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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122406
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】業務処理運用システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20230825BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026085
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】519356216
【氏名又は名称】株式会社Joblab
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 秀一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】顧客から依頼されたジョブを複数の実行ジョブに分解して複数のテレワーカーのワーク端末に分配し、完成した成果ジョブを受信して集約する業務処理運用システムを提供する。
【解決手段】業務処理運用システム1において、業務処理運用サーバ10は、顧客から依頼されたジョブを複数のテレワーカーのワーク端末20に分配するための複数の実行ジョブに分解するジョブパケタイザー16と、それぞれのテレワーカーのスキル情報、ランク情報、スケジュール情報及び経験値情報を含むテレワーカー情報を保存するデータベースであるジョブレポジトリ17と、ジョブレポジトリの保存するテレワーカー情報を参照し実行ジョブを実施可能なテレワーカーのワーク端末20に分配するジョブルーター18と、分配した実行ジョブの進捗状況を管理し、成果ジョブを受信して集約するジョブ管理部19と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客から依頼されたジョブを複数の実行ジョブに分解し、それぞれの実行ジョブを複数のテレワーカーのワーク端末に分配し、各々のワーク端末から実行ジョブを実行した結果である成果ジョブを受信して集約する業務処理運用サーバを備える業務処理運用システムであって、
前記業務処理運用サーバは、少なくとも、
顧客から依頼されたジョブを複数のテレワーカーのワーク端末に分配するための複数の実行ジョブに分解するジョブパケタイザーと、
それぞれのテレワーカーのスキル情報、ランク情報、スケジュール情報及び経験値情報を含むテレワーカー情報を保存するデータベースであるジョブレポジトリと、
ジョブレポジトリの保存するテレワーカー情報を参照し実行ジョブを実施可能なテレワーカーのワーク端末に分配するジョブルーターと、
分配した実行ジョブの進捗状況を管理し、成果ジョブを受信して集約するジョブ管理部と、を備えることを特徴とする業務処理運用システム。
【請求項2】
前記ジョブパケタイザーは、顧客から依頼されたジョブの分野、規模、要求納期を参照し、ジョブの内容及び顧客が重視する納期、コスト、品質、を含む主たる要望事項に基づいて、最大でも当該分野のテレワーカーが要求納期内の所定の期限内に実行可能なサイズの実行ジョブに分解することを特徴とする請求項1に記載の業務処理運用システム。
【請求項3】
所定の期限内に実行可能な実行ジョブのサイズは、当該分野のテレワーカーの時間当たりの平均的な処理能力の実績値に基づき算出することを特徴とする請求項2に記載の業務処理運用システム。
【請求項4】
前記ジョブレポジトリは、テレワーカーのスキル情報、テレワーカーのランク、稼働可能なスケジュール情報、及びジョブに対応したテレワーカーの経験値情報を保存すると共に、テレワーカーが当該分野において初心者の場合は1次テレワーカーとして登録し、当該分野において高度な能力を有し初心者のリカバーができる上位者を2次テレワーカーとして登録するリカバリーリストを保存することを特徴とする請求項1に記載の業務処理運用システム。
【請求項5】
前記ジョブルーターは、前記ジョブパケタイザーが分割した実行ジョブに対して前記ジョブレポジトリにあるテレワーカーのスキル情報、ランク、経験値情報、及び稼働可能なスケジュール情報を参照して、実行ジョブの内容、顧客の要望項目を考慮してクラウド上で当該実行ジョブを実行可能なテレワーカーに公開し、更にテレワーカーからの応答と、顧客のスケジュールを参照して納期を達成できる最適なテレワーカーを選び出し実行ジョブを分配することを特徴とする請求項1に記載の業務処理運用システム。
【請求項6】
前記ジョブルーターがクラウド上で公開して分配する実行ジョブは、様々な言語を母国語とするテレワーカーが閲覧および応答が可能となるよう複数の言語で表記した情報で公開して分配されることを特徴とする請求項5に記載の業務処理運用システム。
【請求項7】
前記ジョブ管理部は、前記ジョブルーターにより分配された実行ジョブの進捗管理を行うと共に、完成した成果ジョブの品質チェックを行い、品質レベルが所望水準に達していない場合及び実行ジョブの進捗が遅延している場合は、実行ジョブ遂行時の納期に問題が生じないように前記ジョブレポジトリの前記リカバリーリストにより2次テレワーカーにジョブの再割り当てを行い品質レベルの水準訂正、及び納期の確保を行い、各成果ジョブの最終結果を集約して顧客に提出することを特徴とする請求項1に記載の業務処理運用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務処理運用システムに関し、特に顧客から依頼されたジョブを依頼内容に応じて複数の実行ジョブに分解し、それぞれの実行ジョブを実行するのに適切な複数のテレワーカーのワーク端末に分配し、各々のワーク端末から実行ジョブを実行した結果である成果ジョブを受信して集約する業務処理運用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
社会環境の変化により、働き方にも変化が起こり、勤め先に通勤することなく、自宅や近所の作業スペースからリモートで働くテレワークのような働き方が定着してきている。こうしたIT技術を生かしたテレワークは、特定の企業や団体に所属する社会人に限らず、個人での仕事の場を広げ、個人でも個別に依頼元から仕事を受託して成果物を依頼元に提出することで収入を得られる機会を生み出すようになってきている。
こうしたテレワーカーを有効に活用し、依頼元から受注した業務を、その業務をこなす能力のあるテレワーカーに委託するシステムは以前より提案されている。
【0003】
特許文献1には、在宅ワーカーとその能力評価とを予めサーバに登録し、発注者から委託された仕事の内容及びこれを遂行するのに要する能力基準をインターネット上でサーバの提供するホームページに掲載し、登録された在宅ワーカーのうち上記仕事の受注を希望する者よりインターネット経由でエントリーされる落札希望価格に基づいて、サーバの提供するホームページ上でのオークションによって受注者を決定し、決定した受注者に仕事を委託し、委託した仕事の進行状況から検収までを管理する在宅ワーク委託方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、仕事を行う第1の端末装置にネットワークを介して接続されるサーバを有し、サーバは、ネットワークに接続される通信手段と、第1の端末装置から受信したスキルに関する情報に基づいて、仕事に関する第一の情報を第1の端末装置に向けてサーバの通信手段に送信させる手段と、第1の端末装置から受信した作業に関する情報に基づいて、仕事のステップを進行させる手段とを有する仕事管理システムが開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の委託方法は、委託された仕事を落札した受注者にそのまま依頼する仲介を行うものであり、特許文献2に記載の仕事管理システムもスキルが適合する作業者の端末に仕事の依頼を送信するものであり、いずれも分散する複数のテレワーカーをまとめて有効に活用することに関しては十分に考慮されてはいない。
【0006】
特許文献3には、仕事提供者により提供された仕事情報を管理する仕事管理部と、仕事提供者に関する情報を管理する仕事提供者管理部と、各作業者に関する情報を管理する作業者管理部とを備え、仕事管理部は、提供された仕事情報を登録する一方で、仕事提供者管理部により管理されている情報および作業者管理部により管理されている情報に基づいて、登録された仕事情報を所定の単位に分割して各作業者が利用する各作業者用システムに対して提供する分担作業支援システムが開示されている。
【0007】
特許文献3に記載の分担作業支援システムによれば、提供された仕事を複数に分割して複数の作業者で分担して行うことが可能となる。しかし仕事の分割は仕事提供者の指示に従うものであり、また仕事の分担も作業者が任意の分量を決めて受注するなど、仕事の分割から分配までを総合的に管理するシステムにはなっていない。
そこで、顧客から依頼された仕事を効率的に複数の仕事に分解して、仕事の内容に見合ったテレワーカーに分配し、出来上がった仕事の成果を集約する総合的な業務処理が行えるシステムの開発が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002-230349号公報
【特許文献2】特開2002-269308号公報
【特許文献3】特開2002-366717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の業務処理運用システムにおける問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、顧客から依頼されたジョブを依頼内容に応じて複数の実行ジョブに分解し、それぞれの実行ジョブを実行するのに適切な複数のテレワーカーのワーク端末に分配し、各々のワーク端末から実行ジョブを実行した結果である成果ジョブを受信して集約する業務処理運用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明による業務処理運用システムは、顧客から依頼されたジョブを複数の実行ジョブに分解し、それぞれの実行ジョブを複数のテレワーカーのワーク端末に分配し、各々のワーク端末から実行ジョブを実行した結果である成果ジョブを受信して集約する業務処理運用サーバを備える業務処理運用システムであって、前記業務処理運用サーバは、少なくとも、顧客から依頼されたジョブを複数のテレワーカーのワーク端末に分配するための複数の実行ジョブに分解するジョブパケタイザーと、それぞれのテレワーカーのスキル情報、ランク情報、スケジュール情報及び経験値情報を含むテレワーカー情報を保存するデータベースであるジョブレポジトリと、ジョブレポジトリの保存するテレワーカー情報を参照し実行ジョブを実施可能なテレワーカーのワーク端末に分配するジョブルーターと、分配した実行ジョブの進捗状況を管理し、成果ジョブを受信して集約するジョブ管理部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
前記ジョブパケタイザーは、顧客から依頼されたジョブの分野、規模、要求納期を参照し、ジョブの内容及び顧客が重視する納期、コスト、品質、を含む主たる要望事項に基づいて、最大でも当該分野のテレワーカーが要求納期内の所定の期限内に実行可能なサイズの実行ジョブに分解することが好ましい。
所定の期限内に実行可能な実行ジョブのサイズは、当該分野のテレワーカーの時間当たりの平均的な処理能力の実績値に基づき算出することが好ましい。
【0012】
前記ジョブレポジトリは、テレワーカーのスキル情報、テレワーカーのランク、稼働可能なスケジュール情報、及びジョブに対応したテレワーカーの経験値情報を保存すると共に、テレワーカーが当該分野において初心者の場合は1次テレワーカーとして登録し、当該分野において高度な能力を有し初心者のリカバーができる上位者を2次テレワーカーとして登録するリカバリーリストを保存することが好ましい。
【0013】
前記ジョブルーターは、前記ジョブパケタイザーが分割した実行ジョブに対して前記ジョブレポジトリにあるテレワーカーのスキル情報、ランク、経験値情報、及び稼働可能なスケジュール情報を参照して、実行ジョブの内容、顧客の要望項目を考慮してクラウド上で当該実行ジョブを実行可能なテレワーカーに公開し、更にテレワーカーからの応答と、顧客のスケジュールを参照して納期を達成できる最適なテレワーカーを選び出し実行ジョブを分配することが好ましい。
前記ジョブルーターがクラウド上で公開して分配する実行ジョブは、様々な言語を母国語とするテレワーカーが閲覧および応答が可能となるよう複数の言語で表記した情報で公開して分配されることが好ましい。
【0014】
前記ジョブ管理部は、前記ジョブルーターにより分配された実行ジョブの進捗管理を行うと共に、完成した成果ジョブの品質チェックを行い、品質レベルが所望水準に達していない場合及び実行ジョブの進捗が遅延している場合は、実行ジョブ遂行時の納期に問題が生じないように前記ジョブレポジトリの前記リカバリーリストにより2次テレワーカーにジョブの再割り当てを行い品質レベルの水準訂正、及び納期の確保を行い、各成果ジョブの最終結果を集約して顧客に提出することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る業務処理運用システムによれば、業務処理運用サーバは、顧客から依頼されたジョブを複数のテレワーカーのワーク端末に分配するための複数の実行ジョブに分解するので、1つのジョブでも複数のテレワーカーで並列処理ができるため、ジョブごとに一人のテレワーカーが作業するより短納期でジョブを完成させることが可能となる。またジョブの分解は納期や品質など顧客が重視する項目に対応して、その重視する項目にふさわしい分割方法で分割を行うため、顧客の満足度の高い成果物を納入することが可能となる。
【0016】
本発明に係る業務処理運用システムによれば、業務処理運用サーバは、分割した実行ジョブに対してジョブレポジトリにあるテレワーカーのスキル情報、ランク、経験値情報、及び稼働可能なスケジュール情報を参照して、実行ジョブの内容、顧客の要望項目を考慮してクラウド上で当該実行ジョブを実行可能なテレワーカーに公開するので、当該実行ジョブが実行ジョブの内容にふさわしくないテレワーカーに依頼が行くことを防止し、併せて依頼された実行ジョブの情報が関連しないテレワーカーに必要以上に開示されることを防止する。
【0017】
また、本発明に係る業務処理運用システムによれば、業務処理運用サーバは、それぞれのテレワーカーに分配した実行ジョブの進捗や品質をチェックし、問題があればリカバリーリストによりよりレベルの高い2次テレワーカーに実行ジョブの再配分を行い、納期、品質の改善を行うため、顧客の満足度の高い成果物を要求納期内で納入することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態による業務処理運用システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態によるジョブパケタイザーによるジョブ分割方法の1例を示す図である。
図3】本発明の実施形態によるジョブパケタイザーによるジョブ分割方法の他の1例を示す図である。
図4】本発明の実施形態によるジョブパケタイザーによるジョブ分割方法のその他の1例を示す図である。
図5】本発明の実施形態によるジョブレポジトリに保存される管理項目の1例を示す図である。
図6】本発明の実施形態によるジョブレポジトリに保存されるスケジュール情報の1例を示す図である。
図7】本発明の実施形態によるジョブルーターが管理する管理テーブルの1例を示す図である。
図8】本発明の実施形態によるジョブ管理部が管理するジョブの進捗管理を行うための管理表の1例を示す図である。
図9】本発明の実施形態によるジョブの分解・分配の方法を説明するためのフローチャートである。
図10】本発明の実施形態によるジョブ管理の方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る業務処理運用システムを実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態による業務処理運用システムの構成を概略的に示す図である。
図1を参照すると、本発明の実施形態による業務処理運用システム1は、ネットワーク5を介して相互に接続される業務処理運用サーバ10と、複数のテレワーカーがそれぞれ個別に使用するワーク端末20とを備える。図1では代表して2つのワーク端末(20-1、20-2)を示すが、実施形態では業務処理運用システム1に登録して参加するテレワーカーの数だけワーク端末20が備えられる。
【0020】
本発明の実施形態による業務処理運用システム1は、顧客から依頼されたジョブを複数のテレワーカーで分担して実行し、顧客の満足度の高い成果物を納入することが可能となるように運用するシステムである。ここで顧客から依頼されるジョブは様々な形の業務の総称であり、例えば文字原稿の翻訳、講演や会議などの音声データの文字起こし、特定のシステムへのデータ入力、プログラミング、画像や動画編集などを伴うマーケッティング、ビッグデータ解析などを伴うコンサルティングなど、オンラインで可能な業務全般である。
【0021】
こうしたジョブを実行するには、単純なデータ入力作業などは別として、専門知識や技術あるいはそのジョブの経験値を要する場合が多い。そこで複数のテレワーカーを取りまとめる形で使用される業務処理運用サーバ10は、複数のテレワーカーの得意とする業務分野や資格、業務経験などのデータをテレワーカーごとにデータベースに保管し、ジョブを依頼する際に参照する。
【0022】
また、顧客から依頼されるジョブは案件ごとに特定のテレワーカーに纏めて作業委託すると、その納期や品質が作業委託したテレワーカーによってほぼ決まってしまう上に、ひとまとまりのジョブの情報が特定のテレワーカーにすべて引き渡されるので、秘匿性が求められるジョブの場合は情報漏洩のリスクがある。このため業務処理運用サーバ10は、依頼されたジョブを顧客のニーズを参照して複数の実行ジョブに分解し、それぞれの実行ジョブに対応可能なテレワーカー候補を抽出して実行ジョブを提示し、テレワーカーの応答などに基づき決定したテレワーカーに実行ジョブを分配する。
【0023】
さらに、業務処理運用サーバ10は、分配した実行ジョブの進捗を管理し、進捗状況に応じ、納期や品質に問題が生ずるおそれがある場合はアラームを出力するとともに、問題のある実行ジョブについては、より能力のある上位のテレワーカーに実行ジョブを再配分して納期や品質確保を図るため、最終的に成果物は顧客の満足度の高いものになる。
このように本発明の実施形態による業務処理運用システム1は、顧客から依頼されたジョブの分割、分配により、複数のテレワーカーの能力を有効に活用してジョブを効率的に実行し、進捗管理、成果物の集約、出力までを総合的に行う業務処理運用システムである。
【0024】
業務処理運用サーバ10は上記のような機能を実行するため、図1に示すように、入出力部12、記憶部13、表示部14、テレワーカー登録・管理部15、ジョブパケタイザー16、ジョブレポジトリ17、ジョブルーター18、ジョブ管理部19、及びこれらの構成要素を制御する制御部11を備える。
【0025】
テレワーカー登録・管理部15は、業務処理運用システム1に参加するテレワーカーの登録申込を受け付けてテレワーカーに関する情報を保存して管理する。テレワーカー登録・管理部15は、業務処理運用サーバ10が提供するWebサイトにテレワーカー登録のためのWebページを提供し、登録の際に必要な項目及びその入力欄を提示し、参加を希望するテレワーカーが必要な項目の入力欄に入力して登録を申し込むと、その申し込みを受け付ける。
【0026】
登録の際に必要な項目としては、テレワーカーの氏名、住所、電話番号、メールアドレス等の連絡に必要な項目の他、実行ジョブを分配する際に参照するためのテレワーカーの得意分野、資格、業務経験値、さらに成果に対する報酬を受領するための口座番号などである。この他、テレワーカーが希望するジョブの内容(翻訳、文字起こし、データ入力など)を受け付けるようにしてもよい。また、業務処理運用システム1に参加するテレワーカーは同一国内、同一言語のテレワーカーに限られないので、登録の際に必要な項目にテレワーカーが使用する言語をさらに含めてもよい。
一実施形態ではテレワーカー登録・管理部15は、テレワーカーが希望するジョブの内容を受け付け、その内容に応じて簡単なテストを行い、当該テレワーカーの基礎データを収集する。例えばジョブの内容がデータ入力であれば、入力のためのテスト用データシートと入力データリストをテレワーカーのワーク端末20に提供し、テレワーカーの入力スピード(字/分)や正確さなどのデータを収集する。またジョブの内容が文字起こしであれば、テスト用音声データを提供し、文字起こしのスピード(字/分)や正確さなどのデータを収集する。
【0027】
テレワーカー登録・管理部15は、テレワーカーの登録申込を受け付けると、そのテレワーカー固有の登録番号を発行してワーク端末20に送信するとともにテレワーカーから登録番号に対するパスワードを受信し、受付の際に受信したテレワーカーに関する情報と関連付けしてデータベースであるジョブレポジトリ17に保存して管理する。テレワーカー登録・管理部15は、テレワーカーごとに当該テレワーカーに関する情報をマイページとして提供し、テレワーカーは自身に発行された登録番号とパスワードを入力し、認証が得られるとマイページを閲覧でき、また必要に応じ登録内容を変更できるようになる。
【0028】
テレワーカー登録・管理部15は、テレワーカーからの登録内容の修正依頼を受けると、ジョブレポジトリ17に保存したテレワーカーの情報を更新する。この他テレワーカーに関する情報にはテレワーカー自身が登録した情報以外に、テレワーカーの評価結果であるランクなど業務処理運用システム1又は業務処理運用システム1の運営企業により付加される情報も含まれる。このためテレワーカー登録・管理部15は、テレワーカーのジョブ実行の品質や件数などが向上し、テレワーカーの評価ランク等が変化する場合などもジョブレポジトリ17に保存したテレワーカーの情報を更新し、ジョブレポジトリ17の情報が常に最新の情報となるように管理する。
【0029】
更に、テレワーカー登録・管理部15は、あるテレワーカーが、実行ジョブの経験値や処理能力、品質など所定のレベルを満足するか、業務処理運用システム1の運営企業により上位の仕事を処理できるテレワーカーと認められる場合などに、当該テレワーカーを、初心者を含む一般のテレワーカーである1次テレワーカーに対し上位テレワーカーである2次テレワーカーに位置付け、2次テレワーカーを1次テレワーカーのリカバリーが可能なリカバリーリストに登録して管理する。
【0030】
ジョブパケタイザー16は、顧客から依頼されたジョブを、複数のテレワーカーのワーク端末20に分配するための複数の実行ジョブに分解する。顧客から依頼されたジョブは前述のように様々な業務内容であり得るが、その仕上がりに対する要望事項も顧客の事情により様々である。例えばとりわけ納期が急がれるもの、納期は急がないが品質が特に重要なもの、内容の秘匿性が高く機密漏洩防止が最優先課題であるもの、費用をあまりかけられないコスト重視のものなどである。
【0031】
そこでジョブパケタイザー16は、顧客から依頼され業務処理運用サーバ10に入力されたジョブを、依頼されたジョブの分野、規模、要求納期を参照し、ジョブの内容及び顧客が重視する納期、コスト、品質等を含む主たる要望事項に基づいて、最大でも当該分野のテレワーカーが要求納期内の所定の期限内に実行可能なサイズの実行ジョブに分解する。このときジョブパケタイザー16は、分解した実行ジョブには実行案件番号を割り振る。実行案件番号は例えば顧客から依頼されたジョブに付与された案件番号に連番などの枝番を付けることで関連性がわかるようにして各実行ジョブの実行案件番号とする。
【0032】
一実施形態では、ジョブパケタイザー16は、所定の期限内に実行可能なサイズを、当該分野のテレワーカーの時間当たりの平均的な処理能力の実績値に基づき算出する。時間当たりの平均的な処理能力は、例えば前述のテレワーカーの登録時に行う簡単なテストの結果を、該当する分野のテレワーカーについて平均し、時間当たりの平均的な処理能力を求める。
他の実施形態では各テレワーカーが現時点までに担当した当該実行ジョブのそれぞれの分量と完成実績などから、累積又は最新の特定期間の平均の処理能力を算出し、これを当該分野のテレワーカーで平均して時間当たりの平均的な処理能力を求める。
ジョブパケタイザー16は、この平均的な処理能力から所定の期限内に実行可能なサイズを求め、最大でもこれを超えないようにジョブを分割していく。
【0033】
分割された実行ジョブは、それぞれ担当するテレワーカーが実行して成果ジョブとして出力するが、顧客に成果物を納入する前に、これらの成果ジョブを集約したり、品質確認をしたりして、納入物として完成するための期間が必要である。そこでジョブパケタイザー16は、顧客の要求納期から納入物として完成するための期間を差し引いた時期を所定の期限とし、この期限までに終了可能なサイズを最大として、ジョブを分割する。
【0034】
ジョブパケタイザー16による要望事項に基づくジョブの分解の事例は、図2~4を参照して後述するが、例えば品質重視の場合は集約・品質確認を2段階に行うなど納入物として完成するための期間を長めに取り、その分実行ジョブのサイズを小さくし、テレワーカーの数を増やすように分割を行う。また、秘匿性が求められるジョブの場合は、通常の分割サイズよりも細かく分割し、細かく分割した実行ジョブをランダムに組合せて一人分のテレワーカーの作業量となるように構成することで、テレワーカーにはジョブの全容がわからないような形に分割する。
【0035】
ジョブレポジトリ17は、前述のようにテレワーカーに関する情報を保管するデータベースであり、テレワーカー登録・管理部15の管理下で、テレワーカーの資格や分野などのスキル情報、テレワーカーの評価結果を表すランク、ジョブに対応したテレワーカーの経験値情報などの他、テレワーカーの稼働可能なスケジュール情報などを保存する。ジョブレポジトリ17は、業務処理運用サーバ10の記憶部13の中に設けられてもよいし、個人情報を扱うので、いつでも切り離しが可能なように業務処理運用サーバ10の外部記憶装置に設けられてもよい。
【0036】
ジョブレポジトリ17の中では、テレワーカーに関する情報は、基本的にはテレワーカーの登録番号をキーに、登録されている各テレワーカーのランク、品質の評価レベル、分野、資格等のデータが、テレワーカー情報テーブルとしてテーブルの形で収納される。前述のようにテレワーカーは、初心者を含む一般のテレワーカーである1次テレワーカーと、1次テレワーカーのリカバリーができる上位のテレワーカーである2次テレワーカーの少なくとも2水準のテレワーカーを含み、リカバリーが必要な場合は2次テレワーカーにジョブを再配分するため、一実施形態では、ジョブレポジトリ17は、2次テレワーカーのみを集約したリカバリーリストをテレワーカー情報テーブルと別に保存する。また、他の実施形態では、ジョブレポジトリ17は、テレワーカー情報テーブルに1次テレワーカーか2次テレワーカーを識別する情報を含み、必要に応じ2次テレワーカーを簡単に抽出できるように保存する。
【0037】
ジョブルーター18は、ジョブパケタイザー16によって分解された複数の実行ジョブを、ジョブレポジトリ17の保存するテレワーカー情報テーブルを参照し実行ジョブを実施可能なテレワーカーのワーク端末20に分配する。
ジョブルーター18は、テレワーカーに実行ジョブを分配するにあたり、実行ジョブの実行案件番号、翻訳や文字起こし等の実行ジョブの内容、納期などを記載したデータシートを作成する。管理テーブルでもあるデータシートはクラウド上で公開できるように、例えばGoogle社のGoogleスプレッドシートなどで形成し、必要により実行ジョブデータのダウンロードが可能なように実行ジョブデータファイルの格納場所のURLを表示する欄を設けてもよい。
【0038】
次いでジョブルーター18は、ジョブレポジトリ17にあるテレワーカー情報テーブルからテレワーカーのスキル情報、ランク、経験値情報、及び稼働可能なスケジュール情報等を参照して、実行ジョブの内容、顧客の要望項目を考慮して当該実行ジョブを実行可能なテレワーカーを抽出し、抽出したテレワーカーに対して実行ジョブのデータシートを公開する。データシートの公開は抽出したテレワーカーにのみデータシートへのリンク情報を送信するようにしてもよいし、閲覧に必要なパスワードを送信するようにしてもよい。
テレワーカー情報テーブルに登録されるテレワーカーは必ずしも同じ言語の使用者とは限らない。そこでジョブルーター18は実行ジョブに関する情報を記載したデータシートを複数の言語で作成し、抽出したテレワーカーに公開する。これにより海外のテレワーカーや国内に在住する外国人のテレワーカーも活用することが可能となる。一実施形態ではジョブルーター18は抽出したテレワーカーの使用する言語をテレワーカー情報テーブルに登録されるテレワーカーの使用する言語を参照して、抽出したテレワーカーの使用する言語に応じたデータシートを作成して提供する。このため一実施形態では業務処理運用サーバ10は言語翻訳手段を備える。
【0039】
データシートを公開されたテレワーカーの中で、いずれかの実行ジョブを引き受けることを希望するテレワーカーは、引き受けを希望する実行ジョブを選択し、引き受けを希望する応答を業務処理運用サーバ10に送信する。テレワーカーは実行案件番号だけでは実行ジョブの難易度は把握できない。例えば実行ジョブの内容が文字起こしの場合、発言者のなまりが強い場合や音源が聞き取りにくい場合などは、聞き取りに難航し、一般的な音声データに比べて大幅に作業時間が増加するおそれがある。一方で分割した複数の実行ジョブが全て確認できる状態で公開すると、ジョブの全容が、実行ジョブに対応可能なテレワーカーすべてに知られ、情報が漏洩する可能性がある。そこで一実施形態では、ジョブルーター18は、データシートを公開する際、それぞれの実行ジョブの一部分のみを確認できるサンプルを閲覧できるように提供する。
【0040】
ジョブルーター18は、テレワーカーからの引き受けを希望する応答を受けると、そのテレワーカーを当該実行ジョブの実行者に決定する。実行者の決定は、当該実行ジョブの最初の応答により決定してもよいし、一定期間のデータシートの公開の間に応答を受け付けた当該ジョブの引き受けを希望するテレワーカーの中から選定して決定するようにしてもよい。ジョブパケタイザー16によって分解される実行ジョブのサイズは、必ずしもすべてが最大サイズとは限らない。そこで一実施形態では、ジョブルーター18は、例えば納期に対して余裕のあるサイズの小さい実行ジョブに関しては、新人など経験値の低いテレワーカーを引き当て、最大サイズなど納期に余裕がない実行ジョブについてはある程度経験値の高いテレワーカーを引き当てるように調整する。またジョブルーター18は、顧客の要望事項を考慮して、低コストが求められるジョブに対しては、引き受けを希望するテレワーカーの中から単価の低いテレワーカーを優先的に引き当てるように調整してもよい。
【0041】
またジョブパケタイザー16によって分解される実行ジョブのサイズにばらつきがあるような場合に、ジョブルーター18は、実行ジョブのサイズによってデータシートを分け、データシートを公開するテレワーカーをそれに応じて区分して抽出するようにしてもよい。即ち納期に対して余裕のある小さいサイズの実行ジョブをまとめたデータシートは、比較的経験値の浅いテレワーカーを中心に公開し、納期に余裕がない実行ジョブをまとめたデータシートは、ある程度経験値の高いテレワーカーのみに公開するようにしてもよい。このようにしてジョブルーター18は実行ジョブに対し適切なテレワーカーを引き当てることができる。
【0042】
それぞれの実行ジョブの実行者が決まると、ジョブルーター18はデータシートにそれぞれのテレワーカーの登録番号を入力し、テレワーカーの登録番号と実行ジョブの実行案件番号の関連付けを行う。また一実施形態では、実行ジョブの実行者には、それぞれの実行ジョブをダウンロードして実行するための個別のパスワードを公開するなどして実行者以外には実行ジョブの全体が見えないようにしてセキュリティを確保する。またジョブルーター18は、実行ジョブの実行者となるテレワーカーの使用する言語に合わせて実行ジョブの内容を翻訳して提供する。
【0043】
ジョブ管理部19は、各テレワーカーに分配した実行ジョブの進捗状況を管理し、それぞれのテレワーカーから成果ジョブを受信して集約する。また、ジョブ管理部19は、実行ジョブの進捗管理を行うと共に、完成した成果ジョブの品質チェックを行い、品質レベルが所望水準に達していない場合及び実行ジョブの進捗が遅延している場合は、実行ジョブ遂行時の納期に問題が生じないようにジョブレポジトリ17のリカバリーリストにより2次テレワーカーにジョブの再割り当てを行い、品質レベルの水準訂正、及び納期の確保を行い、各成果ジョブの最終結果を集約して顧客に提出する。
【0044】
ジョブ管理部19は、ジョブルーター18の作成したデータシートなどを参照して、進捗管理を行うための管理表を生成する。管理表はどこに保存してもよいが、進捗管理のしやすさからクラウド上に設けることが好ましい。管理表には各実行ジョブの実行案件番号、この実行ジョブを実行するテレワーカーの登録番号、進捗を入力する進捗欄などを含む。また成果ジョブに対する品質評価の欄、進捗や品質に問題があるときにそれを知らせるアラーム欄なども含む。進捗に関しては各テレワーカーが実行ジョブの進捗を作業日毎に管理表に書き込むようにし、所定の期限内で実行ジョブの全体量に対してどの程度進んでいるかで進捗を把握する。品質に関しては、一実施形態では、テレワーカーから成果ジョブを受信し、成果ジョブに対しAIを活用した言語解析手段により文法や専門用語のチェックなどを行い、指摘された項目の数などにより評価を行う。また他の実施形態では、ジョブ管理部19は、業務処理運用システム1の運営企業が指定する専門の評価者に成果ジョブを送信し、その評価結果を受信して管理表に記入する。
【0045】
実行ジョブのワークエリアをクラウド上に設けることで、中間時点での成果物もワークエリアを参照して確認することができるので、ジョブ管理部19は、最終段階に限らず、中間時点で品質チェックを行うようにしてもよい。
【0046】
ジョブ管理部19は、実行ジョブの進捗が捗らず、所定の期限内で終了が見込めない場合、管理表のアラーム欄に納期に問題があることを知らせるアラームを記入するとともに、当該実行ジョブのもととなる顧客から依頼されたジョブを管理する業務処理運用システム1の運営企業の担当者に通知を送信する。同様に実行ジョブの中間又は最終の成果ジョブにおける品質が所定レベル以下の評価で問題がある場合、管理表のアラーム欄に品質に問題があることを知らせるアラームを記入するとともに、担当者に通知を送信する。
また、ジョブ管理部19は、アラームを発生した実行ジョブに対し、ジョブレポジトリ17が保存するリカバリーリストを参照して、当該実行ジョブのリカバリーに対応可能な2次テレワーカーを抽出し、当該実行ジョブを再配分してリカバリーを依頼する。これにより遅延の挽回による納期確保や品質レベルの水準の向上を図ることができる。
【0047】
ジョブ管理部19は、顧客から依頼されたジョブの全ての実行ジョブが実行され、成果ジョブが完成すると、各テレワーカーから成果ジョブを受信し、ジョブパケタイザー16が顧客から依頼されたジョブを分解した情報又は各実行ジョブの実行案件番号の枝番などを参照して、元のジョブに対応する形で成果ジョブを集約する。このとき成果ジョブが顧客に納入する成果物と異なる言語で作成されたものである場合、ジョブ管理部19は、顧客に納入する成果物となる言語に合わせて成果ジョブを翻訳した上で集約する。
最終的に集約した成果ジョブの顧客への納入形態への調整やチェックが必要な場合は、ジョブ管理部19は、一度調整やチェックを行う担当者に集約した成果ジョブを送信し、担当者から調整又はチェックが完了した形の成果ジョブを受信してから顧客に提出するために送信するようにしてもよい。
【0048】
業務処理運用サーバ10の入出力部12は、ネットワーク5を介してテレワーカーのワーク端末20とのデータの入出力を行うための通信手段を含む。業務処理運用サーバ10に文字入力を行うキーボードなども入出力部12に含む。
記憶部13は、ジョブパケタイザー16や、ジョブルーター18などの内部処理のためのデータや、業務処理運用サーバ10が提供するWebページに掲載するための情報などを保存する。また、記憶部13は、ジョブレポジトリ17を含んでもよく、この場合受信したテレワーカーの名前、住所、メールアドレス等のテレワーカーの連絡先など情報の他、ランク、品質の評価レベル、分野、資格等のデータやスケジュールなどテレワーカーに関連する各種データを保存する。さらに、記憶部13には業務処理運用サーバ10自身を制御する制御プログラムなどのプログラムも保存する。記憶部13は、ハードディスクなどの記憶媒体により実現化され、記憶する情報が多い場合や機密性の高い情報を保管する場合は外付けのメモリ装置として構成してもよい。外付けのメモリ装置として構成する場合、ジョブレポジトリ17は、記憶部13とは独立したメモリ装置に含めるように形成してもよい。
【0049】
表示部14は、テレワーカーに関する情報やジョブ管理部19が管理する管理表等のデータを表示し、必要により業務処理運用サーバ10を制御する制御プログラムなどのプログラムを表示する。表示部14は、液晶表示装置などで実用化される。
制御部11は、記憶部13に保存された制御プログラムに従い、業務処理運用サーバ10の各構成要素が、上記で説明した機能を果たすように制御する。制御部11はマイクロコンピュータなどの半導体装置を含む制御回路により実現化される。
【0050】
テレワーカーのワーク端末20は、テレワーカーの登録やWebサイトの閲覧、実行ジョブの内容確認、実行ジョブの実行などを行うための端末である。それぞれのテレワーカーのワーク端末20-1、20-2、・・・は同じものである必要はないが、基本的にはパーソナルコンピューターであり、図1に示すように入出力部22、記憶部23、表示部24、及び制御部21を備える。
【0051】
入出力部22は、業務処理運用サーバ10に登録用の情報を送信したり、実行ジョブに関する情報を受信したりするための通信手段を備える。また実行ジョブを実行するための文字データなどを入力するキーボードやWebページ上で必要項目を選択したり、画像データを編集したりするためのマウスやタッチペンなどを含む。さらに文字起こしなどの際に音声データを再生するためのスピーカなどの音声出力手段を含む。
記憶部23は、ワーク端末20に入力される文字データなどの入力情報を一時的に保存したり、ワーク端末20自身の基本動作を制御するための制御プログラムなどのプログラムを保存したりする。記憶部23は、メモリ半導体や複数のメモリ半導体で構成されるメモリモジュールなどで実現化される。
【0052】
表示部24は、業務処理運用サーバ10が提供するWebページの表示や実行ジョブのデータなどの表示を行う。必要によりワーク端末20を制御する制御プログラムなどのプログラムを表示する。表示部24は、液晶表示装置などで実用化される。
制御部21は、記憶部23に保存された制御プログラムに従い、ワーク端末20の各構成要素が上記の機能を果たすように制御する。制御部21は、制御用マイクロコンピュータなどを含む各種電子部品を搭載した制御基板により実現される。
ネットワーク5は、インターネットで代表される広域のネットワークである。
【0053】
図2は、本発明の実施形態によるジョブパケタイザーによるジョブ分割方法の1例を示す図である。
図2を参照すると、顧客から依頼されるジョブの情報30及びそのジョブのデータファイル31と、それに基づきジョブパケタイザー16により複数の実行ジョブ34に分解する方法が示される。
【0054】
依頼されるジョブの情報30には、ジョブの内容が翻訳であり、納期は2022年3月20日であることが示され、要望事項として完成されるジョブの品質レベルは高レベルを示すAレベル、秘匿性についてはあまり秘匿性を要求しないCレベルであり、優先条件は品質であることが示されている。
【0055】
これを受けてジョブパケタイザー16は、品質重視であることから顧客に成果物を納入する前に集約・品質チェックを2重にし、ジョブ管理部19が集約・品質チェックした後に、担当者に送付して担当者で再度品質チェックを行うとか、担当者が品質チェックした後、上位の責任者が品質チェックするなどして品質の確保を行うことを前提として、集約・品質チェックを2重に行うのに必要な日程を納期から差し引いて期日を設定し、データファイル31をこの期日内で実行可能なサイズの実行ジョブに分割する。尚、前述のように中間段階で品質チェックを行う場合は、実行ジョブの実行と並行して行うことができるので、中間段階での品質チェックの有無で期日の設定は影響されない。
【0056】
期日内で実行可能な最大ジョブサイズは例えば、ジョブレポジトリ17が保存するテレワーカーの翻訳に関する基本データの平均値(ワード/時)と、ジョブを実行する開始日から期日までの実行可能期間(稼働時間)とから求めることができる。このとき図2には記載していないが、依頼されるジョブの分野に応じて、基本データの平均値を算出するテレワーカーの範囲をさらに限定してもよい。
【0057】
ジョブパケタイザー16は、求めた最大ジョブサイズを超えない範囲で、顧客から依頼されたジョブを複数の実行ジョブに分解する。図2の例では実行ジョブはa、b、cの3つに分解され、この内実行ジョブb、cは最大ジョブサイズよりも小さいサイズで分割している。
【0058】
一実施形態では、品質重視でも日程の余裕がなく、集約・品質チェックを2重に行う日程が確保できない場合は、ジョブパケタイザー16は、集約・品質チェックは2重にしないで期日を設定して、最大ジョブサイズを求め、これを超えないように実行ジョブに分割を行う。但し、この場合は個別の成果ジョブの品質が高いことが求められるため、ジョブパケタイザー16は、ジョブルーター18に対し、公開するテレワーカーの範囲を品質レベルが高いテレワーカーに限るように公開条件を設定して引き渡すようにする。
【0059】
図2は品質重視の場合のジョブパケタイザー16によるジョブの分割例であるが、品質に拘わらず、依頼されるジョブの規模が大きい場合にも例えば全体の成果ジョブを幾つかのブロックに分け、ブロックごとに一度集約・品質チェックを行ってから全体を集約して品質チェックを行うようにして、図2の分割方法と同様の分割方法とすることもできる。
【0060】
図3は、本発明の実施形態によるジョブパケタイザーによるジョブ分割方法の他の1例を示す図である。
図3を参照すると、依頼されるジョブの情報30には、ジョブの内容が文字起こしであり、納期は2022年3月20日であることが示され、要望事項として完成されるジョブの品質レベルは一般レベルを示すBレベル、秘匿性についてはあまり秘匿性を要求しないCレベルであり、優先条件は納期であることが示されている。
【0061】
納期重視の場合は、ジョブパケタイザー16は通常の集約・品質チェックの期間に基づき期日を設定して最大ジョブサイズを算出するが、最大ジョブサイズに近いサイズでジョブのデータファイル31を分割すると日程の余裕がなく、不測の事態により期日までに実行ジョブが終了しない可能性が高くなる。そこでジョブパケタイザー16は、最大ジョブサイズよりは小さいサイズの実行ジョブに分割し、テレワーカーの数を増やして期日に対する余裕が出るように分割を行う。
【0062】
図4は、本発明の実施形態によるジョブパケタイザーによるジョブ分割方法のその他の1例を示す図である。
図4を参照すると、依頼されるジョブの情報30には、ジョブの内容がデータ入力であり、納期は2022年3月20日であることが示され、要望事項として完成されるジョブの品質レベルは一般レベルを示すBレベル、秘匿性については高度な秘匿性を要求するAレベルであり、優先条件は秘匿性であることが示されている。
【0063】
秘匿性の高いデータに関しては、依頼されるジョブの全体が把握できにくいように分割することが重要となる。例えば、依頼されるジョブが、1つの入力データシートに10項目の入力項目があり、全体で5000件分の入力データシートの入力を行うような作業の場合、入力データシート単位で区切って1000件ずつ5つの実行ジョブに分解すると、これを実行するテレワーカーは入力データシートの内容を把握できてしまう。そこでこのような場合は入力項目ごとにテレワーカーを分けるように実行ジョブを分割する。これにより各テレワーカーは入力データシートの1項目しか見ることができないため、入力データシート全体の情報を把握することができない。さらに、1項目が個人情報にかかわる氏名や電話番号の場合などには、1項目の中でも分割して苗字のみや局番のみ等のように細かく分割するようにしてもよい。
【0064】
図4の例では、依頼されたジョブのデータファイル31は、全体の内容がわからないように実行ジョブa1、a2、・・・、b1、b2、・・・等の複数の細分された実行ジョブに分割し、細分された実行ジョブを組み合わせて各テレワーカーに公開する形の実行ジョブに構成している。
このように秘匿性が重視され依頼されたジョブのデータファイル31を細分して複雑に組み合わせるような場合、ジョブパケタイザー16は、データファイル31の細分、組み合わせの情報をジョブ管理部19に引き渡し、テレワーカーから成果ジョブを受信して集約する際、ジョブ管理部19がデータファイル31と対応する形で成果ジョブを集約できるようにする。
【0065】
以上図2~4を参照して、ジョブパケタイザー16のジョブ分割の代表的な例を説明したが、顧客から依頼されるジョブの形態は様々であり、それに応じて適切に実行ジョブに分割する必要がある。このためジョブパケタイザー16は、予め定められ、業務処理運用サーバ10の記憶部13に保存されたジョブの分割指針に基づきジョブの分割を行うように構成される。分割指針には、ジョブの内容と優先項目によりどのようにジョブを分割するかが示される。
【0066】
図5は、本発明の実施形態によるジョブレポジトリに保存される管理項目の1例を示す図である。
図5を参照すると、ジョブレポジトリ17に保存されるテレワーカー情報テーブル40には、テレワーカーの登録番号41、ランク42、テレワーカーの実行ジョブに関する納期や内容の評価レベルである品質43、テレワーカーの得意及び不得意の分野44、資格・経験45、文字起こしや翻訳など担当するジョブ内容の基本データ46、案件リストで示される経験値47などを含む。
【0067】
ランク42は、テレワーカーの品質や経験等に基づき決定されるテレワーカーの格付けであり、実行ジョブを委託した場合の成果ジョブの完成度に対する期待値の高さに通ずるものである。実施形態ではランク42はテレワーカーの実行ジョブ1時間当たりの単価と関連する。品質43は、テレワーカーの納期に対する確実性と、成果ジョブの完成度、正確性などの内容に関する評価データである。登録番号a270207のテレワーカーは成果ジョブについては一般的に受け入れられるbレベルであるが、納期に関しては遅延が発生するリスクがありcレベルである。このためランクはcレベルと低い。それに対しa60135のテレワーカーは、納期は厳守できるaレベルで、成果ジョブの品質も高くこれもaレベルである。これによりランクは上級のaレベルとなっている。
【0068】
分野44には得意分野と不得意分野がそれぞれ含まれる。図5の例では得意分野と不得意分野はそれぞれ2分野ずつ記載しているが、このように複数の分野が登録される場合もあるので、テレワーカー登録・管理部15は個別に分野を取り出し、個別の分野ごとにその分野を得意とするテレワーカー、不得意とするテレワーカーをリスト化する分野別リストを別にジョブレポジトリ17の中に設けてもよい。
資格・経験45はテレワーカーが登録時に登録した資格・経験の情報を反映する。また登録後に新たに資格を取ったり、業務処理運用システム1の外での関連業務の経験値が増えたりした場合は、テレワーカーからの登録内容修正依頼を受けて適宜修正される。
【0069】
基本データはテレワーカーが登録時に実施したテストの結果を反映したものである。例えば、登録番号a270207のテレワーカーは、文字起こし、翻訳、データ入力のジョブの担当を希望するものであり、テストの結果、文字起こしはn1字/分、翻訳はw1ワード/時、データ入力はm1字/分である。一実施形態では現時点までに担当した当該実行ジョブのそれぞれの分量と完成実績などから、累積又は最新の特定期間の平均の処理能力を算出し、基本データを随時更新するようにする。これにより経験値を積んで処理能力の向上したテレワーカーの最新情報を反映することが可能となる。
【0070】
経験値47はテレワーカーが業務処理運用システム1を通じて実施した実行ジョブに関する情報である。例えばテレワーカーが登録後担当してきた実行ジョブの実行案件番号及びそれに関する情報をリストに纏め、経験値47にはリストのリンク先を記載するようにしてもよい。
図5に示すテレワーカー情報テーブル40は一つの実施例であり、項目はこれに限ることなく、業務処理運用システム1を運営するのに必要な情報が含まれていれば項目数や内容は様々に変更可能である。
【0071】
図6は、本発明の実施形態によるジョブレポジトリに保存されるスケジュール情報の1例を示す図である。
図6を参照すると、稼働可能なスケジュール情報50は、テレワーカーの登録番号と、各テレワーカーのスケジュールを含む。図6の例では3月1日から3月20までの日付に対し、各テレワーカーの予定が詰まっている等の新たな予定を入れられない日を「×」で示す。各テレワーカーのスケジュールは、テレワーカー情報テーブル40の一部としてもよいし、他の実施形態では、テレワーカー情報テーブル40とは別にスケジュール情報50を保存してもよい。ジョブルーター18は実行ジョブを公開する際、又は分配する際に、ランク42や品質43以外に、テレワーカーのスケジュール情報50を参照して、所定の期日までに実行ジョブの実行に必要な日数分の予定が確保できるテレワーカーに実行ジョブを公開する、又は分配する。
【0072】
スケジュール情報50は、各テレワーカーが自身に関するスケジュールを管理するように運用されるが、ジョブルーター18が、実行ジョブの引き受けが決定したテレワーカーのスケジュール情報50に、当該実行ジョブの実行に必要な日数分だけ仮の「×」を設定し、テレワーカーのスケジュール情報50の更新忘れがあっても、誤って新たなスケジュールが重複して設定されないようにしてもよい。
図6では、スケジュール情報50は1日単位で予定を入れるものとして示したが、更に入力単位を細かくし、半日単位や時間単位で入力するようにしてもよい。
【0073】
図7は、本発明の実施形態によるジョブルーターが管理する管理テーブルの1例を示す図である。
図7を参照すると、管理テーブルとしてのデータシート60が記載され、データシート60の上部段には顧客から依頼されたジョブの案件番号61、顧客の要求する顧客納期62、依頼されたジョブのデータファイルのファイル名63、ジョブの内容を示す共通仕様64が示される。一方データシート60の下部段には、分割された実行ジョブに関するデータが1行ずつ示され、それぞれ枝番65、実行案件番号66、前述の所定の期限にあたる納期67、実行ジョブのファイル名である個別データ70、個別データ70の格納場所である格納URL71が提示され、その他、欄として当該実行ジョブを実行するテレワーカーが確定した時に記入する登録番号68、テレワーカーが個別データを受領したか否かを示すデータ受領69が備えられる。この他実行案件番号66毎にクリックするとその実行ジョブの一部を開示するサンプルデータを閲覧できるようにサンプル欄を更に設けてもよい。
【0074】
ジョブルーター18は、ジョブパケタイザー16から分割ジョブ及びその関連情報を受領すると、図7のようにデータシート60を作成し、依頼されたジョブの分野や納期などを参照し、この実行ジョブを実行できそうなテレワーカーを抽出して、抽出したテレワーカーにデータシート60を公開する。テレワーカーからの実行ジョブの引き受けを希望する応答を受け、当該実行ジョブの実行者が決定すると、ジョブルーター18は、決定したテレワーカーの登録番号68を対応する欄に記入し、実行案件番号と実行するテレワーカーをデータシート上で対応付ける。更にテレワーカーが実行する個別データを受領したかどうかを監視し、データ受領が確認されるとデータ受領欄にデータ受領の日時を記入してデータシートを完成させる。
各実行ジョブに対してこれを実行するテレワーカーが対応付けられることにより、各テレワーカーの単価を参照して、顧客から依頼されたジョブを実行する上でのコストを算出できるようになるので、ジョブルーター18は、この時点で見積書を作成するようにしてもよい。
【0075】
図8は、本発明の実施形態によるジョブ管理部が管理するジョブの進捗管理を行うための管理表の1例を示す図である。
図8を参照すると、進捗管理を行うための管理表80は、実行ジョブの実行案件番号81、実行ジョブを実行するテレワーカーの登録番号82、実行ジョブのデータ量である全データ83、進捗84、品質85、及びアラーム86などの各欄を備える。
【0076】
進捗84は実行ジョブの開始時点から実行ジョブの所定の期限である納期に至るまでの日程を横方向に並べてテレワーカーが日毎の進捗を記入するように欄を設ける。開始から期限までが長い場合は、進捗欄は毎日ではなく途中のチェックポイントとなる日を設定し、その時点での進捗を入力するようにしてもよい。
【0077】
図8の例では、実行案件番号がK177162-1~3の3つ実行ジョブが記載され、K177162-1は全体が20ページ分のデータであり、進捗84欄には3月11日から土曜日、日曜日を除く実稼働日が記載され、3月12日までに20ページ分のデータの内、10ページまでが終了し、順調に進捗していることを示す。それに対しK177162-3の実行ジョブは、全12ページの内、まだ4ページまでしか終了しておらず、3月16日までには終了しない可能性が高い。そこでジョブ管理部19は、アラーム86欄に納期に問題があるとするアラームを表示し、ジョブの取りまとめ者にアラーム情報を通知する。このような場合、ジョブ管理部19は、2次テレワーカーを選出してK177162-3の実行ジョブを選出した2次ワーカーに再配分し、日程挽回を計る。
【0078】
ジョブ管理部19は、最終的に成果ジョブを集約して顧客に納入する形にまとめるが、集約に当たり、完成した成果ジョブの品質チェックを行う。品質チェックは中間時点でも行ってもよく、図8の例では中間時点で品質チェックを行っており、その結果、K177162-1、2に関しては、品質は良好であるが、K177162-3ではやや完成部分のレベルが低いとして「△」が記載されている。ただアラームを出力してリカバリーが必要な程の問題ではないので、アラーム情報は特には出力しない。
図8は、進捗管理を行うための管理表の1例であって、進捗が順調に進行しているか、品質に問題が無いかが適切にフォローができれば、図8の様な管理テーブルには限らない。
【0079】
図9は、本発明の実施形態によるジョブの分解・分配の方法を説明するためのフローチャートである。
図9を参照すると、段階S900で顧客から依頼されたジョブを業務処理運用サーバ10に入力する。顧客から依頼されたジョブの入力は、業務処理運用サーバ10とネットワーク5を介して接続される顧客の処理端末から直接受信する形でもよく、また顧客から依頼されたジョブを、ジョブパケタイザー16が処理可能なフォーマットとして業務処理運用サーバ10の担当者が入力するようにしてもよい。
【0080】
次いで段階S910で、ジョブパケタイザー16が、顧客から依頼されたジョブを、複数の実行ジョブに分解する。このときジョブパケタイザー16は、顧客から依頼されたジョブについて、分野、規模、要求納期などのジョブに関する情報を参照し、ジョブの内容及び顧客が重視する納期、コスト、品質、秘匿性などの要望事項に基づいて、最大でも当該分野のテレワーカーが要求納期内の所定の期限内に実行可能なサイズの実行ジョブに分解する。ジョブパケタイザー16のジョブの分割は、予め定められたジョブの分割指針により行うようにすることで、様々な形態のジョブに対応が可能となる。
【0081】
ジョブパケタイザー16により分割された実行ジョブに関する情報は、ジョブルーター18に引き渡され、ジョブルーター18は段階S920にて、実行ジョブの分野、内容やテレワーカーのスケジュールなどを参照して、この実行ジョブの実行が可能と思われる実行対象のテレワーカーを、ジョブレポジトリ17にあるテレワーカー情報テーブルから抽出する。
更にジョブルーター18は、抽出した実行対象のテレワーカーに実行ジョブの情報を公開する(段階S930)。このように予め実行可能なテレワーカーに絞って実行ジョブを公開することで、適切でないテレワーカーに実行ジョブを分配するのを防止するとともに、必要以上に情報が拡散するのを防ぐことができる。
【0082】
次いでジョブルーター18は、公開した実行ジョブに対して、実行ジョブを引き受けることを希望するテレワーカーから、引き受けを希望する応答を受信し(段階S940)、それによって実行ジョブを実行するテレワーカーを決定する(段階S950)。テレワーカーの決定は、一番初めにその実行ジョブに応答したテレワーカーとしてもよいが、実施形態では、所定の公開期間の間に応答があったテレワーカーの中から、顧客の要望事項等に、より適合するテレワーカーを選定して決定する。例えばコスト重視で依頼されたジョブに対しては単価の低いテレワーカーを優先して選択する。また品質重視で依頼されたジョブに対しては品質ランクの高いテレワーカーを優先して選択する。
【0083】
最後に段階S960にてジョブルーター18は、決定したテレワーカーに実行ジョブを分配する。分配はテレワーカーのワーク端末20に実行ジョブを送信してもよいし、実行ジョブの収納場所をテレワーカーのワーク端末20に送信して、テレワーカーに実行ジョブの収納場所からダウンロードするなどして受領してもらう形で分配してもよい。
【0084】
図10は、本発明の実施形態によるジョブ管理の方法を説明するためのフローチャートである。
図10を参照すると、ジョブ管理部19は、段階S1000にて、ジョブルーター18の作成したデータシートなどを参照して、各テレワーカーに分配した実行ジョブの進捗管理を行うための管理表を生成する。管理表はクラウド上に生成して各テレワーカーは自身の実行ジョブの進捗状況を書き込めるように提供される。
【0085】
ジョブ管理部19は、段階S1010で各実行ジョブの進捗データを取得する。進捗データは、例えば各実行ジョブの全容量に対して当該作業日までの実行が終了した分の累積の容量で表現して入力されるので、ジョブ管理部19は、所定の期限までに実行ジョブの全容量に至る処理が終了できそうか否かを把握することができる。
そこでジョブ管理部19は、取得した進捗データにより、実行ジョブの進捗に遅れがあるか否かを判断する(段階S1020)。
【0086】
段階S1020で実行ジョブの進捗に遅れがない場合は、ジョブ管理部19は、そのまま最後まで実行ジョブの実行が終了するのを待って、各テレワーカーから成果ジョブを受信する(段階S1030)。
ジョブ管理部19は、受信した成果ジョブに対し段階S1040にて、成果ジョブに品質に問題があるか否かを判断し、問題が無ければ段階S1050にて、成果ジョブを集約して顧客に納入する形態に構成する。最後に段階S1060にて顧客に提出する。
【0087】
段階S1020に戻って実行ジョブの進捗に遅れがある場合は、段階S1070にてジョブ管理部19は、リカバリーとしてジョブレポジトリ17のリカバリーリストから、この実行ジョブの実行のリカバリーに適切な2次テレワーカーを選出し、選出した2次ワーカーに当該実行ジョブを再配分して遅れの挽回を計り、以降はフローチャートのA地点に戻り2次テレワーカーによる実行ジョブの実行の進捗を監視する。
【0088】
また段階S1040にて品質に問題がある場合は、ジョブ管理部19は、段階S1080にてリカバリーとしてジョブレポジトリ17のリカバリーリストから、この成果ジョブの品質改善に適切な2次テレワーカーを選出し、選出した2次ワーカーに当該成果ジョブを再配分して品質の改善を計り、以降はA地点に戻り2次テレワーカーによる品質改善の進捗を監視する。
【0089】
図10は、中間時点での品質チェックは行わず、完成した成果ジョブについてのみ品質チェックを行う事例についてのフローチャートであるが、中間時点で品質チェックを行う場合は、例えば図10の段階S1020で進捗の遅れをチェックした後、品質の中間チェックを行い、品質に問題があれば2次テレワーカーによるリカバリーを行うようにする。
【0090】
図9、10は業務処理運用システム1による処理の流れの1例を示すものであり、顧客から依頼されたジョブを複数の実行ジョブに分解し、適切なテレワーカーに分解し、完成した成果ジョブを集約して品質の良い成果物として提出する一連の業務が実現できれば、図9、10に示すフローチャートは処理内容や処理手順に変化を加えても構わない。
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 業務処理運用システム
5 ネットワーク
10 業務処理運用サーバ
11、21 制御部
12、22 入出力部
13、23 記憶部
14、24 表示部
15 テレワーカー登録・管理部
16 ジョブパケタイザー
17 ジョブレポジトリ
18 ジョブルーター
19 ジョブ管理部
20(20-1、20-2) ワーク端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10