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  • 特開-広巾除雪具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122506
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】広巾除雪具
(51)【国際特許分類】
   E04D 15/00 20060101AFI20230825BHJP
   E04H 9/16 20060101ALN20230825BHJP
【FI】
E04D15/00 X
E04H9/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022038654
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】522098091
【氏名又は名称】イーアシスト株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 正義
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA03
2E139AC02
2E139DA51
2E139DB04
2E139DB13
(57)【要約】
【課題】地上にいながら屋根の積雪を広巾に効率よく、かつ安全に除去することのできる除雪具を提供する。
【解決手段】本除雪具は、進行方向前面側に雪切断部123を備えた屋根用の除雪具である。雪切断部123は、ベースプレート1と、前記ベースプレート1の両端に立設した一対の垂直雪切断プレート2と、前記一対の垂直プレートの間に立設装着した少なくとも1つの垂直プレート3で構成される。さらに、ベースプレート1には、雪切断部123で切断された雪を後方に滑落させるためのシート状部材4の前端を固定し、雪切断部123を推進及び後退させるシート支えロープ61及びベースプレート引きロープ62を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に水平雪切断面部を持ち後方にシート状部材の端面を狭持する狭持部を形成したベースプレートと、前記ベースプレートの上面かつ前記水平雪切断面部の両端近傍に立設した一対の垂直雪切断プレートと、前記一対の垂直雪切断プレートの間に立設装着した少なくとも1つの垂直プレートと、前記ベースプレートの狭持部に狭持部材により固定装備する折り曲げ可能な前記シート状部材と、前記シート状部材の狭持部分とは反対側の両角部にシート支えロープを具備し、さらに前記一対の垂直雪切断プレートの下方部又は前記水平雪切断面部の両角にベースプレート引きロープを具備したことを特徴とする広巾除雪具。
【請求項2】
前記シート状部材の、適所に鋼線材を張り巡らせたことを特徴とする請求項1に記載の広巾除雪具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根の除雪具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の降雪地方の雪降ろしは、屋根に直接登りスコップなどの除雪道具で除雪作業しており甚大な労力を要し、かつ危険なものだった。
【0003】
ここで、屋根に登ることなく安全に雪を降ろすことのできる除雪具が提案されている(例えば、特許文献1参照。)この除雪具は、蛇腹状の板状部材を取付けたベースプレートとスライド部材からなる雪かき部に長尺の柄を備えて形成されている。この除雪具によれば、ベースプレートとスライド部材によって切り取られた雪を板状部材に滑らせて落とすことができるため、地上にいながら屋根の積雪を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6282707号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の除雪具によると、作業は単独作業が想定されている。特許文献1に限らず、これまでの先行技術では単独作業を主とするものが多く、広巾に除雪することができないことが課題となっている。
また、特許文献1に記載の除雪具によると、雪塊を滑落させるための滑落シートとして、プラスチック段ボールが想定されている。実際の除雪作業において、プラスチック段ボールを使用した場合、元々蛇腹状に折り曲げられるように加工されているため、風などによって折り曲げ方向に折れることがある。またプラスチック段ボールは内部が中空であるため容易に穴が開きやすい。とりわけ縦葺き屋根など突起物がある場合、屋根先端(地上側)から除雪具を侵入させると容易に引っ掛かり、かつ破けてしまう。
【0006】
本発明の目的は前記した従来の問題を解決し、地上から効率よく、かつ安全に屋根に降り積もった雪を除去することができる除雪具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の広巾除雪具は、前方に水平雪切断面部を持ち後方にシート状部材の端面を狭持する狭持部を形成したベースプレートと、前記ベースプレートの上面かつ前記水平雪切断面部の両端近傍に立設した一対の垂直雪切断プレートと、前記一対の垂直雪切断プレートの間に立設装着した少なくとも1つの垂直プレートと、前記ベースプレートの狭持部に狭持部材により固定装備する折り曲げ可能な前記シート状部材と、前記シート状部材の狭持部分とは反対側の両角部にシート支えロープを具備し、さらに前記一対の垂直雪切断プレートの下方部又は前記水平雪切断面部の両角にベースプレート引きロープを具備している。
【0008】
本発明の広巾除雪具に固定装備する前記シート状部材は、適所に鋼線材を張り巡らせたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の広巾除雪具は、前記水平雪切断面部を持つ前記ベースプレートと、前記一対の垂直雪切断プレートを備えているため、効率よく積雪を切断することができる。かつ、前記一対の垂直雪切断プレートの間に立設装着した少なくとも1つの前記垂直プレートが前記一対の垂直雪切断プレートで切断した積雪を分割する役割があり、切断した積雪が直接作業者にぶつかることなく安全に作業することができる。
【0010】
前記一対の垂直雪切断プレートの間に立設装着した前記垂直プレートは少なくとも1つであるため、広巾に除雪するために前記ベースプレートの幅に応じて垂直プレートを増やすことができ、より効率的に積雪を切断することができる。
【0011】
前記ベースプレートに、雪を切断する方向に対して直角方向に折り曲げ可能な前記シート状部材の一端が固着されているため、切断した積雪を容易に滑落させることができる。
【0012】
前記シート状部材の狭持部分とは反対側の両角部に取り付けた前記シート支えロープと、前記一対の垂直雪切断プレートの下方部又は前記水平雪切断面部の両角に取り付けられた前記ベースプレート引きロープにより少なくとも4箇所で支持することで、前記シート状部材を広げた状態を維持することが容易になる。これにより、前記シート状部材が風でまくれ上がったり、重なったりすることなく、安定して雪を滑落させることができる。また、該ロープの長さを変えれば除雪対象箇所の高さや傾斜の変化に対応できる。
【0013】
前記シート状部材の適所に鋼線材を張り巡らせたことにより、シート状部材がポリエチレンシートやビニールシートなどの軟質シートであっても、シートを広げた状態を維持し、雪が該シート状部材の上を滑落するのを妨げない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を実施した斜視図である。
図2】本発明にあるベースプレートの斜視図である。
図3】本発明を実施した他の実施例の側面図である。
図4】本発明請求項2に示す鋼線材を固定したシート状部材の斜視図である。
図5】使用状態を示す図である。
図6】使用状態の近景図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
図1は本発明を実施した一実施例である。該除雪具は、ベースプレート1と一対の垂直雪切断プレート2と垂直プレート3からなる雪切断部123と、切断された雪を滑落させるためのシート状部材4と、該除雪具を操作するシート支えローブ61及びベースプレート引きロープ62で構成されている。
【0016】
図2に示すベースプレート1の素材は非金属性が望ましい。本発明では超高分子ポリエチレンを採用した。雪下ろし除雪器具、又はそれに類する器具は概して軽金属や金属が基本の素材となっており、屋根の除雪面を傷つける恐れがあるため、屋根面に直接ではなく幾らか離して侵入させる必要が有り、屋根面に雪が残る結果となるという課題があった。超高分子ポリエチレンを採用することにより雪切断部123の底部が屋根材に接触することがあっても屋根材を傷つけることなく作業を進めることができる。
【0017】
垂直雪切断プレート2、垂直プレート3及び挟持部材5は、耐久性・防錆を考慮し、亜鉛メッキを施した鋼板で、厚さは特に限定ではないが作業性の確保のため2.3mm程度が望ましい。また、シート状部材4は合成樹脂製の軟質シートを想定している。
【0018】
垂直プレート3は、1つの場合には、両端に立設した一対の垂直雪切断プレート2の間で中央部に配置するのが望ましい。垂直プレート3が2つ以上の場合、両端に立設した一対の垂直雪切断プレート2の間で等間隔に配置することが望ましい。垂直プレート3は、両端に立設した一対の垂直雪切断プレート2で切断した雪に切り目を入れて分割する役割であるため、垂直雪切断プレート2と同等か又は積雪の高さによっては2/3程度の長さでも構わない。
【0019】
該除雪具を推進及び後退させる手段として、シート支えローブ61及びベースプレート引きロープ62を使用する。該ロープ61、62はベースプレート1の両端に立設する一対の垂直雪切断プレート2に係止環により係止する。ベースプレート引きロープ62の係止部位は、一対の垂直雪切断プレート2のそれぞれ最下部が望ましい。係止方法としては、一対の垂直雪切断プレート2のそれぞれ最下部に貫通孔を設け、そこにD型シャックル等の環状の係止環を介して係止する。またシート支えローブ61は、シート状部材4の挟持部分とは反対側の両角部に貫通孔を設け、そこに該ロープ61を係止する。図5はその使用方法の一例を示したす。操作人11が家屋の両側からロープを操作することにより、該除雪具を推進及び後退させることができる。
【0020】
図2に示すように、ベースプレート1は進行方向先端側全面がアール形状に形成されていることが望ましい。これにより、屋根が横葺き屋根で横はぜがある場合でも容易に乗り越えることができる。
【0021】
図3は本発明を実施した他の実施例である。状況によっては、ベースプレート1に施したアール形状では屋根のはぜを乗り越えられないことも想定される。その場合、ベースプレート1の底部各所にアール形状部材7を施すことができる。アール形状部材7とベースプレート1の間には、添え木8を設置する。これにより、アール形状部材7のアール形状を保持することが容易になる。図6ではアール形状部材7を取り付けることにより屋根のはぜ100を乗り越えることが容易になる様子を示す。
【0022】
図4は鋼線材を適所に張り巡らせたシート状部材4を示す。該シート状部材がポリエチレンシートやビニールシートなどの軟質シートである場合には、シートが重なったり、巻きついたりして、シート全体を広げた状態を保持しづらいという課題があった。本発明において、軟質シートに鋼線材を適所に巡らすことによりシートを広げた状態の維持が容易になり、雪がシート上を安定して滑落することができる。具体的には、短辺方向に鋼線材43を幾らか(20cm程度)間隔を空けて湾曲上に張り延ばす。湾曲上に張り延ばすことにより、シート状部材4が適度に湾曲して反り上がることで、雪が安定して滑落する通路の役目を果たし、かつシート全体を広げた状態を保持することが容易になる。鋼線材の固定には特に限定ではないが粘着テープが望ましい。
【0023】
つまり本発明は、地上にいながら屋根の積雪を広巾に効率良く、かつ安全に除去するという課題を解決するために、広巾に設けられたベースプレート1とその両端に立設する一対の垂直雪切断プレート2が雪を切断し、その切断された雪を、前記一対の垂直雪切断プレート2の間に立設装着した少なくとも1つの垂直プレート3で細分化することにより、切断された雪がベースプレートの狭持部に狭持部材により固定装備された折り曲げ可能なシート状部材を伝って後方に滑落させることで、効率の良い除雪作業を提供する。また、前記シート状部材の狭持部分とは反対側の両角部にシート支えロープを具備し、さらに前記一対の垂直雪切断プレートの下方部又は前記水平雪切断面部の両角にベースプレート引きロープを具備することにより、屋根等の高所から離れた低所において前記雪切断部123を安全に操作することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
1;ベースプレート、2;垂直雪切断プレート、3;垂直プレート、4;シート状部材、5;挟持部材、7;アール形状部材、8;添え木、35;固定具、41;シート用部材の挟持部分、42;シート支えローブを係止する貫通孔、43;鋼線材、61;シート支えロープ、62;ベースプレート引きロープ、123;雪切断部、11;操作人、100;屋根のはぜ
図1
図2
図3
図4
図5
図6