(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122570
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】光触媒装置
(51)【国際特許分類】
A23L 3/28 20060101AFI20230825BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20230825BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20230825BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20230825BHJP
F21K 9/238 20160101ALI20230825BHJP
F21V 29/67 20150101ALI20230825BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20230825BHJP
F21V 29/83 20150101ALI20230825BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230825BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20230825BHJP
【FI】
A23L3/28
A61L9/00 C
A61L9/20
F21V33/00 450
F21K9/238
F21V29/67
F21V29/503
F21V29/83
F21Y115:10
F21Y103:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025505
(22)【出願日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2022026173
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514054029
【氏名又は名称】株式会社飯田照明
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】杉田 和繁
(72)【発明者】
【氏名】小橋 弘
(72)【発明者】
【氏名】飯田 史朗
【テーマコード(参考)】
3K014
4B021
4C180
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014AA05
3K014RB03
4B021LA41
4B021LP10
4B021LT03
4B021LW01
4B021LW04
4B021LW05
4B021LW10
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA10
4C180AA19
4C180CC03
4C180DD03
4C180EA34X
4C180HH05
4C180HH15
(57)【要約】
【課題】食品のカビ発生と乾燥を抑制できる光触媒装置を提供する。
【解決手段】光触媒装置401は、光触媒305と、光触媒305を照射するLEDと備え、空気を循環させる送風ユニットを備えない。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒と、
前記光触媒に光を照射する1個又は複数個のLEDと
を備え、
空気循環用の送風ユニットを備えていない、
光触媒装置。
【請求項2】
食品を収容する収容体と、
前記収容体内に配される光触媒装置と
を備え、
前記光触媒装置は、請求項1に記載の光触媒装置である、
食品保存装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒を利用した光触媒装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パン等の食品のカビの発生を抑制しつつ保存する装置として、「庫内に配置され庫内の気体を循環させるファンと、前記ファンにより循環する気体の流路に配置され粒体である沃素系抗菌材料と、前記沃素系抗菌材料の複数の粒体を基材表面に取り付けこの粒体から沃素を徐々に気体に放出する徐放エレメントと、を備え、この徐々に放出された沃素により庫内の殺菌または防カビを行うことを特徴する貯蔵庫」等が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、食品が乾燥しやすいという課題がある。
本発明が解決しようとする課題は、カビの発生と食品の乾燥を抑制可能とする光触媒装置及び食品保存装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、光触媒と、前記光触媒に光を照射する1個又は複数個のLEDとを備え、空気循環用の送風ユニットを備えていない。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、カビの発生と食品の乾燥を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の光触媒装置の外観斜視図である。
【
図2】第1実施形態の光触媒装置の一方側の端部の縦断面図である。
【
図3】第1実施形態の光触媒装置の他方側の端部の縦断面図である。
【
図4】第1実施形態の光触媒装置の断面を他方側から見た横断面図である。
【
図5】第2実施形態の光触媒装置の斜視図であり、(a)は照射面側から見た図であり、(b)は照射面と反対側から見た図である。
【
図6】第3実施形態の光触媒装置の斜視図であり、(a)は空気の送出側から見た図であり、(b)は送出側と反対側から見た図である。
【
図7】第3実施形態の光触媒装置の断面図であり、(a)は縦断面図であり、(b)は横断面図である。
【
図8】(a)は第4実施形態の光触媒装置の斜視図であり、(b)は第4実施形態の光触媒装置の第1ケースを取り外した状態である。
【
図9】(a)は第5実施形態の光触媒装置の斜視図であり、(b)は第5実施形態の光触媒装置の第1ケースを取り外した状態である。
【
図10】第5実施形態の光触媒装置の使用例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
第1の光触媒装置は、光触媒と、前記光触媒に光を照射する1個又は複数個のLEDとを備え、空気循環用の送風ユニットを備えていない。これにより、食品のカビ発生と乾燥を抑制できる。
ここでいう「1個又は複数個のLED」は、少なくとも光触媒に反応を生じさせる365~405nmの波長の光を出射するLED(紫外線LED)又は400~500nmの波長の光を出射するLED(青色LED)を含み、これ以外に、白色光等の可視光、紫外線、赤外線の何れかを出射するLEDを含んでもよい。「複数個のLED」は、同じ波長の光を出射する複数個のLED、異なる波長の光を出射する複数種類のLEDを含む。
光触媒とLEDは、1つの筐体内に配されてもよいし、別の筐体内に配されてもよいし、光触媒は筐体内に配されなくてもよい。
【0009】
第2の光触媒装置は、光触媒と、前記光触媒に光を照射する1個又は複数個のLEDと、送風ユニットとを備え、前記送風ユニットには2W以下の電力が供給される。これにより、食品の防カビ機能を高め、食品の乾燥を抑制できる。
ここでいう「1個又は複数個のLED」は、少なくとも光触媒に反応を生じさせる365~405nmの波長の光を出射するLED(紫外線LED)又は400~500nmの波長の光を出射するLED(青色LED)を含み、これ以外に、白色光等の可視光、紫外線、赤外線の何れかを出射するLEDを含んでもよい。「複数個のLED」は、同じ波長の光を出射する複数個のLED、異なる波長の光を出射する複数種類のLEDを含む。
光触媒とLEDは、1つの筐体内に配されてもよいし、別の筐体内に配されてもよいし、光触媒は筐体内に配されなくてもよい。
第1の食品保存装置は、食品を収容する収容体と、前記収容体内に配される光触媒装置とを備え、前記光触媒装置は、上記に記載の光触媒装置である。
収容体は、袋状、箱状をしてもよい。袋状の場合、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニール、アルミ箔を利用できる。箱状の場合、プラスチック、アルミ等の金属、紙、木材等を利用できる。
第3の光触媒装置は、食品を収容する収容体内に配されて使用される装置であって、光触媒と、前記光触媒に光を照射する1個又は複数個のLEDとを備え、空気循環用の送風ユニットを備えていない。これにより、食品のカビ発生と乾燥を抑制できる。
第4の光触媒装置は、食品を収容する収容体内に配されて使用される装置であって、光触媒と、前記光触媒に光を照射する1個又は複数個のLEDと、送風ユニットとを備え、前記送風ユニットには2W以下の電力が供給される。これにより、食品の防カビ機能を高め、食品の乾燥を抑制できる。
【0010】
以下に実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1実施形態>
1.全体構成
光照射機能付き光触媒装置1は、
図1~
図4に示すように、紫外線を照射するLED21を備えるLEDモジュール2と、LEDモジュール2を搭載するためのベース部材3と、LEDモジュール2を覆うカバー部材4と、カバー部材4の内面に設けられた光触媒5と、内部の空気を排出するためのファンユニット6と、LED21を発光させたりファンユニット6を駆動させたりするための回路7と、ソケットから商用電力を受電するための口金部材8A,8Bとを備える。
ここでの光照射機能は、紫外線を出射する、所謂ブラックライト用である。なお、光照射機能付き光触媒装置1は、光照射機能を重視する場合、光触媒付き光照射装置1、除菌機能付き紫外線照射装置1、除菌機能付きブラックライト1ともいえる。
【0011】
光触媒装置1は具体的には直管状をしている。光触媒装置1は、例えば、カバー部材4とベース部材3と口金部材8A,8Bとから構成され且つ外観形状が円筒状をする筐体9と、複数個のLED21が実装基板23に実装されてなり且つ筐体9内に収容されるLEDモジュール2と、筐体9内に収容される光触媒5と、ファンとモータとを一体で備え且つ筐体9内に収容されるファンユニット6と、口金部材8A,8Bから受電してLEDモジュール2を点灯させると共にファンユニット6のモータを駆動するための回路7とを備える。
【0012】
2.各部構成
(1)LEDモジュール
LEDモジュール2は、長尺状の実装基板23と、実装基板23の長手方向に沿って間隔を置いて実装された複数個のLED21(
図4参照)とを有する。なお、実装基板23において、LED21が実装される側を表側と、LED21が実装されていない側を裏側とそれぞれする。
LED21は、波長が365~405nmの範囲にある紫外線、所謂、UV-Aを出射する。ここでのLED21の波長は、人に害がないとされている375nmである。なお、365nmの波長も人への害が少ないとされている。これによって、LED21から出射される光による除菌機能に、光触媒による除菌効果が加わることとなり、除菌力を向上させることができる。
なお、ここでのLED21の全てが紫外線を照射するが、例えば、複数個のLED21に、白色光等の可視光を出射するLEDを含んでもよい。これにより、一般照明としての機能、ブラックライトとしての機能、さらに光触媒による除菌機能を有する光触媒装置1が得られる。
【0013】
(2)ベース部材
ベース部材3は、長尺状をし、筐体9の形状である円筒状の一部を構成する。ここでのベース部材3は横断面において弓形に似た形状をしている。
ベース部材3は、
図4に示すように、弓形に似た形状をするベース本体31と、LEDモジュール2を装着するためのモジュール装着手段33と、カバー部材4を装着するためのカバー装着手段35とを有している。
ベース本体31は端部に口金部材8A,8Bを装着するためのねじ孔37を有している。なお、ねじ孔37用の溝はベース本体31の長手方向と平行に延伸する。
モジュール装着手段33は、LEDモジュール2の実装基板23の短手方向の端部を係止する係止構造により構成されている。カバー装着手段35は、カバー部材4の折曲部(開口側端部)43を係止する係止構造により構成されている。
【0014】
(3)カバー部材
カバー部材4は、長尺状をし、筐体9の形状である円筒状の一部を構成する。ここでのカバー部材4は、下部側に開口を有し、円筒の円形の下部を欠いたような形状をしている。カバー部材4における開口端部の折曲部43とベース本体31のカバー装着手段35とが係合する。
カバー部材4は、横断面において、カバー部材4の長手方向に延伸する拡散溝45を内周面に有している。拡散溝45は周方向に等間隔で複数本形成されている。これにより、LED21から出射される光が拡散される。カバー部材4は、紫外線透過性の高いアクリル樹脂により構成される。
カバー部材4の内面には、光触媒5が設けられている。具体的には、光触媒5の一例である酸化チタン粒子を内面に塗布することで構成されている。当該酸化チタンは、LEDモジュール2のLED21から出射される紫外線(波長が365~405nmである)を吸収して、触媒反応を起こす。このように、光触媒装置1として、必要な構成であるLED21を利用することで、光出射機能(ブラックライトとしての機能)を持たせることができ、簡単な構成で機能付き光触媒装置1を構成できる。
【0015】
(4)回路
回路7は、口金部材8A,8Bを介して受電した商用電力を直流電力に変換してLEDモジュール2とファンユニット6に供給する。回路7は、例えば、整流回路、平滑回路、電変換回路等を有している。
回路7を構成する電子部品71は回路基板73に実装されている。
図2~
図4では、電子部品71としてコンデンサのみが現れている。回路7は口金部材8A,8B内に収容される。
【0016】
(5)口金部材
口金部材8A,8Bは、筐体9の形状である円筒状の一部を構成し、カバー部材4とベース部材3の端部に設けられる。口金部材8A,8Bは、現行のブラックライト蛍光灯が着脱可能な器具のソケットに対し、装着可能に構成されている。口金部材8A,8Bは、有底筒状の本体81と、本体81の底壁部82に設けられた口金ピン83とを備える。ここでの口金ピン83はGタイプである。
本体81は、筒壁部84に段差部分84aを有し、当該段差部分84aを利用して回路基板73が支持される。なお、回路基板73は、底壁部82から段差部分84aまで延伸するボス部分84bにも支持される状態で、ボス部分84bに設けられたねじ孔に螺合するねじ75により固定される。
本体81は、ベース部材3が存在する側に欠け部85を有し、当該欠け部85の端壁に、口金部材8A,8Bをベース部材3に取り付けるためのねじ39用の貫通孔を有している。なお、ねじ39は口金部材8の貫通孔を挿通してベース部材3のねじ孔37に螺合する。
【0017】
長手方向の一方側に位置する口金部材8Aは、
図1、
図2及び
図4に示すように、ファンユニット6を収容する収容部を有している。具体的には、口金部材8Aは、筒壁部84の表側部分から表側に突出する突出部87Aを有し、その内部にファンユニット6を収容する。突出部87Aの突出先端側の端壁には、筐体9内の空気をファンユニット6により排出するための排出口88Aを有している。排出口88Aには、
図1に示すように、人の指やごみ等の侵入を防ぐフィルタ89が設けられている。フィルタ89は、ファンユニット6を固定するねじ63により突出部87Aに固定されている。
【0018】
長手方向の他方側に位置する口金部材8Bは、
図1及び
図3に示すように、口金部材8Aと同様に、筒壁部84の表側部分から表側に突出する突出部87Bを有している。なお、突出部87Bの突出量は、突出部87Aの突出量よりも小さい。突出部87Bの突出先端側の端壁には、筐体9内の空気をファンユニット6により吸入するための吸入口88Bを有している。吸入口88Bには、
図1に示すように、人の指やごみ等の侵入を防ぐフィルタ89が設けられている。フィルタ89はねじ63により突出部87Bに固定されている。
【0019】
このように光触媒装置1は、長尺状をし、長手方向の両端に吸入口88Bと排出口88Aを有しているため、筐体9内を流れる空気が筐体9の全長に亘って紫外線を受けたり、光触媒5と接触したりすることとなり、除菌効果を高めることができる。
さらに、ファンユニット6を備えるため、筐体9内に空気が強制的に吸入され、筐体9内の空気が強制的に排出されるため、除菌効果を高めることができる。
【0020】
<第2実施形態>
第1実施形態では、光出射機能は紫外線を出射していたが、380nm以上の波長の可視光を出射する光出射機能を有する光触媒装置101について説明する。
光触媒装置101は、装置本体102と、装置本体102を支持する支持体105とを備える。
【0021】
装置本体102は、複数個のLEDを備えるLEDモジュールと、LEDモジュールを収容し口金部材123を有する筐体121と、筐体121の一部又は全部を構成し且つ透光性を有するカバー部材125の内面に設けられた光触媒と、筐体121内に配されたファンユニットと、LEDモジュール及びファンユニットに電力を供給する回路とを備える。
複数個のLEDは、一般照明用の白色光(電球色、昼白色、昼光色等である)を出射するLEDと、UV-Aを出射するLEDとを含み、光触媒は、365~405nmの光に反応する。これにより、安全で、除菌効果が可視光よりも高い一般照明装置として利用できる。
装置本体102は、従来の直管状の蛍光ランプが装着可能な器具に対し、装着可能に構成されている。つまり、一般照明用ランプとしての機能を有し、容易に器具に装着(設置)できる。
筐体121は、長尺円筒状のカバー部材125と、カバー部材125の端部に設けられた口金部材123とにより構成され、内部にLEDモジュールが挿入され固定されている。複数個のLEDは、カバー部材125の長手方向に沿って所定の間隔をおいて実装基板に実装されている。
口金部材123は、第1実施形態と同様に、Gタイプの口金ピンを有している。筐体121の長手方向の一方側の口金部材123Aには、ファンユニットが収容され、排出口127Aが設けられている。筐体121の長手方向の他方側の口金部材123Bには、吸入口127Bが設けられている。
【0022】
支持体105は、長尺状の装置本体102を例えばその長手方向が上下方向となるように支持する。支持体105は、上下方向に長い柱状体151と、装置本体102の口金部材123の口金ピンを受け入れ且つ支持するソケット153と、柱状体151を立設状態で支持する支持体155と、支持体155に設けられた安定板157とを備える。
ソケット153は、柱状体151の長手方向の両端側に設けられ、装置本体102の排出口127Aと吸入口127Bが前側となるように支持する。なお、ソケット153は、口金ピンに電力を供給する供給端子を有する。
支持体155は、設置面と平行なベース部159と、ベース部159の前端から後方上がりに傾斜し且つ柱状体151用の貫通孔161aを有する傾斜部161と、ベース部159の後端から上方へ延伸し且つ柱状体151の後面を支持する下支持部163と、傾斜部161の貫通孔161aの後端(上端)から下方(又は上方)へ延伸し且つ柱状体151の後面を支持する上支持部165とを有する。なお、柱状体151は、下支持部163と上支持部165とにねじ169により固定されている。
【0023】
<第3実施形態>
第3実施形態では、設置型の送風機能付き光触媒装置201について説明する。
光触媒装置201は、吸入口203aと排出口203bとを有する筐体203と、筐体203内に収容される光触媒205と、筐体203内に配され且つ光触媒205に向けて光を出射するLED207と、筐体203内に配され且つ排出口203bから空気を送出する送風ユニット209と、筐体203内に配され且つLED207と送風ユニット209とに給電する回路211とを備える。
光触媒装置201は、筐体203の吸入口203aを覆う後カバー217と、排出口203bを覆う前カバー219とを備える。
筐体203は、直方体状をし、装置の始動・停止用の電源スイッチ213と、送風ユニット209の風量切替用の切替スイッチ215とを前面に有する。
光触媒205は、板状をし、上下方向に対して傾斜する状態で設けられている。
LED207は、筐体203の上面と下面とに設けられている。ここでは、上面と下面とに1個ずつ配されているが、上下面に複数個配されてもよいし、前後面に1個又は複数個配してもよいし、上下面及び前後面に1個又は複数個配してもよい。
送風ユニット209は、高出力タイプが利用され、切替スイッチ215により、風量(回転数)を変更可能に構成され、光触媒205により除菌された空気を筐体203の前面の排出口203bから排出する。なお、ここでは、送風ユニット209から送出される空気の風速が、送風ユニット209から0.5m離れた位置で、0.5m/sec以上の能力を有する場合に送風機能を有すると定義する。
上記構成により、筐体203内の空気を排出する手段として、送風ユニット209を備えているため、簡単な構成で、送風機能付き光触媒装置201が得られる。
【0024】
上記の光触媒装置201は、後面に吸入口203aを、前面に排出口203bをそれぞれ備えているが、例えば、吸入口を側面や上面に備えてもよいし、後面と上面と側面の内の複数面に吸入口を備えてもよい。
排出口203bは、送風機能を重視すると前面に備えるのが好ましいが、空気の循環等を主とする場合は上面に備えてもよい。また、循環等を主とする場合、例えば、吸入口を前面に設け、排出口を上面に設けてもよい。
LED207は、光触媒205に向けて光を出射して光触媒205に反応を生じさせればよく、LEDの形態、取付位置、取付方法等は特に限定しない。
【0025】
<第4実施形態>
第4実施形態では、携帯型の送風機能付き光触媒装置301について、
図8を用いて説明する。
光触媒装置301は、吸入口303aと排出口303bとを有する筐体303と、筐体303内に収容される光触媒305と、筐体303内に配され且つ光触媒305に向けて光を出射するLED307と、筐体303内に配され且つ排出口303bから空気を送出する送風ユニット309と、筐体303内に配され且つLED307と送風ユニット309とに給電する回路311とを備える。
光触媒装置301は、携帯用のストラップを通すための、貫通孔(ストラップホール)、フック、金具319等を筐体303の上部に備える。
筐体303は、縦長薄型の直方体状をし、第1ケース303Aと第2ケース303Bとからなる。装置の始動・停止用の電源スイッチ313と、送風ユニット309の風量切替用の切替スイッチ315とが筐体303の例えば側面に設けられている。
光触媒305は、板状をし、筐体303の底面の前側に配置され、吸入口303aに対向している。
LED307は、筐体303の後面に設けられている。ここでは、回路311の基板317に実装されている。また、ここでは、LED307が1個配されているが、複数個配されてもよい。なお、LED307は、光触媒305に向けて光を出射して光触媒305に反応を生じさせればよく、LEDの形態、取付位置、取付方法等は特に限定しない。
送風ユニット309は、高出力タイプが利用され、切替スイッチ315により、風量(回転数)を変更可能に構成され、光触媒305により除菌された空気を筐体303の上面の排出口303bから排出する。なお、ここでも、送風ユニット309から送出される空気の風速が、送風ユニット309から0.5m離れた位置で、0.5m/sec以上の能力を有する場合に送風機能を有すると定義する。
上記構成により、筐体303内の空気を排出する手段として、送風ユニット309を備えているため、簡単な構成で送風機能付き光触媒装置301が得られる。特に、送風ユニット309の風量を切替可能とすることで、風量を調整でき、冬場では、風量を弱くすることで、殺菌作用を1年中得ることができる。
【0026】
<第5実施形態>
第5実施形態では、携帯型の送風機能なし光触媒装置401について、
図9及び
図10を用いて説明する。当該光触媒装置401は、食品のカビの発生を抑制するのに有効であり、防カビ装置として機能する。
光触媒装置401は、自然循環用の開口303a,303bを有する筐体303と、筐体303内に収容される光触媒305と、筐体303内に配され且つ光触媒305に向けて光を出射する1個又は複数個のLED307と、筐体303内に配され且つLED307を発光させるための回路311及びバッテリ409とを備える。
筐体303は、縦長薄型の直方体状をし、第1ケース303Aと第2ケース303Bとからなる。装置の始動・停止用の電源スイッチ313が筐体303の例えば側面に設けられている。
光触媒305は、板状をし、筐体303の底面の前側に配置され、開口303aに対向している。
LED307は、筐体303の後面に設けられている。ここでは、回路311の基板317に実装されている。また、ここでは、LED307が1個配されているが、複数個配されてもよい。なお、LED307は、光触媒305に向けて光を出射して光触媒305に反応を生じさせればよく、LEDの形態、取付位置、取付方法等は特に限定しない。
光触媒装置401は、例えば、
図10に示すように、食パンの袋403内に配される。これにより、袋403内の食パンにカビが発生するのを防止できる。なお、カビ発生の試験は、袋に食パンを入れたサンプル1と、同様の袋に食パンと光触媒装置401とを入れたサンプル2とを同時に同じ部屋で放置した結果、サンプル1の方が早くカビが発生した。なお、実験は、食パンで行ったが、他のパン、餅、チーズ、ご飯(白ご飯、赤飯、チャーハン等を含む)、カレー、シチュー、肉じゃが等の煮物、野菜炒め、酢豚等の炒め物を含む食品であっても、防カビの効果は得られると考えられる。
光触媒装置401は、送風ユニットを備えていない。これにより、パンの乾燥を防止できる。また、湿度を保つことができる。なお、送風ユニットを備える場合、送風ユニットに供給する電力が2W以下であり、好ましくは、1W以下0.01W以上の範囲内、更に好ましくは、0.5W以下0.05W以上の範囲内である。この範囲の電力を供給することで、防カビ機能を高めることができる。
一実施例としては、送風ファンは、定格電圧が5Vであり、3Vの電圧、50mAの電流(0.15Wの電力)が供給される。定格電圧が5Vの送風ファンの場合、200mA以下の電流(1Wの電力)が供給されることが好ましい。
図10では、食パンの袋403に光触媒装置401を挿入しているが、ケースの中に光触媒装置401と食パン(食品)とを入れるようにしてもよい。また、ケース内に、光触媒とLEDと回路とを筐体に備える光触媒装置を固定的に設けてもよい。この場合、商用電源又はアダプタから受電してLEDが発光するようにしてもよい。このように、ケース、袋(403)等の収容体と、光触媒装置(401)とを備える食品保存装置としてもよい。
【0027】
<変形例>
以上、機能付き光触媒装置の例として、光照射機能付き光触媒装置1,101、送風機能付き光触媒装置201,301を説明したが、これらの光触媒装置に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、各実施形態と変形例とを組み合わせたものでもよいし、変形例同士を組み合わせたものでもよい。また、実施形態や変形例に記載していない例や要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0028】
1.光照射機能付き光触媒装置
(1)光触媒装置1,101は、主として光照射機能を有していたが、例えば、ファンユニットの機能を高出力タイプとして、送風機能を付加してもよい。また、送風能力を必要としない、例えば、循環目的の場合(第5実施形態である)、ファンユニットの機能を低出力タイプ(例えば、風量を定義してください)としてもよい。
(2)光触媒装置1,101のLEDは、その装置において同じ波長の光を出射しているが、印加電圧が略同じであって異なる領域(例えば、可視光と紫外線等である)の波長の複数種類のLEDを1枚又は複数枚の実装基板に実装するようにしてもよい。
これにより、光触媒に対して効果的でない波長のLEDと、光触媒に対して効果的で安全な波長のLEDとを備えることができ、複数機能を効果的に発揮できる。
【0029】
(3)光触媒装置1,101は、直管状をしていたが、例えば、電球状、円盤状、円環状、ストレート状をしていてもよいし、光触媒とLEDとを備える本体部と別体で、電源部を備えるような装置であってもよい。
電球状の光触媒装置は、電球状の筐体内に、複数のLEDと、光触媒と、ファンユニットと、回路とを備え、筐体がグローブとケースとから構成され、グローブに光触媒が塗布されると共に貫通孔が設けられ、ケースに口金が設けられている。複数のLEDは、目的(例えば、一般照明用、ブラックライト用等である)の光色を発するLEDと、光触媒用の1又は複数のLEDとから構成される。ファンユニット無しで貫通孔により筐体の内部を通過する空気の流れが発生する場合は、ファンユニットを備えなくてもよい。電球状の光触媒装置は、除菌機能付き電球型照明装置とも言える。
円盤状又は円環状の光触媒装置は、円盤状又は円環状の筐体内に、複数のLEDと、光触媒と、ファンユニットと、回路とを備え、筐体が器具本体とカバーとから構成され且つ筐体の内部と外部とが連通可能とする貫通孔又は欠け部が設けられ、カバーに光触媒が塗布され、器具本体に引掛けシーリング等の取付具が設けられている。複数のLEDは、目的(例えば、一般照明用、ブラックライト用等である)の光色を発するLEDと、光触媒用の1又は複数のLEDとから構成される。ファンユニット無しで貫通孔により筐体の内部を通過する空気の流れが発生する場合は、ファンユニットは備えなくてもよい。円盤状又は円環状の光触媒装置は、除菌機能付き照明装置(シーリングライト)とも言える。なお、円盤状のカバーに代えて、方形状のカバー、矩形状のカバー等を利用できる。
ストレート状の光触媒装置は、ストレート状の筐体内に、複数のLEDと、光触媒と、ファンユニットと、回路とを備え、筐体が器具本体とカバーとから構成され且つ筐体の内部と外部とが連通可能とする貫通孔又は欠け部が設けられ、カバーに光触媒が塗布され、器具本体が設置面に取り付けられている。複数のLEDは、目的(例えば、一般照明用、ブラックライト用等である)の光色を発するLEDと、光触媒用の1又は複数のLEDとから構成される。ファンユニット無しで貫通孔により筐体の内部を通過する空気の流れが発生する場合は、ファンユニットは備えなくてもよい。ストレートの光触媒装置は、除菌機能付き照明装置(ベースライト)とも言える。
(4)光触媒装置1,101は、カバー部材4の内面に光触媒粒子が塗布されているが、例えば、光触媒粒子を塗布した透明のシートを筐体に設けてもよい。具体的には、筐体9,121において光を出射する部分(実施形態ではカバー部材4,125である)の内面に沿ってシートを配したり、光の主出射方向と平行(実装基板に対して垂直)に1枚又は複数枚のシートを配したりしてもよい。
また、一般照明機能の場合、LEDに設けられている蛍光粒子に光触媒粒子を混入させてもよい。
また、光触媒は、板状又はブロック状をし、実装基板に取り付けてもよい。この場合、LEDからの光を遮らない寸法が好ましい。
(5)光触媒装置1,101は、1個の吸入口88B,203aと1個の排出口88A,203bを有していたが、複数個の吸入口を備えてもよいし、複数個の排出口を備えてもよいし、複数個の吸入口と排出口とを備えてもよい。複数個の吸入口又は排出口を備える場合、複数個のファンユニット6を備えてもよい。
(6)光触媒装置1,101は、1個のファンユニット6を備えていたが、複数個のファンユニット6を備えてもよい。また、ファンユニット6を吸気口に備えてもよい。
【0030】
2.送風機能付き光触媒装置
(1)光触媒装置201,301は、主として送風機能を有していたが、例えば、送風ユニットの上流側にヒータを配して、スイッチの切り替えで温風が吐出するようにしてもよい。
(2)光触媒装置201は、送風ユニット209を筐体203内に備えていたが、例えば、送風ユニットを筐体外に配置してもよい。また、送風ユニットの向きを変える首振り機能を設けてもよい。また、首振りの送風機のファンに光触媒粒子を塗布し、裏側にLEDを配するような構造としてもよい。
【0031】
(3)光触媒装置201,301,401の光触媒は、空隙を有する板状のものを使用したが、例えば、光触媒(酸化チタン)を塗布したフィルタタイプやシートタイプとしてもよい。フィルタタイプの場合、筐体の吸入口や排出口を覆うように筐体の表面(外面)に設けてもよいし、裏面(内面)に設けてもよい。これにより、塵埃が筐体内に侵入するのを防止できる。なお、表面に配すると、筐体を分解することなく、フィルタの掃除や交換を容易に行うことができる。また、フィルタを排出口に設けることで、送風(排出)機能でフィルタに塵埃が溜り難くできる。
(4)光触媒装置201,301は、送風ユニットを複数個備えてもよい。
(5)光触媒装置201は、排出口203bの位置を変更することを想定していないが、例えば、筐体203の外面に脚部を設け、例えば、夏場は人に向け、冬場は人のいない方向や上に向けて使用できるようにしてもよい。脚部は、送風ユニット209の振動を考慮して、ゴム等の振動吸収性を有する材料が好ましい。これにより、1年中稼働させることができ、長期にわたり空気清浄効果が得られる。
【0032】
3.光触媒ユニット
(1)光触媒装置1,101,201,301は、光触媒と、光触媒を照射するLEDと、送風ユニットとを備えていたが、光触媒とLEDとを備える光触媒ユニットとしてもよい。
具体的には、光触媒ユニットは、筐体と、光触媒と、LEDと、電池又は回路とを備える(第5実施形態である)。LEDは、電池から直接受電したり、ケーブル等や電池により駆動する回路から受電したりする。
【0033】
光触媒ユニットは、例えば、自動車や室内のエアコン、除湿装置、ドライヤ、掃除機、空気清浄機、パソコン、レーザープリンタ、電子レンジ、ファン付作業服等のファン付衣服等(以下、「エアコン等」とする)の送風口に着脱可能に装着するための装着手段を備える。装着手段としては、送風口のルーバに係合する係合部や、ルーバを把持するグリップ部、ねじにより螺合する螺合部等である。このように、光触媒ユニットを装着する装置に送風機能を有する場合、送風口の近傍に光触媒ユニットを配置することで、実施形態で説明した光触媒装置と同様の効果が得られる。なお、エアコン等にユニットして組み込まれてもよい。
なお、光触媒ユニットは、自動車や室内のエアコンから送り出された空気が直接当たらなくても、空気の流れが生じる場所、例えば、洋服や衣服等を乾燥させるスタイラー、冷蔵庫等の内部に設置することで、空気の脱臭や除菌等を行うことができる。
光触媒ユニットを、エアコン等に組み込む場合、光触媒ユニットは光触媒とLEDとを備えればよい。また、光触媒が設けられたフィルタを利用する場合、フィルタを有する装置にLEDを追加することで実施できる。
【0034】
(2)光触媒装置1,101,201,301は、光触媒と、LEDと、送風ユニットとを筐体に備えていたが、例えば、光触媒とLEDとを送風ユニットに取り付けて構成してもよい。具体的には、光触媒装置は、送風ファンとモータとが一体化(ユニット化)したファンモータの枠部に光触媒とLEDとを設けてもよい。
また、この光触媒装置の場合、送風ファンにUSB端子を設けることで、パソコンに接続でき、仕事、勉強等をしている人に向けて空気を送り出せる。また、光触媒装置を作業服等の衣服に取り付けることで、ファン付衣服を構成してもよいし、衣服に着脱可能とし、複数の衣服に装着できるようにしてもよい。
同様に、フィルタ状の光触媒をケースに収容し、当該ケースにLEDや送風ユニットを取り付けてもよいし、LEDを実装する基板をケースに収容し、当該ケースにフィルタや送風ファンを取り付けてもよい。
【0035】
(3)光触媒装置401は、箱状をしているが、長尺状であって両端に開口を有する筒状の筐体内に、光触媒、LED、回路を備えてもよいし、光触媒、LED、回路、バッテリ(電池)を備えてもよいし、更に、低出力(供給電力が2W以下である)の送風ユニットを備えてもよいし、バッテリに替えてケーブルから受電するようにしてもよい。なお、光触媒装置401は、パンのカビ発生を抑制するパン用カビ発生抑制装置や、食品のカビ発生を抑制する防カビ装置ともいえる。
ケースに、送風ユニットを備える光触媒装置を設ける場合、対象物の一例であるパンに対して送風ユニットからの風が直接当たらないように、排気口の向きを対象物と反対側に向けたり、排気口と対象物との間に遮風板を設けたりすることが好ましい。この場合、光触媒装置は、光触媒、LED、送風ユニット、遮風手段を備える構成としてもよい。
【0036】
4.送風ユニット
送風ユニットは、軸流ファン、延伸ファン、ブロアファン(シロッコファン)等を利用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 光触媒装置
5 光触媒
6 ファンユニット
8A 口金部材
8B 口金部材
9 筐体
21 LED
88A 排出口
88B 吸入口