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特開2023-122565漏洩防止装置、管継手部の漏洩防止構造、及び、漏洩防止方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122565
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】漏洩防止装置、管継手部の漏洩防止構造、及び、漏洩防止方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20230825BHJP
   F16L 55/168 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
F16L57/00 C
F16L55/168
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024478
(22)【出願日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2022025399
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】506076983
【氏名又は名称】和歌山市
(71)【出願人】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(71)【出願人】
【識別番号】511089583
【氏名又は名称】日本ニューロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮之原 和俊
(72)【発明者】
【氏名】永岡 亜隆
(72)【発明者】
【氏名】東川 仁士
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 嵩之
(72)【発明者】
【氏名】岩本 泰一
(72)【発明者】
【氏名】西 勇也
【テーマコード(参考)】
3H024
3H025
【Fターム(参考)】
3H024CA03
3H025EA03
3H025EB04
3H025EC05
3H025ED01
(57)【要約】
【課題】強度に優れた漏洩防止装置、管継手部の漏洩防止構造、及び、漏洩防止方法を提供する。
【解決手段】漏洩防止装置10は、管P1に密封状に外嵌される外嵌部材11と、管P2に密封状に外嵌される外嵌部材12と、外嵌部材11と外嵌部材12との間で管軸方向に延在し、管P1の端部と管P2の端部とが接続された管継手部J1を取り囲む金属製のフレキシブル管14と、を備える。フレキシブル管14が金属製であるため、ゴム・合成樹脂からなる可撓部材を用いた伸縮可撓継手に比べて強度に優れたものとなり、実用性が高まる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体管に密封状に外嵌される第1外嵌部材と、
第2流体管に密封状に外嵌される第2外嵌部材と、
前記第1外嵌部材と前記第2外嵌部材との間で管軸方向に延在し、前記第1流体管の端部と前記第2流体管の端部とが接続された管継手部を取り囲む金属製のフレキシブル管と、を備える漏洩防止装置。
【請求項2】
前記フレキシブル管は、管周方向に分割された複数の分割片を溶接により互いに接合して一体化したものである、請求項1に記載の漏洩防止装置。
【請求項3】
前記第1外嵌部材は、管径方向に延出した第1延出体を有し、
前記第2外嵌部材は、管径方向に延出した第2延出体を有し、
前記第1延出体及び前記第2延出体の各々に形成されたロッド孔に挿通されるタイロッドを備える、請求項1に記載の漏洩防止装置。
【請求項4】
前記第1外嵌部材は、前記第1流体管に外嵌される第1筒体と、前記第1筒体の内周面と前記第1流体管の外周面との隙間を密封する第1シール材と、を有する、請求項1に記載の漏洩防止装置。
【請求項5】
前記第1外嵌部材は、管径方向に延出した第1延出体と、前記第1流体管に外嵌される第1筒体と、前記第1筒体の内周面と前記第1流体管の外周面との隙間を密封する第1シール材と、を有し、
前記第1外嵌部材には、前記第1シール材を押圧する押輪が連結されており、
前記第1筒体には、前記押輪を前記第1外嵌部材に連結するためのボルトが取り付けられるフランジが設けられており、
前記第1延出体と前記フランジとの間隔が前記ボルトの長さよりも小さい、請求項1に記載の漏洩防止装置。
【請求項6】
前記第1外嵌部材及び前記第2外嵌部材の少なくとも一方に、流体管の離脱を防止する離脱防止機構が適用されている、請求項1に記載の漏洩防止装置。
【請求項7】
前記第1流体管の端部と前記第2流体管の端部とが接続された管継手部に、請求項1~6いずれか1項に記載の漏洩防止装置が装着されている、管継手部の漏洩防止構造。
【請求項8】
前記第1外嵌部材が溶接により前記第1流体管に接合され、前記第2外嵌部材が溶接により前記第2流体管に接合されている、請求項7に記載の管継手部の漏洩防止構造。
【請求項9】
自然状態における前記フレキシブル管の長さが、前記管継手部における突出要素の長さよりも大きい、請求項7に記載の管継手部の漏洩防止構造。
【請求項10】
第1外嵌部材を第1流体管に密封状に外嵌する工程と、
第2外嵌部材を第2流体管に密封状に外嵌する工程と、
前記第1外嵌部材と前記第2外嵌部材との間で管軸方向に延在し、前記第1流体管の端部と前記第2流体管の端部とが接続された管継手部を取り囲む金属製のフレキシブル管における一方側の端部を前記第1外嵌部材に接合し、前記フレキシブル管における他方側の端部を前記第2外嵌部材に接合する工程と、を備える漏洩防止方法。
【請求項11】
前記フレキシブル管は、管周方向に分割された複数の分割片を溶接により互いに接合して一体化したものである、請求項10に記載の漏洩防止方法。
【請求項12】
前記第1流体管に密封状に外嵌された前記第1外嵌部材と、前記第2流体管に密封状に外嵌された前記第2外嵌部材との間に、複数の前記分割片を互いに接合する前の前記フレキシブル管を配置し、
前記フレキシブル管における一方側の端部を前記第1外嵌部材に接合し、前記フレキシブル管における他方側の端部を前記第2外嵌部材に接合し、
前記フレキシブル管の内部にシールドガスを注入し、
前記フレキシブル管の外部から複数の前記分割片を溶接により互いに接合して一体化する、請求項11に記載の漏洩防止方法。
【請求項13】
前記第1外嵌部材、前記第2外嵌部材及び前記フレキシブル管の少なくとも1つに、前記フレキシブル管の内部と外部とを連通させる連通孔が設けられており、
前記連通孔を介して前記フレキシブル管の内部へのシールドガスの注入を行う、請求項12に記載の漏洩防止方法。
【請求項14】
治具を用いて複数の前記分割片の相対位置を調整した状態で、その複数の前記分割片を溶接により互いに接合して一体化する、請求項11~13いずれか1項に記載の漏洩防止方法。
【請求項15】
前記治具は、管周方向に沿って延在するリング状をなし、
管軸方向に沿って波状に延在する前記フレキシブル管の外周面に前記治具を嵌めることにより、複数の前記分割片の相対位置を調整する、請求項14に記載の漏洩防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管継手部における流体の漏洩を防止する漏洩防止装置と、その装置を用いた管継手部の漏洩防止構造と、管継手部における流体の漏洩を防止する漏洩防止方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水管橋などに敷設された管路に装着される漏水補修伸縮可撓継手が記載されている。この伸縮可撓継手は、ゴム・合成樹脂からなる可撓部材を有し、それによって管路の伸縮や傾斜に追随するように構成されている。しかし、その反面、強度が比較的低くならざるを得ないため、管継手部であるジョイントから流体管が離脱したときに管路が持ち堪えられないなど、実用に見合わない場合が多いと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-139684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、強度に優れた漏洩防止装置、管継手部の漏洩防止構造、及び、漏洩防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]
本開示に係る漏洩防止装置は、第1流体管に密封状に外嵌される第1外嵌部材と、第2流体管に密封状に外嵌される第2外嵌部材と、前記第1外嵌部材と前記第2外嵌部材との間で管軸方向に延在し、前記第1流体管の端部と前記第2流体管の端部とが接続された管継手部を取り囲む金属製のフレキシブル管と、を備える。
【0006】
この装置によれば、第1流体管に取り付けられた第1外嵌部材と、第2流体管に取り付けられた第2外嵌部材との間で、それら両管の管継手部がフレキシブル管によって取り囲まれる。このため、管継手部において流体管が離脱した場合には、管路の伸縮や偏心に追随しながら流体の漏洩を防止することができる。また、フレキシブル管が金属製であるため、ゴム・合成樹脂からなる可撓部材を用いた特許文献1に記載の伸縮可撓継手に比べて強度に優れたものとなり、実用性が高まる。
【0007】
[2]
上記[1]の漏洩防止装置において、前記フレキシブル管は、管周方向に分割された複数の分割片を溶接により互いに接合して一体化したものであることが好ましい。このような分割構造をフレキシブル管が有することにより、既設管路に装着可能な漏洩防止装置を実現できる。これに対して、特許文献1に記載の伸縮可撓継手では、可撓部材がゴム・合成樹脂で形成されているため、このような分割構造を採用できず、既設管路への装着が困難と考えられる。
【0008】
[3]
上記[1]または[2]の漏洩防止装置において、前記第1外嵌部材は、管径方向に延出した第1延出体を有し、前記第2外嵌部材は、管径方向に延出した第2延出体を有し、前記第1延出体及び前記第2延出体の各々に形成されたロッド孔に挿通されるタイロッドを備えることが好ましい。かかる構成によれば、フレキシブル管の伸縮量をタイロッドによって調整することができる。
【0009】
[4]
上記[1]~[3]いずれかの漏洩防止装置において、前記第1外嵌部材は、前記第1流体管に外嵌される第1筒体と、前記第1筒体の内周面と前記第1流体管の外周面との隙間を密封する第1シール材と、を有するものでもよい。同様に、前記第2外嵌部材は、前記第2流体管に外嵌される第2筒体と、前記第2筒体の内周面と前記第2流体管の外周面との隙間を密封する第2シール材と、を有するものでもよい。
【0010】
[5]
上記[1]~[4]いずれかの漏洩防止装置において、前記第1外嵌部材は、管径方向に延出した第1延出体と、前記第1流体管に外嵌される第1筒体と、前記第1筒体の内周面と前記第1流体管の外周面との隙間を密封する第1シール材と、を有し、前記第1外嵌部材には、前記第1シール材を押圧する押輪が連結されており、前記第1筒体には、前記押輪を前記第1外嵌部材に連結するためのボルトが取り付けられるフランジが設けられており、前記第1延出体と前記フランジとの間隔が前記ボルトの長さよりも小さいものでもよい。これにより装置がコンパクトな構成となるため、狭小な場所でも装着が可能となる。また、外嵌部材に対する塗装作業が簡易になり、作業性が向上する。同様に、前記第2外嵌部材は、管径方向に延出した第2延出体と、前記第2流体管に外嵌される第2筒体と、前記第2筒体の内周面と前記第2流体管の外周面との隙間を密封する第2シール材と、を有し、前記第2外嵌部材には、前記第2シール材を押圧する押輪が連結されており、前記第2筒体には、前記押輪を前記第2外嵌部材に連結するためのボルトが取り付けられるフランジが設けられており、前記第2延出体と前記フランジとの間隔が前記ボルトの長さよりも小さいものでもよい。
【0011】
[6]
上記[1]~[5]いずれかの漏洩防止装置において、前記第1外嵌部材及び前記第2外嵌部材の少なくとも一方に、流体管の離脱を防止する離脱防止機構が適用されているものでもよい。かかる構成によれば、第1外嵌部材または第2外嵌部材から流体管が離脱することを阻止して、より確実に流体の漏洩を防止できる。
【0012】
[7]
また、本開示に係る管継手部の漏洩防止構造は、前記第1流体管の端部と前記第2流体管の端部とが接続された管継手部に、上記[1]~[6]いずれかの漏洩防止装置が装着されているものである。上述の通り、フレキシブル管が金属製であるため強度に優れたものとなり、実用性が高まる。
【0013】
[8]
上記[7]の漏洩防止構造において、前記第1外嵌部材が溶接により前記第1流体管に接合され、前記第2外嵌部材が溶接により前記第2流体管に接合されているものでもよい。かかる構成によれば、離脱防止機構が溶接によって実現されるため、第1外嵌部材及び第2外嵌部材の各々から流体管が離脱することを阻止できる。また、流体管に外嵌される筒体や、それらの隙間を密封するシール材を不要にできるため、部品点数の削減に役立つ。
【0014】
[9]
上記[7]または[8]の漏洩防止構造において、自然状態における前記フレキシブル管の長さが、前記管継手部における突出要素の長さよりも大きいことが好ましい。かかる構成によれば、フレキシブル管の伸縮量を確保しやすく、管路の伸縮や偏心に対応するうえで都合がよい。
【0015】
[10]
また、本開示に係る漏洩防止方法は、第1外嵌部材を第1流体管に密封状に外嵌する工程と、第2外嵌部材を第2流体管に密封状に外嵌する工程と、前記第1外嵌部材と前記第2外嵌部材との間で管軸方向に延在し、前記第1流体管の端部と前記第2流体管の端部とが接続された管継手部を取り囲む金属製のフレキシブル管における一方側の端部を前記第1外嵌部材に接合し、前記フレキシブル管における他方側の端部を前記第2外嵌部材に接合する工程と、を備えるものである。
【0016】
この方法によれば、第1流体管に取り付けられた第1外嵌部材と、第2流体管に取り付けられた第2外嵌部材との間で、それら両管の管継手部がフレキシブル管によって取り囲まれる。このため、管継手部において流体管が離脱した場合には、管路の伸縮や偏心に追随しながら流体の漏洩を防止することができる。また、フレキシブル管が金属製であるため、ゴム・合成樹脂からなる可撓部材を用いた特許文献1に記載の伸縮可撓継手に比べて強度に優れたものとなり、実用性が高まる。
【0017】
[11]
上記[10]の漏洩防止方法において、前記フレキシブル管は、管周方向に分割された複数の分割片を溶接により互いに接合して一体化したものであることが好ましい。このような分割構造をフレキシブル管が有することにより、既設管路への装着が可能となる。これに対して、特許文献1に記載の伸縮可撓継手では、可撓部材がゴム・合成樹脂で形成されているため、このような分割構造を採用できず、既設管路への装着が困難と考えられる。
【0018】
[12]
上記[11]の漏洩防止方法において、前記第1流体管に密封状に外嵌された前記第1外嵌部材と、前記第2流体管に密封状に外嵌された前記第2外嵌部材との間に、複数の前記分割片を互いに接合する前の前記フレキシブル管を配置し、前記フレキシブル管における一方側の端部を前記第1外嵌部材に接合し、前記フレキシブル管における他方側の端部を前記第2外嵌部材に接合し、前記フレキシブル管の内部にシールドガスを注入し、前記フレキシブル管の外部から複数の前記分割片を溶接により互いに接合して一体化することが好ましい。かかる方法によれば、フレキシブル管の溶接箇所(後述する接合部14Z)の内周面がシールドガスで覆われるため、溶接の品質を確保するうえで都合がよい。
【0019】
[13]
上記[12]の漏洩防止方法において、前記第1外嵌部材、前記第2外嵌部材及び前記フレキシブル管の少なくとも1つに、前記フレキシブル管の内部と外部とを連通させる連通孔が設けられており、前記連通孔を介して前記フレキシブル管の内部へのシールドガスの注入を行うことが好ましい。かかる方法によれば、装置に設けられた連通孔を利用して、フレキシブル管の内部にシールドガスを注入できる。
【0020】
[14]
上記[11]~[13]いずれかの漏洩防止方法において、治具を用いて複数の前記分割片の相対位置を調整した状態で、その複数の前記分割片を溶接により互いに接合して一体化することが好ましい。かかる方法によれば、複数の分割片の端面同士が適正に突き合わされた状態を保持できるため、溶接時の作業性が向上する。
【0021】
[15]
上記[14]の漏洩防止方法において、前記治具は、管周方向に沿って延在するリング状をなし、管軸方向に沿って波状に延在する前記フレキシブル管の外周面に前記治具を嵌めることにより、複数の前記分割片の相対位置を調整することが好ましい。かかる方法によれば、フレキシブル管を構成する複数の分割片の管軸方向の位置ずれを防いで、それらの波形状の位相を容易に合致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態の漏洩防止装置を示す半断面図
図2図1の管継手部の周辺を示す拡大図
図3図1の第1外嵌部材の周辺を示す拡大図
図4】フレキシブル管を正面から見た半断面図
図5】離脱防止機構の具体例を示す断面図
図6】離脱防止機構の具体例を示す断面図
図7図1の管路が伸長した状態を示す断面図
図8図7の管路が偏心した状態を示す断面図
図9】規制部材の好ましい構造の一例を示す図
図10】漏洩防止装置を装着する工程を説明する正面図(但し、(F)は半断面図)
図11】治具を装着したフレキシブル管の正面図
図12】(A)治具を管軸方向から見た図、及び、(B)治具を管周方向から見た断面図
図13】治具の断面形状の別の例を示す図
図14】治具を装着したフレキシブル管の正面図
図15】第1実施形態の変形例に係る漏洩防止装置を示す半断面図
図16】第2実施形態の漏洩防止装置を示す半断面図
図17図16の第1外嵌部材の周辺を示す拡大図
図18】漏洩防止装置を装着する工程を模式的に示す要部断面図
図19】外嵌部材を取り付けるための治具を示す図
図20】漏洩防止装置を装着する工程を模式的に示す要部断面図
図21】第3実施形態の漏洩防止装置を示す半断面図
図22図21の管継手部の周辺を示す拡大図
図23図21の管路が伸長した状態を示す断面図
図24図23の管路が偏心した状態を示す断面図
図25】第4実施形態の漏洩防止装置を示す半断面図
図26図25の管路が伸長した状態を示す断面図
図27図26の管路が偏心した状態を示す断面図
図28】第5実施形態の漏洩防止装置を示す半断面図
図29】離脱防止機構の具体例を示す断面図
図30】第5実施形態の変形例に係る漏洩防止装置を示す半断面図
図31】漏洩防止装置を装着する工程を説明する正面図
図32】(A)治具の正面図(但し、一部は断面図)、及び、(B)治具を管軸方向から見た図
図33】外嵌部材に対するフレキシブル管の芯出しのための構成を説明する断面図
図34】延出体とフレキシブル管の端部との間に調整部材を配置した例を示す断面図
図35】延出体と筒体との間に調整部材を配置した例を示す断面図
図36】連通孔にプラグを装着した状態を示す断面図
図37】フレキシブル管の接合部の端部を拡大して示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の漏洩防止装置及び管継手部の漏洩防止構造の実施形態について説明する。
【0024】
[第1実施形態]
まずは、図1~15を参照しながら第1実施形態について説明する。図1に示す漏洩防止装置10は、第1流体管としての管P1の端部と第2流体管としての管P2の端部とが接続された管継手部J1に装着されている。本実施形態では、管P1,P2を含む管路が水管橋(例えば、独立水管橋または添架水管橋)に敷設された例を示す。但し、これに限られず、建物の屋内または屋外に敷設される管路や、土中に埋設される管路などであってもよい。管P1,P2は、それぞれ水道管として供される呼び径1000の鋼管であるが、管寸法などの仕様は使用条件に応じて適宜に変更可能である。
【0025】
地震や不同沈下などに起因した外力の影響により、管継手部J1において管P1,P2が離脱すると、その隙間から漏出した流体が外部に漏洩する。そのような流体の漏洩(本実施形態では漏水)を予防するために、漏洩防止装置10が管継手部J1に装着されている。漏洩防止装置10は、漏水箇所になり得る管継手部J1の周囲を密封状に取り囲み、外部への漏水を防止可能に構成されている。したがって、漏洩防止装置10が装着された管継手部J1の周辺には密閉空間が形成されている。
【0026】
図2に拡大して示すように、管継手部J1では、管P1と管P2とが継ぎ輪40を介して接続されている。継ぎ輪40は、スリーブジョイントとも呼ばれる。継ぎ輪40は、一対の管P1,P2に跨って配置される筒状の本体41と、その本体41の両端部に装着された環状のシール材42と、シール材42を押さえる押さえ部材43と、押さえ部材43に取り付けられたボルト・ナットを含む締結具44とを備える。締結具44を締め付けると、押さえ部材43が本体41に接近してシール材42を押圧し、それにより継ぎ輪40と管P1,P2との隙間が密封される。シール材42は、ゴムなどの弾性材料で形成されており、このことは後述する他のシール材も同様である。
【0027】
図1のように、漏洩防止装置10は、管P1に密封状に外嵌される外嵌部材11(第1外嵌部材)と、管P2に密封状に外嵌される外嵌部材12(第2外嵌部材)と、金属製のフレキシブル管14とを備える。本実施形態において、外嵌部材11は、管径方向に延出した延出体11c(第1延出体)を有し、外嵌部材12は、管径方向に延出した延出体12c(第2延出体)を有する。また、外嵌部材11は、管P1に外嵌される筒体11a(第1筒体)と、その筒体11aの内周面と管P1の外周面との隙間を密封するシール材11b(第1シール材)とを有する。外嵌部材12は、管P2に外嵌される筒体12a(第2筒体)と、その筒体12aの内周面と管P2の外周面との隙間を密封するシール材12b(第2シール材)とを有する。延出体11c,12cは、それぞれ筒体11a,12aから管径方向外側に向けて延出している。
【0028】
図3に拡大して示すように、筒体11aは、管P1に外嵌可能な内径寸法を有する。管継手部J1から遠い側(図3の左側)の筒体11aの端部には、環状のシール材11bが装着されている。また、その筒体11aの端部には、フランジ11dが一体的に設けられている。外嵌部材11には、フランジ11dを介して環状の押輪50が連結されている。押輪50は、シール材11bを押圧可能な押圧部51と、ボルト・ナットを含む締結具52と、そのボルト(T頭ボルト)が挿通されたフランジ53とを備える。締結具52を締め付けると、押圧部51が外嵌部材11に接近してシール材11bを押圧し、それにより外嵌部材11と管P1との隙間が密封される。
【0029】
管継手部J1に近い側(図3の右側)の筒体11aの端部には、延出体11cが一体的に設けられている。延出体11cはフランジ状に形成されており、その外径はフランジ11dの外径よりも大きい。延出体11cには、管周方向に沿って所定の間隔で複数(例えば10個)のロッド孔(図示せず)が形成されている。筒体11aと延出体11cは、全体として断面L字状に形成されているが、これに限られない。筒体11a(及びフランジ11d)と延出体11cは、ステンレス鋼などの金属材で形成されている。以上に説明した外嵌部材11の構成は外嵌部材12においても同様であるため、外嵌部材12についての説明は省略する。
【0030】
図1のように、本実施形態の漏洩防止装置10は、延出体11c及び延出体12cの各々に形成されたロッド孔に挿通されるタイロッド13を備える。タイロッド13は、延出体11c,12cに対するタイロッド13の相対移動を規制する規制部材15を有する。規制部材15は、タイロッド13の雄ねじ部に螺合されたナットによって構成され、スペーサやワッシャを含むこともある。雄ねじ部は、タイロッド13の全長に亘って形成されているが、所要の部位に形成されていればよい。本実施形態では、一本のタイロッド13に四つの規制部材15a~15dが備えられている。以降では、各規制部材を「規制部材15a~15d」と個別的に称しつつ、これらを一括して「規制部材15」と総称する。
【0031】
タイロッド13における規制部材15の位置は、延出体11c,12cに対するタイロッド13の相対移動量を勘案して適宜に設定できる。図1の状態において、延出体11cと、その延出体11cに対して管継手部J1から遠い側に配置された規制部材15aとの間には、間隔G1が設けられている。これに対し、延出体12cと、その両側に配置された規制部材15c,15dとの間には、そのような間隔が設けられていない。それ故、このタイロッド13は、外嵌部材11と外嵌部材12との間隔が拡がる際に、延出体11cに対して相対移動可能に且つ延出体12cに対して相対移動不能に構成されている。
【0032】
フレキシブル管14は、外嵌部材11と外嵌部材12との間で管軸方向に延在し、管継手部J1を取り囲んでいる。フレキシブル管14における一方側の端部は延出体11cに接合され、他方側の端部は延出体12cに接合されている。後述する図6の例のように、フレキシブル管14の端部は、調整部材17などを介在させて延出体11c,12cに接合してもよい。フレキシブル管14は、後述するような管路の伸縮や偏心に追随可能な伸縮可撓管である。フレキシブル管14は、ステンレス鋼や炭素鋼、鉄、銅などの金属材(合金を含む)によって形成されている。中でもステンレス鋼は、強度や耐食性、波状管に形成する際の加工性に優れることから、特に好ましく用いられる。
【0033】
フレキシブル管14は、管軸方向に沿って波状に延在する波状管によって形成されている。より具体的に、フレキシブル管14は、蛇腹構造を有するベローズ管によって形成されている。本実施形態では、ベローズ管であるフレキシブル管14が、低い山形状と高い山形状を交互に繰り返す蛇腹構造を有している(図3参照)。かかる構成によれば、変形時の干渉を軽減して大きな変位を吸収できる。但し、これに限られず、高さが均一な山形状を繰り返す蛇腹構造でもよい。また、波状管としては、管軸方向に沿って凹凸を交互に連続させて形成されるベローズ管に限らず、管軸方向に沿って凹凸が螺旋状に形成されるコルゲート管を用いてもよい。
【0034】
延出体11c,12cに接合する際の作業性を良好にする観点から、フレキシブル管14の端部は、図1,3のように管軸方向に沿ってストレート状に延在していることが好ましい。図4に例示するように、延出体11c,12cに接合されるフレキシブル管14の端部は、波状管として形成された本体部とは別個の部材(延長部材14E)により形成されたものでもよい。かかる端部(延長部材14E)と本体部との接合には、溶接による接合が用いられるが、ボルトやリベットなどを用いた機械的な接合などでもよい。接合する際の継手の形式は、重ね継手に限らず、突き合わせ継手などでも構わない。延長部材14E及び後述する中間パイプ部14Cは、いずれも金属製である。
【0035】
図4のように、フレキシブル管14は、管軸方向に沿ってストレート状に延在する中間パイプ部14Cを含むものでもよい。フレキシブル管14の長さが増すことで偏心時の曲がりが緩やかとなるため、強度的に有利となる。また、中間パイプ部14Cを用いることにより、波状管として形成された本体部を長くした場合に比べて、後述する接合部14Zの長さが小さくなるため、溶接作業の時間短縮に繋がる。中間パイプ部14Cは、管軸方向におけるフレキシブル管14の中央部に配置されているが、これに限られない。中間パイプ部14Cは、本体部とは別個の部材により形成されており、それらの接合には、溶接による接合が用いられるが、上述した機械的な接合などでもよい。接合する際の継手の形式は、重ね継手に限らず、突き合わせ継手などでも構わない。
【0036】
第1外嵌部材11及び第2外嵌部材12の少なくとも一方には、管P1,P2の離脱を防止する離脱防止機構を適用することが考えられる。本実施形態では、外嵌部材11及び外嵌部材12の双方に離脱防止機構が適用されている。図1では、離脱防止機構の図示を省略しており、その代わりに離脱防止機構が適用されていることを表すマークWPを黒丸で示している。他の図面においても同様であり、外嵌部材の近辺にマークWPが描かれている場合は、その外嵌部材に離脱防止機構が適用されていることを意味する。離脱防止機構の具体例を図5及び図6に示す。但し、これに限られず、他の離脱防止機構を適用することも可能である。
【0037】
図5(A)は、図3で示した押輪50に離脱防止機構を一体的に設けた例である。この押輪50は、管P1の外周面に係止可能な爪部材54と、その爪部材54を管径方向内側に向けて押圧する押圧部材としての押ボルト55とを有する。押ボルト55は、管周方向において締結具52(図3参照)と異なる位置に設けられている。爪部材54の外周には、押ボルト55の先端が当接する傾斜面が設けられている。外嵌部材11から管P1を離脱させる管軸方向の外力が作用すると、楔作用を奏して爪部材54が管P1の外周面に強く係止し、離脱防止効果が発揮される。爪部材54の形状は特に限定されず、その外周に傾斜面が設けられていない形状でも構わない。
【0038】
図5(B)は、離脱防止機構を備えた離脱防止装置60を外嵌部材11に装着した例である。離脱防止装置60は、環状の本体61と、管P1の外周面に係止可能な爪部材62と、その爪部材62を管径方向内側に向けて押圧する押圧部材としての押ボルト63と、外嵌部材11に係合可能に構成されたフック64とを有する。外嵌部材11から管P1を離脱させる管軸方向の外力が作用すると、外嵌部材11(のフランジ11d)にフック64が係合し、離脱防止効果が発揮される。押ボルト63を省略し、縮径させた本体61で爪部材62を押圧する構造にしてもよい。
【0039】
図6は、外嵌部材11に離脱防止機構を一体的に設けた例である。外嵌部材11には、筒体11aを管径方向に貫通する雌ねじ孔11hが設けられている。雌ねじ孔11hには押ボルト11gが螺合されており、その押ボルト11gの管径方向内側の先端には、管P1の外周面に係止可能な爪が形成されている。押ボルト11gを管径方向内側に突出させて、その先端の爪を管P1の外周面に強く係止させることにより、離脱防止効果を発揮できる。また、押ボルト11gの突出量を調整することにより、外嵌部材11と管P1との隙間を調整できる。この離脱防止機構は、他の離脱防止機構(例えば図5に示した離脱防止機構)と併用することも可能である。
【0040】
フレキシブル管14の伸縮量や偏心量は、そのフレキシブル管14の長さL1(図1参照)に大きく影響される。そのため、要求される伸縮量や偏心量を確保するうえで必要な長さを有するフレキシブル管14が用いられ、その長さに基づいて外嵌部材11,12の間隔(延出体11c,12cの間隔)が設定される。しかし、周辺の障害物などにより外嵌部材11,12の取り付け位置が制限される状況では、それらの間隔を確保できず、所要の長さを有するフレキシブル管14を使用できないことがある。かかる場合の対策として、図6の例のように、フレキシブル管14の端部と延出体11cとの間に調整部材17を介在させることが考えられる。
【0041】
図6に示す調整部材17は、延出体11cの管径方向外側の端部に接合された筒状部17aと、その筒状部17aの外周面から管径方向外側に立ち上がった起立部17bとを有し、全体として断面L字状に形成されている。起立部17bは、延出体11cに対して、管継手部J1(図6では図示せず)から遠い側(図6の左側)に位置し、その起立部17bにフレキシブル管14の端部が接合されている。かかる構成によれば、フレキシブル管14の長さL1が延出体11c,12cの間隔よりも大きい場合であっても、それらの差異を調整部材17で吸収できるため、所要の長さを有するフレキシブル管14を使用するうえで都合がよい。
【0042】
図1は、管継手部J1に漏洩防止装置10を装着したときの初期状態を示す。漏洩防止装置10は、その管軸方向の中央部に継ぎ輪40が位置するようにして、管継手部J1に装着されている。したがって、継ぎ輪40は、外嵌部材11及び外嵌部材12の双方に対して非接触の状態にある。フレキシブル管14は、それを伸縮させる外力が作用していない自然状態にある。外嵌部材11と外嵌部材12との間には、自然状態におけるフレキシブル管14の長さL1に対応した間隔が設けられている。管継手部J1には離脱防止機構が適用されていないため、地震や不同沈下などに起因した外力が作用すると管路が伸長し、継ぎ輪40から管P1,P2が離脱する恐れがある。
【0043】
図7に示すように、管継手部J1において管P1,P2が離脱すると、管P1と管P2とが互いから離れて管路が伸長する。それに伴って、外嵌部材11と外嵌部材12との間隔が拡がり、管路の伸長に追随してフレキシブル管14が伸長する。タイロッド13は、外嵌部材12に対する相対位置を変えないまま、外嵌部材11に対して相対移動する。その過程において、初期状態で設定した間隔G1が小さくなり、延出体11cに規制部材15aが当接すると、管路及びフレキシブル管14の伸長が規制される。後述する偏心時の変形を確保する観点から、伸長が規制された状態のフレキシブル管14には、更に伸長できる余裕が残されていることが好ましい。伸長が規制された状態のフレキシブル管14の長さL2は、初期状態の長さL1と比べて間隔G1の分だけ大きい。また、管路の伸長量L3は間隔G1に対応した長さとなる(但し、説明の都合上、間隔G1よりも大きく管路を伸長させて図示している)。このようにして、管路やフレキシブル管14の伸縮量(伸長量)をタイロッド13によって調整できる。
【0044】
この漏洩防止装置10によれば、管路の伸長により生じた隙間から漏出した水が装置内部の密閉空間に留められ、外部への漏洩を防ぐことができる。漏洩防止装置10には、装置内部の水を排出するためのバルブ(例えば、ボールバルブ)を設けてもよい。図8に示すように、伸長後の管路が偏心(管P1と管P2との間での芯ずれ)を生じた場合には、それに追随してフレキシブル管14が変形する。このように管路の伸縮や偏心に追随しながら、流体の漏洩を防止することができる。しかも、フレキシブル管14が金属製であるため、ゴム・合成樹脂からなる可撓部材が用いられる場合に比べて強度に優れたものとなり、特に管路が偏心したときであっても適度に持ち堪えられるなど、実用性が高い。
【0045】
図8では、タイロッド13が直線的な形状を保っているように描かれているが、実際に管路が偏心を生じた場合には、規制部材15により拘束された部分でタイロッド13が屈曲しがちであり、その結果、タイロッド13の軸方向の動きが阻害され、延いては管路の伸縮や偏心に追随したフレキシブル管14の変形に支障を来たす恐れがある。そこで、そのような事態を回避するための対策として、図9に例示するような規制部材15を用いることが有用である。この規制部材15は、相対的に摺動自在に嵌合される相補形状の球面状凹凸部を備えている。かかる規制部材15の構造は、規制部材15a~15dのいずれにも適用可能である。
【0046】
図9に示す規制部材15は、タイロッド13の雄ねじ部に螺合されるナット15Nと、そのナット15Nと延出体11c(または延出体12c)との間に配置された一対の金具15P,15Qとを備える。一対の金具15P,15Qには、それぞれタイロッド13が挿通される馬鹿穴が設けられている。金具15Pは、金具15Qに向けて突出した球面状の凸面Pfを有する。金具15Qは、凸面Pfに対して相補形状となる球面状の凹面Qfを有する。凸面Pfと凹面Qfとは相対的に摺動自在に嵌合されており、これらが上述した球面状凹凸部を構成している。かかる構成によれば、球面状凹凸部における摺動を介して、規制部材15により拘束された部分でのタイロッド13の屈曲が抑制される。
【0047】
図9の例では、凸面Pf及び凹面Qfの径寸法が、ナット15Nの径寸法よりも大きい。凸面Pf(及び凹面Qf)の曲率半径は、特に限られるものではないが、タイロッド13の屈曲を抑制する効果を高める観点から、例えば10~80mmであることが好ましく、20~50mmであることがより好ましい。図9では、球面状凹凸部が金具15Pと金具15Qとの間に形成されている例を示したが、これに限られない。例えば、ナット15Nと、そのナット15Nに隣接して配置される座金との間に、球面状凹凸部が形成されていても構わない。
【0048】
管継手部J1における流体の漏洩を防止する方法としての、漏洩防止装置10を既設管路に装着する工程の一例について、図10~14を用いて説明する。尚、図10を含む幾つかの図面では、管P1、管P2及び管継手部J1を簡略化して描いている。図10に示すように、この漏洩防止方法は、外嵌部材11を管P1に密封状に外嵌する工程と、外嵌部材12を管P2に密封状に外嵌する工程と、外嵌部材11と外嵌部材12との間で管軸方向に延在し、管継手部J1を取り囲む金属製のフレキシブル管14における一方側の端部を外嵌部材11に接合し、フレキシブル管14における他方側の端部を外嵌部材12に接合する工程と、を備える。以下、より具体例に説明する。
【0049】
まずは、管継手部J1を取り囲むようにしてフレキシブル管14を取り付ける。具体的には、図10(A)~(C)のように、半円弧形状の分割片14Xを管路の所定位置に預けた後、同じく半円弧形状の分割片14Yをセットして円環状とし、それらの端面同士を突き合わせた接合部14Zを溶接により接合する。このように、フレキシブル管14は、管周方向に分割された複数(本実施形態では二つ)の分割片14X,14Yを溶接により互いに接合して一体化したものである。よって、このフレキシブル管14は、既設管路に外嵌可能な分割構造を有する。
【0050】
次に、管P1に外嵌部材11を取り付ける。具体的には、図10(C)~(E)のようにフレキシブル管14と同じ要領でセットした半円弧形状の分割片11X,11Yを溶接により接合し、それとフレキシブル管14を溶接により接合する。続いて、図10(F)のように押輪50と共にシール材11b(図3参照)を装着する。押輪50は、管周方向の少なくとも1箇所に設定された分割部を締め付ける締結具56(図1参照)を有し、既設管路に外嵌装着可能に構成されている。必要であれば、押輪50と同様の分割構造を有する離脱防止装置60(図5(B)参照)を更に装着する。外嵌部材11と同じ要領により、外嵌部材12も管P2に取り付けられる。
【0051】
溶接の手順は上記に限られない。したがって、例えば、分割片14Xを分割片14Yに接合する前に、分割片11Xを分割片14Xに接合してもよい。また、外嵌部材11,12を構成する分割片を、フレキシブル管14を構成する分割片14X,14Yと、予め溶接により接合しておいても構わない。或いは、これら(例えば、分割片14Xと分割片11X)を最初から一体的な部材として作製しておくことも可能である。本実施形態では、フレキシブル管14が二つ割れ(半割れ)の分割構造を有し、二つの分割片14X,14Yで構成された例を示すが、これに限られない。外嵌部材11,12などの分割数についても同様である。
【0052】
図10の例では、フレキシブル管14、外嵌部材11、外嵌部材12の順に取り付けているが、これに限られない。例えば、最初に外嵌部材11を管P1に取り付け、次いで外嵌部材12を管P2に取り付け、その後で外嵌部材11と外嵌部材12との間にフレキシブル管14(となる複数の分割片14X,14Y)を配置し、それらを溶接により接合するようにしてもよい。また、フレキシブル管14の端部を外嵌部材11,12に接合する工程と、フレキシブル管14の接合部14Zを接合する工程とは、どちらを先に実施しても構わないが、施工性向上の観点から前者を先に実施することが好ましい。これについては第5実施形態において具体的に説明する。
【0053】
接合部14Zを接合する作業では、図11に示すように治具81を用いて複数の分割片14X,14Yの相対位置を調整した状態で、その複数の分割片14X,14Yを溶接により互いに接合して一体化することが好ましい。治具81は、図12(A)に示すように管周方向に沿って延在するリング状をなし、フレキシブル管14の外周面に装着される。治具81は、中心部に空所を有する円板状部材により形成されている。治具81は、管周方向に分割された複数(本実施形態では二つ)の分割片により構成され、それらの端部同士が締結具81aを介して締結されている。かかる治具81により、分割片14Xと分割片14Yとの端面同士を適正に突き合わせた状態で仮固定できるため、溶接時の作業性が向上する。締結具81aとしては、ボルト・ナットの他、ベルトやワイヤ、ロープなどを用いてもよい。
【0054】
図11では、管軸方向に沿って波状に延在するフレキシブル管14の外周面に治具81を嵌めることにより、複数の分割片14X,14Yの相対位置を調整している。治具81は、例えば図12(B)のような断面形状を有し、フレキシブル管14の外周面の波形状に対して嵌合可能に構成されている。これにより、分割片14Xと分割片14Yとの管軸方向の位置ずれを防いで、それらの波形状の位相を容易に合致させることができる。治具81の断面形状は、例えば図13(A)~(L)に示した形状でもよい。また、図11の如く装着した一対の治具81を、それらの孔81bに取り付けたタイロッドなどの軸状部材(図示せず)で連結し、その一対の治具81の間隔を調整することにより、分割片14Xと分割片14Yとの波形状の位相を更に精度良く合致させることができる。
【0055】
図14は、外嵌部材11を構成する分割片11X,11Yのうち、接合時に下方に配置される分割片11Xに治具82を取り付けた例である。外嵌部材12の分割片に対しても同様に治具82が取り付けられている。治具82は、例えばフラットバーによって構成され、外嵌部材11,12を下方から支持する。これにより、外嵌部材11,12に対するフレキシブル管14の芯出しを精度良く行うことができる。治具82は、仮溶接によって一時的に固定されており、外嵌部材11,12とフレキシブル管14との接合が完了した後、外嵌部材11,12から取り外される。治具82に代えて、ジャッキなどの支持具を用いることも考えられる。
【0056】
図10(F)の状態から、外嵌部材11,12にタイロッド13を取り付けることで、図1に示した管継手部J1の漏洩防止構造が得られる。かかる管継手部J1の漏洩防止構造において、自然状態におけるフレキシブル管14の長さL1は、管継手部J1における突出要素の長さL4(図2参照)よりも大きいことが好ましい。管継手部J1における突出要素は、一定の外径寸法で延びる管P1,P2の外周面から管径方向外側に突出した要素である。本実施形態では、継ぎ輪40の長さが、管継手部J1における突出要素の長さL4に相当する。かかる構成によれば、フレキシブル管14の伸縮量を確保しやすく、管路の伸縮や偏心に対応するうえで都合がよい。
【0057】
第1実施形態では、外嵌部材11及び外嵌部材12の両方に離脱防止機構が適用されていたが、これに限られず、それらの少なくとも一方に離脱防止機構が適用されていなくてもよい。但し、その場合には、外嵌部材11,12から管P1,P2が離脱することを阻止するための構成を管P1,P2に設けることが好ましい。例えば、図15に示す変形例では、外嵌部材11,12に離脱防止機構が適用されていない代わりに、環状または非環状の突起16が管P1,P2の外周面に溶接により接合されている。この突起16が外嵌部材11,12(の延出体11c,12c)に当接することで、離脱防止効果が発揮される。かかる構成は、図5,6の如き離脱防止機構を適用した場合に比べてコスト低減に資する。
【0058】
[第2実施形態]
次に、図16~20を参照しながら第2実施形態について説明する。以下に説明する構成を除いて第1実施形態と同様に構成できるため、共通点の説明を省略し、主に相違点について説明する。第1実施形態において既に説明した構成には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0059】
図16,17に示す漏洩防止装置10は、第1流体管としての管P1の端部と第2流体管としての管P2の端部とが接続された管継手部J1に装着されている。管継手部J1については、第1実施形態において既に説明した通りである。
【0060】
本実施形態における外嵌部材11は、筒体11a及びシール材11bを備えていない。その代わり、延出体11cが、その管径方向内側端を溶接部11eとして管P1の外周面に溶接されている。これによって外嵌部材11からの管P1の離脱が防止されており、離脱防止機構が実現されている。同様に、外嵌部材12は筒体12a及びシール材12bを備えておらず、延出体12cが、その管径方向内側端を溶接部12eとして管P2の外周面に溶接されている。このようにして、外嵌部材11,12は、それぞれ管P1,P2に密封状に外嵌されている。
【0061】
タイロッド13、フレキシブル管14及び規制部材15については第1実施形態と同じ構成であるため、管路を伸長させる外力が作用したときの挙動は、第1実施形態において既に説明した通りである。
【0062】
管P1と延出体11cとが異種の金属材によって形成されている場合、例えば、管P1がSS(一般構造用圧延鋼)で形成され、延出体11cがSUS(ステンレス鋼)で形成されている場合には、それらの接合部において、異種金属の電気的な接触により水等の流体を介した腐食(電食)が進行するおそれがある。このため、そのような接合部には塗装などの防食処置を施すことが望ましく、本実施形態では後述するような樹脂製の塗膜が形成されている。管P2と延出体12cとの接合部においても同様である。
【0063】
本実施形態における漏洩防止装置10を既設管路に装着する工程の一例について、図18を用いて説明する。まずは、図18(A)のように、管継手部J1(図18では図示せず)を挟むようにして外嵌部材11,12を配置し、それらを溶接によって管P1,P2に接合する。具体的には、延出体11c,12cの管径方向内側端を管P1,P2の外周面に溶接する。この例では、隅肉溶接を行うために、延出体11c,12cの管径方向内側端に傾斜面を形成しているが、これに限られない。外嵌部材11,12は、それぞれ複数の分割片で形成されているので、それらを接合して環状に連接することも必要である。
【0064】
外嵌部材11,12を取り付ける作業では、図19に示すような治具83,84を用いることが好ましい。治具83は、管軸方向の所定位置に仮溶接により一時的に固定されている。治具83の管径方向に立ち上がる部分に延出体11c,12cを宛がうことにより、管軸方向において外嵌部材11,12の位置決めが行われる。治具84は、管軸方向に延在し且つ管周方向に沿って湾曲した内周面を有する。その治具84の内周面に延出体11c,12cを宛がう(必要に応じて仮溶接により一時的に固定する)ことにより、外嵌部材11,12の芯出しが行われる。また、延出体11c,12cのロッド孔が同軸上に配置されるよう、タイロッド13などの軸状部材で連結しておくことが望ましい。治具83,84は、それぞれ外嵌部材11,12の接合が完了した後に撤去される。
【0065】
次に、図18(B)のように、管P1と延出体11cとがなす隅部の内面、及び、管P2と延出体12cとがなす隅部の内面に対し、腐食の進行を防止するための防食処置を施す。例えば、刷毛やスプレーなどを用いて、エポキシ樹脂などの樹脂Rを塗装(コーティング)する。このようにして異種金属の接合部の内面に樹脂製の塗膜を形成することにより、密閉空間内に漏洩した水等の流体との接触を妨げて、腐食の進行を防止することができる。
【0066】
続いて、図18(C)のように、外嵌部材11と外嵌部材12との間にフレキシブル管14を配置する。フレキシブル管14は複数の分割片で形成されているので、それらを溶接により互いに接合して一体化する(図10(A)~(C)参照)。そして、図18(D)のように、フレキシブル管14の端部を溶接により延出体11c,12cに接合する。この例では、フレキシブル管14が、延出体11c,12cと同種の金属材(例えば、SUS)で形成されているため、それらの接合部に防食処置を施す必要はない。
【0067】
漏洩防止装置10を既設管路に装着する工程の他の例について、図20を用いて説明する。図20では、延出体11c,12cが、それぞれ管P1,P2と同種の金属材(例えば、SS)で形成されている例を示す。まずは、図20(A)のように、管継手部J1(図20では図示せず)を取り囲むようにしてフレキシブル管14を配置する。また、延出体11c,12cと同種の金属材(例えば、SS)で形成された一対の延長部材14Eを用意して、それらをフレキシブル管14の両端に溶接により接合する。
【0068】
フレキシブル管14は複数の分割片で形成されているので、図20(B)のように、それらを溶接により互いに接合して一体化する(図10(A)~(C)参照)。延長部材14Eも同様に複数の分割片で形成されているので、それらを接合して環状に連接する必要がある。続いて、図20(C)のように、フレキシブル管14と延長部材14Eとの接合部の内面に対し、腐食の進行を防止するための防食処置を施す。フレキシブル管14は、延長部材14Eと異種の金属材(例えば、SUS)で形成されているためである。
【0069】
次に、図20(D)のように、フレキシブル管14を挟むようにして外嵌部材11,12を配置し、そのフレキシブル管14の両端に取り付けられた延長部材14Eを溶接により延出体11c,12cに接合する。既述の通り、延長部材14Eは、延出体11c,12cと同種の金属材で形成されているため、これらの接合部に防食処置を施す必要はない。外嵌部材11,12は、それぞれ複数の分割片で形成されているため、それらを接合して環状に連接することも必要である。尚、外嵌部材11,12の芯出しを行うために、図19を参照して説明した治具を用いることが好ましい。
【0070】
そして、図20(E)のように、外嵌部材11,12を溶接によって管P1,P2に接合する。具体的には、延出体11c,12cの管径方向内側端を管P1,P2の外周面に溶接する。本実施形態では、管P1と延出体11cとがなす隅部の外面、及び、管P2と延出体12cとがなす隅部の外面に対して隅肉溶接を行うために、延出体11c,12cの管径方向内側端に傾斜面を形成しているが、これに限られない。既述の通り、延出体11c,12cは、それぞれ管P1,P2と同種の金属材で形成されているため、これらの接合部に防食処置を施す必要はない。
【0071】
[第3実施形態]
次に、図21~24を参照しながら第3実施形態について説明する。第3実施形態は、以下に説明する構成を除いて第1~第2実施形態と同様に構成できるため、共通点の説明を省略し、主に相違点について説明する。第1~第2実施形態において既に説明した構成には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0072】
図21に示す漏洩防止装置10は、第1流体管としての管P3の端部と第2流体管としての管P4の端部とが接続された管継手部J2に装着されている。管P3,P4は、それぞれ水道管として供される呼び径1000のダクタイル鋳鉄管であるが、管寸法などの仕様は使用条件に応じて適宜に変更可能である。図22に拡大して示すように、管継手部J2では、管P3と管P4とが、それらの一方の端部に形成された受口20に他方の端部に形成された挿口30を嵌入することにより接続されている。本実施形態では、管P3の端部に受口20が形成され、管P4の端部に挿口30が形成されている。
【0073】
受口20の内周には、環状のシール材21が装着されている。また、受口20の端部には、後述する締結具72のボルトが挿通されたフランジ22が設けられている。挿口30の外周には、押輪70が装着されている。押輪70は、シール材21を押圧可能な押圧部71と、ボルト・ナットを含む締結具72と、そのボルト(T頭ボルト)が挿通されたフランジ73とを備える。締結具72を締め付けると、押圧部71が受口20に接近してシール材21を押圧し、それにより受口20と挿口30との隙間が密封される。本実施形態では、管継手部J2がK形のメカニカル継手である例を示すが、これに限られず、A形やT形など他の形式の継手でも構わない。
【0074】
図21の状態において、受口20を備える管P3に取り付けられた外嵌部材11の延出体11cと、その延出体11cに対して管継手部J2から遠い側に配置された規制部材15aとの間には、間隔G1が設けられている。延出体11cと、その延出体11cに対して管継手部J2に近い側に配置された規制部材15bとの間には、間隔が設けられていない。また、挿口30を備える管P4に取り付けられた外嵌部材12の延出体12cと、その両側に配置された規制部材15c,15dとの間にも、間隔が設けられていない。それ故、このタイロッド13は、外嵌部材11と外嵌部材12との間隔が拡がる際に、延出体11cに対して相対移動可能に且つ延出体12cに対して相対移動不能に構成されている。
【0075】
本実施形態では、受口20を備える管P3に取り付けられた外嵌部材11には、離脱防止機構が適用されていない(マークWPが描かれていない)。これは、膨出形状を有する受口20が、図15で示した突起16と同様に、外嵌部材11から管P1が離脱することを防ぐように機能し得るためである。但し、このような受口20を備える管P3に取り付けられた外嵌部材11に離脱防止機構を適用しても構わない。挿口30を備える管P4に取り付けられた外嵌部材12には、離脱防止機構が適用されている(マークWPが描かれている)。
【0076】
図21は、管継手部J2に漏洩防止装置10を装着したときの初期状態を示す。漏洩防止装置10は、外嵌部材12に受口20が接触するようにして管継手部J2に装着されている(図22参照)。これにより、外嵌部材11と受口20との間に設けられる間隔G2が目一杯に設定されている。管路が伸長したときの管P3の移動量(外嵌部材11に対する相対移動量)を確保するうえで、このように間隔G2を目一杯に設定することが好ましい。管継手部J2には離脱防止機構が適用されていないため、地震や不同沈下などに起因した外力が作用すると管路が伸長し、管P3,P4が互いから離脱する恐れがある。
【0077】
図23に示すように、管継手部J2において管P3,P4が離脱すると、管P3と管P4とが互いから離れて管路が伸長する。その際、管P4は外嵌部材12に対して相対移動せず、管P3が外嵌部材11に対して相対移動する。その過程において、初期状態で設定した間隔G2が小さくなり、延出体11cに受口20が当接すると、管P3の相対移動が規制される。更に管路が伸長すると、外嵌部材11と外嵌部材12との間隔が拡がり、管路の伸長に追随してフレキシブル管14が伸長する。タイロッド13は、第1実施形態と同様に挙動し、間隔G1が減少して延出体11cに規制部材15aが当接すると、管路及びフレキシブル管14の伸長が規制される。管路の伸長量L3は、間隔G1と間隔G2との合計に対応した長さとなる。よって、この例では、管路の伸縮量(伸長量)が、タイロッド13と間隔G2によって調整できる。図24に示すように、伸長後の管路が偏心を生じた場合は、それに追随してフレキシブル管14が変形する。
【0078】
管継手部J2の漏洩防止構造においても、自然状態におけるフレキシブル管14の長さL1は、管継手部J2における突出要素の長さL5(図22参照)よりも大きいことが好ましい。管継手部J2における突出要素は、一定の外径寸法で延びる管P3,P4の外周面から管径方向外側に突出した要素である。本実施形態では、受口20とそれに連結された押輪70を含んだ要素の長さが、管継手部J2における突出要素の長さL5に相当する。かかる構成によれば、フレキシブル管14の伸縮量を確保しやすく、管路の伸縮や偏心に対応するうえで都合がよい。特に、間隔G2に基づく管路の伸縮量を確保するうえで有用である。
【0079】
[第4実施形態]
次に、図25~27を参照しながら第4実施形態について説明する。第4実施形態は、以下に説明する構成を除いて第1~第3実施形態と同様に構成できるため、共通点の説明を省略し、主に相違点について説明する。第1~第3実施形態において既に説明した構成には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0080】
図25に示す漏洩防止装置10は、第1流体管としての管P3の端部と第2流体管としての管P4の端部とが接続された管継手部J2に装着されている。管継手部J2については、第3実施形態において既に説明した通りである。
【0081】
図25の状態において、受口20を備える管P3に取り付けられた延出体11cと、その延出体11cに対して管継手部J2から遠い側に配置された規制部材15aとの間には、間隔が設けられていない。また、挿口30を備える管P4に取り付けられた外嵌部材12の延出体12cと、その延出体12cに対して管継手部J2から遠い側に配置された規制部材15dとの間にも、間隔が設けられていない。それ故、このタイロッド13は、外嵌部材11と外嵌部材12との間隔が拡がる際に、延出体11c及び延出体12cの双方に対して相対移動不能に構成されている。
【0082】
本実施形態では、外嵌部材11及び外嵌部材12の双方において、離脱防止機構が適用されていない。外嵌部材11に適用していないのは、膨出形状を有する受口20が、図15で示した突起16と同様に、外嵌部材11から管P1が離脱することを防ぐように機能し得るためである。一方、外嵌部材12に関しては、そのような離脱防止作用を奏する機構がないので、構成上、外嵌部材12から管P4が離脱できてしまう。そこで、後述する間隔G3を所定以上に設定することにより、外嵌部材12からの管P4の離脱を防いでいる。かかる理由により、本実施形態は、管路の伸縮量(伸長量)が予測できる場合に用いられる。
【0083】
図25は、管継手部J2に漏洩防止装置10を装着したときの初期状態を示す。漏洩防止装置10は、外嵌部材11に受口20が接触するようにして管継手部J2に装着されている。これにより、挿口30の端面と外嵌部材12のシール材12bとの間に設けられる間隔G3が目一杯に設定されている。管路が伸長したときの管P4の移動量(外嵌部材12に対する相対移動量)を確保するうえで、このように間隔G3を目一杯に設定することが好ましい。管継手部J2には離脱防止機構が適用されていないため、地震や不同沈下などに起因した外力が作用すると管路が伸長し、管P3,P4が互いから離脱する恐れがある。
【0084】
図26に示すように、管継手部J2において管P3,P4が離脱すると、管P3と管P4とが互いから離れて管路が伸長する。その際、管P3は外嵌部材11に対して相対移動せず、管P4が外嵌部材12に対して相対移動する。その過程において、初期状態で設定した間隔G3が小さくなる。予測される管路の伸長量(管P4の外嵌部材12に対する相対移動量)以上の大きさで間隔G3を設定することにより、外嵌部材12から管P4が離脱しない。したがって、許容される管路の伸縮量(伸長量)は最大でも間隔G3であり、これを超えることが予測される場合は、この形態は採用されない。図27に示すように、伸長後の管路が偏心を生じた場合には、それに追随してフレキシブル管14が変形する。
【0085】
この管継手部J2の漏洩防止構造においても、自然状態におけるフレキシブル管14の長さL1は、管継手部J2における突出要素の長さL5(図22参照)よりも大きいことが好ましい。かかる構成によれば、管路の偏心に対応するうえで都合がよい。特に、間隔G3を大きく設定して、管路の伸長量(管P4の外嵌部材12に対する相対移動量)を確保するうえで有用である。
【0086】
[第5実施形態]
次に、図28~37を参照しながら第5実施形態について説明する。第5実施形態は、以下に説明する構成を除いて第1~第4実施形態と同様に構成できるため、共通点の説明を省略し、主に相違点について説明する。第1~第4実施形態において既に説明した構成には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0087】
図28に示す漏洩防止装置10は、第1流体管としての管P1の端部と第2流体管としての管P2(図28では図示せず)の端部とが接続された管継手部J1(図28では図示せず)に装着されている。管継手部J1については、第1実施形態において既に説明した通りである。また、以下に説明する外嵌部材11の構成は、管P2に取り付けられる外嵌部材12にも同様に適用できるため、外嵌部材12についての説明は省略する。
【0088】
図28に示すように、外嵌部材11は、管径方向に延出した延出体11cと、管P1に外嵌される筒体11aと、筒体11aの内周面と管P1の外周面との隙間を密封するシール材11bとを有する。また、外嵌部材11には、シール材11bを押圧する押輪50が連結されており、筒体11aには、その押輪50を外嵌部材11に連結するためのボルト(T頭ボルト)52tが取り付けられるフランジ11dが設けられている。これらの構成については、第1実施形態において既に説明した通りである。
【0089】
第5実施形態では、管軸方向における筒体11aの長さL11aが小さい。これにより装置がコンパクトな構成となるため、狭小な場所でも装着が可能となる。また、施工現場では、外嵌部材11の接合部11Z(図31参照)を溶接により接合した後で、その接合部11Z周辺の内外面に塗装を施すことになるが、筒体11aの内周面と管P1の外周面との隙間が小さいために、筒体11aの長さL11aが大きくなるほど筒体11aの内周面に対する塗装作業が煩雑になる。それ故、筒体11aの長さL11aが小さいことによって塗装作業が簡易になり、作業性が向上する。
【0090】
本実施形態では、延出体11cとフランジ11dとの間隔G11がボルト52tの長さL52tよりも小さく、それに伴って筒体11aの長さL11aが小さくなっている。その一方で、間隔G11が長さL52tよりも小さいために、押輪50を取り付ける際にボルト52tをフランジ11dに挿通させる作業が難しくなる。それ故、図28に示す例では、フランジ11dのボルト孔の管径方向外側を切り欠いてU溝状に形成している。かかる構成により、フランジ11dに対して管径方向外側からボルト52tを挿通することができる。
【0091】
筒体11aの長さL11aを小さくした形態の一例において、延出体11cの管継手部J1から遠い側(図28の左側)の面から、フランジ11dの管継手部J1から遠い側の面までの管軸方向の距離D11は、好ましくは150mm以下であり、より好ましくは120mm以下であり、更に好ましくは100mm以下である。本実施形態において、距離D11は、ボルト52tの長さL52tよりも小さい。また、本実施形態において、筒体11aの長さL11aは、ボルト52tの長さL52tよりも小さい。
【0092】
前述の第1実施形態における筒体11aは、シール材11bが装着される部材11vと、その部材を延出体11cに繋ぐように管軸方向に延在した部材11wとを有していた(図3参照)。それに対して、第5実施形態における筒体11aは、前者の部材11vを有するものの、後者の部材11wは有していない。即ち、本実施形態では、シール材11bが装着される部材11vのみによって筒体11aが形成されている。
【0093】
筒体11aと延出体11cとは異種の金属材によって形成されていても構わない。例えば、筒体11aを管P1と同種の金属材(例えば、SS)で形成することによりコスト低減を図りつつ、延出体11cをフレキシブル管14と同種の金属材(例えば、SUS)で形成することにより電食対策とすることが考えられる。この場合、筒体11aと延出体11cとの間には、既述の防食処置を施すことが望ましい。外嵌部材11が筒体11a及び延出体11cを有する第1,第3及び第4実施形態においても、これと同様である。
【0094】
本実施形態の外嵌部材11には、第1実施形態で説明した離脱防止機構を適用可能である。また、それに代えて、または加えて、図29に示すような離脱防止機構を適用することも可能である。図29は、外嵌部材11に離脱防止機構を一体的に設けた例である。外嵌部材11は、延出体11cの管継手部J1に近い側(図29の右側)に配置された押ボルト11jを有する。押ボルト11jの管径方向内側の先端には、管P1の外周面に係止可能な爪が形成されている。押ボルト11jは、延出体11cに固定された支持部材11kに螺合されている。
【0095】
かかる構成によれば、押ボルト11jを管径方向内側に突出させて、その先端の爪を管P1の外周面に強く係止させることにより、離脱防止効果を発揮できる。加えて、押ボルト11jの突出量を調整することにより、外嵌部材11と管P1との隙間を調整できる。また、延出体11cの管継手部J1に近い側に押ボルト11jが配置されているので、筒体11aの長さL11aを小さくしている本実施形態においては、装置をコンパクトに構成するうえで特に有用である。前述した第1~4実施形態において、図29の如き離脱防止機構を適用することも可能である。
【0096】
図30(A)に示す変形例では、延出体11cとフランジ11dとが一体的に形成されており、延出体11cとフランジ11dとの間隔G11(図28参照)は実質的にゼロである。このため筒体11aの長さL11aが更に小さく、装置が一層コンパクトに構成される。フランジ11dのボルト孔には雌ねじが設けられており、そのボルト孔に螺合されたボルト52bを介して押輪50が外嵌部材11に連結されている。ボルト(T頭ボルト)52tを利用した場合と同様に、締結具52の操作により押圧部51が外嵌部材11に接近してシール材11bを押圧する。変形例として、延出体11cの厚みを部分的または全体的に大きくし、延出体11cがフランジ11dを兼ねた構造にすることも考えられる。
【0097】
図30(B)は、図30(A)に示した装置に、芯出し機構と、シールドガスを注入するための連通孔7を追加した例である。芯出し機構は、調整ねじ11rと、外嵌部材11(の延出体11c)に固定された支持部材11sとを備える。調整ねじ11rは、支持部材11sに螺合され、その先端を管P1の外周面に当接させている。調整ねじ11rの操作により外嵌部材11と管P1との隙間を調整することで、管P1に対する外嵌部材11の芯出しを行うことができる。連通孔7は、フレキシブル管14の端部(延長部材14E)に設けられている。連通孔7と、それを閉塞するプラグ8については、後述する通りなので、ここでは説明を省略する。
【0098】
本実施形態における漏洩防止装置10(図28参照)を既設管路に装着する工程の一例について、図31~37を用いて説明する。以下では、外嵌部材11,12を取り付ける際に使用する治具、外嵌部材11(の延出体11c)とフレキシブル管14の端部との接合、及び、フレキシブル管14の接合部14Zに対する溶接などに重点を置いて説明するが、これらは第1~第4実施形態にも適用できるものである。
【0099】
まずは、図31(A)のように、管継手部J1(図31では図示せず)を挟むようにして外嵌部材11,12を配置し、それぞれ管P1,P2に取り付ける。具体的には、複数(本実施形態では二つ)の分割片11X,11Yを管P1にセットして円環状とし、それらの端面同士を突き合わせた接合部11Zを溶接により接合することで、外嵌部材11を管P1に取り付ける。同様に、外嵌部材12も管P2に取り付ける。外嵌部材11,12を取り付ける作業では、図32に示すような一対の治具85,86を用いることが好ましい。
【0100】
治具85は、管周方向に沿って延在するリング状をなし、外嵌部材11の延出体11cに対して管継手部J1に近い側(図32の右側)に宛がわれる。治具85は、中心部に空所を有する円板状部材により形成されている。治具85は、延出体11cの外径と同じ又はそれ以上の外径と、管P1の外径と同じ又はそれ以上の内径とを有する。治具85は、管周方向に分割された複数(本実施形態では二つ)の分割片により構成され、それらの端部同士が締結具85aを介して締結されている。下方の分割片には、地面などに設置される基台87に接続可能な支持脚85bが設けられている。治具85には、延出体11c,12cに取り付けられたタイロッド13などの軸状部材を挿通可能なロッド孔が形成されている。治具86の構成は治具85と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
このような一対の治具85,86を用いることにより、外嵌部材11と外嵌部材12との芯出しを行いつつ、管軸方向に対して延出体11c,12cを垂直に向けることができる。また、外嵌部材11,12の間隔を、フレキシブル管14の長さL1(図1参照)に対応した寸法に精度良く設定できる。このため、管P1,P2に取り付けた外嵌部材11,12と、後工程で配置されるフレキシブル管14との間に、それらを溶接するうえで適度な隙間を形成できる。このことは、後述する閉鎖空間を適切に形成するうえで都合がよい。なお、図32に示す押輪50には、離脱防止機構の一例として、先端に爪を有する押ボルト11mが設けられている。
【0102】
次に、図31(B)のように、管P1に密封状に外嵌された外嵌部材11と、管P2に密封状に外嵌された外嵌部材12との間に、複数の分割片14X,14Yを互いに接合する前のフレキシブル管14を配置する。つまり、図31(B)に示すフレキシブル管14は、分割片14X,14Yの端面同士を突き合わせただけの状態にあり、接合部14Zは溶接されていない。接合部14Zを溶接により接合する前に、前述した治具81(図11~13参照)を用いて分割片14X,14Yの相対位置を調整することが有用である。また、外嵌部材11,12に対してフレキシブル管14を芯出しするうえで、前述した治具82(図14参照)を用いることも考えられるが、それに代えて、または加えて、図33の如き構成を利用することも可能である。
【0103】
図33に示す例では、管継手部J1(図33では図示せず)に近い側(図33の右側)に向かって延びた突起11pが延出体11cに設けられている。突起11pは、管周方向に沿って延びていることが好ましい。突起11pは、外嵌部材11に対して芯出しされたフレキシブル管14の端部の内周面に対して管径方向内側から当接し得る位置に設けられている。延出体12c(図33では図示せず)にも同様の突起が設けられている。かかる構成によれば、外嵌部材11,12の間にフレキシブル管14(の分割片14X,14Y)を配置する際に、そのフレキシブル管14の端部を突起11pに当接させることにより、フレキシブル管14の芯出しを精度良く且つ簡単に行うことができる。
【0104】
次に、図31(C)のように、フレキシブル管14における一方側の端部を外嵌部材11に接合し、フレキシブル管14における他方側の端部を外嵌部材12に接合する。接合部14Zは溶接されていないものの、フレキシブル管14の内部には閉鎖空間が形成される。ところで、施工現場の状態によっては、既設管路が管継手部J1を介して屈曲し、管P1と管P2とが相対的に傾いていることがある。しかし、自然状態のフレキシブル管14はストレート状に延びているため、延出体11c,12cとフレキシブル管14の端部との間で位置ずれが生じ、それらの接合に支障を来たす恐れがある。そのような状況では、例えば図34に示したような調整部材18を用いることが考えられる。
【0105】
調整部材18は、施工現場の状況に応じて、延出体11c及び/または延出体12cに対して溶接により接合される。図34では、調整部材18が延出体11cとフレキシブル管14の端部との間に配置された例を示す。調整部材18は、管周方向に沿って延びた断面L字状の部材により形成されている。調整部材18は、延出体11cから管継手部J1(図34では図示せず)に近い側(図34の右側)に向かって延びた部分18aと、管径方向に延びてフレキシブル管14の端部が接合される部分18bとを有する。前者の部分18aにより、延出体11cとフレキシブル管14の端部との管軸方向の位置ずれを補いつつ、後者の部分18bにより、フレキシブル管14の端部と接合し得る範囲を管径方向に拡げている。
【0106】
また、施工現場によっては、土圧などに起因して既設管路が楕円形に変形していることがあり、その真円からの狂いの度合が大きい場合は、管軸方向から見て偏平な形状に加工した筒体11a,12aが用いられる。しかし、自然状態のフレキシブル管14、及び、それが接合される延出体11c,12cは、それぞれ実質的には真円形であるため、上記楕円形との間で管径方向の隙間を生じる恐れがある。かかる隙間を塞ぐために、例えば図35に示したような調整部材19を用いることが考えられる。図35に示す調整部材19は、筒体11aと延出体11cとの間に介在している。調整部材19は、中心部に空所を有する円板状部材により形成されており、その外径は延出体11cの内径よりも大きく、その内径は筒体11aの最小外径よりも小さい。
【0107】
次に、図31(D)のように、フレキシブル管14の内部にシールドガスを注入する。シールドガスには、後工程における接合部14Zの溶接(TIG溶接)に必要なアルゴンガスなどの不活性ガスが用いられる。図31(D)では、外嵌部材11に接続されたホース5を介してシールドガスを供給する様子が示されている。注入されたシールドガスは、フレキシブル管14の内部に形成された閉鎖空間内に充満する。シールドガスが隙間から漏れ出ないよう、予め接合部14Zにテープ9を貼って密閉性を高めておくことが好ましい。後述するパッチ6が配置される切り欠きに対しても、テープ9などを用いて塞いでおくことが好ましい。
【0108】
外嵌部材11、外嵌部材12及びフレキシブル管14の少なくとも1つに、フレキシブル管14の内部と外部とを連通させる連通孔が設けられており、その連通孔を介してフレキシブル管14の内部へのシールドガスの注入を行うことが好ましい。本実施形態では、外嵌部材11(の延出体11c)に設けられた連通孔7(図36参照)を介してシールドガスを注入する例を示す。連通孔7は複数で設けられていることが好ましく、それによりシールドガスを連通孔7から注入しつつ、閉鎖空間内の空気を別の連通孔7から排出できる。連通孔7は、外嵌部材12(の延出体12c)や、フレキシブル管14の延長部材14E(図30(B)参照)、中間パイプ部14Cなどに設けることも可能である。
【0109】
シールドガスの注入を終えたら、図36に示すようなプラグ8を装着して連通孔7を閉塞する。この例では、管径方向外側に向けて湾曲した形状のプラグ8が用いられている。本実施形態では、筒体11aの長さを小さくして装置をコンパクトに構成しているため、連通孔7に装着したプラグがフランジ11dに干渉する恐れがあるものの、このようにプラグ8が湾曲していることにより、フランジ11dとの干渉を容易に回避できる。但し、プラグ8の形状はこれに限られるものではなく、第1実施形態のように筒体11aの長さが十分に大きい、或いは、第2実施形態のように外嵌部材11がフランジ11dを備えない、といった干渉の恐れがない場合は、単純な形状のプラグを採用すればよい。
【0110】
そして、図31(E)のように、フレキシブル管14の外部から複数の分割片14X,14Yを溶接により互いに接合して一体化する。その際、テープ9を剥がしながら、フレキシブル管14の外部より溶接トーチ(図示せず)を接合部14Zに接近させる。フレキシブル管14の厚みは比較的小さいために、溶接トーチを接近させると、アークの熱によって接合部14Zの外周面だけでなく内周面も溶融する。接合部14Zの外周面は、溶接トーチから供給されるシールドガスによって覆われ、接合部14Zの内周面は、予めフレキシブル管14の内部に注入しておいたシールドガスによって覆われる。よって、接合部14Zに対する溶接の品質が適切に確保される。
【0111】
本実施形態では、フレキシブル管14の端部が延長部材14Eにより形成されており、波状管として形成された本体部と延長部材14Eとが溶接により接合されている。このため、接合部14Zを単純に溶接すると、その接合部14Zに沿った管軸方向の溶接線が、本体部と延長部材14Eとの継ぎ目となる管周方向の溶接線に対して十字状に交差してしまうが、溶接の品質確保の観点から、そのような態様は避けることが望ましい。それ故、かかる場合には、図37に示すように、十字状の交差箇所を任意の形状(図37の例では四角形状)に切欠き、それを板状のパッチ6で塞いで、そのパッチ6の周囲を溶接することが好ましい。これにより、溶接線が十字状に交差することを回避できる。
【0112】
漏洩防止装置10を既設管路に装着した後は、施工現場で溶接した箇所の品質を確認するための試験を実施する。試験としては、フレキシブル管14の内部を水で満たして水圧試験を行うことが考えられる。しかし、施工現場の環境によっては、試験後の排水に差し障りを生じる恐れがある。かかる場合には、水圧試験の代わりに、フレキシブル管14の内部に注入したシールドガスを利用して気密試験を行うことが考えられる。
【0113】
以上、本開示の実施形態について説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではない。本開示は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。上述した第1~第5実施形態で説明されている各構成は、任意に組み合わせて採用しても構わない。例えば、第1外嵌部材に対して第1実施形態の構成を適用し、第2外嵌部材に対して第2実施形態の構成を適用してもよい。また、例えば、図5,6で示した離脱防止機構を第5実施形態において適用することも可能である。
【0114】
前述の実施形態では、漏洩防止装置10が、延出体11c及び延出体12cの各々に形成されたロッド孔に挿通されるタイロッド13を備えている例を示したが、これに限られない。例えば、管路の伸縮量(伸長量)が予測できる場合など、フレキシブル管14の伸縮量を調整する必要性が低い状況では、タイロッドを省略することも考えられる。
【0115】
前述の実施形態では、流体管が水道管である例を示したが、これに限られず、水以外の液体、気体または気液混合体などに用いられる流体管であってもよい。また、漏洩防止装置が既設管路に装着される例を示したが、これに限られず、新設される管路に装着するものでも構わない。
【符号の説明】
【0116】
10 漏洩防止装置
11 外嵌部材(第1外嵌部材)
11a 筒体(第1筒体)
11b シール材(第1シール材)
11c 延出体(第1延出体)
11X 分割片
11Y 分割片
12 外嵌部材(第2外嵌部材)
12a 筒体(第2筒体)
12b シール材(第2シール材)
12c 延出体(第2延出体)
13 タイロッド
14 フレキシブル管
20 受口
30 挿口
40 継ぎ輪
50 押輪
60 離脱防止装置(離脱防止機構の一例)
J1 管継手部
J2 管継手部
P1 管(第1流体管)
P2 管(第2流体管)
P3 管(第1流体管)
P4 管(第2流体管)
図1
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