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特開2023-122382半導体積層体の製造方法及び半導体積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122382
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】半導体積層体の製造方法及び半導体積層体
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/30 20100101AFI20230825BHJP
【FI】
H01L33/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026053
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
(71)【出願人】
【識別番号】000224798
【氏名又は名称】DOWAホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100213436
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 直俊
(72)【発明者】
【氏名】荒井 昌和
(72)【発明者】
【氏名】門脇 嘉孝
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA04
5F241CA04
5F241CA34
5F241CA65
5F241CA73
(57)【要約】
【課題】発光出力が高い半導体積層体の製造方法及び当該製造方法により製造された半導体積層体を提供する。
【解決手段】半導体積層体の製造方法は、GaAs基板1上にIn、Sb及びAsを少なくとも含むInGaAsSb層2を形成する活性層形成工程と、InGaAsSb層2上に厚さ10nm以上40nm以下のInGaAs層3を形成するキャップ層形成工程と、キャップ層形成工程後に行われ、520℃以上800℃以下の温度下、且つ、砒素雰囲気中で加熱する加熱工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaAs基板上にIn、Sb及びAsを少なくとも含むInGaAsSb層を形成する活性層形成工程と、
前記InGaAsSb層上に厚さ10nm以上40nm以下のInGaAs層を形成するキャップ層形成工程と、
前記キャップ層形成工程後に行われ、520℃以上800℃以下の温度下、且つ、砒素雰囲気中で加熱する加熱工程と、を含む半導体積層体の製造方法。
【請求項2】
前記キャップ層形成工程後に行われ、前記InGaAs層上に、当該InGaAs層の形成時を超える温度でGaAs層を形成するGaAs層形成工程を更に含む請求項1に記載の半導体積層体の製造方法。
【請求項3】
前記GaAs層形成工程は、
550℃未満の温度で前記GaAs層の成膜を開始する第一成膜工程と、
前記第一成膜工程後に行われ、550℃以上800℃以下の温度で前記GaAs層を成長させる第二成膜工程と、を含む請求項2に記載の半導体積層体の製造方法。
【請求項4】
前記第二成膜工程は、600℃以上800℃以下の温度で前記GaAs層を成長させる請求項3に記載の半導体積層体の製造方法。
【請求項5】
GaAs基板と、
In、Sb及びAsを少なくとも含むInGaAsSb層と、
厚さ10nm以上40nm以下のInGaAs層と、
GaAs層と、を備え、
前記GaAs基板上に、前記InGaAsSb層、前記InGaAs層及び前記GaAs層がこの順に積層された半導体積層体。
【請求項6】
前記InGaAs層に対向する側とは反対側の前記GaAs層の表面における、一辺の長さが10μmである正方形領域をAFMにより分析した二乗平均平方根粗さの値が5.0nm以下である請求項5に記載の半導体積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体積層体の製造方法及び半導体積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
中赤外領域(例えば、波長3μmから5μm)の波長域を有する受発光素子は、センサやガス分析などの用途で、幅広く用いられている。
【0003】
このような受発光素子の活性層には、In、As及びSbを含むInGaAsSb系III-V族半導体が用いられる。また、従来は、InAsSb層などのInGaAsSb系III-V族半導体層をエピタキシャル成長させる場合、格子整合させるために、InAs基板やGaSb基板が成長用基板として用いられていたが、近年は、InAsSb層などと格子整合しない安価なGaAs基板の使用も検討されている。
【0004】
特許文献1には、化合物半導体装置が記載されている。この化合物半導体装置は、GaAs基板の上に格子定数が整合しないi-InGaAs層、n-InGaP層等を成長し、その上に膜厚が目的とする膜厚より薄い第1のn-GaAs層を成長し、成長を中断して砒素雰囲気中でアニールした後、第2のn-GaAs層を目的とする膜厚まで成長させる。この化合物半導体装置では、最上層の第2のn-GaAs層に穴が生じることを抑制できることが記載されている。
【0005】
特許文献2には、III-V化合物半導体光装置を作製する方法が記載されている。このIII-V化合物半導体光装置を作製する方法は、III-V化合物半導体光装置を作製する方法であって、V族として窒素及びヒ素を含む第1のIII-V化合物半導体からなる量子井戸構造のための井戸層をIII-V化合物半導体領域上に分子線エピタキシ法で形成する工程と、井戸層を形成した後、ヒ素を含む第2のIII-V化合物半導体からなる半導体層を分子線エピタキシ法で形成する工程と、半導体層を成長させた後、有機金属気相成長炉を用いることにより、AsH雰囲気下で、成膜することなく摂氏650度以上の熱処理温度で量子井戸構造に熱処理を施す工程と、量子井戸構造に熱処理を施した後、有機金属気相成長炉の温度を、H2雰囲気下で第2導電型III-V化合物半導体領域を成長させる成長温度まで降温させる工程と、降温の後、有機金属気相成長炉を用いることにより、成長温度で第2導電型III-V化合物半導体領域を成長させる工程と、を備えている。このIII-V化合物半導体光装置における量子井戸構造は、GaInNAs、GaNAs、GaInNAsSb、GaAs又はGaNAsを含みうる。
【0006】
特許文献3には、赤外線発光素子が記載されている。この赤外線発光素子は、GaAs基板、Si基板などの単結晶基板の一方の面に形成されたn型コンタクト層と、n型コンタクト層の基板とは反対側の面(n型コンタクト層上)に形成されたn型バリア層と、n型バリア層のn型コンタクト層とは反対側の面(n型バリア層上)に形成されたInAsSbからなる活性層と、活性層のn型バリア層とは反対側の面(活性層上)に形成されたp型バリア層と、GaSbまたはGaInSbを主成分とする化合物半導体層からなりp型バリア層上に形成されたp型コンタクト層と、を備えている。p型コンタクト層は、電極とのコンタクト層として機能する層であり、その材料として、InSb、InAs、InAsSb、AlInSb、GaInSb、AlGaInSb、AlInAsSb、GaInAsSb、AlGaInAsSb、AlSb、GaSb、AlGaSb、AlAsSb、GaAsSb、AlGaAsSbなどが挙げられている。
【0007】
InGaAsSb層やInAsSb層は、その成長温度(例えば500℃以下)よりも高い温度で保持されると、Sbが蒸発してしまうことが一般に知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7-135304号公報
【特許文献2】特開2008-283078号公報
【特許文献3】特開2018-67632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような従来技術にあっては、GaAs基板上にInGaAsSb層を形成した半導体積層体を含む発光素子の発光出力が十分得られない場合があった。
【0010】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、発光出力が高い半導体積層体の製造方法及び当該製造方法により製造された半導体積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明者が鋭意研究した結果、InGaAsSb層の結晶性の向上のためにInGaAsSb層をその成長温度よりも高い温度でアニール(熱処理)したり、InGaAsSb層を形成してから更に他の層をInGaAsSb層の成長温度よりも高い温度で形成したりする場合、InGaAsSb層がその成長温度よりも高い温度で加熱されることにより、InGaAsSb層の組成や結晶性を適切に制御できない場合があり、このことが発光ダイオードの発光出力低下につながるとの知見を得た。また、InGaAsSb層からのSbの蒸発を抑制するためにSbを含まないキャップ層を形成したとしても、キャップ層からのAsの蒸発により、InGaAsSb層の形成後に形成されたSbを含まずAsを含有する他の層(InAs層やGaAs層など)の表面のモフォロジ、例えば平滑性が低下する場合があることが分かった。そして、このようなInGaAsSb層からのSb並びにキャップ層からのAsの蒸発を抑制しながらアニールする必要があることを鑑みて、以下の発明を完成させた。
【0012】
すなわち、上記目的を達成するための本発明に係る半導体積層体の製造方法は、
GaAs基板上にIn、Sb及びAsを少なくとも含むInGaAsSb層を形成する活性層形成工程と、
前記InGaAsSb層上に厚さ10nm以上40nm以下のInGaAs層を形成するキャップ層形成工程と、
前記キャップ層形成工程後に行われ、520℃以上800℃以下の温度下、且つ、砒素雰囲気中で加熱する加熱工程と、を含む。
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る半導体積層体は、
GaAs基板と、
In、Sb及びAsを少なくとも含むInGaAsSb層と、
厚さ10nm以上40nm以下のInGaAs層と、
GaAs層と、を備え、
前記GaAs基板上に、前記InGaAsSb層、前記InGaAs層及び前記GaAs層がこの順に積層されている。
【発明の効果】
【0014】
発光出力が高い半導体積層体の製造方法及び当該製造方法により製造された半導体積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の半導体積層体の構成を示す図である。
図2】InGaAsSb層を形成する活性層形成工程の説明図である。
図3】InGaAs層を形成するキャップ層形成工程の説明図である。
図4】GaAs層を形成するGaAs層形成工程の説明図である。
図5】他の実施形態に係る半導体積層体の構成を示す図である。
図6】実施例1から4における、ステージの温度変化の相違を示すグラフである。
図7】実施例及び比較例に係る半導体積層体から放射された光のスペクトルである。
図8】実施例2に係る半導体積層体のGaAs層の表面のAFM像である。
図9】実施例3に係る半導体積層体のGaAs層の表面のAFM像である。
図10】実施例4に係る半導体積層体のGaAs層の表面のAFM像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に従う実施形態の説明に先立ち、以下の点について予め説明する。
【0017】
本実施形態におけるIn、Sb及びAsを少なくとも含むInGaAsSb層とは、InGa1-xAs1-ySb層(0<x≦1、0<y<1)とも表記される化合物を意味するものとする。少なくとも含む元素を規定せず単にInGaAs層と表記する場合はInGa1-zAs(0≦z≦1)からなる層を意味する。InGaAs層と表記する場合はSbは組成比に含まないことを意味するが、成長時においてSb原料ガスを使用していなければよく、チャンバ―内のSbの残存や隣接するSbを含む層からの拡散により不純物元素としてSbが含まれることは許容される。
【0018】
本実施形態におけるGaAsとは、III族としてGa、V族としてAsからなるIII-V族化合物である。GaAsは、本発明の効果を奏する範囲で不純物元素を含むことは許容される。
【0019】
例えばZn等の不純物濃度の値は、SIMS分析(二次イオン質量分析法、Secondary Ion Mass Spectrometry)によるものとする。
【0020】
エピタキシャル成長により形成される各層は、SEM(電子顕微鏡)により各層の厚さを測定して良い。隣接する各層の組成が十分異なる場合にはSEMまたはTEM(透過型電子顕微鏡)による成長層の断面観察から算出できる。層厚が10nm以上の場合にはSEMを使用し、層厚が10nm未満の場合にはTEMを使用することが好ましい。更に、各層の厚みのそれぞれは、上記のSEM(またはTEM)による厚さ測定結果を基にして、成長装置に付属させた光干渉式膜厚測定器や、XRDを用いた成長レートの計算結果からも求めることができる。
【0021】
二乗平均平方根粗さ(RMS)の値は、原子間力顕微鏡(AFM)によって計測した値を用いることができる。本実施形態では、原子間力顕微鏡(株式会社日立ハイテク製AFM5200S)を用い、一辺の長さが10μmである正方形領域(10nm×10nm角の範囲)の表面の凹凸を測定して求めた二乗平均平方根粗さをRMS値として用いる。RMS値の算出は、上記AFM5200Sに付属の解析ソフト(SPIWin)で行う。
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。また、各図において、説明の便宜上、基板及び各層の縦横の比率を実際の比率から誇張して示している。
【0023】
(概要の説明)
図1には、本実施形態に係る半導体積層体100を示している。半導体積層体100は、中赤外領域(例えば、波長3μmから5μm)の波長域を有する受発光素子(いわゆる、LED)の構成要素となり得る半導体の積層体である。
【0024】
半導体積層体100は、GaAs基板1と、In、Sb及びAsを少なくとも含むInGaAsSb層2と、厚さ10nm以上40nm以下のInGaAs層3と、GaAs層4と、を備えている。半導体積層体100では、GaAs基板1上に、InGaAsSb層2、InGaAs層3及びGaAs層4が、この順に積層されている。
【0025】
半導体積層体100の製造方法は、GaAs基板1上にIn、Sb及びAsを少なくとも含むInGaAsSb層2を形成する活性層形成工程と、InGaAsSb層2上に厚さ10nm以上40nm以下のInGaAs層3を形成するキャップ層形成工程と、キャップ層形成工程後に行われ、500℃以上800℃以下の温度下、且つ、砒素雰囲気中で加熱する加熱工程と、を含んでいる。
【0026】
なお、本実施形態における半導体積層体100の製造方法は、更に、キャップ層形成工程後に行われ、InGaAs層3上に、InGaAs層3の形成時を超える温度でGaAs層4を形成するGaAs層形成工程を含んでいる。
【0027】
GaAs基板1、InGaAsSb層2、InGaAs層3及びGaAs層4は、たとえばMOCVD装置などを使用してエピタキシャル成長により形成してよい。
【0028】
本実施形態における半導体積層体100の製造方法によれば、半導体積層体100の発光出力を高めることができる。
【0029】
(各部の説明)
半導体積層体100の各部について以下説明する。
【0030】
図1に示すように、GaAs基板1は、GaAs単結晶からなる基板や、表面に板状に形成されたGaAsからなる層を含むテンプレート基板であってよい。GaAs基板1の上には、後述するように、InGaAsSb層2、InGaAs層3及びGaAs層4がこの順に積層される。以下の説明では、GaAs基板1上に、InGaAsSb層2などの他の層が積層されたものを総称して、単に積層体、と称する場合がある。
【0031】
GaAs基板1は、導電型をn型としたものを用いることができる。GaAs基板1における、InGaAsSb層2の結晶成長(エピタキシャル成長)を行う表面の面方位は(100)面であるものを用いることができ、オフ角度をつけることもできる。
【0032】
InGaAsSb層2は、In、Sb及びAsを少なくとも含む半導体積層体100の活性層である。InGaAsSb層2は、InGa1-xAs1-ySb層(0<x≦1、0<y<1)とも表記される。InGaAsSb層2の一例は、InAsSb(InAs1-ySb、0<y<1)からなるInAsSb層である。
【0033】
InGaAsSb層2は、GaAs基板1における、一方の面の側に形成される。すなわち、InGaAsSb層2を形成する活性層形成工程では、InGaAsSb層2を、GaAs基板1における、一方の面の側に形成する(図2参照)。InGaAsSb層2は、例えば、200nm以上700nm以下に形成される。InGaAsSb層2は、520℃未満の温度で形成されることが好ましく、例えば500℃で形成される。
【0034】
InGaAs層3は、InGa1-zAs(0≦z≦1)からなる層であり、InGaAs層3を挟む層の間の格子定数差の低減にはInを含むことが好ましく、InAsとすることが最も好ましい。InGaAs層3は、InGaAsSb層2における、GaAs基板1に対向する側の面とは反対側の面上に形成される。すなわち、InGaAs層3を形成するキャップ層形成工程では、InGaAs層3を、InGaAsSb層2における、GaAs基板1に対向する側の面とは反対側の面上に形成する(図3参照)。InGaAs層3は、InGaAsSb層2からのSbの蒸発を抑制するキャップ層である。InGaAs層3は、厚さ10nm以上40nm以下に形成されるとよい。InGaAs層3の形成時の成長温度は、Sbが蒸発しないように550℃未満が好ましく、520℃未満がより好ましく、後述するGaAs層4の成長温度よりも低いことが好ましい。InGaAsSb層2の成長温度と同じ温度(例えば500℃)とすることが最も好ましい。すなわち、InGaAs層3を形成するキャップ層形成工程は、550℃未満でInGaAs層3を成長させ、InGaAs層3を、厚さ10nm以上40nm以下に形成する。
【0035】
GaAs層4は、GaAsからなる層である。GaAs層4は、InGaAs層3における、GaAs基板1に対向する側の面とは反対側の面上に形成される。すなわち、GaAs層4を形成するGaAs層形成工程は、キャップ層形成工程後に行われ、GaAs層4を、InGaAs層3における、GaAs基板1に対向する側の面とは反対側の面上に形成する(図1図4参照)。本実施形態において、GaAs層形成工程は、砒素雰囲気中で行われることが好ましい(図4参照)。
【0036】
GaAs層4は、半導体積層体100を用いて受発光素子を形成する場合において、半導体積層体100におけるGaAs層4面上に、更に別の層(例えば、電極との接触抵抗を低減するためのコンタクト層)を形成するための土台となる表面を形成する層である。GaAs層4は、例えば、受発光素子における、クラッド層の一部ともなり得る。GaAs層4とInGaAsSb層2との格子定数差は大きいが、InGaAsSb層2をGaAs基板1とGaAs層4とで挟み込む構造とすることで、InGaAsSb層2におけるクラックの発生を抑制できる場合もある。GaAs層4の厚みは、150nm以上1000nm以下とされることが好ましい。GaAs層4の厚みは、更に好ましくは、300nm以上800nm以下である。
【0037】
後述する加熱工程をGaAs層形成工程中に行う場合は、GaAs層4の厚みを300nm以上とするとよい。これにより、GaAs層4のクラックを防止できる場合がある。また、GaAs層4の表面(GaAs層4における、GaAs基板1に対向する側の面とは反対側の表面)の平坦性を向上させることができる場合がある。
【0038】
GaAs層形成工程は、InGaAs層3の形成時の成長温度を超える成長温度でGaAs層4を成長させる工程である。
【0039】
GaAs層形成工程は、InGaAs層3の形成時の成長温度を超える成長温度、且つ、550℃未満の成長温度でGaAs層4を成長させる第一成膜工程と、550℃以上の成長温度でGaAs層4を成長させる第二成膜工程と、を含み得る。第一成膜工程により、GaAs層形成工程における、InGaAs層3からのAsの蒸発を抑制することができる。これにより、InGaAs層3からの発光出力が向上する。第二成膜工程により、GaAs層4の表面(GaAs層4における、GaAs基板1に対向する側の面とは反対側の表面)の平坦性を向上させることができる。GaAs層4の表面の平坦性が高くなる場合には、各層間の界面の急峻性や各層の結晶性が良好となり、半導体積層体100の発光出力が向上する。
【0040】
第一成膜工程では、好ましくは520℃以上550℃未満の温度でGaAs層4の成膜を開始してよい。第一成膜工程は、一分以上行われることが好ましい。高温としたときにInAsよりもAsが抜けにくいGaAs層が、InAs層上に第二成膜工程よりも低温で形成されることにより、その後の第二成膜工程におけるInGaAs層3からのAsの蒸発をより良く抑制することができる。
【0041】
第二成膜工程におけるGaAs層4の成長温度は、好ましくは550℃以上800℃以下である。550℃以上とすることで、InGaAsSb層2に対する熱処理による結晶性改善効果を得ると共に、第二成膜工程におけるGaAs層4の成長温度を800℃以下とすることで、第二成膜工程中におけるInGaAs層3やGaAs層4からのAsの蒸発を抑制することができる。
【0042】
第二成膜工程では、GaAs層4の成長温度が600℃以上の温度とされる期間があることが好ましく、その期間が8分以上であることが更に好ましい。これにより、GaAs層4の表面(GaAs層4における、GaAs基板1に対向する側の面とは反対側の表面)の平坦性を更に向上させることができる場合がある。
【0043】
第二成膜工程では、GaAs層4の成長温度が一定とされる期間が存在してもよいし、連続的又は段階的(例えば、階段状)に成長温度を上昇させる期間が存在してもよい。例えば、第一成膜工程に引き続いてGaAs層4の成長温度を550℃以上800℃以下の所定の温度に昇温した後、当該所定の温度を第二成膜工程の最後まで維持してもよいし、GaAs層4の成長温度を550℃から800℃までの範囲で、連続的又は段階的に上昇させてもよい。
【0044】
第一成膜工程と第二成膜工程とは連続的に行われてもよい。例えば、InGaAs層3の形成時の成長温度以上の成長温度、且つ、550℃未満の成長温度(一例として、520℃)でGaAs層4の成膜を開始し、その後、800℃以下の所定の温度(例えば、650℃)まで、連続的に昇温させてもよい。
【0045】
キャップ層形成工程後には、積層体を、520℃以上800℃以下の温度下、且つ、砒素雰囲気中で加熱する加熱工程が行われる。加熱工程は、GaAs層形成工程とは別に行われてもよいし、GaAs層形成工程と同時に行われてもよい。加熱工程では、積層体が550℃以上の温度とされる期間があることが好ましく、積層体が600℃以上の温度とされる期間が8分以上であることがより好ましい。これにより、InGaAs層3からの発光出力がより良く向上する場合がある。
【0046】
加熱工程をGaAs層形成工程とは別に行う場合は、加熱工程をGaAs層形成工程の前に行うことができる。加熱工程をGaAs層形成工程と同時に行う場合は、加熱工程をGaAs層形成工程における第一成膜工程および第二成膜工程と同時に行うことができる。例えば、GaAs層形成工程を行う場合は、GaAs層の原料として砒素含有ガスを使用しているため砒素分圧が高い状態となっており、砒素雰囲気中で加熱を行っていることと同じになる。そのため、第一成膜工程および第二成膜工程は、加熱工程を内包し得る。なお、InGaAs層3の形成終了から加熱工程の温度(第一成膜工程の温度)までの昇温時間内においても、InGaAs層3のAsが抜けないように砒素雰囲気中で加熱する必要がある。
【0047】
上述のごとく、加熱工程は、積層体を、砒素雰囲気中で加熱する。砒素雰囲気の一例は、AsH(アルシン)雰囲気である。加熱工程は例えば、積層体を収容した空間(例えば、MOCVD装置内)に、AsHガスを通流させながら、積層体を載置した台座(例えば、MOCVD装置内のステージ)を520℃以上800℃以下の温度にして行う。第二成膜工程として加熱工程を行う場合は、積層体を収容した空間を更に、ガリウム雰囲気とすることができる。例えば、積層体を収容した空間に、AsHガスと共にGa(CH(トリエチルガリウム、TEG)ガスを通流させることができる。加熱工程は、更に、砒素-アンチモン雰囲気(例えば、AsHガスとSb(C(トリエチルアンチモン、TESb))との混合雰囲気下)で行ってもよい。
【0048】
第二成膜工程終了後のGaAs層4の表面(GaAs層4における、GaAs基板1に対向する側の面とは反対側の表面)の平坦性は、例えば、一辺の長さが10μmである正方形領域をAFMにより分析した二乗平均平方根粗さの値(いわゆる、RMS)で評価した場合、5.0nm以下の平坦な面となり得る。
【0049】
上記で説明した半導体積層体100は、InGaAsSb層2でのSbおよびInGaAs層3でのAsの蒸発が抑制されており、InGaAsSb層2が所望の組成、結晶状態を維持しているため発光出力が高くなる。また、GaAs基板1とは反対側の表面の平坦性が向上しており、半導体積層体100における、各層間の界面の急峻性や各層の結晶性が良好となり半導体積層体100の発光出力が高くなる。
【0050】
〔他の実施形態〕
上記実施形態では、半導体積層体100において、GaAs基板1、InGaAsSb層2、InGaAs層3及びGaAs層4は、この順に積層されている場合を説明し、更に、InGaAsSb層2は、GaAs基板1の表面上に直接形成されてよいことを説明した。しかしながら、半導体積層体100では、図5に示すように、GaAs基板1とInGaAsSb層2との間にバッファ層5を形成するような変形が可能である。この場合、InGaAsSb層2をバッファ層5の面上に形成してもよい。
【0051】
バッファ層5は、GaAs基板1とInGaAsSb層2との間の格子定数差を低減することができる化合物半導体層を含み得る。GaAs基板1とInGaAsSb層2との間の格子定数差を低減することができる化合物半導体層としては、例えばInAsやGaSb、InPおよびそれらの3元系化合物や4元系化合物が挙げられる。バッファ層5は、GaAs基板1とInGaAsSb層2との間の格子定数差を低減することができる化合物半導体層に代えて、又は、GaAs基板1とInGaAsSb層2との間の格子定数差を低減することができる化合物半導体層と共に、薄いGaAs層を含んでもよい。GaAs基板1とInGaAsSb層2との間の格子定数差を低減することができる化合物半導体層と共に薄いGaAs層を形成する場合、薄いGaAs層は、GaAs基板1上に最初に形成されてよい。薄いGaAs層により、GaAs基板1の表面を清浄化することができる。
【0052】
バッファ層5は、例えば特願2021-024641に記載のように、Znの濃度が1×1017atoms/cm以上となるようにZnをドープされており、III族として主にIn、V族として主にAsからなるIII-V族化合物で形成されたInAsの層とすることもできる。バッファ層5は、例えば、100nm以上600nm以下としてよい。バッファ層5は、InAsの層のエピタキシャル成長の成長条件が異なる第1バッファ層と第2バッファ層とを含んでもよい。半導体積層体100がこのようなバッファ層5を有することにより、本発明の発光出力と表面平坦化をさらに向上させることができる場合がある。
【0053】
なお、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。例えば、上記の他の実施形態のようにGaAs基板1とInGaAsSb層2の間のバッファ層5があって良いだけでなく、GaAs基板1上の各層の間に図示しない他の層が挿入されていて良いし、GaAs層4上にさらなる層が形成されても良い。また、GaAs層形成工程だけでなく、キャップ層形成工程において成長温度を徐々に上げていくようにしても良い。
【0054】
以下では、本実施形態に係る半導体積層体及び半導体積層体の製造方法の実施例を説明する。
【0055】
(実施例1)
半導体積層体を製造するテンプレート基板として、GaAs基板を準備し、このGaAs基板に、InAsSb層を形成した。
【0056】
まず、MOCVD装置内のチャンバ内のステージ上にGaAs基板を配置した。次に、ステージの温度を500℃に設定し、チャンバ内のリアクタの圧力を76Torrとした。
【0057】
(活性層形成工程)
そして、チャンバ内に、TMI(トリメチルインジウム)ガス、AsH(アルシン)ガス、TESbガス(トリエチルアンチモン)及びキャリアガスとしての水素を同時に通流させながら、活性層としてのInAsSb層をGaAs基板上に、厚さが300nmとなるまで成長させた。InAsSb層の組成は、InAs0.9Sb0.1である。これらガスを通流させる時間、すなわち、成長時間は692.3秒である。なお、TMIガス、AsHガス、TESbガス及び水素の流量は、それぞれ、100sccm、14sccm、175sccm及び3000SLMとした。ただし、単位「sccm」は、1気圧、0℃での値に換算した場合のガス流量(cm/min)である。また、単位「SLM」は1気圧、0℃での値に換算した場合のガス流量(L/min)である。
【0058】
(キャップ層形成工程)
引き続いて、チャンバ内に、TMIガス、AsHガス及びキャリアガスとしての水素を同時に通流させながら、キャップ層としてのInAs層をInAsSb層上に、厚さが30nmとなるまで成長させた。TMIガス、AsHガス及び水素の流量は、それぞれ、100sccm、100sccm及び3000SLMとした。成長時間は112秒である。ステージの温度は500℃である。
【0059】
(加熱工程)
その後、チャンバ内に、AsHガスとキャリアガスとしての水素とを同時に通流させながら、ステージ温度をキャップ層としてのInAs層の形成時の成長温度を超える600℃に変更し、チャンバ内に、AsHガスとキャリアガスとしての水素とを同時に通流させながら、600℃で積層体をアニール(加熱処理)した。AsHガスと水素の流量は、それぞれ、100sccm及び3000SLMとした。アニール時間(加熱時間)は、ステージ温度を600℃に到達した時点から1800秒である。アニール後の積層体を、実施例1に係る半導体積層体とした。
【0060】
(実施例2)
実施例2は、実施例1におけるキャップ層形成工程より後(加熱工程以降)の工程が異なり、キャップ層形成工程以前の工程は同じである。以下では、キャップ層形成工程後の工程について説明する。
【0061】
(GaAs層形成工程)
キャップ層形成工程の後、AsHガス及びキャリアガスとしての水素を同時に通流させながら、まず、ステージ温度を、キャップ層としてのInAs層の形成時の成長温度を超える520℃とした。その後、520℃から650℃まで1904秒かけて直線状に昇温するように設定し、この520℃からのステージ温度の昇温開始と同時に、チャンバ内に、TEG(トリエチルガリウム)ガス、AsHガス及びキャリアガスとしての水素とを同時に通流させながら、GaAs層をキャップ層としてのInAs層上に成長させた。GaAs層の厚さは560nmとした。TEGガス、AsHガス及び水素の流量は、それぞれ、75sccm、100sccm及び3000SLMとした。成長時間は1904秒である。GaAs層形成工程における、ステージ温度が600℃未満の期間は、第一成膜工程に該当し、ステージ温度が600℃に到達した時以降の期間は、第二成膜工程に該当する。GaAs層形成後の積層体を、実施例2に係る半導体積層体とした。
【0062】
(実施例3)
実施例3は、実施例2におけるGaAs層形成工程における温度条件が異なり、その他は同じである。以下では、GaAs層形成工程について説明する。
【0063】
(GaAs層形成工程)
キャップ層形成工程後にAsHガス及びキャリアガスとしての水素を同時に通流させながらステージ温度を520℃とした後、520℃から600℃まで1904秒かけて直線状に昇温するように設定し、ステージ温度の昇温開始と同時に、チャンバ内に、TEGガス、AsHガス及びキャリアガスとしての水素とを同時に通流させてGaAs層を形成し、得られた積層体を実施例3に係る半導体積層体とした。
【0064】
(実施例4)
実施例4は、実施例2におけるキャップ層形成工程後やGaAs層形成工程における温度条件が異なり、その他は同じである。以下では、キャップ層形成工程後の工程について説明する。
【0065】
(GaAs層形成工程)
キャップ層形成工程後、AsHガス及びキャリアガスとしての水素を同時に通流させながら、ステージ温度を、キャップ層形成工程直後の500℃から520℃に設定し、ステージ温度が520℃に到達した時点で、チャンバ内に、TEGガス、AsHガス及びキャリアガスとしての水素とを同時に通流させて、ステージ温度を520℃に維持しながらGaAs層を形成し、得られた積層体を実施例4に係る半導体積層体とした。
【0066】
(比較例1)
比較例1は、実施例1における加熱工程を実施せず、キャップ層形成工程を終了した時点の積層体を比較例1に係る半導体積層体とした。
【0067】
実施例1から4における、ステージの温度変化の相違を示すグラフを、図6に示す。図6中、横軸は工程時間、縦軸はステージの温度である。グラフ中、区間Aは、活性層形成工程及びキャップ層形成工程を実施している区間である。区間Bは、加熱工程(実施例1)又はGaAs層形成工程(実施例2-4)を実施している区間である。なお、比較例1のグラフは図6に示していないが、比較例のステージの温度変化は、実施例1における、区間Aの範囲の温度変化と同じである。
【0068】
実施例1から4及び比較例1に係る半導体積層体に関し、それぞれの比較のため、フォトルミネッセンス(PL)に関する評価と、表面の平坦性に関する評価を行った。フォトルミネッセンス(PL)に関する評価は、発光出力に関連する評価項目であり、値が大きいほど、LEDとして用いた場合に発光出力が高い。表面の平坦性は、平坦であるほど、エピタキシャル成長時における各層間の界面の急峻性や各層の結晶性に優れ(すなわち、エピタキシャル成長の品質が良く)、LEDとして用いた場合に発光出力が高い。これら結果を、下記表1に示す。表1中、「加熱工程の有無及びその温度(℃)」の項目は、加熱工程のみ行った場合と、GaAs層形成工程において加熱工程が行われた場合とについて、「有り」とし、それ以外を「無し」としている。また、「二段階の成膜」の項目は、GaAs層形成工程において、550℃以下の温度でGaAs層の成膜が開始され(第一成膜工程)、且つ、その後、550℃を超え800℃以下の温度でGaAs層が成長された場合(第二成膜工程)に「該当」とし、それ以外を「非該当」としている。
【0069】
【表1】
【0070】
フォトルミネッセンス(PL)に関する評価は、赤外線光源として中心波長が1064nmの光源を用い、当該光源から波長1064nmの光を各実施例等に係る半導体積層体に照射して半導体積層体(の活性層)の励起によって放射された光の強度を測定することにより行った。表1では、各実施例等の半導体積層体から放射された光のうち、波長が4800nm及び4900nmの赤外光の強度を示している。図7には、実施例及び比較例の半導体積層体から放射された光のスペクトルを示している。図7において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(V)である。なお、分光は、格子間隔8μmで格子数150本の回折格子とスリット幅3.0mmのスリットを用いて行い、強度の計測は、InSb光検出器で行った。
【0071】
表面の平坦性は、各実施例等に係る半導体積層体におけるGaAs基板とは反対側の表面の、一辺の長さが10μmである正方形領域(10nm×10nm角の範囲)の凹凸を測定して求めた二乗平均平方根粗さ(RMS値)で評価した。正方形領域の凹凸の測定は、原子間力顕微鏡(AFM、株式会社日立ハイテク製AFM5200S)によって行い、RMS値の算出は、上記AFM5200Sに付属の解析ソフト(SPIWin)で行った。なお、実施例1及び比較例1に係る半導体積層体は、キャップ層としてのInAs層の表面を評価した。実施例2-4に係る半導体積層体は、GaAs層の表面を評価した。実施例2-4に係る半導体積層体のGaAs層の表面のAFM像を図8から図10に示す。
【0072】
図6から図10に示す結果、すなわち、表1に示す結果より、実施例に係る半導体積層体はいずれも、比較例1に係る半導体積層体との比較で、PL強度が高く良好である。
【0073】
特に実施例1と比較例1との比較では、加熱工程を実施することで、PL強度の向上が著しいことがわかる。
【0074】
各実施例同士の比較では、GaAs層が形成されない場合(実施例1)よりもGaAs層が形成される場合(実施例2-4)の方が、RMSが5nm以下であり、平坦性が良好である。また、GaAs層が形成される場合(実施例2-4)では、第一成膜工程と第二成膜工程とが実施される場合(実施例2,4)が、第一成膜工程と第二成膜工程とが実施されない場合(実施例4)よりもPL強度や平坦性が良好である。第一成膜工程と第二成膜工程とが実施される場合(実施例2,4)では、第二成膜工程の温度が600℃を超えて高めとなる場合(実施例2)のほうが、第二成膜工程の温度が高め相対的に低い場合(実施例3)よりもRMSが2nm以下で平坦性が良好であり、PL強度も高いことがわかる。
【0075】
以上の結果より、キャップ層としてのInAs層を形成した後に砒素雰囲気中で加熱する加熱工程はPL強度を向上させる効果を有することがわかる。また、キャップ層形成後のGaAs層の形成は、平坦性の向上に有益である場合があることがわかる。GaAs層形成工程の後半は、温度をやや高めとすることが、PL強度の向上と平坦性の向上とに効果的である場合があることがわかる。
【0076】
以上のようにして、発光出力が高い半導体積層体の製造方法及び当該製造方法により製造された半導体積層体を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、半導体積層体の製造方法及び半導体積層体に適用できる。
【符号の説明】
【0078】
1 :GaAs基板
100 :半導体積層体
2 :InGaAsSb層
3 :InGaAs層
4 :GaAs層
5 :バッファ層
A :区間
B :区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10