(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122396
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】測距装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20230825BHJP
G01S 7/4861 20200101ALI20230825BHJP
G01S 17/10 20200101ALI20230825BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20230825BHJP
H01L 31/107 20060101ALI20230825BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20230825BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S7/4861
G01S17/10
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
H01L31/10 B
H04N5/369
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026073
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】関谷 彰人
【テーマコード(参考)】
2F112
5C024
5F149
5F849
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
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5J084CA72
5J084EA04
5J084EA12
5J084EA15
5J084EA22
(57)【要約】
【課題】距離計測値の精度の低下を防止できる測距装置を提供する。
【解決手段】測距装置は、測距を行う第1画素とは別個に設けられる第2画素と、前記第2画素に入射された入射光の受光時刻に基づくToF(Time of Flight)値を検出する第1検出部と、前記第1検出部で検出された前記ToF値に基づいて、前記第1画素及び前記第2画素に与えるバイアス電圧を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距を行う第1画素とは別個に設けられる第2画素と、
前記第2画素に入射された入射光の受光時刻に基づくToF(Time of Flight)値を検出する第1検出部と、
前記第1検出部で検出された前記ToF値に基づいて、前記第1画素及び前記第2画素に与えるバイアス電圧を制御する制御部と、を備える、測距装置。
【請求項2】
前記第1検出部は、前記第2画素に入射された入射光の受光時刻と、発光部が光信号を発光した時刻との時間差に基づいて前記ToF値を検出する、請求項1に記載の測距装置。
【請求項3】
前記第1画素は、発光部から発光された光信号が物体で反射された反射光信号を受光し、
前記第2画素は、前記発光部から発光された前記光信号を直接受光する、請求項1に記載の測距装置。
【請求項4】
前記第1画素は、入射光に応じた電圧信号を出力する第1フォトダイオードを有し、
前記第2画素は、入射光に応じた電圧信号を出力する第2フォトダイオードを有し、
前記バイアス電圧は、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード圧又はカソードに供給される電圧である、請求項1に記載の測距装置。
【請求項5】
前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードは、前記バイアス電圧がアノードに供給される場合には、カソードから前記電圧信号を出力し、前記バイアス電圧がカソードに供給される場合には、アノードから前記電圧信号を出力する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項6】
前記第1検出部は、前記第2フォトダイオードによる前記入射光の受光時刻に基づく前記ToF値を検出し、
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値に基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード電圧又はカソード電圧を制御する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項7】
前記第1検出部は、前記第2フォトダイオードのアノード又はカソードから出力される前記電圧信号の電圧レベルと所定の閾値とが交差するタイミングに基づいて前記ToF値を検出する、請求項6に記載の測距装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1検出部で検出される前記第2フォトダイオードによる前記入射光の受光時刻に基づくToF値が一定になるように、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード又はカソードに供給される前記バイアス電圧を制御する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値が予め定めた基準値よりも長い場合には、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード-カソード間の逆電圧をより大きくする、請求項4に記載の測距装置。
【請求項10】
前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードから前記電圧信号が出力されるタイミングに応じたデジタル信号を生成する時間デジタル変換器と、
前記デジタル信号に基づいて、前記入射光の受光時刻の頻度分布を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成器と、を備え、
前記第1検出部は、前記第2フォトダイオードの入射光に基づく前記ヒストグラムのピーク位置を検出する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項11】
前記第1フォトダイオードの入射光に基づく前記ヒストグラムのピーク位置に基づいて、物体までの距離を計測する距離計測部を備える、請求項10に記載の測距装置。
【請求項12】
前記第1画素及び前記第2画素とは別個に設けられる第3画素と、
前記第3画素内の第3フォトダイオードのブレークダウン電圧を監視する電圧監視部と、を備え、
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値と、前記電圧監視部で監視された前記ブレークダウン電圧と、に基づいて、前記第1フォトダイオード、前記第2フォトダイオード及び前記第3フォトダイオードのアノード電圧又はカソード電圧を制御する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項13】
周囲の温度を計測する温度計測器を備え、
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値と、前記温度計測器で計測された温度と、に基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード電圧又はカソード電圧を制御する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項14】
前記第1画素及び前記第2画素とは別個に設けられる第3画素と、
前記第3画素内の第3フォトダイオードのブレークダウン電圧を監視する電圧監視部と、
周囲の温度を計測する温度計測器と、を備え、
前記制御部は、
前記電圧監視部で監視された前記ブレークダウン電圧と、前記温度計測器で計測された温度とに基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード又はカソードに供給される前記バイアス電圧を制御する第1制御部と、
前記第1制御部による制御を行った後、前記第1検出部で検出された前記ToF値に基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード又はカソードに供給される前記バイアス電圧を制御する第2制御部と、を有する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項15】
前記第1画素における単位時間当たりの受光パルス数を検出する第2検出部を備え、
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値と、前記第2検出部で検出された単位時間当たりの受光パルス数とに基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード電圧又はカソード電圧を制御する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記第2検出部で検出された受光パルス数が予め定めた基準パルス数よりも多い場合には、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード-カソード間の逆電圧をより小さくする、請求項15に記載の測距装置。
【請求項17】
光信号を発光する発光部を備え、
前記第1画素内の前記第1フォトダイオードは、前記光信号が照射された物体からの反射光信号に基づく前記入射光を受光する、請求項4に記載の測距装置。
【請求項18】
前記第2画素は、前記第1画素とは離隔して配置され、
前記第2フォトダイオードに入射される前記光信号が前記第1フォトダイオードに入射されないように前記第2フォトダイオードの周囲に配置される遮光部材を備える、請求項17に記載の測距装置。
【請求項19】
それぞれがフォトダイオードを有する複数の画素を有する画素アレイ部を備え、
前記画素アレイ部の一部の画素は、前記第1画素として用いられ、
前記画素アレイ部の前記一部の画素以外の少なくとも一部の画素は、前記第2画素として用いられ、
前記画素アレイ部内の前記第1画素と前記第2画素との境界領域に沿って配置され、前記第2フォトダイオードに入射される前記光信号が前記第1フォトダイオードに入射されないように前記第2フォトダイオードの周囲に配置される遮光部材を備える、請求項17に記載の測距装置。
【請求項20】
前記発光部から発光された前記光信号は、前記物体の方向を照射するとともに、前記第2画素の方向を照射する、請求項17に記載の測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光パルス信号(Txパルス信号)を物体に照射し、物体からの反射光パルス信号(Rxパルス信号)を受光して、Txパルス信号を投光してからRxパルス信号が受光されるまでの時間により物体までの距離を測定するdToF(direct Time of Flight)方式の測距装置が知られている。
【0003】
Rxパルス信号の受光には、例えばSPAD(Single Photon Avalanche photo Diode)が用いられる。SPADは、アノード-カソード間にブレークダウン電圧より大きい逆バイアス電圧を印加した状態で、Rxパルス信号が受光されると、カソード電圧が低下して、発光を開始する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SPADは、Rxパルス信号の受光を待機している状態では、アノード-カソード間にブレークダウン電圧より大きい逆バイアス電圧を印加する必要がある。SPADは、半導体プロセスを利用して形成されるが、製造ばらつきや温度等の環境条件により、電気特性が変化する。具体的には、同一の電圧レベルの逆バイアス電圧をSPADに印加しても、Rxパルス信号を受光した際のカソード電圧の低下度合が変動するおそれがある。SPADの単位時間当たりのカソード電圧の低下度合が小さい場合は、低下度合が大きい場合よりも、カソード電圧がボトム電圧に到達するまでの時間が長くなることから、距離計測値が長くなり、測距誤差が生じる。
【0006】
このように、SPADの製造ばらつき等によって、SPADの電気特性が変動すると、距離計測値が変動するおそれがある。
【0007】
そこで、本開示では、SPADの電気特性が変動しても、距離計測値の精度の低下を防止できる測距装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、測距を行う第1画素とは別個に設けられる第2画素と、
前記第2画素に入射された入射光の受光時刻に基づくToF(Time of Flight)値を検出する第1検出部と、
前記第1検出部で検出された前記ToF値に基づいて、前記第1画素及び前記第2画素に与えるバイアス電圧を制御する制御部と、を備える、測距装置が提供される。
【0009】
前記第1検出部は、前記第2画素に入射された入射光の受光時刻と、発光部が光信号を発光した時刻との時間差に基づいて前記ToF値を検出してもよい。
【0010】
前記第1画素は、発光部から発光された光信号が物体で反射された反射光信号を受光し、
前記第2画素は、前記発光部から発光された前記光信号を直接受光してもよい。
【0011】
前記第1画素は、入射光に応じた電圧信号を出力する第1フォトダイオードを有し、
前記第2画素は、入射光に応じた電圧信号を出力する第2フォトダイオードを有し、
前記バイアス電圧は、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード圧又はカソードに供給される電圧であってもよい。
【0012】
前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードは、前記バイアス電圧がアノードに供給される場合には、カソードから前記電圧信号を出力し、前記バイアス電圧がカソードに供給される場合には、アノードから前記電圧信号を出力してもよい。
【0013】
前記第1検出部は、前記第2フォトダイオードによる前記入射光の受光時刻に基づく前記ToF値を検出し、
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値に基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード電圧又はカソード電圧を制御してもよい。
【0014】
前記第1検出部は、前記第2フォトダイオードのアノード又はカソードから出力される前記電圧信号の電圧レベルと所定の閾値とが交差するタイミングに基づいて前記ToF値を検出してもよい。
【0015】
前記制御部は、前記第1検出部で検出される前記第2フォトダイオードによる前記入射光の受光時刻に基づくToF値が一定になるように、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード又はカソードに供給される前記バイアス電圧を制御してもよい。
【0016】
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値が予め定めた基準値よりも長い場合には、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード-カソード間の逆電圧をより大きくしてもよい。
【0017】
前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードから前記電圧信号が出力されるタイミングに応じたデジタル信号を生成する時間デジタル変換器と、
前記デジタル信号に基づいて、前記入射光の受光時刻の頻度分布を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成器と、を備え、
前記第1検出部は、前記第2フォトダイオードの入射光に基づく前記ヒストグラムのピーク位置を検出してもよい。
【0018】
前記第1フォトダイオードの入射光に基づく前記ヒストグラムのピーク位置に基づいて、物体までの距離を計測する距離計測部を備えてもよい。
【0019】
前記第1画素及び前記第2画素とは別個に設けられる第3画素と、
前記第3画素内の第3フォトダイオードのブレークダウン電圧を監視する電圧監視部と、を備え、
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値と、前記電圧監視部で監視された前記ブレークダウン電圧と、に基づいて、前記第1フォトダイオード、前記第2フォトダイオード及び前記第3フォトダイオードのアノード電圧又はカソード電圧を制御してもよい。
【0020】
周囲の温度を計測する温度計測器を備え、
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値と、前記温度計測器で計測された温度と、に基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード電圧又はカソード電圧を制御してもよい。
【0021】
前記第1画素及び前記第2画素とは別個に設けられる第3画素と、
前記第3画素内の第3フォトダイオードのブレークダウン電圧を監視する電圧監視部と、
周囲の温度を計測する温度計測器と、を備え、
前記制御部は、
前記電圧監視部で監視された前記ブレークダウン電圧と、前記温度計測器で計測された温度とに基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード又はカソードに供給される前記バイアス電圧を制御する第1制御部と、
前記第1制御部による制御を行った後、前記第1検出部で検出された前記ToF値に基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード又はカソードに供給される前記バイアス電圧を制御する第2制御部と、を有してもよい。
【0022】
前記第1画素における単位時間当たりの受光パルス数を検出する第2検出部を備え、
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値と、前記第2検出部で検出された単位時間当たりの受光パルス数とに基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード電圧又はカソード電圧を制御してもよい。
【0023】
前記制御部は、前記第2検出部で検出された受光パルス数が予め定めた基準パルス数よりも多い場合には、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード-カソード間の逆電圧をより小さくしてもよい。
【0024】
光信号を発光する発光部を備え、
前記第1画素内の前記第1フォトダイオードは、前記光信号が照射された物体からの反射光信号に基づく前記入射光を受光してもよい。
【0025】
前記第2画素は、前記第1画素とは離隔して配置され、
前記第2フォトダイオードに入射される前記光信号が前記第1フォトダイオードに入射されないように前記第2フォトダイオードの周囲に配置される遮光部材を備えてもよい。
【0026】
それぞれがフォトダイオードを有する複数の画素を有する画素アレイ部を備え、
前記画素アレイ部の一部の画素は、前記第1画素として用いられ、
前記画素アレイ部の前記一部の画素以外の少なくとも一部の画素は、前記第2画素として用いられ、
前記画素アレイ部内の前記第1画素と前記第2画素との境界領域に沿って配置され、前記第2フォトダイオードに入射される前記光信号が前記第1フォトダイオードに入射されないように前記第2フォトダイオードの周囲に配置される遮光部材を備えてもよい。
【0027】
前記発光部から発光された前記光信号は、前記物体の方向を照射するとともに、前記第2画素の方向を照射してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1の実施形態による測距装置を備えた測距システムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】
図1の測距装置が実装された積層体の模式的な斜視図。
【
図3A】測距装置、電圧制御部、及び発光部の第1配置例を示すブロック図。
【
図3B】測距装置、電圧制御部、及び発光部の第2配置例を示すブロック図。
【
図3C】測距装置、電圧制御部、及び発光部の第3配置例を示すブロック図。
【
図5】
図1の測距装置及び電圧制御部の処理動作の一例を示すフローチャート。
【
図6】第2画素内のSPADでのTxパルス信号の受光時刻と、SPADのカソード電圧波形を示す図。
【
図7】第1の実施形態による測距装置内の主要部の詳細なブロック図。
【
図8】第2の実施形態による測距装置内の主要部の詳細なブロック図。
【
図10】第2の実施形態による測距装置の処理動作を示すフローチャート。
【
図11】第1の実施形態による測距装置内の主要部の詳細なブロック図。
【
図12】
図7のSPADのアノードとカソードの接続関係を逆にしたブロック図。
【
図13】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図。
【
図14】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、測距装置の実施形態について説明する。以下では、測距装置の主要な構成部分を中心に説明するが、測距装置には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0030】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態による測距装置1を備えた測距システム2の概略構成を示すブロック図である。
図1の測距システム2は、測距装置1と、発光部3と、全体制御部4と、電圧制御部5とを備えている。
【0031】
発光部3は、一次元又は二次元方向に配置された複数の発光素子3aを有する。複数の発光素子3aは、所定の時間間隔で光パルス信号(Txパルス信号)を繰り返し発光する。発光部3は、複数の発光素子3aが発光した光信号を所定の二次元空間上で走査することができる。光信号を走査させる具体的な手法は問わない。全体制御部4は、発光部3と測距装置1を制御する。発光部3と全体制御部4の少なくとも一方は、測距装置1に統合することが可能である。
【0032】
測距装置1は、画素アレイ部11と、測距処理部12と、出力部13と、駆動回路14と、発光タイミング制御部15と、測距制御部16と、ピーク検出部(第1検出部)17と、制御部18と、クロック生成部19とを有する。
【0033】
画素アレイ部11は、一次元又は二次元方向に配置された複数の画素(第1画素)11aを有する。各画素11aは、受光素子20を有する。受光素子20は、例えばSPAD20である。以下では、各画素11aがSPAD20を有する例を主に説明する。各画素11aは、不図示のクエンチ回路を有していてもよい。クエンチ回路は、初期状態では、SPAD20のアノードとカソード間にブレークダウン電圧を超える電位差の逆バイアス電圧を供給する。駆動回路14は、SPAD20が光子を検出してアノード-カソード間の電位差が低下すると、対応するクエンチ回路を介してSPAD20に逆バイアス電圧を供給して、次の反射光パルス信号(Rxパルス信号)の検出に備える。
【0034】
SPAD20のアノード電圧を制御することにより、SPAD20の感度を制御することができる。本実施形態では、電圧制御部5から出力されるバイアス電圧によりSPAD20のアノード電圧を制御してSPAD20の感度を制御する。なお、後述するように、SPAD20のカソード電圧を制御してSPAD20の感度を制御する構成も取りうる。
【0035】
図1の測距装置1は、測距を行う第1画素11aの他に、バイアス電圧制御のために用いられる第2画素11bを有する。画素アレイ部11は、第1画素11aを有する。第2画素11bは、画素アレイ部11内に設けられてもよいし、画素アレイ部11とは別個に設けられてもよい。第1画素11aと第2画素11bは、それぞれ1つ以上の画素で構成されている。後述するように、第1画素11aはRxパルス信号を受光するのに対して、第2画素11bはTxパルス信号を受光する。
【0036】
測距処理部12は、TDC21と、ヒストグラム生成部22と、信号処理部23とを有する。
【0037】
TDC21は、SPAD20が受光したRxパルス信号又はTxパルス信号の受光時刻に応じたデジタル信号を所定の時間分解能で生成する。TDC21の時間分解能を制御することで、測距精度を可変制御することができる。TDC21は、第1画素11aと第2画素11bのそれぞれごとに設けられる。
【0038】
ヒストグラム生成部22は、TDC21が生成したデジタル信号に基づいて、TDC21の時間分解能に応じたビン幅のヒストグラムを生成する。ビン幅とは、ヒストグラムを構成する各頻度単位の幅である。TDC21の時間分解能が高いほど、ビン幅を狭くでき、Rxパルス信号を受光した時間頻度をより精度よく反映させたヒストグラムが得られる。
【0039】
信号処理部23は、距離計算部23aを有する。距離計算部23aは、ヒストグラムに基づいてRxパルス信号の重心位置を計算する等して、物体までの距離を計算する。物体までの距離情報は、出力部13を介して測距装置1の外部(例えば、不図示のホストコンピュータなど)に出力される。
【0040】
ピーク検出部17は、信号処理部23からの信号により、第2画素11bに入射されたTxパルス信号の受光時刻に基づくToF値を検出する。ToF値は、第2画素11bでのTxパルス信号の受光時刻と、Txパルス信号の発光時刻との時間差に基づく値であり、ヒストグラム生成部22で生成されたヒストグラムのピーク位置に基づく値である。より厳密には、Txパルス信号の受光時刻は、第2画素11b内のSPAD20のカソード電圧が後段のインバータの閾値電圧を下回る時刻である。
【0041】
電圧制御部5は、ピーク検出部17で検出されたTxパルス信号の受光時刻に基づくToF値に基づいて、画素アレイ部11内の第1画素11aと第2画素11bに与えるバイアス電圧を制御する。より具体的には、電圧制御部5は、ピーク検出部17で検出される第2画素11b内のSPAD20で受光されたTxパルス信号の受光時刻に基づくToF値が一定になるように、第1画素11a及び第2画素11b内の各SPAD20のアノード電圧を制御する。
【0042】
図1では、測距装置1とは別個に電圧制御部5を図示しているが、測距装置1は電圧制御部5を内蔵することが可能である。上述したように、バイアス電圧は、例えば、第1画素11aと第2画素11b内の各SPAD20のアノードに与えられる。
【0043】
クロック生成部19は、外部から入力される基準クロック信号に同期させて、測距装置1の各部を同期するためのクロック信号を生成する。制御部18は、クロック信号に同期させて、測距制御部16と発光タイミング制御部15とを制御する。測距制御部16は、測距処理部12内のTDC21、ヒストグラム生成部22、及び信号処理部23を制御する。発光タイミング制御部15は、発光部3がTxパルス信号を発光するタイミングを制御するとともに、駆動回路14を制御する。駆動回路14は、画素アレイ部11内の各画素11aのSPAD20が光を検知して、カソード電圧が下がったときに、カソード電圧を元の電圧に復帰させるクエンチ制御などを行う。
【0044】
図1の測距装置1は、複数のチップを積層させた積層体で構成することができる。
図2は
図1の測距装置1が実装された積層体の模式的な斜視図である。
図2の積層体は、第1チップ24と、第1チップ24に積層される第2チップ25とを有する。第1チップ24には、主に
図1の画素アレイ部11が配置される。第2チップ25には、
図1の測距装置1内の画素アレイ部11以外の少なくとも一部が配置される。第1チップ24と第2チップ25は、Cu-Cu接合、ビア、又はバンプ等により接合される。
図1の測距装置1内の画素アレイ部11以外の一部の構成部分を第1チップ24に配置して、残りの構成部分を第2チップ25に配置してもよい。あるいは、
図1の測距装置1内の画素アレイ部11以外のすべての構成部分を第2チップ25に配置してもよい。また、
図1の発光部3、全体制御部4及び電圧制御部5の少なくとも一部を第1チップ24又は第2チップ25に配置してもよい。さらに、
図1の測距装置1は、3つ以上のチップを積層させた積層体で構成してもよい。
【0045】
図1の測距装置1、電圧制御部5、及び発光部3の具体的な配置には、いくつかの配置例が考えられる。以下では、代表的な3つの配置例を説明する。なお、以下に示す3つの配置例以外の配置例を採用してもよい。
【0046】
図3Aは測距装置1、電圧制御部5、及び発光部3の第1配置例を示すブロック図である。
図3Aに示すように、第1配置例では、測距装置1、電圧制御部5、及び発光部3がそれぞれ別個のチップに配置されている。測距装置1内の第2画素11bは、発光部3からのTxパルス信号を直接受光して、Txパルス信号の受光時刻に基づくToF値の情報を電圧制御部5に送る。電圧制御部5は、第2画素11bにおけるTxパルス信号の受光時刻に基づくToF値に応じたバイアス電圧を生成して、測距装置1に送る。測距装置1内の画素アレイ部11の各画素11aのSPAD20は、バイアス電圧に応じてアノード電圧が制御される。
図3Aの3つのチップは、上下方向に積層されてもよいし、同一の支持基板上に配置されてもよい。
【0047】
図3Bは測距装置1、電圧制御部5、及び発光部3の第2配置例を示すブロック図である。
図3Bに示すように、第2配置例では、測距装置1と電圧制御部5が同一のチップに配置され、発光部3が別のチップに配置されている。これら2つのチップは上下方向に積層されてもよいし、同一の支持基板上に配置されてもよい。第2配置例は、第1配置例よりもチップの数を削減できるため、第1配置例よりも、測距システム2の製造が容易になる。
【0048】
図3Cは測距装置1、電圧制御部5、及び発光部3の第3配置例を示すブロック図である。
図3Cに示すように、第3配置例では、測距装置1、電圧制御部5、及び発光部3が同一のチップに配置されている。第3配置例は、1個のチップで測距システム2を実現できるため、測距システム2の構築の費用を抑制できる一方で、チップの製造プロセスの難易度が高くなる。
【0049】
本実施形態による測距装置1では、発光部3が発光したTxパルス信号を第2画素11bで直接受光して、画素アレイ部11内の各画素11aのバイアス電圧を制御する。その一方で、第1画素11aは物体からのRxパルス信号を受光する。このため、Txパルス信号が第1画素11aに入射されないような対策を施す必要がある。対策の具体案として、遮光部材を設けることが考えられる。
【0050】
図4Aは遮光部材26の第1例を示す図であり、発光部3、第1画素11a、及び第2画素11bの側面図と平面図を示している。第1例では、第1画素11aを有する画素アレイ部11とは別個に第2画素11bを配置し、第2画素11bの周囲に遮光部材26を配置している。発光部3から発光されたTxパルス信号は、複数の方向に進行する。具体的には、発光部3から発光されたTxパルス信号の一部は物体の方向に進行し、残りの少なくとも一部は第2画素11bの方向に進行する。遮光部材26によって第1画素11aへのTxパルス信号の入射を防止できるため、測距精度が低下するおそれはない。
【0051】
図4Bは遮光部材26の第2例を示す図であり、発光部3、第1画素11a及び第2画素11bの側面図と平面図を示している。第2例では、画素アレイ部11内に第1画素11aと第2画素11bを配置し、第2画素11bの周囲に遮光部材26を配置している。第2画素11bを画素アレイ部11の端部に配置し、第2画素11bと第1画素11aの境界領域に遮光部材26を配置することで、Txパルス信号が第1画素11aに入射されなくなる。
【0052】
なお、
図4Aと
図4Bは、発光部3、第1画素11a、及び第2画素11bが同一の支持基板27上に配置される例を示したが、例えば、発光部3が配置される支持基板27と、第1画素11a及び第2画素11bが配置される支持基板27とを分けてもよい。
【0053】
図5は
図1の測距装置1及び電圧制御部5の処理動作の一例を示すフローチャートである。まず、発光タイミング制御部15からの指示に従って、発光部3はTxパルス信号を周期的に発光する(ステップS1)。Txパルス信号の発光間隔は、Txパルス信号に応じたRxパルス信号が画素アレイ部11で受光されるのに要する時間以上の長さに設定される。
【0054】
上述したように、Txパルス信号は、種々の方向に進行し、その一部は第2画素11bで受光される(ステップS2)。第2画素11bは、Txパルス信号に応じた電圧信号を出力する。より具体的には、第2画素11b内のSPAD20のカソード電圧は、Txパルス信号が受光されると低下する。本実施形態では、第2画素11b内のSPAD20のカソード電圧をTxパルス信号に応じた電圧信号として使用する。
【0055】
ピーク検出部17は、第2画素11bから出力された電圧信号に基づいて、Txパルス信号の受光時刻に基づくToF値を検出する(ステップS3)。ピーク検出部17を
図1の信号処理部23に統合して、信号処理部23にてToF値を検出してもよい。Txパルス信号の受光時刻は、第2画素11b内のSPAD20のカソード電圧が、後段のインバータの閾値電圧を下回る時刻である。
【0056】
次に、電圧制御部5は、Txパルス信号の受光時刻に基づくToF値を、予め用意した基準値と比較し、比較結果に基づいて、画素アレイ部11内の各画素11aのバイアス電圧を制御する(ステップS4)。より具体的には、Txパルス信号の受光時刻に基づくToF値が基準値よりも長い場合は、SPAD20のアノード電圧がより低くなるようにバイアス電圧を制御する。すなわち、Txパルス信号の受光時刻が想定よりも遅い場合には、SPAD20のアノード-カソード間に印加する逆バイアス電圧をより大きくして、SPAD20の感度を向上させる。
【0057】
図6は第2画素11b内のSPAD20でのTxパルス信号の受光時刻と、SPAD20のカソード電圧波形を示す図である。
図6Aは第2画素11bでのTxパルス信号の受光時刻が想定通りの場合を示し、
図6Bは第2画素11bでのTxパルス信号の受光時刻が想定よりも遅い場合を示している。
図6Cは
図6Bの場合にバイアス電圧を制御した後の状態を示す図である。
【0058】
図6Bに示すように、Txパルス信号の受光時刻が想定よりも遅れた場合、第2画素11b内のSPAD20のカソード電圧の低下度合は、想定よりも緩やかになる。このため、カソード電圧が閾値電圧を下回るまでに想定よりも時間がかかる。TDC21は、SPAD20のカソード電圧が閾値電圧と交差する時刻に基づいてデジタル信号を生成する。よって、カソード電圧が閾値電圧と交差する時刻が遅れるほど、ToF値は大きくなる。
【0059】
そこで、電圧制御部5は、バイアス電圧を制御してSPAD20のアノード電圧を下げることにより、SPAD20の逆バイアス電圧をより大きくする。これにより、
図6Cに示すように、第2画素11b内のSPAD20のカソード電圧は、Txパルス信号の受光時により迅速に低下し、カソード電圧が閾値電圧を下回る時刻が早まり、ToF値が小さくなって、
図6AのToF値と同程度にすることができる。
【0060】
図7は第1の実施形態による測距装置1内の主要部の詳細なブロック図である。
図7では、電圧制御部5を測距装置1の一部として図示している。画素アレイ部11内の第1画素11aは、物体で反射されたRxパルス信号を受光する。第1画素11aの画素数は任意である。第1画素11a内のSPAD20のカソードにはインバータ28が接続されている。第1画素11a内のSPAD20がRxパルス信号を受光すると、カソード電圧が低下し、カソード電圧がインバータ28の閾値電圧を下回ると、インバータ28の出力信号がローレベルからハイレベルに遷移する。インバータ28の出力信号はTDC21に入力されて、デジタル信号が生成される。
図7では、第1画素11aに対応するTDC21とヒストグラム生成部22を省略しているが、第1画素11a内のSPAD20がRxパルス信号を受光すると、Rxパルス信号の受光時刻に応じたデジタル信号がTDC21で生成され、デジタル信号の時間分解能に応じたビン幅のヒストグラムがヒストグラム生成部22で生成される。
【0061】
また、画素アレイ部11内に設けられるか、あるいは画素アレイ部11とは別個に設けられる第2画素11bは、発光部3が発光したTxパルス信号を直接受光する。第2画素11b内のSPAD20のカソードにもインバータ28が接続されている。第2画素11b内のSPAD20がTxパルス信号を受光すると、SPAD20のカソード電圧が低下する。カソード電圧がインバータ28の閾値電圧を下回ると、インバータ28の出力はローレベルからハイレベルに遷移する。インバータ28の出力信号は、TDC21に入力されて、SPAD20のカソード電圧がインバータ28の閾値電圧を下回る時刻に応じたデジタル信号が生成される。ヒストグラム生成部22は、TDC21が生成したデジタル信号の時間分解能に応じたビン幅のヒストグラムを生成する。ピーク検出部17は、ヒストグラムに基づいてピーク位置を検出する。ピーク検出部17が検出するピーク位置は、第2画素11bによるRxパルス信号の受光時刻に基づくToF値である。電圧制御部5は、ToF値を基準値と比較し、その比較結果に応じてバイアス電圧を制御する。
【0062】
図7に示すように、第1画素11a内の各SPAD20のアノードと、第2画素11b内の各SPAD20のアノードはいずれも電圧制御部5の出力ノードに接続されている。よって、電圧制御部5から出力されたバイアス電圧にて、第1画素11aと第2画素11b内の各SPAD20のアノード電圧を制御できる。
【0063】
より具体的には、電圧制御部5から出力されるバイアス電圧が低くなるほど、各SPAD20のアノード-カソード間の逆バイアス電圧がより大きくなる。逆バイアス電圧がより大きくなるほど、各SPAD20の感度が向上し、Txパルス信号又はRxパルス信号の受光時におけるカソード電圧の低下度合いが大きくなり、カソード電圧がより迅速に閾値電圧を下回るようになる。
【0064】
第1画素11a及び第2画素11b内の各SPAD20のカソードと電源電圧ノードの間には、PMOSトランジスタからなる定電流源29が接続されている。この定電流源29の回路構成は任意である。
【0065】
このように、第1の実施形態では、測距用の第1画素11aとは別個に第2画素11bを設ける。第2画素11bは、SPAD20がTxパルス信号を受光した際のToF値を検出するために用いられる。SPAD20は、製造ばらつき等により、ToF値が変動し、測距誤差が生じる。
【0066】
本実施形態による測距装置1は、第2画素11bにTxパルス信号を直接受光させる。ピーク検出部17は、第2画素11b内のSPAD20のカソード電圧が閾値電圧を下回る時刻に応じたToF値を求める。電圧制御部5は、ToF値を基準値と比較し、その比較結果に基づいてバイアス電圧を制御する。電圧制御部5から出力されたバイアス電圧は、第1画素11a及び第2画素11b内の各SPAD20のアノードに供給される。これにより、ToF値が基準値よりも大きければ、第1画素11a及び第2画素11b内の各SPAD20のアノード-カソード間の逆バイアス電圧をより大きくする。よって、SPAD20がRxパルス信号又はTxパルス信号を受光した際のカソード電圧の低下度合を大きくすることができ、ToF値を小さくして、基準値に近づけることができる。
【0067】
このように、第1の実施形態では、第2画素11b内のSPAD20がTxパルス信号を受光した際のToF値を一定にすることができ、測距誤差を削減できる。
【0068】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、SPAD20のカソード電圧の低下度合をバイアス電圧で制御する例を説明したが、SPAD20のブレークダウン電圧は製造プロセスや温度等により変動するおそれがある。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態の機能に加えて、SPAD20のブレークダウン電圧を監視してバイアス電圧を制御する機能と、温度に応じてバイアス電圧を制御する機能との少なくとも一方の機能を組み合わせるものである。
【0069】
図8は第2の実施形態による測距装置1内の主要部の詳細なブロック図である。
図8の測距装置1は、
図7の構成に加えて、VBDモニタ(電圧監視部)31と、温度計(温度計測器)32と、セレクタ33とを備えている。
【0070】
図8の測距装置1は、測距用の第1画素11aと、ToF値検出用の第2画素11bとは別個に、第3画素11cを有する。第3画素11cは、画素アレイ部11内に設けられてもよいし、画素アレイ部11とは別個に設けられてもよい。第3画素11cは、測距には用いられない。
【0071】
VBDモニタ31は、第3画素11c内のSPAD20のカソード電圧を計測して、その計測結果に基づいてSPAD20のブレークダウン電圧を検出する。SPAD20のブレークダウン電圧は、SPAD20のカソード電圧がボトム値まで下がった際のアノード-カソード間の電圧である。
【0072】
例えば、SPAD20のブレークダウン電圧が想定より大きい場合には、SPAD20のカソード電圧がインバータ28の閾値電圧を下回るまでに時間がかかってToF値が大きくなる。よって、SPAD20のブレークダウン電圧が想定より大きい場合には、アノード電圧をより低下させて、カソード電圧を下げるのが望ましい。そこで、電圧制御部5は、VBDモニタ31で検出されたブレークダウン電圧に基づいて、第1~第3画素11a、11b、11c内のSPAD20のアノードに供給されるバイアス電圧を制御する。
【0073】
温度計32は、第2の実施形態による測距装置1の周囲の温度を計測する。温度が上昇すると、SPAD20のカソード電圧が例えば上昇するおそれがある。カソード電圧が上昇すると、カソード電圧がインバータ28の閾値電圧を下回るのに時間がかかってToF値が大きくなる。よって、温度が高い場合には、アノード電圧をより低下させるのが望ましい。そこで、電圧制御部5は、温度計32で計測された温度に基づいて、第1~第3画素11a、11b、11c内のSPAD20のアノードに供給されるバイアス電圧を制御する。
【0074】
セレクタ33は、ピーク検出部17で検出されたToF値、VBDモニタ31で検出された第2画素11b内のSPAD20のブレークダウン電圧、又は温度計32で計測された温度のいずれかを選択して電圧制御部5に供給する。セレクタ33が選択する順序は任意である。
【0075】
電圧制御部5は、セレクタ33で選択された、ピーク検出部17で検出されたToF値、VBDモニタ31で検出された第2画素11b内のSPAD20のブレークダウン電圧、又は温度計32で計測された温度に応じたバイアス電圧を生成する。
【0076】
図8の電圧制御部5は、VBDモニタ31で監視されたブレークダウン電圧と、温度計32で計測された温度とに基づいて、第1画素11a及び第2画素11bのSPAD20のアノード又はカソードに供給されるバイアス電圧を制御する機能(第1制御部)と、第1制御部による制御を行った後、ピーク検出部17で検出されたToF値に基づいて、第1画素11a及び第2画素11bのSPAD20のアノード又はカソードに供給されるバイアス電圧を制御する機能(第2制御部)を有する。
【0077】
図9はVBDモニタ31の内部構成を示すブロック図である。
図9のVBDモニタ31は、タイミング検出部34と、サンプルホールド部35とを有する。
【0078】
タイミング検出部34は、第3画素11c内のSPAD20のカソード電圧を監視し、カソード電圧が低下を開始してから所定時間が経過したタイミングを検出する。サンプルホールド部35は、タイミング検出部34で検出されたタイミングでのカソード電圧を保持する。保持されたカソード電圧は例えばA/D変換されて、セレクタ33に入力される。
【0079】
図10は第2の実施形態による測距装置1の処理動作を示すフローチャートである。
図10のフローチャートの処理動作は、測距装置1の電源をオンしている間、継続して実行される。
【0080】
まず、VBDモニタ31で検出された第3画素11c内のSPAD20のブレークダウン電圧によるバイアス電圧の制御(ステップS11)と、温度計32で計測された温度によるバイアス電圧の制御(ステップS12)とが、セレクタ33で切り替えて、任意の順番で実行される。
【0081】
本明細書では、ステップS11とS12によるバイアス電圧の制御を初期引き込み処理と呼ぶ。ステップS11とS12による初期引き込み処理が終了すると(ステップS13)、次に、ToF値によるバイアス電圧の制御を行う(ステップS14)。ステップS14では、
図5のステップS1~S5の処理が行われる。
【0082】
ステップS14の処理は、測距装置1が測距動作を行っている最中は継続して行ってもよい。一方、VBDモニタ31によるバイアス電圧の制御と、温度計32によるバイアス電圧の制御は、測距装置1の電源をオンにした直後や測距装置1のリセット動作の直後のみに行ってもよい。あるいは、ステップS11とS12の処理も、定期的又は不定期的に繰り返し行ってもよい。
【0083】
図8~
図10では、VBDモニタ31によるバイアス電圧の制御と、温度計32によるバイアス電圧の制御とを、セレクタ33で任意の順序に切り替えて行う例を示したが、VBDモニタ31と温度計32のいずれか一方のみのバイアス電圧の制御を行ってもよい。
【0084】
このように、第2の実施形態では、ToF値によるバイアス電圧の制御だけでなく、VBDモニタ31によるバイアス電圧の制御と、温度計32によるバイアス電圧の制御との少なくとも一方を行うため、測距精度をより向上できる。
【0085】
(第3の実施形態)
画素アレイ部11に非常に強い環境光が入射されると、第1画素11a内のSPAD20で検出される単位時間当たりのRxパルス信号の数が著しく増えるおそれがある。単位時間当たりのRxパルス信号の数が増えすぎると、信号処理部23の処理負担が増えて誤動作の要因になる。また、消費電力が増える要因にもなる。そこで、第3の実施形態による測距装置1は、第1の実施形態による測距装置1に、単位時間当たりのRxパルス信号の数に応じてバイアス電圧を制御する機能を追加したことを特徴とする。
【0086】
図11は第1の実施形態による測距装置1内の主要部の詳細なブロック図である。
図11の測距装置1は、
図7の構成に加えて、受光数検出部(第2検出部)36と、セレクタ33とを備えている。
【0087】
受光数検出部36は、単位時間当たりのRxパルス信号の数を検出する。受光数検出部36には、第1画素11a内の各SPAD20から出力された電圧信号が入力される。受光数検出部36は、これら電圧信号のうち、カソード電圧レベルがボトム値になった電圧信号の数をカウントすることにより、単位時間当たりのRxパルス信号の数を検出する。
【0088】
セレクタ33は、受光数検出部36で検出された単位時間当たりのRxパルス信号の数と、ピーク検出部17で検出されたピーク位置とのいずれか一方を選択して電圧制御部5に送る。電圧制御部5は、セレクタ33が単位時間当たりのRxパルス信号の数を選択した場合は、単位時間当たりのRxパルス信号の数に基づいて、第1画素11a及び第2画素11b内の各SPAD20のバイアス電圧を制御する。例えば、単位時間当たりのRxパルス信号の数を、予め用意した基準数と比較して、基準数よりも多い場合には、環境光が強すぎると判断して、SPAD20のアノード電圧を高くする。これにより、SPAD20のアノード-カソード間の逆バイアス電圧が低下し、SPAD20の感度が低下する。
【0089】
一方、電圧制御部5は、セレクタ33がピーク検出部17で検出されたピーク位置を選択した場合は、
図5のステップS4及びS5の処理と同様の手順で、バイアス電圧を制御する。
【0090】
単位時間当たりのRxパルス信号の数によるバイアス電圧の制御と、ToF値によるバイアス電圧の制御とは、定期的又は不定期的に繰り返し実行してもよい。
【0091】
なお、第2の実施形態と第3の実施形態を組み合わせてもよい。この場合、セレクタ33は、VBDモニタ31で検出されたブレークダウン電圧と、温度計32で計測された温度情報と、受光数検出部36で検出された単位時間当たりのRxパルス信号の数と、ピーク検出部17で検出されたピーク位置とのいずれかを任意に選択して、電圧制御部5に送信する。
【0092】
このように、第3の実施形態では、ToF値によるバイアス電圧の制御だけでなく、単位時間当たりのRxパルス信号の数によるバイアス電圧の制御を行うため、測距装置1の動作を安定化させ、かつ消費電力の増大を抑制できる。
【0093】
(第1~第3の実施形態の一変形例)
上述した第1~第3の実施形態では、SPAD20のアノード電圧を電圧制御部5から出力されたバイアス電圧で制御し、カソード側からRxパルス信号に応じた電圧信号を出力する例を示したが、SPAD20のカソード電圧を電圧制御部5から出力されたバイアス電圧で制御し、アノード側からRxパルス信号に応じた電圧信号を出力してもよい。
【0094】
図12は
図7のSPAD20のアノードとカソードの接続関係を逆にしたブロック図である。
図12の第1画素11a内のSPAD20のカソードと第2画素11b内のSPAD20のカソードには、電圧制御部5から出力されたバイアス電圧が供給される。第1画素11a内のSPAD20のアノードには、インバータ28と定電流源29が接続されている。また、第2画素11b内のSPAD20のアノードには、インバータ28と定電流源29が接続されている。各SPAD20のアノード電圧は、Rxパルス信号又はTxパルス信号が受光されると高くなり、アノード電圧がインバータ28の閾値電圧を超えると、インバータ28の出力論理が反転する。
【0095】
このように、第1~第3の実施形態におけるSPAD20のアノードとカソードの接続関係は逆にすることも可能である。
【0096】
<<応用例>>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0097】
図13は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図13に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0098】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。
図13では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0099】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
【0100】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
【0101】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0102】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
【0103】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0104】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
【0105】
ここで、
図14は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0106】
なお、
図14には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0107】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0108】
図13に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0109】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0110】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0111】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0112】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0113】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0114】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0115】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0116】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0117】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0118】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0119】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0120】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0121】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図13の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0122】
なお、
図13に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0123】
なお、
図1等を用いて説明した本実施形態に係る測距装置1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを、いずれかの制御ユニット等に実装することができる。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することもできる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0124】
以上説明した車両制御システム7000において、
図1等を用いて説明した本実施形態に係る測距装置1は、
図13に示した応用例の統合制御ユニット7600に適用することができる。
【0125】
また、
図1等を用いて説明した測距装置1の少なくとも一部の構成要素は、
図13に示した統合制御ユニット7600のためのモジュール(例えば、一つのダイで構成される集積回路モジュール)において実現されてもよい。あるいは、
図1を用いて説明した測距装置1が、
図13に示した車両制御システム7000の複数の制御ユニットによって実現されてもよい。
【0126】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)測距を行う第1画素とは別個に設けられる第2画素と、
前記第2画素に入射された入射光の受光時刻に基づくToF(Time of Flight)値を検出する第1検出部と、
前記第1検出部で検出された前記ToF値に基づいて、前記第1画素及び前記第2画素に与えるバイアス電圧を制御する制御部と、を備える、測距装置。
(2)前記第1検出部は、前記第2画素に入射された入射光の受光時刻と、発光部が光信号を発光した時刻との時間差に基づいて前記ToF値を検出する、(1)に記載の測距装置。
(3)前記第1画素は、発光部から発光された光信号が物体で反射された反射光信号を受光し、
前記第2画素は、前記発光部から発光された前記光信号を直接受光する、(1)又は(2)に記載の測距装置。
(4)前記第1画素は、入射光に応じた電圧信号を出力する第1フォトダイオードを有し、
前記第2画素は、入射光に応じた電圧信号を出力する第2フォトダイオードを有し、
前記バイアス電圧は、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード圧又はカソードに供給される電圧である、(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の測距装置。
(5)前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードは、前記バイアス電圧がアノードに供給される場合には、カソードから前記電圧信号を出力し、前記バイアス電圧がカソードに供給される場合には、アノードから前記電圧信号を出力する、(4)に記載の測距装置。
(6)前記第1検出部は、前記第2フォトダイオードによる前記入射光の受光時刻に基づく前記ToF値を検出し、
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値に基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード電圧又はカソード電圧を制御する、(4)又は(5)に記載の測距装置。
(7)前記第1検出部は、前記第2フォトダイオードのアノード又はカソードから出力される前記電圧信号の電圧レベルと所定の閾値とが交差するタイミングに基づいて前記ToF値を検出する、(6)に記載の測距装置。
(8)前記制御部は、前記第1検出部で検出される前記第2フォトダイオードによる前記入射光の受光時刻に基づくToF値が一定になるように、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード又はカソードに供給される前記バイアス電圧を制御する、(4)乃至(7)のいずれか一項に記載の測距装置。
(9)前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値が予め定めた基準値よりも長い場合には、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード-カソード間の逆電圧をより大きくする、(4)乃至(8)のいずれか一項に記載の測距装置。
(10)前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードから前記電圧信号が出力されるタイミングに応じたデジタル信号を生成する時間デジタル変換器と、
前記デジタル信号に基づいて、前記入射光の受光時刻の頻度分布を表すヒストグラムを生成するヒストグラム生成器と、を備え、
前記第1検出部は、前記第2フォトダイオードの入射光に基づく前記ヒストグラムのピーク位置を検出する、(4)乃至(9)のいずれか一項に記載の測距装置。
(11)前記第1フォトダイオードの入射光に基づく前記ヒストグラムのピーク位置に基づいて、物体までの距離を計測する距離計測部を備える、(10)に記載の測距装置。
(12)前記第1画素及び前記第2画素とは別個に設けられる第3画素と、
前記第3画素内の第3フォトダイオードのブレークダウン電圧を監視する電圧監視部と、を備え、
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値と、前記電圧監視部で監視された前記ブレークダウン電圧と、に基づいて、前記第1フォトダイオード、前記第2フォトダイオード及び前記第3フォトダイオードのアノード電圧又はカソード電圧を制御する、(4)乃至(11)のいずれか一項に記載の測距装置。
(13)周囲の温度を計測する温度計測器を備え、
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値と、前記温度計測器で計測された温度と、に基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード電圧又はカソード電圧を制御する、(4)乃至(11)のいずれか一項に記載の測距装置。
(14)前記第1画素及び前記第2画素とは別個に設けられる第3画素と、
前記第3画素内の第3フォトダイオードのブレークダウン電圧を監視する電圧監視部と、
周囲の温度を計測する温度計測器と、を備え、
前記制御部は、
前記電圧監視部で監視された前記ブレークダウン電圧と、前記温度計測器で計測された温度とに基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード又はカソードに供給される前記バイアス電圧を制御する第1制御部と、
前記第1制御部による制御を行った後、前記第1検出部で検出された前記ToF値に基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード又はカソードに供給される前記バイアス電圧を制御する第2制御部と、を有する、(4)乃至(11)のいずれか一項に記載の測距装置。
(15)前記第1画素における単位時間当たりの受光パルス数を検出する第2検出部を備え、
前記制御部は、前記第1検出部で検出された前記ToF値と、前記第2検出部で検出された単位時間当たりの受光パルス数とに基づいて、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード電圧又はカソード電圧を制御する、(4)乃至(11)のいずれか一項に記載の測距装置。
(16)前記制御部は、前記第2検出部で検出された受光パルス数が予め定めた基準パルス数よりも多い場合には、前記第1フォトダイオード及び前記第2フォトダイオードのアノード-カソード間の逆電圧をより小さくする、(15)に記載の測距装置。
(17)光信号を発光する発光部を備え、
前記第1画素内の前記第1フォトダイオードは、前記光信号が照射された物体からの反射光信号に基づく前記入射光を受光する、(4)乃至(16)のいずれか一項に記載の測距装置。
(18)前記第2画素は、前記第1画素とは離隔して配置され、
前記第2フォトダイオードに入射される前記光信号が前記第1フォトダイオードに入射されないように前記第2フォトダイオードの周囲に配置される遮光部材を備える、(17)に記載の測距装置。
(19)それぞれがフォトダイオードを有する複数の画素を有する画素アレイ部を備え、
前記画素アレイ部の一部の画素は、前記第1画素として用いられ、
前記画素アレイ部の前記一部の画素以外の少なくとも一部の画素は、前記第2画素として用いられ、
前記画素アレイ部内の前記第1画素と前記第2画素との境界領域に沿って配置され、前記第2フォトダイオードに入射される前記光信号が前記第1フォトダイオードに入射されないように前記第2フォトダイオードの周囲に配置される遮光部材を備える、(17)に記載の測距装置。
(20)前記発光部から発光された前記光信号は、前記物体の方向を照射するとともに、前記第2画素の方向を照射する、(17)乃至(19)のいずれか一項に記載の測距装置。
【0127】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0128】
1 測距装置、2 測距システム、3 発光部、3a 発光素子、4 全体制御部、5 電圧制御部、11 画素アレイ部、11a 第3画素、11a 第1画素、11b 第2画素、11c 第3画素、12 測距処理部、13 出力部、14 駆動回路、15 発光タイミング制御部、16 測距制御部、17 ピーク検出部(第1検出部)、18 制御部、19 クロック生成部、20 受光素子、22 ヒストグラム生成部、23 信号処理部、23a 距離計算部、24 第1チップ、25 第2チップ、26 遮光部材、27 支持基板、28 インバータ、29 定電流源、31 VBDモニタ(電圧監視部)、32 温度計(温度計測器)、33 セレクタ、34 タイミング検出部、35 サンプルホールド部、36 受光数検出部(第2検出部)