(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122412
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/155 20200101AFI20230825BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20230825BHJP
H05B 45/38 20200101ALI20230825BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20230825BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20230825BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20230825BHJP
H05B 45/325 20200101ALI20230825BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B45/20
H05B45/38
H05B45/375
H05B45/345
H05B47/18
H05B45/325
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026094
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松林 容子
(72)【発明者】
【氏名】竹本 笑
(72)【発明者】
【氏名】岡本 諒
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA04
3K273PA07
3K273PA09
3K273QA07
3K273RA04
3K273RA05
3K273RA08
3K273SA09
3K273SA35
3K273SA45
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA32
3K273TA37
3K273TA52
3K273TA62
3K273TA66
3K273UA06
3K273UA17
3K273UA18
3K273UA22
3K273UA27
3K273UA28
(57)【要約】
【課題】より鮮やかな色彩のグラデーション演出照明を実現する。
【解決手段】照明システムは、第1光源ユニットと、第2光源ユニットと、第1駆動部と、第2駆動部と、制御部と、を備える。第1光源ユニットは、有彩色の第1照明光を照射面に照射し、かつ、第1照明光の光量及び光色が可変である。第2光源ユニットは、第1照明光と異なる第2照明光を照射面に照射し、かつ、第2照明光の光量及び光色が可変である。第1光源ユニットと第2光源ユニットは、照射面において第1照明光の照射範囲の少なくとも一部が第2照明光の照射範囲と重なるように構成される。第1照明光の色度(色度点C1)は、等エネルギー白色点の色度に対して、マクアダム楕円において50ステップ(50ステップ楕円D1)以上離れている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有彩色の第1照明光を照射面に照射し、かつ、前記第1照明光の光量及び光色が可変である第1光源と、
前記第1照明光と異なる第2照明光を前記照射面に照射し、かつ、前記第2照明光の光量及び光色が可変である第2光源と、
前記第1照明光の光量及び光色を第1光量目標値及び第1光色目標値に一致させるように前記第1光源を駆動する第1駆動部と、
前記第2照明光の光量及び光色を第2光量目標値及び第2光色目標値に一致させるように前記第2光源を駆動する第2駆動部と、
前記第1駆動部に対して前記第1光量目標値及び前記第1光色目標値を与えるとともに、前記第2駆動部に対して前記第2光量目標値及び前記第2光色目標値を与える制御部と、
を備え、
前記第1光源と前記第2光源は、前記照射面において前記第1照明光の照射範囲の少なくとも一部が前記第2照明光の照射範囲と重なるように構成され、
前記第1照明光の色度は、等エネルギー白色点の色度に対して、マクアダム楕円において50ステップ以上離れている、
照明システム。
【請求項2】
前記第1光源の配光特性は、前記第2光源の配光特性に対して挟角であり、
前記照射面において、前記第2照明光の照射範囲の一部は、前記第1照明光の照射範囲と比べて前記第1光源及び前記第2光源に近い、
請求項1記載の照明システム。
【請求項3】
前記第1照明光の照射範囲において最大照度を100%としたときに照度が30%以上となる第1の主要照射範囲は、前記第2照明光の照射範囲において最大照度を100%としたときに照度が30%以上となる第2の主要照射範囲の少なくとも一部と重なる、
請求項2記載の照明システム。
【請求項4】
前記第2照明光の色度は、色度図における仮想の線分上の色度と一致し、
前記仮想の線分は、前記第1照明光の色度と前記第2照明光の任意の色度を結ぶ線分であり、かつ、等エネルギー白色点の色度に対してマクアダム楕円において25ステップ以上離れている、
請求項2又は3記載の照明システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2駆動部に与える前記第2光量目標値と前記第2光色目標値を連動させる、
請求項2-4のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2駆動部に与える前記第2光色目標値と前記第1光色目標値の色差に応じて前記第2駆動部に与える前記第2光量目標値を決定する、
請求項2-5のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記色差が増加するにつれて前記第2光量目標値を増加させる、
請求項6記載の照明システム。
【請求項8】
前記第1光量目標値と前記第1光色目標値を指定する入力を受け付ける入力受付部を更に備え、
前記制御部は、前記入力受付部が受け付ける前記入力で指定された前記第1光量目標値と前記第1光色目標値を前記第1駆動部に与えるとともに、前記第1駆動部に与える前記第1光量目標値と前記第1光色目標値に対応した前記第2光量目標値と前記第2光色目標値を前記第2駆動部に与える、
請求項2-7のいずれか1項に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明システムに関し、より詳細には、演出用の照明を行うための照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の照明装置を例示する。特許文献1記載の照明装置は、第1光源部と第2光源部を有する灯具と、第1光源部及び第2光源部を各別に点灯させる電源装置と、を備えている。第1光源部は、円形状の発光部分から電球色の光を発するように構成される。第2光源部は、第1光源部の外周にリング状に配置されて電球色と異なる光色(昼光色又は昼白色)の光を発するように構成される。電源装置は、第1光源部と第2光源部にそれぞれ各別に電力を供給する電源部と、電源部から各光源部に供給する電力を調整する制御部と、を備える。
【0003】
しかして、従来例の照明装置は、第1光源部の第1の照射エリアから、第1の照射エリアの周囲である、第2光源部の第2の照射エリアに行くにしたがって、徐々に暗くなるようなグラデーションがかかった演出をすることができる。ただし、従来例の照明装置における第1光源部及び第2光源部の光色は、いずれも白色系の光色(昼白色、昼光色、白色、温白色、電球色)であり、無彩色又は彩度の低い色である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、有彩色又は彩度の高い光色の光を使用したグラデーション照明による演出照明が望まれている。
【0006】
本開示の目的は、より鮮やかな色彩のグラデーション演出照明を実現できる照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る照明システムは、第1光源と、第2光源と、第1駆動部と、第2駆動部と、制御部と、を備える。前記第1光源は、有彩色の第1照明光を照射面に照射し、かつ、前記第1照明光の光量及び光色が可変である。第2光源は、前記第1照明光と異なる第2照明光を前記照射面に照射し、かつ、前記第2照明光の光量及び光色が可変である。第1駆動部は、前記第1照明光の光量及び光色を第1光量目標値及び第1光色目標値に一致させるように前記第1光源を駆動する。第2駆動部は、前記第2照明光の光量及び光色を第2光量目標値及び第2光色目標値に一致させるように前記第2光源を駆動する。前記制御部は、前記第1駆動部に対して前記第1光量目標値及び前記第1光色目標値を与えるとともに、前記第2駆動部に対して前記第2光量目標値及び前記第2光色目標値を与える。前記第1光源と前記第2光源は、前記照射面において前記第1照明光の照射範囲の少なくとも一部が前記第2照明光の照射範囲と重なるように構成される。前記第1照明光の色度は、等エネルギー白色点の色度に対して、マクアダム楕円において50ステップ以上離れている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の照明システムは、より鮮やかな色彩のグラデーション演出照明を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る照明システムのシステム構成図である。
【
図2】
図2Aは、同上の照明システムにおける第1光源ユニットの配光特性を示す配光曲線である。
図2Bは、同上の照明システムにおける第2光源ユニットの配光特性を示す配光曲線である。
【
図3】
図3は、同上の照明システムにおける設置状況の説明図である。
【
図4】
図4は、同上の照明システムの動作を説明するための色度図である。
【
図5】
図5は、同上の照明システムの動作を説明するための色度図である。
【
図6】
図6は、同上の照明システムの動作を説明するための色相環を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る照明システムについて、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(1)概要
実施形態に係る照明システムA1は、第1光源(第1光源ユニット1)と、第2光源(第2光源ユニット2)と、第1駆動部3Aと、第2駆動部3Bと、制御部4と、を備える(
図1参照)。
【0012】
第1光源ユニット1は、有彩色の第1照明光L1を照射面S1に照射し、かつ、第1照明光L1の光量及び光色が可変である。第2光源ユニット2は、第1照明光L1と異なる第2照明光L2を照射面S1に照射し、かつ、第2照明光L2の光量及び光色が可変である(
図3参照)。
【0013】
第1駆動部3Aは、第1照明光L1の光量及び光色を第1光量目標値及び第1光色目標値に一致させるように第1光源ユニット1を駆動する。第2駆動部3Bは、第2照明光L2の光量及び光色を第2光量目標値及び第2光色目標値に一致させるように第2光源ユニット2を駆動する。
【0014】
制御部4は、第1駆動部3Aに対して第1光量目標値及び第1光色目標値を与えるとともに、第2駆動部3Bに対して第2光量目標値及び第2光色目標値を与える。
【0015】
第1照明光L1の色度は、等エネルギー白色点の色度に対して、マクアダム楕円において50ステップ以上離れている(
図4参照)。
【0016】
実施形態に係る照明システムA1は、例えば、鉄道車両の客車の内壁面、宿泊施設の客室の壁面、商業施設の通路の壁面、その他の人の目に触れる機会が多い場所の壁面、あるいはそれらの天井面などの照射面S1に対して演出照明(グラデーション照明)を行う用途に用いられる。実施形態に係る照明システムA1が行う演出照明は、単なる間接照明ではなく、照射面S1において第1照明光L1と第2照明光L2によるグラデーション照明を行うことによって、照射面S1を含む空間を快適な空間に演出するための照明である。
【0017】
しかして、実施形態に係る照明システムA1は、従来例のように無彩色又は彩度の低い色(光色)の照明光を用いる場合に比べて、より鮮やかな色彩のグラデーション演出照明を実現できる。なお、従来例で使用されている白色系の光色(昼白色、昼光色、白色、温白色、電球色)のうちで昼白色、昼光色、白色、及び温白色の一部の色度範囲は、おおむね等エネルギー白色点の色度に対してマクアダム楕円において50ステップ未満の範囲に含まれている。
【0018】
(2)詳細
実施形態に係る照明システムA1(以下、照明システムA1と略す。)は、
図1に示すように、第1光源ユニット1と、第2光源ユニット2と、第1駆動部3Aと、第2駆動部3Bと、制御部4と、入力受付部5と、を備えている。
【0019】
(2-1)第1光源ユニット
第1光源ユニット1は、光色の異なる4種類の発光ダイオード(LED)、例えば、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)、W(白色)の4色のLEDをそれぞれ複数個ずつ有している。ただし、第1光源ユニット1が有するLEDは、R、G、B、Wの4色のLEDに限定されず、R、G、Bの3色又はW以外の色(例えば、彩度の高い青色)の1種類以上のLEDを有しても構わない。各色の複数個のLEDは、色ごとに電気的に直列接続されて基板に実装されることが好ましい。なお、以下の説明では、基板に実装された同色の複数個のLEDを総称して、○色(赤色、緑色、青色、白色)のLEDモジュールと呼ぶ場合がある。
【0020】
また、第1光源ユニット1は、レンズブロックを有している。レンズブロックは、例えば、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂で形成されたリニアフレネルレンズを備えている。ゆえに、各色のLEDモジュールから放射される光は、リニアフレネルレンズで集光されて混合され、各種類の光色の光量の比率に応じた光色の光(第1照明光L1)となる。なお、第1光源ユニット1の配光特性は、
図2Aの配光曲線K1、K2(K1:鉛直方向の配光曲線、K2:水平方向の配光曲線)に示すように、挟角の配光特性である。ただし、レンズブロックは、リニアフレネルレンズに代えて、各色のLEDモジュールの複数個のLEDと一対一に対応した複数のレンズを備えてもよい。あるいは、第1光源ユニット1は、各色の演色性を高めるためにレンズブロックに光散乱性を持たせてもよいし、拡散シートを備えてもよい。
【0021】
さらに、第1光源ユニット1は、金属製又は合成樹脂製の筐体10を有している(
図3参照)。筐体10は、一面が開口した箱状に形成されている。4色のLEDモジュールは、LEDを開口面に向けるようにして筐体10に収容される。レンズブロックは、開口面を塞ぐように筐体10に取り付けられる。なお、レンズブロックは、筐体10に対して変位可能に取り付けられても構わない。
【0022】
(2-2)第2光源ユニット
第2光源ユニット2は、第1光源ユニット1と同様に、光色の異なる4種類のLED、例えば、R、G、B、Wの4色のLEDを複数個ずつ有している。ただし、第2光源ユニット2が有するLEDは、第1光源ユニット1が有するLEDと異なる光色のLEDでもよく、R、G、Bの3色又はW以外の色(例えば、彩度の高い青色)の1種類以上のLEDを有しても構わない。各色の複数個のLEDは、色ごとに電気的に直列接続されて基板に実装されることが好ましい。なお、以下の説明では、基板に実装された同色の複数個のLEDを総称して、○色(赤色、緑色、青色、白色)のLEDモジュールと呼ぶ場合がある。
【0023】
また、第2光源ユニット2は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂で形成された拡散シートを備えている。ゆえに、各色のLEDモジュールから放射される光は、拡散シートで拡散されて混合され、各種類の光色の光量の比率に応じた光色の光(第2照明光L2)となる。なお、第2光源ユニット2の配光特性は、
図2Bの配光曲線K3、K4(K3:鉛直方向の配光曲線、K4:水平方向の配光曲線)に示すように、広角の配光特性である。ただし、第2光源ユニット2は、第1光源ユニット1と同様にレンズブロックを有してもよい。レンズブロックは、各色LEDモジュールに含まれる複数個のLEDと一対一に対応する複数のレンズを備えることが好ましい。
【0024】
さらに、第2光源ユニット2は、金属製又は合成樹脂製の筐体20を有している(
図3参照)。筐体20は、一面が開口した箱状に形成されている。4色のLEDモジュールは、LEDを開口面に向けるようにして筐体20に収容される。レンズブロックは、開口面を塞ぐように筐体20に取り付けられる。なお、レンズブロックは、筐体20に対して変位可能に取り付けられても構わない。
【0025】
(2-3)第1駆動部
第1駆動部3Aは、例えば、商用の電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路と、4つの定電流回路と、を有している。
【0026】
電力変換回路は、例えば、ダイオードブリッジのような全波整流回路、昇圧チョッパ回路、平滑コンデンサなどを有している。電力変換回路は、電力系統から入力される交流電圧(例えば、電源周波数60ヘルツ、実効値100Vの交流電圧)を、交流電圧のピーク電圧よりも高い直流電圧に変換する。
【0027】
4つの定電流回路はすべて同一の回路構成を有している。定電流回路は、例えば、降圧チョッパ回路のようなバックコンバータを有することが好ましい。定電流回路は、電力変換回路から出力される直流電圧を降圧するバックコンバータを有し、LEDモジュールに供給する出力電流を目標電流値に一致させるように動作する。例えば、定電流回路は、制御部4からDMX(Digital Multiplex)512の通信プロトコルに準拠したディジタル信号を受信し、当該ディジタル信号に応じてバックコンバータを制御しても構わない。あるいは、定電流回路は、後述するように、制御部4から与えられる第1光量目標値及び第1光色目標値に応じてバックコンバータをPWM(パルス幅変調)制御することで出力電流を調整しても構わない。
【0028】
第1駆動部3Aは、例えば、4本の電気ケーブルを介して第1光源ユニット1と電気的に接続される。4本の電気ケーブルは、第1駆動部3Aの4つの定電流回路のそれぞれの出力端と、第1光源ユニット1の4つのLEDモジュールのそれぞれの入力端と、を電気的に接続する。
【0029】
(2-4)第2駆動部
第2駆動部3Bは、第1駆動部3Aと同様に、商用の電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路と、4つの定電流回路と、を有している。第2駆動部3Bが有する電力変換回路及び4つの定電流回路は、第1駆動部3Aが有する電力変換回路及び4つの定電流回路と同一の回路構成を有しているので説明を省略する。
【0030】
第2駆動部3Bは、例えば、4本の電気ケーブルを介して第2光源ユニット2と電気的に接続される。4本の電気ケーブルは、第2駆動部3Bの4つの定電流回路のそれぞれの出力端と、第2光源ユニット2の4つのLEDモジュールのそれぞれの入力端と、を電気的に接続する。
【0031】
(2-5)制御部
制御部4は、例えば、マイクロコントローラ及びメモリを有し、メモリに格納したプログラムをマイクロコントローラで実行することによって、後述する種々の処理を実行するように構成される。
【0032】
制御部4は、第1駆動部3Aに対して第1光量目標値及び第1光色目標値を与えるとともに、第2駆動部3Bに対して第2光量目標値及び第2光色目標値を与える。
【0033】
第1照明光は、第1光量目標値と第1光色目標値から、4つのLEDモジュールの調光値に変換され、さらに、第1駆動部3Aの4つの定電流回路の目標電流値に変換される。例えば、第1光量目標値が500lmであり、第1光色目標値に対しての4つのLEDモジュールの光束比率が30%(R):40%(G):20%(B):10%(W)である場合を想定する。LEDモジュールごとに順電流と光束特性関係は異なるため、それぞれの変換係数を1.32(R):0.75(G):1.22(B):0.46(W)と設定した場合、赤色LEDモジュールに対応する定電流回路の目標電流値は、500lm×30%×1.32=198mAとなる。同様に緑色LEDモジュールに対する定電流回路の目標電流値は、500lm×40%×0.75=150mAとなる。以下同様に青色および白色のLEDモジュールに対応する定電流回路の目標電流値はそれぞれ、122mA、23mAとなる。
【0034】
第2照明光は、第2光量目標値と第2光色目標値から、4つのLEDモジュールの調光値に変換され、さらに、第2駆動部3Bの4つの定電流回路の目標電流値に変換される。例えば、第2光量目標値が800lmであり、第1光色目標値に対しての4つのLEDモジュールの光束比率が20%(R):30%(G):40%(B):10%(W)である場合を想定する。この場合、赤色LEDモジュールに対応する定電流回路の目標電流値は、500lm×20%×1.32=132mAとなる。同様に緑色LEDモジュールに対する定電流回路の目標電流値は、500lm×30%×0.75=112.5mAとなる。以下同様に青色および白色のLEDモジュールに対応する定電流回路の目標電流値はそれぞれ、244mA、23mAとなる。
【0035】
しかして、制御部4は、上述のようにして算出される各定電流回路の目標電流値を、第1光量目標値及び第1光色目標値として第1駆動部3Aに与えるとともに、第2光量目標値及び第2光色目標値として第2駆動部3Bに与える。ただし、定電流回路がPWM制御される場合、制御部4は、定電流回路の出力電流の単位時間当たりの平均値を、各目標電流値に一致させるために必要なPWM制御のデューティ比に換算し、当該デューティ比を第1駆動部3A及び第2駆動部3Bに与えても構わない。
【0036】
(2-6)入力受付部
入力受付部5は、第1光量目標値と第1光色目標値を指定する入力を受け付ける。また、入力受付部5は、後述の色度図における仮想の線分G1を選択するための入力を受け付ける。
【0037】
入力受付部5は、例えば、汎用のコンピュータシステムで構成される。ここで、汎用のコンピュータシステムは、いわゆるデスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータであってもよいし、板状の筐体にタッチパネルなどの入力デバイスを搭載したタブレット端末であってもよい。
【0038】
入力受付部5は、例えば、モニタ画面に色度図(例えば、XYZ表色系のxy色度図)を表示させ、マウスポインタ、タッチペン、又は指先で選択された任意の色度点を、第1光色目標値を指定する入力として受け付ける。また、入力受付部5は、例えば、モニタ画面にフェーダ又はスライダーなどのGUI(Graphical User Interface)を表示させ、マウスポインタ、タッチペン、又は指先で操作して選択された任意の数値を、第1光量目標値を指定する入力として受け付ける。ただし、入力受付部5は、物理的なキーボード又はモニタ画面に表示させた仮想のキーボードなどのCUI(character-based user interface)から第1光量目標値及び第1光色目標値を指定する入力を受け付けても構わない。さらに、入力受付部5は、モニタ画面の色度図で選択された色度点を、仮想の線分G1を決定するための端点を指定する入力として受け付ける。
【0039】
入力受付部5は、例えば、DMX512などの通信プロトコルに準拠し、通信線を介して制御部4と双方向通信可能に接続される。そして、入力受付部5は、受け付けた入力の情報(選択された色度点のxy座標、フェーダ等の数値)を通信線を通して制御部4に伝送する。
【0040】
(2-7)照明システムの設置
照明システムA1は、
図3に示すように、壁面などの照射面S1の下部に設けられた設置台6に設置される。
【0041】
設置台6は、照射面S1に対して垂直に配置される平板状の底板60と、底板60の短手方向の一端(前端)から上向きに突出する平板状の前板61と、底板60の長手方向の両端から上向きに突出する一対の側板62と、を有している。つまり、設置台6は、底板60の上方が開放された長尺の箱状に形成されている。ただし、
図3では一対の側板62のうちの片方の側板の図示を省略している。底板60、前板61及び一対の側板62は、金属製、木製、合成樹脂製のいずれかの板材で形成されることが好ましい。
【0042】
第1光源ユニット1は、設置台6の内部空間(底板60、前板61及び一対の側板62と照射面S1に囲まれた空間)において照射面S1よりも前板61に近い位置に設置される。また、第1光源ユニット1は、底板60の厚み方向(鉛直方向)に対して光軸を照射面S1の方に傾けるように一対の側板62に固定される。ただし、第1光源ユニット1は、筐体10の開口面(第1照明光L1の出射面)を上に向けるようにして設置台6の内底面(底板60の上面)に設置され、筐体10に対してレンズブロックを変位(回転)させて光軸を照射面S1の方に傾けても構わない。
【0043】
第2光源ユニット2は、筐体20の開口面(第2照明光L2の出射面)を上に向けるようにして設置台6の内底面に設置される。なお、第2光源ユニット2は、設置台6の内部空間において第1光源ユニット1よりも照射面S1に近い位置に設置される。
【0044】
ここで、照射面S1において、第1照明光L1の照射範囲F1は、第2照明光L2の照射範囲F2よりも上下方向(鉛直方向)に広く、かつ、第2照明光L2の照射範囲F2と部分的に重なっている(
図3参照)。具体的には、第1照明光L1の照射範囲F1において最大照度を100%としたときに照度が30%以上となる第1の主要照射範囲F11は、第2照明光L2の照射範囲F2において最大照度を100%としたときに照度が30%以上となる第2の主要照射範囲F22の少なくとも一部と重なることが好ましい。なお、
図3において、破線の曲線M1は照射面S1における第1照明光L1の照度分布を示し、一点破線の曲線M2は照射面S1における第2照明光L2の照度分布を示している。また、
図3において、一点破線の直線T1、T2は、それぞれ第1照明光L1及び第2照明光L2の照度30%のラインを示している。
【0045】
上述のように第1光源ユニット1の第1の主要照射範囲F11と第2光源ユニット2の第2の主要照射範囲F22の少なくとも一部が重なることによって、照射面S1における第1照明光L1のピークと第2照明光L2のピークが1つのピークとして認識され易くなる。その結果、照明システムA1は、照射面S1における第1照明光L1のピークと第2照明光L2のピークが別々に認識される場合に比べて、照射面S1に対するグラデーション照明の見栄えの向上を図ることができる。
【0046】
(2-8)照明システムの設定
次に、照明システムA1におけるグラデーション照明の設定手順を説明する。そして、以下に説明する設定手順によって設定されるシーンの設定情報(以下、シーンデータと呼ぶ。)が制御部4のメモリに記憶される。なお、以下の説明における「シーン」とは、設定作業で設定された第1照明光L1及び第2照明光L2が照射面S1に照射されることで実現されるグラデーション照明を示している。また、「シーンデータ」とは、第1照明光L1の第1光量目標値及び第1光色目標値と、第2照明光L2の第2光量目標値及び第2光色目標値である。
【0047】
(2-8-1)第1照明光の設定
設定作業を行う作業者(以下、作業者と略す。)は、初めに第1照明光L1の第1光量目標値と第1光色目標値を設定する。ただし、作業者は、第1光源ユニット1から照射面S1に照射された第1照明光L1を目視しながら、第1光量目標値と第1光色目標値の設定作業を行うことが好ましい。あるいは、作業者は、コンピュータシステムのモニタ画面に、照射面に第1照明光を照射したときの状況を再現させながら、第1光量目標値と第1光色目標値の設定作業を行っても構わない。
【0048】
作業者は、例えば、青空、あかね空などの空模様に対応したシーン、あるいは、森林、深海、清流などの自然環境に対応したシーンを再現するために必要な第1光量目標値と第1光色目標値を設定する。青空のシーンを設定する場合、作業者は、モニタ画面に表示された色度図上で青色の色度点C1を選択する。ここで、モニタ画面の色度図には、等エネルギー白色点の色度に対して、マクアダム楕円において50ステップだけ離れた色度点を結んだ曲線(以下、「50ステップ楕円」と呼ぶ。)D1が表示されている(
図4参照)。なお、この50ステップ楕円D1は、中心座標(0.3333, 0.3333)、長半径(0.1174)、短半径(0.0481)、長軸のx軸に対する傾きθ[deg](58.9840)の楕円式で規定される。すなわち、50ステップ楕円D1は、日本産業規格JIS Z8110-1995の参考付
図1「系統色名の一般的な色度区分」で示されている「(○○みの)白」と表現される領域に略一致する。50ステップ楕円D1内の光色は、薄い色みが感じられる程度なため、色みのある光としてのイメージを持ちにくい。そのため、作業者が50ステップ楕円D1の領域外の色みの強い色度点を選択することにより、好適な色みのグラデーション照明を効率的に実現することが可能となる。しかして、照明システムA1は、モニタ画面の色度図上に50ステップ楕円D1を表示することにより、光色組合せに好適な50ステップ楕円D1の外側の色度点を選択するよう作業者を誘導することができる。
【0049】
作業者は、色度点C1を選択した後、モニタ画面に表示されたフェーダを操作して光量(0%~100%の任意の数値)を選択する。そして、作業者が選択した色度点C1の色度座標と光量が入力受付部5で受け付けられる。制御部4は、入力受付部5で受け付けられた色度点C1の色度座標と光量に基づき、第1照明光L1の第1光量目標値と第1光色目標値を決定する。
【0050】
(2-8-2)第2照明光の設定
続いて、作業者は、第2照明光L2の第2光量目標値と第2光色目標値を設定する。ただし、第2照明光L2の光色は、第1照明光L1と補色関係とならない色度点の光色であることが好ましい。補色関係とは、色相環で正反対に位置する関係の色の組合せで、色の対比感が強く、2色の色みの強さが同程度に交わるポイントでは、色みを感じない無彩色の薄暗い状態が認識される関係である。本発明者らは、第1照明光L1と第2照明光L2が補色関係になる場合、照射面S1において好適な色みを有したグラデーション感を与えることができないことを確認している。
【0051】
入力受付部5は、作業者が選択した第1照明光L1の色度(色度点C1)と第2照明光L2の任意の色度(色度点C2)を結び、かつ、等エネルギー白色点の色度に対してマクアダム楕円において25ステップ以上離れている仮想の線分G1を色度図に表示する(
図5参照)。ここで、等エネルギー白色点の色度に対して、マクアダム楕円において25ステップだけ離れた色度点を結んだ曲線を25ステップ楕円D2と呼ぶ(
図5参照)。この25ステップ楕円D2は、中心座標(0.3333, 0.3333)、長半径(0.0587)、短半径(0.0240)、長軸のx軸に対する傾きθ[deg](58.9840)の楕円式で規定される。すなわち、25ステップ楕円D2は、日本産業規格JIS Z8110-1995の参考付
図1「系統色名の一般的な色度区分」で示されている「白」領域に略一致する。よって、25ステップ楕円D2の領域内を含む線分で結ばれる色度の組合せは補色関係と考えられ、逆に25ステップ楕円D2の領域と交わらない線分G1上の色度の組みあわせでは白色(無彩色)イメージを与えない色度の組合せとなる。
【0052】
しかして、照明システムA1は、作業者が入力受付部5によって色度図に表示される線分G1上の色度点C3を選択することにより、照射面S1のグラデーション照明において観測者に連続的な色みのあるグラデーションを感じさせることができるという利点がある。
【0053】
ここで、制御部4は、入力受付部5が受け付けた第2照明光L2の色度点C3と第1照明光L1の色度点C1の距離(色差)に応じて第2照明光L2の光量を調整する。例えば、制御部4は、2つの色度点C1、色度点C3の色差が大きくなるにつれて第2照明光L2の光量を増加させ、2つの色度点C1、色度点C3の色差が小さくなるにつれて第2照明光L2の光量を減少させる。つまり、制御部4は、第2駆動部3Bに与える第2光量目標値と第2光色目標値を連動させる。
【0054】
すなわち、照明システムA1は、2つの色度点C1、色度点C3の色差が大きくなるにつれて第2照明光L2の光量を増加させた場合、第1照明光L1の光色と第2照明光L2の光色のそれぞれの色味を強く感じさせるグラデーション照明を実現できる。一方、2つの色度点C1、色度点C3の色差が小さくなるにつれて第2照明光L2の光量を減少させた場合、照明システムA1は、第1照明光L1の色味を強く感じさせるグラデーション照明を実現できる。
【0055】
しかして、作業者が選択した線分G1上の色度点C3の色度座標が入力受付部5で受け付けられ、色度点C3と第1照明光L1の色度点C1の色差に応じた第2照明光L2の光量が入力受付部5で受け付けられる。制御部4は、入力受付部5で受け付けられた色度点C3の色度座標と光量に基づき、第2照明光L2の第2光量目標値と第2光色目標値を決定する。そして、制御部4は、第1照明光L1の第1光量目標値と第1光色目標値、及び第2照明光L2の第2光量目標値と第2光色目標値を、シーンデータとしてメモリに記憶する。なお、制御部4は、複数のシーンを区別するために各シーンに固有の識別符号(例えば、2桁のシーン番号)を割り当て、各シーン番号と当該シーン番号のシーンデータを対応させてメモリに記憶することが好ましい。
【0056】
以上の設定手順によって照明システムA1におけるグラデーション照明の設定作業が完了する。
【0057】
(2-9)照明システムの動作
次に、照明システムA1の動作を説明する。
【0058】
照明システムA1を使用する使用者は、入力受付部5を操作して任意のシーン番号を選択する。入力受付部5は、使用者が選択したシーン番号の入力を受け付けると、受け付けたシーン番号を制御部4に通知する。制御部4は、入力受付部5から通知されたシーン番号に対応するシーンデータをメモリから読み出し、読み出したシーンデータに基づいて、各定電流回路の目標電流値又は各定電流回路をPWM制御するためのデューティ比を算出する。さらに、制御部4は、算出した各定電流回路の目標電流値(又はデューティ比)を第1駆動部3Aと第2駆動部3Bに与える。
【0059】
第1駆動部3Aは、制御部4から与えられる各定電流回路の目標電流値(又はデューティ比)に応じて第1光源ユニット1を駆動し、第1光量目標値及び第1光色目標値に合致した第1照明光L1を照射面S1に照射させる。同様に、第2駆動部3Bは、制御部4から与えられる各定電流回路の目標電流値(又はデューティ比)に応じて第2光源ユニット2を駆動し、第2光量目標値及び第2光色目標値に合致した第2照明光L2を照射面S1に照射させる。その結果、照射面S1においては、第1照明光L1の主要照射範囲F11と第2照明光L2の主要照射範囲F22の一部が重なって混合されてグラデーション照明が実現される。
【0060】
(3)変形例
照明システムA1において、第1光源ユニット1と第2光源ユニット2は、1つの筐体に収容されても構わない。照明システムA1は、第1光源ユニット1と第2光源ユニット2が1つの筐体に収容されることによって、第1光源ユニット1と第2光源ユニット2の設置作業の作業性の向上を図ることができる。
【0061】
また、照明システムA1において、第1光源ユニット1及び第2光源ユニット2の少なくとも一方は、照射面S1の上方に設置されても構わない。
【0062】
さらに、入力受付部5は、XYZ表色系のxy色度図に代えて、均等色度図(例えば、u’v’色度図)をモニタ画面に表示して入力を受け付けても構わない。すなわち、均等色度図は、xy色度図に比べて色度図上の距離と実際の色差との均等性が高い。したがって、照明システムA1は、均等色度図を利用することによって、入力受付部5を使って第1光色目標値及び第2光色目標値を入力する作業の作業性の向上を図ることができる。
【0063】
なお、制御部4は、第1光量目標値、第1光色目標値、第2光量目標値及び第2光色目標値をシーンデータとしてメモリに記憶する代わりに、各目標値をリアルタイムで第1駆動部3Aと第2駆動部3Bに与えてグラデーション照明を実現しても構わない。さらに、入力受付部5は、
図6に示すように、各色度図の色相ポイントを円環で表記し、マックアダム楕円を円とした色相環をモニタ画面に表示しても構わない。
【0064】
(4)まとめ
本開示の第1の態様に係る照明システム(A1)は、第1光源(第1光源ユニット1)と、第2光源(第2光源ユニット2)と、第1駆動部(3A)と、第2駆動部(3B)と、制御部(4)と、を備える。第1光源は、有彩色の第1照明光(L1)を照射面(S1)に照射し、かつ、第1照明光(L1)の光量及び光色が可変である。第2光源は、第1照明光(L1)と異なる第2照明光(L2)を照射面(S1)に照射し、かつ、第2照明光(L2)の光量及び光色が可変である。第1駆動部(3A)は、第1照明光(L1)の光量及び光色を第1光量目標値及び第1光色目標値に一致させるように第1光源を駆動する。第2駆動部(3B)は、第2照明光(L2)の光量及び光色を第2光量目標値及び第2光色目標値に一致させるように第2光源を駆動する。制御部(4)は、第1駆動部(3A)に対して第1光量目標値及び第1光色目標値を与えるとともに、第2駆動部(3B)に対して第2光量目標値及び第2光色目標値を与える。第1光源と第2光源は、照射面(S1)において第1照明光(L1)の照射範囲(F1)の少なくとも一部が第2照明光(L2)の照射範囲(F2)と重なるように構成される。第1照明光(L1)の色度は、等エネルギー白色点の色度に対して、マクアダム楕円において50ステップ以上離れている。
【0065】
第1の態様に係る照明システム(A1)は、従来例のように無彩色又は彩度の低い色(光色)の照明光を用いる場合に比べて、より鮮やかな色彩のグラデーション演出照明を実現できる。
【0066】
本開示の第2の態様に係る照明システム(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明システム(A1)において、第1光源の配光特性は、第2光源の配光特性に対して挟角であることが好ましい。照射面(S1)において、第2照明光(L2)の照射範囲(F2)の一部は、第1照明光(L1)の照射範囲(F1)と比べて第1光源及び第2光源に近いことが好ましい。
【0067】
第2の態様に係る照明システム(A1)は、照射面(S1)において、第2照明光(L2)の照射範囲(F2)の一部を、第1照明光(L1)の照射範囲(F1)と比べて第1光源及び第2光源に近づけることにより、照射面(S1)におけるグラデーション照明の範囲の拡大を図ることができる。
【0068】
本開示の第3の態様に係る照明システム(A1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明システム(A1)において、第1照明光(L1)の照射範囲(F1)において最大照度を100%としたときに照度が30%以上となる第1の主要照射範囲(F11)は、第2照明光(L2)の照射範囲(F2)において最大照度を100%としたときに照度が30%以上となる第2の主要照射範囲(F22)の少なくとも一部と重なることが好ましい。
【0069】
第3の態様に係る照明システム(A1)は、第1光源の第1の主要照射範囲(F11)と第2光源の第2の主要照射範囲(F22)の少なくとも一部が重なることによって、照射面(S1)における第1照明光(L1)のピークと第2照明光(L2)のピークが1つのピークとして認識され易くなる。その結果、照明システム(A1)は、照射面(S1)における第1照明光(L1)のピークと第2照明光(L2)のピークが別々に認識される場合に比べて、照射面(S1)に対するグラデーション照明の見栄えの向上を図ることができる。
【0070】
本開示の第4の態様に係る照明システム(A1)は、第2又は第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る照明システム(A1)において、第2照明光(L2)の色度は、色度図における仮想の線分(G1)上の色度と一致することが好ましい。仮想の線分(G1)は、第1照明光(L1)の色度と第2照明光(L2)の任意の色度を結ぶ線分であり、かつ、等エネルギー白色点の色度に対してマクアダム楕円において25ステップ以上離れていることが好ましい。
【0071】
第4の態様に係る照明システム(A1)は、色度図に表示される線分(G1)上の色度点を選択させることにより、照射面(S1)のグラデーション照明において観測者に連続的な色みのあるグラデーションを感じさせることができる。
【0072】
本開示の第5の態様に係る照明システム(A1)は、第2-第4のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る照明システム(A1)において、制御部(4)は、第2駆動部(3B)に与える第2光量目標値と第2光色目標値を連動させることが好ましい。
【0073】
第5の態様に係る照明システム(A1)は、制御部(4)から第2駆動部(3B)に与えられる第2光量目標値と第2光色目標値を連動させるので、第2光量目標値と第2光色目標値の設定作業の作業性の向上を図ることができる。
【0074】
本開示の第6の態様に係る照明システム(A1)は、第2-5のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る照明システム(A1)において、制御部(4)は、第2駆動部(3B)に与える第2光色目標値と第1光色目標値の色差に応じて第2駆動部(3B)に与える第2光量目標値を決定することが好ましい。
【0075】
第6の態様に係る照明システム(A1)は、第2駆動部(3B)に与える第2光色目標値と第1光色目標値の色差に応じて、制御部(4)が第2駆動部(3B)に与える第2光量目標値を決定するので、色差に応じたグラデーション照明を容易に実現することができる。
【0076】
本開示の第7の態様に係る照明システム(A1)は、第6の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る照明システム(A1)において、制御部(4)は、色差が増加するにつれて第2光量目標値を増加させることが好ましい。
【0077】
第7の態様に係る照明システム(A1)は、色差が大きくなるにつれて第2光量目標値を増加させることにより、第1照明光(L1)の光色と第2照明光(L2)の光色のそれぞれの色味を強く感じさせるグラデーション照明を実現できる。反対に、第7の態様に係る照明システム(A1)は、色差が小さくなるにつれて第2光量目標値を減少させることにより、第1照明光(L1)の色味を強く感じさせるグラデーション照明を実現できる。
【0078】
本開示の第8の態様に係る照明システム(A1)は、第2-第7のいずれの態様との組合せにより実現され得る。第8の態様に係る照明システム(A1)において、第1光量目標値と第1光色目標値を指定する入力を受け付ける入力受付部(5)を更に備えることが好ましい。制御部(4)は、入力受付部(5)が受け付ける入力で指定された第1光量目標値と第1光色目標値を第1駆動部(3A)に与えることが好ましい。制御部(4)は、第1駆動部(3A)に与える第1光量目標値と第1光色目標値に対応した第2光量目標値と第2光色目標値を第2駆動部(3B)に与えることが好ましい。
【0079】
第8の態様に係る照明システム(A1)は、入力受付部(5)で受け付ける入力で第1光量目標値と第1光色目標値に対応した第2光量目標値と第2光色目標値を制御部(4)から第2駆動部(3B)に与えるので、第2光量目標値と第2光色目標値を指定するために入力受付部(5)に入力を受け付けさせるための作業が不要となり、設定作業の作業性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0080】
A1 照明システム
1 第1光源ユニット(第1光源)
2 第2光源ユニット(第2光源)
3A 第1駆動部
3B 第2駆動部
4 制御部
5 入力受付部
L1 第1照明光
L2 第2照明光
S1 照射面
F1 第1照明光の照射範囲
F2 第2照明光の照射範囲
G1 仮想の線分
F11 第1の主要照射範囲
F22 第2の主要照射範囲