(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122569
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】消臭材
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20230825BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20230825BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20230825BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
A61L9/01 H
B01J20/28 Z
A61L9/014
B01J20/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025338
(22)【出願日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2022026129
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390024970
【氏名又は名称】永柳工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】東藤 悠一郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 沙紀
(72)【発明者】
【氏名】小野 康史
【テーマコード(参考)】
4C180
4G066
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA18
4C180AA19
4C180CC04
4C180CC12
4C180EB03X
4C180EB06X
4C180EB15X
4C180EB17X
4C180EB21X
4C180EB21Y
4C180EB36Y
4C180EC01
4C180LL20
4G066AC07B
4G066AC24D
4G066AC25D
4G066BA01
4G066BA36
4G066CA02
4G066CA51
4G066DA03
4G066DA07
4G066FA37
(57)【要約】
【課題】高い取り扱い性と高い消臭効果とを同時に具備する消臭材を提供する。
【解決手段】コルク材と結合剤とを含み、前記結合剤がウレタン樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選択される1以上である、消臭材とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルク材と結合剤とを含み、
前記結合剤がウレタン樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選択される1以上である、消臭材。
【請求項2】
炭素数10~16、蒸気圧0.05kPa以下(20℃)のイソパラフィン系溶剤に25℃の温度条件下で48時間浸漬したときに、下記式により求まる単位体積当たりの吸油量が100mg/cm3以上である、請求項1に記載の消臭材。
単位体積当たりの吸油量[mg/cm3]=(浸漬後の消臭材の重量[mg]-浸漬前の消臭材の重量[mg])/消臭材の体積[cm3]
【請求項3】
前記消臭材表面における0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合が10%以上である、請求項1又は2に記載の消臭材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭材に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の形態の消臭材がこれまでに提案されている。たとえば、消臭機能を有する消臭剤を用いて化学反応により消臭するもの、吸着機能を有する消臭材を用いて物理的に悪臭を吸着、除去するもの等が知られている。また軽量、安価で天然に得られるコルクを用いた消臭材も開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の消臭材は、コルクを細粒化して粒状態としたものであり、取り扱いづらいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、高い取り扱い性と高い消臭効果とを同時に具備する消臭材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、コルク材と特定の結合剤とを組み合わせて使用することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は下記<1>に関するものである。
<1>
コルク材と結合剤とを含み、前記結合剤がウレタン樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選択される1以上である、消臭材。
<2>
炭素数10~16、蒸気圧0.05kPa以下(20℃)のイソパラフィン系溶剤に25℃の温度条件下で48時間浸漬したときに、下記式により求まる単位体積当たりの吸油量が100mg/cm3以上である、<1>に記載の消臭材。
単位体積当たりの吸油量[mg/cm3]=(浸漬後の消臭材の重量[mg]-浸漬前の消臭材の重量[mg])/消臭材の体積[cm3]
<3>
前記消臭材表面における0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合が10%以上である、<1>又は<2>に記載の消臭材。
【発明の効果】
【0008】
本発明の消臭材は、高い取り扱い性と高い消臭効果とを同時に具備する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の消臭材に含まれる各コルク材の領域を、マイクロスコープ画像上で確定した態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳述するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、本発明はこれらの内容に特定されるものではない。
なお、本明細書において、数値範囲「A~B」は「A以上B以下」であることを示す。
【0011】
本発明の消臭材はコルク材と結合剤とを含む。コルク材はコルク樫の樹皮を剥いで粉砕したものであり、これと結合剤とを混合、成型することにより本発明の消臭材を製造することができる。
【0012】
本発明の消臭材は結合剤を含むことにより、コルク材のみからなる(例えば、コルクを細粒化して粒状態としたもの、等)消臭材特有の型崩れ、コルク材の粒や細かい粒子の舞い上がりやこぼれ等に起因する取り扱い性の問題を解消することができる。本発明の消臭材は結合剤を含むことにより、前記の問題が生じず、様々な形状に成型が可能となり、持ち運びが容易であり、強度も高くなる等、取り扱い性が著しく向上する。
【0013】
コルク材と結合剤の混合物から本発明の消臭材を成型する方法は、特に限定されない。このような成型手段として、例えば、コンプレッション成型法、カレンダーロール成型法等が挙げられる。
【0014】
本発明の消臭材に含まれる結合剤は、ウレタン樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選択される1以上である。これらの結合剤を用いた場合、高い取り扱い性と高い消臭効果が得られる。
その理由は明らかではないが、消臭材の表面や内部の構造が、悪臭を吸着しやすい状態になるためと考えられる。
【0015】
本発明の消臭材に含まれる結合剤の含有量は、特に限定されないが、成型性の観点から、コルク材100重量部に対して5~70重量部であることが好ましく、7.5~60重量部であることがより好ましく、10~50重量部であることがさらに好ましい。
【0016】
本発明の消臭材に含まれるコルク材の形状、大きさ等は特に限定されないが、成型性や消臭効果を向上させる観点から、結合剤と混合して成型される前の状態(原料の段階)におけるコルク材の粒度幅が0.05mm~10mmであることが好ましく、0.05mm~6mmであることがより好ましく、0.05mm~5.5mmであることがさらに好ましく、0.05mm~4.5mmであることがさらにいっそう好ましく、0.05mm~4mmであることが特に好ましく、0.05mm~3.5mmであることが最も好ましい。また、同様の観点から、結合剤と混合して成型される前の状態(原料の段階)におけるコルク材の粒度幅のさらなる態様としては、0.05mm以上6mm未満であることが好ましく、0.05mm以上4mm未満であることがより好ましく、0.05mm以上2mm未満であることがさらに好ましく、0.05mm以上1mm未満であることが特に好ましい。結合剤と混合して成型される前の状態(原料の段階)におけるコルク材の粒度幅が上記範囲内であると消臭効果が向上する理由は明らかではないが、コルク材の粒度が小さいほど、コルク材の表面積が増大し、悪臭との接触面積が大きくなるためと考えられる。
【0017】
より詳細には、ウレタン樹脂を結合剤として使用する場合には、結合剤と混合して成型される前の状態(原料の段階)におけるコルク材の粒度幅が0.05mm~10mmであることが好ましく、0.05mm~6mmであることがより好ましく、0.05mm~5.5mmであることがさらに好ましく、0.05mm~4mmであることがさらにいっそう好ましく、0.05mm~2mmであることが特に好ましく、0.05mm~1mmであることが最も好ましい。フェノール樹脂を結合剤として使用する場合には、結合剤と混合して成型される前の状態(原料の段階)におけるコルク材の粒度幅が0.05mm~6mmであることが好ましく、0.05mm~4mmであることがより好ましく、0.05mm~2mmであることがさらに好ましく、0.05mm~1.5mmであることがさらにいっそう好ましく、0.05mm~1mmであることが特に好ましい。
【0018】
本明細書でいうコルク材の粒度幅とは、コルク材の95重量%以上が存在する粒度の幅を意味し、メッシュでのふるいわけにより確認することができる。本明細書では、例えば、10mmの目開きのふるいを通過しないコルク材と、0.05mmの目開きのふるいを通過するコルク材とを合計して5重量%以下含むコルク材を、0.05mm~10mmの粒度幅のコルク材という。
【0019】
また、結合剤と混合して成型される前の状態(原料の段階)におけるコルク材の粒度幅は、消臭材表面における空隙部の面積の割合、および0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合と関連がある。
【0020】
本明細書でいう空隙部の面積の割合、および、0.80mm
2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合は、以下の手順により求めることができる。
(1)消臭材表面のコルク材を色素液で着色する。
(2)着色された部分の消臭材表面のマイクロスコープ画像を得る。
(3)得られたマイクロスコープ画像に映し出されたコルク材の境界をペン(例えば、線幅約0.8mmのペン)でなぞり、さらに空隙部を塗りつぶすことにより、
図1に示されるように、消臭材表面に含まれる各コルク材の領域を確定する。
【0021】
(4)各コルク材の領域を確定した画像を取り込み、消臭材表面における各コルク材の領域の面積および空隙部の面積を測定する。
(5)測定部分全体の面積に対する空隙部の面積の割合を、消臭材表面における空隙部の面積の割合として得る。
(6)測定部分全体に存在するコルク材の領域の個数に対する、0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合を、0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合として得る。
なお、上述のマイクロスコープ画像の解析から得られるコルク材の領域の面積は、マイクロスコープ画像上の面積および画像の拡大倍率より求められる、原寸大の面積をいう。
また、マイクロスコープ画像の拡大倍率を適宜変更することにより、測定部分全体に存在するコルク材の領域の数を調節することができる。測定部分全体に存在するコルク材の領域の数は特に制限がないが、測定の再現性の観点から測定部分全体に存在するコルク材の領域の数は21以上であることが好ましく、測定の効率性の観点から測定部分全体に存在するコルク材の領域の数は250以下であることが好ましい。
【0022】
本発明の消臭材表面における空隙部の面積の割合は特に限定されないが、消臭効果を向上させる観点から、上記手順により求められる空隙部の面積の割合が1%以上であることが好ましく、2%以上であることがより好ましく、3%以上であることがよりいっそう好ましく、4%以上であることがさらに好ましく、5%以上であることがさらにいっそう好ましく、6%以上であることが特に好ましく、10%以上であることが最も好ましい。より詳細には、ウレタン樹脂を結合剤として使用する場合には、消臭材表面における空隙部の面積の割合は1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、4%以上であることがさらに好ましく、6%以上であることが特に好ましく、10%以上であることが最も好ましい。フェノール樹脂を結合剤として使用する場合には、消臭材表面における空隙部の面積の割合は1%以上であることが好ましく、1.5%以上であることがより好ましく、2%以上であることがさらに好ましく、2.5%以上であることが特に好ましい。
また、本発明の消臭材表面における空隙部の面積の割合は、30%以下であることが好ましい。消臭材表面における空隙部の面積の割合が上記範囲内であると消臭効果が向上する理由は明らかではないが、空隙部の面積が大きいほど、コルク材の表面積が増大し、悪臭との接触面積が大きくなるためと考えられる。
消臭材表面における空隙部の面積の割合は、消臭材の原料となるコルク材の粒度幅や金型への充填量等により適宜調節することができる。
【0023】
本発明の消臭材表面における0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合は特に限定されないが、より高い消臭効果を発揮できるという観点から、上記手順により求められる0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合は10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがよりいっそう好ましく、40%以上であることがさらに好ましく、50%以上であることがさらにいっそう好ましく、60%以上であることが特に好ましく、80%以上であることが特にいっそう好ましく、90%以上であることが最も好ましい。より詳細には、ウレタン樹脂を結合剤として使用する場合には、消臭材表面における0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合は10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがよりいっそう好ましく、40%以上であることがさらに好ましく、50%以上であることがさらにいっそう好ましく、70%以上であることが特に好ましく、90%以上であることが最も好ましい。フェノール樹脂を結合剤として使用する場合には、消臭材表面における0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合は60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることがよりいっそう好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、85%以上であることがさらにいっそう好ましく、90%以上であることが特に好ましく、95%以上であることが最も好ましい。
また、本発明の消臭材表面における0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合は100%であってもよい。消臭材表面における0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合が上記範囲内であると、より高い消臭効果を発揮できる理由は明らかではないが、0.80mm2以下の小さい面積を有するコルク材の領域の個数の割合が大きいと、コルク材の表面積が増大し、悪臭との接触面積が大きくなるためと考えられる。
消臭材表面における0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合は、消臭材の原料となるコルク材の粒度幅の調整等により適宜調節することができる。
【0024】
本発明の消臭材の単位体積当たりの吸油量は特に限定されないが、より高い消臭効果を発揮できるという観点から、100mg/cm3以上であることが好ましく、110mg/cm3以上であることがより好ましく、120mg/cm3以上であることがよりいっそう好ましく、130mg/cm3以上であることがさらに好ましく、150mg/cm3以上であることがさらにいっそう好ましく、170mg/cm3以上であることが特に好ましく、200mg/cm3以上であることが最も好ましい。
より詳細には、ウレタン樹脂を結合剤として使用する場合には、100mg/cm3以上であることが好ましく、110mg/cm3以上であることがより好ましく、120mg/cm3以上であることがよりいっそう好ましく、125mg/cm3以上であることがさらに好ましく、150mg/cm3以上であることがさらにいっそう好ましく、170mg/cm3以上であることが特に好ましく、200mg/cm3以上であることが最も好ましい。フェノール樹脂を結合剤として使用する場合には、120mg/cm3以上であることが好ましく、130mg/cm3以上であることがより好ましく、140mg/cm3以上であることがよりいっそう好ましく、150mg/cm3以上であることがさらに好ましく、160mg/cm3以上であることが特に好ましく、170mg/cm3以上であることが最も好ましい。ウレタン樹脂を結合剤として使用した場合とフェノール樹脂を結合剤として使用した場合とにおいて同じ吸油量を示す場合には、ウレタン樹脂を結合剤として使用した場合の方がやや消臭効果に優れる傾向がある。
【0025】
本発明の揮散体の単位体積当たりの吸油量の上限は特に限定されず、揮散体に固有の飽和量が事実上の上限となる。飽和量は揮散体によって異なるが、用いられる溶剤(前記炭素数10~16、蒸気圧0.05kPa以下(20℃)のイソパラフィン系溶剤)および25℃の温度条件から、例えば、700mg/cm3程度である。したがって、本発明の揮散体の単位体積当たりの吸油量の上限を700mg/cm3に設定することも可能である。また、例えば、吸油量を500mg/cm3以下、好ましくは350mg/cm3以下としてもよい。消臭材の単位体積当たりの吸油量が上記範囲内であると、より高い消臭効果を発揮できる理由は明らかではないが、吸油量が多いほど、悪臭を保持できる空間の体積が大きいためと考えらえる。
【0026】
本明細書でいう単位体積当たりの吸油量とは、炭素数10~16、蒸気圧0.05kPa以下(20℃)のイソパラフィン系溶剤に25℃の温度条件下で48時間浸漬したときに、下記式により求めることができる値を意味する。
単位体積当たりの吸油量[mg/cm3]=(浸漬後の消臭材の重量[mg]-浸漬前の消臭材の重量[mg])/消臭材の体積[cm3]
消臭材の表面に液が付着している場合は、これを除去してから浸漬後の消臭材の重量を測定する。また、体積が大きい消臭材の場合は、その一部を切り取って得られた試験片を用いて単位体積当たりの吸油量を求めてもよい。例えば、消臭材から5.0mm×5.5mm×100mmの寸法で直方体状に切り取った試験片を用いて、消臭材の単位体積当たりの吸油量を求めることができる。
【0027】
消臭材の単位体積当たりの吸油量を求める際の消臭材の体積とは、消臭材中の空隙も含めた全体の体積を意味する。例えば、上述の5.0mm×5.5mm×100mmの寸法で直方体状に切り取った試験片の体積は2750mm3(=2.75cm3)として、単位体積当たりの吸油量を計算する。なお、浸漬により消臭材が膨張又は収縮する場合には、浸漬前の消臭材の体積を基に単位体積当たりの吸油量を求める。
また、消臭材の単位体積当たりの吸油量を求めるために用いる、炭素数10~16、蒸気圧0.05kPa以下(20℃)の前記イソパラフィン系溶剤としては、例えば、IPソルベント2028(出光興産株式会社製)等が挙げられる。
【0028】
本発明の消臭材の単位体積当たりの吸油量は、消臭材の原料や成型の条件等を適宜選択、調節することにより、所望の範囲とすることができる。例えば、消臭材の原料となるコルク材の粒度および結合剤の選択、ならびに、消臭材に含まれるコルク材の粒子断面積の調節等により、消臭材の単位体積当たりの吸油量の調節が可能となる。具体的に、コルク材の粒度を小さくすると吸油量は多くなり、コルク材の粒度を大きくすると吸油量は少なくなる。結合剤の配合量を減らすと吸油量は多くなり、結合剤の配合量を増やすと吸油量は少なくなる。
【0029】
本発明の消臭材の密度は特に限定されないが、消臭効果を向上させる観点から、消臭材の密度が0.100g/cm3~0.600g/cm3であることが好ましく、0.130g/cm3~0.300g/cm3であることがより好ましく、0.140g/cm3~0.250g/cm3であることがさらに好ましく、0.150g/cm3~0.200g/cm3であることが特に好ましい。消臭材の密度が上記範囲内であると消臭効果が向上する理由は明らかではないが、消臭材中に、悪臭を吸着するために適した空間が得られるためと考えらえる。
本明細書でいう密度とは、消臭材の重量を測定し、寸法から体積を求め、重量/体積により得ることができる密度を意味する。また、消臭材の密度を求める際の消臭材の体積とは、消臭材中の空隙も含めた全体の体積を意味する。例えば、5.0mm×5.5mm×100mmの寸法を有する直方体状の消臭材の体積は2750mm3(=2.75cm3)として、密度を計算する。
消臭材の密度は、コルク材と結合剤の混合比率、成型時の仕込み量や圧力条件等により適宜調節することができる。
【0030】
本発明の消臭材の形状は特に限定されない。棒状、波形の棒状、柱状、波形の柱状、板状、波形の板状、筒状、球状、キャラクターの形状等、任意の形状を採用することができる。消臭効果を向上させる観点から、本発明の消臭材の形状は、棒状又は波形の棒状であることが好ましく、例えば、
図2に示されるような波形の棒状とすることができる。
【0031】
本発明の消臭材は、消臭効果が妨げられない範囲において、コルク材と結合剤以外の他の成分を含んでいてもよい。そのような他の成分としては、例えば、香料、消臭剤、着色剤、撥油剤、殺菌剤、除菌剤、抗菌剤、防カビ剤、害虫忌避剤、害虫防除剤等が挙げられ、これらの群から選択される少なくとも1種を用いることができる。他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、成分の組み合わせも任意である。例えば、前記他の成分として香料や消臭剤等を含む芳香液を用いた場合、消臭材による悪臭の吸着、除去に加えて、消臭剤による化学的な消臭効果や香料のマスキングやペアリングによる消臭効果が加わるため、好ましい。
他の成分の含有量は特に制限されないが、消臭効果への影響を避ける観点から、他の成分を用いる場合は、コルク材100重量部に対して他の成分を0.00001~300重量部含有させることが好ましい。
【0032】
他の成分として芳香液を用いる場合、芳香液は、例えば、香料、溶剤、消臭剤等を含んでもよい。
香料としては、例えば、様々な植物や動物から抽出された天然香料や、化学的に合成される合成香料、さらにはこれらの香料成分を多数混合して作られる調合香料等が挙げられる。
【0033】
天然香料としては、例えば、ハッカ油、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ラバンジン油、ベルガモット油、パチュリ油、シダーウッド油、ペパーミント油等の天然精油等が挙げられる。
合成香料としては、例えば、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、p-シメン、テルピノレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、α-フェランドレン、ミルセン、カンフェン、オシメン等の炭化水素テルペン;ヘプタナール、オクタナール、デカナール、ベンズアルデヒド、サリシリックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シトロネラール、ハイドロキシシトロネラール、ハイドロトロピックアルデヒド、リグストラール、シトラール、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、α-アミルシンナミックアルデヒド、リリアール、シクラメンアルデヒド、リラール、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン等のアルデヒド類;エチルフォーメート、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルプロピオネート、メチルイソブチレート、エチルイソブチレート、エチルブチレート、プロピルブチレート、イソブチルアセテート、イソブチルイソブチレート、イソブチルブチレート、イソブチルイソバレレート、エチル-2-メチルバレレート、イソアミルアセテート、テルピニルアセテート、イソアミルプロピオネート、アミルプロピオネート、アミルイソブチレート、アミルブチレート、アミルイソバレレート、アリルヘキサノエート、エチルアセトアセテート、エチルヘプチレート、ヘプチルアセテート、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、エチルオクチレート、スチラリルアセテート、ベンジルアセテート、ノニルアセテート、ボルニルアセテート、リナリルアセテート、オルト-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、安息香酸リナリル、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、エチルシンナメート、メチルサリシレート、ヘキシルサリシレート、ヘキシルアセテート、ヘキシルブチレート、メンチルアセテート、ターピニルアセテート、アニシルアセテート、フェニルエチルイソブチレート、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、エチレンブラシレート、γ-ウンデカラクトン、γ-ノニルラクトン、シクロペンタデカノライド、クマリン等のエステル・ラクトン類;アニソール、p-クレジルメチルエーテル、ジメチルハイドロキノン、メチルオイゲノール、β-ナフトールメチルエーテル、β-ナフトールエチルエーテル、アネトール、ジフェニルオキサイド、ローズオキサイド、ガラクソリド、アンブロックス等のエーテル類;イソプロピルアルコール、cis-3-ヘキセノール、ヘプタノール、2-オクタノール、ジメトール、ジヒドロミルセノール、リナロール、ベンジルアルコール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、ターピネオール、テトラハイドロゲラニオール、l-メントール、セドロール、サンタロール、チモール、アニスアルコール、フェニルエチルアルコール、ヘキサノール等のアルコール類;ジアセチル、メントン、イソメントン、チオメントン、アセトフェノン、α-又はβ-ダマスコン、α-又はβ-ダマセノン、α-、β-又はγ-ヨノン、α-、β-又はγ-メチルヨノン、メチル-β-ナフチルケトン、ベンゾフェノン、テンタローム、アセチルセドレン、α-又はβ-イソメチルヨノン、α-、β-又はγ-イロン、マルトール、エチルマルトール、cis-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、l-カルボン、ジヒドロカルボン、メチルアミルケトン等のケトン類、カンファー、1,8-シネオール、アリルアミルグリコレート、イソプレゴール、アリルカプロエート等が挙げられる。
【0034】
これらの香料は、1種単独で使用されても、また2種以上を任意に組み合わせて、調合香料として使用することもできる。これらの香料は、1種単独で使用されても、また2種以上を任意に組み合わせて、調合香料として使用することもできる。なお、香料の一例として挙げた天然精油は、後述する消臭剤、抗菌剤、害虫忌避剤及び/又は害虫防除剤としても用いることができる場合がある。
芳香液中、香料の配合量は、芳香液全量に対して、たとえば0.01~25重量部に設定することが好ましいが、特に限定されるものではない。
【0035】
溶剤としては、例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、1,3-ブタンジオール等の多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(ジプロピレングリコールメチルエーテル)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール-tert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のグリコールエーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ジエチルフタレート、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル類、流動パラフィン、n-パラフィン、イソパラフィン等のパラフィン類、その他、ヘキサン、ケロシン、石油ベンジン等の脂肪族炭化水素類、尿素化合物等が挙げられる。
【0036】
中でも、溶剤としては、流動パラフィン、n-パラフィン、イソパラフィン等のパラフィン類が好ましい。また芳香液中、溶剤の配合量は、芳香液全量に対して、たとえば75~99.99重量部に設定することが好ましいが、特に限定されるものではない。
【0037】
消臭剤としては、例えば、植物抽出エキス(例えば、ツバキ、バラ、キク、マツ、スギ、オオバコ等から得られるエキス)、植物精油(例えば、茶抽出物、カテキン、植物ポリフェノール、リナロール、メントール、ボルネオール)等が挙げられ、公知の消臭剤が使用できる。
芳香液中、消臭剤の配合量は、芳香液全量に対して、たとえば0.00001~10重量部に設定することが好ましいが、特に限定されるものではない。
【0038】
殺菌剤、除菌剤、抗菌剤、防カビ剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、フェノール、クレゾール、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、チモール、o-フェニルフェノール(OPP)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール(PCMX)、チアベンダゾール(TBZ)、クロロタロニル(TPN)、トリクロサン等が挙げられ、公知の殺菌剤、抗菌剤、除菌剤、防カビ剤が使用できる。
【0039】
害虫忌避剤としては、例えば、ディート、ジ-n-ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、ロテノン、エチル-ブチルアセチルアミノプロピオネート、イカリジン(ピカリジン)、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール等が挙げられ、公知の害虫忌避剤が使用できる。
【0040】
害虫防除剤としては、例えば、ピレトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス、イミプロトリン、フェノトリン、アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、ペルメトリン、エムペントリン、シフェノトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、モンフルオロトリン、ジメフルトリン等のピレスロイド系化合物、フェニトロチオン、ジクロルボス、クロルピリホスメチル、ダイアジノン、フェンチオン等の有機リン系化合物、カルバリル、プロポクスル等のカーバメイト系化合物、メトプレン、ピリプロキシフェン、メトキサジアゾン、フィプロニル、アミドフルメト等の殺虫性化合物、その他アリルイソチオシアネート、パラジクロロベンゼン、ナフタリン、ショウノウ等が挙げられ、公知の害虫防除剤が使用できる。
【0041】
本発明の消臭材による消臭の対象は特に限定されない。消臭の対象としては、例えば、汗の臭い、生ゴミの臭い、タバコの臭い、トイレの悪臭、冷蔵庫内の悪臭、ペットおよびその排泄物の臭い等が挙げられる。
本発明の消臭材が広い範囲の悪臭を対象とすることができる理由は定かではないが、悪臭の原因物質の多くにアミノ基又はカルボキシ基が含まれており、かかる官能基とコルクに含まれるスベリンとが反応することにより消臭効果が発揮されると推測される。さらに、結合剤がウレタン樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選択される1以上であることにより、高い取り扱い性と高い消臭効果とを同時に具備する消臭材を得ることができたと考えられる。
【0042】
本発明の消臭材を設置する態様は特に限定されない。例えば、消臭材を机、床、冷蔵庫の中等に直接置いてもよく、紐等に結び付けたものを吊るしてもよく、また、開口を有する容器に入れてもよい。
【実施例0043】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0044】
[実施例1~5、比較例1~5]
(実施例1の消臭材の製造)
コルク材B 100重量部、ウレタン樹脂A 20重量部をリボンミキサーに装填し、撹拌した。得られた混合物をコンプレッション成型法(温度:140~150℃、圧力:8ton)により成型し、板状にカットして打ち抜きを行い、実施例1の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
なお、後述の実施例および比較例を含め、消臭材の密度は重量を測定し、寸法から体積を求め、重量/体積により得た。
【0045】
(実施例2~4の消臭材の製造)
結合剤を表1に記載のものに変更したことを除き、実施例1と同様の方法により、実施例2~4の消臭材を得た。得られた消臭材はいずれも、形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0046】
(実施例5の消臭材の製造)
コルク材A 100重量部、フェノール樹脂A 25重量部をリボンミキサーに装填し、撹拌した。得られた混合物をコンプレッション成型法により成型し、板状にカットして打ち抜きを行い、実施例5の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.490g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0047】
(比較例1の消臭材の製造)
コルク材B 100重量部、エポキシ樹脂 49重量部をリボンミキサーに装填し、撹拌した。得られた混合物をコンプレッション成型法により加熱することなく成型し、板状にカットして打ち抜きを行い、比較例1の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.260g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0048】
(比較例2の消臭材の製造)
コルク材B 100重量部、ラバーA 307重量部をリボンミキサーに装填し、撹拌した。得られた混合物をコンプレッション成型法により成型し、板状にカットして打ち抜きを行い、比較例2の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.510g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0049】
(比較例3の消臭材の製造)
コルク材A 100重量部、ラバーB 153重量部をリボンミキサーに装填し、撹拌した。得られた混合物をコンプレッション成型法により成型し、板状にカットして打ち抜きを行い、比較例3の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.890g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0050】
(比較例4の消臭材の製造)
コルク材C 100重量部、ラバーC 548重量部をリボンミキサーに装填し、撹拌した。得られた混合物をコンプレッション成型法により成型し、板状にカットして打ち抜きを行い、比較例4の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は1.04g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0051】
(比較例5の消臭材の製造)
コルク材A 100重量部、ポリエチレン樹脂 333重量部をリボンミキサーに装填し、撹拌した。得られた混合物をカレンダーロール成型法により成型し、打ち抜きを行い、比較例5の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.710g/cm3、寸法は1.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0052】
実施例および比較例の消臭材の製造に用いたコルク材および結合剤の詳細は、下記のとおりである。
【0053】
・コルク材A:コルク樫の樹皮を剥いで粉砕したコルク材(粒度幅0.2~1.0mm)
・コルク材B:コルク樫の樹皮を剥いで粉砕したコルク材(粒度幅0.3~2.0mm)
・コルク材C:コルク樫の樹皮を剥いで粉砕したコルク材(粒度幅1.0~2.5mm)
・コルク材D:コルク樫の樹皮を剥いで粉砕したコルク材(粒度幅1.0~4.0mm)
【0054】
・コルク材E:コルク樫の樹皮を剥いで粉砕したコルク材(粒度幅0.3~2.5mm)
・コルク材F:コルク樫の樹皮を剥いで粉砕したコルク材(粒度幅1.7~4.0mm)
・コルク材G:コルク樫の樹皮を剥いで粉砕したコルク材(粒度幅2.4~4.0mm)
・コルク材H:コルク樫の樹皮を剥いで粉砕したコルク材(粒度幅2.8~4.0mm)
・コルク材I:コルク樫の樹皮を剥いで粉砕したコルク材(粒度幅2.8~5.6mm)
・コルク材J:コルク樫の樹皮を剥いで粉砕したコルク材(粒度幅4.0~5.6mm)
なお、各コルク材の粒度幅は、粒度の上限および下限の大きさの目開きを有するふるいがそれぞれセットされた振とう機にコルク材を入れ、15分間振とうしてふるいわけし、粒度幅から外れるコルク材が5重量%以下であることにより確認した。
【0055】
・ウレタン樹脂A:エーテル系ウレタン樹脂(主成分:ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)、比重1.07(20℃)、粘度50~150mPa・s(20℃)
・ウレタン樹脂B:エーテル系ウレタン樹脂(主成分:ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)、粘度1862mPa・s(25℃)
・ウレタン樹脂C:エーテル系ウレタン樹脂(主成分:NCO末端プレポリマー)、比重1.17g/cm3、粘度15Pa・s(20℃)
・ウレタン樹脂D:エステル系ウレタン樹脂(主成分:ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)、比重1.21、粘度5300mPa・s(25℃)
・エポキシ樹脂:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と変性脂環式アミンとの反応物
【0056】
・フェノール樹脂A:ホルムアルデヒドを主成分とする、比重0.48(25℃)
・フェノール樹脂B:ホルムアルデヒドを主成分とする、粘度140mPa・s(25℃)
・ポリエチレン樹脂:ポリエチレン50重量%、ポリブタジエン系エラストマー50重量%の混合物
・ラバーA:ニトリルゴムを主成分とし、炭酸カルシウム(充填剤)を含有するラバー材
・ラバーB:ニトリルゴムを主成分とし、炭酸カルシウム(充填剤)および発泡剤を含有するラバー材
・ラバーC:ニトリルゴムを主成分とし、カーボン(充填剤)を含有するラバー材
【0057】
(悪臭残存率の測定)
実施例1の消臭材を2本用いて、悪臭残存率を確認した。悪臭としてアンモニアを用い、下記のとおり悪臭残存率の測定を行った。
(1)1Lテドラーバッグを用意し、28%アンモニア水溶液をシャーレ上のろ紙に3mL垂らした。
(2)前記(1)のテドラーバッグにポンプで空気を入れ、30分以上静置した後、別の1Lテドラーバッグに悪臭を移した。
(3)10Lテドラーバッグを用意し、ファンと実施例1の消臭材(2本)を入れ、ポンプで空気を充満させた。
【0058】
(4)前記(3)の10Lテドラーバッグに、中の空気が均一になるようにファンでテドラーバッグ内の空気を循環させながら、前記(2)の1Lテドラーバッグ中のアンモニア含有空気を入れ、アンモニア濃度が100ppmになるように調節した。10時間後に検知管(ガステック社製、3La)で悪臭濃度を測定した。測定開始時の悪臭濃度に対する10時間後の悪臭濃度の割合(悪臭残存率(%))を求め、下記のとおり判断した。
・悪臭残存率が10%以下:〇(消臭効果あり)
・悪臭残存率が10%を超える:×(消臭効果なし)
【0059】
実施例2~5および比較例1~4の消臭材についても同様の試験を行い、それぞれの悪臭残存率を求めた。また、比較例5の消臭材については、1.0mm×5.5mm×100mmの寸法に切り取った消臭材を5枚重ねし、5.0mm×5.5mm×100mmの寸法としたものを2本用いた以外は、実施例1と同様の試験を行い、悪臭残存率を求めた。結果を表1に示す。
【0060】
実施例1~5および比較例1~5の消臭材のいずれにも、悪臭残存率の測定中に型崩れを生じる等の取り扱い性の問題は認められなかった。
【0061】
【0062】
上記の結果より、結合剤がウレタン樹脂またはフェノール樹脂である消臭材は、高い取り扱い性と高い消臭効果とを同時に実現できることが分かった(実施例1~5)。他方、結合剤が他の樹脂である消臭材は、高い消臭効果が実現されていないことが分かった(比較例1~5)。
【0063】
[実施例6~17、比較例6]
(実施例6の消臭材の製造)
コルク材A 100重量部、ウレタン樹脂B 15重量部をリボンミキサーに装填し、撹拌した。得られた混合物をコンプレッション成型法(温度:140~150℃、圧力:8ton)により成型し、板状にカットして打ち抜きを行い、実施例6の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0064】
(実施例7の消臭材の製造)
コルク材Aに代えてコルク材Bを用いたことを除き、実施例6と同様の方法により、実施例7の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0065】
(実施例8の消臭材の製造)
コルク材Aに代えてコルク材Cを用いたことを除き、実施例6と同様の方法により、実施例8の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0066】
(実施例9の消臭材の製造)
コルク材Aに代えてコルク材Dを用いたことを除き、実施例6と同様の方法により、実施例9の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0067】
(実施例10の消臭材の製造)
コルク材Aに代えてコルク材Fを用いたことを除き、実施例6と同様の方法により、実施例10の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0068】
(実施例11の消臭材の製造)
コルク材Aに代えてコルク材Hを用いたことを除き、実施例6と同様の方法により、実施例11の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0069】
(実施例12の消臭材の製造)
コルク材Aに代えてコルク材Iを用いたことを除き、実施例6と同様の方法により、実施例12の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0070】
(実施例13の消臭材の製造)
コルク材Aに代えてコルク材Jを用いたことを除き、実施例6と同様の方法により、実施例13の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0071】
(実施例14の消臭材の製造)
コルク材Aに代えてコルク材Eを用いたことを除き、実施例6と同様の方法により、実施例14の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0072】
(悪臭残存率の測定:アンモニア)
実施例6の消臭材を2本用いて、悪臭残存率を確認した。悪臭としてアンモニアを用い、下記のとおり悪臭残存率の測定を行った。
(1)1Lテドラーバッグを用意し、28%アンモニア水溶液をシャーレ上のろ紙に3mL垂らした。
(2)前記(1)のテドラーバッグにポンプで空気を入れ、30分以上静置した後、別の1Lテドラーバッグに悪臭を移した。
(3)10Lテドラーバッグを用意し、ファンと実施例6の消臭材(2本)を入れ、ポンプで空気を充満させた。
【0073】
(4)前記(3)の10Lテドラーバッグに、中の空気が均一になるようにファンでテドラーバッグ内の空気を循環させながら、前記(2)の1Lテドラーバッグ中のアンモニア含有空気を入れ、アンモニア濃度が100ppmになるように調節した。2.5時間後および5.5時間後に検知管(ガステック社製、3La)で悪臭濃度を測定した。また、5.5時間後の悪臭残存率が10%以下とならない消臭材については、10時間後の悪臭残存率を測定した。測定開始時の悪臭濃度に対する2.5時間後および5.5時間後、さらに必要により10時間後の悪臭濃度の割合(悪臭残存率(%))を求め、下記のとおり判断した。
・2.5時間後の悪臭残存率が10%以下:◎(消臭効果大)
・2.5時間後の悪臭残存率は10%以下ではないが、10時間後の悪臭残存率が10%以下:〇(消臭効果あり)
【0074】
実施例7~13の消臭材についても同様の試験を行い、それぞれの悪臭残存率を求めた。結果を表2に示す。
【0075】
実施例6~13の消臭材のいずれにも、悪臭残存率の測定中に型崩れを生じる等の取り扱い性の問題は認められなかった。
【0076】
【0077】
(実施例15の消臭材の製造)
コルク材B 100重量部、ウレタン樹脂A 49重量部をリボンミキサーに装填し、撹拌した。得られた混合物をコンプレッション成型法(温度:140~150℃、圧力:8ton)により成型し、板状にカットして打ち抜きを行い、実施例15の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0078】
(比較例6の消臭材の製造)
ウレタン樹脂Aに代えてエポキシ樹脂を用いたことを除き、実施例15と同様の方法により、比較例6の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.26g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0079】
実施例15および比較例6の消臭材について、悪臭残存率の測定を2.5時間後、3.5時間後、および必要により10時間後としたことを除き、実施例6~13と同様の方法により悪臭残存率の測定を行い、それぞれの悪臭残存率を求めた。結果を表3に示す。
【0080】
実施例15および比較例6の消臭材のいずれにも、悪臭残存率の測定中に型崩れを生じる等の取り扱い性の問題は認められなかった。
【0081】
【0082】
上記の結果より、結合剤がウレタン樹脂である消臭材は、いずれも高い取り扱い性と高い消臭効果とを同時に実現できることが分かった(実施例6~13、15)。
また、結合剤と混合して成型される前の状態(原料の段階)におけるコルク材の粒度幅が好ましくは6.0mm未満の範囲を含む場合(実施例6~13、15)、より好ましくは4.0mm未満の範囲を含む場合(実施例6~12、15)、さらに好ましくは2.0mm未満の範囲を含む場合(実施例6~10、15)、さらに好ましくは1.0mm未満の範囲を含む場合(実施例6~7、15)に、良好な消臭効果を示す傾向があった。
【0083】
このように、結合剤として同じウレタン樹脂を用いた消臭材であっても、用いたコルク材の粒度によって消臭効果に違いがあることがわかった(実施例6~13)。この理由は定かではないが、下記の理由が考察される。
コルク材の粒度が大きいとコルク材とコルク材との隙間が大きく形成され、そこに結合剤が入り込みやすくなる。そのため、コルク材が結合剤に覆われ、消臭材の消臭効果が低くなる傾向があると考えられる。逆にコルク材の粒度が小さいもので構成されていると、コルク材とコルク材との隙間の1つ1つが小さく結合剤が入り込みにくくなるため、結合剤に覆われていないコルク材が多くなりコルク材の露出面積が大きくなり、消臭材の消臭効果が高くなる傾向があると考えられる。ここで、結合剤が入り込みやすいかどうかは、結合剤を構成する樹脂の粘度に寄与する可能性が考えられる。
【0084】
また、コルク材と結合剤の配合量が同じであるが、結合剤の種類が異なる消臭材を用いた悪臭残存率の測定の結果、結合剤としてウレタン樹脂を用いた消臭材は消臭効果を発揮したが、エポキシ樹脂を用いた消臭材は消臭効果を発揮しないことが分かった(実施例15、比較例6)。この結果から、消臭材の消臭効果には樹脂特異性があることが分かった。
【0085】
(実施例16の消臭材の製造)
コルク材A 100重量部、フェノール樹脂B 25重量部をリボンミキサーに装填し、撹拌した。
得られた混合物をコンプレッション成型法により成型し、板状にカットして打ち抜きを行い、実施例16の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.23g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0086】
(実施例17の消臭材の製造)
コルク材Aに代えてコルク材Bを用いたことを除き、実施例16と同様の方法により、実施例17の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.23g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0087】
実施例16および17の消臭材について、悪臭残存率の測定を2.5時間後、5.5時間後および8時間後としたことを除き、実施例6~15と同様の方法により悪臭残存率の測定を行い、それぞれの悪臭残存率を求めた。結果を表4に示す。
【0088】
実施例16および17の消臭材のいずれにも、悪臭残存率の測定中に型崩れを生じる等の取り扱い性の問題は認められなかった。
【0089】
【0090】
上記の結果より、結合剤としてフェノール樹脂を用いた場合、ウレタン樹脂を用いた場合と同様の理由により、粒度が小さいコルク材を用いた消臭材は消臭効果が高くなることが分かった(実施例16~17)。ただし、結合剤としてフェノール樹脂を用いた場合には、ウレタン樹脂を用いた場合よりも、消臭材の消臭効果がやや低いことが分かった。
この理由は定かではないが、ウレタン樹脂の粘度と比較してフェノール樹脂の粘度が低く、フェノール樹脂はコルク材とコルク材とにより形成される小さな隙間にも入りやすい。このため、結合剤としてフェノール樹脂を用いた場合には、結合剤に覆われているコルク材がウレタン樹脂を用いた場合よりも多くなり、消臭材の消臭効果がやや低くなったと考えられる。
【0091】
[実施例18]
(悪臭残存率の測定:酢酸)
実施例6で製造した消臭材を2本用いて、悪臭残存率を確認した。悪臭として酢酸を用い、下記のとおり悪臭残存率の測定を行った。結果を表5に示す。
(1)1Lテドラーバッグを用意し、98%酢酸水溶液をシャーレ上のろ紙に2ml垂らした。
(2)前記(1)のテドラーバッグにポンプで空気を入れ、30分以上静置した後、別の1Lテドラーバッグに悪臭を移した。
(3)10Lテドラーバッグを用意し、ファンと実施例6で製造した消臭材(2本)を入れ、ポンプで空気を充満させた。
(4)前記(3)の10Lテドラーバッグに、中の空気が均一になるようにファンでテドラーバッグ内の空気を循環させながら、前記(2)の1Lテドラーバッグ中の酢酸含有空気を入れ、酢酸濃度が100ppmになるように調節した。2.5時間後に検知管(ガステック社製、81)で悪臭濃度を測定した。測定開始時の悪臭濃度に対する2.5時間後の悪臭濃度の割合(悪臭残存率(%))を求め、下記のとおり判断した。
・2.5時間後の悪臭残存率が10%以下:◎(消臭効果大)
・2.5時間後の悪臭残存率が10%以下ではないが、10時間後の悪臭残存率が10%以下:〇(消臭効果あり)
【0092】
実施例18の消臭材には、悪臭残存率の測定中に型崩れを生じる等の取り扱い性の問題は認められなかった。
【0093】
【0094】
上記の結果より、本発明の消臭材は、悪臭の種類にかかわらず高い消臭効果が得られることが分かった(実施例6~13、15~18)。
【0095】
[実施例19~20、比較例7]
(実施例19~20の消臭材(芳香液あり)の製造)
実施例1および5で用いた消臭材を芳香液に1時間浸漬し、それぞれ、実施例19および20の消臭材を得た。芳香液の吸液量は、実施例19および20の消臭材のいずれも、1本当たり約0.5gであった。
なお、使用した芳香液の処方は下記のとおりである。
・フローラル系香料:10重量%
・IPクリーンLX(出光興産株式会社製イソパラフィン系溶剤):90重量%
【0096】
(比較例7の消臭材(芳香液あり)の製造)
比較例4で用いた消臭材を芳香液に浸漬した以外は実施例19~20の消臭材の製造と同様の方法により、比較例7の消臭材を得た。芳香液の吸液量は1本当たり約0.5gであった。
【0097】
(悪臭残存率の測定)
実施例19の消臭材を2本用いて、実施例1の消臭材に対して行ったことと同様の方法により悪臭残存率を測定した。さらに、実施例20および比較例7の消臭材についても、同様の測定を行った。結果を表6に示す。
なお、表6に示す悪臭残存率は、芳香液によるマスキングによる消臭効果には依存しない、消臭材そのものによる悪臭の吸着、除去を評価した数値である。
【0098】
実施例19~20および比較例7の消臭材のいずれにも、悪臭残存率の測定中に型崩れを生じる等の取り扱い性の問題は認められなかった。
【0099】
【0100】
上記の結果より、結合剤がウレタン樹脂又はフェノール樹脂である消臭材は、芳香液を吸液した状態であっても、すなわち、消臭に寄与すると考えられるコルク材の表面構造が芳香液により一部ふさがれた状態であっても、いずれも高い取り扱い性と高い消臭効果とを同時に実現できることが分かった(実施例19~20)。これにより、本発明の消臭材が芳香液を含む態様の製品として提供される場合であっても、高い取り扱い性と高い消臭効果が維持されることが明らかとなった。
他方、結合剤が他の樹脂である消臭材は、芳香液を吸液した状態においても同様に、高い消臭効果が実現されていないことが分かった(比較例7)。
【0101】
[実施例21~29]
(測定部分全体の面積に対する空隙部の面積の割合、および、0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合の測定)
実施例6で用いた消臭材について、下記の手順により空隙部の面積の割合、および、0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合を求めた(実施例21)。
【0102】
(1)消臭材の5.5mm×200mmの面における、長辺方向の端から50mm、100mmおよび150mmの3か所のそれぞれに対して色素液(オリヱント化学工業株式会社製、OIL BLUE 2NをIPソルベント2028で溶解させた飽和溶液)をピペットで3滴(約0.2mL)滴下することにより、消臭材中のコルク材を着色した。以下の測定を着色した3か所のそれぞれについて行い、得られた結果の平均値を最終的な結果として得た。
(2)着色した部分をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX-7000)を用いて50倍に拡大し、マイクロスコープ画像(消臭材の観測範囲:約4mm×約6mm)を得た。
なお、測定部分全体に存在するコルク材の領域の数が20以下の場合は、同様の方法で20倍に拡大し、マイクロスコープ画像(消臭材の観測範囲:約5.5mm×約15mm)を得た。
(3)得られたマイクロスコープ画像をA4紙に印刷し、コルク材の境界を線幅約0.8mmのペンでなぞり、さらに空隙部を塗りつぶし、スキャナーで取り込むことで消臭材表面における各コルク材の領域を確定した。
(4)各コルク材の領域を確定した画像をillustrator(Adobe社製)に取り込み、消臭材表面における各コルク材の領域の面積および空隙部の面積を測定した。
(5)測定部分全体の面積に対するコルク材の領域の面積の割合を、消臭材表面におけるコルク材の領域の面積の割合、測定部分全体の面積に対する空隙部の面積の割合を、消臭材表面における空隙部の面積の割合として得た。
(6)測定部分全体に存在するコルク材の領域を原寸大の面積(~0.20mm2、0.21~0.40mm2、0.41~0.60mm2、0.61~0.80mm2、0.81~1.00mm2、1.01~1.20mm2、1.21mm2~)に分け、各面積を有するコルク材の領域の個数として得た。そして、測定部分全体に存在するコルク材の領域の個数に対する、0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合を、0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合として得た。
【0103】
実施例6で用いた消臭材に代えて実施例7~9で用いた消臭材を用いたことを除き、それぞれ実施例21と同様の測定を行った(実施例22~24)。結果を表7に示す。
【0104】
【0105】
(実施例25の消臭材の製造)
コルク材Aに代えてコルク材Gを用いたことを除き、実施例6と同様の方法により、実施例25の消臭材を得た。得られた消臭材の形状は直方体、密度は0.182g/cm3、寸法は5.0mm×5.5mm×200mmであった。
【0106】
(測定部分全体の面積に対する空隙部の面積の割合、および、0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合の測定)
実施例6で用いた消臭材に代えて実施例25の消臭材を用いたことを除き、実施例21と同様の測定を行った(実施例25)。また、実施例6で用いた消臭材に代えて実施例11~12および16~17で用いた消臭材を用いたことを除き、それぞれ実施例21と同様の測定を行った(実施例26~29)。結果を表8に示す。
【0107】
【0108】
上記の結果より、悪臭残存率の測定において「消臭効果大」の結果が得られた実施例6および7の消臭材は、測定部分全体の面積に対する空隙部の面積の割合が10%以上、かつ、0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合が80%以上であった(実施例21および22)。また、「消臭効果あり」の結果が得られた、ウレタン樹脂を含む実施例8~9、11~12の消臭材は、測定部分全体の面積に対する空隙部の面積の割合が3%以上10%未満、かつ、0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合が10%以上80%未満であった(実施例23~24および26~27)。実施例16、17のフェノール樹脂を含む消臭材は、測定部分全体の面積に対する空隙部の面積の割合が2.5%以上10%未満、かつ、0.80mm2以下の面積を有するコルク材の領域の個数の割合が80%以上であった(実施例28~29)。
【0109】
[実施例30~44]
(単位体積当たりの吸油量の測定)
実施例1の消臭材を5.0mm×5.5mm×100mmの寸法に切り取り、試験片とした。試験片3つをφ27mm×250mmの試験管に装填した。この試験管に溶媒(IPソルベント2028:出光興産株式会社製イソパラフィン系溶剤)を30mL入れ、試験片を25℃の温度条件下で48時間浸漬させた。試験片が浮くものについてはアルミホイルで押さえて、試験片が溶媒に完全に浸漬されるようにした。48時間浸漬後の試験片をピンセットにより取り出し、試験片を縦にした状態でピンセットにより固定し、表面に付着した溶媒が5分間垂れなくなったことを確認したうえで浸漬後の消臭材の重量を測定した。そして、単位体積当たりの吸油量を下記の式により求めた(実施例30)。
単位体積当たりの吸油量[mg/cm3]=(浸漬後の消臭材の重量[mg]-浸漬前の消臭材の重量[mg])/消臭材の体積[cm3]
なお、単位体積当たりの吸油量は、試験片3つについて求めた吸油量の平均値を採用した。
実施例2~4及び6~9の消臭材についても同様の試験を行い、それぞれの単位体積当たりの吸油量を求めた(実施例31~37)。結果を表9に示す。
さらに、実施例14、10~13、16~17の消臭材についても同様の試験を行い、それぞれの単位体積当たりの吸油量を求めた(実施例38~44)。結果を表10に示す。
【0110】
【0111】
【0112】
上記の結果より、悪臭残存率の測定において「消臭効果あり」の結果が得られた実施例1~4のウレタン樹脂を含む消臭材は、単位体積当たりの吸油量が170mg/cm3以上であった(実施例30~33)。
また上記の結果より、悪臭残存率の測定において「消臭効果大」の結果が得られた実施例6および7の消臭材は、単位体積当たりの吸油量が200mg/cm3以上であり(実施例34および35)、「消臭効果あり」の結果が得られた、ウレタン樹脂を含む実施例8~9、10~13の消臭材は、単位体積当たりの吸油量が120mg/cm3以上であった(実施例36~37および39~42)。実施例16、17のフェノール樹脂を含む消臭材は、単位体積当たりの吸油量が170mg/cm3以上であった(実施例43および44)。
本発明の消臭材は結合剤を含むことにより、コルク材のみからなる消臭材特有の型崩れ、コルク材の粒や細かい粒子の舞い上がりやこぼれ等に起因する取り扱い性の問題を解消することができ、このため、様々な形状に成型が可能となり、持ち運びが容易であり、強度も高くなる等、取り扱い性が著しく向上するとともに、高い消臭効果を得ることができる。