(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122306
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】工具アセンブリモデリングシステム
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/155 20060101AFI20230825BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B23Q3/155 F
B23Q17/00 F
B23Q3/155 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025944
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真
【テーマコード(参考)】
3C002
3C029
【Fターム(参考)】
3C002CC05
3C002HH06
3C002KK01
3C002LL12
3C029EE13
(57)【要約】
【課題】容易且つ正確に工具アセンブリの3次元モデルを作成できる工具アセンブリモデリングシステムを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る工具アセンブリモデリングシステムは、工具アセンブリに使用する工具パーツを特定するパーツIDを取得するパーツID取得部と、前記パーツID取得部が取得した前記パーツIDにより特定される前記工具パーツについて、3次元のパーツモデルを含むパーツ情報をデータベースから読み込んで登録するパーツ情報登録部と、パーツ情報登録部に登録された複数のパーツモデルを組み合わせることにより前記工具アセンブリのアセンブリモデルを生成するアセンブリモデル生成部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具アセンブリに使用する工具パーツを特定するパーツIDを取得するパーツID取得部と、
前記パーツID取得部が取得した前記パーツIDにより特定される前記工具パーツについて、3次元のパーツモデルを含むパーツ情報をデータベースから読み込んで登録するパーツ情報登録部と、
パーツ情報登録部に登録された複数のパーツモデルを組み合わせることにより前記工具アセンブリのアセンブリモデルを生成するアセンブリモデル生成部と、
を備える、工具アセンブリモデリングシステム。
【請求項2】
前記パーツID取得部が取得した前記パーツIDが前記パーツ情報登録部に既に登録されている前記パーツ情報の前記パーツIDと一致する場合に、その旨の報知を行う登録判定部をさらに備える、
請求項1に記載の工具アセンブリモデリングシステム。
【請求項3】
登録判定部は、前記パーツID取得部が取得した前記パーツIDに係る前記工具パーツが前記パーツ情報登録部に既に登録されている前記工具パーツと競合する場合に、前記パーツ情報登録部の前記パーツ情報を上書きするか否かを選択させる、請求項2に記載の工具アセンブリモデリングシステム。
【請求項4】
前記パーツ情報は、当該工具パーツを用いる場合に前記工具アセンブリにおいて必要な前記工具パーツの総数を特定する必要数情報を含み、
前記登録判定部は、必要数情報に基づいて、前記工具パーツの組み合わせの適否を判定する、
請求項3に記載の工具アセンブリモデリングシステム。
【請求項5】
前記パーツ情報は、当該工具パーツを用いる場合に前記工具アセンブリにおいて必要な前記工具パーツの総数を特定する必要数情報を含み、
前記アセンブリモデル生成部は、必要数情報に基づいて、前記工具パーツの組み合わせの適否を判定する、
請求項1から3のいずれかに記載の工具アセンブリモデリングシステム。
【請求項6】
前記パーツ情報は、当該工具パーツに結合可能な他の前記工具パーツのグループを特定する結合情報を含み、
前記アセンブリモデル生成部は、前記結合情報に基づいて、複数の前記パーツモデルの組み合わせ順序を判定する、
請求項1から5のいずれかに記載の工具アセンブリモデリングシステム。
【請求項7】
前記パーツ情報は、当該工具パーツの基端側及び末端側ついてそれぞれ前記結合情報を含む、請求項6に記載の工具アセンブリモデリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具アセンブリモデリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工具を用いてワークを加工するシステムにおいて、仮想空間に工具及びワークの3次元モデルを配置し、これらを加工プログラムに従って移動させるシミュレーションを行うことによって、加工中に工具の予定外の部位がワークに干渉することがないか確認することが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加工を行う工具としては、例えば、シャンク、チャック及びドリルの組み合わせ等、複数の工具パーツを組み立てることにより構成される工具アセンブリが使用されることが一般的である。工具パーツの組み合わせには膨大な数のバリエーションがあり、工具パーツの組み合わせに応じて形成される工具アセンブリの形状も異なる。
【0005】
個々の工具パーツの形状については、工具パーツのID等を入力することによりネットワークを介して工具パーツの3次元モデルの提供を受けることができるシステムも運用されている。しかしながら、ユーザは、複数の工具パーツについてそれぞれ提供された複数の3次元モデルを組み合わせて工具アセンブリの3次元モデルを作成する必要がある。このような工具アセンブリのモデル作成は煩雑であるだけでなく、組み合わせる工具パーツの3次元モデルを取り違えるといった人為的なミスを生じさせやすい。このため、容易且つ正確に工具アセンブリの3次元モデルを作成できる技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る工具アセンブリモデリングシステムは、工具アセンブリに使用する工具パーツを特定するパーツIDを取得するパーツID取得部と、前記パーツID取得部が取得した前記パーツIDにより特定される前記工具パーツについて、3次元のパーツモデルを含むパーツ情報をデータベースから読み込んで登録するパーツ情報登録部と、パーツ情報登録部に登録された複数のパーツモデルを組み合わせることにより前記工具アセンブリのアセンブリモデルを生成するアセンブリモデル生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容易且つ正確に工具アセンブリの3次元モデルを作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る工具アセンブリモデリングシステムの構成を示す模式図である。
【
図3】
図1の工具アセンブリモデリングシステムにおけるアセンブリモデル生成の手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図3のアセンブリング処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図4のパーツ結合処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明をする。
図1は、本発明の一実施形態に係る工具アセンブリモデリングシステム1の構成を示す模式図である。
【0010】
工具アセンブリモデリングシステム1は、複数の工具パーツを組み合わせて形成される工具アセンブリを用いてワークを加工する加工システムの動作のシミュレーション等に用いられる工具アセンブリの3次元モデルであるアセンブリモデルのデータを生成するシステムである。
【0011】
工具アセンブリモデリングシステム1は、メモリ、プロセッサ、入出力インターフェイス、通信インターフェイス等を有する1又は複数のコンピュータ装置(図示する例では単一のコンピュータ装置10)に、適切なプログラムを実行させることによって実現され得る。また、工具アセンブリモデリングシステム1は、例えばCAD、CAM、数値制御装置、加工シミュレータ等の加工システムに関連するコンピュータ装置と一体に構成されてもよい。つまり、工具アセンブリモデリングシステム1は、加工システムの一部として実現されてもよい。
【0012】
工具アセンブリモデリングシステム1は、パーツID取得部11と、登録判定部12と、パーツ情報登録部13と、アセンブリモデル生成部14と、を備える。これらの構成要素は、工具アセンブリモデリングシステム1の機能を類別したものであって、物理構成及びプログラム構成において明確に区分できるものでなくてもよい。また、1つの構成要素が複数のコンピュータ装置によって実現されてもよい。
【0013】
さらに、工具アセンブリモデリングシステム1は、ユーザが情報を入力するための入力装置21、ユーザに情報を表示するための表示装置22、工具パーツのパーツ情報が登録されたデータベース23及び生成されるアセンブリモデルを利用するシミュレーション装置24に接続されている。なお、工具アセンブリモデリングシステム1を構成するコンピュータ装置10は、入力装置21、表示装置22、データベース23及びシミュレーション装置24の一部又は全てと一体に構成されてもよい。また、工具アセンブリモデリングシステム1は、入力装置21、表示装置22、データベース23及びシミュレーション装置24等と直接接続されてもよく、例えばネットワーク等介して接続されてもよい。
【0014】
パーツ情報は、パーツIDと、パーツIDが示す工具パーツの3次元のパーツモデルのデータとを含む。また、パーツ情報は、当該工具パーツの接続構造を考慮した機能的分類上のグループを示すグループ情報、当該工具パーツに結合可能な他の工具パーツのグループを特定する結合情報、及び当該工具パーツを用いる場合に工具アセンブリにおいて最低限必要な工具パーツの総数(必要数)を特定する必要数情報を含むことが好ましい。グループ情報は、階層構造を有してもよい。結合情報については、当該工具パーツの基端側及び末端側ついてそれぞれ個別の情報として含まれることが好ましい。さらに、パーツ情報は、工具アセンブリモデリングシステム1が生成するアセンブリモデルを用いたシミュレーション等で利用され得る付加情報を含んでもよい。このような付加情報としては、例えば推奨切削条件、許容トルク、寿命、利用可能なワーク材質等が挙げられる。
【0015】
図2に、パーツ情報を例示する。図示する例では、各パーツ情報は、パーツID、グループ情報、基端側の結合情報、末端側の結合情報及び必要数として、「工具パーツID」、「グループID」、「結合可能工具グループX」、「結合可能工具グループY」及び「工具必要数」のデータ項目を有する。工具グループIDとしては、「Mill_Shank」、「Mill_Holder」、「Mill_Drill_A」、「Mill_Drill_B」が例示されている。「Mill_Drill_A」と「Mill_Drill_B」は、上位の分類では同じ「Mill_Drill」グループに属するが、下位の分類では別のグループに属する。
【0016】
パーツID取得部11は、入力装置21を介して工具アセンブリに使用する工具パーツを特定するパーツIDを取得する。パーツIDの取得は、文字情報の入力、バーコードや2次元コード等の読み取り、ICタグ等の読み取りなどの方法で行うことができる。つまり、入力装置21は、例えばキーボード、スキャナ、画像認識装置、ICリーダ等から構成され得る。また、パーツIDの取得は、各メーカが自由に定める工具パーツの商品名、型式等から所定の形式を有するパーツIDに変換することによって行われてもよい。
【0017】
つまり、工具アセンブリモデリングシステム1では、ユーザが工具アセンブリを構成する工具パーツを用意し、工具パーツ、そのパッケージ等に付されたパーツIDを入力装置21に入力することで、工具アセンブリを構成する複数の工具パーツのパーツIDをパーツID取得部11に取得させることが想定される。パーツID取得部11は、例えば表示装置22等を用いてユーザに所定の順番でパーツIDを入力するよう要求するガイダンス機能を提供してもよい。
【0018】
登録判定部12は、パーツID取得部が取得したパーツIDに係る工具パーツが後述するパーツ情報登録部13に既に登録されている工具パーツと競合する場合、つまりパーツIDが既に登録されているパーツIDと一致する場合又はパーツIDに係るパーツ情報が既に登録されているパーツ情報と同種の工具パーツであることを示すものである場合に、例えば表示装置22等を用いてその旨の報知を行うよう構成される。なお、「同種の工具パーツ」とは、例えば主軸に直接取り付けられる工具パーツのグループなど、工具アセンブリにおいて同一階層に用いられる工具パーツであることを意味し、グループIDによって判別され得る。同じ工具パーツのパーツIDが重複して入力された場合、ユーザが1つの工具パーツのパーツIDを誤って2回入力したものである可能性がある。また、例えばユーザが複数の候補を検討していた場合に最終的に除外したはずの工具パーツのパーツIDを入力してしまうことも想定され得る。このため、登録判定部12は、工具アセンブリの階層構造を構築できない工具パーツの組み合わせを検知してユーザに確認を促すことにより、ユーザの入力ミスを低減する。
【0019】
登録判定部12は、パーツID取得部が取得したパーツIDに係る工具パーツが後述するパーツ情報登録部13に既に登録されている工具パーツと競合する場合に、ユーザにパーツ情報登録部のパーツ情報を上書きするか否かを選択させてもよい。具体的には、登録判定部12は、表示装置22にパーツIDが示す工具パーツが既に登録されている工具パーツと競合する旨を表示し、パーツ情報を上書きするか、パーツ情報の読み込みをキャンセルするか等の選択を要求してもよい。このような場合、登録判定部12は、ユーザの選択を入力装置21を介して受け付けるよう構成され得る。これにより、誤操作や不要な処理を回避して、より正確なアセンブリモデルを生成できる。
【0020】
登録判定部12は、パーツ情報に必要数情報が含まれる場合、必要数情報が示す工具パーツの数と、パーツ情報登録部13に読み込んだ工具パーツの組み合わせの適否を判定してもよい。具体的には、パーツ情報登録部13に読み込んだパーツ情報の最大の必要数とパーツ情報登録部13に読み込んだパーツ情報の数とを比較し、過不足の情報を表示装置22に表示するよう構成されてもよい。これによって、工具アセンブリを構成する複数の工具パーツのパーツIDを過不足なく入力したか否かをユーザに確認させられるので、正確なアセンブリモデルの生成がより確実になる。
【0021】
パーツ情報登録部13は、パーツID取得部11が取得したパーツIDにより特定される工具パーツについてのパーツ情報をデータベース23から読み込み、そのパーツ情報をアセンブリモデルの生成に用いるデータとして登録する。つまり、パーツ情報登録部13は、工具アセンブリを構成する複数の工具パーツのパーツ情報をコンピュータ装置10の作業メモリ内に展開する。
【0022】
パーツ情報登録部13は、直接データベース23から毎回パーツ情報を読み込むものに限定されず、過去に例えば異なる工具アセンブリのためにデータベース23から読み込んだパーツ情報を再利用するよう構成されてもよい。
【0023】
アセンブリモデル生成部14は、パーツ情報登録部に登録された複数のパーツモデルを組み合わせることにより工具アセンブリのアセンブリモデルを生成する。パーツモデルの組み合わせ順序は、パーツモデルから嵌合形状を検索することにより決定してもよいが、容易かつ正確にアセンブリモデルを生成するために、パーツ情報に含まれる結合情報に基づいて複数のパーツモデルの組み合わせ順序を判定するよう構成され得る。また、アセンブリモデル生成部14は、パーツモデルの組み合わせ順序を特定できない場合、ユーザに組み合わせ順序を指定させるユーザインターフェイスを提供してもよい。
【0024】
アセンブリモデル生成部14は、必要数情報に基づいて、工具パーツの組み合わせの適否を判定してもよい。工具パーツの組み合わせが不適切である場合、その旨を表示装置22等を用いてユーザに報知することで、不必要な処理を回避して、ユーザに未入力の工具パーツのパーツID入力を促すことができる。なお、工具アセンブリモデリングシステム1は、不必要な冗長性を排除するために、登録判定部12及びアセンブリモデル生成部14のいずれか一方だけで必要数情報に基づく判定を行うよう構成されてもよい。
【0025】
アセンブリモデル生成部14は、アセンブリモデルを生成の成否、生成したアセンブリモデル等を表示装置22等に表示させることにより、ユーザに通知することが好ましい。アセンブリモデルの生成結果をユーザに提示し、工具アセンブリの3次元モデルが意図する工具パーツを適切に組み合わせたものであるかを最終確認させることによって、誤ったアセンブリモデルのデータをシミュレーション装置24等に提供することを防止できる。また、アセンブリモデルのデータには、パーツ情報に含まれる負荷情報を含めることができる。これにより、シミュレーション装置24等における加工条件の決定、工具寿命の管理等を容易に行うことができる。
【0026】
以下、工具アセンブリモデリングシステム1におけるアセンブリモデル生成の手順を説明する。
図3は、工具アセンブリモデリングシステム1におけるアセンブリモデル生成の手順の一例を示すフローチャートである。
【0027】
工具アセンブリモデリングシステム1では、先ず、アセンブリモデルを生成する工具番号を指定する(ステップS01)。次に、処理パラメータである必要数保持値及び登録数カウント値等の初期化を行う(ステップS02)。続いて、登録判定部12がパーツID取得部11が取得したパーツIDに係るパーツ情報(少なくともグループID)を取得し(ステップS03)、グループIDが既にパーツ情報登録部13にステップS01で指定した工具番号として登録されているパーツ情報のグループIDと同じでないか確認する(ステップS04)。グループIDが重複する場合、パーツ情報を上書きするか否かをユーザに確認し(ステップS05)、グループIDが重複しない場合、及びグループIDが重複且つパーツ情報の上書きが選択された場合、さらにパーツIDが同じパーツ情報のデータが既にパーツ情報登録部13に存在するか否かを確認する(ステップS06)。パーツ情報が存在しない場合、パーツ情報登録部13はデータベース23からパーツIDに係るパーツ情報を読み込む(ステップS07)。既に存在していたパーツ情報、又は新たに読み込んだパーツ情報を工具アセンブリを構成する新たな1つの工具パーツとして紐づけする(ステップS08)。つまり、同じ工具パーツを複数用いる場合、同じ工具情報を重複してパーツ情報登録部13に読み込ませるのではなく、別の工具パーツのデータを参照する別の工具パーツとしてヘッダ情報だけを登録してもよい。以上の工具パーツの登録処理が完了すれば、アセンブリモデル生成部14がパーツ情報のパーツモデルを組み合わせてアセンブリモデルのデータを生成するアセンブリング処理を行う(ステップS09)。その後、ユーザによる工具パーツの入力によるパーツ情報登録部13への登録作業が完了しているか否かを確認する(ステップS10)。全ての工具パーツについての登録作業が完了していればアセンブリモデル生成処理を終了し、登録作業が完了していない場合はステップS03に戻る。
【0028】
図4に、
図3のステップS09におけるアセンブリング処理の詳細な手順を示す。アセンブリング処理では、先ず、新しくパーツIDが入力された新たな工具パーツが上書きされたものであるか否かを確認する(ステップS11)。新たな工具パーツが上書きされたものでない場合、登録数のカウント値を1加算し(ステップS12)、新たな工具パーツの必要数と現在の必要数保持値との大きい方を新しい必要数保持値とする(ステップS13)。新たな工具パーツが上書きされたものであった場合、登録されているパーツ情報の中で最大の必要数を新しい必要数保持値とする(ステップS14)。
【0029】
これらの処理パラメータに係る前処理を行った後、後述するように新たな工具パーツのパーツモデルを現在のアセンブリモデル(未完成のアセンブリモデル)に結合するパーツ結合処理を行う(ステップS15)。このパーツ結合処理の後、アセンブリモデルの生成状態を確認するために、以下の処理を行う。まず、登録数のカウント値と必要数保持値とを比較し(ステップS16)、登録数のカウント値が必要数保持値に満たない場合は工具パーツが不足している旨の警告を行う(ステップS17)。登録数のカウント値が必要数保持値以上であれば、登録された工具パーツの中でアセンブリモデルに結合できていない工具パーツが残っているか否かを確認する(ステップS18)。工具パーツが残っている場合はその旨の警告を行い(ステップS19)、工具パーツが残っていない場合はアセンブリモデルの生成が成功した旨を報告するメッセージを発する(ステップS20)。
【0030】
図5に、
図4のステップS15におけるパーツ結合処理の詳細な手順を示す。パーツ結合処理では、先ず、結合情報等を用いて新たな工具パーツが現在のアセンブリモデルに結合可能であるか否かを確認する(ステップS21)。結合不能であればこの処理を終了し、グループIDなどを用いて未結合の工具パーツの中で現在のアセンブリモデルの同じ部位に結合可能な工具パーツが複数存在するか否かする(ステップS22)。結合可能な工具パーツが複数存在する場合はユーザに結合する工具パーツを選択させてから(ステップS23)、結合可能な工具パーツを現在のアセンブリモデルに結合し、アセンブリモデルを更新する(ステップS24)。その後、結合可能な工具パーツが残っていないか確認し(ステップS25)、結合可能な工具パーツが残っている場合はステップS22に戻り、結合可能な工具パーツが残っていない場合はこの処理を終了する。
【0031】
以下、
図2の「Drill_B001」、「Shank_A001」「Holder_A001」、「Holder_B001」の順番で工具パーツを登録する場合について説明する。まず、「Drill_B001」の登録により登録パーツ数のカウント値=1、必要数保持値=2となる。この時点では結合可能な工具パーツは存在しない。また、登録パーツ数のカウント値<必要数保持値であるため、パーツ不足の警告がなされる。続いて「Shank_A001」の登録により登録パーツ数のカウント値=2、必要数保持値=3となる。この時点でも結合可能な工具パーツは存在しない。また、登録パーツ数のカウント値<必要数保持値であるため、引き続きの警告がなされる。続いて「Holder_A001」の登録により登録パーツ数のカウント値=3となるが、必要数保持値=3は変化しない。結合可能工具グループXとYの関係により、「Holder_A001」は「Shank_A001」とは結合可能であるが、「Drill_B001」とは結合不能である。よって登録パーツ数のカウント値≧必要数保持値(カウント<必要数が不成立)、且つ未結合のパーツが存在する状態となり、パーツ余りの警告がなされる。続いて「Holder_B001」の登録により登録パーツ数のカウント値=3、必要数保持値=3となる。結合可能工具グループXとYの関係により、「Holder_B001」は「Shank_A001」とも、「Drill_B001」とも結合可能である。よってb<aは不成立で、未結合のパーツがない状態となり、アセンブリモデル生成の成功メッセージが表示される。
【0032】
このように、工具アセンブリモデリングシステム1では、ユーザが工具アセンブリに使用する工具パーツのパーツIDを入力するだけでアセンブリモデルが生成されるため、人為的なミスを低減して容易且つ正確なに工具アセンブリの3次元モデルであるアセンブリモデルを作成できる。
【0033】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、前述した実施形態に記載された効果は、本発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、前述した実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0034】
例として、本発明に係る工具アセンブリモデリングシステムにおいて、登録判定部は任意の構成であって、省略可能である。また、本発明に係る工具アセンブリモデリングシステムにおいて、パーツ情報は、必要数情報及び結合情報を含んでいなくてもよく、アセンブリモデル生成部はこれらの情報についての処理を行わないものであってもよい。また、本発明に係る工具アセンブリモデリングシステムは、1つのパーツIDを取得する度にアセンブリモデルの更新をするものに限られず、工具アセンブリに用いられる全ての工具パーツのパーツIDの入力が完了してからアセンブリモデルを生成するよう構成されてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 工具アセンブリモデリングシステム
11 パーツID取得部
12 パーツ情報登録部
13 登録判定部
14 アセンブリモデル生成部
21 入力装置
22 表示装置
23 データベース
24 シミュレーション装置