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特開2023-122632再生可能有機汚染物質コントローラおよびその組立方法
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  • 特開-再生可能有機汚染物質コントローラおよびその組立方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122632
(43)【公開日】2023-09-04
(54)【発明の名称】再生可能有機汚染物質コントローラおよびその組立方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20230828BHJP
【FI】
B01D53/04 220
B01D53/04 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024788
(22)【出願日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】17/678,641
(32)【優先日】2022-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ピン ユー
【テーマコード(参考)】
4D012
【Fターム(参考)】
4D012BA03
4D012CA10
4D012CB07
4D012CD03
4D012CD05
4D012CD07
4D012CG04
(57)【要約】
【課題】 宇宙で使用する再生可能有機汚染物質コントローラを提供する。
【解決手段】 再生可能有機汚染物質コントローラは、炭素中空繊維モジュールを含み、炭素中空繊維モジュールは、入口と、入口とは反対側の炭素中空繊維モジュールの端部にある出口との間に通路を含み、これにより、通路を流れる汚染空気内の有機汚染物質は、炭素中空繊維モジュールの細孔内へ脱着される。再生可能有機汚染物質コントローラはまた、炭素中空繊維モジュールの入口及び炭素中空繊維モジュールの出口に接続されたワイヤを含む。ワイヤは、ワイヤを通る電気の流れに基づいて、炭素中空繊維モジュールを加熱する。加熱により、炭素中空繊維モジュールの細孔から有機汚染物質が放出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素中空繊維モジュールであって、入口と、前記入口とは反対側の前記炭素中空繊維モジュールの端部にある出口との間に通路を含み、前記通路を流れる汚染空気内の有機汚染物質は、前記炭素中空繊維モジュールの細孔内へ脱着される、前記炭素中空繊維モジュールと、
前記炭素中空繊維モジュールの前記入口及び前記炭素中空繊維モジュールの前記出口に接続されたワイヤであって、前記ワイヤは、前記ワイヤを通る電気の流れに基づいて前記炭素中空繊維モジュールを加熱するように構成され、前記加熱は、前記炭素中空繊維モジュールの前記細孔から前記有機汚染物質を放出するように構成される、前記ワイヤと、
を備える、再生可能有機汚染物質コントローラ。
【請求項2】
複数の前記炭素中空繊維モジュールを収容するように構成された筐体をさらに備える、請求項1に記載の再生可能有機汚染物質コントローラ。
【請求項3】
前記筐体内の前記複数の前記炭素中空繊維モジュールの前記入口を塞ぐ第1のヘッダをさらに備える、請求項2に記載の再生可能有機汚染物質コントローラ。
【請求項4】
前記筐体内の前記複数の前記炭素中空繊維モジュールの前記出口を塞ぐ第2のヘッダをさらに備える、請求項3に記載の再生可能有機汚染物質コントローラ。
【請求項5】
前記ワイヤのうちの1つのワイヤは、前記第1のヘッダを介して前記炭素中空繊維モジュールの前記入口に接続され、前記ワイヤのうちの別のワイヤは、前記第2のヘッダを介して前記炭素中空繊維モジュールの前記出口に接続される、請求項4に記載の再生可能有機汚染物質コントローラ。
【請求項6】
前記ワイヤは、電流源に接続するように構成される、請求項1に記載の再生可能有機汚染物質コントローラ。
【請求項7】
前記炭素中空繊維モジュールの前記入口に接続された窒素源であって、前記炭素中空繊維モジュールの前記通路に前記窒素を流して、前記炭素中空繊維モジュールの前記細孔から放出された前記有機汚染物質を一掃する前記窒素源をさらに備える、請求項1に記載の再生可能有機汚染物質コントローラ。
【請求項8】
前記炭素中空繊維モジュールの前記出口に接続されたバキュームであって、前記炭素中空繊維モジュールの前記細孔から放出された前記有機汚染物質を前記通路から引き出す前記バキュームをさらに備える、請求項1に記載の再生可能有機汚染物質コントローラ。
【請求項9】
再生可能有機汚染物質コントローラの組立方法であって、
炭素中空繊維モジュールを得ることであって、前記炭素中空繊維モジュールは、入口と、前記入口とは反対側の前記炭素中空繊維モジュールの端部にある出口との間に通路を含み、前記通路を流れる汚染空気内の有機汚染物質は、前記炭素中空繊維モジュールの細孔内へ脱着される、前記得ることと、
ワイヤを通る電気の流れに基づいて前記炭素中空繊維モジュールを加熱するために、前記ワイヤを前記炭素中空繊維モジュールの前記入口及び前記炭素中空繊維モジュールの前記出口に接続することであって、前記加熱は、前記炭素中空繊維モジュールの前記細孔から前記有機汚染物質を放出するように構成される、前記接続することと、
を含む、方法。
【請求項10】
複数の前記炭素中空繊維モジュールを収容する筐体を配置することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記筐体内の前記複数の前記炭素中空繊維モジュールの前記入口を第1のヘッダで塞ぐことをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記筐体内の前記複数の前記炭素中空繊維モジュールの前記出口を第2のヘッダで塞ぐことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ワイヤのうちの1つのワイヤを、前記第1のヘッダを介して前記炭素中空繊維モジュールの前記入口に接続することと、前記ワイヤのうちの別のワイヤを、前記第2のヘッダを介して前記炭素中空繊維モジュールの前記出口に接続することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ワイヤを電流源に接続することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
窒素源を前記炭素中空繊維モジュールの前記入口に接続して、前記炭素中空繊維モジュールの前記通路に前記窒素を流し、前記炭素中空繊維モジュールの前記細孔から放出された前記有機汚染物質を一掃することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記炭素中空繊維モジュールの前記出口にバキュームを接続して、前記炭素中空繊維モジュールの前記細孔から放出された前記有機汚染物質を前記通路から引き出すことをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、汚染物質制御の技術に関し、具体的には、宇宙で使用する再生可能有機汚染物質コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
あらゆる環境において、飲用可能な水及び呼吸可能な空気は、生存条件の中心的要素である。例えば宇宙船または惑星上の住居などの特定の環境では、これらの要素を維持することは、より困難である。非実用的な量の供給を輸送せずに生命を維持するために、空気及び水を濾過して再利用するプロセスが必要となる。例えば、相分離器を使用して、空気から水粒子を分離し、空気及び水の両方を再利用することができる。浄化システムの別の例として、アミン層が挙げられ、アミン層を使用して、空気から二酸化炭素が捕捉され、これにより空気の再循環が可能となる。生存環境を維持するための別の重要な態様として、廃棄物の圧縮及び管理が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、冒頭で述べた種類の再生可能有機汚染物質コントローラおよびその組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、再生可能有機汚染物質コントローラは、炭素中空繊維モジュールを含み、炭素中空繊維モジュールは、入口と、入口とは反対側の炭素中空繊維モジュールの端部にある出口との間に通路を含み、これにより、通路を流れる汚染空気内の有機汚染物質は、炭素中空繊維モジュールの細孔内へ脱着される。再生可能有機汚染物質コントローラはまた、炭素中空繊維モジュールの入口及び炭素中空繊維モジュールの出口に接続されたワイヤを含み、ワイヤは、ワイヤを通る電気の流れに基づいて、炭素中空繊維モジュールを加熱する。加熱により、炭素中空繊維モジュールの細孔から有機汚染物質が放出される。
【0005】
付加的または代替的に、再生可能有機汚染物質コントローラはまた、複数の炭素中空繊維モジュールを収容する筐体を含む。
【0006】
付加的または代替的に、再生可能有機汚染物質コントローラはまた、筐体内の複数の炭素中空繊維モジュールの入口を塞ぐ第1のヘッダを含む。
【0007】
付加的または代替的に、再生可能有機汚染物質コントローラはまた、筐体内の複数の炭素中空繊維モジュールの出口を塞ぐ第2のヘッダを含む。
【0008】
付加的または代替的に、ワイヤのうちの1つのワイヤは、第1のヘッダを介して炭素中空繊維モジュールの入口に接続され、ワイヤのうちの別のワイヤは、第2のヘッダを介して炭素中空繊維モジュールの出口に接続される。
【0009】
付加的または代替的に、ワイヤは電流源に接続される。
【0010】
付加的または代替的に、再生可能有機汚染物質コントローラはまた、炭素中空繊維モジュールの入口に接続された窒素源を含み、窒素源は、炭素中空繊維モジュールの通路に窒素を流して、炭素中空繊維モジュールの細孔から放出された有機汚染物質を一掃する。
【0011】
付加的または代替的に、再生可能有機汚染物質コントローラはまた、炭素中空繊維モジュールの出口に接続されたバキュームを含み、バキュームは、炭素中空繊維モジュールの細孔から放出された有機汚染物質を通路から引き出す。
【0012】
別の実施形態では、再生可能有機汚染物質コントローラを組み立てる方法は、炭素中空繊維モジュールを得ることを含み、炭素中空繊維モジュールは、入口と、入口とは反対側の炭素中空繊維モジュールの端部にある出口との間に通路を含み、これにより、通路を流れる汚染空気内の有機汚染物質は、炭素中空繊維モジュールの細孔内へ脱着される。方法はまた、ワイヤを通る電気の流れに基づいて炭素中空繊維モジュールを加熱するために、炭素中空繊維モジュールの入口及び炭素中空繊維モジュールの出口にワイヤを接続することを含む。加熱により、炭素中空繊維モジュールの細孔から有機汚染物質が放出される。
【0013】
付加的または代替的に、方法はまた、複数の炭素中空繊維モジュールを収容する筐体を配置することを含む。
【0014】
付加的または代替的に、方法はまた、筐体内の複数の炭素中空繊維モジュールの入口を、第1のヘッダで塞ぐことを含む。
【0015】
付加的または代替的に、方法はまた、筐体内の複数の炭素中空繊維モジュールの出口を、第2のヘッダで塞ぐことを含む。
【0016】
付加的または代替的に、方法はまた、ワイヤのうちの1つのワイヤを、第1のヘッダを介して炭素中空繊維モジュールの入口に接続することと、ワイヤのうちの別のワイヤを、第2のヘッダを介して炭素中空繊維モジュールの出口に接続することとを含む。
【0017】
付加的または代替的に、方法はまた、ワイヤを電流源に接続することを含む。
【0018】
付加的または代替的に、方法はまた、窒素源を炭素中空繊維モジュールの入口に接続して、炭素中空繊維モジュールの通路に窒素を流し、炭素中空繊維モジュールの細孔から放出された有機汚染物質を一掃することを含む。
【0019】
付加的または代替的に、方法はまた、炭素中空繊維モジュールの出口にバキュームを接続して、炭素中空繊維モジュールの細孔から放出された有機汚染物質を通路から引き出すことを含む。
【0020】
下記の説明は、決して限定と見なされるべきではない。添付図面に関して、同様の要素には同様の番号が付される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】1つ以上の実施形態による、再生可能有機汚染物質コントローラの一部である例示的な炭素中空繊維モジュールを示す。
図2】1つ以上の実施形態による、再生中の再生可能有機汚染物質コントローラの態様を示す。
図3】1つ以上の実施形態による、再生可能有機汚染物質コントローラを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
開示される装置及び方法の1つ以上の実施形態の詳細説明は、限定ではなく例示として、図を参照しながら本明細書に提示される。
【0023】
本明細書で詳述されるシステム及び方法の実施形態は、宇宙で使用する再生可能有機汚染物質コントローラに関する。前述のように、廃棄物の圧縮は、生存環境を維持する重要な態様である。通常、大量の有機化合物が生成され、加熱及び圧縮後に除去されなければならない。粒状活性炭は、有機化合物に対する効果的な吸着剤である。しかし、炭素粉末を使用する従来の手法では、吸着剤は、完全に吸着した後に置き換えられている。長期間のミッションで著しい体積及び対応する質量の消耗用炭素吸着剤を輸送することは、実行不可能である。詳述されるように、1つ以上の実施形態は、高温で再生可能な中空炭素繊維モジュールに関する。
【0024】
図1は、1つ以上の実施形態による、再生可能有機汚染物質コントローラ100の一部である例示的な炭素中空繊維モジュール110を示す。例示的な炭素中空繊維モジュール110は、円形の断面形状を有するパイプとして図示される。代替的な実施形態では、炭素中空繊維モジュール110の断面形状は限定されず、例えば正方形、楕円形、または八角形などであってもよい。炭素中空繊維モジュール110を構成する炭素中空繊維膜(CHFM)の形成は、既知であり、様々な特定のプロセスを介して実施され得る。様々なプロセスの詳細は、本明細書には含まれない。例として、特殊な装置(すなわち押出成形機)を通して溶融ポリマーを引き出して、中空円筒体が形成され、続いて円筒体を炭化して、炭素中空繊維モジュール110が形成される。よって、炭素中空繊維モジュール110は、図示されるように、中空の経路または通路120を含む。
【0025】
通路120は、炭素中空繊維モジュール110の入口130と、入口130とは反対側の炭素中空繊維モジュール110の端部にある出口140との間に存在する。示されるように、有機汚染物質を含む空気は、入口130を介して通路120に流入し得る。汚染物質を構成する有機化合物は、空気粒子から脱離し、炭素中空繊維モジュール110の細孔内へ吸収される。よって、有機汚染物質を含まない非汚染空気が、出口140を介して通路120から流出する。
【0026】
図2は、1つ以上の実施形態による、再生中の再生可能有機汚染物質コントローラ100の態様を示す。図示されるように、電流源210からのワイヤ205は、炭素中空繊維モジュール110の両側(すなわち入口130、出口140)に接続される。ワイヤ205に電流が流れると、炭素中空繊維モジュール110が加熱され(例えば摂氏200度を超えて)、これにより、構造の細孔から有機汚染物質が放出される。図2は、炭素中空繊維モジュール110の再生に使用され得る任意の追加要素を示す。
【0027】
炭素中空繊維モジュール110に窒素源220を接続して、窒素が入口130から出口140に流され得る。通路120を流れる窒素は、放出された有機化合物を出口140から一掃することができ、出口140は、例えば宇宙空間に露出され得る。代替的なオプションは、バキューム230を含み、バキューム230は、放出された有機化合物を、出口140を介して引き出し、例えば宇宙へ放出し得る。
【0028】
図3は、1つ以上の実施形態による、再生可能有機汚染物質コントローラ100を示す。任意の数の炭素中空繊維モジュール110が、筐体310内に一緒にまとめられ得る。図3に示されるように、炭素中空繊維モジュール110の集合の各端部(すなわち入口130、出口140)に、任意でヘッダ320が追加され得る。各ヘッダ320は、筐体310内の炭素中空繊維モジュール110の一端を塞ぎ(すなわち、炭素中空繊維モジュール110の入口130を有する筐体310の端部を1つのヘッダ320が塞ぎ、炭素中空繊維モジュール110の出口140を有する筐体の端部を1つのヘッダ320が塞ぎ)、炭素中空繊維モジュール110を一緒に保持し得る。図示されるように、電流源210が、ワイヤ205を介して、両端のヘッダ320に接続されている。ヘッダ320に電流を印加することで、ヘッダ320により一緒に保持される炭素中空繊維モジュールが加熱され、図2を参照して論述された再生プロセスが開始される。
【0029】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本開示を限定する意図はない。本明細書で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形も含むことが意図される。用語「備える/含む(comprises)」及び/または「備えている/含んでいる(comprising)」は、本明細書で使用される場合、述べられる特徴、構成要素、ステップ、動作、要素、及び/または成分の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、構成要素、ステップ、動作、要素、成分、及び/またはこれらのグループの存在もしくは追加を除外しないことが、さらに理解されよう。
【0030】
本開示は1つ以上の例示的な実施形態を参照して説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更が加えられてもよく、本開示の要素は均等物で置き換えられてもよいことが、当業者には理解されよう。さらに、特定の状況または材料を本開示の教示に適応させるために、本開示の本質的範囲から逸脱することなく、多くの修正が加えられてもよい。よって、本開示は、本開示を実行するために想到される最適の形態として開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、本開示は、特許請求の範囲に入るすべての実施形態を含むことが意図される。
図1
図2
図3