(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122349
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】カッティングヘッド付きプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 11/66 20060101AFI20230825BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20230825BHJP
B41J 15/16 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B41J11/66
B41J11/42
B41J15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026005
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌義
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正樹
【テーマコード(参考)】
2C058
2C060
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC07
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF20
2C058AF57
2C058AF59
2C058LA04
2C058LA07
2C058LA17
2C058LA29
2C060CA13
2C060CB31
2C060CB41
(57)【要約】
【課題】記録媒体のテンション制御を自動で行うカッティングヘッド付きプリンタ
【解決手段】カッティングヘッド付きプリンタは、ジョブに印刷およびカッティングがそれぞれ含まれるかどうかの情報が書き込まれたジョブデータを受信する。カッティングヘッド付きプリンタは、記録媒体にテンションを付与するテンション付与機構を、受信したジョブデータの情報に基づいて制御するように構成され、ジョブにカッティングが含まれる場合(S01:YES)にはカッティング中に記録媒体を弛ませ(S02)、ジョブに印刷が含まれカッティングが含まれない場合(S01:NO)には印刷中に記録媒体にテンションを付与する(S12)。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を支持する支持台と、
前記支持台に支持された前記記録媒体に印刷を行うプリントヘッドと、
前記支持台に支持された前記記録媒体を切断可能なカッターを備えたカッティングヘッドと、
前記プリントヘッドおよび前記カッティングヘッドを所定の第1方向に移動させる第1移動装置と、
前記支持台に支持された前記記録媒体を前記第1方向に交差する第2方向に移動させる第2移動装置と、
前記プリントヘッドおよび前記カッティングヘッドよりも前記第2方向の下流側に設けられ、前記記録媒体にテンションを付与しまたは前記記録媒体を弛ませるテンション付与機構と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
ジョブに印刷およびカッティングがそれぞれ含まれるかどうかの情報が書き込まれたジョブデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部が受信した前記ジョブデータに基づいて、前記第2方向に間欠的に前記記録媒体を移動させながら前記記録媒体に印刷を行う印刷制御部と、
前記データ受信部が受信した前記ジョブデータに基づいて、前記第1方向に前記カッティングヘッドを移動させかつ前記第2方向に前記記録媒体を移動させることにより記録媒体を切断するカッティング制御部と、
前記データ受信部が受信した前記ジョブデータの情報に基づいて前記テンション付与機構を制御するように構成され、ジョブにカッティングが含まれる場合にはカッティング中に前記記録媒体を弛ませ、ジョブに印刷が含まれカッティングが含まれない場合には印刷中に前記記録媒体にテンションを付与するテンション制御部と、を備えている、
カッティングヘッド付きプリンタ。
【請求項2】
前記テンション制御部は、ジョブに印刷およびカッティングが含まれる場合には、印刷およびカッティングの前に前記記録媒体を弛ませ、カッティングが終了するまで前記記録媒体を弛ませ続ける、
請求項1に記載のカッティングヘッド付きプリンタ。
【請求項3】
前記テンション付与機構は、印刷またはカッティング終了後の前記記録媒体を巻き取る巻取装置を備え、
前記巻取装置は、
前記第2方向の下流側に向かって前記記録媒体を巻き取る正転方向と、前記第2方向の上流側に向かって前記記録媒体を巻き戻す逆転方向とに回転可能なローラと、
前記ローラを前記正転方向または前記逆転方向に回転させる駆動部と、を備え、
前記テンション制御部は、前記駆動部を制御して前記ローラを前記逆転方向に回転させることにより、前記記録媒体を弛ませる、
請求項1または2に記載のカッティングヘッド付きプリンタ。
【請求項4】
前記テンション制御部は、弛ませた前記記録媒体がカッティングヘッド付きプリンタの最下端よりも上方に位置するように、前記記録媒体を弛ませる、
請求項1~3のいずれか一つに記載のカッティングヘッド付きプリンタ。
【請求項5】
前記テンション付与機構は、印刷またはカッティング終了後の前記記録媒体を巻き取る巻取装置を備え、前記巻取装置で前記記録媒体を巻き取ることにより前記記録媒体にテンションを付与するように構成され、
前記テンション制御部は、カッティング時には前記巻取装置による前記記録媒体の巻き取りを停止し、印刷時には前記巻取装置に前記記録媒体を巻き取らせる、
請求項1~4のいずれか一つに記載のカッティングヘッド付きプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッティングヘッド付きプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
カッティングヘッドとプリントヘッドとを備え、記録媒体に対してカッティングおよび画像の印刷を行うことができるカッティングヘッド付きプリンタが従来から知られている。例えば特許文献1には、印刷またはカッティング前のロール状の記録媒体が巻き付けられる供給軸と、記録媒体が載置されるプラテンと、プラテン上の記録媒体を長手方向に搬送する媒体搬送機構と、プラテンの上方に設けられたカッティングヘッドおよびインクヘッドユニットと、プラテンよりも記録媒体の搬送方向下流で記録媒体を巻き取る巻取装置と、プラテンと巻取装置との間で記録媒体にテンションを与えるテンションバーと、を備えたカッティングヘッド付きインクジェットプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カッティングヘッド付きプリンタにおいては、記録媒体に印刷を行うときには基本的に記録媒体にテンションを付与し、記録媒体をカッティングするときには、記録媒体に過度のテンションを付与しないように記録媒体を弛ませる。特許文献1の場合には、記録媒体に印刷を行うときにはテンションバーの重量が記録媒体に掛かるようにし、記録媒体をカッティングするときにはテンションバーの可動域を越えて記録媒体を弛ませる。従来、作業中に記録媒体にテンションを付与するか、弛ませるかは、ユーザーにより選択されていた。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録媒体のテンション制御を自動で行うことができるカッティングヘッド付きプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示するカッティングヘッド付きプリンタは、記録媒体を支持する支持台と、前記支持台に支持された前記記録媒体に印刷を行うプリントヘッドと、前記支持台に支持された前記記録媒体を切断可能なカッターを備えたカッティングヘッドと、前記プリントヘッドおよび前記カッティングヘッドを所定の第1方向に移動させる第1移動装置と、前記支持台に支持された前記記録媒体を前記第1方向に交差する第2方向に移動させる第2移動装置と、前記プリントヘッドおよび前記カッティングヘッドよりも前記第2方向の下流側に設けられ、前記記録媒体にテンションを付与しまたは前記記録媒体を弛ませるテンション付与機構と、制御装置と、を備える。前記制御装置は、データ受信部と、印刷制御部と、カッティング制御部と、テンション制御部と、を備えている。前記データ受信部は、ジョブに印刷およびカッティングがそれぞれ含まれるかどうかの情報が書き込まれたジョブデータを受信する。前記印刷制御部は、前記データ受信部が受信した前記ジョブデータに基づいて、前記第2方向に間欠的に前記記録媒体を移動させながら前記記録媒体に印刷を行う。前記カッティング制御部は、前記データ受信部が受信した前記ジョブデータに基づいて、前記第1方向に前記カッティングヘッドを移動させかつ前記第2方向に前記記録媒体を移動させることにより記録媒体を切断する。前記テンション制御部は、前記データ受信部が受信した前記ジョブデータの情報に基づいて前記テンション付与機構を制御するように構成され、ジョブにカッティングが含まれる場合にはカッティング中に前記記録媒体を弛ませ、ジョブに印刷が含まれカッティングが含まれない場合には印刷中に前記記録媒体にテンションを付与する。
【0007】
上記カッティングヘッド付きプリンタによれば、ジョブに印刷およびカッティングがそれぞれ含まれるかどうかの情報をジョブデータから取得することができる。そのため、ジョブにカッティングが含まれる場合と含まれない場合とにそれぞれ対応した記録媒体のテンション制御を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係るカッティングヘッド付きプリンタの正面図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿ったカッティングヘッド付きプリンタの断面図である。
【
図3】第1キャリッジおよび第2キャリッジが連結された状態のプリントヘッドおよびカッティングヘッドの正面図である。
【
図4】第1キャリッジおよび第2キャリッジが分離された状態のプリントヘッドおよびカッティングヘッドの正面図である。
【
図5】カッティングヘッド付きプリンタのブロック図である。
【
図6】ジョブ中のテンション制御およびジョブ後の巻き取り動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[カッティングヘッド付きインクジェットプリンタの構成]
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るカッティングヘッド付きインクジェットプリンタ10(以下、プリンタ10)の正面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿ったプリンタ10の断面図である。
図1および
図2に示すように、本実施形態に係るプリンタ10は、シート状の記録媒体5に対して印刷およびカッティングを行う装置である。記録媒体5は、例えば、台紙と台紙上に積層されかつ粘着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材であってもよく、記録紙や樹脂製のシート等であってもよい。記録媒体5は印刷およびカッティングのうちの少なくとも一方が可能な記録媒体であれば足り、特に限定されない。
【0010】
プリンタ10は、プリンタ本体11と、一対の脚12と、ロール状の記録媒体5を支持する供給装置20と、ロールから繰り出された記録媒体5を支持するプラテン30と、プラテン30上の記録媒体5を搬送する搬送装置40と、記録媒体5に対し印刷を行うプリントヘッド50と、記録媒体5を切断するカッティングヘッド60と、プリントヘッド50およびカッティングヘッド60を移動させるヘッド移動装置70と、印刷またはカッティング後の記録媒体5を巻き取る巻取装置80と、タッチパネル90と、制御装置100(
図5参照)と、を備えている。
【0011】
プリントヘッド50およびカッティングヘッド60は、図示Y方向に移動可能に構成されている。また、記録媒体5は、図示X方向に搬送される。記録媒体5は、プリンタ10の背面側に設けられた供給装置20から供給され、搬送装置40によって前方に向かって搬送された後、プリンタ10の正面側に設けられた巻取装置80によって巻き取られる。以下では、Y方向を走査方向ともいい、X方向を搬送方向ともいう。走査方向Yは記録媒体5の幅方向に対応し、搬送方向Xは記録媒体5の長手方向に対応している。走査方向Yは、ここでは、左右方向である。搬送方向Xは、プラテン30上では前後方向であり、プラテン30と巻取装置80との間では上下方向である。走査方向Yと搬送方向Xとは互いに直交している。図示X1方向は、記録媒体5の搬送方向Xの下流側である。図示X2方向は、搬送方向Xの上流側である。ただし、これらの方向は説明の便宜上のものであり、プリンタ10の設置態様を限定するものではない。図面の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ、プリンタ10の前、後、左、右、上、下を表している。
【0012】
プリンタ本体11には、プラテン30、搬送装置40、プリントヘッド50、カッティングヘッド60、ヘッド移動装置70、タッチパネル90、および制御装置100が設けられている。一対の脚12は、プリンタ本体11の下方に配置され、プリンタ本体11を支持している。一対の脚12は、プリンタ10の設置面Gに立脚される。供給装置20および巻取装置80は、脚12に固定されている。
【0013】
供給装置20には、印刷前の記録媒体5のロールが装着される。
図1および
図2に示すように、供給装置20は、左右一対の支持部材21と、左右一対の回転部材22と、を備えている。支持部材21は、前後方向に回転可能に回転部材22を支持している。一対の回転部材22は、それぞれ、記録媒体5の巻き芯の端部に挿入可能に構成されている。回転部材22に支持された記録媒体5のロールは、回転部材22とともに前後方向に回転可能である。供給装置20において、記録媒体5のロールは、記録媒体5が搬送装置40によって搬送されることにより従動的に回転する。
【0014】
プラテン30は、記録媒体5を支持する支持台である。プラテン30は、左右方向および前後方向に延びている。搬送装置40は、プラテン30に支持された記録媒体5を搬送方向Xに移動させる。
図2に示すように、搬送装置40は、グリットローラ41と、ピンチローラ42と、フィードモータ43(
図5参照)と、を備えている。グリットローラ41は、プラテン30に埋設され、フィードモータ43に駆動されることによって前後方向に回転する。ピンチローラ42は、プラテン30の上方に設けられている。ピンチローラ42は、グリットローラ41と向かい合うように配置されている。ピンチローラ42は、記録媒体5を上方から押さえる部材である。ピンチローラ42が降ろされ、記録媒体5がピンチローラ42とグリットローラ41との間に挟み込まれた状態でグリットローラ41が回転すると、記録媒体5は搬送方向Xの下流X1側または上流X2側に搬送される。図示は省略するが、搬送装置40は、走査方向Yに並んで設けられた複数のグリットローラ41と、複数のグリットローラ41とそれぞれ向かい合うように設けられた複数のピンチローラ42と、を備えている。
【0015】
ヘッド移動装置70は、プリントヘッド50およびカッティングヘッド60を走査方向Yに移動させるように構成されている。
図3および
図4は、プリントヘッド50およびカッティングヘッド60の正面図である。そのうち、
図3は、プリントヘッド50が搭載された第1キャリッジ75と、カッティングヘッド60が搭載された第2キャリッジ76とが連結された状態を示している。
図4は、第1キャリッジ75と第2キャリッジ76とが分離された状態を示している。ヘッド移動装置70は、第1キャリッジ75と第2キャリッジ76とが連結された状態では、両者を一体で移動させる。また、ヘッド移動装置70は、第1キャリッジ75と第2キャリッジ76とが分離された状態では、第2キャリッジ76だけを単独で移動させる。
【0016】
図1に示すように、ヘッド移動装置70は、ガイドレール71と、ベルト72と、左右のプーリ73と、スキャンモータ74と、を備えている。ガイドレール71は、プラテン30の上方に設けられている。ガイドレール71は走査方向Yに延びている。ガイドレール71には、プリントヘッド50およびカッティングヘッド60が、それぞれ第1キャリッジ75および第2キャリッジ76を介して摺動可能に係合している。第2キャリッジ76の背面上部には、走査方向Yに延びるベルト72が固定されている。ベルト72は、無端状のベルトである。ベルト72は、左右のプーリ73に巻き掛けられている。一方のプーリ73は、スキャンモータ74に接続されている。スキャンモータ74が回転すると、プーリ73が回転し、ベルト72が走査方向Yに走行する。これにより、第2キャリッジ76は走査方向Yに移動する。
【0017】
第1キャリッジ75と第2キャリッジ76とは、連結部材75a、76aによって連結され、または分離される。
図3および
図4に示すように、連結部材75a、76aは、第1キャリッジ75に設けられた第1連結部材75aと、第2キャリッジ76に設けられた第2連結部材76aとを有している。第1連結部材75aは、第1キャリッジ75の左側部分に設けられている。第2連結部材76aは、第2キャリッジ76の右側部分に設けられている。本実施形態では、連結部材75a、76aは、磁力を利用して第1キャリッジ75と第2キャリッジ76とを連結する。第1連結部材75aと第2連結部材76aのうちの一方は磁石を備え、他方は磁石に吸着する磁性体を備えている。ただし、連結部材75a、76aは磁力を利用するものに限られず、係合部材等の他の構成を備えたものであってもよい。第1キャリッジ75と第2キャリッジ76とは、第1連結部材75aと第2連結部材76aとが接触することにより連結される。
【0018】
第1キャリッジ75の右側には、L字状に形成された受け金具75bが設けられている。また、ガイドレール71の右端付近には、第1キャリッジ75を固定するためのロック装置77が設けられている。ロック装置77は、受け金具75bに引っ掛けられるフック78と、フック78をロック位置(
図4参照)と非ロック位置(
図3参照)との間で移動させるロック用ソレノイド79(
図5参照)とを備えている。
【0019】
図3に示すように、プリントヘッド50による印刷を行う際には、フック78が非ロック位置に設定される。第2キャリッジ76が右方に移動し、第1連結部材75aと第2連結部材76aとが接触すると、第2キャリッジ76と第1キャリッジ75とが連結される。その結果、第1キャリッジ75は、第2キャリッジ76とともに走査方向Yに移動可能となる。ヘッド移動装置70は、第1キャリッジ75と第2キャリッジ76が連結された状態において、プリントヘッド50およびカッティングヘッド60を走査方向Yに移動させる。
【0020】
カッティングヘッド60によるカッティングの際には、
図4に示すように、第1キャリッジ75が可動範囲右端の待機位置に位置付けられ、ロック装置77のフック78がロック位置に設定される。これにより、第1キャリッジ75の移動が阻止される。この状態で第2キャリッジ76が左方へ移動すると、第1連結部材75aと第2連結部材76aとが離反し、第2キャリッジ76と第1キャリッジ75との連結が解除される。その結果、第1キャリッジ75が待機位置に待機した状態で、第2キャリッジ76が走査方向Yに移動可能となる。
【0021】
プリントヘッド50は、第1キャリッジ75に搭載されている。プリントヘッド50は、プラテン30に支持された記録媒体5に印刷を行うものである。プリントヘッド50は、プラテン30に対向するように設けられている。プリントヘッド50は、グリットローラ41およびピンチローラ42よりも搬送方向Xの下流X1側に設けられている。
図3に示すように、プリントヘッド50は、それぞれインクを吐出する複数のインクヘッド51を備えている。複数のインクヘッド51の下面には、それぞれ、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)が形成されている。インクヘッド51の数量は特に限定されず、インクヘッド51が吐出するインクの種類や色も何ら限定されない。
【0022】
カッティングヘッド60は、第2キャリッジ76に搭載されている。カッティングヘッド60も、グリットローラ41およびピンチローラ42よりも搬送方向Xの下流X1側に設けられ、プラテン30と対向している。
図3に示すように、カッティングヘッド60は、プラテン30に支持された記録媒体5を切断可能なカッター61と、ソレノイド62とを備えている。ソレノイド62がON/OFFされると、カッター61は上下方向に移動して記録媒体5に接触し、あるいは記録媒体5から離反する。カッター61は、記録媒体5に接触しながら移動することにより、記録媒体5を切断する。
【0023】
巻取装置80は、印刷またはカッティング終了後の記録媒体5を巻き取るものである。巻取装置80は、記録媒体5にテンションを付与しまたは記録媒体5を弛ませるテンション付与機構でもある。テンション付与機構としての巻取装置80は、プリントヘッド50およびカッティングヘッド60よりも搬送方向Xの下流X1側に設けられている。これにより、記録媒体5のうちプリントヘッド50およびカッティングヘッド60と向かい合う部分にテンションが付与される。
図2に示すように、巻取装置80は、プラテン30よりも下方に設けられている。プラテン30と巻取装置80との間では、記録媒体5の搬送方向Xは上下方向であり、その上流側は上方、下流側は下方である。
【0024】
図1に示すように、巻取装置80は、巻取ローラ81と、駆動モータ82と、テンションバー83と、一対の支持アーム84と、センサ85(
図5参照)と、を備えている。巻取ローラ81は、搬送方向Xの下流X1側に向かって記録媒体5を巻き取る正転方向R1と、搬送方向Xの上流X2側に向かって記録媒体5を巻き戻す逆転方向R2とに回転可能なように構成されている。駆動モータ82は、巻取ローラ81に接続され、巻取ローラ81を正転方向R1または逆転方向R2に回転させる。なお、巻取ローラ81に対して
図2とは逆巻きに記録媒体5を巻き掛けた場合には、正転方向R1および逆転方向R2は、
図2とは逆方向である。
【0025】
テンションバー83は、プラテン30よりも搬送方向Xの下流X1側かつ巻取ローラ81よりも搬送方向Xの上流X2側において記録媒体5にテンションを付与する。
図1に示すように、テンションバー83は、走査方向Yに延びている。テンションバー83は、左右一対の支持アーム84によって支持されている。
図2に示すように、支持アーム84は、後端部付近を軸として上下方向に揺動可能に構成されている。テンションバー83は、支持アーム84とともに揺動する。テンションバー83は、巻取ローラ81よりも搬送方向Xの上流X2側において記録媒体5に当接する。テンションバー83は、その重量によって記録媒体5にテンションを付与する。巻取装置80は、テンションバー83の下方への移動を規制する図示しないストッパを備えている。ストッパによりテンションバー83の下方への移動が規制された状態で記録媒体5が搬送装置40により搬送方向Xの下流X1に搬送されるか、または、巻取ローラ81が逆転方向R2に回転されると、記録媒体5は弛み、テンションバー83よりも下方に垂れ下がる。センサ85は、テンションバー83の位置を検出している。
【0026】
タッチパネル90は、入力装置と表示装置とを兼用するものであり、ユーザーの操作が入力されるとともに、プリンタ10に関する各種の情報を表示するように構成されている。
図1に示すように、本実施形態では、タッチパネル90は、プリンタ本体11の右側の前面に設けられている。ただし、タッチパネル90の位置は特に限定されない。
【0027】
図5は、プリンタ10のブロック図である。
図5に示すように、制御装置100は、搬送装置40のフィードモータ43と、プリントヘッド50の複数のインクヘッド51(ただし、
図5では1つのみ図示)と、カッティングヘッド60のソレノイド62と、ヘッド移動装置70のスキャンモータ74と、ロック用ソレノイド79と、巻取装置80の駆動モータ82と、に接続され、これらの動作を制御している。また、制御装置100は、センサ85からの信号を受信している。制御装置100は、タッチパネル90と通信可能に接続されている。制御装置100の構成は特に限定されない。制御装置100は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データやカットデータ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置と、を備えている。
【0028】
図5に示すように、制御装置100は、ジョブデータを受信するデータ受信部101と、データ受信部101が受信したジョブデータに基づき記録媒体5に印刷を行う印刷制御部102と、データ受信部101が受信したジョブデータに基づき記録媒体5を切断するカッティング制御部103と、記録媒体5のテンションを制御するテンション制御部104と、を備えている。制御装置100は、他の処理部を備えていてもよいが、ここでは図示および説明を省略する。
【0029】
データ受信部101は、印刷データおよびカッティングデータのうちの少なくとも一方が含まれるジョブデータを、例えばジョブデータが作成された外部機器等から受信する。ジョブデータには、ジョブに印刷およびカッティングがそれぞれ含まれるかどうかの情報が書き込まれている。以下、ジョブデータに書き込まれたジョブに印刷およびカッティングがそれぞれ含まれるかどうかの情報を「ジョブデータタイプ情報」とも呼ぶ。ジョブデータタイプ情報は、ここでは、ジョブデータの先頭に書き込まれたコマンドである。ジョブデータのタイプには、印刷およびカッティングが含まれる第1のタイプ、カッティングが含まれ印刷が含まれない第2のタイプ、印刷が含まれカッティングが含まれない第3のタイプが存在し得る。ジョブデータタイプ情報により、プリンタ10は、ジョブに印刷およびカッティングがそれぞれ含まれるかどうかを判別することができる。
【0030】
データ受信部101がジョブデータを受信すると、制御装置100は、ジョブデータに含まれる印刷データまたはカッティングデータのサムネイル画像をタッチパネル90に表示する。ジョブデータがカッティングデータを含む場合、サムネイル画像にカット線が表示される。ジョブデータが印刷データとカッティングデータの両方を含む場合、カット線が印刷画像の上に重ねて表示される。カット線は、例えば、点線で表示されていてもよく、色により強調表示されていてもよい。ユーザーはサムネイル画像を見て、実行されるジョブデータが正しいかどうかを確認することができる。
【0031】
さらに、ジョブデータのタイプが印刷およびカッティングを含む第1のタイプの場合、ジョブデータのタイプには、印刷を先に行うかカッティングに行うかを指示するコマンドが含まれる。このコマンド(情報)により、プリンタ10は、印刷を先に行うジョブか、カッティングを先に行うジョブかを判別することができる。
【0032】
印刷制御部102は、データ受信部101が受信したジョブデータに基づいて搬送装置40、プリントヘッド50、およびヘッド移動装置70を制御することにより、記録媒体5に印刷を行う。印刷制御部102は、搬送方向Xの下流X1または上流X2に間欠的に記録媒体5を移動させながら記録媒体5に印刷を行う。詳しくは、印刷制御部102は、ヘッド移動装置70を制御して第1キャリッジ75とともにプリントヘッド50を走査方向Yに移動させながら、プリントヘッド50にインクを吐出させる。これにより、プリントヘッド50の下方の記録媒体5に画像が形成される。印刷制御部102は、搬送装置40を制御して搬送方向Xの下流X1または上流X2に間欠的に記録媒体5を移動させつつ、プリントヘッド50に画像を形成させることにより、記録媒体5に画像を印刷する。
【0033】
カッティング制御部103は、データ受信部101が受信したジョブデータに基づいて搬送装置40、カッティングヘッド60のソレノイド62、およびヘッド移動装置70を制御することにより、記録媒体5を切断する。カッティング制御部103は、走査方向Yにカッティングヘッド60を移動させかつ搬送方向Xに記録媒体5を移動させることにより記録媒体5を切断する。詳しくは、カッティング制御部103は、ヘッド移動装置70を制御して走査方向Yにカッティングヘッド60を移動させ、かつ、搬送装置40を制御して搬送方向Xに記録媒体5を移動させるとともに、ソレノイド62を制御してカット線上をカッター61が通るときにカッター61を降ろす。カッティング制御部103は、これにより、記録媒体5をカットデータに基づく形状に切断する。
【0034】
テンション制御部104は、データ受信部101が受信したジョブデータのジョブデータタイプ情報に基づいて、テンション付与機構としての巻取装置80を制御する。テンション制御部104は、ジョブにカッティングが含まれる場合には、カッティング中に記録媒体5を弛ませる。これにより、カッティング中に記録媒体5に過度なテンションを付与することを抑制できる。テンション制御部104は、ここでは、弛ませた記録媒体5がプリンタ10の最下端(ここでは、脚12の下端部)よりも上方に位置するように、記録媒体5を弛ませる。これにより、弛ませた記録媒体5がプリンタ10の設置面Gに触れることが防止されている。テンション制御部104は、ジョブに印刷が含まれカッティングが含まれない場合には、印刷中に記録媒体5にテンションを付与する。これにより、プリンタ10は、印刷中に記録媒体5が浮く可能性を低減し、印刷の信頼性を向上させている。
【0035】
本実施形態では、テンション制御部104は、巻取装置80で記録媒体5を巻き取ることによって(詳しくは、駆動モータ82を正転方向R1に回転させることによって)記録媒体5にテンションを付与する。記録媒体5を巻き取ることにより、テンションバー83がストッパによる規制位置よりも上方に移動し、テンションバー83によるテンションが記録媒体5に付与される。また、テンション制御部104は、駆動モータ82を制御して巻取ローラ81を逆転方向R2に回転させることにより、記録媒体5を弛ませる。テンション制御部104は、カッティング時には巻取装置80による記録媒体5の巻き取りを停止する。テンション制御部104は、印刷時には巻取装置80に記録媒体5を巻き取らせる。ただし、記録媒体5にテンションを付与する方法は、記録媒体5の巻き取りには限定されない。
【0036】
テンション制御部104は、ジョブにカッティングが含まれる場合のうち、ジョブに印刷およびカッティングが含まれる場合には、印刷およびカッティングの前に記録媒体5を弛ませ、カッティングが終了するまで記録媒体5を弛ませ続けるように設定されている。詳しくは、テンション制御部104は、印刷を先に行うジョブの場合、印刷およびカッティングの前に記録媒体5を弛ませ、印刷およびカッティングが終了するまで記録媒体を弛ませ続ける。テンション制御部104は、カッティングを先に行うジョブの場合、カッティングおよび印刷の前に記録媒体5を弛ませ、カッティングが終了するまで記録媒体を弛ませ続ける。テンション制御部104は、その後の印刷中には、記録媒体5にテンションを付与する。プリンタ10は、ジョブタイプにかかわらず、ジョブの全ての作業(印刷またはカッティング)が終了すると、記録媒体5を巻き取る。
【0037】
[ジョブ中のテンション制御]
以下では、ジョブ中の記録媒体5のテンション制御、および、ジョブ後の記録媒体5の巻き取り動作について説明する。
図6は、ジョブ中のテンション制御およびジョブ後の巻き取り動作を示すフローチャートである。スタート時点では、前のジョブの終了後に記録媒体5が巻き取られているため、記録媒体5にはテンションが付与されている。ただし、スタート時点では、記録媒体5にはテンションが付与されていなくてもよい。
図6に示すように、ステップS01では、ジョブがカッティングを含むかどうかが判定される。ステップS01の判定は、ジョブデータに書き込まれ、プリンタ10に読み込まれたジョブデータタイプ情報に基づいて行われる。ステップS01の結果がNOの場合(ジョブがカッティングを含まない場合、すなわち、印刷だけを含む場合)、ステップS11において印刷が開始される。ステップS12では、印刷の進行に合わせて、記録媒体5が順次巻き取られる。これにより、印刷中、記録媒体5にテンションが付与される。記録媒体5の巻き取りは、センサ85が検知するテンションバー83の位置に基づいて、巻取ローラ81を間欠的に正転方向R1に回転させることにより行われる。ステップS13で印刷が終了することにより、ジョブが印刷だけを含む場合のフローは終了する。
【0038】
ステップS01の結果がYESの場合(ジョブがカッティングを含む場合)、ステップS02において、巻取ローラ81が逆転方向R2に回転され、記録媒体5が所定量だけ巻き戻される。これにより、記録媒体5が弛む。このとき、プリンタ10は、弛ませた記録媒体5がプリンタ10の設置面Gに触れることを防止するため、弛ませた記録媒体5がプリンタ10の最下端(ここでは、脚12の下端部)よりも上方に位置する所定量だけ記録媒体5を巻き戻す。この所定の巻き戻し量は、さらに、印刷またはカッティング中に記録媒体5が搬送方向Xに移動されても、記録媒体5がプリンタ10の最下端よりも上方に位置するような量に設定されている。
【0039】
続くステップS03では、ジョブがカッティングだけを含むかどうか、すなわち印刷を含まないかどうかが判定される。ステップS03の判定も、ジョブデータに書き込まれ、プリンタ10に読み込まれたジョブデータタイプ情報に基づいて行われる。ステップS03の結果がYESの場合(ジョブがカッティングだけを含み、印刷を含まない場合)、ステップS21においてカッティングが開始される。カッティング中、記録媒体5は搬送方向Xに移動されるが、ステップS02において記録媒体5が弛んでいるため、この移動は支障なく行われ、記録媒体5には過度なテンションが付与されない。ステップS22においてカッティングが終了した後のフローについては後述する。
【0040】
ステップS03の結果がNOの場合(ジョブがカッティングおよび印刷の両方を含む場合)、ステップS04において、印刷がカッティングよりも先に行われるかどうかが判定される。ステップS04の判定も、ジョブデータに書き込まれ、プリンタ10に読み込まれたジョブデータタイプ情報に基づいて行われる。ステップS04の結果がYESの場合(印刷がカッティングよりも先に行われる場合)、ステップS31において印刷が行われる。このとき、記録媒体5にはテンションは付与されない。つまり、記録媒体5は巻き取られない。ステップS31の印刷において記録媒体5を巻き取ると、その後のカッティングの前に記録媒体5をジョブの出力原点(ジョブ開始時における搬送方向Xの記録媒体5の位置)に引き戻し、さらに巻取ローラ81を逆転方向R2に回転させて記録媒体5に弛みを作るという煩雑な制御が発生する。そのため、本実施形態では、印刷がカッティングよりも先に行われる場合には、印刷中に記録媒体5を巻き取らない。
【0041】
ステップS32で印刷が終了すると、ステップS33において、搬送装置40により記録媒体5が出力原点に引き戻される。続くステップS34では、カッティングが開始される。このとき、記録媒体5は弛んだままである。ステップS35でカッティングが終了した後のフローは後述する。
【0042】
ステップS04の結果がNOの場合(カッティングが印刷よりも先に行われる場合)、ステップS41においてカッティングが行われる。このとき、記録媒体5は弛んだままである。ステップS42で印刷が終了すると、ステップS43において、搬送装置40により記録媒体5が出力原点に引き戻される。続くステップS44では、印刷が開始される。ステップS45では、印刷の進行に合わせて、記録媒体5が順次巻き取られる。これにより、印刷中の記録媒体5にテンションが付与される。ステップS46で印刷が終了することにより、カッティングが印刷よりも先に行われる場合のフローは終了する。ステップS31~S35およびステップS41~S46に示すように、ジョブに印刷およびカッティングが含まれる場合には、プリンタ10は、印刷およびカッティングの前に記録媒体5を弛ませ、カッティングが終了するまでは記録媒体5を弛ませ続ける。これにより、ステップS31において説明したような煩雑な制御が回避され、印刷およびカッティングに要する時間が節約されている。
【0043】
ステップS22においてカッティングが終了した後、および、ステップS35においてカッティングが終了した後には、ステップS05において記録媒体5が搬送装置40により出力原点に引き戻される。ステップS05は、続くステップS06における記録媒体5の巻き取りで、巻き取っているにもかかわらず所定時間内にテンションバー83が所定の位置に移動しないことによるエラーが出るのを防ぐためのものであり、不要であれば省略してもよい。続くステップS06では、記録媒体5が巻取装置80により巻き取られる。これにより、ジョブの最後の作業がカッティングの場合のフローが終了する。
【0044】
[実施形態の作用効果]
以下では、本実施形態に係るプリンタ10が奏することができる作用効果について説明する。本実施形態に係るプリンタ10は、プリントヘッド50およびカッティングヘッド60よりも搬送方向Xの下流X1に設けられ、記録媒体5にテンションを付与しまたは記録媒体5を弛ませるテンション付与機構を備えている。本実施形態では、テンション付与装置は、巻取装置80である。制御装置100は、データ受信部101と、印刷制御部102と、カッティング制御部103と、テンション制御部104と、を備えている。データ受信部101は、ジョブに印刷およびカッティングがそれぞれ含まれるかどうかの情報が書き込まれたジョブデータを受信する。印刷制御部102は、データ受信部101が受信したジョブデータに基づいて、搬送方向Xに間欠的に記録媒体5を移動させながら記録媒体5に印刷を行う。カッティング制御部103は、データ受信部101が受信したジョブデータに基づいて、走査方向Yにカッティングヘッド60を移動させかつ搬送方向Xに記録媒体5を移動させることにより記録媒体5を切断する。テンション制御部104は、データ受信部101が受信したジョブデータの情報に基づいてテンション付与機構(ここでは、巻取装置80)を制御するように構成されている。テンション制御部104は、ジョブにカッティングが含まれる場合にはカッティング中に記録媒体5を弛ませ、ジョブに印刷が含まれカッティングが含まれない場合には印刷中に記録媒体5にテンションを付与する。かかる構成によれば、プリンタ10は、ジョブに印刷およびカッティングがそれぞれ含まれるかどうかの情報をジョブデータから取得することができる。そのため、ジョブにカッティングが含まれる場合と含まれない場合とにそれぞれ対応した記録媒体5のテンション制御を自動で行うことができる。
【0045】
本実施形態では、テンション制御部104は、ジョブに印刷およびカッティングが含まれる場合には、印刷およびカッティングの前に記録媒体5を弛ませ、カッティングが終了するまで記録媒体5を弛ませ続ける。かかる構成によれば、印刷の後にカッティングが行われる場合に煩雑な制御を回避でき、印刷およびカッティングに要する時間を節約できる。
【0046】
本実施形態では、テンション付与機構は、印刷またはカッティング終了後の記録媒体5を巻き取る巻取装置80を備えている。巻取装置80は、搬送方向Xの下流X1側に向かって記録媒体5を巻き取る正転方向R1と搬送方向Xの上流X2側に向かって記録媒体5を巻き戻す逆転方向R2とに回転可能な巻取ローラ81と、巻取ローラ81を正転方向R1または逆転方向R2に回転させる駆動モータ82と、を備えている。テンション制御部104は、駆動モータ82を制御して巻取ローラ81を逆転方向R2に回転させることにより、記録媒体5を弛ませる。かかる構成によれば、搬送装置40を制御して記録媒体5を搬送方向Xの下流X1に搬送して記録媒体5に弛みをつくるのとは異なり、印刷およびカッティング前の記録媒体5は移動しない。そのため、ジョブとジョブとの間の印刷もカッティングもされない部分が記録媒体5に形成されない。よって、記録媒体5を無駄なく使用することができる。
【0047】
従来のカッティングヘッド付きプリンタでは、カッティングの前に記録媒体に弛みをつくる際には、搬送装置を制御して記録媒体を搬送方向の下流に搬送していた。従来のカッティングヘッド付きプリンタは、カッティングが終わるとこの状態から記録媒体を巻き取り、さらに次のジョブを行っていた。そのため、カッティングの前に記録媒体に弛みをつくると、ジョブとジョブとの間の印刷もカッティングもされない部分が記録媒体に形成されていた。本実施形態によれば、そのような記録媒体5の印刷もカッティングもされない部分をなくすことができる。
【0048】
本実施形態では、テンション制御部104は、弛ませた記録媒体5がプリンタ10の最下端よりも上方に位置するように、記録媒体5を弛ませる。かかる構成によれば、記録媒体5が設置面Gに触れないため、設置面Gとの接触により記録媒体5が汚れることが抑制される。
【0049】
本実施形態では、テンション付与機構は、巻取装置80で記録媒体5を巻き取ることにより記録媒体5にテンションを付与するように構成されている。テンション制御部104は、カッティング時には巻取装置80による記録媒体5の巻き取りを停止し、印刷時には巻取装置に80記録媒体5を巻き取らせる。かかる構成によれば、記録媒体5を巻き取る動作を利用して記録媒体5にテンションを付与し、または記録媒体5を弛ませることができる。
【0050】
[他の実施形態]
以上、好適な一実施形態について説明した。しかし、上記した実施形態は例示に過ぎず、ここに開示する技術は他の種々の形態で実施することができる。例えば上記した実施形態では、テンション付与機構は、テンションバー83を有する巻取装置80によって構成されていたが、テンションバーを有さない巻取装置を含んでいてもよく、巻取装置を含んでいなくてもよい。例えば、テンション付与機構は、駆動モータの巻き取りトルクを制御することによって記録媒体に付与するテンションを制御してもよい。テンション付与機構は、記録媒体の巻き取りとは関係なく記録媒体にテンションを付与可能なように構成されていてもよい。
【0051】
カッティングヘッド付きプリンタの構成は、特に限定されない。例えば、カッティングヘッド付きプリンタは、プリントヘッドを移動させる移動装置とカッティングヘッドを移動させる移動装置とを別に備えていてもよい。その他、ここに記載された実施形態は、特に断らない限り、本発明を限定しない。
【符号の説明】
【0052】
5 記録媒体
10 インクジェットプリンタ
30 プラテン(支持台)
40 搬送装置(第2移動装置)
50 プリントヘッド
60 カッティングヘッド
70 ヘッド移動装置(第1移動装置)
80 巻取装置(テンション付与機構)
81 巻取ローラ(ローラ)
82 駆動モータ(駆動部)
83 テンションバー
100 制御装置
101 データ受信部
102 印刷制御部
103 カッティング制御部
104 テンション制御部