(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122454
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】自律走行型ロボット、セキュリティシステム、走行制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230825BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026176
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】本山 裕之
(72)【発明者】
【氏名】本田 廉治
(72)【発明者】
【氏名】三浦 祐太
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB10
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
5H301KK10
(57)【要約】
【課題】セキュリティゲートでの安全性を担保しつつセキュリティゲートを通過することができる自律走行型ロボットを提供する。
【解決手段】自律走行型ロボット100は、所定のエリア内を自律的に走行する自律走行型ロボットであって、自律走行型ロボット100の周囲に存在する移動物体1を検出する検出部135と、自律走行型ロボット100の走行を制御する走行制御部138と、を備え、走行制御部138は、自律走行型ロボット100が所定のエリアに設置されたセキュリティゲート250を通過する前に、検出部135によりセキュリティゲート250の通過前のエリアにおいて移動物体1が検出された場合、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250の通過を回避するように制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のエリア内を自律的に走行する自律走行型ロボットであって、
前記自律走行型ロボットの周囲に存在する移動物体を検出する検出部と、
前記自律走行型ロボットの走行を制御する走行制御部と、
を備え、
前記走行制御部は、前記自律走行型ロボットが前記所定のエリアに設置されたセキュリティゲートを通過する前に、前記検出部により前記セキュリティゲートの通過前のエリアにおいて前記移動物体が検出された場合、前記自律走行型ロボットが前記セキュリティゲートの通過を回避するように制御する、
自律走行型ロボット。
【請求項2】
前記走行制御部は、前記検出部により前記移動物体が検出された後、当該移動物体が検出されなくなってから所定期間経過した場合、前記自律走行型ロボットが前記セキュリティゲートを通過するように制御する、
請求項1に記載の自律走行型ロボット。
【請求項3】
さらに、前記検出部により検出された前記移動物体が前記セキュリティゲートの通行許可を有するか否かの情報を取得し、取得された前記情報に基づいて前記自律走行型ロボットが前記セキュリティゲートを通過しても良いか否かを判定する判定部を備え、
前記走行制御部は、
前記判定部により前記自律走行型ロボットが前記セキュリティゲートを通過しても良いと判定された場合、前記自律走行型ロボットが前記セキュリティゲートを通過するように制御し、
前記判定部により前記自律走行型ロボットが前記セキュリティゲートを通過しても良いと判定されなかった場合、前記自律走行型ロボットが前記セキュリティゲートの通過を回避するように制御する、
請求項1又は2に記載の自律走行型ロボット。
【請求項4】
前記判定部は、さらに、取得された前記情報に基づいて前記自律走行型ロボットが前記移動物体に追従可能か否かを判定し、
前記走行制御部は、前記判定部により前記自律走行型ロボットが前記移動物体に追従可能であると判定された場合、前記移動物体を追従して前記セキュリティゲートを通過するように制御する、
請求項3に記載の自律走行型ロボット。
【請求項5】
さらに、前記自律走行型ロボットが前記セキュリティゲートを通過することを含む走行計画を作成する走行計画作成部を備え、
前記走行制御部は、前記走行計画に基づいて前記自律走行型ロボットの走行を制御する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の自律走行型ロボット。
【請求項6】
さらに、前記自律走行型ロボットが前記セキュリティゲートを通過することを報知する報知部を備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の自律走行型ロボット。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の自律走行型ロボットと、
前記自律走行型ロボットの本体の周囲に存在する前記移動物体が前記セキュリティゲートの通行許可を有するか否かの情報を認証結果として前記自律走行型ロボットに送信する認証装置と、
を備える、
セキュリティシステム。
【請求項8】
所定のエリア内を自律的に走行する自律走行型ロボットによる走行制御方法であって、
前記自律走行型ロボットの周囲に存在する移動物体を検出する検出ステップと、
前記自律走行型ロボットの走行を制御する走行制御ステップと、
を含み、
前記走行制御ステップでは、前記自律走行型ロボットが前記所定のエリアに設置されたセキュリティゲートを通過する前に、前記検出ステップで前記セキュリティゲートの通過前のエリアにおいて前記移動物体が検出された場合、前記自律走行型ロボットが前記セキュリティゲートの通過を回避するように制御する、
走行制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の走行制御方法をコンピュータに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律走行型ロボット、セキュリティシステム、走行制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、移動物体と適切な距離を保って追従する追従移動装置であって、周囲の状況に応じて移動物体との距離を広げる、又は、所定の位置で移動物体の戻りを待つなどの追従動作の制御が可能な追従移動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、例えば、移動物体がセキュリティゲートを通過する場合に、セキュリティゲートの通行許可を有しない他の移動物体(例えば、人)も追従型移動装置と共にセキュリティゲートを通過する可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、セキュリティゲートでの安全性を担保しつつセキュリティゲートを通過することができる自律走行型ロボット等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る自律走行型ロボットは、所定のエリア内を自律的に走行する自律走行型ロボットであって、前記自律走行型ロボットの周囲に存在する移動物体を検出する検出部と、前記自律走行型ロボットの走行を制御する走行制御部と、を備え、前記走行制御部は、前記自律走行型ロボットが前記所定のエリアに設置されたセキュリティゲートを通過する前に、前記検出部により前記セキュリティゲートの通過前のエリアにおいて前記移動物体が検出された場合、前記自律走行型ロボットが前記セキュリティゲートの通過を回避するように制御する。
【0007】
また、本開示の一態様に係るセキュリティシステムは、前記自律走行型ロボットと、前記移動物体が前記セキュリティゲートの通行許可を有するか否かの情報を認証結果として前記自律走行型ロボットに送信する認証装置と、を備える。
【0008】
また、本開示の一態様に係る走行制御方法は、所定のエリア内を自律的に走行する自律走行型ロボットによる走行制御方法であって、前記自律走行型ロボットの周囲に存在する移動物体を検出する検出ステップと、前記自律走行型ロボットの走行を制御する走行制御ステップと、を含み、前記走行制御ステップでは、前記自律走行型ロボットが前記所定のエリアに設置されたセキュリティゲートを通過する前に、前記検出ステップで前記セキュリティゲートの通過前のエリアにおいて前記移動物体が検出された場合、前記自律走行型ロボットが前記セキュリティゲートの通過を回避するように制御する。
【0009】
なお、本開示は、上記走行制御方法をコンピュータに実施させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、上記プログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能なCD-ROM等の非一時的な記録媒体として実現されてもよい。また、本開示は、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現されてもよい。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の自律走行型ロボット等は、セキュリティゲートでの安全性を担保しつつセキュリティゲートを通過することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るセキュリティシステムの概要を説明するための図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るセキュリティシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る自律走行型ロボットを側方向から見た外観を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る自律走行型ロボットを正面方向から見た外観を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る自律走行型ロボットを裏面方向から見た外観を示す底面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る自律走行型ロボットの動作の第1の例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、自律走行型ロボットの動作の第1の例を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、自律走行型ロボットがセキュリティゲートを通過する例を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る自律走行型ロボットの動作の第2の例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、自律走行型ロボットの動作の第2の例を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、自律走行型ロボットがセキュリティゲートを通過する他の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示に係る走行用地図作成装置等の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
なお、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0014】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0015】
また、以下の実施の形態においては、所定のフロアの床面を走行する自律走行型ロボットを鉛直上方側から見た場合を上面視とし、鉛直下方側から見た場合を底面視として記載する場合がある。
【0016】
(実施の形態1)
[セキュリティシステム]
[1.概要]
まず、実施の形態1に係るセキュリティシステムの概要について説明する。
図1は、実施の形態1に係るセキュリティシステムの概要を説明するための図である。
【0017】
セキュリティシステム300は、例えば、通行許可を有しない移動物体1(例えば、人又は移動ロボットなど)が自律走行型ロボット100と共にセキュリティゲート250を通過しないように、セキュリティゲート250の安全性を担保しながら自律走行型ロボット100を通過させるシステムである。セキュリティシステム300は、例えば、自律走行型ロボット100と、認証装置200とを備える。認証装置200は、例えば、自律走行型ロボット100の周囲の人がセキュリティゲート250の通行許可を有しているか否かの情報を認証結果として自律走行型ロボット100に送信する。自律走行型ロボット100は、当該情報を取得して、セキュリティゲート250を通過して良いか否かを判定してもよい。なお、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250の通行許可を有しているが、有していなくてもよい。この場合、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250の通行許可を有する移動物体1(人又は移動ロボット)に追従してセキュリティゲート250を通過してもよい。
【0018】
セキュリティゲート250は、例えば、所定のエリアに設けられており、認証された移動物体1のみ通過を許可する。所定のエリアは、例えば、空港、オフィス、学校、公共施設、介護施設、商業施設、ホテル、病院、美術館、図書館、イベント会場、マンションなどの建物又は空間内の人の出入りを制限するエリアであってもよいし、それらの建物又は空間への出入り口が設けられたエリアであってもよい。
【0019】
自律走行型ロボット100の動作は、例えば、セキュリティゲート250を通過可能な状態になるまで待機する、単独でセキュリティゲート250を通過する、又は、セキュリティゲート250の通行許可を有する移動物体1に追従してセキュリティゲート250を通過するなどである。
【0020】
例えば、セキュリティシステム300では、認証装置200は、センサ240により取得されるセンシング情報に基づいて移動物体1がセキュリティゲート250の通過許可を有するか否かの認証を行い、認証結果を自律走行型ロボット100に送信する。さらに、認証装置200は、上記の情報に加えて、移動物体1と自律走行型ロボット100との位置関係を示す情報を自律走行型ロボット100に送信してもよい。これにより、自律走行型ロボット100は、例えば、自己の周囲の複数の移動物体1のうちどの移動物体1が通行許可を有するか否かを推定することができる。
【0021】
[2.構成]
続いて、セキュリティシステム300の構成について説明する。
図2は、実施の形態1に係るセキュリティシステム300の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
図2に示されるように、セキュリティシステム300は、例えば、自律走行型ロボット100と、認証装置200とを備える。例えば、自律走行型ロボット100と、認証装置200とは、通信可能なサーバ装置(不図示)に接続されてもよい。なお、
図2では、自律走行型ロボット100は、掃除ロボットである例を示しているが、これに限られない。以下、各構成について説明する。
【0023】
[2-1.自律走行型ロボット]
まず、自律走行型ロボット100について説明する。自律走行型ロボット100は、所定のエリア内を自律的に走行するロボットである。自律走行型ロボット100は、所定のエリアに設置されたセキュリティゲート250を通過することを含む走行計画を作成し、走行計画に従って走行する。このとき、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250を通過する前に、セキュリティゲート250の通過前のエリアにおいて移動物体1が検出された場合、セキュリティゲート250の通過を回避する。これにより、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250を通過するときに、セキュリティゲート250の通行許可を有しない人が自律走行型ロボット100の後ろに付いてセキュリティゲート250を通過することを防ぐことができる。そのため、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250での安全性を担保しつつセキュリティゲート250を通過することができる。
【0024】
なお、自律走行型ロボット100は、所定のエリアを自律的に走行するロボットであれば、特に限定されないが、例えば、荷物などを運搬する運搬ロボット、パトロールをする監視ロボット、警備ロボット、フロアの消毒を行う消毒ロボット又は掃除ロボットであってもよい。以下では、自律走行型ロボット100が掃除ロボットである例を説明する。
【0025】
図3は、実施の形態に係る自律走行型ロボット100を側方向から見た外観を示す斜視図である。
図4は、実施の形態に係る自律走行型ロボット100を正面方向から見た外観を示す斜視図である。
図5は、実施の形態に係る自律走行型ロボット100を裏面方向から見た外観を示す底面図である。
【0026】
図2及び
図3~
図5に示されるように、自律走行型ロボット100は、例えば、各種の構成要素が搭載される本体101と、通信部110と、位置センサ120と、撮像部122と、障害物センサ124と、制御部130と、記憶部140と、走行部150と、掃除部160と、受付部170と、報知部180とを備える。走行部150は、例えば、本体101を移動させる車輪151を有する。掃除部160は、例えば、所定のフロアに存在するごみを掃除するサイドブラシ161及びメインブラシ162を有する。制御部130は、自律走行型ロボット100の動作に関する各種情報処理を行う。制御部130は、走行部150を制御する走行制御部138と、掃除部160を制御する掃除制御部139とを有する。本体101は、走行部150、掃除部160、及び、制御部130などを収容する筐体である。
【0027】
[走行部]
走行部150は、走行制御部138からの指示に基づき自律走行型ロボット100を走行させる。走行部150は、フロア上を走行する車輪151、車輪151にトルクを与える走行用モータ(不図示)及び走行用モータを収容するハウジング(不図示)などを有する。また、自律走行型ロボット100は、キャスター(不図示)を補助輪として備えた対向二輪型であってもよい。この場合、走行部150は、一対の走行ユニットのそれぞれの車輪151の回転を独立して制御することで、前進、後退、左回転及び右回転など自律走行型ロボット100を自在に走行させることができる。
【0028】
[掃除部]
掃除部160は、掃除制御部139からの指示に基づき、フロア上の塵埃を吸引口163(
図5参照)から吸引し、本体101の内部に吸引した塵埃を本体101内に収容する。掃除部160は、サイドブラシ161及びメインブラシ162を回転させるブラシ回転モータ(不図示)、吸引口163からごみを吸引する吸引モータ(不図示)、これらのモータに電力を伝達する動力伝達部(不図示)、及び、吸引したごみを収容する収容部(不図示)などを備えている。
【0029】
[位置センサ]
位置センサ120は、自律走行型ロボット100の本体101の周囲の物体を検知し、本体101に対する当該物体の位置関係を計測するセンサである。位置センサ120は、例えば、光を放射し障害物により反射して返ってきた光に基づいて位置関係(例えば、自己から物体までの距離及び方向)を検出するLiDAR(Light Detection And Ranging)、又は、レーザレンジファインダであってもよい。
【0030】
例えば、位置センサ120は、本体101の上面の中央に配置されており、自律走行型ロボット100と、自律走行型ロボット100の周囲に存在する壁などを含む物体との距離及び方向を含む位置関係を計測する。位置センサ120は、光の走査軸を1軸又は2軸有することにより、自律走行型ロボット100の周囲の所定の領域の二次元計測、又は、三次元計測を行ってもよい。
【0031】
[撮像部]
撮像部122は、自律走行型ロボット100の周囲を撮像する撮像装置である。例えば、撮像部122は、自律走行型ロボット100の周囲に存在する物体が映る画像を撮像する。当該画像は、1枚の画像でもよく、動画像でもよい。撮像部122は、本体101の前面に配置されてもよく、上面に回転可能に配置されてもよい。また、撮像部122は、複数のカメラから構成されてもよい。撮像部122は、例えば、ステレオカメラ又はRGB-Dカメラであってもよい。RGB-Dカメラは、色画像データ(RGB)に加えて距離画像データ(Depth)を取得するカメラである。
【0032】
[障害物センサ]
障害物センサ124は、本体101の前方に(具体的には、進行方向側に)存在する周囲の壁、及び、家具等の走行の障害となる障害物を検出するセンサである。本実施の形態では、障害物センサ124には、例えば、超音波センサが用いられるが、赤外線センサ等であってもよい。障害物センサ124は、本体101の前側面の中央に配置される発信部124a、及び、発信部124aの両側にそれぞれ配置される受信部124bを有し、発信部124aから発信されて障害物によって反射して返ってきた超音波を受信部124bがそれぞれ受信することで、障害物までの距離、及び、障害物の位置等を検出することができる。
【0033】
なお、自律走行型ロボット100は、上記のセンサ以外のセンサ(例えば、赤外線センサ等)を備えていてもよい。例えば、本体101の底面の複数箇所に配置され、フロアとしての床面が存在するか否かを検出する床面センサを備えてもよい。また、走行部150に備えられ、走行用モータによって回転する一対の車輪151のそれぞれの回転角を検出するエンコーダを備えてもよい。また、自律走行型ロボット100が走行する際の加速度を検出する加速度センサ、自律走行型ロボット100が旋回する際の角速度を検出する角速度センサを備えてもよい。また、床面に堆積している塵埃の量を測定する塵埃量センサを備えてもよい。バンパ(不図示)の変位を検出して障害物が衝突したことを検出する接触センサを備えてもよい。
【0034】
続いて、自律走行型ロボット100の機能構成について
図2を参照しながら説明する。位置センサ120、撮像部122、障害物センサ124、走行部150、及び、掃除部160については上述したためここでの説明を省略する。以下では、通信部110、制御部130、記憶部140、受付部170及び報知部180について説明する。
【0035】
[通信部]
通信部110は、自律走行型ロボット100が認証装置200と通信を行うための通信回路である。通信部110は、局所通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路(言い換えると、通信モジュール)を備えてもよい。また、通信部110は、広域通信ネットワーク10を介して通信を行うための通信回路(言い換えると、通信モジュール)を備えてもよい。通信部110は、例えば、無線通信を行う無線通信回路である。通信部110が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0036】
[制御部]
制御部130は、自律走行型ロボット100の動作を制御するための各種情報処理を行う。制御部130は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、専用回路によって実現される。また、制御部130は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、専用回路のうちの2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。例えば、制御部130は、センサ情報取得部131と、地図情報取得部132と、自己位置推定部133と、障害物位置推定部134と、検出部135と、判定部136と、走行計画作成部137と、走行制御部138と、掃除制御部139とを含む。
【0037】
センサ情報取得部131は、自律走行型ロボット100の本体101の周囲に存在する物体のセンシング情報(言い換えると、センシングデータ)を取得する。センサ情報取得部131は、例えば、位置センサ120により計測された自律走行型ロボット100の本体101に対する周囲の物体の位置関係を取得する。また、センサ情報取得部131は、撮像部122により撮像された画像データを取得する。さらに、センサ情報取得部131は、障害物センサ124により検知された自律走行型ロボット100の走行の障害となる障害物までの距離及び位置を取得する。なお、自律走行型ロボット100がこれらのセンサに加えて他の種類のセンサを備える場合、他の種類のセンサにより取得されたセンシング情報を取得してもよい。
【0038】
地図情報取得部132は、所定のエリアの地図情報を取得する。例えば、地図情報取得部132は、記憶部140に格納されている地図情報を読み出すことにより取得してもよいし、認証装置200により出力された地図情報を通信により取得してもよい。
【0039】
自己位置推定部133は、例えば、地図情報取得部132により取得された地図情報地図、及び、センサ情報取得部131により取得されたセンシング情報(例えば、本体101と周囲の物体との位置関係)に基づいて、所定のエリアを示す地図上での自律走行型ロボット100の本体101の現在位置である自己位置を推定する。
【0040】
障害物位置推定部134は、障害物センサ124により検知された障害物に関する情報(例えば、障害物の距離、及び、位置等)を取得し、取得された情報と、自己位置推定部133により推定された自己位置とに基づいて、地図上での障害物の位置を推定する。
【0041】
検出部135は、自律走行型ロボット100の周囲に存在する移動物体1を検出する。より具体的には、検出部135は、自己位置及びセンシング情報に基づいて自律走行型ロボット100の本体101の周囲に存在する移動物体1を検出する。例えば、検出部135は、撮像部122により撮像された画像に映る移動物体1を検出してもよい。また、検出部135は、位置センサ120により計測された本体101と物体との位置関係、及び、障害物センサ124により検出された障害物の相対位置の少なくともいずれかに基づいて移動物体1を検出してもよい。なお、検出部135は、検出された移動物体1の地図上での位置を推定してもよい。なお、移動物体1は、自身で移動可能な物体であり、例えば、人又は移動ロボットである。
【0042】
判定部136は、検出部135により検出された移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有するか否かの情報を取得し、取得された情報に基づいて自律走行型ロボット100セキュリティゲート250を通過しても良いか否かを判定する。判定部136は、さらに、取得された情報に基づいて自律走行型ロボット100が検出部135により検出された移動物体1に追従可能か否かを判定してもよい。
【0043】
走行計画作成部137は、地図情報、自己位置情報及びセンシング情報に基づいて自律走行型ロボット100が所定のエリアに設置されたセキュリティゲート250を通過することを含む走行計画を作成する。例えば、走行計画作成部137は、自律走行型ロボット100が所定のエリアに設置されたセキュリティゲート250を通過する前に、検出部136によりセキュリティゲート250の通過前のエリアにおいて移動物体1が検出された場合に、セキュリティゲート250の通過を回避するように走行計画を変更してもよい。また、例えば、走行計画作成部137は、判定部136により自律走行型ロボット100が検出部135により検出された移動物体1に追従可能であると判定された場合、移動物体1を追従するように走行計画を変更してもよい。
【0044】
セキュリティゲート250の通過前のエリアは、例えば、セキュリティゲート250から所定距離(例えば、2メートル)までの範囲のエリアである。また、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250の通過を回避するとは、例えば、移動物体1がセキュリティゲート250の通過前のエリアから離れるまで待機する、又は、移動物体1から離れるなどである。
【0045】
なお、走行計画作成部137は、さらに、掃除計画を作成してもよい。掃除計画には、自律走行型ロボット100が掃除を行う対象エリア内の複数の掃除エリアを掃除する掃除順序、各掃除エリアにおける走行経路及び掃除態様などが含まれる。掃除態様は、例えば、自律走行型ロボット100の走行速度、床面上のごみを吸引する吸引強度、及び、ブラシの回転速度などの組み合わせである。
【0046】
なお、走行計画作成部137は、自律走行型ロボット100が走行計画に従って走行しているときに、障害物センサ124により障害物が検出されると、障害物位置推定部134により推定された障害物の位置に基づいて走行計画を変更してもよい。このとき、走行計画作成部137は、掃除計画も変更してもよい。
【0047】
走行制御部138は、走行計画に従って自律走行型ロボット100の走行を制御する。例えば、自律走行型ロボット100が走行計画に従って走行するように、走行部150を制御する。より具体的には、走行制御部138は、走行計画に従って走行部150の動作を制御するための情報処理を行う。例えば、走行制御部138は、走行計画に加え、所定のエリアの地図及び自己位置などの情報に基づいて、走行部150の制御条件を導出し、制御条件に基づいて、走行部150の動作を制御するための制御信号を生成する。走行制御部138は、生成した制御信号を走行部150に出力する。なお、走行部150の制御条件の導出などの詳細については、従来の自律走行型ロボットと同様であるため、説明を省略する。
【0048】
掃除制御部139は、自律走行型ロボット100が掃除計画に従って掃除を行うように、掃除部160を制御する。より具体的には、掃除制御部139は、掃除計画に基づいて、掃除部160の動作を制御するための情報処理を行う。例えば、掃除制御部139は、掃除計画に加え、所定のエリアの地図及び自己位置などの情報に基づいて、掃除部160の制御条件を導出し、制御条件に基づいて、掃除部160の動作を制御するための制御信号を生成する。掃除制御部139は、生成した制御信号を掃除部160に出力する。なお、掃除部160の制御条件の導出などの詳細については、従来の自律走行型掃除ロボットと同様であるため、説明を省略する。
【0049】
[記憶部]
記憶部140は、地図情報、位置センサ120、撮像部122及び障害物センサ124などのセンサによりセンシングされたセンサ情報、並びに、制御部130が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部140は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0050】
[受付部]
受付部170は、自律走行型ロボット100のユーザの指示を受け付ける。より具体的には、受付部170は、電源のON/OFF、エリアの設定、又は、動作開始などの指示の入力操作を受け付ける。受付部170は、例えば、タッチパネル、表示パネル、ハードウェアボタン、又は、マイクロフォンなどによって実現されてもよい。タッチパネルは、例えば、静電容量方式のタッチパネルであってもよく、抵抗膜方式のタッチパネルであってもよい。表示パネルは、画像の表示機能、及び、ユーザの手動入力を受け付ける機能を有し、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示パネルに表示されるテンキー画像などへの入力操作を受け付ける。マイクロフォンは、ユーザの音声入力を受け付ける。
【0051】
[報知部]
報知部180は、自律走行型ロボット100が走行計画に従って走行していることを報知する。報知部180は、例えば、音、光、及び、画像の少なくともいずれかを用いて報知してもよい。具体的には、報知部180は、例えば、スピーカ、ランプ、プロジェクタ、及び、表示パネルの少なくともいずれかで実現される。スピーカは、音又は音声を出力する。ランプは、点灯又は点滅する。プロジェクタは、例えば、床面に文字、記号、映像などを投影する。表示パネルは、液晶パネル又は有機ELパネルなどであり、画像を表示する。
【0052】
[2-2.認証装置]
認証装置200は、例えば、セキュリティゲート250の通行許可を有する人を認証して、認証結果に基づいてセキュリティゲート250の開閉を制御する。また、例えば、認証装置200は、自律走行型ロボット100の本体101の周囲に存在する人がセキュリティゲート250の通行許可を有するか否かの情報を認証結果として自律走行型ロボット100に送信してもよい。認証装置200は、例えば、通信部210と、制御部220と、記憶部230と、センサ240と、セキュリティゲート250と、受付部260とを備える。なお、これらの構成は一例であり、この例に限定されない。
【0053】
[通信部]
通信部210は、認証装置200が自律走行型ロボット100と通信を行うための通信回路である。例えば、通信部210は、局所通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)であってもよいし、広域通信ネットワーク10を介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)であってもよい。通信部210は、例えば、無線通信を行う無線通信回路である。通信部210が行う通信規格については特に限定されない。
【0054】
[制御部]
制御部220は、認証装置200の動作を制御するための各種情報処理を行う。制御部220は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、専用回路によって実現される。また、制御部220は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、専用回路のうちの2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。例えば、制御部220は、認証部221を含む。
【0055】
認証部221は、例えば、センサ240により取得されたセンシングデータに基づいて人を検出し、検出された人がセキュリティゲート250の通行許可を有する人として予め登録された人であるか否かの認証を行う。例えば、認証方法は、センサ240がカメラである場合、カメラから取得された画像に映る人を抽出し、既存の顔認証技術を用いて行われてもよい。また、例えば認証方法は、センサ240が無線装置である場合、人が所持する携帯端末又はFRタグ付きのセキュリティカードなどから発信される無線信号を取得して、携帯端末のID又はタグIDと、予め登録された人のIDに紐づけられた情報を参照して、予め登録された人であるか否かの認証を行ってもよい。
【0056】
[記憶部]
記憶部230は、制御部220の動作を制御するための制御プログラム、及び、データベース231などが記憶される記憶装置である。記憶部230は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、又は、フラッシュメモリ等により実現される。
【0057】
データベース231は、セキュリティゲート250の通行許可を有する人のIDと、登録用の顔画像、顔特徴量、携帯端末のID、又は、タグIDとが紐づけられて登録されている。
【0058】
[受付部]
受付部260は、ユーザの指示の入力操作を受け付ける。受付部260は、例えば、タッチパネル、表示パネル、ハードウェアボタン、又は、マイクロフォンなどによって実現されてもよい。
【0059】
なお、センサ240及びセキュリティゲート250については、説明を省略する。
【0060】
[3.動作]
続いて、実施の形態に係る自律走行型ロボット100の動作について図面を参照しながら説明する。
【0061】
[第1の例]
まず、実施の形態に係る自律走行型ロボット100の動作の第1の例について説明する。
図6は、実施の形態に係る自律走行型ロボット100の動作の第1の例を示すフローチャートである。
図7は、自律走行型ロボット100の動作の第1の例を模式的に示す図である。
【0062】
第1の例では、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250で区画されたパブリックゾーンからセキュリティゾーンへ移動する際の動作例を説明する。
【0063】
まず、自律走行型ロボット100の受付部170がパブリックゾーンからセキュリティゾーンへの移動の指示を受け付けると(不図示)、地図情報取得部132は、所定のエリアの地図情報を取得する(S01)。このとき、地図情報取得部132は、例えば記憶部140に格納された所定のエリアの地図情報を読み出してもよい。
【0064】
次に、センサ情報取得部131は、位置センサ120、撮像部122及び障害物センサ124などの、自律走行型ロボット100が備える複数のセンサから自律走行型ロボット100の本体の周囲に存在する物体のセンシング情報を取得する(S02)。
【0065】
次に、自己位置推定部133は、ステップS01で地図情報取得部132により取得された地図情報及びステップS02でセンサ情報取得部131により取得されたセンシング情報に基づいて自律走行型ロボット100の本体101の現在位置である自己位置を推定する(ステップS03)。図示していないが、自己位置推定部133は、推定した自己位置にタイムスタンプを付して記憶部140に格納する。
【0066】
次に、検出部135は、ステップS03で自己位置推定部133により推定された自己位置及びステップS02でセンサ情報取得部131により取得されたセンシング情報に基づいて本体101の周囲に存在する移動物体1を検出する(不図示)。
【0067】
次に、走行制御部138は、検出部135により本体101の周囲に移動物体1が検知されたか否かを判定し(S04)、本体101の周囲に移動物体1が検出されていないと判定すると(S04でNo)、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過するように自律走行型ロボット100の走行を制御する(S06)。これにより、例えば、
図7の(a)に示されるように、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250を通過してパブリックゾーンからセキュリティゾーンへ移動する。
【0068】
一方、走行制御部138は、検出部135により本体101の周囲に移動物体1が検出されたと判定した場合(S04でYes)、さらに、当該移動物体1は自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過する前のエリア(より具体的には、セキュリティゲート250の入り口の付近のエリア)で検出されたか否かを判定する(S05)。走行制御部138は、検出部135により検出された移動物体1がセキュリティゲート250を通過する前のエリアで検出されていないと判定すると(S05でNo)、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過するように自律走行型ロボット100の走行を制御する(S06)。
図7に図示されていないが、例えば、セキュリティゲート250を超えた向こう側のエリア(より具体的には、セキュリティゲート250の出口付近のエリア)に移動物体1が検出されても、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250を通過する。セキュリティゲート250の向こう側のエリアに存在する移動物体1は、セキュリティゲート250で認証された移動物体1であるため、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過しても、セキュリティゲート250の安全性は担保される。
【0069】
一方、走行制御部138は、検出部135により検出された移動物体1がセキュリティゲート250を通過する前のエリアで検出されたと判定した場合(S05でYes)、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250の通過を回避するように自律走行型ロボット100の走行を制御する(S07)。例えば、
図7の(b)に示されるように、本体101の周囲で、かつ、セキュリティゲート250を通過する前のエリアで移動物体1が検出された場合、自律走行型ロボット100はセキュリティゲート250を通過せず、移動物体1が本体101の周囲で検出されなくなるまで待機してもよい。
【0070】
図6には図示していないが、例えば、
図7の(c)に示されるように、走行制御部138は、検出部135により検出された移動物体1がセキュリティゲート250を通過する前のエリアで検出された後、移動物体1がセキュリティゲート250から離れる方向に移動すると、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過するように自律走行型ロボット100の走行を制御してもよい。また、この場合、走行制御部138は、移動物体1が検出されなくなってから所定時間(例えば、5分など)経過した場合に、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過するように自律走行型ロボット100の走行を制御してもよい。これにより、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250の安全性をより担保することができる。
【0071】
なお、
図7の(d)に示されるように、自律走行型ロボット100は、
図6のステップS06でセキュリティゲート250を通過する際に、例えば、ピピッなど音を発することにより、セキュリティゲート250を通過することを報知してもよい。
【0072】
なお、自律走行型ロボット100は、自身の本体101のサイズに応じて通過可能なゲートを通過してもよい。
図8は、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過する例を模式的に示す図である。
図8に示されるように、自律走行型ロボット100は、自身の例えば、自身の本体101の幅に応じて通過可能なセキュリティゲート250を選択して通過してもよい。
【0073】
[第2の例]
続いて、実施の形態に係る自律走行型ロボット100の動作の第2の例について説明する。
図9は、実施の形態に係る自律走行型ロボット100の動作の第2の例を示すフローチャートである。
図10は、自律走行型ロボット100の動作の第2の例を模式的に示す図である。
図9では、
図6に示される処理と同じ処理については同じステップ番号を付し、ここでの説明を省略又は簡略化する。
【0074】
第2の例でも、第1の例と同様に、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250で区画されたパブリックゾーンからセキュリティゾーンへ移動する際の動作例を説明する。第2の例では、さらに、当該移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有するか否かの情報を取得して、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過しても良いか否かを判定する点で、第1の例と異なる。以下、第1の例で説明した内容については説明を省略又は簡略化し、異なる点を中心に説明する。
【0075】
第2の例では、自律走行型ロボット100は、地図情報を取得し(S01)、センシング情報を取得すると(S02)、地図情報及びセンシング情報に基づいて自己位置を推定する(S03)。そして、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250を通過する前に、検出部135によりセキュリティゲート250の通過前のエリアにおいて移動物体1が検出された場合(S05でYes)、当該移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有するか否かの情報を取得する。例えば、自律走行型ロボット100は、認証装置200から当該移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有するか否かの情報を取得してもよい。そして、自律走行型ロボット100の判定部136は、取得された情報に基づいて、移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有するか否かを判定する(S11)。
【0076】
自律走行型ロボット100の判定部136は、当該移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有すると判定した場合(S11でYes)、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過しても良いと判定する(不図示)。走行制御部138は、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過するように自律走行型ロボット100の走行を制御する(S06)。これにより、例えば、
図10の(a)に示されるように、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250の通過前のエリアにセキュリティゲート250の通行許可を有する移動物体1aが検出されても、セキュリティゲート250を通過してパブリックゾーンからセキュリティゾーンに移動する。
【0077】
一方、自律走行型ロボット100の判定部136は、当該移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有しないと判定した場合(S11でNo)、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過して良いと判定しない(言い換えると、セキュリティゲート250を通過してはいけないと判定する)(不図示)。走行制御部138は、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250の通過を回避するように自律走行型ロボット100の走行を制御する(S07)。これにより、例えば、
図10の(b)に示されるように、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250を通過する前のエリアにセキュリティゲート250の通行許可を有しない移動物体1bが存在すると、例えば、待機して、セキュリティゲート250の通過を回避する。なお、セキュリティゲート250の通過前のエリアに複数の移動物体1が検出された場合、これらの複数の移動物体1にセキュリティゲート250の通行許可を有しない移動物体1bが含まれると、検出部135は自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過してはいけないと判定する。そして、自律走行型ロボット100は、例えば、セキュリティゲート250の通行許可を有しない移動物体1bが検出されなくなるまで待機して、セキュリティゲート250の通過を回避してもよい。
【0078】
なお、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250の通過前のエリアにおいてセキュリティゲート250の通行許可を有する移動物体1aを検出した場合、当該移動物体1aに追従してセキュリティゲート250を通過してもよい。
図11は、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過する他の例を模式的に示す図である。
【0079】
図11の(a)に示されるように、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250の通行許可を有する移動物体1aがセキュリティゲート250を通過しているときに、当該移動物体1aに追従してセキュリティゲート250を通過してもよい。
【0080】
また、
図11の(b)に示されるように、セキュリティゲート250の通行許可を有する移動物体が移動ロボット2である場合、移動ロボット2をマスターロボットとして、自律走行型ロボット100が移動ロボット2に追従してセキュリティゲート250を通過してもよい。
【0081】
[4.効果等]
以上説明したように、自律走行型ロボット100は、所定のエリア内を自律的に走行する自律走行型ロボットであって、自律走行型ロボット100の周囲に存在する移動物体1を検出する検出部135と、自律走行型ロボット100の走行を制御する走行制御部138と、を備え、走行制御部138は、自律走行型ロボット100が所定のエリアに設置されたセキュリティゲート250を通過する前に、検出部135によりセキュリティゲート250の通過前のエリアにおいて移動物体1が検出された場合、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250の通過を回避するように制御する。
【0082】
これにより、自律走行型ロボット100は、自律走行型ロボット100に追従してセキュリティゲート250の通行許可を有しない移動物体1がセキュリティゲート250を通過することを防止することができる。そのため、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250での安全性を担保しつつセキュリティゲート250を通過することができる。
【0083】
例えば、自律走行型ロボット100では、走行制御部138は、検出部135により移動物体1が検出された後、当該移動物体1が検出されなくなってから所定期間経過した場合、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過するように制御する。
【0084】
これにより、自律走行型ロボット100は、移動物体1がセキュリティゲート250から離れたことを確認してからセキュリティゲート250を通過するため、セキュリティゲートの安全性をより担保することができる。
【0085】
例えば、自律走行型ロボット100は、さらに、検出部135により検出された移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有するか否かの情報を取得し、取得された情報に基づいて自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過しても良いか否かを判定する判定部136を備え、走行制御部138は、判定部136により自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過しても良いと判定された場合、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過するように制御し、判定部136により自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過しても良いと判定されなかった場合、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250の通過を回避するように制御する。
【0086】
これにより、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250を通過する前に、セキュリティゲート250の通過前のエリアで検出された移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有するか否かの情報に基づいてセキュリティゲート250を通過するか否かを判定する。そのため、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250の安全性を担保しながらセキュリティゲート250を通過できる可能性を向上させる。
【0087】
例えば、自律走行型ロボット100では、判定部136は、さらに、取得された情報に基づいて自律走行型ロボット100が移動物体1に追従可能か否かを判定し、走行制御部138は、判定部136により自律走行型ロボット100が移動物体1に追従可能であると判定された場合、移動物体1を追従してセキュリティゲート250を通過するように制御する。
【0088】
これにより、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250の通過前のエリアにおいて当該移動物体1が検出された場合に、セキュリティゲート250の通行許可を有する移動物体1に追従してセキュリティゲート250を通過することができる。そのため、自律走行型ロボット100は、セキュリティの認証をしなくてもセキュリティゲート250を通過することができるため、より簡単に、セキュリティゲート250の安全性を担保しながらセキュリティゲート250を通過することができる。
【0089】
例えば、自律走行型ロボット100は、さらに、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過することを含む走行計画を作成する走行計画作成部137を備え、走行制御部138は、走行計画に基づいて自律走行型ロボット100の走行を制御する。
【0090】
これにより、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250を通過することを含む走行計画を作成し、作成された走行計画に基づいて自律走行型ロボット100の走行が制御される。
【0091】
例えば、自律走行型ロボット100は、さらに、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250を通過することを報知する報知部180を備える。
【0092】
これにより、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250を通知することを周囲の人に報知しながら走行するため、周囲の人が自律走行型ロボット100の走行を妨げないように配慮することができる。そのため、自律走行型ロボット100は、安全に走行することができる。
【0093】
また、セキュリティシステム300は、上記のいずれかの自律走行型ロボット100と、自律走行型ロボット100の本体101の周囲に存在する移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有するか否かの情報を認証結果として自律走行型ロボット100に送信する認証装置200と、を備える。
【0094】
これにより、セキュリティシステム300は、自律走行型ロボット100が認証装置200から自律走行型ロボット100の周囲に存在する移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有するか否かの情報を取得するため、自律走行型ロボット100自身が認証機能を有する必要がない。したがって、セキュリティシステム300は、セキュリティゲート250の安全性を担保しながら自律走行型ロボット100を通過させることができる。
【0095】
また、走行用地図作成方法は、所定のエリア内を自律的に走行する自律走行型ロボット100による走行制御方法であって、自律走行型ロボット100の周囲に存在する移動物体1を検出する検出ステップと、自律走行型ロボット100の走行を制御する走行制御ステップと、を備え、走行制御ステップでは、自律走行型ロボット100が所定のエリアに設置されたセキュリティゲート250を通過する前に、検出ステップでセキュリティゲート250の通過前のエリアにおいて移動物体1が検出された場合、自律走行型ロボット100がセキュリティゲート250の通過を回避するように制御する。
【0096】
これにより、走行用地図作成方法は、自律走行型ロボット100に追従してセキュリティゲート250の通行許可を有しない移動物体1bがセキュリティゲート250を通過することを防止することができる。そのため、走行制御方法は、セキュリティゲート250での安全性を担保しつつセキュリティゲート250を通過することができる。
【0097】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0098】
例えば、実施の形態では、自律走行型ロボット100は、位置センサ120、撮像部122及び障害物センサ124を備えているが、位置センサ120、撮像部122及び障害物センサ124の全てを備えなくてもよい。例えば、自律走行型ロボット100は、位置センサ120及び障害物センサ124を備えてもよいし、位置センサ120のみ備えてもよい。また、自律走行型ロボット100は、認証装置200のセンサ240により計測されるセンシング情報を取得してもよいし、本体101の周囲の物体に関するセンシング情報を取得してもよい。
【0099】
例えば、実施の形態では、自律走行型ロボット100は、認証装置200により送信された本体101の周囲に存在する移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有するか否かの情報を取得する例を説明したが、これに限られない。例えば、自律走行型ロボット100が本体101の周囲に存在する移動物体1から通信を介して当該移動物体1がセキュリティゲート250の通行許可を有するか否かを示す情報を取得してもよいし、マーカ又はタグなどの識別子を読み取ることにより当該情報を取得してもよい。
【0100】
また、例えば、自律走行型ロボット100は、所定のエリアの地図情報が保存されたUSB(Universal Serial Bus)メモリなどを介して、当該地図情報を取得してもよい。
【0101】
例えば、実施の形態では、自律走行型ロボット100及び認証装置200が別体である例を説明したが、認証装置200が自律走行型ロボット100に組み込まれた単一の装置として実現されてもよい。この場合、自律走行型ロボット100は、セキュリティゲート250を通過する際にセキュリティゲート250の開閉を制御してもよい。
【0102】
例えば、実施の形態では、セキュリティシステム300は、複数の装置によって実現されているが、単一の装置として実現されてもよい。また、システムが複数の装置によって実現される場合、セキュリティシステム300が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、例えば、セキュリティシステム300と通信可能なサーバ装置が、制御部130、220に含まれる複数の構成要素を備えていてもよい。
【0103】
例えば、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。また、装置間の通信においては、図示されない中継装置が介在してもよい。
【0104】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0105】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0106】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0107】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0108】
例えば、本開示は、自律走行型ロボット100などのコンピュータが実行する走行制御方法として実現されてもよいし、このような走行制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本開示は、汎用のコンピュータを上記実施の形態の自律走行型ロボット100として動作させるためのプログラムとして実現されてもよい。本開示は、これらのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0109】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本開示は、自律的に走行するロボットの走行を制御するために広く利用可能である。
【符号の説明】
【0111】
1、1a、1b 移動物体
2 移動ロボット
100 自律走行型ロボット
101 本体
110 通信部
120 位置センサ
122 撮像部
124 障害物センサ
124a 発信部
124b 受信部
130 制御部
131 センサ情報取得部
132 地図情報取得部
133 自己位置推定部
134 障害物位置推定部
135 検出部
136 判定部
137 走行計画作成部
138 走行制御部
139 掃除制御部
140 記憶部
150 走行部
151 車輪
160 掃除部
161 サイドブラシ
162 メインブラシ
163 吸引口
170 受付部
180 報知部
200 認証装置
210 通信部
220 制御部
221 認証部
230 記憶部
231 データベース
240 センサ
250 セキュリティゲート
260 受付部
300 セキュリティシステム