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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012253
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20230118BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 8/65 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230118BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61Q 3/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230118BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/44
A61K8/65
A61K8/64
A61K8/63
A61K8/40
A61K8/49
A61K8/891
A61Q5/00
A61Q3/00
A61Q11/00
A61Q19/00
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115781
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000112266
【氏名又は名称】ピアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】阪本 聡
(72)【発明者】
【氏名】荒井 由佳利
(72)【発明者】
【氏名】丸山 勝弘
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB052
4C083AB191
4C083AB192
4C083AB332
4C083AC122
4C083AC152
4C083AC302
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC662
4C083AC681
4C083AC682
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD172
4C083AD412
4C083AD441
4C083AD442
4C083AD451
4C083AD452
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD662
4C083BB51
4C083BB53
4C083BB55
4C083CC02
4C083CC28
4C083CC31
4C083CC41
4C083EE01
4C083EE07
4C083EE10
4C083EE11
4C083EE21
4C083EE31
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】 比較的安全性が高い安定化剤を含み、白金触媒による経時的な濃色化が抑制された組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 白金触媒と、該白金触媒の安定化剤とを含み、
前記安定化剤は、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸、水溶性アミノ酸誘導体、ケラチン、加水分解シルクエチルエステル、γ-オリザノール、尿素、及び、アラントインからなる群より選択される少なくとも1種を含む、組成物を提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金触媒と、該白金触媒の安定化剤とを含み、
前記安定化剤は、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸、水溶性アミノ酸誘導体、ケラチン、加水分解シルクエチルエステル、γ-オリザノール、尿素、及び、アラントインからなる群より選択される少なくとも1種を含む、組成物。
【請求項2】
前記白金触媒(A)に対する、前記安定化剤(B)の質量比(B/A)が、0.01以上50以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記白金触媒が、ヒドロシリル化反応用白金触媒である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ヒドロシリル化反応用白金触媒が、ビニル基を有するオルガノシロキサンを配位子として有する、請求項3に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば皮膚に塗布されて使用される組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、白金触媒と、斯かる白金触媒によって付加反応等を起こし得る成分とを含む組成物が知られている。このような組成物は、例えば、ヒドロシリル化反応用白金触媒と、ケイ素に結合したアルケニル基を分子中に有するポリオルガノシロキサンとを含む。
【0003】
この種の組成物は、例えば、ケイ素に結合した水素を分子中に有するオルガノハイドロジェンと混合されて使用される。混合によって、白金触媒によるヒドロシリル化反応が進行し、上記のポリオルガノシロキサンと、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとが付加反応し、硬化が進行する。
ところが、この種の組成物は、白金触媒が経時的に不活性化することに伴って、経時的に黒くなり、濃色化してしまうことがある。
【0004】
これに対して、白金触媒と、窒素原子を分子中に有する特定の安定化剤とを含む組成物が知られている(例えば、特許文献1)。
詳しくは、特許文献1に記載された組成物は、
(A)1分子中に2個以上のケイ素結合アルケニル基を有し、23℃における粘度が0.01~3Pa・sであるポリオルガノシロキサンと、
(B)ビニル基含有ポリオルガノシロキサンを配位子とする白金錯体と、
(C)テトラメチルエチレンジアミン又はトリアリルイソシアヌレートを含む安定化剤と、を含み、(C)成分の配合量が、(B)成分の白金原子1molに対して0.001~0.5molである。
特許文献1に記載された組成物は、白金触媒による経時的な不活性化がやや抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-120975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された組成物に含まれる安定化剤は、人体への安全性が低いため、例えば人体に塗布するような用途で使用することが困難である。
そこで、比較的安全性が高い安定化剤を含み、白金触媒による経時的な濃色化が抑制された組成物が要望されている。
【0007】
本発明は、上記要望点等に鑑み、比較的安全性が高い安定化剤を含み、白金触媒による経時的な濃色化が抑制された組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る組成物は、白金触媒と、白金触媒の安定化剤とを含み、
前記安定化剤は、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸、水溶性アミノ酸誘導体、ケラチン、加水分解シルクエチルエステル、γ-オリザノール、尿素、及び、アラントインからなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る上記の組成物では、前記白金触媒(A)に対する、前記安定化剤(B)の質量比(B/A)が、0.01以上50以下であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る上記の組成物では、前記白金触媒が、ヒドロシリル化反応用白金触媒であってもよい。また、ヒドロシリル化反応用白金触媒が、ビニル基を有するオルガノシロキサンを配位子として有してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組成物は、比較的安全性が高い安定化剤を含み、白金触媒による経時的な濃色化が抑制されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、各成分の白金触媒濃色化抑制性能の評価結果を表すグラフである。
図2図2は、各成分の白金触媒濃色化抑制性能の評価結果を表すグラフである。
図3図3は、各成分の白金触媒濃色化抑制性能の評価結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る組成物の一実施形態について説明する。
【0014】
本実施形態の組成物は、白金触媒(A)と、白金触媒の安定化剤(B)とを含み、
前記安定化剤(B)は、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸、水溶性アミノ酸誘導体、ケラチン、加水分解シルクエチルエステル、γ-オリザノール、尿素、及び、アラントインからなる群より選択される少なくとも1種を含む。
本実施形態の組成物では、上記の安定化剤(B)が白金触媒(A)の劣化を抑制するように作用する。また、上記の安定化剤(B)の各成分は、いずれも人体への安定性が比較的高い。従って、本実施形態の組成物は、比較的安全性が高い安定化剤を含み、白金触媒による経時的な濃色化が抑制されている。
【0015】
上記の白金触媒(A)としては、ヒドロシリル化反応用白金触媒などが挙げられる。本実施形態の組成物は、白金触媒(A)として、ヒドロシリル化反応用白金触媒のみを含んでもよい。
【0016】
ヒドロシリル化反応用白金触媒は、例えば、ビニル基を有するオルガノシロキサンを配位子として有する白金錯体である。
【0017】
例えば、ヒドロシリル化反応用白金触媒としては、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金(0)錯体(Karstedt型触媒)が挙げられる。斯かる触媒としては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、Gelest社製 白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体 両末端ビニルポリジメチルシロキサン溶液(約3%の白金を含む両末端ビニルポリジメチルシロキサン溶液)(商品番号SIP6830.3)を使用できる。
また、ヒドロシリル化反応用白金触媒としては、例えば、2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン白金(0)カルボニル錯体(Ossko触媒)が挙げられる。斯かる触媒としては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、Gelest社製 白金カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体 ビニルメチル環状シロキサン溶液(約2%の白金を含むビニルメチル環状シロキサン溶液)(商品番号SIP6829.2)を使用できる。
また、ヒドロシリル化反応用白金触媒としては、例えば、2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン白金(0)錯体(AshbyKarstedt触媒)が挙げられる。斯かる触媒としては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、Gelest社製 白金シクロビニルメチルシロキサン錯体 環状メチルビニルシロキサン溶液(約2%の白金を含む環状メチルビニルシロキサン溶液)(商品番号SIP6832.2)を使用できる。
これらのヒドロシリル化反応用白金触媒のうち、室温においてヒドロシリル化反応をより進行させ得るという点で、上記のKarstedt型触媒が好ましい。
【0018】
なお、ヒドロシリル化反応用白金触媒は、例えば、シクロビニルメチルシロキサン白金錯体であってもよい。斯かる触媒の市販品としては、例えば、Gelest社製 白金オクタナル/オクタノール錯体 オクタノール溶液(約2%の白金を含むオクタノール溶液)(商品番号SIP6833.2)を使用できる。
【0019】
本実施形態の組成物は、上記の白金触媒(A)を固形分換算で0.003質量%以上0.150質量%以下含むことが好ましい。
【0020】
上記の安定化剤(B)としてのアミノ酸は、D体又はL体のいずれでもよい。また、アミノ酸は、塩の状態であってもよい。
【0021】
上記の安定化剤(B)の中性アミノ酸は、分子中の-NH(又は=NH)の数と-COOHの数とが等しいアミノ酸である。中性アミノ酸としては、例えば、グリシン、バリン、ヒドロキシプロリン(γ-ヒドロキシ-プロリン)、アラニン、ロイシン、イソロイシン、セリン、システイン(含硫黄アミノ酸)、メチオニン(含硫黄アミノ酸)、アスパラギン、グルタミン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トラネキサム酸、シスチン、ピロリドンカルボン酸(ナトリウム塩)などが挙げられる。
【0022】
上記の安定化剤(B)の塩基性アミノ酸は、分子中の-NH(又は=NH)の数の方が-COOHの数よりも多いアミノ酸である。塩基性アミノ酸としては、例えば、シトルリン、テアニン、アルギニン、リジン(塩酸塩)、ヒスチジン(塩酸塩)などが挙げられる。
【0023】
上記の安定化剤(B)の水溶性アミノ酸誘導体は、水への溶解性が5質量%以上のアミノ酸誘導体である。水溶性アミノ酸誘導体としては、例えば、トリメチルグリシン、ココイルアルギニエチルピロリドンカルボン酸塩(アルギニンにおけるカルボン酸のエチルエステル及びアミドのヤシ油脂肪酸エステルの、ピロリドンカルボン酸塩)、及び、N-アセチル-システインからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0024】
上記の安定化剤(B)のケラチンは、通常、構成アミノ酸単位としてのシスチン単位を10質量%以上含むタンパク質である。ケラチンは、羊毛から得られたケラチンであることが好ましい。
【0025】
上記の安定化剤(B)の加水分解シルクエチルエステルは、加水分解された絹タンパク質のアミド基の一部のエチルエステル化物である。斯かる加水分解シルクエチルエステルは、蚕(カイコ)から得られた絹の加水分解物をエステル化したものであることが好ましい。
【0026】
γ-オリザノールは、特に米糠に含有される成分であり、油溶性である。γ-オリザノールは、フェルラ酸とステロールとが縮合したエステル類の総称である。γ-オリザノールとしては、例えば、Cycloartenyl ferulate Oryzanol A、24-Methylenecycloartanyl ferulate Oryzanol C、Campesteryl ferulateなどが挙げられる。
【0027】
上記の安定化剤(B)は、シトルリン、テアニン、及びバリンのうち少なくとも1種と、γ-オリザノールとを少なくとも含むことが好ましい。これにより、白金触媒による組成物の経時的な濃色化をより抑制できる。
【0028】
本実施形態の組成物は、上記の安定化剤(B)を総量で0.05質量%以上含むことが好ましく、0.50質量%以上含むことがより好ましく、1.00質量%以上含むことがさらに好ましい。これにより、白金触媒による組成物の経時的な濃色化がより抑制される。
また、本実施形態の組成物は、上記の安定化剤(B)を総量で15.00質量%以下含んでもよく、10.00質量%以下含んでもよく、5.00質量%以下含んでもよく、2.00質量%以下含んでもよい。
【0029】
本実施形態の組成物では、白金触媒(A)に対する、安定化剤(B)(総量)の質量比(B/A)が、0.01以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましく、1.00以上であることがさらに好ましく、10.00以上であることが特に好ましい。これにより、白金触媒による組成物の経時的な濃色化がより抑制される。
また、上記の質量比(B/A)が、1000.00以下であってもよく、100.00以下であってもよく、50.00以下であってもよく、20.00以下であってもよい。
【0030】
本実施形態の組成物は、上述した成分以外に、白金触媒によるヒドロシリル化反応によって付加反応できる、ビニル基含有ポリオルガノシロキサン、又は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのいずれか一方をさらに含んでもよい。
【0031】
上記のビニル基含有ポリオルガノシロキサンは、ケイ素に結合したビニル基を分子中に有するポリオルガノシロキサンである。ビニル基含有ポリオルガノシロキサンは、分子中にビニル基を2以上有することが好ましい。ビニル基含有ポリオルガノシロキサンとしては、例えば、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニル末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ジエチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端エチレン-シロキサンコポリマー、ビニルメチルシロキサンホモポリマー、ビニルT構造ポリマー、ビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーなどが挙げられる。
【0032】
上記のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ポリシロキサン構造の一部のケイ素に水素原子が結合したポリオルガノシロキサンである。オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、ヒドリド末端ポリジメチルシロキサン、トリメチルシロキサン末端ポリメチルハイドロシロキサン、メチルハイドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(メチルハイドロジェンポリシロキサン)、ヒドリド末端ポリフェニルメチルシロキサン、ヒドリド末端メチルハイドロシロキサン-フェニルメチルシロキサンコポリマーなどが挙げられる。
【0033】
上記の組成物は、さらに、界面活性剤、酸化防止剤、増粘剤、防腐剤などを含んでもよい。
【0034】
本実施形態の組成物の性状や外観は、特に限定されない。本実施形態の組成物は、例えば、液状、半固形状(ジェル状、クリーム状等)、固形状(粉末状、錠剤、又は、シート状等)であってもよい。本実施形態の組成物は、エアゾール製品の内容物に含まれた状態であってもよい。
【0035】
次に、本発明の組成物キットの一実施形態について説明する。
【0036】
本実施形態の組成物キットは、上述した組成物(以下、主組成物と称する)と、他の組成物(以下、副組成物)とを少なくとも備えている。本実施形態の組成物キットは、例えば、使用直前に上記の主組成物と副組成物とを混合して使用されてもよい。
【0037】
上記の主組成物は、白金触媒(A)を含むため上述したように経時的に濃色化し得るものの、安定化剤(B)をさらに含むため、濃色化が抑制されている。また、上記の主組成物は、ビニル基含有ポリオルガノシロキサンを含むか、又は、含まない。
一方、上記の副組成物は、以下のような組成を有し得る。
【0038】
本実施形態の組成物キットの例として、以下の(I)~(III)の各例が挙げられる。
(I)
・主組成物:白金触媒(A)と安定化剤(B)とビニル基含有ポリオルガノシロキサンとを少なくとも含む
・副組成物:オルガノハイドロジェンポリシロキサンを少なくとも含む
(II)
・主組成物:白金触媒(A)と安定化剤(B)とを少なくとも含む
・副組成物:ビニル基含有ポリオルガノシロキサン、及び、オルガノハイドロジェンポリシロキサンを少なくとも含む
(III)
・主組成物:白金触媒(A)と安定化剤(B)とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを少なくとも含む
・副組成物:ビニル基含有ポリオルガノシロキサンを少なくとも含む
【0039】
上記のごとき主組成物と副組成物とを混合することによって、ヒドロシリル化反応用白金触媒を含む白金触媒(A)の存在下で、ビニル基含有ポリオルガノシロキサンと、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとをヒドロシリル化反応によって付加反応させることができる。
例えば、主組成物を塗布対象物に塗布した後に、副組成物を塗布することによって、皮膚上にシリコーンポリマーの硬化被膜を形成させることができる。また、例えば、副組成物を塗布対象物に塗布した後に、主組成物を塗布することによって、皮膚上にシリコーンポリマーの硬化被膜を形成させることができる。
【0040】
本実施形態の各組成物は、配合する各成分を混合し、撹拌することによって製造できる。撹拌するための装置としては、一般的なものを使用できる。必要に応じて、加温しつつ撹拌してもよい。
【0041】
本実施形態の組成物及び組成物キットは、皮膚に塗布されて使用される皮膚外用組成物の用途で使用されてもよく、毛髪に塗布されて使用される毛髪用組成物の用途で使用されてもよく、歯に塗布されて使用される歯用組成物の用途で使用されてもよい。爪に塗布されて使用される爪用組成物の用途で使用されてもよい。
【0042】
本実施形態の組成物は、例えば、皮膚に塗布されて使用される。上記の組成物は、例えば、顔の皮膚、首の皮膚、四肢の皮膚、頭皮、又は、鼻孔・唇・耳・生殖器・肛門などにおける粘膜に塗布されて使用される。本実施形態の組成物は、頭髪、まゆ毛、まつ毛などの毛髪に塗布されて使用されてもよい。また、入浴剤に配合されて使用されてもよく、皮膚貼付剤に配合されて使用されてもよい。上記の組成物は、薬機法上の化粧品、医薬部外品、医薬品等の分類には特に拘束されず、いくつかの分野に適用される。
【0043】
本発明の組成物は、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の実施形態に限定されるものではない。また、本発明では、一般の皮膚外用組成物、化粧料、及び、医薬品等において採用される種々の形態を、本発明の効果を損ねない範囲で採用することができる。
【実施例0044】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
以下のようにして、各組成物の性能評価などを行った。
【0046】
<組成物の配合成分の詳細>
(A)白金触媒(及びビニル基含有ポリオルガノシロキサン)
・ヒドロシリル化反応用白金触媒含有液
Pt[O(SiMeCH=CH1.5(1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金(0)錯体)を含有/濃度3.0質量%
溶媒:ビニル末端ポリジメチルシロキサン
製品名「SIP6830.3」(Gelest社製)
(B)
(B-1)中性アミノ酸
・バリン、及び、表5等に示す通り
(B-2)塩基性アミノ酸
・シトルリン、テアニン、及び、表5等に示す通り。
(B-3)水溶性アミノ酸誘導体
・トリメチルグリシン 市販品
・ココイルアルギニンエチルPCA
製品名「CAE」(味の素ヘルシーサプライ社製)
・Nアセチルシステイン 市販品
(B-4)ケラチン
製品名「ケラチン」(東京化成工業社製)
(B-5)加水分解シルクエチル液
製品名「プロモイスシルクA」(成和化成社製)
(B-6)その他安定化剤
・γ-オリザノール 市販品 製品名「γ-オリザノール」(ボーソー油脂社製)
・尿素 市販品
・アラントイン 市販品
(参考化合物)酸性アミノ酸 表5等に示す通り
(参考化合物)油溶性アミノ酸誘導体 表5等に示す通り
・ラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル
製品名「AmiterLG-1600」(日本エマルジョン社製)
・ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)
製品名「エルデュウCL-202」(味の素ヘルシーサプライ社製)
(その他の原料)
・シクロペンタシロキサン
製品名「DOWSILSH245 FLUID」(ダウ・東レ社製)
・(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー含有液
製品名「DOWSILTMFB-9586 Silicone Elastomer Blend」(ダウ・東レ社製) シクロペンタシロキサン、ジメチコン含有
・(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー含有液
製品名「KSG-210」(信越化学工業社製) ジメチコン、ジプロピレングリコール、クエン酸Na、トコフェロール含有
・(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー含有液
製品名「KP-545」(信越化学工業社製) シクロペンタシロキサン含有
・ジメチコン(市販品)
・ポリアミド-12(登録商標「ナイロン‐12」)の粉末
製品名「東レナイロン粉末SP-500」(東レ社製)
【0047】
(実施例1~7)/(比較例1)
表1に示す配合組成で、各組成物をそれぞれ製造した。パートIとパートIIとを混合し、ホモディスパーにて1,000rpmで約2分間撹拌した。その後、白金触媒を加えて、さらにホモディスパ―によって1,000rpmで1分間撹拌し、各組成物を製造した。
【0048】
【表1】
【0049】
(実施例8~31)/(比較例2及び3)
表2及び表3に示す配合組成で、上記と同様にして各組成物をそれぞれ製造した。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
(実施例32~57)/(比較例4~8)
表4及び表5に示す配合組成で、上記と同様にして各組成物をそれぞれ製造した。
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
<濃色化抑制性能の評価>
各組成物を60℃の環境下に10日間置くことによって、濃色化加速試験を行った。組成物の色を色彩色差計(コニカミノルタ社製「CM-700d」)によって測定した。濃色化試験前後のLab値の差(ΔE)によって濃色化抑制性能を評価した。
コントロール用組成物(比較例)のΔEを100%とし、このΔEに対する相対値によって各組成物の濃色化抑制性能を評価した。
なお、ΔEの相対値が75.0%未満であった場合、組成物の外観等が特に良好であり、特に良好な濃色化抑制性能を有するといえる。
【0056】
<被膜形成に関わる評価>
上記のごとく加速試験を実施した各組成物(主組成物)と、別途調製した副組成物(メチルハイドロジェンポリシロキサンを含有)とを混合し、混合した液を前腕屈側部に塗布して延ばし、被膜を形成した。その後、放置して被膜を硬化させた。
〇:膜を形成した(白金触媒の活性が維持されていた)、
×:膜を形成しなかった(白金触媒の活性が維持されていなかった)
【0057】
表1及び図1から認識されるように、γ-オリザノール、シトルリン、バリン、テアニンによって、組成物の濃色化を抑制できた。シトルリン、バリン、及びテアニンのうちの1つと、γ-オリザノールとを組み合わせることによって、濃色化抑制性能が相乗的に発揮された。
表2~表5、図2及び図3に示すように、実施例の組成物は、濃色化が抑制された。
【0058】
以上のように、本実施形態の組成物は、経時的に濃色化を引き起こしやすい白金触媒を含むものの、比較的安全性の高い特定の安定化剤をさらに含むため、経時的な濃色化が抑制されている。しかも、経時的に白金触媒の触媒活性が低下することを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の組成物は、例えば、皮膚をコーティングするため、又は皮膚に塗布した化粧料をコーティングするために、皮膚に適用されて使用される。
また、本発明の組成物は、例えば、毛髪をコーティングするため、歯をコーティングするため、又は爪をコーティングするために、毛髪、歯、又は爪などに適用されて使用される。
図1
図2
図3