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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122419
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】アンモニア除去システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0662 20160101AFI20230825BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20230825BHJP
   H01M 8/0444 20160101ALI20230825BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20230825BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20230825BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20230825BHJP
   C01B 3/56 20060101ALI20230825BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20230825BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20230825BHJP
【FI】
H01M8/0662
H01M8/0606
H01M8/0444
H01M8/04746
H01M8/0432
H01M8/0438
C01B3/56 Z
H01M8/10 101
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026102
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 智紀
(72)【発明者】
【氏名】永滝 文宏
【テーマコード(参考)】
4G140
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
4G140FA02
4G140FB06
4G140FC02
4G140FD01
4G140FD02
4G140FE02
5H126BB06
5H127AA06
5H127AA07
5H127AC14
5H127BA01
5H127BA02
5H127BA12
5H127BA17
5H127BA43
5H127BB02
5H127DB03
5H127DB04
5H127DB05
5H127DB06
5H127DB77
5H127DB78
5H127DB79
5H127DC02
5H127DC08
5H127DC09
(57)【要約】
【課題】除去器を能力の限界まで使用することができ、除去器の交換頻度を少なくすることができる技術を提供する。
【解決手段】アンモニア除去システムは、第1改質ガス通路を流れる改質ガスの状態を検出するセンサと、前記第1改質ガス通路に設けられた第1弁と、前記第1改質ガス通路を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第1除去器と、制御部と、を備え、前記第1弁は、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスが供給される第1状態と、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスが供給されない第2状態と、に切り替え可能に構成されており、前記制御部は、前記センサの検出値に基づいて前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量に達したと判断する場合に、前記第1弁を前記第1状態から前記第2状態に切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスを改質することにより改質ガスを生成する改質器と、
前記改質器によって生成された改質ガスが流れる第1改質ガス通路と、
前記第1改質ガス通路を流れる改質ガスの状態を検出するセンサと、
前記第1改質ガス通路に設けられた第1弁と、
前記第1改質ガス通路を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第1除去器と、
制御部と、を備え、
前記第1弁は、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスが供給される第1状態と、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスが供給されない第2状態と、に切り替え可能に構成されており、
前記制御部は、前記センサの検出値に基づいて前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量に達したと判断する場合に、前記第1弁を前記第1状態から前記第2状態に切り替える、アンモニア除去システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアンモニア除去システムであって、
前記センサは、前記第1改質ガス通路を流れる改質ガスの温度を検出する温度センサと、前記第1改質ガス通路を流れる改質ガスの圧力を検出する圧力センサと、を含み、
前記制御部は、前記温度センサの検出値と前記圧力センサの検出値とから推定されるアンモニアの濃度を時間積分した積分値が所定の第1積分基準値に達した場合に、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が前記第1基準量に達したと判断する、アンモニア除去システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアンモニア除去システムであって、
前記第1弁を介して前記第1改質ガス通路から分岐しており、前記改質器によって生成された改質ガスが流れる第2改質ガス通路と、
前記第2改質ガス通路を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第2除去器と、を更に備え、
前記第1弁は、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスが供給される一方で前記第2改質ガス通路を通じて前記第2除去器に改質ガスが供給されない前記第1状態と、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスが供給されない一方で前記第2改質ガス通路を通じて前記第2除去器に改質ガスが供給される前記第2状態と、に切り替え可能に構成されている、アンモニア除去システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載のアンモニア除去システムであって、
前記第1弁よりも上流側の前記第1改質ガス通路から分岐しており、前記改質器によって生成された改質ガスが流れる第2改質ガス通路と、
前記第2改質ガス通路に設けられた第2弁と、
前記第2改質ガス通路を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第2除去器と、を更に備え、
前記第2弁は、前記第2改質ガス通路を通じて前記第2除去器に改質ガスが供給される第1状態と、前記第2改質ガス通路を通じて前記第2除去器に改質ガスが供給されない第2状態と、に切り替え可能に構成されており、
前記制御部は、前記センサの検出値に基づいて前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が前記第1基準量未満の所定の第3基準量に達したと判断する場合に、前記第2弁を前記第2状態から前記第1状態に切り替えると共に前記第2弁の開度を前記第1弁の開度未満の開度に制御する、アンモニア除去システム。
【請求項5】
請求項4に記載のアンモニア除去システムであって、
前記制御部は、前記第2弁の開度を前記第1弁の開度未満の開度に制御した後に前記センサの検出値に基づいて前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が所定の前記第1基準量に達したと判断する場合に、前記第2弁の開度を大きくする、アンモニア除去システム。
【請求項6】
原料ガスを改質することにより改質ガスを生成する改質器と、
前記改質器によって生成された改質ガスが流れる第1改質ガス通路と、
前記第1改質ガス通路を流れる改質ガスの状態を検出するセンサと、
前記第1改質ガス通路に設けられた第1ポンプと、
前記第1改質ガス通路を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第1除去器と、
制御部と、を備え、
前記第1ポンプは、改質ガスを圧送することにより前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスを供給する動作状態と、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスを供給しない停止状態と、に切り替え可能に構成されており、
前記制御部は、前記センサの検出値に基づいて前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量に達したと判断する場合に、前記第1ポンプを前記動作状態から前記停止状態に切り替える、アンモニア除去システム。
【請求項7】
請求項6に記載のアンモニア除去システムであって、
前記第1ポンプよりも上流側の前記第1改質ガス通路から分岐しており、前記改質器によって生成された改質ガスが流れる第2改質ガス通路と、
前記第2改質ガス通路に設けられた第2ポンプと、
前記第2改質ガス通路を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第2除去器と、を更に備え、
前記第2ポンプは、改質ガスを圧送することにより前記第2改質ガス通路を通じて前記第2除去器に改質ガスを供給する動作状態と、前記第2改質ガス通路を通じて前記第2除去器に改質ガスを供給しない停止状態と、に切り替え可能に構成されており、
前記制御部は、前記センサの検出値に基づいて前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量未満の所定の第3基準量に達したと判断する場合に、前記第2ポンプを前記停止状態から前記動作状態に切り替えると共に前記第2ポンプの出力を前記第1ポンプの出力未満の出力に制御する、アンモニア除去システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のアンモニア除去システムと、
前記第1除去器によって生成された燃料ガスを用いて発電する燃料電池と、を備える、燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、アンモニア除去システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にアンモニア除去設備が開示されている。特許文献1のアンモニア除去設備は、改質ガスが流れる改質ガス通路と、改質ガス通路に設けられた開閉弁と、改質ガス通路を通過した改質ガスからアンモニアを除去する除去器とを備えている。また、特許文献1のアンモニア除去設備は、除去器で処理された後の処理ガス中のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度測定装置を備え、アンモニア濃度測定装置によるアンモニア濃度の測定値が閾値を超えた場合に開閉弁を閉弁する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6810910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンモニア除去設備では、除去器が破過する時期を予測することが難しく、除去器を能力の限界まで使用することができないことがあり、その結果、除去器の交換頻度が多くなることがある。特許文献1のアンモニア除去設備では、除去器で処理された後の処理ガス中のアンモニア濃度を測定するので、除去器が破過した後のアンモニア濃度を測定することがあり、その結果、除去器が破過した後に開閉弁を閉弁することになる。これを未然に防止しようとすると、除去器を早期に交換する必要があり、その結果、除去器の交換頻度が多くなる。そこで、本明細書は、除去器を能力の限界まで使用することができ、除去器の交換頻度を少なくすることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示するアンモニア除去システムは、原料ガスを改質することにより改質ガスを生成する改質器と、前記改質器によって生成された改質ガスが流れる第1改質ガス通路と、前記第1改質ガス通路を流れる改質ガスの状態を検出するセンサと、前記第1改質ガス通路に設けられた第1弁と、前記第1改質ガス通路を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第1除去器と、制御部と、を備えている。前記第1弁は、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスが供給される第1状態と、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスが供給されない第2状態と、に切り替え可能に構成されている。前記制御部は、前記センサの検出値に基づいて前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量に達したと判断する場合に、前記第1弁を前記第1状態から前記第2状態に切り替える。
【0006】
この構成によれば、第1除去器に供給されるアンモニアの量が第1基準量に達したと判断する場合に第1弁を第1状態から第2状態に切り替えることにより、第1除去器が破過する直前まで第1除去器に改質ガスを供給することができる。これにより、第1除去器をその能力の限界まで使用することができ、その結果、第1除去器の交換頻度を少なくすることができる。
【0007】
前記センサは、前記第1改質ガス通路を流れる改質ガスの温度を検出する温度センサと、前記第1改質ガス通路を流れる改質ガスの圧力を検出する圧力センサと、を含んでいてもよい。前記制御部は、前記温度センサの検出値と前記圧力センサの検出値とから推定されるアンモニアの濃度を時間積分した積分値が所定の第1積分基準値に達した場合に、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が前記第1基準量に達したと判断してもよい。
【0008】
この構成によれば、温度センサと圧力センサを用いることにより、第1除去器に供給されるアンモニアの量を精度良く推定することができる。これにより、第1弁を第1状態から第2状態に切り替えるタイミングを精度良く制御することができる。
【0009】
アンモニア除去システムは、前記第1弁を介して前記第1改質ガス通路から分岐しており、前記改質器によって生成された改質ガスが流れる第2改質ガス通路と、前記第2改質ガス通路を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第2除去器と、を更に備えていてもよい。前記第1弁は、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスが供給される一方で前記第2改質ガス通路を通じて前記第2除去器に改質ガスが供給されない前記第1状態と、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスが供給されない一方で前記第2改質ガス通路を通じて前記第2除去器に改質ガスが供給される前記第2状態と、に切り替え可能に構成されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、第1除去器を能力の限界まで使用したタイミングで第1除去器に代えて第2除去器を使用することができる。これにより、アンモニア除去システムを連続的かつ効率的に使用することができる。
【0011】
アンモニア除去システムは、前記第1弁よりも上流側の前記第1改質ガス通路から分岐しており、前記改質器によって生成された改質ガスが流れる第2改質ガス通路と、前記第2改質ガス通路に設けられた第2弁と、前記第2改質ガス通路を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第2除去器と、を更に備えていてもよい。前記第2弁は、前記第2改質ガス通路を通じて前記第2除去器に改質ガスが供給される第1状態と、前記第2改質ガス通路を通じて前記第2除去器に改質ガスが供給されない第2状態と、に切り替え可能に構成されていてもよい。前記制御部は、前記センサの検出値に基づいて前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が前記第1基準量未満の所定の第3基準量に達したと判断する場合に、前記第2弁を前記第2状態から前記第1状態に切り替えると共に前記第2弁の開度を前記第1弁の開度未満の開度に制御してもよい。
【0012】
この構成によれば、第1除去器と第2除去器を並行して使用する期間を設けることができる。これにより、第1除去器から第2除去器に切り替えるときに、改質ガスの流れが途切れることなく切り替えをスムーズに行うことができる。
【0013】
前記制御部は、前記第2弁の開度を前記第1弁の開度未満の開度に制御した後に前記センサの検出値に基づいて前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が所定の前記第1基準量に達したと判断する場合に、前記第2弁の開度を大きくしてもよい。
【0014】
この構成によれば、第1除去器を能力の限界まで使用したタイミングでスムーズに第2除去器に切り替えることができる。
【0015】
本明細書が開示するアンモニア除去システムは、原料ガスを改質することにより改質ガスを生成する改質器と、前記改質器によって生成された改質ガスが流れる第1改質ガス通路と、前記第1改質ガス通路を流れる改質ガスの状態を検出するセンサと、前記第1改質ガス通路に設けられた第1ポンプと、前記第1改質ガス通路を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第1除去器と、制御部と、を備えている。前記第1ポンプは、改質ガスを圧送することにより前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスを供給する動作状態と、前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に改質ガスを供給しない停止状態と、に切り替え可能に構成されていている。前記制御部は、前記センサの検出値に基づいて前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量に達したと判断する場合に、前記第1ポンプを前記動作状態から前記停止状態に切り替える。
【0016】
この構成によれば、上記と同様に、第1除去器を能力の限界まで使用することができ、第1除去器の交換頻度を少なくすることができる。
【0017】
アンモニア除去システムは、前記第1ポンプよりも上流側の前記第1改質ガス通路から分岐しており、前記改質器によって生成された改質ガスが流れる第2改質ガス通路と、前記第2改質ガス通路に設けられた第2ポンプと、前記第2改質ガス通路を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第2除去器と、を更に備えていてもよい。前記第2ポンプは、改質ガスを圧送することにより前記第2改質ガス通路を通じて前記第2除去器に改質ガスを供給する動作状態と、前記第2改質ガス通路を通じて前記第2除去器に改質ガスを供給しない停止状態と、に切り替え可能に構成されていてもよい。前記制御部は、前記センサの検出値に基づいて前記第1改質ガス通路を通じて前記第1除去器に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量未満の所定の第3基準量に達したと判断する場合に、前記第2ポンプを前記停止状態から前記動作状態に切り替えると共に前記第2ポンプの出力を前記第1ポンプの出力未満の出力に制御してもよい。
【0018】
この構成によれば、上記と同様に、第1除去器から第2除去器に切り替えるときに、改質ガスの流れが途切れることなく切り替えをスムーズに行うことができる。
【0019】
燃料電池システムは、上記のアンモニア除去システムと、前記第1除去器によって生成された燃料ガスを用いて発電する燃料電池と、を備えていてもよい。
【0020】
この構成によれば、第1除去器を能力の限界まで使用しつつ、第1除去器が破過して改質ガスに含まれるアンモニアが燃料電池に供給されることを抑制することができる。上記のアンモニア除去システムは、燃料電池を備える構成において特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施例の燃料電池システムを模式的に示す図。
図2】アンモニア濃度関係情報の一例を示すテーブル。
図3】第1実施例の三方弁制御処理のフローチャート。
図4】アンモニア濃度の時間積分の一例を示す図。
図5】第2実施例の燃料電池システムを模式的に示す図。
図6】第2実施例の開閉弁制御処理のフローチャート。
図7】開閉弁の開度制御の一例を示す図。
図8】第3実施例の燃料電池システムを模式的に示す図。
図9】第3実施例のポンプ制御処理のフローチャート。
図10】ポンプの出力制御の一例を示す図。
図11】第4実施例の燃料電池システムを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施例)
第1実施例のアンモニア除去システムを備える燃料電池システム2について図面を参照して説明する。図1に示すように、燃料電池システム2は、原料タンク10と、気化器12と、改質器14と、第1除去器16と、第2除去器18と、燃料電池20と、制御器50とを備えている。
【0023】
原料タンク10は、原料としての液体アンモニアを貯蔵している。原料タンク10には、液体アンモニアが流れる液体通路32が接続されている。液体通路32は、上流端が原料タンク10に接続されており、下流端が気化器12に接続されている。液体通路32を通じて原料タンク10から気化器12に液体アンモニアが供給される。液体通路32には、液体通路32の上流側から下流側へ液体アンモニアを圧送するポンプ22が設けられている。
【0024】
気化器12は、液体通路32により供給される液体アンモニアを加熱することにより気化させる。これにより、原料ガスとしての気体アンモニアが生成される。気化器12には、原料ガス(気体アンモニア)が流れる原料ガス通路34が接続されている。原料ガス通路34は、上流端が気化器12に接続されており、下流端が改質器14に接続されている。原料ガス通路34を通じて気化器12から改質器14に原料ガスが供給される。
【0025】
改質器14は、原料ガス通路34により供給される原料ガス(気体アンモニア)を改質することにより改質ガスを生成する。原料ガスの改質のために用いられる触媒は、例えば、銅、ニッケル、ルテニウム等である。改質ガスには、原料ガスの改質により生成される水素が含まれる。また、改質ガスには、改質による副生成物のアンモニアや未分解のアンモニアが含まれる。改質器14は、原料ガスの改質中に原料ガスを加熱する加熱器15を備えている。加熱器15は、例えば、電気式またはガス式の構成である。
【0026】
改質器14には、生成された改質ガスが流れる第1改質ガス通路36が接続されている。第1改質ガス通路36は、上流端が改質器14に接続されており、下流端が第1除去器16に接続されている。第1改質ガス通路36を通じて改質器14から第1除去器16に改質ガスが供給される。
【0027】
第1改質ガス通路36には、温度センサ28と、圧力センサ30と、熱交換器31と、第1三方弁24とが設けられている。温度センサ28は、第1三方弁24および熱交換器31よりも上流側の第1改質ガス通路36に設けられている。温度センサ28は、第1三方弁24および熱交換器31よりも上流側の第1改質ガス通路36を流れる改質ガスの温度を検出する。温度センサ28は、熱交換器31により熱交換される前の改質ガスの温度を検出する。温度センサ28の検出温度の情報は、所定の時間間隔(例えば、5秒間隔)で制御器50に送信される。
【0028】
圧力センサ30は、第1三方弁24および熱交換器31よりも上流側の第1改質ガス通路36に設けられている。圧力センサ30は、第1三方弁24および熱交換器31よりも上流側の第1改質ガス通路36を流れる改質ガスの圧力を検出する。圧力センサ30は、熱交換器31により熱交換される前の改質ガスの圧力を検出する。圧力センサ30の検出圧力の情報は、所定の時間間隔(例えば、5秒間隔)で制御器50に送信される。
【0029】
熱交換器31は、第1三方弁24よりも上流側の第1改質ガス通路36に設けられている。熱交換器31は、第1三方弁24よりも上流側の第1改質ガス通路36を流れる改質ガスを冷却して改質ガスの温度を低下させる。熱交換器31は、改質ガスと外部の流体との熱交換により改質ガスの温度を低下させる。熱交換器31の構造は特に限定されないが、例えば、熱交換用のフィン等を備えている。
【0030】
第1三方弁24は、温度センサ28、圧力センサ30、および熱交換器31よりも下流側の第1改質ガス通路36に設けられている。第1三方弁24には、第2改質ガス通路38が接続されている。第2改質ガス通路38は、上流端が第1三方弁24に接続されており、下流端が第2除去器18に接続されている。第2改質ガス通路38は、第1三方弁24を介して第1改質ガス通路36から分岐している。第2改質ガス通路38は、第1三方弁24よりも下流側の第1改質ガス通路36と並列で配置されている。
【0031】
第1三方弁24は、第1改質ガス通路36および第2改質ガス通路38を開閉する。第1三方弁24は、第1状態と第2状態とに切り替え可能に構成されている。第1三方弁24が第1状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給される。第1三方弁24が第1状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されない。一方、第1三方弁24が第2状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第1三方弁24よりも上流側の第1改質ガス通路36および第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給される。第1三方弁24が第2状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されない。
【0032】
第1除去器16は、第1改質ガス通路36により供給される改質ガスに含まれるアンモニアを吸着剤によって吸着することにより、改質ガスからアンモニアを除去する。これにより、アンモニアの濃度が低くされた燃料ガスが生成される。アンモニアの吸着のために用いられる吸着剤は、例えば、活性炭、ゼオライト、MOF(Metal Organic Framework)等である。例えば、第1除去器16の容器の内部に吸着剤が充填されている。第1除去器16は、使用後に新しい第1除去器16に交換可能である。あるいは、第1除去器16の内部の吸着剤が交換されてもよい。
【0033】
第1除去器16には、生成された燃料ガスが流れる第1燃料ガス通路40が接続されている。第1燃料ガス通路40は、上流端が第1除去器16に接続されており、下流端が燃料電池20に接続されている。第1燃料ガス通路40を通じて第1除去器16から燃料電池20に燃料ガスが供給される。第1燃料ガス通路40には、第2三方弁26が設けられている。
【0034】
第2除去器18は、第1除去器16と並列で配置されている。第2除去器18は、第2改質ガス通路38により供給される改質ガスに含まれるアンモニアを吸着剤によって吸着することにより、改質ガスからアンモニアを除去する。これにより、アンモニアの濃度が低くされた燃料ガスが生成される。アンモニアの吸着のために用いられる吸着剤は、例えば、活性炭、ゼオライト、MOF(Metal Organic Framework)等である。例えば、第2除去器18の容器の内部に吸着剤が充填されている。第2除去器18は、使用後に新しい第2除去器18に交換可能である。あるいは、第2除去器18の内部の吸着剤が交換されてもよい。
【0035】
第2除去器18には、生成された燃料ガスが流れる第2燃料ガス通路42が接続されている。第2燃料ガス通路42は、上流端が第2除去器18に接続されており、下流端が第2三方弁26に接続されている。第2燃料ガス通路42は、第2三方弁26を介して第1燃料ガス通路40に合流している。第2燃料ガス通路42は、第2三方弁26よりも上流側の第1燃料ガス通路40と並列で配置されている。
【0036】
第2三方弁26は、第1燃料ガス通路40および第2燃料ガス通路42を開閉する。第2三方弁26は、第1状態と第2状態とに切り替え可能に構成されている。第2三方弁26が第1状態であるときは、第1除去器16で生成された燃料ガスが第1燃料ガス通路40を通じて燃料電池20に供給される。第2三方弁26が第1状態であるときは、第2除去器18で生成された燃料ガスが第2燃料ガス通路42を通じて燃料電池20に供給されない。一方、第2三方弁26が第2状態であるときは、第2除去器18で生成された燃料ガスが第2燃料ガス通路42および第2三方弁26よりも下流側の第1燃料ガス通路40を通じて燃料電池20に供給される。第2三方弁26が第2状態であるときは、第1除去器16で生成された燃料ガスが第1燃料ガス通路40を通じて燃料電池20に供給されない。
【0037】
燃料電池20について説明する。燃料電池20には、第1燃料ガス通路40の他に、空気が流れる空気通路44が接続されている。空気通路44は、上流端が空気供給源(不図示)に接続されており、下流端が燃料電池20に接続されている。空気通路44を通じて空気供給源から燃料電池20に空気が供給される。なお、空気通路44の上流端は外気に開放されていてもよい。
【0038】
燃料電池20は、第1燃料ガス通路40により供給される燃料ガスと、空気通路44により供給される空気とを用いて発電する。燃料電池20は、例えば、容器の内部に積み重ねられた複数の電池セル(不図示)を備えており、各電池セルが、燃料ガスに含まれる水素と、空気に含まれる酸素との化学反応により発電する。電池セルは、例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC(Solid Oxide Fuel Cell))や固体高分子形燃料電池(PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell))であるが、これらに限定されない。燃料ガスを用いて発電する燃料電池20では、発電の際に未反応の燃料ガスが排ガスとして排出される。
【0039】
燃料電池20には、排ガスが流れる排ガス通路46が接続されている。排ガス通路46は、上流端が燃料電池20に接続されており、下流端が排出先(不図示)に接続されている。排ガス通路46を通じて燃料電池20から排出先に排ガスが排出される。排出先は、例えば、改質器14、第1除去器16、第2除去器18等であってもよい。
【0040】
制御器50は、例えば、CPU(図示省略)と、記憶部52(例えば、ROMやRAM)とを備えており、記憶部52に記憶されているプログラムに従って、燃料電池システム2に関する様々な制御や処理を実行する。
【0041】
制御器50の記憶部52には、アンモニア濃度関係情報が記憶されている。図2は、アンモニア濃度関係情報の一例を示すテーブルである。図2に示すように、アンモニア濃度関係情報は、温度(横軸)および圧力(縦軸)と、アンモニアの濃度(例えば、80%、25%、・・・)との関係を示す。アンモニア濃度関係情報における温度(横軸(例えば、100℃、200℃、・・・))は、第1改質ガス通路36に設けられた温度センサ28によって検出される改質ガスの温度に対応する。アンモニア濃度関係情報における圧力(縦軸(例えば、0kPa、100kPa、・・・))は、第1改質ガス通路36に設けられた圧力センサ30によって検出される改質ガスの圧力に対応する。アンモニア濃度関係情報におけるアンモニア濃度(例えば、80%、25%、・・・)は、第1改質ガス通路36を流れる改質ガスに含まれるアンモニアの濃度に対応する。アンモニア濃度関係情報は、例えば、予め実験や解析に基づいて作成されている。アンモニア濃度関係情報は、図2に示すテーブルに限られず、例えば、グラフや関数で示されていてもよい。制御器50は、温度センサ28の検出温度と、圧力センサ30の検出圧力と、アンモニア濃度関係情報とに基づいて、第1改質ガス通路36を流れる改質ガスに含まれるアンモニアの濃度を推定する。例えば、温度センサ28の検出温度が100℃であり、圧力センサ30の検出圧力が0kPaである場合、制御器50は、アンモニア濃度関係情報に基づいて、改質ガスに含まれるアンモニアの濃度を80%と推定する。
【0042】
(三方弁制御処理;図3
次に、第1実施例の三方弁制御処理について説明する。第1実施例の三方弁制御処理は、例えば、使用済みの第1除去器16が未使用の新しい第1除去器16に交換されると開始される。第1実施例の三方弁制御処理が開始される時点では、第1三方弁24および第2三方弁26が第1状態であるとする。第1三方弁24が第1状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給される。第1三方弁24が第1状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されない。また、第2三方弁26が第1状態であるときは、第1除去器16で生成された燃料ガスが第1燃料ガス通路40を通じて燃料電池20に供給される。第2三方弁26が第1状態であるときは、第2除去器18で生成された燃料ガスが第2燃料ガス通路42を通じて燃料電池20に供給されない。なお、第1三方弁24および第2三方弁26が第1状態である間に、使用済みの第2除去器18が未使用の新しい第2除去器18に交換されるとする。
【0043】
燃料電池システム2では、制御器50が、温度センサ28から所定の時間間隔(例えば、5秒間隔)で検出温度の情報を取得している。また、制御器50は、圧力センサ30から所定の時間間隔(例えば、5秒間隔)で検出圧力の情報を取得している。制御器50は、温度センサ28から取得する検出温度の情報と、圧力センサ30から取得する検出圧力の情報と、記憶部52に記憶されているアンモニア濃度関係情報(図2参照)とに基づいて、所定の時間間隔(例えば、5秒間隔)でアンモニア濃度を特定する。例えば、温度センサ28の検出温度が100°であり、圧力センサ30の検出圧力が0kPaであるときは、制御器50は、アンモニア濃度関係情報に基づいて、第1改質ガス通路36を流れる改質ガスに含まれるアンモニアの濃度が80%であると推定する。
【0044】
図3に示すように、三方弁制御処理のS2では、制御器50が、アンモニア濃度関係情報(図2参照)に基づいて特定したアンモニア濃度を時間積分する。制御器50は、図4に示すように、所定の時間間隔(例えば、5秒間隔)でアンモニア濃度を逐次加算してゆく。
【0045】
図3に示すように、続くS4では、制御器50が、アンモニア濃度の時間積分値が所定の第1積分基準値に達したか否かを判断する。アンモニア濃度の時間積分値が第1積分基準値に達した場合(YESの場合)、処理はS6に進む。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第1積分基準値に達した場合は、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量に達したと判断する。所定の第1基準量は、第1除去器16が除去することができるアンモニア量を限界除去量とすると、その限界除去量以下の量である。所定の第1積分基準値は、第1基準量に対応する値に設定される。第1積分基準値および第1基準量は、例えば、予め実験や解析に基づいて求められる。
【0046】
S4でアンモニア濃度の時間積分値が第1積分基準値に達しない場合(NOの場合)、処理はS2に戻る。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第1積分基準値に達しない場合は、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量に達しないと判断する。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第1積分基準値に達するまでアンモニア濃度の時間積分を繰り返し実行する。
【0047】
S4でYESの後のS6では、制御器50が、第1三方弁24および第2三方弁26を第1状態から第2状態に切り替える。第1三方弁24が第2状態に切り替えられると、改質器14で生成された改質ガスが第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給される。第1三方弁24が第2状態に切り替えられると、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されない。また、第2三方弁26が第2状態に切り替えられると、第2除去器18で生成された燃料ガスが第2燃料ガス通路42を通じて燃料電池20に供給される。第2三方弁26が第2状態に切り替えられると、第1除去器16で生成された燃料ガスが第1燃料ガス通路40を通じて燃料電池20に供給されない。
【0048】
S6の処理が実行された後であって後述するS12の処理が実行される前に、使用済みの第1除去器16が未使用の新しい第1除去器16に交換される。例えば、燃料電池システム2のユーザが第1除去器16を交換する。
【0049】
S6に続くS8では、制御器50が、上記のS2と同様に、アンモニア濃度関係情報に基づいて特定したアンモニア濃度を時間積分する。続くS10では、制御器50が、アンモニア濃度の時間積分値が所定の第2積分基準値に達したか否かを判断する。所定の第2積分基準値は、上記のS4における第1積分基準値と同じ値であっても異なる値であってもよい。アンモニア濃度の時間積分値が第2積分基準値に達した場合(YESの場合)、処理はS12に進む。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第2積分基準値に達した場合は、第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されるアンモニアの量が所定の第2基準量に達したと判断する。所定の第2基準量は、第2除去器18が除去することができるアンモニア量を限界除去量とすると、その限界除去量以下の量である。所定の第2積分基準値は、第2基準量に対応する値に設定される。第2積分基準値および第2基準量は、例えば、予め実験や解析に基づいて求められる。
【0050】
S10でアンモニア濃度の時間積分値が第2積分基準値に達しない場合(NOの場合)、処理はS8に戻る。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第2積分基準値に達しない場合は、第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されるアンモニアの量が所定の第2基準量に達しないと判断する。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第2積分基準値に達するまでアンモニア濃度の時間積分を繰り返し実行する。
【0051】
S10でYESの後のS12では、制御器50が、第1三方弁24および第2三方弁26を第2状態から第1状態に切り替える。第1三方弁24が第1状態に切り替えられると、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給される。第2三方弁26が第1状態に切り替えられると、第1除去器16で生成された燃料ガスが第1燃料ガス通路40を通じて燃料電池20に供給される。S12の後、処理は上記のS2に戻り、S2からS12の処理が繰り返し実行される。
【0052】
S12の処理が実行された後であって上述したS6の処理が実行される前に、使用済みの第2除去器18が未使用の新しい第2除去器18に交換される。例えば、燃料電池システム2のユーザが第2除去器18を交換する。なお、三方弁制御処理は、例えば、所定の終了指示に基づいて適宜終了する。
【0053】
(効果)
以上、第1実施例の燃料電池システム2について説明した。以上のように、燃料電池システム2は、第1改質ガス通路36を流れる改質ガスの温度を検出する温度センサ28と、第1改質ガス通路36を流れる改質ガスの圧力を検出する圧力センサ30と、第1改質ガス通路36に設けられた第1三方弁24と、第1改質ガス通路36を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第1除去器16とを備えている。第1三方弁24は、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に改質ガスが供給される第1状態と、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に改質ガスが供給されない第2状態とに切り替え可能に構成されている。制御器50は、センサ28、30の検出値に基づいて第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量に達したと判断する場合に、第1三方弁24を第1状態から第2状態に切り替える(S4、S6)。制御器50は、温度センサ28の検出温度と圧力センサ30の検出圧力とから推定されるアンモニアの濃度を時間積分した積分値が所定の第1積分基準値に達した場合に、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が第1基準量に達したと判断する(S2、S4)。また、燃料電池システム2は、第1除去器16によって生成された燃料ガスを用いて発電する燃料電池20を備えている。
【0054】
この構成によれば、第1除去器16に供給されるアンモニアの量が第1基準量に達したと判断する場合に第1三方弁24を第1状態から第2状態に切り替えることにより、第1除去器16が破過する直前まで第1除去器16に改質ガスを供給することができる。第1基準量は第1除去器16のアンモニア除去能力に応じた量である。これにより、第1除去器16をその能力の限界まで使用することができ、その結果、第1除去器16の交換頻度を少なくすることができる。また、第1除去器16が破過することを防止することができる。また、温度センサ28と圧力センサ30を用いることにより、第1除去器16に供給されるアンモニアの量を精度良く推定することができる。ことにより、第1三方弁24を第1状態から第2状態に切り替えるタイミングを精度良く制御することができる。また、第1除去器16を能力の限界まで使用しつつ、第1除去器16が破過して改質ガスに含まれるアンモニアが燃料電池20に供給されることを抑制することができる。
【0055】
また、燃料電池システム2は、第1三方弁24を介して第1改質ガス通路36から分岐している第2改質ガス通路38と、第2改質ガス通路38を通過した改質ガスからアンモニアを除去することにより燃料ガスを生成する第2除去器18とを備えている。第1三方弁24は、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に改質ガスが供給される一方で第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に改質ガスが供給されない第1状態と、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に改質ガスが供給されない一方で第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に改質ガスが供給される第2状態とに切り替え可能に構成されている。
【0056】
この構成によれば、第1除去器16を能力の限界まで使用したタイミングで第1除去器16に代えて第2除去器18を使用することができる。これにより、燃料電池システム2を連続的かつ効率的に使用することができる。
【0057】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上記の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
(第2実施例)
上記の第1実施例の燃料電池システム2は、第1三方弁24と第2三方弁26を備えていたが、この構成に限定されない。図5に示すように、第2実施例の燃料電池システム2は、第1三方弁24と第2三方弁26に代えて、第1開閉弁60と、第2開閉弁62と、第3開閉弁64と、第4開閉弁66とを備えている。
【0059】
第1開閉弁60は、第1改質ガス通路36に設けられており、第1改質ガス通路36を開閉する。第1開閉弁60は、開弁状態(第1状態の一例)と閉弁状態(第2状態の一例)とに切り替え可能に構成されている。第1開閉弁60が開弁状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給される。第1開閉弁60が閉弁状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されない。また、第1開閉弁60は、開弁状態において開度制御可能である。
【0060】
第2開閉弁62は、第2改質ガス通路38に設けられており、第2改質ガス通路38を開閉する。第2改質ガス通路38は、上流端が第1開閉弁60よりも上流側の第1改質ガス通路36に接続されており、下流端が第2除去器18に接続されている。第2改質ガス通路38は、第1開閉弁60よりも上流側、かつ、温度センサ28、圧力センサ30、および熱交換器31よりも下流側の第1改質ガス通路36から分岐している。第2開閉弁62は、開弁状態(第1状態の一例)と閉弁状態(第2状態の一例)とに切り替え可能に構成されている。第2開閉弁62が開弁状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第1開閉弁60よりも上流側の第1改質ガス通路36および第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給される。第2開閉弁62が閉弁状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されない。また、第2開閉弁62は、開弁状態において開度制御可能である。
【0061】
第3開閉弁64は、第1燃料ガス通路40に設けられており、第1燃料ガス通路40を開閉する。第3開閉弁64は、開弁状態と閉弁状態とに切り替え可能に構成されている。第3開閉弁64が開弁状態であるときは、第1除去器16で生成された燃料ガスが第1燃料ガス通路40を通じて燃料電池20に供給される。第3開閉弁64が閉弁状態であるときは、第1除去器16で生成された燃料ガスが第1燃料ガス通路40を通じて燃料電池20に供給されない。また、第3開閉弁64は、開弁状態において開度制御可能である。
【0062】
第4開閉弁66は、第2燃料ガス通路42に設けられており、第2燃料ガス通路42を開閉する。第2燃料ガス通路42は、上流端が第2除去器18に接続されており、下流端が第3開閉弁64よりも下流側の第1燃料ガス通路40に接続されている。第2燃料ガス通路42は、第3開閉弁64よりも下流側の第1燃料ガス通路40に合流している。第4開閉弁66は、開弁状態と閉弁状態とに切り替え可能に構成されている。第4開閉弁66が開弁状態であるときは、第2除去器18で生成された燃料ガスが第2燃料ガス通路42および第3開閉弁64よりも下流側の第1燃料ガス通路40を通じて燃料電池20に供給される。第4開閉弁66が閉弁状態であるときは、第2除去器18で生成された燃料ガスが第2燃料ガス通路42を通じて燃料電池20に供給されない。また、第4開閉弁66は、開弁状態において開度制御可能に構成されている。
【0063】
(開閉弁制御処理;図6
次に、第2実施例の開閉弁制御処理について説明する。第2実施例の開閉弁制御処理は、例えば、使用済みの第1除去器16が未使用の新しい第1除去器16に交換されると開始される。第2実施例の開閉弁制御処理が開始される時点では、第1開閉弁60および第3開閉弁64が開弁状態であり、第2開閉弁62および第4開閉弁66が閉弁状態であるとする。また、第1開閉弁60および第3開閉弁64の開度はXであるとする(図7参照)。第1開閉弁60が開弁状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給される。第3開閉弁64が開弁状態であるときは、第1除去器16で生成された燃料ガスが第1燃料ガス通路40を通じて燃料電池20に供給される。また、第2開閉弁62が閉弁状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されない。第4開閉弁66が閉弁状態であるときは、第2除去器18で生成された燃料ガスが第2燃料ガス通路42を通じて燃料電池20に供給されない。なお、第2開閉弁62および第4開閉弁66が閉弁状態である間に、使用済みの第2除去器18が未使用の新しい第2除去器18に交換されるとする。
【0064】
図6に示すように、開閉弁制御処理のS2では、第1実施例の三方弁制御処理(図3参照)のS2と同様に、制御器50が、アンモニア濃度関係情報(図2参照)に基づいて特定したアンモニア濃度を時間積分する。
【0065】
続くS20では、制御器50が、アンモニア濃度の時間積分値が所定の第3積分基準値に達したか否かを判断する。アンモニア濃度の時間積分値が第3積分基準値に達した場合(YESの場合)、処理はS22に進む。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第3積分基準値に達した場合は、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が所定の第3基準量に達したと判断する。S20における所定の第3積分基準値は、後述するS4における第1積分基準値未満の値であり、S20における所定の第3基準量は、S4における第1基準量未満の量である。第3積分基準値および第3基準量は、例えば、予め実験や解析に基づいて求められる。
【0066】
S20でアンモニア濃度の時間積分値が第3積分基準値に達しない場合(NOの場合)、処理はS2に戻る。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第3積分基準値に達しない場合は、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が所定の第3基準量に達しないと判断する。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第3積分基準値に達するまでアンモニア濃度の時間積分を繰り返し実行する。
【0067】
S20でYESの後のS22では、制御器50が、第2開閉弁62および第4開閉弁66を閉弁状態から開弁状態に切り替える。また、S22では、制御器50が、第2開閉弁62の開度を第1開閉弁60の開度(X)未満の開度Yに制御する(図7参照)。また、制御器50が、第4開閉弁66の開度を第3開閉弁64の開度(X)未満の開度Yに制御する(図7参照)。なお、第2開閉弁62の開度と第4開閉弁66の開度とは、同じ開度であっても異なる開度であってもよい。第2開閉弁62が開弁状態に切り替えられると、改質器14で生成された改質ガスが第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給される。第4開閉弁66が開弁状態に切り替えられると、第2除去器18で生成された燃料ガスが第2燃料ガス通路42を通じて燃料電池20に供給される。
【0068】
S22に続くS24では、制御器50が、上記のS2と同様に、アンモニア濃度関係情報(図2参照)に基づいて特定したアンモニア濃度を時間積分する。続くS4では、第1実施例の三方弁制御処理(図3参照)のS4と同様に、制御器50が、アンモニア濃度の時間積分値が所定の第1積分基準値に達したか否かを判断する。アンモニア濃度の時間積分値が第1積分基準値に達した場合(YESの場合)、処理はS26に進む。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第1積分基準値に達した場合は、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量に達したと判断する。一方、アンモニア濃度の時間積分値が第1積分基準値に達しない場合(NOの場合)、処理はS24に戻る。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第1積分基準値に達しない場合は、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量に達しないと判断する。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第1積分基準値に達するまでアンモニア濃度の時間積分を繰り返し実行する。
【0069】
S4でYESの後のS26では、制御器50が、第2開閉弁62および第4開閉弁66の開度を大きくする(図7参照)。例えば、制御器50は、第2開閉弁62および第4開閉弁66の開度をXにする。なお、第2開閉弁62および第4開閉弁66の開度は、同じ開度であっても異なる開度であってもよい。また、S26では、制御器50が、第1開閉弁60および第3開閉弁64を開弁状態から閉弁状態に切り替える(図7参照)。第1開閉弁60が閉弁状態に切り替えられると、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されない。第3開閉弁64が閉弁状態に切り替えられると、第1除去器16で生成された燃料ガスが第1燃料ガス通路40を通じて燃料電池20に供給されない。
【0070】
S26の処理が実行された後であって後述するS30の処理が実行される前に、使用済みの第1除去器16が未使用の新しい第1除去器16に交換される。例えば、燃料電池システム2のユーザが第1除去器16を交換する。
【0071】
S26に続くS8では、制御器50が、上記のS2と同様に、アンモニア濃度関係情報に基づいて特定したアンモニア濃度を時間積分する。続くS28では、制御器50が、アンモニア濃度の時間積分値が所定の第4積分基準値に達したか否かを判断する。アンモニア濃度の時間積分値が第4積分基準値に達した場合(YESの場合)、処理はS30に進む。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第4積分基準値に達した場合は、第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されるアンモニアの量が所定の第4基準量に達したと判断する。S28における所定の第4積分基準値は、後述するS10における第2積分基準値未満の値であり、S28における所定の第4基準量は、S10における第2基準量未満の量である。第4積分基準値および第4基準量は、例えば、予め実験や解析に基づいて求められる。
【0072】
S28でアンモニア濃度の時間積分値が第4積分基準値に達しない場合(NOの場合)、処理はS8に戻る。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第4積分基準値に達しない場合は、第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されるアンモニアの量が所定の第4基準量に達しないと判断する。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第4積分基準値に達するまでアンモニア濃度の時間積分を繰り返し実行する。
【0073】
S28でYESの後のS30では、制御器50が、第1開閉弁60および第3開閉弁64を閉弁状態から開弁状態に切り替える。また、S30では、制御器50が、第1開閉弁60の開度を第2開閉弁62の開度(X)未満の開度Yに制御する(図7参照)。また、制御器50が、第3開閉弁64の開度を第4開閉弁66の開度(X)未満の開度Yに制御する。なお、第1開閉弁60の開度と第3開閉弁64の開度とは、同じ開度であっても異なる開度であってもよい。第1開閉弁60が開弁状態に切り替えられると、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給される。第3開閉弁64が開弁状態に切り替えられると、第1除去器16で生成された燃料ガスが第1燃料ガス通路40を通じて燃料電池20に供給される。
【0074】
S30に続くS32では、制御器50が、上記のS8と同様に、アンモニア濃度関係情報(図2参照)に基づいて特定したアンモニア濃度を時間積分する。続くS10では、第1実施例の三方弁制御処理(図3参照)のS10と同様に、制御器50が、アンモニア濃度の時間積分値が所定の第2積分基準値に達したか否かを判断する。アンモニア濃度の時間積分値が第2積分基準値に達した場合(YESの場合)、処理はS34に進む。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第2積分基準値に達した場合は、第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されるアンモニアの量が所定の第2基準量に達したと判断する。一方、アンモニア濃度の時間積分値が第2積分基準値に達しない場合(NOの場合)、処理はS32に戻る。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第2積分基準値に達しない場合は、第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されるアンモニアの量が所定の第2基準量に達しないと判断する。制御器50は、アンモニア濃度の時間積分値が第2積分基準値に達するまでアンモニア濃度の時間積分を繰り返し実行する。
【0075】
S10でYESの後のS34では、制御器50が、第1開閉弁60および第3開閉弁64の開度を大きくする(図7参照)。例えば、制御器50が、第1開閉弁60および第3開閉弁64の開度をXにする。なお、第1開閉弁60および第3開閉弁64の開度は、同じ開度であっても異なる開度であってもよい。また、S34では、制御器50が、第2開閉弁62および第4開閉弁66を開弁状態から閉弁状態に切り替える(図7参照)。第2開閉弁62が閉弁状態に切り替えられると、改質器14で生成された改質ガスが第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されない。第4開閉弁66が閉弁状態に切り替えられると、第2除去器18で生成された燃料ガスが第2燃料ガス通路42を通じて燃料電池20に供給されない。S34の後、処理は上記のS2に戻り、S2からS34の処理が繰り返し実行される。
【0076】
S34の処理が実行された後であって上述したS22の処理が実行される前に、使用済みの第2除去器18が未使用の新しい第2除去器18に交換される。例えば、燃料電池システム2のユーザが第2除去器18を交換する。なお、開閉弁制御処理は、例えば、所定の終了指示に基づいて適宜終了する。
【0077】
(効果)
以上、第2実施例の燃料電池システム2について説明した。以上のように、燃料電池システム2は、第1改質ガス通路36と、第1改質ガス通路36に設けられた第1開閉弁60と、第1開閉弁60よりも上流側の第1改質ガス通路36から分岐している第2改質ガス通路38と、第2改質ガス通路38に設けられた第2開閉弁62とを備えている。第1開閉弁60および第2開閉弁62は、それぞれ、開弁状態と閉弁状態とに切り替え可能に構成されている。制御器50は、センサ28、30の検出値に基づいて第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が所定の第3基準量に達したと判断する場合に、第2開閉弁62を閉弁状態から開弁状態に切り替えると共に第2開閉弁62の開度を第1開閉弁60の開度未満の開度に制御する(S20、S22)。制御器50は、温度センサ28の検出温度と圧力センサ30の検出圧力とから推定されるアンモニアの濃度を時間積分した積分値が所定の第1積分基準値に達した場合に、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が第1基準量に達したと判断する(S2、S20)。
【0078】
この構成によれば、第1除去器16と第2除去器18を並行して使用する期間を設けることができる。これにより、第1除去器16から第2除去器18に切り替えるときに、改質ガスの流れが途切れることなく切り替えをスムーズに行うことができる。
【0079】
制御器50は、第2開閉弁62の開度を第1開閉弁60の開度未満の開度に制御した後にセンサ28、30の検出値に基づいて第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量に達したと判断する場合に、第2開閉弁62の開度を大きくする(S24、S4、S26)。この構成によれば、第1除去器16を能力の限界まで使用したタイミングでスムーズに第2除去器18に切り替えることができる。
【0080】
(第3実施例)
上記の第2実施例の燃料電池システム2は、第1開閉弁60と第2開閉弁62を備えていたが、この構成に限定されない。図8に示すように、第3実施例の燃料電池システム2は、第1開閉弁60と第2開閉弁62に代えて、第1ポンプ80と第2ポンプ82を備えている。
【0081】
第1ポンプ80は、第1改質ガス通路36に設けられており、第1改質ガス通路36の上流側から下流側へ改質ガスを圧送する。第1ポンプ80は、動作状態と停止状態とに切り替え可能に構成されている。第1ポンプ80が動作状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給される。第1ポンプ80が停止状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されない。第1ポンプ80は、動作状態において出力制御可能に構成されている。
【0082】
第2ポンプ82は、第2改質ガス通路38に設けられており、第2改質ガス通路38の上流側から下流側へ改質ガスを圧送する。第2ポンプ82は、動作状態と停止状態とに切り替え可能に構成されている。第2ポンプ82が動作状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給される。第2ポンプ82が停止状態であるときは、改質器14で生成された改質ガスが第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されない。第2ポンプ82は、動作状態において出力制御可能に構成されている。
【0083】
(ポンプ制御処理;図9
次に、第3実施例のポンプ制御処理について説明する。図9に示すように、ポンプ制御処理では、第2実施例の開閉弁制御処理(図6参照)のS22、S26、S30、S34の処理に代えて、それぞれ、S42、S46、S50、S54の処理が実行される。第3実施例のポンプ制御処理が開始される時点では、第1ポンプ80が動作状態であり、第2ポンプ82が停止状態であるとする。第1ポンプ80の出力はVであるとする(図10参照)。以下では、ポンプ制御処理において開閉弁制御処理(図6参照)と同様の処理については説明を省略する。
【0084】
ポンプ制御処理のS42では、制御器50が、第2ポンプ82を停止状態から動作状態に切り替える。また、S42では、制御器50が、第2ポンプ82の出力を第1ポンプ80の出力(V)未満の出力Wに制御する(図10参照)。第2ポンプ82が動作状態に切り替えられると、改質器14で生成された改質ガスが第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給される。なお、S42では、S22(図6参照)と同様に、制御器50が、第4開閉弁66を閉弁状態から開弁状態に切り替える。また、制御器50が、第4開閉弁66の開度を第3開閉弁64の開度(X)未満の開度Yに制御する(図7参照)。
【0085】
図9に示すS46では、制御器50が、第2ポンプ82の出力を大きくする(図10参照)。例えば、制御器50が、第2ポンプ82の出力をVにする。また、S46では、制御器50が、第1ポンプ80を動作状態から停止状態に切り替える(図10参照)。第1ポンプ80が停止状態に切り替えられると、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されない。なお、S46では、S26(図6参照)と同様に、制御器50が、第4開閉弁66の開度を大きくする(図7参照)。また、制御器50が、第3開閉弁64を開弁状態から閉弁状態に切り替える。
【0086】
図9に示すS50では、制御器50が、第1ポンプ80を停止状態から動作状態に切り替える。また、S50では、制御器50が、第1ポンプ80の出力を第2ポンプ82の出力(V)未満の出力Wに制御する(図10参照)。第1ポンプ80が動作状態に切り替えられると、改質器14で生成された改質ガスが第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給される。なお、S50では、S30(図6参照)と同様に、制御器50が、第3開閉弁64を閉弁状態から開弁状態に切り替える。また、制御器50が、第3開閉弁64の開度を第4開閉弁66の開度(X)未満の開度Yに制御する(図7参照)。
【0087】
図9に示すS54では、制御器50が、第1ポンプ80の出力を大きくする(図10参照)。例えば、制御器50が、第1ポンプ80の出力をVにする。また、S54では、制御器50が、第2ポンプ82を動作状態から停止状態に切り替える(図10参照)。第2ポンプ82が停止状態に切り替えられると、改質器14で生成された改質ガスが第2改質ガス通路38を通じて第2除去器18に供給されない。なお、S54では、S34(図6参照)と同様に、制御器50が、第3開閉弁64の開度を大きくする(図7参照)。また、制御器50が、第4開閉弁66を開弁状態から閉弁状態に切り替える。
【0088】
(効果)
以上、第3実施例の燃料電池システム2について説明した。以上のように、燃料電池システム2は、第1改質ガス通路36に設けられた第1ポンプ80を備えている。制御器50は、センサ28、30の検出値に基づいて第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が所定の第1基準量に達したと判断する場合に、第1ポンプ80を動作状態から停止状態に切り替える。この構成によれば、第1実施例および第2実施例の燃料電池システム2と同様に、第1除去器16を能力の限界まで使用することができ、第1除去器16の交換頻度を少なくすることができる。
【0089】
また、燃料電池システム2は、第2改質ガス通路38に設けられた第2ポンプ82を備えている。制御器50は、センサ28、30の検出値に基づいて第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が所定の第3基準量に達したと判断する場合に、第2ポンプ82を停止状態から動作状態に切り替えると共に第2ポンプ82の出力を第1ポンプ80の出力未満の出力に制御する。この構成によれば、第2実施例の燃料電池システム2と同様に、第1除去器16から第2除去器18に切り替えるときに、改質ガスの流れが途切れることなく切り替えをスムーズに行うことができる。
【0090】
(変形例)
(1)いくつかの実施形態では、温度センサ28が、熱交換器31と第1三方弁24との間に設けられていてもよい。温度センサ28は、熱交換器31よりも下流側、かつ、第1三方弁24よりも上流側において、第1改質ガス通路36を流れる改質ガスの温度を検出してもよい。すなわち、温度センサ28は、熱交換器31により熱交換された後の改質ガスの温度を検出してもよい。
【0091】
(2)いくつかの実施形態では、圧力センサ30が、熱交換器31と第1三方弁24との間に設けられていてもよい。圧力センサ30は、熱交換器31よりも下流側、かつ、第1三方弁24よりも上流側において、第1改質ガス通路36を流れる改質ガスの圧力を検出してもよい。すなわち、圧力センサ30は、熱交換器31により熱交換された後の改質ガスの圧力を検出してもよい。
【0092】
(第4実施例)
上記の燃料電池システム2は、温度センサ28および圧力センサ30を備える構成であったが、この構成に限定されない。また、上記の燃料電池システム2は、アンモニア濃度を時間積分する構成であったが、この構成に限定されない。第4実施例の燃料電池システム2は、図11に示すように、流量センサ70を備えている。流量センサ70は、第1三方弁24よりも上流側の第1改質ガス通路36に設けられており、第1三方弁24よりも上流側の第1改質ガス通路36を流れる改質ガスの流量を検出する。制御器50は、流量センサ70の検出流量の時間積分値が所定の積分基準値に達した場合に、第1三方弁24を第1状態から第2状態に切り替える。制御器50は、流量センサ70の検出流量の時間積分値が所定の積分基準値に達した場合に、第1改質ガス通路36を通じて第1除去器16に供給されるアンモニアの量が第1基準量に達したと判断する(図3のS4、S6参照)。なお、第2基準量、第3基準量、第4基準量についても同様である。また、燃料電池システム2が第1三方弁24に代えて第1開閉弁60および第2開閉弁62を備える構成においても同様である。また、燃料電池システム2が第1ポンプおよび第2ポンプを備える構成においても同様である。なお、明細書における第1、第2、第3、第4の区別は、便宜上の区別である。
【0093】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0094】
2:燃料電池システム、10:原料タンク、12:気化器、14:改質器、15:加熱器、16:第1除去器、18:第2除去器、20:燃料電池、22:ポンプ、24:第1三方弁、26:第2三方弁、28:温度センサ、30:圧力センサ、32:液体通路、34:原料ガス通路、36:第1改質ガス通路、38:第2改質ガス通路、40:第1燃料ガス通路、42:第2燃料ガス通路、44:空気通路、46:排ガス通路、50:制御器、52:記憶部、60:第1開閉弁、62:第2開閉弁、64:第3開閉弁、66:第4開閉弁、70:流量センサ、80:第1ポンプ、82:第2ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11