(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122550
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】計時器用制御デバイス
(51)【国際特許分類】
G04B 3/04 20060101AFI20230825BHJP
G04B 37/10 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
G04B3/04 F
G04B37/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023015875
(22)【出願日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】22158028.5
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・デュボワ
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・バルメ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィットリオ・ザネスコ
(57)【要約】
【課題】 携行型時計ケースのミドル部に形成された貫通開口内にて取り付けられる制御デバイスを提供する。
【解決手段】 制御デバイス(2)は、ミドル部(16)に形成された貫通開口(20)内にて取り付けられ、支持体(14)と回転可能部品を備える。回転可能部品は、シャフト(12)、把持メンバー(4)、及び回転センサー(26)を形成する制御メンバーを備える。この回転センサー(26)は、携行型時計ケース内における制御メンバーの半径方向の外側領域にて磁気的検出器を備える。環状開口(22)の第1の側において、支持体には、軸方向にて開いており携行型時計ケースの内側へと開く空欠部(24)があり、空欠部は、シャフトに固定的に取り付けられた制御メンバーの少なくとも大部分を収容することができるような寸法構成を有し、これによって、制御メンバーは、少なくとも大部分が、磁気的検出器を携行型時計ケース内にて取り付ける位置へのシャフトの軸方向の運動の後に、空欠部内へと一時的に収納されることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携行型時計ケース(18)のミドル部(16)に形成された貫通開口(20)内に取り付けられるように意図されている制御デバイス(2)であって、
前記制御デバイス(2)は、回転可能部品と、この回転可能部品のための支持体(14)とを備え、
前記回転可能部品は、把持用メンバー(4)と、制御メンバー(6)と、前記把持用メンバーを前記制御メンバーに接続するシャフト(12)とを備え、
前記制御メンバー(6)は、回転センサー(26)を形成し、又は前記携行型時計ケース内にある機構を駆動するようにされ、
前記回転センサー又は前記機構は、検出器と、前記制御メンバーと連結するための連結要素を備え、
前記検出器と前記連結要素は、携行型時計ケース内における前記制御メンバーの半径方向の外側領域に設けられ、
前記支持体(14)には、前記シャフトが通り抜ける環状開口(22)があり、
前記環状開口(22)は、前記制御メンバーの最大の半径方向の寸法(D)よりも小さく、前記把持用メンバーの最大の半径方向の寸法よりも小さい直径を有し、
前記環状開口の第1の側にて、前記支持体には、回転軸方向にて開いている空欠部(24)があり、
前記空欠部(24)は、前記携行型時計ケースの内側の方へと開くように意図されており、
前記空欠部は、前記シャフトに固定的に取り付けられた前記制御メンバーの少なくとも大部分を前記空欠部が収容することができるような寸法構成を有し、
これによって、前記制御メンバーは、少なくとも大部分が、前記検出器又は前記連結要素を前記携行型時計ケース内にて取り付けることができる位置への前記シャフトの軸方向の運動の後に、前記空欠部内へと一時的に収納されることができる
ことを特徴とする制御デバイス。
【請求項2】
前記空欠部(24)の側壁を形成する前記支持体(14)の部分の少なくとも大部分は、前記ミドル部にて形成された前記貫通開口(20)内に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の制御デバイス。
【請求項3】
前記空欠部(24)と前記回転可能部品は、前記回転可能部品の内側端部分が前記空欠部内に完全に収容されることができるように構成しており、
前記内側端部分は、前記制御メンバー(6)を含み、前記支持体(14)に形成された前記環状開口(22)に対して前記空欠部側に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の制御デバイス。
【請求項4】
前記制御デバイスは、前記回転可能部品の軸方向の運動を軸方向にて不動化又は制限することができるように構成している取り外し可能要素(40)又は可動要素を備え、
これによって、前記取り外し可能要素を除去する又は前記可動要素を動かすことによって前記回転可能部品を解放せずに、前記制御メンバーの前記少なくとも大部分が前記空欠部(24)内に挿入されることを防ぐ
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項5】
前記取り外し可能要素(40)は、前記空欠部が開いているように前記空欠部を包囲する前記支持体(14)の半径方向の面に対向することができるように前記回転可能部品に取り付けることができるキーであり、
前記制御デバイスは、さらに、軸方向の力を与えるように前記回転可能部品に作用するばね(44)を備え、
これによって、前記回転可能部品に与えられる、前記軸方向の力と反対方向の作動力がない状態において、前記キーを前記半径方向の面に押し続けることができる
ことを特徴とする請求項4に記載の制御デバイス。
【請求項6】
前記制御デバイスは、前記回転可能部品又は前記支持体と一体化されている弾性要素を備え、
前記回転可能部品又は前記支持体は、前記制御メンバーの前記少なくとも大部分を前記空欠部内に挿入する際、又は前記制御メンバーの前記少なくとも大部分を前記空欠部から除去する際に、弾性変形することができるように構成しており、
これによって、前記制御メンバーの前記少なくとも大部分が前記空欠部へと挿入された後に前記空欠部から除去された後に、又は前記制御メンバーの前記少なくとも大部分が前記空欠部から除去された際に、弾性負荷下において前記弾性変形可能要素を置き換えるための特定の介入なしに前記制御メンバーの前記少なくとも大部分が前記空欠部内に再挿入されることを防ぐ、前記回転可能部品の前記軸方向の運動の軸方向の不動化又は制限が可能になる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項7】
前記制御メンバー(6)は、回転軸(13)を中心とする半径方向にて磁化された磁石(8)を備え、
前記検出器(26)は、前記把持メンバーの回転駆動によって前記磁石が回転されるときに前記磁石が発生させる磁場の変化を測定することができるように、前記携行型時計ケース内における前記磁石の近傍に固定配置された磁気的検出器である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【請求項8】
制御デバイスと、携行型時計ケース(18)とを備える携行型時計であって、
前記携行型時計ケース(18)は、前記制御デバイスを通すために貫通開口(20)が形成されているミドル部(16)によって形成され、
前記制御デバイスは、前記携行型時計ケースに取り付けられ、ユーザーが前記携行型時計の少なくとも1つの機能を制御することを可能にし、
前記制御デバイスは、請求項1~3のいずれか一項に記載の制御デバイスである
ことを特徴とする携行型時計。
【請求項9】
制御デバイスと、携行型時計ケース(18)とを備える携行型時計であって、
前記携行型時計ケース(18)は、前記制御デバイスを通すために貫通開口(20)が形成されているミドル部(16)によって形成され、
前記制御デバイスは、前記携行型時計ケースに取り付けられ、ユーザーが前記携行型時計の少なくとも1つの機能を制御することを可能にし、
前記制御デバイスは、請求項4に記載の制御デバイスである
ことを特徴とする携行型時計。
【請求項10】
制御デバイスと、携行型時計ケース(18)とを備える携行型時計であって、
前記携行型時計ケース(18)は、前記制御デバイスを通すために貫通開口(20)が形成されているミドル部(16)によって形成され、
前記制御デバイスは、前記携行型時計ケースに取り付けられ、ユーザーが前記携行型時計の少なくとも1つの機能を制御することを可能にし、
前記制御デバイスは、請求項6に記載の制御デバイスである
ことを特徴とする携行型時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)のケースミドル部に形成された貫通開口内にて取り付けられるように意図された制御デバイスの分野に関し、前記制御デバイスは、回転可能部品と、この回転可能部品を支持するための支持体とを備え、前記回転可能部品は、把持用メンバーと、回転センサー用の制御メンバーと、携行型時計ケース内に設けられる機構と、前記把持用メンバーと前記制御メンバーを接続するシャフトとを備える。
【背景技術】
【0002】
米国特許文献US11042122は、下側歯列がある回転フランジと噛み合う内側ピニオンにシャフトによって接続されるリュウズを備える計時器用制御デバイスであって、この外側のリュウズを介してユーザーによって回転フランジを回転させることができるものを開示している。この回転フランジは、携行型時計ケースの上部から、すなわち、表盤側から、取り付けられるように意図されており、風防を担持して携行型時計ケースを閉じるベゼルが取り付けられるように意図されている。携行型時計ケースは、比較的複雑であり、特に計時器用ムーブメントを下側から取り付けることができるように、ケース裏部を容易に取り外すことができるように設計されている。制御デバイスは、携行型時計の組み付けを制限するものと考えることができる。まず、制御デバイスの支持体を携行型時計ケースの開口内に挿入した後に、ピニオンを内側から取り付ける。このために、このピニオンをシャフト上の適切な位置に保持するためのキーを設ける。制御デバイスが携行型時計ケースに完全に取り付けられた後には、回転フランジを上部からしか取り付けることができず、この取り付けには、このフランジを上部から取り付けることを可能にするケースが必要となり、したがって、取り外し可能なベゼルが必要となる。
【0003】
制御メンバーの半径方向の外側領域において、回転センサーが備える検出器が、この検出器を挿入するために携行型時計ケースに設けられた開口に対してこの制御メンバーの反対側に位置する場合にも同様な問題が発生する。この検出器は、一般的には計時器用ムーブメントと一体化されており、又はこのような計時器用ムーブメントに重なり合う電子モジュールと一体化されている。このような場合、携行型時計ケース、したがって一般的には計時器用ムーブメント、の内部に検出器が挿入された後にしか制御メンバーをシャフトに取り付けることができない。これには問題が発生しうる。なぜなら、回転検出器、特に、制御メンバーを形成する半径方向に磁化された磁石を備える磁気的検出器、の制御メンバーを、携行型時計ケースの内部に取り付けられる前、したがって一般的には計時器用ムーブメントがこの携行型時計ケースの内部に取り付けられる前には、制御デバイスのシャフトに取り付けることができないためである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
携行型時計ケース内の使用可能な体積、特に、この携行型時計ケースの実質的に内側水平寸法の全体が、計時器用ムーブメントによって、そして場合によっては、この計時器用ムーブメント及び/又はケーシングリングに重なり合う電子モジュールによって、効率的に占められるようにしつつ、背景技術に記載した技術的課題を解決する。このために、本発明は、携行型時計ケースのミドル部に形成された貫通開口内に取り付けられるように意図されている制御デバイスに関し、前記制御デバイスは、回転可能部品と、この回転可能部品のための支持体とを備える。前記回転可能部品は、把持用メンバーと、制御メンバーと、前記把持用メンバーを前記制御メンバーに接続するシャフトとを備え、前記制御メンバーは、回転センサーを形成し、又は前記携行型時計ケース内にある機構を駆動するようにされる。前記回転センサー又は前記機構は、検出器と、前記制御メンバーと連結するための連結要素を備え、前記検出器と前記連結要素は、携行型時計ケース内における前記制御メンバーの半径方向の外側領域に設けられる。前記支持体には、前記シャフトが通り抜ける環状開口があり、前記環状開口は、前記制御メンバーの最大の半径方向の寸法よりも小さく、前記把持用メンバーの最大の半径方向の寸法よりも小さい直径を有する。前記環状開口の第1の側にて、前記支持体には、回転軸方向にて開いている空欠部があり、前記空欠部は、前記携行型時計ケースの内側の方へと開くように意図されており、前記空欠部は、前記シャフトに固定的に取り付けられた前記制御メンバーの少なくとも大部分を前記空欠部が収容することができるような寸法構成を有し、これによって、前記制御メンバーは、少なくとも大部分が、前記検出器又は前記連結要素を前記携行型時計ケース内にて取り付けることができる位置への前記シャフトの軸方向の運動の後に、前記空欠部内へと一時的に収納される。
【0005】
主な実施形態において、前記空欠部を形成する前記支持体の部分の少なくとも大部分は、前記ミドル部にて形成された前記貫通開口内に設けられる。
【0006】
好ましい代替的実施形態において、前記空欠部と前記回転可能部品は、前記回転可能部品の内側端部分が前記空欠部内に完全に収容されることができるように構成しており、前記内側端部分は、前記制御メンバーを含み、前記支持体に形成された前記環状開口に対して前記空欠部側に位置する。
【0007】
具体的な代替的実施形態において、前記制御デバイスは、前記回転可能部品の軸方向の運動を軸方向にて不動化又は制限することができるように構成している取り外し可能要素又は可動要素を備え、これによって、前記取り外し可能要素を除去する又は前記可動要素を動かすことによって前記回転可能部品を解放せずに、前記制御メンバーの前記少なくとも大部分が前記空欠部内に挿入されることを防ぐ。
【0008】
下において、いくつかの他の特定の代替的実施形態について説明する。
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら例を用いて本発明について詳細に説明する。なお、この例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】制御デバイスに関連づけられたムーブメントと検出器が携行型時計ケース内に取り付けられる前における、本発明に係る携行型時計のための制御デバイスについての一実施形態の断面図である。
【
図2】ムーブメントと検出器が携行型時計ケース内に取り付けられているときに意図されている状態における
図1の制御デバイスを示している。
【
図3】ムーブメントと検出器が携行型時計ケース内に取り付けられた後の動作状態における
図1の制御デバイスを示している。
【
図4】動作状態における制御デバイスの斜視縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る計時器用制御デバイスについて、添付の図面を参照しながら説明する。
【0012】
制御デバイス2は、把持用メンバー4と、携行型時計ケース18内に設けられ回転センサーのための制御メンバー6と、把持用メンバー4を制御メンバー6に接続するシャフト12とによって形成される回転可能部品を備える。制御デバイス2は、さらに、回転可能部品を支持するための支持体14を備え、この支持体14は、携行型時計ケースのミドル部16にて形成された貫通開口20内に強制的に挿入する又は貫通開口20内にて接着されることができるような寸法構成を有する。支持体14には、シャフト12が通り抜ける環状開口22があり、この環状開口22は、制御メンバー6の最大の半径方向の寸法Dよりも小さく、把持用メンバー4の最大の半径方向の寸法よりも小さい直径を有する。
【0013】
制御メンバー6は、回転可能メンバーの回転軸13を中心とする半径方向に磁化されている磁石8を備える。この磁石8は、シャフト12の内側端に固定された回転体部分10上に配置され、この回転体部分10は、磁石8とワッシャー38とともに、回転可能部品の内側端部分を形成する。好ましくは、磁石8は、多極磁石である。「内側」という用語は、制御デバイス2が取り付けられるように意図された携行型時計ケースを基準に用いられる。ワッシャー38は、取り外し可能なキー40がシャフト12上に配置された後に、取り外し可能なキー40を制御メンバー6側にて軸方向にて支持するための第1の半径方向の面を形成するように作用する。取り外し可能なキー40は、ムーブメント30が携行型時計ケース18内に取り付けられて磁気的検出器26が回転センサーを形成した後に、回転可能部品の軸方向の運動を制限するために設けられる。なお、回転体部分10自体が環状開口22側にて半径方向の面を形成するような1つの代替的実施形態において、ワッシャー38は不要であり省略することができる。前記内側端部分は、シャフト12と一緒に回転するようにシャフト12の内側端に取り付けられる。これは、それぞれに設けられた相補的なねじを利用してねじ込むことによって、かつ/又は接着によって、又は内側端部分をシャフトに固定するための要素の使用を潜在的に伴うことがある任意の他の適当な固定手段によって、行う。
【0014】
環状開口22の内側にて、前記支持体には、回転軸13の方向にて開いている空欠部24があり、この空欠部24は、携行型時計ケース18の内側の方に開いているように意図されている。一般的には、空欠部24は、シャフト12に取り付けられた制御メンバー6の少なくとも大部分を収容することができるような寸法構成を有する。好ましくは、
図2に示しているように、空欠部24と回転可能部品は、支持体14に形成された環状開口22に対して空欠部24側に位置する、回転可能部品の前記内側端部分が、空欠部内にほぼ全体を収容することができ、又は、好ましくは、空欠部内に完全に収容することができるように構成している。
【0015】
図示しているように、回転センサーは、制御メンバーの上にて、回転可能部品の回転軸13を中心とする、制御メンバーの半径方向の外側領域に配置される磁気的検出器26を備える。磁気的検出器26は、磁石8が把持用メンバーの回転駆動によって回転するときに発生する磁場の変化を測定できるように、携行型時計ケース内における磁石8の近傍において固定されて配置される。
【0016】
本発明の1つの非常に有利な特徴によると、空欠部24の側壁を形成する支持体14の部分の少なくとも大部分は、この支持体14が携行型時計ケースに取り付けられた後に、ミドル部16にて形成された貫通開口20の内側に設けられる。
図3に示しているように、携行型時計ケース内に最大限の空間を確保し、磁気的検出器26をミドル部16の内壁の近傍に配置することを可能にする1つの好ましい代替的実施形態において、空欠部24を形成する支持体14の部分は、ほぼ完全にミドル部の貫通開口20内に位置するように、又は一般的には、計時器用ムーブメント30のための携行型時計ケース内に形成された、円筒状の側壁がある幾何学的体積の外側に位置するように、設けられる。この計時器用ムーブメント30は、磁気的検出器26を備え、又はこの磁気的検出器26を備える上側電子モジュールと関連づけられる。
【0017】
図3において、磁気的検出器26は、プリント回路ボード28の下に位置しており、このプリント回路ボード28は、磁気的検出器26を担持し、プレート32の下に配置されて、プリント回路ボード28と磁気的検出器26と一緒に電子モジュールを形成する。
図3に示している代替的実施形態において、電子モジュールは、携行型時計のディスプレーのための表盤34によって覆われ、又はこの表盤34を含む。この
図3に示している代替的な実施形態において、制御デバイス2は、2つの機能を有することが意図されている。すなわち、磁気的センサーを介する、回転可能部品、特に把持用メンバー4、の回転の磁気的検出に関連づけられた第1の機能と、第2の押し部品の機能である。この磁気的センサーは、磁気的検出器26と、制御メンバー6の多極磁石8とを備え、これらは、半径方向にて互いに対向するように配置される。押し部品機能は、力検出器36を担持する計時器用ムーブメントの方への回転可能部品の軸方向の運動によって果たされ、この力検出器36は、シャフト12の端によって、又は一般的には、回転可能部品の内側端部分によって、自身に与えられる力を検出することができるように構成している。制御デバイス2において、ばね44が設けられ、このばね44は、回転可能部品、特に把持用メンバー4、に戻し力を作用させて、押し部品機能を得て、さらに、制御メンバー6、特に多極磁石8、が磁気的回転センサーを動作させるための最良の軸方向の位置に戻ることを可能にする。
【0018】
本発明によると、制御デバイスの構成のおかげで、回転可能部品の内側端部分、したがって制御メンバーが、この内側端部分がシャフトに取り付けられた後に、シャフトとともに回転し、シャフトに対して固定された軸方向の位置に保持されるように、軸方向に動くことが可能になり、これによって、携行型時計ケース内において、この内側端部分をその動作位置から引き出し、すなわち、この内側端部分を、磁気的検出器、一般的にはこの磁気的検出器を備えるムーブメント又はモジュール、を取り付けるための軸方向の取り付け位置に配置する。この軸方向の取り付け位置は、磁気的検出器が携行型時計ケース内に取り付けられるときに、シャフト、したがって、把持用メンバーがこのシャフトに既に取り付けられている場合には把持用メンバー、の軸方向の引き出し位置に対応する。なお、携行型時計ケース内における磁気的検出器の取り付けは、最終段階において取り外し可能要素又は可動要素がシャフトに取り付けられる前に行われるように意図されており、これによって、回転可能部品の軸方向の運動を軸方向に不動化し又は制限して、内側端部分が軸方向の取り付け位置に動くことを防ぐ。このために、取り外し可能要素又は可動要素、特に、キー40は、支持体14によって形成される制御メンバー6と第2の半径方向の面の間に配置されるように意図されており、この支持体14は、配置された後に、ミドル部16における貫通開口20側にて、この取り外し可能要素又は可動要素のための軸方向の支持体を与えるように意図されている。なお、図示していない代替的実施形態において、第2の半径方向の面は、ミドル部16の内面によって形成することができる。
【0019】
本発明に係る制御デバイスの特徴のおかげで、制御メンバー、一般的には回転可能部品の内側端部分は、少なくとも大部分について、制御メンバー、一般的には回転可能部品、の一時的な軸方向の運動によって、支持体における内側空欠部内へと、一時的に収納されて、携行型時計ケース内にて検出器を取り付けるための位置になることができる。特に、本発明のおかげで、既にシャフトに固定的に取り付けられている制御メンバーを、制御デバイスを通すこと及び固定することのために、ミドル部にて形成された貫通開口の少なくとも一部及び好ましくは全体の内側にて収容することによって、一時的に取り外すことが可能になる。
【0020】
図1において、ばね44が無負荷である第1の状態にて、制御デバイス2が携行型時計ケース18内にて開口20の内側に取り付けられている様子を示している。図示しているように、制御デバイスが動作状態にあるときに、ばね44が、把持用メンバー4、したがって回転可能部品に、外向きの軸方向の力を与えるように意図されている。第1の状態において、制御メンバー6、一般的には、回転可能部品の内側端部分は、空欠部24の内側に部分的に配置される。なお、空欠部24の側壁を形成する支持体の部分は、ほぼ完全に、したがって大部分が、制御デバイス2を通すためにミドル部16に形成された貫通開口20の内側に配置される。制御デバイスは、ムーブメント、特に、携行型時計ケース内にて磁気的検出器26を備える上側電子モジュール、を取り付ける前にはこの第1の状態であるように意図されている。この第1の状態は、携行型計時器ケースを計時器の工場に運ぶときに有利である。具体的には、制御デバイスがほぼ完全に取り付けられており、回転可能部品の軸方向の運動を制限するための要素40のみが、まだシャフト12に取り外し可能に取り付けられていないことがわかる。特に、この第1の状態において、制御メンバー6と把持用メンバーは、既にシャフト12に固定的に取り付けされている。このことは、制御デバイスの主な要素を既に組み付けられているようにしてこの携行型時計ケースを携行型時計ケースの製造者が運ぶことができるので、有利である。
【0021】
図2において、回転可能部品は、ムーブメント30、上側電子モジュール(参照番号26、28、32)及び表盤34を取り付けるための軸方向の位置に配置される。回転可能部品の第2の状態に対応する、この軸方向の取り付け位置においては、制御メンバー6は、空欠部24内に完全に挿入され、したがって、大部分が、ミドル部16において加工されて形成された開口20内に位置する。この引かれた位置においては、回転可能部品が取り外され、制御メンバー6が空欠部24内に収納され、具体的には、大部分が貫通開口部20内に一時的に配置され、計時器用ムーブメント30、特に、磁気的検出器26を含む上側電子モジュールを、携行型時計ケースの裏部から挿入することができる。この磁気的検出器26は、通常動作時において、より高いレベル、すなわち、制御メンバーを超えて位置する、制御メンバーの半径方向の外側領域にある、制御メンバー6を中心とする半径方向の位置にあるように意図されている。本発明に係る制御デバイスの特徴がなければ、説明した主な代替的実施形態において、計時器用ムーブメントと同様に磁気的検出器が携行型時計ケースの裏部を介して挿入されるように意図されていることを考えると、制御メンバー6がシャフト12に既に取り付けられ、回転センサーの動作位置に直接配置される場合には、携行型時計ケースの裏部を介して磁気的検出器を挿入することはできない。
【0022】
図3において、ムーブメント30と上側電子モジュールは、携行型時計ケース内に配置されており、制御デバイス2は、したがって、軸方向の動作位置にある。この第3の状態において、制御デバイスは完全に組み付けられた最終構成となっており、回転可能部品は動作可能である。この第3の状態は、キー40によって確実にされ、このキー40は、シャフト12、一般的には回転可能部品、に取り外し可能に取り付けられて、回転可能部品の軸方向の運動を制限し、そしてとりわけ、特に回転センサーのために、制御メンバーの軸方向の動作位置の配置を確実にする。このキー40は、回転可能部品の軸方向の運動を制限するための要素であり、取り外し可能であり、このキーを横断方向にて挿入すること、すなわち、回転軸13を中心とする半径方向にて挿入することは、ムーブメント30と磁気的センサー26が取り付けられた後に、携行型時計ケースの裏部から困難なく行われる。
【0023】
なお、上述した従来技術の実施形態とは対照的に、キー40は、制御メンバー6の上流に配置される。すなわち、キー40は、この制御メンバー6と、空欠部24、一般的にはミドル部16の内壁、特に、ミドル部16の貫通開口20、の間に配置される。したがって、キー40は、携行型時計ケースの固定された部分、又は好ましくは支持体14、に軸方向にて支持され、一方、制御メンバー6は、下流に、すなわち、このキー40に対して内側に、位置して、携行型時計ケース内に配置される要素と半径方向にて作用し合うことができる。
図3に示している有利な代替的実施形態において、キー40は、設置された後に、空欠部24の内側端に位置する支持体14の横断方向/半径方向の面に軸方向にて支持される。
図4は、
図3と同様に、前記第3の状態における制御デバイス2の斜視縦断面図である。
【0024】
支持体14の横断方向/半径方向の面に対する非ゼロの圧力でのこのようなキー40の支持は、ワッシャー38を介してばね44によって達成される。このワッシャー38は、制御メンバー6とキーの間に配置され、これらを支持する。したがって、ばね44には、2つの機能がある。すなわち、制御デバイスのための押し部品の機能と、軸方向の圧力が把持用メンバー4に与えられていないときに、制御メンバー、特に磁石8、のための最適な動作位置に回転可能部品を保持する機能がある。まとめると、キー40は、空欠部24が開いているように空欠部24を包囲する支持体の半径方向の面に対向することができるように、回転可能部品に取り付けることができる。また、制御デバイスは、この制御デバイスに軸方向の力を与えるように回転可能部品に作用するばね44を備え、この軸方向の力のおかげで、回転可能部品に与えられる、軸方向の力とは反対方向の作動力がないときには、キー40を半径方向の面に押し続けることができ、したがって、制御メンバー6の軸方向の動作位置が最適であることを確実にすることができる。このように、キー40は、このキー40を取り外していないのに制御メンバー6が空欠部24に再挿入されることを防ぐ。このキー40は、制御メンバー6と支持体14の空欠部24の間にて回転可能部品に横断方向にて取り付けられる取り外し可能な要素である。
【0025】
回転可能部品の制限された軸方向の運動、又は回転可能部品の軸方向の不動化に関連して、以下において2つの代替的実施形態(図示せず)について説明する。第1の代替的実施形態において、前記キーを、可動要素、特に摺動要素、によって置き換える。この可動要素は、第1の位置ないし構成において、回転可能部品の軸方向の運動を軸方向にて不動化又は制限することができるように、携行型時計ケース内に配置される。したがって、可動要素が第2の位置ないし構成へと動くことなく制御メンバーの少なくとも大部分が空欠部24内に挿入されることを防ぐ。この第2の位置ないし構成においては、回転可能部品は、解放されており、したがって、少なくとも大部分が空欠部内に挿入されることができる。
【0026】
第2の代替的実施形態において、制御デバイスは、回転可能部品又は支持体と一体化される弾性要素を備え、この回転可能部品又は支持体は、制御メンバーの少なくとも大部分を空欠部内に挿入する際又は制御メンバーの前記少なくとも大部分を空欠部から除去する際に、弾性要素が弾性変形することができるように構成しており、これによって、空欠部内に挿入された後又は制御メンバーの前記少なくとも大部分が空欠部から除去される際に、制御メンバーの前記少なくとも大部分が空欠部から除去された後に、弾性負荷の下で弾性変形可能要素を再配置するための特定の介入なしに、制御メンバーの前記少なくとも大部分が空欠部内に再挿入されることを防ぐような回転可能部品の軸方向の運動の軸方向の不動化又は制限が可能になる。
【符号の説明】
【0027】
2 制御デバイス
4 把持用メンバー
6 制御メンバー
8 磁石
12 シャフト
13 回転軸
14 支持体
16 ミドル部
18 携行型時計ケース
20 貫通開口
22 環状開口
24 空欠部
26 回転センサー
40 取り外し可能要素
44 ばね
【外国語明細書】