動され、水圧が所定の停止圧力(例えば、180kPa)以上の状態が所定の継続時間(例えば、5秒間)継続すると停止するように作動制御される。これにより、回路が開放されている状態では連続して給水タンク2から給水回路に水が供給されるから、円滑に水張りすることができる。また、回路が閉鎖された状態で長時間、給水加圧ポンプ37が作動されるのが防止されるから、ポンプの負荷を低減することができる。なお、水張り開始時に、Hiフロートセンサ23がオンした後、給水加圧ポンプ37の動作を有効とすれば、水張り初期における給水タンク2内の水不足で、低水位フロートセンサ25がオフすることにより、給水加圧ポンプ37の作動及び停止が短時間内に繰り返されるハンチングを防止することができる。
【0047】
図3に戻って、給水タンクモードの実行中、2回目のタクトスイッチが押し操作されることなく(ステップS9で、No)、下限実行時間が経過すると(ステップS7で、Yes)、メモリに給水タンクモードの実行履歴が記憶される(ステップS8)。そして、下限実行時間が経過した後(ステップS7で、Yes)、2回目のタクトスイッチが押し操作されると(ステップS9で、Yes)、給水タンクモードが終了される(ステップS10)。
【0048】
一方、下限実行時間が経過する前に(ステップS7で、No)、2回目のタクトスイッチが押し操作されると(ステップS9で、Yes)、メモリに給水タンクモードの実行履歴は記憶されず、給水タンクモードが終了される(ステップS10)。
【0049】
なお、給湯戻り管73の配管の長さによるが、給水タンクモードの実行中、2回目のタクトスイッチが押し操作がされる前に、作業者が出湯端末400までの水張りを確認して出湯端末400を閉栓し、即湯戻り管72の図示しない水抜き栓を開栓して、給湯戻り管72の中途まで水張りがされると、水抜き栓を閉栓させる。水抜き栓は、例えば、即湯循環ポンプ73近傍に配置される。
【0050】
上記のようにして作業者が2回目のタクトスイッチを押し操作して(ステップS9で、Yes)、即湯回路モードが開始されると(ステップS20)、表示部に既述した所定の表示が表示され、給水電磁弁15,16及び給水加圧ポンプ37の動作は有効に継続され、即湯循環ポンプ73が作動される(ステップS21)。また、下限実行時間(例えば、1分間)を計時するためのタイマをスタートさせる。このとき、出湯端末400は閉栓されているが、加熱循環回路には水張りされていないから、加熱循環回路内の圧力は給水回路及び即湯循環回路内のそれよりも低い。また、給湯戻り管72は貯湯タンク6と接続されている。このため、加熱循環回路内の空気がバッファとなって、給水加圧ポンプ37及び即湯循環ポンプ73を作動させても、圧力センサ35で検出される給水回路の水圧が停止圧力以上に上昇するのを抑えることができる。従って、回路を開放する作業を行うことなく、配管内の空気を貯湯タンク6に送ることができ、即湯循環回路に水張りすることができる。なお、貯湯タンク6内の空気の量に応じて、貯湯タンク6に設けられた自動エア抜き弁57から空気が排気される。
【0051】
給水タンクモードと同様に、即湯回路モードの実行中、3回目のタクトスイッチが押し操作されることなく(ステップS24で、No)、下限実行時間が経過すると(ステップS22で、Yes)、メモリに即湯回路モードの実行履歴が記憶される(ステップS23)。下限実行時間が経過した後(ステップS22で、Yes)、3回目のタクトスイッチが押し操作されると(ステップS24で、Yes)、即湯回路モードが終了される(ステップS25)。
【0052】
一方、下限実行時間が経過する前に(ステップS22で、No)、3回目のタクトスイッチが押し操作されると(ステップS24で、Yes)、メモリに即湯回路モードの実行履歴は記憶されず、即湯回路モードが終了される(ステップS25)。
【0053】
上記のようにして作業者が3回目のタクトスイッチを押し操作すると(ステップS25で、Yes)、即湯循環ポンプ73が停止され(ステップS26)、加熱回路モードが開始される(ステップS40)。加熱回路モードが開始されると、表示部に既述した所定の表示が表示され、給水電磁弁15,16及び給水加圧ポンプ37の動作は有効に継続され、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52が作動される(ステップS41)。また、下限実行時間(例えば、1分間)を計時するためのタイマをスタートさせる。これにより、給水回路から加熱循環回路に水が供給されて、加熱循環回路に水張りがされる。このとき、既述したように、貯湯タンク6には自動エア抜き弁57が設けられているため、出湯端末400を開栓させることなく、自動エア抜き弁57から空気を排気させることができるが、加熱回路モードを実行する前に出湯端末400を開栓しておいてもよい。なお、試運転完了後の通常運転では、ガス熱源機501,502に所定の点火流量以上の水が供給されると、ガス熱源機501,502で加熱制御が実行されるが、水張り時ではガス熱源機501,502からの湯水の出湯は不要であるため、加熱回路モードでは、ガス熱源機501,502を作動させることなく水張りが実行される。
【0054】
給水タンクモード及び即湯回路モードと同様に、加熱回路モードの実行中、4回目のタクトスイッチが押し操作されることなく(ステップS44で、No)、下限実行時間が経過すると(ステップS42で、Yes)、メモリに加熱回路モードの実行履歴が記憶される(ステップS43)。そして、下限実行時間が経過した後(ステップS42で、Yes)、4回目のタクトスイッチが押し操作されると(ステップS44で、Yes)、加熱回路モードが終了される(ステップS45)。
【0055】
一方、下限実行時間が経過する前に(ステップS42で、No)、4回目のタクトスイッチが押し操作されると(ステップS44で、Yes)、メモリに加熱回路モードの実行履歴は記憶されず、加熱回路モードが終了される(ステップS45)。
【0056】
上記のようにして作業者が4回目のタクトスイッチを押し操作すると(ステップS44で、Yes)、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52が停止される(ステップS46)。なお、第1及び第2給水電磁弁15,16の動作は有効とされるが、既述したようにHiフロートセンサ23がオンすれば、第1及び第2給水電磁弁15,16が閉弁され、給水タンク2への給水が停止される。また、給水加圧ポンプ37の動作は有効とされるが、既述したように給水回路内の水圧が停止圧力以上になれば、給水加圧ポンプ37は停止される。
【0057】
次いで、各モードの実行履歴の有無が判定され、全てのモードの実行履歴があれば(ステップS60で、Yes)、各モードで少なくとも所定の下限実行時間は水張りが実行されているから、試運転完了と判定されて、表示部に既述した所定の試運転完了の表示を表示させ、試運転完了のフラグFがセット(F=1)される(ステップS61~S62)。これにより、水張りの実行後、給湯システムの各種機能を有効とすることができる。
【0058】
一方、いずれか1つのモードの実行履歴がなければ(ステップS60で、No)、いずれかのモードで水張りが適切に実行されていない可能性があるから、試運転未完了と判定されて、表示部に既述した所定の試運転未完了の表示を表示させ、試運転完了のフラグFの値はF=0のままである(ステップS63~S64)。試運転完了のフラグFがセットされていない場合、水張りの実行後、少なくとも湯水の循環やヒータによって配管の保温を実行する凍結防止制御や、既述した出湯制御、貯湯制御、即湯制御などの一部機能が無効とされ、ガス熱源機501、502や各種ポンプ37,51,52,73などの作動が禁止される。
【0059】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、水張りに際し、給水タンク2に水を供給させるとともに、給水加圧ポンプ37を作動させて、給水タンク2から給水回路、貯湯タンク6、及び給湯往き管71に水張りする給水タンクモードがまず実行されるから、加熱循環ポンプ51,52を作動させずに、給水加圧ポンプ37のみを作動させて水張りが実行される。これにより、給水回路から容量の大きな貯湯タンク6に水が集中して供給され、貯湯タンク6と貯湯タンク6に接続された給湯往き管71とに水張りされるから、円滑に配管内や貯湯タンク6内のエア抜きをすることができる。また、本実施の形態によれば、給水回路は加熱循環回路に接続されているから、給水タンクモードが実行されて給水回路に適切に水張りがされていれば、給水加圧ポンプ37を作動させて給水回路に水を供給しながら、加熱循環回路に設けられた加熱循環ポンプ51,52を作動させることにより、加熱循環回路に水張りして、配管内のエア抜きをすることができる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、さらに即湯循環回路に水張りを行う必要があるが、少なくとも給水タンクモードがまず実行されるから、給湯往き管71に水張りすることができる。また、即湯循環回路の給湯往き管71と給湯戻り管と72とは接続されているから、給湯往き管71に適切に水張りされていれば、給水加圧ポンプ37を作動させて給水回路に水を供給しながら、即湯循環回路に設けられた即湯循環ポンプ73を作動させることにより、即湯循環回路に水張りして、配管内のエア抜きをすることができる。また、本実施の形態によれば、給水回路は加熱循環回路に接続されているから、給水回路に適切に水張りがされていれば、即湯循環回路に水張りを実行する前後に関わらず、給水加圧ポンプ37を作動させて給水回路に水を供給しながら、加熱循環回路に設けられた加熱循環ポンプ51,52を作動させることにより、加熱循環回路に水張りして、配管内のエア抜きをすることができる。
【0061】
また、本実施の形態によれば、給水タンクモード、加熱回路モード、及び即湯回路モードはそれぞれ、所定の下限実行時間を有するから、各モードで少なくとも下限実行時間は各種ポンプ37,51,52,73が作動されて回路に水張りすることができる。そして、本実施の形態によれば、少なくともいずれか1つのモードで水張りが所定の下限実行時間以上、実行されなければ、試運転未完了として、給湯システムの一部機能が無効とされるから、配管内のエア抜きが不十分な状態でガス熱源機501,502やポンプ37,51,52,73が作動されるのを確実に防止することができる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、給水タンクモード、加熱回路モード、及び即湯回路モードではそれぞれ、給水回路内の水圧が所定の作動開始圧力未満であれば、給水加圧ポンプ37が連続して作動される。これにより、円滑に水張りを実行することができる。
【0063】
一方、給水タンク2から給水回路に水が供給される場合、給水タンク2内の水が不足して、給水タンク2から給水回路に空気が混入したときも、水圧は作動開始圧力未満となるから、給水加圧ポンプ37の作動が継続されて、空転が生じる虞がある。
【0064】
しかしながら、本実施の形態によれば、各モードで給水加圧ポンプ37が作動されているときに低水位が検出されると、水圧が作動開始圧力未満であっても、給水加圧ポンプ37を停止させるから、給水タンク2内の水が減少したときに給水タンク2から給水回路内に空気が混入するのを防止でき、給水加圧ポンプ37の空転を確実に防止することができる。
【0065】
以上のように、本実施の形態によれば、複数の回路に適切に水張りをすることができる給湯システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
2 給水タンク
25 低水位フロートセンサ
3 給水管
35 圧力センサ
37 給水加圧ポンプ
6 貯湯タンク
40 加熱往き管
44 加熱戻り管
51,52 加熱循環ポンプ
71 給湯往き管
72 給湯戻り管
501,502 ガス熱源機
C 給湯制御装置