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特開2023-122633開ループの少なくとも1つの鎖を有する可動部を含む化粧品用塗布具
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  • 特開-開ループの少なくとも1つの鎖を有する可動部を含む化粧品用塗布具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122633
(43)【公開日】2023-09-04
(54)【発明の名称】開ループの少なくとも1つの鎖を有する可動部を含む化粧品用塗布具
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20230828BHJP
【FI】
A45D34/04 510A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023024875
(22)【出願日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】2201610
(32)【優先日】2022-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】506273087
【氏名又は名称】シャネル パルファン ボーテ
【氏名又は名称原語表記】CHANEL PARFUMS BEAUTE
【住所又は居所原語表記】135,avenue Charles de Gaulle,F-92200 Neuilly sur Seine,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・カステクス
(72)【発明者】
【氏名】マリー・ラムロー
(72)【発明者】
【氏名】カロル・シャプラ
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ・ボナデイ
(57)【要約】
【課題】本発明は、長手方向に細長い一般的な形状を有し、固定部と、固定部に対して移動可能な部分とを含む化粧品用塗布具に関する。
【解決手段】可動部は、突出部(7)と、一連の開ループ(9)を形成するストランドを含む少なくとも1つの鎖(8)とを備え、前記鎖は、塗布具の長手方向軸線(A)に略平行に延在する。固定部は、少なくとも2つのリンク(6)を備え、各鎖(8)上の前記開ループ(9)のうちの少なくとも2つは、固定部のリンク(6)によって通される。したがって、可動部の各鎖(8)は、固定部に少なくとも1つの自由度で締結され、長手方向における固定部に対する鎖の相対的な移動を可能にする。これは、例え塗布具が剛性材料で構成されていても、製品の塗布の品質を改善し、塗布具に柔軟性の感覚を与える。塗布具は、本発明の別の態様による積層造形によって得られてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い一般的な形状を有し、長手方向を画定する長手方向軸線(A)に沿って延在する化粧品用塗布具であって、
塗布具(1)は、把持部に強固に接続されるように構成された、又は前記把持部と単一のユニットとして形成された固定部を備え、
塗布具は、固定部に対して可動である可動部を備え、可動部は突出部(7)を備え、
可動部は、一連の開ループ(9)を形成するストランド(91)を具備する少なくとも1つの鎖(8)を備え、前記鎖は、長手方向軸線(A)に略平行に延在し、
固定部は、少なくとも2つのリンク(6)を備え、
各鎖(8)上の前記開ループ(9)のうちの少なくとも2つは、固定部のリンク(6)によって通され、
それによって可動部の各鎖(8)は固定部に少なくとも1つの自由度で締結され、固定部に対する鎖の長手方向の相対的な移動を可能にする、
ことを特徴とする、塗布具。
【請求項2】
可動部の各鎖(8)は、開ループ(9)の第1の列(93)及び開ループ(9)の第2の列(94)を形成し、開ループ(9)の第1の列(93)は、長手方向軸線(A)に平行な第1の平面(P1)に形成され、開ループ(9)の第2の列(94)は、前記第1の平面(P1)とは異なる、長手方向軸線(A)に平行な第2の平面(P2)に形成される、請求項1に記載の塗布具。
【請求項3】
可動部の鎖(8)の数は2つである、請求項2に記載の塗布具。
【請求項4】
固定部は、長手方向軸線(A)に沿って延びる中央コア(5)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項5】
中央コア(5)は、第1の端部(10)及び第2の端部(11)を備え、第1の端部(10)及び第2の端部(11)の各々は少なくとも1つのリンク(6)を支持する、請求項4に記載の塗布具。
【請求項6】
中央コア(5)は、中央コア(5)の全長にわたって延びるリンク(6)の少なくとも1つの列(61…64)を長手方向に担持し、可動部の各鎖(8)の各ループ(9)は2つのリンク(6)によって通されるように構成される、請求項5に記載の塗布具。
【請求項7】
固定部の少なくとも1つの長手方向部分は、可動部の開ループ(9)の少なくともいくつかと織り混ざる開リンク(6)の鎖をそれぞれ形成する1つ以上のストランドを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項8】
可動部の鎖と固定部の鎖とが同じ構成を有する、請求項7に記載の塗布具。
【請求項9】
可動部は突出部(7)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項10】
突出部(7)は、長手方向軸線(A)に対して略垂直に方向付けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項11】
固定部の突出部(7)のサイズ及び/又は形状は、可動部の突出部(7)のサイズ及び/又は形状と異なる、請求項9又は10に記載の塗布具。
【請求項12】
各突出部(7)は、略円筒形又は角柱形であり、0.2mm~0.5mmの間、例えば0.24mm~0.40mmの間に含まれる長さを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項13】
各突出部(7)は、長手方向軸線(A)から離れた自由端を備え、前記塗布具(1)は、突出部(7)の自由端によって画定された外側エンベロープ内に内接しており、前記エンベロープは、略円筒形であり、6mm~10mm、例えば7mm~9mm、例えば8mmからなる直径である、請求項1~12のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項14】
固定部及び/又は可動部は、ポリアミド、例えばポリアミド11、又はポリプロピレンから製造される、請求項1~13のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の塗布具を製造する方法であって、前記方法は、プラスチック材料の粉末床溶融結合のステップを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品用塗布具の分野に関する。本発明は、特に、まつ毛又は眉毛などの毛にマスカラなどの化粧品を塗布するように構成された塗布具に関する。このような化粧品用の塗布具は、本明細書では「マスカラ塗布具」又は単に「塗布具」という表現によって指定される。
【背景技術】
【0002】
そのような塗布具は、一般に、マスカラのアイテムの構成部分である。マスカラのアイテムは、従来、ケースと、マスカラリザーバと、塗布具ブラシとを備える。塗布具ブラシは、把持するための部分と、一般にブラシの形態をとる塗布具本体とを備える。
【0003】
塗布具ブラシは、既知の方法で、マスカラが適用されていないときにリザーバを閉じるように構成されたキャップ又はプラグを備えるか、又は形成してもよい。キャップは、ブラシ塗布具の把持部を形成してもよい。
【0004】
従来、いくつかのタイプの塗布具、「ボトルブラシ」タイプの塗布具、射出成形された塗布具、及び積層造形によって製造された塗布具が存在する(「付加製造」と呼ばれることもある)。積層造形は、材料の付加又は凝集による製造プロセスを示す。
【0005】
ボトルブラシタイプの塗布具は、塗布具のコアを形成する捩じられた金属ワイヤに閉じ込められた繊維によって形成された剛毛を有するブラシを備える。射出成形塗布具は、一般に一体で形成され、例えば一般に突出部と呼ばれるプラスチック材料の剛毛又は歯を備える。積層造形によって得られる塗布具は、一般に単一片でもあり、例えばレーザによる粉末溶融を実施するプロセスを介して、例えば熱可塑性ポリマーの粉末から形成されてもよい。
【0006】
既知のマスカラ塗布具の形態及び実施形態にかかわらず、製品の適用原理は、リザーバに収容された化粧品(マスカラ付き)を塗布具に載せることと、前記リザーバから塗布具を引き出すことであって、塗布具の突出部には製品が載せられていることと、ユーザのまつ毛又は眉毛に塗布を実行することとからなる。
【0007】
簡単にするために、アイテム及び/又は塗布具が男性ユーザによって使用されてもよいことを排除することなく、ユーザは文書の残りの部分において女性と見なされる。
【0008】
簡単にするために、以下の本明細書ではまつ毛のみを参照するが、製品の使用及びユーザの眉毛への塗布具の使用は除外されない。
【0009】
既知のブラシは、ボトルブラシタイプであるか、射出されたプラスチック材料であるか、又は積層合成によって得られるかにかかわらず、良好な化粧結果を提供することができる。それにもかかわらず、製品塗布結果及びユーザの使用の快適性の改善が依然として求められている。したがって、まつ毛の良好な分離、まつ毛のエクステンション及び/又はカールの良好な効果をもたらす、化粧品を保持するための良好な能力を有する塗布具を設計することが望ましい。同様に、塗布具を、可能な限り最良の塗布品質、特に最良の規則性を簡単な操作で提供するように構成することが求められている。
【0010】
文献である国際公開第2021/058211号は、突出部を支持する可動部を含む空洞を形成する長手方向コアを備える化粧品用塗布具を提示している。そのような塗布具は、まつ毛への製品の適用を改善する。しかしながら、この塗布具は、配置方向だけでなく、「ジグザグ」運動と呼ばれるわずかな横の往復運動でもまつ毛を梳くプロのメイクアップアーティストによって得られるものと同様の結果を得ることができない。小さな可動ブロックの存在は、考慮されるゾーンの全ての突出部が一緒に移動可能なゾーンを作り出し、その結果、それらのゾーン内の突出部間の距離の適合がない。更なる、異なる可動部の動きに一貫性がない。これは、特に化粧品の凝集を伴う不完全な塗布をもたらし得る。更なる、この塗布具は、製造が特に複雑であり、その構成のために、塗布具が可動部品の存在の利点を急速に失うように、それが具備する空洞は化粧品によって急速に詰まる傾向がある。更なる、その文献で提案されている塗布具は、製品の適用時にそれを剛性にし、そのように知覚させる幾何学的形状を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2021/058211号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、化粧品用の塗布具、特にマスカラ塗布具を提供することに関し、上記の態様の少なくとも1つに関して既存の塗布具を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、細長い一般的な形状を有し、長手方向を画定する長手方向軸線に沿って延びる化粧品用塗布具に関する。塗布具は、把持部にしっかりと接続されるように構成された、又は前記把持部と単一のユニットとして形成された固定部と、固定部に対して移動可能な部分とを備える。可動部は突出部を備える。可動部は、一連の開ループを形成するストランドを具備する少なくとも1つの鎖を備え、前記鎖は、長手方向軸線に実質的に平行に延在する。固定部は、少なくとも2つのリンクを備え、各鎖上の前記開ループのうちの少なくとも2つは、固定部のリンクによって通される。したがって、可動部の各鎖は、固定部に少なくとも1つの自由度で締結され、長手方向における固定部に対する鎖の相対的な移動を可能にする。
【0014】
可動部の移動の自由度は、化粧品の塗布をより快適にする。実際のところ、塗布具が比較的硬質のプラスチック材料から形成されていても、特に、塗布具が積層造形によって形成されている場合、塗布具の一部の可動性は、ユーザのまつ毛の位置に部分的に適合することによって、塗布具が担持する突出部がまつ毛の生え際に優しく入り込むことを可能にする。
【0015】
更なる、本発明による塗布具を用いた化粧品、特にマスカラの塗布は、本発明のいくつかの構成では、2つの段階で行われることが分かった。第1に、製品が載せられた突出部間の隙間は、まつ毛と接触して製品が離れる。これにより、可動部が解放され(可動部の動きは、塗布具によって担持される製品によって最初は制限される)、可動部に突出部がない同様の構成の塗布具よりも効果的にまつ毛を梳くことが可能になる。特に、可動部の長手方向の移動により、まつ毛をその配置方向だけでなく、わずかな横方向の往復動作で梳く専門家と同様のメイクアップの効果を得ることができる。マスカラの場合、これはそのカール、エクステンション、及びボリューム生成効果を改善する。
【0016】
開ループ鎖形態の可動部の構成は、可動部の高い可動性及び可撓性の増加をもたらし、これにより上述の利点が増加する。
【0017】
一般的に言えば、可動部の存在は、突出部の密度を局所的に変更することを可能にし、これは、塗布時のユーザの動きに従って、その塗布の結果を調整することを可能にする。したがって、本発明に従って提供される塗布具は、異なるブラシの効果を生み出すことを潜在的に可能にする。
【0018】
ある実施形態によると、可動部の各鎖は、開ループの第1の列及び開ループの第2の列を形成し、開ループの第1の列は、長手方向軸線に平行な第1の平面に形成され、開ループの第2の列は、前記第1の平面とは異なる、長手方向軸線に平行な第2の平面に形成される。
【0019】
可動部の鎖の数は2つであってもよい。
【0020】
このような構成によれば、2つの可動鎖のみで全ての半径方向に可動突出部を得てもよい。
【0021】
固定部は、長手方向軸線に沿って延びる中央コアを備えてもよい。
【0022】
特に真っ直ぐであってもよい中央コアは、塗布具に一定の横方向剛性を与える。これは、可動部のための支持構造及び長手方向ガイドとして有利に機能する。必要に応じて、それは、長手方向軸線を中心とした可動部の、鎖の枢動のためのガイドとしても機能する。
【0023】
中央コアは、第1の端部及び第2の端部を備えてもよく、第1の端部及び第2の端部はそれぞれ少なくとも1つのリンクを支持してもよい。
【0024】
したがって、固定部と可動部の鎖との間の接続は、コアの2つの端部に限定されてもよい。これにより、可動部の鎖は、それらの2つの接続点の間で、ある程度長手方向に移動可能であるだけでなく、湾曲したり変形したりすることができる。したがって、ユーザが経験する塗布具の柔軟性及びアプリケーションの快適性が向上する。
【0025】
中央コアは、中央コアの全長にわたって延びるリンクの少なくとも1つの列を長手方向に担持してもよく、可動部の各鎖の各ループは2つのリンクによって通されるように構成される。
【0026】
そのような構成では、可動部は、中央コアの全長にわたって、又は例えば塗布具の全長にわたって、いくらかの自由度で接続してもよい。これにより、可動部の案内が向上する。
【0027】
塗布具の固定部の少なくとも1つの長手方向部分は、可動部の開ループの少なくともいくつかと組み合わされる開リンクの鎖をそれぞれ形成する1つ以上のストランドを備えてもよい。
【0028】
可動部の鎖と固定部の鎖とが同じ構成を有してもよい。
【0029】
開リンクのストランドによって部分的に構成された固定部は、特に横方向に高い可撓性を有する。特定の幾何学的構成によって提供されるこの可撓性は、例えば、塗布具を形成するために使用される材料の固有の剛性を補償することを可能にし得る。
【0030】
塗布具の固定部は、突出部を担持してもよい。可動部だけでなく、必要に応じて固定部の突出部も、長手方向軸に対して略垂直に方向付けられてもよい。固定部の突出部は、可動部の突出部とサイズ及び/又は形状が異なっていてもよい。
【0031】
各突出部は、例えば、略円筒形又は角柱形としてもよく、例えば0.2mm~0.5mmの間、例えば0.24mm~0.40mmの間に含まれる長さを有してもよい。
【0032】
したがって、塗布具の各部分の突出部は、化粧品の塗布に対して異なる効果を有し得る。例えば、長い突出部と短い突出部との間で交互になることは、塗布具の製品保持能力を増加させ、製品の塗布時にまつ毛を分離する能力を増加させ得る。長い突出部は、まつ毛を梳くためのより良好な能力を有する。突出部の一般的な形状は、それらの特性を調整することを可能にする。例えば、突出部は、固定断面(次いで、角柱形又は円筒形)又は可変断面の細長い形状を有してもよい。
【0033】
各突出部は、長手方向軸線から離れた自由端を備えてもよく、前記塗布具は、突出部の自由端によって画定された外側エンベロープ内に内接しており、前記エンベロープは、実質的に円筒形であり、6mm~10mm、例えば7mm~9mm、例えば8mmからなる直径であってもよい。
【0034】
塗布具の、このような外側幾何学的エンベロープは、化粧品の塗布に効果的であり、使用するのを快適にする。
【0035】
塗布具の固定部は、ポリアミド、例えばポリアミド11、又はポリプロピレンから製造されてもよい。
【0036】
塗布具の可動部は、ポリアミド、例えばポリアミド11、又はポリプロピレンから製造されてもよい。
【0037】
したがって、塗布具は、単一の材料又は2つの異なる材料によって構成されてもよい。塗布具の積層造形方法に使用するのに適したプラスチック材料が好ましい。実際のところ、塗布具は、有利には、可動部の可動性に関連する複雑な形態、特にそれが含む開ループ形態を得ることを可能にする積層造形法(又は「3D印刷」)を使用して製造される。
【0038】
本発明はまた、上記のような塗布具を製造するための方法に関し、前記方法は、プラスチック材料の粉末床溶融結合のステップを備える。
【0039】
本発明の更に他の特徴及び利点は、以下の説明に現れる。
【0040】
添付の図面では、非限定的な例として与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の一実施形態による塗布具を3次元の概略図で示す。
図2図1の塗布具で使用される鎖の概念図である。
図3図1の実施形態による化粧品塗布具を用いて得られてもよい突出部の分布の一例を概念図で示す。
図4】本発明の別の実施形態による塗布具を3次元の概略図で示す。
図5】本発明の別の実施形態による塗布具を3次元の概略図で示す。
図6】本発明の別の実施形態による塗布具を3次元の概略図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1の塗布具は、細長の形態であり、塗布具の主軸線を形成する長手方向軸線Aに沿って延在する。したがって、図1の塗布具1は、塗布具ブラシを形成するために把持部に接続されるように構成された第1の端部2と、自由な第2の端部3との間に形成される。特に、第1の端部は、把持部に接続されるように構成された接合部材4の先端に形成される。図示されていない本発明のある実施形態によれば、把持部は、実際の塗布具と共に単一のユニットとして形成されてもよい。
【0043】
図1の塗布具1は、中央コア5(「中央本体」とも呼ばれ得る)を備える。中央コア5は、この実施形態では、接合部材5と塗布具の第2の端部3との間に延びる直線部材である。中央コア5は、有利には円筒形ロッドの形態を有する。リンク6がコア上に形成される。リンク6は、リンクの1つ以上の列に整列される。本明細書に示す例示的な実施形態では、塗布具1は、4列のリンク、すなわち第1の列61、第2の列62、第3の列63、及び第4の列64を備える。この例では、リンクの列は、互いに90°に配向され、長手方向軸線Aと交差する平面内で対になって形成される。言い換えれば、列61、62、63、64は、長手方向軸線Aの周りに規則的に分布している。リンク6は、有利には(必ずしもそうではないが)突出部7を備える。以下、突出部7についてより詳細に説明する。
【0044】
中央コア及びそれに関連するリンク6は、塗布具1の固定部と呼ばれる部分を形成する。
【0045】
塗布具1は、可動部を更に備える。可動部は、一連の開ループ9を形成するストランドによって構成された、少なくとも1つの鎖8によって形成される。
【0046】
本実施形態では、塗布具1は、2つの鎖、すなわち第1の鎖81及び第2の鎖82を備える。
【0047】
本発明の文脈で使用され得る鎖形状の例を図2に示す。鎖8によって担持される突出部7は、鎖8の一般的な構成をよりよく理解するために、図2では省略されている。
【0048】
したがって、鎖8は、ループ9を形成する一連の曲線及びセグメントを具備するストランド91を備える。ループ9は開いている、すなわち、各ループの周囲は閉じられておらず、開口部92を提供する。鎖8は、開ループの2つの列93、94から形成され、第1の列93及び第2の列94は、互いに直角である平面P1、P2内に実質的に形成されている。
【0049】
図1の例示的な実施形態では、各列の各ループ9は、塗布具のリンクの同じ列の2つの連続するリンク6を通過する。したがって、鎖8は、塗布具の固定部に一定の移動の自由度で接続される。特に、本発明によれば、鎖8は、固定部に対して少なくとも長手方向に(すなわち、長手方向軸線Aに平行に)移動することができる。中央コア5に沿ったリンク6、及び同じ寸法のループ9の規則的な分布により、この長手方向移動の最大値は、2つのリンクの厚さを含む、2つの連続するリンク間の距離未満の長手方向におけるループ9の内側寸法に一致する。
【0050】
図示の例示的な実施形態では、ループ9及びリンク6の組合せによって得られる、各鎖の固定部への「浮動」取付けのために、各鎖の他の方向への特定の移動も可能である。この移動の自由度は、塗布具のより大きい明らかな柔軟性を与える、すなわち、ユーザは、剛性材料で構成されていても、柔軟な塗布具を使用する感覚を有する。
【0051】
ここでは2つの鎖8によって構成された可動部は、突出部7を担持する。突出部7は、有利には、長手方向軸線Aに略垂直な向き、好ましくは半径方向、すなわち長手方向軸線Aに垂直に、交差する方向の向きを有する。
【0052】
あるいは、突出部は、例えば塗布の動きに追従し、及び/又は化粧品の保持を促進するために、異なる配置角度を有してもよい。
【0053】
突出部7は、可動部の鎖8によって構成されるか、又は固定部、特にリンク6によって構成されるかにかかわらず、様々な形状を有してもよい。突出部7は、いくつかの機能、特に化粧品を保持する機能、その製品をまつ毛に塗布する機能、まつ毛を分離する機能、及びコーミング機能を果たす。突出部の構成は、それらが協働してそれらの機能を果たすために最適化される。したがって、全ての突出部は、同じ構成を有してもよく、又は異なる構成を有してもよい。ここに示されている例では、突出部は小さい直径の直円筒形である。それらは剛性剛毛のようである。正方形、長方形、楕円形などの断面を有する角柱形突出部が当然想定されてもよい。同様に、円錐形、円錐台形、角錐形、又は任意の他の不均一な部分の突出部が想定されてもよい。
【0054】
突出部71の第1のグループは、可動部の鎖によって担持される。突出部72の第2のグループは、固定部のリンクによって担持される。最後に、第3のグループの突出部が中央コア5によって担持される。
【0055】
これらの3つのグループの突出部は、同一の断面を有するが、異なる長さを有し、それにより、塗布具を略円筒形の外側の一般的なエンベロープ内に内接させるために、それらの自由端が長手方向軸線Aから実質的に同じ距離にあるようになっている(短くてもよい中央コア5の端部付近の突出部を除く可能性がある)。突出部が異なる長さを有するという事実は、それらの可撓性に影響を及ぼすことを可能にし、より長い突出部は、より短い突出部よりも可撓性がある(それは、その端部に加えられる同じ力の影響下で曲がる)。
【0056】
したがって、塗布具は、6mm~10mmの間に含まれる直径を有するシリンダ内に内接させることができる。7mm~9.5mmの外側エンベロープ内に内接された塗布具が想定されてもよい。塗布の有効性及び快適性の観点から、最適値は8mm又は約8mmである。
【0057】
本発明の様々な実施形態、及び使用され得る突出部の様々な構成によれば、突出部の長さ(それらの主延在方向に沿って、典型的には長手方向軸線Aに対して半径方向に測定された寸法)は、0.2mm~0.5mmの間、例えば0.24mm~0.40mmの間に含まれてもよい。
【0058】
図3は、概念図による、図1の塗布具の固定突出部の分布を示す。図3では、塗布具が内接する外側エンベロープは平坦に展開されている。固定突出部は円で表され(塗りつぶされていない)、可動突出部は黒丸で表されている。示された例示的な配置では、塗布具の掃引方向に、固定突出部及び可動突出部の整列の連続が形成されている。したがって、まつ毛は、まつ毛を分離する固定突出部と、可動突出部とによって連続的に梳かれ、可動突出部は、それら自体をまつ毛及びユーザの動きに適合させることによって横方向(塗布具の長手方向)のコーミング効果を与え、化粧品の塗布を改善する(例えば、まつ毛のエクステンション又はそのボリュームを改善する)。
【0059】
図4は、本発明による塗布具の第2の実施形態を示す図である。この実施形態は、塗布具の固定部とその可動部との間の接続を提供するリンク6の構成を除いて、図1のものと同様である。したがって、以下に詳述する相違点を除いて、図1の実施形態の説明を参照してもよい。
【0060】
したがって、図4の塗布具は、可動部の鎖8が、中央コア5の位置、すなわち、図示の例では把持部、したがって接合部材4との界面の近傍に位置するコアの近位端10の位置、及び塗布具の第2の端部3に対応する遠位端11の位置でのみ固定部に固定されるという点で、図1の塗布具とは異なる。したがって、コアの各端部において、鎖8のループの列の各々に対して単一のリンク6が設けられる。したがって、図示の例では、各鎖の各列の最端ループのみが固定部に接続されている。このために、中央コアは、中央コア5の周りに規則的に分布された各端部に4つのリンクを備え、その長手方向の配置は、考慮されるリンクがループ9の列の第1のループ9全体を通過するように構成される。これにより、化粧品をユーザのまつ毛に塗布する際に、可動部の鎖が変形し、わずかに湾曲することが可能になる。この可撓性は、特に比較的剛性の材料が使用される場合に、塗布の快適性を向上させる。これは、一般に、積層造形プロセスで使用可能なプラスチック材料に当てはまる。
【0061】
図5は、本発明による塗布具の第3の実施形態を示す図である。この実施形態は、塗布具の固定部の構成を除いて、図1及び図4のものと部分的に同様である。したがって、以下に詳述する相違点を除いて、図1の実施形態の説明を参照してもよい。
【0062】
したがって、図5の塗布具は、中央コアを含まない点で図1の塗布具とは異なる。したがって、塗布具の固定部は、それぞれが開リンク6の鎖を形成する1つ以上のストランド(この場合、図示の例では2つのストランド)から形成される。
【0063】
リンクの鎖は、接合部材4に接続され、更なる塗布具1の第2の端部3に接続される。
【0064】
ここで、リンクの鎖は、塗布具の可動部のループ9の鎖8と同じ幾何学的形状を有する。したがって、リンクの鎖は、実質的に直交する平面内に設けられた2列のリンクを有する。
【0065】
リンクの鎖の開リンクは、可動部の開ループと組み合わされる。
【0066】
コアの欠如及び固定部の構成(閉鎖リンクよりも容易に変形する能力を有する開リンク)は、塗布具の全体に高い柔軟性を与える。特に、固定部及び可動部は両方とも変形及び湾曲することができる。可動部は、更に、長手方向だけでなく他の方向にも特に自由に動くことができ、使用時の塗布具の柔軟性及び適応性の感覚を高める。
【0067】
図6は、図1の構成と図5の構成との中間の構成として説明され得る実施形態における塗布具を表す。したがって、図6の化粧品用塗布具は、塗布具の長さの一部にわたってのみ延在する中央コア5を備える。リンク6は、中央コア5の全長にわたって形成される。リンクの各列は、コアの遠位端11を越えて、塗布具の第2の端部3まで延在するリンクの鎖によって連続している。
【0068】
したがって、2つの長手方向部分、すなわち第1の長手方向部分12及び第2の長手方向部分13を有する塗布具1を形成することが可能であり、第1の長手方向部分12は、第2の長手方向部分13よりも大きい剛性、特に曲げに対するより大きい抵抗を有する。例えば、第1の長手方向部分12は、まつ毛への化粧品の塗布の塗布具の主要部分を形成することができ、第2の長手方向部分13は、タッチアップブラシを形成することができ、又は特定の局所効果(エクステンション、カールなど)を得ることを可能にすることができる。
【0069】
それらの複雑な構成のために、上述の塗布具は、積層造形技術によって有利に(特定の実施形態では、又は必然的に)製造される。粉末床溶融結合による積層造形は、本発明による塗布具を形成するための好ましい技術である。
【0070】
塗布具は、有利にはプラスチックから形成される。ある実施形態では、塗布具は単一の材料から形成される。他の実施形態では、固定部及び可動部は、2つの異なる材料から形成される。
【0071】
固定部及び/又は可動部を形成するために、ポリアミド、好ましくは脂肪族ポリアミド、例えばポリアミド11が使用されてもよい。固定部及び/又は可動部を形成するために、ポリプロピレンが使用されてもよい。
【0072】
このようにして開発された本発明は、簡単な操作で高品質の塗布を可能にする化粧品用塗布具、特にマスカラ塗布具を提供する。使用の快適性、特に塗布具の柔軟性の感覚は、硬質材料、例えば積層造形プロセスに適合する硬質プラスチックの使用の可能性にもかかわらず維持される。
【符号の説明】
【0073】
1 塗布具
2 端部
3 端部
4 接合部材
5 中央コア
6 リンク
7 突出部
8 鎖
9 ループ
10 近位端
11 遠位端
12 長手方向部分
12 第1の長手方向部分
13 第2の長手方向部分
61 列
62 列
63 列
64 列
71 突出部
72 突出部
81 鎖
82 鎖
91 ストランド
92 開口部
93 第1の列
94 第2の列
A 長手方向軸線
P1 平面
P2 平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】