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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122457
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】車両用紫外線除菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20230825BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
A61L2/10
B60R7/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026179
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勉
【テーマコード(参考)】
3D022
4C058
【Fターム(参考)】
3D022CA07
3D022CC18
3D022CD09
3D022CD18
4C058AA02
4C058AA12
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK23
4C058KK28
(57)【要約】
【課題】装置のコンパクト化を図れると共に車両室内の設置スペースが狭くても設置できる車両用紫外線除菌装置を提供する。
【解決手段】この車両用紫外線除菌装置10は、車両室内1の内装部材に設置される物品収容部と、内装部材を構成する1つの壁23の内側に片面を覆われて配置される導光板60と、深紫外線照部とを有し、導光板60は、深紫外線照射部の光入射方向と交差する方向に延びるプリズム状突条が、光入射方向に所定間隔をおいて並列配置されたプリズム面65を有し、深紫外線照射部からの光は、導光板60の一端面から入射して、プリズム面65で反射され、物品収容部に配置された物品に照射される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内の内装部材に設置される物品収容部と、
前記内装部材を構成する1つの壁に片面を覆われて配置される導光板と、
前記導光板の一端面に光出射面を向けて配置される深紫外線照射部とを有し、
前記導光板は、前記深紫外線照射部の光入射方向と交差する方向に延びるプリズム状突条が、前記光入射方向に所定間隔をおいて並列配置されたプリズム面を有し、
前記深紫外線照射部からの光は、前記導光板の一端面から入射して、前記プリズム面で反射され、前記物品収容部に配置された物品に照射されることを特徴とする車両用紫外線除菌装置。
【請求項2】
前記プリズム面は、前記導光板の両面に形成されている請求項1記載の車両用紫外線除菌装置。
【請求項3】
前記内装部材に取付けられる取付部品に、前記導光板と前記深紫外線照射部とが取付けられてユニットとされており、
前記取付部品の内部に、前記物品収容部が設けられており、
前記取付部品が前記内装部材に取付けられると、前記導光板は、前記内装部材を構成する1つの壁に片面を覆われて配置されるように構成されている、請求項1又は2記載の車両用紫外線除菌装置。
【請求項4】
前記取付部品は、前記内装部材に取付けられる枠状部品を有し、前記物品収容部は、前記枠状部品にスライド可能に挿入される、1面が開口した引出し容器をなし、
前記導光板は、前記枠状部品の1つの壁を構成するように前記枠状部品に取付けられていて、前記引出し容器を前記枠状部品に挿入した状態で、前記導光板の、前記内装部材の壁で覆われる面と反対側の面が、前記引出し容器の開口に面するように構成されている、請求項3記載の車両用紫外線除菌装置。
【請求項5】
前記物品収容部は、前記車両室内側が開口するように前記内装部材に形成された収容凹部と、該収容凹部の開口部に開閉可能に取付けられた蓋部とで構成されており、
前記導光板は、前記蓋部の内側に取付けられ、該蓋部が前記壁をなしており、
前記深紫外線照射部は、前記収容凹部の開口部を前記蓋部で閉じた状態で、前記導光板の一端面に、前記光出射面が対向するように、前記収容凹部の内側に取付けられている、請求項1又は2記載の車両用紫外線除菌装置。
【請求項6】
前記内装部材は、車両側面に配置されたドアの内面又は車両シートの背面に設けられたポケットからなり、このポケットを構成する壁の内側に、前記ユニットが取付けられるように構成されている請求項3又は4記載の車両用紫外線除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両室内に設置された物品収容部内に収容された物品に、深紫外線を照射して除菌する、車両用紫外線除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コロナウイルスや、インフルエンザウイルス、ノロウイルス等への罹患対策のために、マスクや、スマートフォン、眼鏡、サングラス、手袋等の物品に付着した菌を除菌したい、という要望が増えている。除菌には様々な方法があるが、例えば、物品に所定波長の紫外線を照射することで、物品に付着した菌を除菌する方法がある。
【0003】
紫外線を照射するものとして、例えば、下記特許文献1には、箱体の内部で照射する紫外線により、物品の表面を除菌ないし殺菌する、紫外線照射装置が記載されている。箱体は、天面が開口した内箱部と、内箱部を筒状に覆う外装部と、紫外線を発する光源が収納された光源収納部とが一体に形成され、内箱部は、内側表面に形成された紫外線を反射するミラー部を有し、外装部は、ヒンジを介して内箱部の内側を露出可能に開閉可能な蓋部を有しており、光源収納部は、蓋部の内側であって閉蓋時に内箱部の天面に対向する位置に設けられるとともに、紫外線を照射する光源と、前記光源を発光させるための回路部と、回路部に電力を供給するための電源ケーブルとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3230607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車等の車両に搭乗した場合、顔から外したマスクや、ポケットやバッグ等から取り出したスマートフォン等の物品を、例えば、コンソールボックスやインパネトレー等に置くことがある。この際、これらの物品を除菌することが可能であれば、搭乗者の利便性が向上するが、このような思想に着眼したものはない。
【0006】
また、上記特許文献1の紫外線照射装置を車両室内に設置しようとしても、同紫外線照射装置は、内箱部に対して開閉可能とされた蓋部の内側に、光源や回路部、電源ケーブルが配置されており、装置全体として嵩張っているので、車両室内の限られたスペース内に設置することは難しい。
【0007】
したがって、本発明の目的は、装置のコンパクト化を図ることができると共に、車両室内の設置スペースが狭くても設置することができる、車両用紫外線除菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用紫外線除菌装置は、車両室内の内装部材に設置される物品収容部と、前記内装部材を構成する1つの壁に片面を覆われて配置される導光板と、前記導光板の一端面に光出射面を向けて配置される深紫外線照射部とを有し、前記導光板は、前記深紫外線照射部の光入射方向と交差する方向に延びるプリズム状突条が、前記光入射方向に所定間隔をおいて並列配置されたプリズム面を有し、前記深紫外線照射部からの光は、前記導光板の一端面から入射して、前記プリズム面で反射され、前記物品収容部に配置された物品に照射されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導光板は、車両室内の内装部材を構成する1つの壁に片面を覆われて配置されるので、内装部材を構成する壁を利用して、導光板を覆うことができるため、除菌装置のコンパクト化を図ることができると共に、車両室内の設置スペースが比較的狭くても除菌装置を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る車両用紫外線除菌装置の、第1実施形態を示す斜視図である。
図2】同車両用紫外線除菌装置を構成する取付部品の分解斜視図である。
図3】同車両用紫外線除菌装置を構成する取付部品の斜視図である。
図4】同車両用紫外線除菌装置を車両室内に設置した状態の斜視図である。
図5】同車両用紫外線除菌装置の要部拡大断面図である。
図6】本発明に係る車両用紫外線除菌装置の第2実施形態を示しており、(а)は蓋部が開いた状態の要部拡大断面図、(b)は蓋部が閉じた状態の要部拡大断面図である。
図7】本発明に係る車両用紫外線除菌装置の第3実施形態を示す斜視図である。
図8】本発明に係る車両用紫外線除菌装置の第4実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(車両用紫外線除菌装置の一実施形態)
以下、図1~5を参照して、本発明に係る車両用紫外線除菌装置の第1実施形態について説明する。
【0012】
図5に示すように、この車両用紫外線除菌装置は、車両室内1の内装部材20に設置される物品収容部内に収容された物品3に、周知の除菌作用を奏する深紫外線を照射して、物品3の表面に付着した菌や物品3の所定箇所に入り込んだ菌を除菌するものである。なお、この実施形態の場合、物品3はマスクとなっている。
【0013】
図1及び図2を併せて参照すると、この実施形態における車両用紫外線除菌装置10(以下、単に「除菌装置10」ともいう)は、車両室内1の内装部材20に設置される物品収容部(この実施形態においては後述する引出し容器50)と、内装部材20を構成する1つの壁23に片面(ここでは一方の面63、図5参照)を覆われて配置される導光板60と、導光板60の一端面61に光出射面71を向けて配置される深紫外線照射部とを有している。なお、この実施形態における深紫外線照射部は、深紫外線を照射可能な発光ダイオード(以下、「深紫外線照射LED70」)となっている。
【0014】
図1に示すように、この実施形態における内装部材20は、車両前方の運転席と助手席との間に設置された、いわゆるコンソールボックスとなっている。また、この内装部材20は、全体として車両の前後方向に沿って長く延びる略長箱状をなしており、各種小物を収容可能な収容空間21(図5参照)と、収容空間21に対して図示しないヒンジ等を介して開閉可能に取付けられた開閉体22(いわゆるアームレスト)とを有している。
【0015】
そして、収容空間21の底部に位置する壁23(図5参照)が、本発明における「内装部材を構成する1つの壁」をなしている。
【0016】
また、図1に示すように、内装部材20を構成する壁23の下方には、車両室内1側が開口すると共に車両前後方向に延びる取付空間24が形成されており、該取付空間24内に取付部品30が挿入されて、内装部材20に取付部品30が取付けられるようになっている。
【0017】
次に、上記取付部品30について説明する。
【0018】
図3に示すように、上記取付部品30には、導光板60と深紫外線照射部(ここでは深紫外線照射LED70)とが取付けられて一体となったユニット(アッセンブリー品)とされている。また、この取付部品30の内部に、物品収容部をなす引出し容器50が設けられている(図5参照)。そして、取付部品30が内装部材20に取付けられると、導光板60は、内装部材20を構成する1つの壁23の内側に、片面(ここでは一方の面63)を覆われて配置されるように構成されている(図5参照)。
【0019】
また、図2に示すように、取付部品30は、内装部材20に取付けられる枠状部品40を有している。更に、この枠状部品40には、1面が開口した引出し容器50がスライド可能に挿入されるようになっている。この引出し容器50の内部空間50aに、物品3が収容されるようになっている。すなわち、この引出し容器50が本発明における「物品収容部」をなしている。また」、導光板60は、枠状部品40の1つの壁(天井壁をなす。これについては後述する)を構成するように枠状部品40に取付けられていて(図3参照)、引出し容器50を枠状部品40に挿入した状態で、導光板60の、内装部材20の壁23で覆われる面(一方の面63)と反対側の面(他方の面64)が、引出し容器50の開口54に面するように構成されている(図5参照)。
【0020】
図2に示すように、上記枠状部品40は、略長板状をなした底壁41と、該底壁41の幅方向両側周縁から互いに平行に立設した一対の側壁42,42と、底壁41及び一対の側壁42,42の背面側に配置された背面壁43と、底壁41及び一対の側壁42,42の正面側(車両室内1側)に配置され、底壁41及び一対の側壁42,42の外周から張り出した正面フランジ44とを有する、上方及び正面側が開口した略長箱状をなしている。なお、正面フランジ44は、内装部材20に設けられた取付空間24の正面側周縁部に係合する(図4参照)。
【0021】
また、底壁41の幅方向中央部には、底壁41の長手方向に沿って延びる長孔41аが形成されている。
【0022】
更に、各側壁42の正面側には、コ字状をなしたスリット45аを介して撓み変形可能とされた係止爪45が形成されている。この係止爪45が、内装部材20の取付空間24に設けた図示しない係止孔に係止することで、内装部材20に枠状部品40が取付けられ、ひいてはユニットとなった取付部品30が内装部材20に取付けられるようになっている。
【0023】
また、図2に示すように、各側壁42の内面側であって、立設方向の先端部には、支持段部42аが形成されており、導光板60の幅方向両側部を支持可能となっている。更に、背面壁43の内面側であって、立設方向の先端部には、支持段部43аが形成されており、導光板60の背面側端部(長手方向の一端部)を支持可能となっている。
【0024】
一方、引出し容器50は、略長板状をなした底壁51と、該底壁51の幅方向両側周縁から互いに平行に立設した一対の側壁52,52と、底壁51及び一対の側壁52,52の正面側に配置された正面壁53とを有する、上方及び背面側が開口した略トレー形状をなしている。すなわち、この引出し容器50は、その1面(上方側の面)が開口しており、この開口54が、本発明における「引出し容器の開口」をなしている。
【0025】
また、正面壁53には、把手53аが設けられており、枠状部品40に対して、引出し容器50を引き出したり押し込んだりする、スライド動作が可能となっている。
【0026】
更に、底壁51の幅方向中央部であって、背面開口寄りの位置には、コ字状をなしたスリット54аを介して撓み変形可能な帯状片54が形成されている。この帯状片54の自由端側であって、外面側からは係止部55が突設されている。この係止部55が、枠状部品40の底壁41の長孔41а内にスライド可能に挿入されて、枠状部品40に対して引出し容器50が最大限引出されたときに、長孔41аの正面側内周縁に係止して、枠状部品40からの引出し容器50の外れが防止されるようになっている。
【0027】
次に、導光板60について説明する。
【0028】
また、導光板60は、一方向に長く延びる略長板状をなしている。更に、導光板60の長手方向の一端面61が、光入射面(深紫外線である光の入射面)をなしており、深紫外線照射LEDの光出射面71に対向して配置される(図5参照)。
【0029】
また、導光板60は、深紫外線照射LED70の光入射方向と交差する方向に延びるプリズム状突条66が、光入射方向に所定間隔をおいて並列配置されたプリズム面65を有している。
【0030】
この実施形態の場合、導光板60の厚さ方向の一方の面63及び他方の面64に、プリズム面65がそれぞれ形成されている。また、導光板60の一端面61から入射した光入射方向(ここでは導光板60の長手方向に沿った方向)に対して直交する方向に、複数のプリズム状突条66が延びていると共に、これらの複数のプリズム状突条66が光入射方向に所定間隔を空けて互いに平行となるように複数並列して配置されることで、プリズム面65が形成されている。
【0031】
この実施形態における各プリズム状突条66は、光入射方向に向けて次第に高く突出するように傾斜したテーパ面66aと、頂部66cから光入射方向に向けて次第に低くなるように傾斜すると共に光を反射させる反射面66bとを有している。なお、反射面66bは、テーパ面66aよりも鋭角となっている。
【0032】
また、図5に示すように、テーパ面66aの、光入射方向に直交する線Lに対する傾斜角度θ2は、80~88°であることが好ましく、84~87°であることがより好ましい。更に、反射面66bの、光入射方向に直交する線Lに対する傾斜角度θ1は、2~80°であることが好ましく、3~45°であることがより好ましい。また、傾斜角度θ1は、傾斜角度θ2よりも小さく設定することが好ましい。更に、プリズム状突条66の高さ(底部66dから頂部66cまでの最短長さ)Hは、0.05~0.3mmであることが好ましく、0.1~0.2mmであることがより好ましい。
【0033】
更に図5に示すように、導光板60の長手方向の一端面61から長手方向の他端面62に向けて、隣接するプリズム状突条66,66の間隔(隣接するプリズム状突条66,66の、頂部66c,66cどうしの間隔)が狭くなるように配置されている。
【0034】
また、一方の面63に設けたプリズム面65を形成する複数のプリズム状突条66と、他方の面64に設けたプリズム面65を形成する複数のプリズム状突条66とは、導光板60の長手方向において位置ずれするように配置されている。すなわち、一方の面63側のプリズム状突条66の頂部66cと、他方の面64側のプリズム状突条66の頂部66cとが、導光板60の長手方向に位置ずれしている。
【0035】
上記構造をなした導光板60は、その長手方向の両側部が、枠状部品40を構成する一対の側壁42,42の支持段部42а,42аに支持され、長手方向の一端部が、枠状部品40の背面壁43の支持段部43аに支持され、長手方向の他端部が、枠状部品40の正面フランジ44の内面に当接することで、枠状部品40の底壁41に対向するように配置される。また、導光板60の長手方向両側部は、複数のビス42bにより固定されて、枠状部品40に一体化される。その結果、導光板60は、枠状部品40を構成する1つの壁、すなわち、底壁41に対向配置される天井壁を構成するように、枠状部品40に取付けられるようになっている。
【0036】
そして、図5に示すように、上記構成の導光板60は、その一方の面63が、内装部材20を構成する壁23の内側に配置されて覆われると共に、他方の面64が、引出し容器50の底壁51に向くように配置される。すなわち、この実施形態では、導光板60の一方の面63が、本発明における導光板60の「片面」をなしている。また、図5に示すように、導光板60は、引出し容器50を枠状部品40に対して押込んで、枠状部品40内に挿入配置された状態で、一方の面63とは反対側の他方の面64が、引出し容器50の開口54に面するようになっている。
【0037】
更に、この実施形態における深紫外線照射LED70は、光出射面71を有しており(図5,6参照)、図示しない電気供給手段から電気が供給されることで、光出射面71から、周知の除菌作用を奏する、所定波長の深紫外線(UV)を出射するようになっている。なお、深紫外線の波長としては、190~300nmであることが好ましく、240~280nmであることがより好ましい。
【0038】
また、この実施形態の深紫外線照射LED70は、取付部品30を構成する枠状部品40の背面壁43の立設方向の先端部であって、前記段状部43аに整合する位置に、光出射面71を、導光板60の光入射面をなす一端面61に向けて配置されている。なお、この実施形態では、背面壁43や導光板60の幅方向に、所定間隔を空けて複数配置されている(ここでは5個の深紫外線照射LED70が均等な間隔を空けて5個配置されている)。
【0039】
そして、この除菌装置10においては、図5に示すように、深紫外線照射LED70の光は、導光板60の一端面61から入射して、プリズム面65で反射され、物品収容部に配置された物品3(ここでは内装部材20の取付空間24に取付けられた取付部品30の、引出し容器50の内部空間50aに配置された物品3)に照射されるようになっている。
【0040】
すなわち、深紫外線照射LED70の光出射面71から出射された光は、導光板60の一端面61から導光板60内に入射されて、導光板60内を直進する(図5参照)。このとき、深紫外線照射LED70の上方から出射された光(矢印F1参照)は、一方の面63に形成されたプリズム面65のプリズム状突条66の反射面66bに衝突することで反射し、矢印F1´で示すように、光入射方向が導光板60の厚さ方向に向かう方向(導光板60の長手方向に直交する方向)に変化して、物品3に照射される。
【0041】
一方、深紫外線照射LED70の下方から出射された光(矢印F2参照)は、他方の面64に形成されたプリズム面65のプリズム状突条66の反射面66bに衝突することで反射し、矢印F2´で示すように、光入射方向が導光板60の厚さ方向に向かう方向に変化して、物品3に照射される。
【0042】
この際、上述したように、一方の面63のプリズム面65を形成する複数のプリズム状突条66と、他方の面64のプリズム面65を形成する複数のプリズム状突条66とは、導光板60の長手方向において位置ずれしているので、一方の面63のプリズム面65で反射した矢印F1´で示す光と、他方の面64のプリズム面65で反射した矢印F2´で示す光とは、導光板60の長手方向に互いに重ならないように、物品3に照射されるようになっている。
【0043】
また、この実施形態においては、特に図示はしないが、枠状部品40から引出した引出し容器50に、物品3を収容した後、引出し容器50を閉じたときに、深紫外線照射LED70よる紫外線照射を開始し、所定時間が経過したら紫外線照射を完了することが可能な、紫外線照射時間を制御できる制御構造が設けられている。この構造は、例えば、引出し容器50や枠状部品40に、リミットスイッチや近接センサーを設けて、引出し容器50の引出し状態又は押込み状態を感知できる構造を設けると共に、それに連動するように深紫外線照射LED70への電気供給タイミングを制御可能なタイマー等を設けることで構成される。また、車両の起動時(エンジンONやEVシステム起動時)等に連動して、深紫外線照射LED70による深紫外線照射を開始したり、車両が起動し且つ物品収容部に物品3が収容されたときに、深紫外線照射LED70による深紫外線照射を開始したりしてもよい。
【0044】
更に、この実施形態においては、内装部材20を構成する壁23の内側に、深外線線を反射できるような、コーティングやメッキを施したり、フィルムを貼付したり、更には深紫外線の反射効率を高めることが可能な部材、例えば、グリッター素材等を付着したりしてもよい。
【0045】
また、この実施形態においては、取付部品30を構成する枠状部品40や引出し容器50は、例えば、ポリプロピレンや、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール等の合成樹脂から形成されているが、上記部材を、例えば、紫外線を透過可能な樹脂やガラス材料等で形成してもよい。
【0046】
(変形例)
本発明を構成する物品収容部、導光板、深紫外線照射LED、導光板に設けられたプリズム状突条やプリズム面、取付部品、取付部品を構成する枠状部品、物品収容部をなす引出し容器等の、形状や構造は、上記態様に限定されるものではない。
【0047】
また、この実施形態における内装部材20はいわゆるコンソールボックスとなっているが、内装部材としては、いわゆるインパネアッパーボックスや、ドアポケット、運転席背面や助手席背面のシートバックポケット、グローブボックス、シガーボックス、その他の小物入れ等であってもよく、特に限定はされない(これらのうち、いくつかは後述の実施形態にて説明する)。
【0048】
更に、この実施形態の場合、物品3は、顔から外したマスクとなっているが、物品としては、例えば、ポケットやバッグ等から取り出したスマートフォン、眼鏡、サングラス、手袋、腕時計、各種アクセサリー(指輪、ネックレス、イヤリング等)等であってもよく、特に限定はされない。
【0049】
また、この実施形態において、枠状部品40を構成する底壁41、引出し容器50を構成する底壁51、導光板60は、いずれも略長方形の長板状となっているが、例えば、曲面状をなしてもよく、内装部材の形状や設置スペース等に応じて適宜変更することができる。
【0050】
更に、この実施形態における、取付部品30に、導光板60と深紫外線照射LED70とが取付けられてユニット化されているが、複数の部材をまとめて取付け可能となっているが、各部材を内装部材にそれぞれ取付けてもよい。
【0051】
また、この実施形態の取付部品30は、枠状部品40を有し、引出し容器50が物品収容部をなしているが、取付部品としては、枠状部品のみからなる構成であってもよい。
【0052】
更に、この実施形態において、物品収容部をなす引出し容器50は、物品3を載置する部分である底壁51が略長板状をなしているが、この底壁を網状や格子状等として、物品3に対する接触面積を減らして、深紫外線を照射させやすくしてもよい。
【0053】
また、この実施形態の導光板60は、その両面63,64にプリズム面65,65が形成されているが、一方の面のみにプリズム面65を形成してもよい。
【0054】
更に、この実施形態においては、深紫外線照射部は、深紫外線を照射可能な発光ダイオード(深紫外線照射LED70)となっているが、深紫外線照射部としては、深紫外線を伝送(導光)可能な、光ファイバーであってもよい。
【0055】
(作用効果)
次に、上記構造からなる除菌装置10の作用効果について説明する。
【0056】
除菌装置10を使用する際には、内装部材20の取付空間24に取付けられた取付部品30の枠状部品40から、引出し容器50を引出して、引出し容器50に物品3を載置した後、引出し容器50を枠状部品40に対して押込んで、枠状部品40内に引出し容器50を挿入配置する。
【0057】
すると、図5に示すように、導光板60の他方の面64に、物品3が対向するように配置されると共に、深紫外線照射LED70の光出射面71から光が出射されて、導光板60の一端面61から入射される。そして、深紫外線照射LED70の上方から出射された光は、一方の面63に形成されたプリズム面65により反射して、矢印F1´で示すように、光入射方向が変化して物品3に照射され、深紫外線照射LED70の下方から出射された光は、他方の面64に形成されたプリズム面65により反射して、矢印F2´で示すように、光入射方向が変化して物品3に照射される。その結果、物品3の表面に付着した菌や、物品3の所定箇所に入り込んだ菌を、除菌することができる。
【0058】
そして、この除菌装置10においては、導光板60は、車両室内1に設置される内装部材20を構成する1つの壁23に片面(ここでは一方の面63)を覆われて配置されるので(図5参照)、内装部材20を構成する壁23を利用して、すなわち、車両室内1に既に設置されている既設の壁23を利用して、導光板60を覆うことができる。そのため、除菌装置10のコンパクト化を図ることができると共に、車両室内1における除菌装置10の設置スペースが比較的狭い場合であっても、除菌装置10を容易に設置することができる。
【0059】
また、導光板60は、片面(一方の面63)が、車両室内1に設置される内装部材20を構成する1つの壁23に覆われるので、深紫外線照射LED70からの光が車両室内1側に漏れることを防止することができる。
【0060】
更に、この実施形態においては、図5に示すように、プリズム面65は、導光板60の両面63,64に形成されている。
【0061】
上記態様によれば、導光板60の一端面61から入射した深紫外線照射LED70からの光を、導光板60の両面63,64に形成されたプリズム面65,65で反射させて、内装部材20に配置された物品3に効率よく照射することができるので、物品3の除菌を効果的に行うことができる。
【0062】
なお、この実施形態においては、図5に示すように、一方の面63に設けたプリズム面65を形成する複数のプリズム状突条66と、他方の面64に設けたプリズム面65を形成する複数のプリズム状突条66とは、導光板60の長手方向において位置ずれするように配置されている。
【0063】
そのため、一方の面63のプリズム面65で反射した矢印F1´で示す光と、他方の面64のプリズム面65で反射した矢印F2´で示す光とは、導光板60の長手方向に互いに重ならないように、物品3に照射されるので、物品3をムラなく除菌することができる。
【0064】
また、この実施形態においては、図3に示すように、取付部品30に、導光板60と深紫外線照射部(ここでは深紫外線照射LED70)とが取付けられて一体となったユニットとされており、取付部品30の内部に物品収容部が設けられており、取付部品30が内装部材20に取付けられると、導光板60は、内装部材20を構成する1つの壁23の内側に、片面(ここでは一方の面63)を覆われて配置されるように構成されている(図5参照)。
【0065】
上記態様によれば、内装部材20に取付けられる取付部品30に、導光板60と、深紫外線照射部とが取付けられてユニットとされているので、取付部品30を内装部材20に取付けるだけの簡単な作業で、導光板60と深紫外線照射部とを内装部材20に設置することができ、除菌装置10の取付け作業性を向上させることができる。
【0066】
更に、この実施形態においては、取付部品30は、内装部材20に取付けられる枠状部品40を有し、物品収容部は、枠状部品40にスライド可能に挿入される、1面が開口した引出し容器50をなし、導光板60は、枠状部品40の1つの壁(天井壁)を構成するように枠状部品40に取付けられていて、引出し容器50を枠状部品40に挿入した状態で、導光板60の、内装部材20の壁23で覆われる面(一方の面63)と反対側の面(他方の面64)が、引出し容器50の開口54に面するように構成されている(図5参照)。
【0067】
上記態様によれば、枠状部品40を内装部材20に取付け、引出し容器50を枠状部品40に挿入すると、枠状部品40に取付けられた導光板60の他方の面64が、引出し容器50の開口54に面するので、引出し容器50に収納された物品3に、導光板60から出射される深紫外線を効果的に照射することができる。
【0068】
また、取付部品30は、枠状部品40を有し、出し容器50が物品収容部をなしているので、車両室内1側には、導光板60の片面(ここでは一方の面63)を覆って、取付部品30を設置可能な内装部材20を設けるだけでよく(ここでは内装部材20に取付空間24及び壁23を設けるだけでよい)、車両室内1側の内装部材20の構造を簡素化できると共に、除菌装置10の取付け作業性を向上させることができる。
【0069】
その結果、例えば、車両前方の運転席及び助手席間のコンソールボックス等の下方部分のスペースや、車両前面のインストルメントパネル等の空いたスペース等を有効に活用して、除菌装置10を車両室内1に容易に設置することができる。
【0070】
(車両用紫外線除菌装置の第2実施形態)
図6には、本発明に係る車両用紫外線除菌装置の第2実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0071】
この実施形態の車両用紫外線除菌装置10A(以下、単に「除菌装置10A」ともいう)は、内装部材20Aが、いわゆるインパネアッパーボックスとなっている。
【0072】
そして、この内装部材20Aに設置される物品収容部は、車両室内1が開口するように内装部材20Aに形成された収容凹部25と、該収容凹部25の開口部25аに開閉可能に取付けられた蓋部26とで構成されている。なお、蓋部26は、その一端部が、収容凹部25の開口部25а寄りの内側部分に、ヒンジ26аを介して開閉可能に取付けられている。
【0073】
また、導光板60は、蓋部26の内側に取付けられており、その片面が蓋部26により覆われている。すなわち、この実施形態の場合、蓋部26が、本発明における「内装部材を構成する1つの壁」をなしていると共に、物品収容部をも構成する部材となっている。
【0074】
更に、深紫外線照射部(ここでは深紫外線照射LED70)は、図6(b)に示すように、収容凹部25の開口部25аを蓋部26で閉じた状態で、導光板60の一端面61に、光出射面71が対向するように、収容凹部25の内側に取付けられている。
【0075】
上記態様によれば、内装部材20Aを構成する蓋部26の内側に、導光板60が取付けられており、この蓋部26が内装部材20Aを構成する1つの壁をなしているので、車両室内1の既設の壁(蓋部26)を利用して、導光板60を覆うことができ、除菌装置10Аのコンパクト化を図ることができる。
【0076】
(車両用紫外線除菌装置の第3,第4実施形態)
図7,8には、本発明に係る車両用紫外線除菌装置の第3,第4実施形態が示されている。これらの実施形態における内装部材は、車両側面に配置されたドアの内面又は車両シートの背面に設けられたポケットからなり、このポケットを構成する壁の内側に、ユニットが取付けられるように構成されている。
【0077】
より具体的に説明すると、図7には、本発明に係る車両用紫外線除菌装置の第3実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0078】
この実施形態の車両用紫外線除菌装置は、内装部材20Bが、車両側面に配置されたドア5の内面に設けられた、いわゆるドアポケットからなり、このドアポケットを構成する壁27の内側に、ユニット30Bが取付けられるように構成されている。
【0079】
この実施形態の場合、上方が開口した箱状の取付部品に、導光板と深紫外線照射部(ここでは深紫外線照射LED)とが取付けられて、ユニット30Bをなしており、このユニット30Bが、内装部材20Bをなすドアポケットを構成する壁27の内側に、取付けられるようになっている。なお、上記のドアポケットが本発明における「ポケット」をなしている。
【0080】
そして、上記態様によれば、内装部材20Bをなすドアポケットの壁27の内側に、車両用紫外線除菌装置を取付けることができ、車両の乗員が、物品3を手軽に且つ迅速に除菌可能となる。すなわち、乗員の側方に位置するドアポケットに除菌装置が配置されるので、乗員が車両に乗り込んでドア5を閉じた後、物品3をドアポケット内に挿入するだけの簡単な作業で、物品3を除菌できるので、手軽且つ迅速に物品3を除菌可能となる。
【0081】
図8には、本発明に係る車両用紫外線除菌装置の第4実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0082】
この実施形態の車両用紫外線除菌装置は、内装部材20Cが、運転席や助手席等のシート7の背面側に配置された、いわゆるシートバックポケットからなり、このシートバックポケットを構成する壁28の内側に、ユニット30Cが取付けられるように構成されている。
【0083】
この実施形態の場合、上方が開口した箱状の取付部品に、導光板と深紫外線照射部(ここでは深紫外線照射LED)とが取付けられて、ユニット30Cをなしており、このユニット30Cが、内装部材20Cをなすシートバックポケットを構成する壁28の内側に、取付けられるようになっている。なお、上記のシートバックポケットが本発明における「ポケット」をなしている。
【0084】
そして、この態様によれば、内装部材20Cをなすシートバックポケットの壁28の内側に、車両用紫外線除菌装置を取付けることができ、シートバックポケットを有効に活用することができる。
【0085】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1 車両室内
3 物品
5 ドア
7 シート
10,10A 車両用紫外線除菌装置(除菌装置)
20,20A,20B,20C 内装部材
23 壁
30,30B 取付部品
40 枠状部品
50 引出し容器
60 導光板
61 一端面
63 一方の面
64 他方の面
65 プリズム面
66 プリズム状突条
70 深紫外線照射LED(深紫外線照射部)
71 光出射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8