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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122383
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20230825BHJP
   B65G 15/42 20060101ALI20230825BHJP
   B65G 43/10 20060101ALI20230825BHJP
   B65G 21/14 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B65G47/52 A
B65G47/52 B
B65G15/42 Z
B65G43/10
B65G21/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026054
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】593139374
【氏名又は名称】株式会社エムオーテック
(71)【出願人】
【識別番号】391015236
【氏名又は名称】大裕株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 孝之
(72)【発明者】
【氏名】野村 裕晧
(72)【発明者】
【氏名】西尾 慧太
(72)【発明者】
【氏名】笠原 伸正
【テーマコード(参考)】
3F024
3F025
3F027
3F044
【Fターム(参考)】
3F024DA02
3F025AC03
3F025AC12
3F027AA02
3F027CA04
3F027DA12
3F027DA14
3F027EA01
3F044AA08
3F044AB11
3F044AB23
3F044CD01
(57)【要約】
【課題】様々な長さの搬送物を安定して搬送でき、且つ重量物であっても搬送物に傷等を生じさせない搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送物Gを搬送する搬送装置1は、搬送物Gの長手方向一側を支持する基準コンベヤ2と、基準コンベヤ2の搬送方向に垂直な一方向に所定の間隔で位置し、搬送物Gの長手方向他側を支持する複数の第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13と、を有する。複数の選択コンベヤのうち一の選択コンベヤと基準コンベヤ2との間に位置する他の選択コンベヤは、基準コンベヤ2の基準搬送面P0における幅方向中央と前記一の選択コンベヤの搬送面における幅方向中央とを結ぶ仮想線よりも低い搬送面Pを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の長手方向に垂直な方向に搬送物を搬送する搬送装置であって、
前記搬送物の長手方向一側を支持する基準コンベヤと、
搬送方向を前記基準コンベヤの搬送方向と平行にして前記基準コンベヤの搬送方向に垂直な一方向に所定の間隔で位置し、前記搬送物の長手方向他側を支持する複数の選択コンベヤと、を有し、
前記複数の選択コンベヤのうち一の選択コンベヤと前記基準コンベヤとの間に位置する他の選択コンベヤは、
前記基準コンベヤの搬送面における幅方向中央と前記一の選択コンベヤの搬送面における幅方向中央とを結ぶ仮想線よりも低い搬送面を有する、
搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記基準コンベヤ及び前記複数の選択コンベヤは、
前記搬送物を搬送する無端帯の外周面に弾性部材を有し、前記弾性部材を介して前記搬送物を支持する、
搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記基準コンベヤ及び前記複数の選択コンベヤは、
前記搬送物を搬送する無端帯がクローラで構成されるクローラコンベヤである、
搬送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の搬送装置において、
前記基準コンベヤ及び前記複数の選択コンベヤを駆動させるアクチュエータを有し、
前記基準コンベヤ及び前記複数の選択コンベヤは、
それぞれの駆動軸が伝達軸を介して互いに連結され、前記アクチュエータが自在継ぎ手を介して前記伝達軸に連結される、
搬送装置。
【請求項5】
無端帯によって重量物を搬送する搬送装置であって、
前記無端帯がクローラで構成される複数のコンベヤを有し、
前記複数のコンベヤは、
搬送方向に垂直な一方向に所定の間隔で位置している、
搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン等によって搬送面に搭載された鋼矢板等の重量のある長尺物を搬送する搬送装置が知られている。前記搬送装置は、例えばチェーンコンベヤから構成されている。長尺の搬送物は、前記搬送装置の搬送方向に対して長手方向を垂直にして前記搬送装置の搬送面に搭載される。前記搬送装置は、前記搬送物の長手方向の一端部と他端部とを支持した状態で搬送する。この際、前記搬送装置は、前記搬送物の姿勢を安定させるために搬送物の全長に対して一定割合以上の間隔で搬送物を支持する必要がある。例えば特許文献1の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のチェーンコンベヤ型搬送装置は、所定の間隔で平行に位置する搬送用のチェーンによって鋼材等の重量のある長尺の搬送物を搬送する。前記チェーンには、搬送物をチェーン上で保持する爪片が一定の間隔で位置している。また、前記チェーンコンベヤ型搬送装置は、クレーン等により運ばれてきた前記搬送物を一旦載置するスキッドレールを有する。スキッドレールは、前記チェーンの搬送面よりも上方且つ爪片の先端よりも下方に位置している。前記チェーンコンベヤ搬送装置は、スキッドレール上に載置された搬送物を爪片によって引っかけてチェーンの搬送面に移載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-8364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鋼材等の搬送物は様々な長さのものがある。一方、特許文献1に記載のチェーンコンベヤ型搬送装置は、チェーンの間隔が固定されている。従って、前記チェーンコンベヤ型搬送装置は、搬送物を安定して搬送可能な搬送物の長さが限定される。また、前記チェーンコンベヤ型搬送装置は、スキッドレールに載置された重量物である搬送物を爪片でひっかけて押し出すので搬送物に傷が生じる場合があった。
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、様々な長さの搬送物を安定して搬送でき、且つ重量物であっても搬送物に傷等を生じさせない搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、様々な長さの搬送物を安定して搬送し、重量物であっても搬送物に傷等を生じさせない搬送装置について検討した。鋭意検討の結果、本発明者らは、以下のような構成に想到した。
【0008】
本発明の一実施形態に係る搬送装置は、搬送物の長手方向に垂直な方向に搬送物を搬送する。前記搬送装置は、前記搬送物の長手方向一側を支持する基準コンベヤと、搬送方向を前記基準コンベヤの搬送方向と平行にして前記基準コンベヤの搬送方向に垂直な一方向に所定の間隔で位置し、前記搬送物の長手方向他側を支持する複数の選択コンベヤと、を有する。前記複数の選択コンベヤのうち一の選択コンベヤと前記基準コンベヤとの間に位置する他の選択コンベヤは、前記基準コンベヤの搬送面における幅方向中央と前記一の選択コンベヤの搬送面における幅方向中央とを結ぶ仮想線よりも低い搬送面を有する。
【0009】
上述のように、前記搬送装置は、搬送物の一端部を前記基準コンベヤによって支持し、前記搬送物の他端部を複数の選択コンベヤのうち一の選択コンベヤによって支持する。前記複数の選択コンベヤのうち一のコンベヤは、前記一のコンベヤよりも前記基準コンベヤ側に位置する他の選択コンベヤよりも搬送面の搬送面高さが高い。従って、一端部を前記基準コンベヤによって支持されている前記搬送物は、前記搬送物の長さの範囲内で前記基準コンベヤから最も離れて位置する前記選択コンベヤによって他端部が支持される。この際、前記基準コンベヤと搬送物を支持している前記選択コンベヤとの間に位置する他の選択コンベヤは、前記搬送物の下面よりも下方に搬送面が位置する。つまり、前記搬送装置は、前記搬送物の一端部を支持する前記基準コンベヤと前記搬送物の他端部を支持する一の選択コンベヤ以外の他の選択コンベヤが前記搬送物に接触しない。これにより、様々な長さの搬送物を安定して搬送し、重量物であっても前記搬送物に傷等を生じさせない。
【0010】
他の観点によれば、本発明の搬送装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記基準コンベヤ及び前記複数の選択コンベヤは、前記搬送物を搬送する無端帯の外周面に弾性部材を有し、前記弾性部材を介して前記搬送物を支持する。
【0011】
上述のように、前記搬送装置は、弾性部材の上端部が搬送面として構成されている。従って、前記搬送装置は、搬送面に重量物である搬送物が載置される際の衝撃を弾性部材によって吸収する。また、前記搬送装置は、前記弾性部材によって前記搬送物との間に大きな摩擦力が生じているので搬送中の振動等による前記搬送物の搬送面上での移動を抑制する。これにより、様々な長さの搬送物を安定して搬送し、重量物であっても前記搬送物に傷等を生じさせない。
【0012】
他の観点によれば、本発明の搬送装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記基準コンベヤ及び前記複数の選択コンベヤは、前記搬送物を搬送する無端帯がクローラで構成されるクローラコンベヤである。
【0013】
上述のように、前記搬送装置は、クローラの接地面を搬送面として前記搬送物を搬送する。前記クローラは、例えば作業機用のゴムクローラである。前記ゴムクローラの接地面は、弾性部材であるゴム製のラグを有している。従って、前記搬送装置は、搬送面に重量物である前記搬送物が載置される際の衝撃を前記ラグによって吸収する。また、前記搬送装置は、前記ラグと前記搬送物との間に大きな摩擦力が生じているので搬送中の振動等による前記搬送物の搬送面上での移動を抑制する。これにより、様々な長さの搬送物を安定して搬送し、重量物であっても前記搬送物に傷等を生じさせない。
【0014】
他の観点によれば、本発明の搬送装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記基準コンベヤ及び前記複数の選択コンベヤを駆動させるアクチュエータを有している。前記基準コンベヤ及び前記複数の選択コンベヤは、それぞれの駆動軸が伝達軸を介して互いに連結され、前記アクチュエータが自在継ぎ手を介して前記伝達軸に連結される。
【0015】
上述のように、前記搬送装置は、前記自在継ぎ手を有する伝達軸によって前記基準コンベヤと前記複数の選択コンベヤとに同一の前記アクチュエータから動力が伝達される。つまり、前記基準コンベヤと前記複数の選択コンベヤとは、同期している。従って、前記搬送装置は、前記搬送物の一端部を前記基準コンベヤで支持し、前記搬送物の他端部を前記一の選択コンベヤによって支持しても前記搬送物の姿勢が搬送中に変わらない。これにより、様々な長さの搬送物を安定して搬送し、重量物であっても前記搬送物に傷等を生じさせない。
【0016】
他の観点によれば、本発明の搬送装置は、以下の構成を含むことが好ましい。前記搬送装置は、前記無端帯がクローラで構成される複数のコンベヤを有する。前記複数のコンベヤは、搬送方向に垂直な一方向に所定の間隔で位置している。
【0017】
上述のように、前記搬送装置は、クローラを無端帯とする複数のコンベヤを有している。前記複数のコンベヤは、前記クローラの接地面を搬送面として前記搬送物を搬送する。前記クローラは、例えば作業機用のゴムクローラである。ゴムクローラであるクローラの接地面は、弾性部材であるゴム製のラグを有している。従って、前記搬送装置は、搬送面に重量物である前記搬送物が載置される際の衝撃を前記ラグによって吸収する。また、前記搬送装置は、前記ラグによって前記搬送物との間に大きな摩擦力が生じているので搬送中の振動等による前記搬送物の搬送面上での移動を抑制する。これにより、様々な長さの搬送物を安定して搬送し、重量物であっても前記搬送物に傷等を生じさせない。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、前記搬送装置は、様々な長さの搬送物を安定して搬送し、重量物であっても前記搬送物に傷等を生じさせない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る搬送装置の全体構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態1に係る搬送装置における基準コンベヤ、第1選択コンベヤ、第2選択コンベヤ及び第3選択コンベヤの構成を示す側面断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態1に係る搬送装置の正面図である。
図4図4は、本発明の実施形態1に係る搬送装置の受け渡しコンベヤに搬送物を搬送する状態を示す側面図である。
図5図5は、本発明の実施形態1に係る搬送装置の受け渡しコンベヤが排出コンベヤに搬送物を受け渡す状態を示す側面図である。
図6図6は、本発明の実施形態1に係る搬送装置が基準コンベヤと第1選択コンベヤとで搬送物を支持している状態を示す正面図である。
図7図7は、本発明の実施形態1に係る搬送装置が基準コンベヤと第2選択コンベヤとで搬送物を支持している状態を示す正面図である。
図8図8は、本発明の実施形態1に係る搬送装置が基準コンベヤと第3選択コンベヤとで搬送物を支持している状態を示す正面図である。
図9図9は、本発明の実施形態2に係る搬送装置の基準コンベヤ及び選択コンベヤの構成を示す側面断面図である。
図10図10は、本発明の実施形態2に係る搬送装置の基準コンベヤ及び選択コンベヤの構成を示す正面断面図である。
図11図11は、本発明の実施形態1に係る搬送装置を有する洗浄ラインの平面概略図及び側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0022】
<第1実施形態>
図1から図3を用いて、本発明に係る搬送装置の第一実施形態である搬送装置1について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る搬送装置1の全体構成図である。図2は、搬送装置1における基準コンベヤ2、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13の構成を示す側面断面図である。図3は、搬送装置1の正面図である。
【0023】
図1に示すように、搬送装置1は、長尺の鋼矢板等を搬送物Gとする搬送装置1である。搬送装置1は、基準コンベヤ2、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12、第3選択コンベヤ13、基準受け渡しコンベヤ16、第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18、第3受け渡しコンベヤ19、第1電動モータ20、第2電動モータ21を有している。
【0024】
図2に示すように、基準コンベヤ2は、搬送物Gにおける長手方向の一側である一端部を支持するコンベヤである。基準コンベヤ2は、コンベヤベルトを無端帯であるクローラ8で構成されるクローラコンベヤである。基準コンベヤ2は、フレーム3、駆動軸4、駆動スプロケット5、従動軸6、従動スプロケット7、クローラ8、バックアップローラ9、テンションローラ10を有する。
【0025】
フレーム3は、駆動軸4、従動軸6、バックアップローラ9、テンションローラ10を支持する。フレーム3は、長方形状の一対の板部材である。フレーム3は、脚部材3aを有している。フレーム3は、最も面積の大きい主面を対向させて平行に位置している。また、フレーム3は、クローラ8の基準搬送面P0の幅よりも広い間隔で位置している。フレーム3を構成する一対の板部材は、図示しない連結部材によって互いに連結されている。更に、フレーム3には、所定の間隔で脚部材3aが連結されている。フレーム3は、脚部材3aによって接地面に自立している。
【0026】
駆動軸4は、クローラ8を駆動する駆動力が伝達される軸である。駆動軸4は、軸線をフレーム3の主面に垂直な方向に向けてフレーム3の一端部に位置している。駆動軸4は、フレーム3にそれぞれ回転可能に支持されている。
【0027】
駆動スプロケット5は、駆動力をクローラ8に伝達するスプロケットである。駆動スプロケット5は、駆動軸4に固定されている。つまり、駆動スプロケット5は、駆動軸4と一体に回転可能である。また、駆動スプロケット5は、クローラ8の芯金8bに噛み合い可能に構成されている。よって、駆動スプロケット5は、駆動軸4に伝達された駆動力をクローラ8に伝達する。
【0028】
従動軸6は、従動スプロケット7を支持する軸である。従動軸6は、軸線をフレーム3の主面に垂直な方向に向けてフレーム3の他端部に位置している。従動軸6は、フレーム3に固定支持されている。従動軸6は、フレーム3の長手方向に見て駆動軸4と重なる位置に支持されている。
【0029】
従動スプロケット7は、クローラ8を支持するスプロケットである。従動スプロケット7は、従動軸6に回転可能に支持されている。また、駆動スプロケット5は、クローラ8の芯金8bに噛み合い可能に構成されている。
【0030】
クローラ8は、搬送物Gを搬送する無端帯である。クローラ8は、例えばバックホー等の建築用作業機、コンバイン等の農業用作業機等に使用される作業機用のクローラ8である。クローラ8は、例えば耐候性に優れたエチレン-プロピレン-ジエンゴムを配合したゴム材料によって構成されている。クローラ8は、クローラ本体部8a、芯金8b、ラグ8dを有する。
【0031】
クローラ本体部8aは、所定の幅を有する環状の無端帯である。クローラ本体部8aは、内部に図示しない多数のスチールコードが周方向に平行に埋設されている。クローラ本体部8aは、スチールコードによって周方向の引っ張り強度を向上させている。クローラ本体部8aは、内部に複数の芯金8bが周方向に並んで埋設されている。芯金8bは、駆動スプロケット5及び従動スプロケット7が係合する部材である。クローラ本体部8aは、芯金8bによって駆動スプロケット5からの駆動力を受け止めている。また、クローラ本体部8aは、外周面に複数のラグ8dを有している。ラグ8dは、搬送物Gに接触する基準搬送面P0を構成している。
【0032】
芯金8bは、略長方形状の板材である。芯金8bは、長手方向の中央に貫通孔8cを有する。複数の芯金8bは、長手方向を無端帯であるクローラ本体部8aの幅方向に向けて所定の間隔で周方向に並んで位置している。よって、複数の芯金8bの貫通孔8cは、クローラ本体部8aの内周面における幅方向中央部に周方向に並んで位置している。また、貫通孔8cは、クローラ本体部8aの内周面に垂直な方向に貫通している。貫通孔8cは、ゴムで被覆されている。貫通孔8cには、駆動スプロケット5及び従動スプロケット7が係合する。
【0033】
ラグ8dは、搬送物Gが接触する弾性体である。複数のラグ8dは、クローラ本体部8aの外周面に垂直な方向に突出する略直方体である。複数のラグ8dは、長手方向をクローラ本体部8aの幅方向に向けて所定の間隔で周方向に並んで位置している。また、ラグ8dは、クローラ本体部8aの外周面に垂直な方向に見て芯金8bと重なる。つまり、ラグ8dは、芯金8bに支持されている。ラグ8dの先端面は、搬送物Gと接触する搬送面Pを構成している。
【0034】
このように構成されるクローラ8は、駆動スプロケット5と従動スプロケット7に掛けられる。クローラ8は、一方の湾曲部に位置する貫通孔8cに駆動スプロケット5が噛み合う。また、クローラ8は、他方の湾曲部に位置する貫通孔8cに従動スプロケット7が噛み合う。クローラ8は、フレーム3を構成する一対の板部材の間に位置する。また、クローラ8は、ラグ8dの先端面を基準搬送面P0とするコンベヤベルトとして構成される。クローラ8の基準搬送面P0は、フレーム3の上端面よりも上方に位置する。クローラ8は、基準搬送面P0に垂直な方向に見て従動スプロケット7の軸線位置から駆動スプロケット5の軸線位置まで搬送物Gを搬送する。
【0035】
バックアップローラ9は、クローラ8を支持する部材である。バックアップローラ9は、回転軸線をフレーム3の主面に垂直な方向に向けて、フレーム3に回転可能に複数支持されている。バックアップローラ9は、駆動スプロケット5と従動スプロケット7との間に等間隔で位置している。バックアップローラ9は、搬送物Gが載置される上方のクローラ8部分を支持している。バックアップローラ9は、クローラ8の幅方向両端部の内周面に接触している。このように、バックアップローラ9は、クローラ8が搬送する搬送物Gを、クローラ8を介して支持している。
【0036】
テンションローラ10は、クローラ8に張力を与える部材である。テンションローラ10は、図示しない揺動レバーを介してフレーム3に支持されている。テンションローラ10は、搬送物Gが載置されない下方のクローラ8部分を下方に向かって押している。テンションローラ10は、クローラ8の内周面に接触している。このように、テンションローラ10は、クローラ8を下方に押すことよりクローラ8に張力を発生させる。
【0037】
基準コンベヤ2は、必要な搬送距離に応じて、複数の基準コンベヤ2を搬送方向に直列に連結してもよい。複数の基準コンベヤ2を連結する場合、一の基準コンベヤ2の従動軸6または駆動軸4と他の基準コンベヤ2の駆動軸4とをチェーン等で連動連結する。また、連結した一の基準コンベヤ2と他の基準コンベヤ2との間には、乗り移りローラ14が設けられている。本実施形態において、搬送装置1は、3台の基準コンベヤ2が直列に連結されている。また、基準コンベヤ2の駆動軸4は、自在継ぎ手15aを有する伝達軸15を介して第1選択コンベヤ11の駆動軸4に連結されている。
【0038】
このように構成される基準コンベヤ2は、クローラ8のラグ8dが弾性によって搬送物Gを載置した際の衝撃を吸収することができる。また、基準コンベヤ2は、ラグ8dの弾性によって搬送物Gに対するラグ8dの接触面積を増大させて、搬送物Gの搬送状態を安定させることができる。更に、基準コンベヤ2は、作業機用のクローラ8なので付着した泥土が容易に排出されやすい。
【0039】
次に、図1から図3を用いて、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13について説明する。なお、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13は、基準コンベヤ2と同一の構成であるため詳しい説明を省略する。また、以下の説明において、これまでの説明で用いた名称、図番、符号を用いることで、同じものを指すこととする。
【0040】
図1図2とに示すように、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13は、搬送物Gにおける長手方向の他側である他端部を支持するコンベヤである。第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13は、コンベヤベルトを無端帯である作業機用のクローラ8で構成されるクローラコンベヤである。第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13は、フレーム3、駆動軸4、駆動スプロケット5、従動軸6、従動スプロケット7、クローラ8、バックアップローラ9、テンションローラ10を有する。第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13は、それぞれ3台の選択コンベヤが直列に連結されている。
【0041】
第1電動モータ20は、基準コンベヤ2、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13を駆動するアクチュエータである。第1電動モータ20は、例えば一の第1選択コンベヤ11の駆動軸4にチェーン等によって連動連結されている。第1電動モータ20の駆動力は、第1選択コンベヤ11の駆動軸4に連結されている自在継ぎ手15aを有する伝達軸15を介して、基準コンベヤ2、第2選択コンベヤ12、第3選択コンベヤ13に伝達される。これにより、搬送装置1は、同一の搬送速度で同一の搬送方向に各コンベヤのクローラ8が移動する。
【0042】
このように構成される第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13は、クローラ8のラグ8dが弾性によって搬送物Gを載置した際の衝撃を吸収することができる。また、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13は、ラグ8dの弾性によって搬送物Gに対する第1搬送面P1、第2搬送面P2及び第3搬送面P3の接触面積を増大させて、搬送物Gの搬送状態を安定させることができる。更に、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13は、作業機用のクローラ8なので付着した泥土が容易に排出されやすい。また、第1選択コンベヤ11と基準コンベヤ2、及び第1選択コンベヤ11と第2選択コンベヤ12は、自在継ぎ手15aを有する伝達軸15によって駆動軸4同士が連結されている。第2選択コンベヤ12と第3選択コンベヤ13とは、伝達軸15によって駆動軸4同士が連結されている。また、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13は、自在継ぎ手15aを有する伝達軸15によって駆動軸4同士が連結されていてもよい。
【0043】
第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13は、基準コンベヤ2の搬送方向に垂直な一方向に、基準コンベヤ2側から第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12、第3選択コンベヤ13の順に位置している。第1選択コンベヤ11は、基準コンベヤ2から第1間隔W1の間隔を開けて位置している。第2コンベヤは、基準コンベヤ2から第2間隔W2の間隔を開けて位置している。第3選択コンベヤ13は、基準コンベヤ2から第3間隔W3の間隔を開けて位置している。
【0044】
図3に示すように、第1選択コンベヤ11は、基準コンベヤ2と第2選択コンベヤ12との間に位置している。第1選択コンベヤ11の第1搬送面P1は、基準コンベヤ2の基準搬送面P0における幅方向中央と第2選択コンベヤ12の第2搬送面P2における幅方向中央とを結ぶ第2仮想線V2よりも下方に位置する。つまり、第1選択コンベヤ11の第1搬送面P1の第1搬送面高さH1は、第2選択コンベヤ12の第2搬送面P2の第2搬送面高さH2よりも低い。
【0045】
第1選択コンベヤ11及び第2選択コンベヤ12は、基準コンベヤ2と第3選択コンベヤ13との間に位置している。第1選択コンベヤ11の第1搬送面P1と第2選択コンベヤ12の第2搬送面P2とは、基準コンベヤ2の基準搬送面P0における幅方向中央と第3選択コンベヤ13の第3搬送面P3における幅方向中央とを結ぶ第3仮想線V3よりも下方に位置する。つまり、第1選択コンベヤ11の第1搬送面高さH1と第2選択コンベヤ12の第2搬送面高さH2とは、第3選択コンベヤ13の第3搬送面P3の第3搬送面高さH3よりも低い。
【0046】
次に、図4図5とを用いて、基準受け渡しコンベヤ16、第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18及び第3受け渡しコンベヤ19について説明する。図4は、搬送装置1の基準受け渡しコンベヤ16、第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18及び第3受け渡しコンベヤ19に搬送物Gを搬送する状態を示す側面図である。図5は、搬送装置1の基準受け渡しコンベヤ16、第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18及び第3受け渡しコンベヤ19が排出コンベヤCに搬送物Gを受け渡す状態を示す側面図である。なお、基準受け渡しコンベヤ16、第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18及び第3受け渡しコンベヤ19は、基準コンベヤ2と同一の構成である部分の詳しい説明を省略する。また、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。また、以下の説明において、これまでの説明で用いた名称、図番、符号を用いることで、同じものを指すこととする。
【0047】
基準受け渡しコンベヤ16は、基準コンベヤ2から搬送物Gを排出コンベヤCに受け渡す。基準受け渡しコンベヤ16は、基準コンベヤ2の下流側に位置する。基準受け渡しコンベヤ16は、上流側に位置する基準コンベヤ2の駆動軸4を揺動軸として、アクチュエータであるエアシリンダ、または電動シリンダ等から構成されるシリンダ22により下流側を下方に向けて傾斜可能に構成されている。基準受け渡しコンベヤ16は、下流側を下方に向けて傾斜させた場合、下流側の基準搬送面P0が排出コンベヤCの搬送面よりも下方に位置する。
【0048】
同様に、第1受け渡しコンベヤ17は、第1選択コンベヤ11から搬送物Gを排出コンベヤCに受け渡す。第1受け渡しコンベヤ17は、第1選択コンベヤ11の下流側に位置する。第2受け渡しコンベヤ18は、第2選択コンベヤ12から搬送物Gを排出コンベヤCに受け渡す。第2受け渡しコンベヤ18は、第2選択コンベヤ12の下流側に位置する。第3受け渡しコンベヤ19は、第3選択コンベヤ13から搬送物Gを排出コンベヤCに受け渡す。第3受け渡しコンベヤ19は、第3選択コンベヤ13の下流側に位置する。
【0049】
第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18及び第3受け渡しコンベヤ19は、シリンダ22により下流側を下方に向けて傾斜可能に構成されている。第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18及び第3受け渡しコンベヤ19は、下流側を下方に向けて傾斜させた場合、下流側の第1搬送面P1、第2搬送面P2及び第3搬送面P3が排出コンベヤCの搬送面よりも下方に位置する。また、基準受け渡しコンベヤ16、第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18及び第3受け渡しコンベヤ19は、自在継ぎ手15aを有する伝達軸15によって各コンベヤの駆動軸4同士が連結されている。
【0050】
第2電動モータ21は、基準受け渡しコンベヤ16、第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18及び第3受け渡しコンベヤ19を駆動するアクチュエータである。第2電動モータ21は、例えば、第1受け渡しコンベヤ17の駆動軸4に連動連結されている。第2電動モータ21の駆動力は、第1受け渡しコンベヤ17の駆動軸4に連結されている自在継ぎ手15aを有する伝達軸15を介して、基準受け渡しコンベヤ16、第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18及び第3受け渡しコンベヤ19に伝達される。これにより、搬送装置1は、同一の搬送速度で同一の搬送方向にクローラ8が移動する。
【0051】
次に、図1図6から図8を用いて、搬送装置1による搬送物Gに含まれる搬送物G1、G2、G3の搬送について説明する。図6は、搬送装置1が基準コンベヤ2と第1選択コンベヤ11とで搬送物G1を支持している状態を示す正面図である。図7は、搬送装置1が基準コンベヤ2と第2選択コンベヤ12とで搬送物G2を支持している状態を示す正面図である。図8は、搬送装置1が基準コンベヤ2と第3選択コンベヤ13とで搬送物G3を支持している状態を示す正面図である。
【0052】
図1に示すように、搬送物G1、G2、G3は、クレーン、フォークリフト等によって一端部が基準コンベヤ2に載置され、他端部が第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13のうちいずれか一つの選択コンベヤに載置される。搬送装置1は、搬送物G1、G2、G3をクローラ8のラグ8dで受け止める。搬送装置1は、ラグ8dの突出形状及びラグ8dの弾性によって搬送物G1、G2、G3の載置時に生じる衝撃を緩和する。さらに、搬送装置1は、ラグ8dの突出形状及びラグ8dの弾性によって搬送物G1、G2、G3を安定して搬送する。
【0053】
図6に示すように、搬送物G1の長さL1が基準コンベヤ2と第1選択コンベヤ11との間隔である第1間隔W1以上で基準コンベヤ2と第2選択コンベヤ12との間隔である第2間隔W2未満の場合、搬送物G1は、一端部が基準コンベヤ2に載置され、他端部が第1選択コンベヤ11に載置される。搬送装置1は、搬送物G1の長さL1の範囲内で一端部を支持する基準コンベヤ2から最も離れた第1選択コンベヤ11によって他端部を支持しているので搬送時の搬送物G1の姿勢を安定させることができる。
【0054】
図7に示すように、搬送物G2の長さL2が基準コンベヤ2と第2選択コンベヤ12との間隔である第2間隔W2以上で基準コンベヤ2と第3選択コンベヤ13との間隔である第3間隔W3未満の場合、搬送物G2は、一端部が基準コンベヤ2に載置され、他端部が第2選択コンベヤ12に載置される。この際、基準コンベヤ2と第2選択コンベヤ12との間に位置する第1選択コンベヤ11は、基準コンベヤ2の基準搬送面P0における幅方向中央と第2選択コンベヤ12の第2搬送面P2における幅方向中央とを結ぶ第2仮想線V2よりも低い位置に第1搬送面P1が位置する。つまり、第1選択コンベヤ11の第1搬送面P1は、基準コンベヤ2と第2選択コンベヤ12とに支持されている搬送物G2の下面よりも下方に位置している。従って、搬送装置1は、搬送物G2の一端部及び他端部以外に搬送物G2に接触しない。搬送装置1は、搬送物G2の長さL2の範囲内で一端部を支持する基準コンベヤ2から最も離れた第2選択コンベヤ12によって他端部を支持することで搬送時の搬送物G2の姿勢を安定させることができる。
【0055】
図8に示すように、搬送物G3の長さL3が基準コンベヤ2と第3選択コンベヤ13との間隔である第3間隔W3以上の場合、搬送物G3は、一端部が基準コンベヤ2に載置され、他端部が第3選択コンベヤ13に載置される。この際、基準コンベヤ2と第3選択コンベヤ13との間に位置する第1選択コンベヤ11及び第2選択コンベヤ12は、基準コンベヤ2の基準搬送面P0における幅方向中央と第3選択コンベヤ13の第3搬送面P3における幅方向中央とを結ぶ第3仮想線V3よりも低い位置に第1搬送面P1及び第2搬送面P2がそれぞれ位置する。つまり、第1選択コンベヤ11の第1搬送面P1及び第2選択コンベヤ12の第2搬送面P2は、基準コンベヤ2と第3選択コンベヤ13とに支持されている搬送物G3の下面よりも下方に位置している。従って、搬送装置1は、搬送物G3の一端部及び他端部以外に搬送物G3に接触しない。搬送装置1は、搬送物G3の長さL3の範囲内で一端部を支持する基準コンベヤ2から最も離れた第3選択コンベヤ13によって他端部を支持することで搬送時の搬送物G3の姿勢を安定させることができる。
【0056】
図1に示すように、搬送装置1は、搬送物G1、G2、G3の一端部を基準コンベヤ2から基準受け渡しコンベヤ16に搬送する。同様に、搬送装置1は、搬送物G1、G2、G3の他端部を第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13のうち搬送物G1、G2、G3の他端部を搬送している選択コンベヤから、対応する受け渡しコンベヤに搬送する。搬送装置1は、基準受け渡しコンベヤ16と一の受け渡しコンベヤとに搬送物G1、G2、G3が載置された状態で基準受け渡しコンベヤ16と全ての受け渡しコンベヤまたは搬送物G1、G2、G3の長さの範囲内の受け渡しコンベヤとを傾斜させる。搬送装置1は、基準受け渡しコンベヤ16と全ての受け渡しコンベヤまたは搬送物G1、G2、G3の長さの範囲内の受け渡しコンベヤとを傾斜させた状態で搬送物G1、G2、G3を搬送し、搬送物G1、G2、G3を排出コンベヤCに受け渡す。
【0057】
このように構成される搬送装置1は、搬送物Gの一端部を支持する基準コンベヤ2と搬送物Gの他端部を支持する第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13のうち任意の一の選択コンベヤとの間に位置する他の選択コンベヤが搬送物Gの下面に接触しない。従って、搬送装置1は、基準コンベヤ2と搬送物Gの長手方向の長さLの範囲内で最も基準コンベヤ2から離れている選択コンベヤとによって搬送物Gを支持する。つまり、搬送装置1は、搬送物Gの長さLに基づいて、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13うち最も基準コンベヤ2との間隔が大きくなる一の選択コンベヤと基準コンベヤ2とによって搬送物Gを支持する。これにより、様々な長さの搬送物Gを安定して搬送し、重量物であっても前記搬送物Gに傷等を生じさせない
【0058】
また、搬送装置1のクローラ8は、弾性部材であるゴムのパッドであるラグ8dを基準搬送面P0、第1搬送面P1、第2搬送面P2及び第3搬送面P3としている。従って、搬送装置1は、基準搬送面P0、第1搬送面P1、第2搬送面P2及び第3搬送面P3に重量物である搬送物Gが載置される際の衝撃をラグ8dによって吸収する。また、搬送装置1は、クローラ8と搬送物Gが接している搬送面との間に大きな摩擦力が生じているので搬送中の振動等による搬送物Gの各搬送面上での移動を抑制する。これにより、様々な長さの搬送物Gを安定して搬送し、重量物であっても搬送物Gに傷等を生じさせない。
【0059】
また、搬送装置1は、自在継ぎ手15aを有する伝達軸15によって基準コンベヤ2と第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13とに同一の電動モータから動力が伝達される。つまり、基準コンベヤ2と第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13とは、同期している。従って、搬送装置1は、搬送物Gの一端部を基準コンベヤ2で支持し、搬送物Gの他端部を一の選択コンベヤによって支持しても搬送物Gの姿勢が搬送中に変わらない。これにより、様々な長さの搬送物Gを安定して搬送し、重量物であっても前記搬送物Gに傷等を生じさせない。
【0060】
<第2実施形態>
次に、図1図9及び図10を用いて、本発明の第2実施形態である搬送装置1Aについて説明する。図9は、搬送装置1Aの基準コンベヤ2及び第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13の構成を示す側面断面図である。図10は、搬送装置1Aの基準コンベヤ2及び第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13の構成を示す正面断面図である。なお、以下の実施形態に係る搬送装置1Aは、図1から図4に示す搬送装置1において、搬送装置1に替えて適用されるものとして、その説明で用いた名称、図番、符号を用いることで、同じものを指すこととする。以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0061】
図1に示すように、搬送装置1Aは、鋼矢板等を搬送物Gとする搬送装置である。搬送装置1Aは、基準コンベヤ2A、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12、第3選択コンベヤ13、基準受け渡しコンベヤ16、第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18、第3受け渡しコンベヤ19、電動モータを有している。
【0062】
図9図10とに示すように、基準コンベヤ2Aは、搬送物Gにおける長手方向の一端部を支持するコンベヤである。基準コンベヤ2Aは、アタッチメント付きチェーン23を無端帯とするコンベヤである。基準コンベヤ2Aは、フレーム3、駆動軸4、駆動スプロケット5、従動軸6、従動スプロケット7、アタッチメント付きチェーン23、接触パッド24、ガイドレール25を有する。
【0063】
アタッチメント付きチェーン23は、搬送物Gを搬送する無端帯である。アタッチ付きチェーンは、アタッチメント23d付きのローラチェーンである。アタッチメント付きチェーン23は、一対のローラを支持している複数の内リンク23aが一対の連結ピン23bを有する複数の外リンク23cによってそれぞれ順に連結されている無端帯である。更に、複数の外リンク23cは、それぞれアタッチメント23dを有している。アタッチメント23dは、連結ピン23bの軸線方向であるアタッチメント付きチェーン23の幅方向外方に外リンク23cからそれぞれ伸びる取り付け部材である。本実施形態において、アタッチメント23dは、外リンク23cと一体に形成されている板部材である。
【0064】
接触パッド24は、搬送物Gが接触する弾性体である。接触パッド24は、アタッチメント付きチェーン23の外周面に垂直な方向に突出する略直方体である。接触パッド24は、例えば耐候性に優れたエチレン-プロピレン-ジエンゴムを配合したゴム材料によって構成されている。接触パッド24は、アタッチメント付きチェーン23の複数のアタッチメント23dにそれぞれ取り付けられている。複数の接触パッド24は、長手方向をアタッチメント付きチェーン23の幅方向に向けて所定の間隔で周方向に並んで位置している。また、接触パッド24は、アタッチメント付きチェーン23の外周面に垂直な方向に見て外リンク23cと重なる。接触パッド24の先端面は、搬送物Gと接触する基準搬送面P0を構成している。
【0065】
このように構成されるアタッチメント付きチェーン23は、駆動スプロケット5と従動スプロケット7に掛けられる。アタッチメント付きチェーン23は、一方の湾曲部に位置する一対のローラの間に駆動スプロケット5が噛み合う。また、アタッチメント付きチェーン23は、他方の湾曲部に位置する一対のローラの間に従動スプロケット7が噛み合う。アタッチメント付きチェーン23は、フレーム3を構成する一対の板部材の間に位置する。また、アタッチメント付きチェーン23は、接触パッド24の先端面を基準搬送面P0とするコンベヤベルトとして構成される。アタッチメント付きチェーン23の基準搬送面P0は、フレーム3の上端面よりも上方に位置する。アタッチメント付きチェーン23は、基準搬送面P0に垂直な方向に見て従動スプロケット7の軸線位置から駆動スプロケット5の軸線位置まで搬送物Gを搬送する。
【0066】
ガイドレール25は、アタッチメント付きチェーン23を支持する部材である。ガイドレール25は、直方体状の鋼製レールである。ガイドレール25はフレーム3に固定されている。ガイドレール25は、長手方向をアタッチメント付きチェーン23の移動方向に向けて位置している。また、ガイドレール25の上端面は、アタッチメント付きチェーン23に接触している。これにより、ガイドレール25は、アタッチメント付きチェーン23の上下方向の位置と幅方向の位置を保持する。
【0067】
このように構成される基準コンベヤ2Aは、アタッチメント付きチェーン23の接触パッド24が弾性によって搬送物Gを載置した際の衝撃を吸収することができる。また、基準コンベヤ2Aは、接触パッド24の弾性によって搬送物Gに対する基準搬送面P0の接触面積を増大させて、搬送物Gの搬送状態を安定させることができる。
【0068】
第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12、第3選択コンベヤ13、基準受け渡しコンベヤ16、第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18及び第3受け渡しコンベヤ19は、基準コンベヤ2Aと同一の構成である。
【0069】
<洗浄ライン>
次に、図11を用いて、本発明に係る搬送装置1を有するラインの一例である洗浄ライン100について説明する。図11は、搬送装置1を有する洗浄ライン100の平面概略図及び側面概略図である。洗浄ライン100は、長尺の鋼矢板である搬送物G3を洗浄する。洗浄ライン100は、上流側の搬送装置1、ケレン装置101、下流側の搬送装置1を有している。
【0070】
上流側の搬送装置1は、ケレン装置101の上流側に位置する。上流側の搬送装置1は、基準コンベヤ2と第3選択コンベヤ13とに載置された搬送物G3を排出コンベヤCに搬送する。排出コンベヤCは、ケレン装置101に搬送物G3を搬送する。
【0071】
ケレン装置101は、搬送物G3を洗浄する装置である。ケレン装置101は、ケレンブラシ102と洗浄ノズル103とを有する。ケレン装置101は、ケレン搬送装置104の上方と下方にケレンブラシ102が位置している。また、ケレンブラシ102の下流側には、洗浄ノズル103が位置する。ケレン装置101には、上流側から搬送物G3が長手方向から搬入される。ケレン装置101は、ケレン搬送装置104によって長手方向に搬入される搬送物G3の上面と下面とをケレンブラシ102によって洗浄する。ケレンブラシ102は、回転しながらブラシによって搬送物G3の上面と下面とに付着した泥土等を除去する。ケレン装置101は、泥土等が除去された搬送物G3に洗浄ノズル103から洗浄水を噴射する。これにより、ケレン装置101は、搬送物G3を洗浄する。ケレン装置101は、ケレン搬送装置104によって下流側に位置する排出コンベヤCに排出する。
【0072】
下流側の搬送装置1は、ケレン装置101の下流側に位置する。下流側の搬送装置1は、ケレン装置101から排出コンベヤCに排出された搬送物Gを基準コンベヤ2と第3選択コンベヤ13とに移載する。基準コンベヤ2と第3選択コンベヤ13とは、搬送物G3を所定の位置まで搬送する。
【0073】
(その他の実施形態)
上述の実施形態において、搬送装置1、1Aは、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13を有している。しかしながら、搬送装置は、2つ以上の選択コンベヤであればよい。搬送装置は、例えば第1選択コンベヤと第2選択コンベヤとだけを有していてもよい。また、搬送装置は、例えば第1選択コンベヤ、第2選択コンベヤ及び第3選択コンベヤに加えて、第4選択コンベヤを有していてもよい。
【0074】
上述の実施形態において、搬送装置1は、搬送物Gを搬送する無端帯としてクローラ8を有し、搬送装置1Aは、アタッチメント23d付きローラチェーンを有している。しかしながら、搬送装置は、重量物である搬送物Gからの衝撃を吸収しつつ、安定して搬送物Gを搬送できる無端帯であればよい。搬送装置は、例えば、無端帯としてコンベヤベルトを有していてもよい。
【0075】
上述の実施形態において、搬送装置1Aの基準コンベヤ2A等は、ゴム材料から構成される接触パッド24を有している。しかしながら、搬送装置の基準コンベヤ等が有する接触パッドは、搬送物Gの衝撃を吸収し、且つ搬送物Gを安定して搬送可能な材質であればよい。接触パッドは、例えば、エンジニアリングプラスティック等の樹脂材料等でもよい。
【0076】
上述の実施形態において、搬送装置1、1Aは、伝達軸15によって連結されている基準コンベヤ2、2A、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13を一つの第1電動モータ20によって駆動している。しかしながら、搬送装置は、例えば、基準コンベヤ、第1選択コンベヤ、第2選択コンベヤ及び第3選択コンベヤを複数の電動モータによって駆動してもよい。搬送装置は、各コンベヤがそれぞれ電動モータを有していてもよい。
【0077】
上述の実施形態において、搬送装置1、1Aは、伝達軸15によって連結されている基準受け渡しコンベヤ16、第1受け渡しコンベヤ17、第2受け渡しコンベヤ18及び第3受け渡しコンベヤ19を一つの第2電動モータ21によって駆動している。しかしながら、搬送装置は、基準受け渡しコンベヤ、第1受け渡しコンベヤ、第2受け渡しコンベヤ及び第3受け渡しコンベヤを複数の電動モータによって駆動してもよい。搬送装置は、例えば、各受け渡しコンベヤそれぞれが電動モータを有していてもよい。
【0078】
前記実施形態において、基準コンベヤ2、2A、第1選択コンベヤ11、第2選択コンベヤ12及び第3選択コンベヤ13は、一対の板材を組み合わせたフレーム3から構成されている。しかしながら、各コンベヤのフレームは、無端帯であるクローラ8またはアタッチメント付きチェーン23が支持できるフレームであればよい。例えば、フレームは、角パイプ等で構成されていてもよい。
【0079】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0080】
1、1A 搬送装置
2、2A 基準コンベヤ
3 フレーム
4 駆動軸
5 駆動スプロケット
6 従動軸
7 従動スプロケット
8 クローラ
8a クローラ本体部
8b 芯金
8d ラグ
9 バックアップローラ
10 テンションローラ
11 第1選択コンベヤ
12 第2選択コンベヤ
13 第3選択コンベヤ
15 伝達軸
16 基準受け渡しコンベヤ
17 第1受け渡しコンベヤ
18 第2受け渡しコンベヤ
19 第3受け渡しコンベヤ
20 第1電動モータ
21 第2電動モータ
W1 第1間隔
W2 第2間隔
W3 第3間隔
H1 第1搬送面高さ
H2 第2搬送面高さ
H3 第3搬送面高さ
V2 第2仮想線
V3 第3仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11