(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122515
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 201G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100968
(22)【出願日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2022025229
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正貴
(72)【発明者】
【氏名】石井 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】服部 貴之
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE11
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
(57)【要約】
【課題】高背型のセラミック素体におけるクラックの発生を抑制することができる。
【解決手段】積層セラミックコンデンサは、セラミック素体と、外部電極と、を具備する。セラミック素体は、第1軸方向に沿って交互に積層され、第1軸と直交する第2軸に垂直な端面に引き出され、Niを主成分とする複数の内部電極を有する電極積層部を備える。複数の内部電極は、端面を被覆する端面被覆部と、端面被覆部から主面に延出する延出部と、を有し、Cuを主成分とする。複数の内部電極は、共通の矩形の平面形状を有する複数の内層内部電極と、複数の内層内部電極の4つの隅部うち少なくとも1つに対応する位置に不存在領域が設けられた複数の外層内部電極と、から構成される。電極積層部は、複数の外層内部電極が積層された一対の外層部と、一対の外層部の間に位置し、複数の内層内部電極が積層された内層部と、から構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸方向に沿って交互に積層され、前記第1軸と直交する第2軸に垂直な第1及び第2端面にそれぞれ引き出され、Niを主成分とする複数の第1及び第2内部電極を有する電極積層部と、前記電極積層部を前記第1軸方向の両側から被覆し、前記第1軸に垂直な第1及び第2主面を構成する一対のカバー部と、を備え、前記第1軸方向の寸法が前記第1及び第2軸と直交する第3軸方向の寸法の1.5倍以上であるセラミック素体と、
前記第1及び第2端面を被覆する第1及び第2端面被覆部と、前記第1及び第2端面被覆部から前記第1及び第2主面に延出する第1及び第2延出部と、を有し、Cuを主成分とする第1及び第2外部電極と、
を具備し、
前記複数の第1及び第2内部電極は、共通の矩形の平面形状を有する複数の第1及び第2内層内部電極と、前記複数の第1及び第2内層内部電極の4つの隅部うち少なくとも1つに対応する位置に第1及び第2不存在領域が設けられた複数の第1及び第2外層内部電極と、から構成され、
前記電極積層部は、前記一対のカバー部に隣接し、前記複数の第1及び第2外層内部電極が積層された一対の外層部と、前記一対の外層部の間に位置し、前記複数の第1及び第2内層内部電極が積層された内層部と、から構成される
積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
請求項1に記載の積層セラミックコンデンサであって、
前記複数の第1及び第2外層内部電極には、前記第1及び第2内層内部電極の前記4つの隅部に対応するすべての位置に前記第1及び第2不存在領域が設けられている
積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサであって、
前記複数の第1外層内部電極は、前記第1延出部と前記第1軸方向に対向する全領域において前記第3軸方向に窄んだ平面形状を有し、
前記複数の第2外層内部電極は、前記第2延出部と前記第1軸方向に対向する全領域において前記第3軸方向に窄んだ平面形状を有する
積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
請求項3に記載の積層セラミックコンデンサであって、
前記複数の第1外層内部電極では、前記第1延出部と前記第1軸方向に対向する領域における前記第3軸方向の寸法が前記複数の第1内層内部電極の3分の2以下であり、
前記複数の第2外層内部電極では、前記第2延出部と前記第1軸方向に対向する領域における前記第3軸方向の寸法が前記複数の第2内層内部電極の3分の2以下である
積層セラミックコンデンサ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサであって、
前記複数の第1外層内部電極は、前記第2延出部と前記第1軸方向に対向せず、
前記複数の第2外層内部電極は、前記第1延出部と前記第1軸方向に対向しない
積層セラミックコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高背型の積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、Niを主成分とする内部電極を有するセラミック素体に、Cuを主成分とする外部電極を焼き付ける際に、外部電極中のCuがNiと反応しながら内部電極中に拡散する現象について記載されている。この現象により、セラミック素体では、内部電極における外部電極に近接する端部に膨張が発生する。
【0003】
セラミック素体では、このような内部電極の膨張によって外部電極に近接する領域のみが積層方向に拡張しようとする。セラミック素体では、これにより生じる内部応力が角部に集中することで、クラックが発生しやすくなる。このようなクラックの発生は、内部電極の積層数の多い高背型のセラミック素体においてより顕著となる。
【0004】
積層セラミックコンデンサでは、外部電極中のCuの内部電極への拡散を抑制するために、セラミック素体に対する外部電極の焼き付け温度を低下させることが有効である。つまり、焼き付け温度を低下させることで、CuとNiとの反応速度が低下するため、Cuの内部電極中への拡散を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、セラミック素体に対する外部電極の焼き付け温度を低下させると、外部電極の焼結性が充分に得られにくくなる。これにより、積層セラミックコンデンサでは、外部電極の緻密性の低下による長期信頼性の低下や、セラミック素体に対する外部電極の接続強度の不足などといった不具合が発生しやすくなる。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、高背型のセラミック素体におけるクラックの発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る積層セラミックコンデンサは、セラミック素体と、第1及び第2外部電極と、を具備する。
上記セラミック素体は、第1軸方向に沿って交互に積層され、上記第1軸と直交する第2軸に垂直な第1及び第2端面にそれぞれ引き出され、Niを主成分とする複数の第1及び第2内部電極を有する電極積層部と、上記電極積層部を上記第1軸方向の両側から被覆し、上記第1軸に垂直な第1及び第2主面を構成する一対のカバー部と、を備え、上記第1軸方向の寸法が上記第1及び第2軸と直交する第3軸方向の寸法の1.5倍以上である。
上記複数の第1及び第2外部電極は、上記第1及び第2端面を被覆する第1及び第2端面被覆部と、上記第1及び第2端面被覆部から上記第1及び第2主面に延出する第1及び第2延出部と、を有し、Cuを主成分とする。
上記複数の第1及び第2内部電極は、共通の矩形の平面形状を有する複数の第1及び第2内層内部電極と、上記複数の第1及び第2内層内部電極の4つの隅部うち少なくとも1つに対応する位置に第1及び第2不存在領域が設けられた複数の第1及び第2外層内部電極と、から構成される。
上記電極積層部は、上記一対のカバー部に隣接し、上記複数の第1及び第2外層内部電極が積層された一対の外層部と、上記一対の外層部の間に位置し、上記複数の第1及び第2内層内部電極が積層された内層部と、から構成される。
【0009】
この積層セラミックコンデンサでは、電極積層部において外層部に積層される外層内部電極を内層部に積層される内層内部電極と異なるパターンにすることで、セラミック素体の角部の近傍に内部電極が存在しない不存在領域を設けることができる。これにより、この積層セラミックコンデンサでは、外部電極中のCuの拡散によって内部電極に膨張が発生しても、セラミック素体の角部に応力が集中しにくくなる。したがって、この積層セラミックコンデンサでは、セラミック素体の角部におけるクラックの発生を防止することができる。
【0010】
上記複数の第1及び第2外層内部電極には、上記第1及び第2内層内部電極の上記4つの隅部に対応するすべての位置に上記第1及び第2不存在領域が設けられていてもよい。
上記複数の第1外層内部電極は、上記第1延出部と上記第1軸方向に対向する全領域において上記第3軸方向に窄んだ平面形状を有してもよい。上記複数の第2外層内部電極は、上記第2延出部と上記第1軸方向に対向する全領域において上記第3軸方向に窄んだ平面形状を有してもよい。
上記複数の第1外層内部電極では、上記第1延出部と上記第1軸方向に対向する領域における上記第3軸方向の寸法が上記複数の第1内層内部電極の3分の2以下であってもよい。上記複数の第2外層内部電極では、上記第2延出部と上記第1軸方向に対向する領域における上記第3軸方向の寸法が上記複数の第2内層内部電極の3分の2以下であってもよい。
上記複数の第1外層内部電極は、上記第2延出部と上記第1軸方向に対向しなくてもよい。上記複数の第2外層内部電極は、上記第1延出部と上記第1軸方向に対向しなくてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上述べたように、本発明によれば、高背型のセラミック素体におけるクラックの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの斜視図である。
【
図2】上記積層セラミックコンデンサの
図1のA1-A1'線に沿った断面図である。
【
図3】上記積層セラミックコンデンサの
図1のB1-B1'線に沿った断面図である。
【
図4】上記積層セラミックコンデンサの
図1のA2-A2'線に沿った断面図である。
【
図5】上記積層セラミックコンデンサの
図1のB2-B2'線に沿った断面図である。
【
図6】上記積層セラミックコンデンサの内層内部電極の平面図である。
【
図7】上記積層セラミックコンデンサの外層内部電極の平面図である。
【
図8】上記積層セラミックコンデンサの製造方法を示すフローチャートである。
【
図9】ステップS01で準備される内層セラミックシートの平面図である。
【
図10】ステップS01で準備される外層セラミックシートの平面図である。
【
図11】ステップS01で準備されるカバーセラミックシートの平面図である。
【
図14】上記積層セラミックコンデンサの外層内部電極の他の形態を示す平面図である。
【
図15】上記積層セラミックコンデンサの外層内部電極の他の形態を示す平面図である。
【
図16】上記積層セラミックコンデンサの外層内部電極の他の形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10について説明する。なお、図面には、適宜、相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は、積層セラミックコンデンサ10に対して固定された固定座標系を規定する。
【0014】
[積層セラミックコンデンサ10の構成]
図1~3は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10を示す図である。
図1は、積層セラミックコンデンサ10の斜視図である。
図2は、積層セラミックコンデンサ10の
図1のA1-A1'線に沿った断面図である。
図3は、積層セラミックコンデンサ10の
図1のB1-B1'線に沿った断面図である。
【0015】
図2,3は、積層セラミックコンデンサ10の中央部を含む領域の縦断面を示している。具体的に、
図2は、積層セラミックコンデンサ10におけるY軸方向の中央部のX-Z平面に沿った断面を示している。
図3は、積層セラミックコンデンサ10におけるX軸方向の中央部のY-Z平面に沿った断面を示している。
【0016】
積層セラミックコンデンサ10は、セラミック素体11と、第1外部電極14と、第2外部電極15と、を備える。セラミック素体11は、Z軸と直交する第1及び第2主面M1,M2と、X軸と直交する第1及び第2端面E1,E2と、Y軸と直交する一対の側面S1,S2と、を有する6面体として構成される。
【0017】
セラミック素体11の主面M1,M2、端面E1,E2、及び側面S1,S2はいずれも、平坦面として構成される。本実施形態に係る平坦面とは、全体的に見たときに平坦と認識される面であれば厳密に平面でなくてもよく、例えば、表面の微小な凹凸形状や、所定の範囲に存在する緩やかな湾曲形状などを有する面も含まれる。
【0018】
積層セラミックコンデンサ10は、Z軸方向の寸法TがY軸方向の寸法Wの1.5倍以上と大きい高背型のセラミック素体11を有する。つまり、積層セラミックコンデンサ10では、セラミック素体11の寸法Tを大きくすることで大容量を確保しつつ、Y軸方向に制限された実装スペースに実装可能となる。
【0019】
また、積層セラミックコンデンサ10では、セラミック素体11のX軸方向の寸法Lが、寸法Wよりも大きければよく、寸法Tよりも小さくてもよい。積層セラミックコンデンサ10では、上記の条件を満たす範囲内においてセラミック素体11の寸法T,W,Lを任意に決定可能である。
【0020】
第1及び第2外部電極14,15はそれぞれ、第1及び第2端面被覆部14a,15aと、第1及び第2延出部14b,15bと、を有する。端面被覆部14a,15aは、セラミック素体11の端面E1,E2を被覆している。延出部14b,15bは、端面被覆部14a,15aから主面M1,M2及び側面S1,S2に延出している。
【0021】
延出部14b,15bは、主面M1,M2及び側面S1,S2における各端面E1,E2側の一部を被覆し、つまり主面M1,M2及び側面S1,S2上において相互に離間している。これにより、外部電極14,15では、X-Z平面に平行な断面、及びX-Y平面に平行な断面がいずれもU字状となっている。
【0022】
セラミック素体11は、誘電体セラミックスで形成され、電極積層部16と、一対のカバー部17と、を有する。一対のカバー部17は、電極積層部16をZ軸方向両側から覆っている。つまり、セラミック素体11では、一対のカバー部17が主面M1,M2を構成し、電極積層部16と一対のカバー部17とが端面E1,E2及び側面S1,S2を構成する。
【0023】
セラミック素体11は、X-Y平面に沿って延びる平板状の複数のセラミック層18がZ軸方向に積層された構成を有する。電極積層部16は、複数のセラミック層18の間に配置され、X-Y平面に沿って延びるシート状の複数の第1及び第2内部電極12,13を有する。カバー部17には、内部電極12,13が配置されていない。
【0024】
内部電極12,13は、Z軸方向に沿って交互に配置され、X軸及びY軸方向の中央の対向領域において相互にZ軸方向に対向している。第1内部電極12は、対向領域から第1端面E1に引き出され、第1外部電極14に接続されている。第2内部電極13は、対向領域から第2端面E2に引き出され、第2外部電極15に接続されている。
【0025】
このような構成により、積層セラミックコンデンサ10では、外部電極14,15間に電圧が印加されると、対向領域において内部電極12,13間の複数のセラミック層18に電圧が加わる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、外部電極14,15間の電圧に応じた電荷が蓄えられる。
【0026】
高背型のセラミック素体11では、電極積層部16のZ軸方向の寸法を大きくして内部電極12,13の積層数を多くすることで、大容量化を図ることが可能である。この観点から、セラミック素体11では、各内部電極12,13の積層数の合計である総積層数を500層以上とすることが好ましく、700層以上とすることがより好ましい。
【0027】
セラミック素体11では、内部電極12,13間の各セラミック層18の静電容量を大きくするため、高誘電率の誘電体セラミックスが用いられる。高誘電率の誘電体セラミックスとしては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)に代表される、バリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含むペロブスカイト構造の材料が挙げられる。
【0028】
なお、誘電体セラミックスは、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸カルシウム(CaTiO3)、チタン酸マグネシウム(MgTiO3)、ジルコン酸カルシウム(CaZrO3)、チタン酸ジルコン酸カルシウム(Ca(Zr,Ti)O3)、チタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム((Ba,Ca)(Zr,Ti)O3)、ジルコン酸バリウム(BaZrO3)、酸化チタン(TiO2)などの組成系でもよい。
【0029】
積層セラミックコンデンサ10では、第1及び第2外部電極14,15がいずれも銅(Cu)を主成分として形成され、第1及び第2内部電極12,13がいずれもニッケル(Ni)を主成分として形成されている。なお、本実施形態で主成分とは最も含有比率の高い成分を言うものとする。
【0030】
つまり、積層セラミックコンデンサ10では、Cuを主成分として形成された外部電極14,15とNiを主成分として形成された内部電極12,13とがセラミック素体11の端面E1,E2において接続されている。外部電極14,15は、セラミック素体11に焼き付けられる焼き付け膜として構成される。
【0031】
外部電極14,15がセラミック素体11に焼き付けられる際には、外部電極14,15中のCuが内部電極12,13を構成するNiと反応しながら内部電極12,13中に拡散する。つまり、内部電極12,13における端面E1,E2にそれぞれ引き出されたX軸方向の端部を構成するNiがCuと反応して銅ニッケル合金となる。
【0032】
これにより、内部電極12,13では、端面E1,E2に引き出されたX軸方向の端部がCuの拡散を受けることで膨張する。このため、セラミック素体11では、内部電極12,13の膨張が生じるX軸方向の両端部がZ軸方向に拡張しようとすることによって内部応力が発生する。
【0033】
セラミック素体11では、X軸方向の両端部がZ軸方向に拡張しようとすることに起因する内部応力が角部Cに集中しやすい。ここで、セラミック素体11における角部Cとは、
図1に示すように、主面M1,M2、端面E1,E2、及び側面S1,S2の3つの面を相互に接続する8つの部分を呼称するものとする。
【0034】
特に、高背型のセラミック素体11では、内部電極12,13の積層数が多い分だけ各内部電極12,13の膨張によって生じるZ軸方向に拡張しようとする力が増幅されるため、角部Cに集中する内部応力が大きくなる。セラミック素体11では、角部Cに集中する内部応力が大きいほど、角部Cにクラックが発生しやすくなる。
【0035】
積層セラミックコンデンサ10では、セラミック素体11の角部Cにクラックが発生すると、当該クラックが水分の侵入経路となることで、耐湿性が低下しやすくなる。また、セラミック素体11では、角部Cが外部電極14,15に被覆されているため、角部Cに発生したクラックを外観検査によって発見することが困難である。
【0036】
図4は、積層セラミックコンデンサ10の
図1のA2-A2'線に沿った断面図である。
図5は、積層セラミックコンデンサ10の
図1のB2-B2'線に沿った断面図である。
図4,5はそれぞれ、積層セラミックコンデンサ10におけるセラミック素体11の角部Cの近傍を含む領域の縦断面を示している。
【0037】
積層セラミックコンデンサ10では、電極積層部16におけるX軸、Y軸及びZ軸の端部となるセラミック素体11の8つの角部Cの近傍に内部電極12,13が存在しない不存在領域Fが設けられている。つまり、セラミック素体11では、不存在領域Fを設けることによって内部電極12,13が角部Cから遠ざけられている。
【0038】
これにより、セラミック素体11では、角部Cに内部電極12,13による影響が及びにくくなる。また、セラミック素体11では、不存在領域Fが内部電極12,13の膨張によって生じる内部応力を緩和させるように作用する。これらにより、セラミック素体11では、角部Cにクラックが発生しにくくなる。
【0039】
電極積層部16は、Z軸方向に区分された領域である内層部16aと一対の外層部16bとから構成される。電極積層部16では、一対の外層部16bが一対のカバー部17に隣接し、内層部16aが一対の外層部16bの間に位置する。電極積層部16では、不存在領域Fが一対の外層部16bにそれぞれ設けられている。
【0040】
第1及び第2内部電極12,13は、第1及び第2内層内部電極12a,13aと、第1及び第2外層内部電極12b,13bと、から構成される。つまり、第1内部電極12は第1内層内部電極12aと第1外層内部電極12bとから構成され、第2内部電極13は第2内層内部電極13aと第2外層内部電極13bとから構成される。
【0041】
電極積層部16では、内層部16aに第1及び第2内層内部電極12a,13aが積層され、一対の外層部16bにそれぞれ第1及び第2外層内部電極12b,13bが積層されている。つまり、電極積層部16では、一対の外層部16bに積層される第1及び第2外層内部電極12b,13bによって不存在領域Fが形成されている。
【0042】
図6A,6Bは、内層部16aにおける内層内部電極12a,13aがそれぞれ形成されたセラミック層18を1層ずつ示す平面図である。具体的に、
図6Aは第1内層内部電極12aが形成されたセラミック層18を示し、
図6Bは第2内層内部電極13aが形成されたセラミック層18を示している。
【0043】
図6A,6Bに示すように、内層内部電極12a,13aは、相互に共通の平面形状を有する。つまり、
図6Aに示す第1内層内部電極12aと
図6Bに示す第2内層内部電極13aとでは、セラミック層18のX軸方向の中心を通るY軸に平行な中心軸について相互に左右反転させた位置関係となっている。
【0044】
内層内部電極12a,13aはいずれも、4つの隅部Dで規定される矩形の平面形状を有し、側面S1,S2から間隔をあけて設けられている。また、第1内層内部電極12aは第2端面E2から間隔をあけて設けられ、第2内層内部電極13aは第1端面E1から間隔をあけて設けられている。
【0045】
図7A,7Bは、外層部16bにおける外層内部電極12b,13bがそれぞれ形成されたセラミック層18を1層ずつ示す平面図である。具体的に、
図7Aは第1外層内部電極12bが形成されたセラミック層18を示し、
図7Bは第2外層内部電極13bが形成されたセラミック層18を示している。
【0046】
図7A,7Bに示すように、外層内部電極12b,13bは、相互に共通の平面形状を有する。つまり、
図7Aに示す第1外層内部電極12bと
図7Bに示す第2外層内部電極13bとでは、セラミック層18のX軸方向の中心を通るY軸に平行な中心軸について相互に左右反転させた位置関係となっている。
【0047】
図7A,7Bには、内層内部電極12a,13aの輪郭が破線で示されている。外層部16bに積層された外層内部電極12b,13bは、内層内部電極12a,13aの4つの隅部Dに対応する部分が存在しないようにすることで、セラミック素体11の角部Cの近傍を避けて設けられている。
【0048】
つまり、外層内部電極12b,13bでは、内層内部電極12a,13aの4つの隅部Dに対応する部分を含む領域が第1及び第2不存在領域F1,F2とされている。セラミック素体11では、外層内部電極12b,13bに設けられた第1及び第2不存在領域F1,F2が、一対の外層部16bの不存在領域Fを構成する。
【0049】
外層内部電極12b,13bではいずれも、X軸方向の中央部において第1内層内部電極12aとY軸方向の幅が同等である。また、外層内部電極12b,13bではいずれも、X軸方向の中央部の両側に内層内部電極12a,13aの4つの隅部Dに対応する部分を含む不存在領域F1,F2が設けられている。
【0050】
第1外層内部電極12bの第1端面E1側の部分では、Y軸方向の両端部にそれぞれ第1不存在領域F1が設けられ、Y軸方向の中央部のみが第1端面E1に引き出されて第1外部電極14に接続されている。これにより、第1外層内部電極12bは、第1端面E1側においてY軸方向に窄んだ平面形状となっている。
【0051】
第2外層内部電極13bの第2端面E2側の部分では、Y軸方向の両端部にそれぞれ第2不存在領域F2が設けられ、Y軸方向の中央部のみが第2端面E2に引き出されて第2外部電極15に接続されている。これにより、第2外層内部電極13bは、第2端面E2側においてY軸方向に窄んだ平面形状となっている。
【0052】
また、第1外層内部電極12bでは、第2端面E2側の部分全体が第1不存在領域F1とされている。第2外層内部電極13bでは、第1端面E1側の部分全体が第2不存在領域F2とされている。これにより、外層内部電極12b,13bではいずれも、内層内部電極12a,13aよりもX軸方向の寸法が小さくなっている。
【0053】
図4に示すように、電極積層部16の外層部16bには、外部電極14,15の延出部14b,15bとZ軸方向に対向するX軸方向の全領域に不存在領域Fが設けられている。換言すると、外層内部電極12b,13bでは、不存在領域F1,F2が延出部14b,15bをX軸方向の内側に超えた位置まで延びている。
【0054】
つまり、第1外層内部電極12bは、第1延出部14bとZ軸方向に対向する全領域においてY軸方向に窄み、角部Cの近傍において第2延出部15bとはZ軸方向に対向していない。また、第2外層内部電極13bは、第2延出部15bとZ軸方向に対向する全領域においてY軸方向に窄み、角部Cの近傍において第1延出部14bとはZ軸方向に対向していない。
【0055】
このような構成により、積層セラミックコンデンサ10では、セラミック素体11における外部電極14,15に被覆された部分全体においてクラックの発生を抑制することができる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、外観検査によって原因を追究することが困難な不良の発生を抑制することができる。
【0056】
更に、第1外層内部電極12bでは、第1延出部14bとZ軸方向に対向する領域におけるY軸方向の寸法が第1内層内部電極12aの3分の2以下であることが好ましい。これにより、セラミック素体11における第1外部電極14に被覆された部分におけるクラックの発生をより効果的に抑制することができる。
【0057】
また、第2外層内部電極13bでは、第2延出部15bとZ軸方向に対向する領域におけるY軸方向の寸法が第2内層内部電極13aの3分の2以下であることが好ましい。これにより、セラミック素体11における第2外部電極15に被覆された部分におけるクラックの発生をより効果的に抑制することができる。
【0058】
セラミック素体11では、電極積層部16における各外層部16bのZ軸方向の寸法が大きいほど、クラックの発生を抑制する効果が得られやすい反面、大容量が得られにくくなる。この観点から、各外層部16bのZ軸方向の寸法を、セラミック素体11のZ軸方向の寸法Tの5%以上25%以下とすることが好ましい。
【0059】
[積層セラミックコンデンサ10の製造方法]
図8は、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10の製造方法を示すフローチャートである。
図9~13は積層セラミックコンデンサ10の製造過程を示す図である。以下、積層セラミックコンデンサ10の製造方法について、
図8に沿って、
図9~13を適宜参照しながら説明する。
【0060】
(ステップS01:セラミックシート準備)
ステップS01では、電極積層部16の内層部16aを形成するための第1及び第2内層セラミックシート101a,102aと、電極積層部16の一対の外層部16bを形成するための第1及び第2外層セラミックシート101b,102bと、カバー部17を形成するためのカバーセラミックシート103と、を準備する。
【0061】
セラミックシート101a,101b,102a,102b,103はいずれも、誘電体セラミックスを主成分とする未焼成の誘電体グリーンシートとして構成される。セラミックシート101a,101b,102a,102b,103は、例えば、ロールコーターやドクターブレードなどを用いてシート状に成形される。
【0062】
図9Aは、第1内層セラミックシート101aの平面図である。
図9Bは、第2内層セラミックシート102aの平面図である。
図10Aは、第1外層セラミックシート101bの平面図である。
図10Bは、第2外層セラミックシート102bの平面図である。
図11は、カバーセラミックシート103の平面図である。
【0063】
この段階では、各セラミックシート101a,102a,101b,102b,103が、個片化されていない大判のシートとして構成される。
図9~11には、各積層セラミックコンデンサ10ごとに個片化する際の切断線として、X軸に平行な第1切断線LxとY軸に平行な第2切断線Lyとが一点鎖線で示されている。
【0064】
内層セラミックシート101a,102aには、内層内部電極12a,13aに対応する未焼成の導体パターン112a,113aが形成されている。外層セラミックシート101b,102bには、外層内部電極12b,13bに対応する未焼成の導体パターン112b,113bが形成されている。
【0065】
なお、内部電極が設けられないカバー部17に対応するカバーセラミックシート103には、未焼成の導体パターンが形成されていない。また、静電容量の形成に寄与しないカバー部17に対応するカバーセラミックシート103の組成は、セラミックシート101a,102a,101b,102bと異なっていてもよい。
【0066】
導体パターン112a,113a,112b,113bは、Niを主成分とする導体ペーストをセラミックシート101a,102a,101b,102bに塗布することによって形成される。導電性ペーストの塗布方法としては、公知の技術から任意に選択可能であり、例えば、スクリーン印刷法やグラビア印刷法を用いることができる。
【0067】
導体パターン112a,112b及び導体パターン113a,113bにはそれぞれ、切断線Lyに沿ったX軸方向の隙間が、切断線Ly1本置きに形成されている。導体パターン112a,112bと導体パターン113a,113bとでは、各隙間がX軸方向に沿って互い違いの配置となっている。
【0068】
(ステップS02:積層)
ステップS02では、ステップS01で準備したセラミックシート101a,102a,101b,102b,103を、
図12に示すように積層することにより積層シート104を作製する。なお、
図12では、説明の便宜上、セラミックシート101a,102a,101b,102b,103を相互に離間させて示している。
【0069】
積層シート104では、電極積層部16の内層部16aに対応する位置に内層セラミックシート101a,102aがZ軸方向に交互に積層されている。また、積層シート104では、電極積層部16の外層部16bに対応する位置に外層セラミックシート101b,102bがZ軸方向に交互に積層されている。
【0070】
また、積層シート104では、電極積層部16に対応する位置に積層されたセラミックシート101a,102a,101b,102bのZ軸方向上下の両側からカバー部17に対応するカバーセラミックシート103が積層される。カバーセラミックシート103は、カバー部17の厚みに応じた枚数連続して積層される。
【0071】
(ステップS03:切断)
ステップS03では、ステップS02で得られた積層シート104を、
図13に示すように切断線Lx,Lyに沿って切断することにより、未焼成のセラミック素体11が得られる。ステップS03における積層シート104の切断には、例えば、押し切り刃を備えた切断装置や、回転刃を備えたダイシング装置などを用いることができる。
【0072】
(ステップS04:焼成)
ステップS04では、ステップS03で得られたセラミック素体11を焼成する。ステップS04における焼成温度は、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系材料を用いる場合には、焼成温度は1000~1300℃程度とすることができる。また、焼成は、例えば、還元雰囲気下、又は低酸素分圧雰囲気下において行うことができる。
【0073】
(ステップS05:外部電極形成)
ステップS05では、ステップS04で得られたセラミック素体11のX軸方向両端部に外部電極14,15を形成することにより、
図1~3に示す積層セラミックコンデンサ10を作製する。外部電極14,15は、Cuを主成分とする導体ペーストをセラミック素体11に塗布し、焼き付けることで形成される。
【0074】
ステップS05では、導体ペースト中のCuが内部電極12,13を構成するNiと反応しながら内部電極12,13中に拡散する。しかしながら、上記のとおり、セラミック素体11では、Cuの拡散によって内部電極12,13に膨張が生じても、外層部16bに設けられた不存在領域Fの作用によってクラックの発生が抑制される。
【0075】
[外層部16bの他の構成例]
セラミック素体11では、外層部16bにおける角部Cの近傍に外層内部電極12b,13bが存在しない不存在領域Fが設けられていればよく、外層内部電極12b,13bの構成は上記に限定されない。以下の説明では、第1及び第2不存在領域F1,F2の総称としても不存在領域Fとの呼称を用いる。
【0076】
例えば、外層内部電極12b,13bでは、
図14に示すように、端面E1,E2に引き出される側とは反対側のX軸方向の端部も、Y軸方向の両端部にそれぞれ不存在領域Fが設けられていてもよい。つまり、外層内部電極12b,13bは、X軸方向両側においてY軸方向に窄んだ平面形状となっていてもよい。
【0077】
また、外層内部電極12b,13bでは、
図15に示すように、Y軸方向の両端部におけるX軸方向の全体にわたって不存在領域Fが設けられていてもよい。これにより、セラミック素体11では、主面M1,M2と側面S1,S2とを接続するX軸方向に延びる稜部の全体にわたってクラックの発生を抑制することができる。
【0078】
更に、セラミック素体11では、上記のように8つの角部Cのすべての近傍にそれぞれ不存在領域Fが設けられていることが好ましいが、8つの角部Cのうち少なくとも1つの近傍に不存在領域Fが設けられていれば、不存在領域Fが近傍に設けられた角部Cにおけるクラックの発生を抑制する効果が得られる。
【0079】
つまり、外層内部電極12b,13bでは、内層内部電極12a,13aの4つの隅部Dうち少なくとも1つに対応する位置に不存在領域Fが設けられていればよい。例えば、外層内部電極12b,13bでは、
図16に示すように、端面E1,E2に引き出されたX軸方向の端部のY軸方向の一方に不存在領域Fが設けられていなくてもよい。
【0080】
[実施例]
本発明の実施例1~4として、上記実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10のサンプルをそれぞれ100個ずつ作製した。実施例1~4に係るサンプルでは、それぞれ外層内部電極12b,13bの構成が相互に異なり、外層内部電極12b,13b以外の構成がいずれも共通である。
【0081】
実施例1~4ではいずれも、セラミック素体11の寸法Lを0.62mmとし、寸法Wを0.33mmとし、寸法Tを0.55mmとし、つまりセラミック素体11の寸法Tが寸法Wの1.7倍である。また、実施例1~4ではいずれも、電極積層部16の厚みを500μmとし、各カバー部17の厚みをそれぞれ25μmとし、外部電極14,15の延出部14b,15bのX軸方向の寸法をそれぞれ0.15mmとした。
【0082】
更に、実施例1~4ではいずれも、内部電極12,13の厚み、及びセラミック層18の厚みを約0.5μmとした。加えて、実施例1~4ではいずれも、内層内部電極12a,13aを共通の矩形の平面形状とし、内層内部電極12a,13aのY軸方向の寸法を0.3μmとした。
【0083】
また、実施例1~4ではいずれも、内部電極12,13の総積層数を500層とした。より詳細に、実施例1~4ではいずれも、内層部16aにおける内層内部電極12a,13aの総積層数を400層とし、一対の外層部16bにおける外層内部電極12b,13bの総積層数をそれぞれ50層とした。
【0084】
実施例1では、外層内部電極12b,13bを
図7に示す構成とした。実施例2では、外層内部電極12b,13bを
図14に示す構成とした。実施例3では、外層内部電極12b,13bを
図15に示す構成とした。実施例4では、外層内部電極12b,13bを
図16に示す構成とした。
【0085】
実施例1,2,4では、外層内部電極12b,13bのX軸方向の中央部のY軸方向の寸法を0.3μmとした。また、外層内部電極12b,13bについて、実施例1,4における端面E1,E2に引き出されたX軸方向の端部、実施例2におけるX軸方向の両端部、及び実施例3における全部分のY軸方向の寸法を0.2mmとした。
【0086】
また、比較例1,2として、上記実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10とは異なる構成のサンプルを100個ずつ作製した。比較例1,2に係るサンプルでは、すべての内部電極12,13が実施例1~4に係るサンプルの内層内部電極12a,13aと同様の構成を有し、つまり外層内部電極12b,13bが設けられていない。
【0087】
比較例1では、上記の構成以外について実施例1~4と同様の構成とした。一方、比較例2では、上記の構成以外にも、セラミック素体11が高背型でない点についても実施例1~4とは異なり、具体的に、セラミック素体11の寸法Tを0.32mmとし、つまりセラミック素体11の寸法Tが寸法Wの1.0倍である。
【0088】
これに伴い、比較例2では、電極積層部16の厚みを270μmとし、各カバー部17の厚みをそれぞれ25μmとした。また、比較例2では、内部電極12,13の総積層数を270層とした。比較例2に係るサンプルでは、上記で挙げた構成以外について実施例1~4及び比較例1と同様の構成とした。
【0089】
実施例1~4及び比較例1,2に係るサンプルについて断面観察を行うことによりセラミック素体11の角部Cにおけるクラックの発生の有無を確認した。実施例1~4では、すべてのサンプルについてセラミック素体11の角部Cにクラックの発生が確認されず、本発明の効果が得られていることが確認された。
【0090】
比較例1ではすべてのサンプルについてセラミック素体11の角部Cのいずれかにクラックの発生が確認され、比較例2ではすべてのサンプルについてセラミック素体11の角部Cにクラックの発生が確認されなかった。これにより、セラミック素体11の角部Cにおけるクラックの発生は、高背型の特有の課題であることが確認された。
【0091】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0092】
例えば、セラミック素体11では、電極積層部16の一対の外層部16bにおける外部電極14,15の延出部14b,15bとZ軸方向に対向する全領域に不存在領域Fが設けられていなくてもよく、延出部14b,15bとZ軸方向に対向する少なくとも一部の領域に不存在領域Fが設けられていれば本発明の効果が得られる。
【0093】
また、本発明に係る積層セラミックコンデンサ10では、外部電極14,15の延出部14b,15bが少なくとも主面M1,M2上に設けられている構成において上記の効果が得られる。このため、本発明では、外部電極14,15の延出部14b,15bが側面S1,S2上に設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10…積層セラミックコンデンサ
11…セラミック素体
12,13…内部電極
12a,13a…内層内部電極
12b,13b…外層内部電極
14,15…外部電極
14a,15a…端面被覆部
14b,15b…延出部
16…電極積層部
16a…内層部
16b…外層部
17…カバー部
18…セラミック層
M1,M2…主面
E1,E2…端面
S1,S2…側面
C…角部
D…隅部
F,F1,F2…不存在領域