(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122641
(43)【公開日】2023-09-04
(54)【発明の名称】カプセル切断装置およびカプセル切断方法
(51)【国際特許分類】
B26D 7/02 20060101AFI20230828BHJP
B26D 1/02 20060101ALI20230828BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20230828BHJP
B26D 3/08 20060101ALI20230828BHJP
B26F 1/18 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
B26D7/02 Z
B26D1/02 C
B26D7/06 Z
B26D3/08 Z
B26F1/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023025868
(22)【出願日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】102022000003392
(32)【優先日】2022-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】507015435
【氏名又は名称】サクミ コオペラティヴァ メッカニチ イモラ ソシエタ コオペラティヴァ
【住所又は居所原語表記】Via Selice Provinciale,17/A,I-40026 IMOLA(Bologna),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッラ,ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ダッローリオ,リッカルド
【テーマコード(参考)】
3C021
3C060
【Fターム(参考)】
3C021CC05
3C060AA04
3C060BA03
3C060BB08
3C060BC16
3C060BC22
3C060BG16
3C060BG17
3C060BG18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】容器を密封するためのカプセルに切り込みを入れるための装置および方法に関する。
【解決手段】カプセル5が切断器具8に送られる間、カプセルはロック部材7とこのロック部材の反対側のベース6との間に保持される。ロック部材の回転軸の周りには環状のアバットメント9が配置されている。アバットメントは、カプセルが切断される前の、カプセルにおける挿入位置から、アバットメントがカプセルを切断器具に対して押し付ける当接位置へと移動する。アバットメントは回転軸周りを回転可能であり、その回転軸は、アバットメントが当接位置にあるとき、ロック部材の回転軸に対して位置がずれている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を密封するための閉じ部分と上記容器の首部を取り巻くスカート部分とを各々(5)が備えたカプセル(5)を切断するための装置であって、
カルーセル軸の周りを回転可能なカルーセル(2)と、
前記カルーセル(2)によって運ばれる2以上の搬送ユニット(4)と、
切断器具(8)と
を備え、
各搬送ユニット(4)は、前記カルーセル(2)の回転によって形成される経路に沿ってカプセル(5)を搬送するように構成されており、各搬送ユニット(4)は、ベース(6)と、前記ベース(6)の上方に配置されたロック部材(7)とを備え、前記ベース(6)は、下軸の周りを回転可能であって、前記閉じ部分を前記ベース(6)の方に向けた状態でカプセル(5)を受けるように構成されており、前記ロック部材(7)は、前記下軸と同軸の上軸の周りに回転可能であって、カプセル(5)の閉じ部分が前記ロック部材(7)と前記ベース(6)との間に保持されるように、前記カプセル(5)のスカート部分の中に挿入されるように構成されており、
前記切断器具(8)は前記経路に沿って配置されて、それぞれの搬送ユニット(4)によって搬送されると共に該切断器具(8)上を転がる前記カプセル(5)のスカート部分を切断するようになっており、
さらに、各搬送ユニット(4)ごとに、前記カルーセル(2)によって運ばれると共にそれぞれのロック部材(7)の上軸の周りに配置されたアバットメント(9)を備え、
前記アバットメント(9)は、半径方向に移動可能であり、ここで半径方向とは前記カルーセル軸に関しての半径方向であり、前記アバットメント(9)は、カプセルが前記切断器具(8)上を転がってスカート部分が切断される間アバットメント(9)がカプセル(5)のスカート部分を前記切断器具(8)に押し付ける当接位置と、前記スカート部分が切断される前にアバットメント(9)がカプセルのスカート部分の中に挿入される挿入位置とをとることが可能である、装置において、
各搬送ユニット(4)ごとに、それぞれのアバットメント(9)は、それぞれの上軸に対して前記半径方向に移動可能なそれぞれのアバットメント軸の周りを回転可能であり、前記アバットメント軸は、アバットメント(9)が前記当接位置にあるとき、前記上軸に対してオフセットしていることを特徴とする装置。
【請求項2】
各搬送ユニット(4)ごとに、前記アバットメント(9)はそれぞれのアバットメント軸の周りを空転可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
伝達手段(10)を備え、各搬送ユニット(4)ごとに、前記伝達手段(10)は、前記上軸周りの前記ロック部材(7)の回転が、前記アバットメント軸周りのそれぞれのアバットメント(9)の回転を引き起こすように構成されており、前記伝達手段(10)は、特に、ミスアライメントジョイントを含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
モータ手段(3)と、前記モータ手段(3)からの回転運動を各ロック部材(7)に伝達してそれぞれの上軸の周りを回転させるように構成された運動伝達システム(11)とを備え、前記運動伝達システム(11)は、特に、機械式トランスミッション、例えばギア手段および/または可撓性部材手段を備えたタイプの機械式トランスミッションを備え、前記モータ手段(3)は、前記カルーセル軸を回転させる他のモータ手段とは別個であり、かつ、それとは独立して運転可能である、請求項1~3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
前記カルーセル軸の周りの各アバットメント(9)の回転が、それぞれのアバットメント軸の周りのアバットメント(9)の回転を引き起こすように構成された運動伝達装置(12)を備え、前記運動伝達装置(12)は、特に、各アバットメント(9)について、それぞれの上軸、すなわちそれぞれのロック部材(7)の回転軸を含まない運動連鎖を備え、前記運動伝達装置(12)は、特に、機械式トランスミッション、例えばギア手段および/または可撓性部材手段を備えたタイプの機械式トランスミッションを備える、請求項1~3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
前記ロック部材(7)は、それぞれの上軸の周りを空転可能である、請求項1~3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
各搬送ユニット(4)ごとに、それぞれの上軸を駆動するように構成されたモータおよび/またはそれぞれのアバットメント軸を駆動するように構成されたモータを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記カルーセル(2)は、前記カルーセル軸の周りに回転可能なカルーセル本体(13)を備え、各搬送ユニット(4)は前記カルーセル本体(13)によって運ばれる支持体(14)を備え、前記支持体(14)には、それぞれのアバットメント(9)が回転可能に連結されている、請求項1~3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記カルーセル軸の周囲に環状に配置されたカムプロファイル(15)を備え、各搬送ユニット(4)のそれぞれの支持体(14)は、それぞれの上軸に対して前記半径方向に支持体(14)の動きを案内するために前記カムプロファイル(15)に結合された少なくとも1つのガイド端を備え、各支持体(14)は、摺動部(16)と環状部(17)とを備え、前記ガイド端は、前記摺動部(16)よりも半径方向内側にあり、前記摺動部(16)は、さらに、前記環状部(17)よりも半径方向内側にあり、ここで、半径方向とは前記カルーセル軸に関しての半径方向であり、前記摺動部(16)は摺動ガイド手段に沿って前記半径方向に摺動可能に前記カルーセル本体(13)に結合されており、前記環状部(17)は、前記摺動部(16)から突出する片持ちブラケットとして構成され、各アバットメント(9)の周りに環状に配置されて、該アバットメント(9)を回転可能に支持する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
各輸送ユニット(4)ごとに、それぞれのアバットメント(9)は、それぞれのアバットメント軸の周りでそれぞれの支持体(14)に回転可能に結合されると共に、アバットメント(9)の重量が、前記当接位置および前記挿入位置の両方において、それぞれのロック部材(7)にかかることなく、前記支持体(14)にかかるよう、アバットメント軸の方向にそれぞれの支持体(14)によって支持される、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
各搬送ユニット(4)ごとに、支持体(14)とアバットメント(9)との間に配置された回転支持手段(18)を備え、前記回転支持手段(18)は、少なくとも、アバットメント軸の周りの前記アバットメント(9)の回転および/またはカプセル(5)のスカート部分を前記切断器具(8)に押し付ける前記アバットメント(9)の作用による該アバットメント(9)への反作用および/または前記アバットメント(9)の重量を支持するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
各搬送ユニット(4)ごとに、それぞれの支持体(14)は、前記アバットメント(9)を少なくとも部分的に取り囲む環状部(17)を備え、前記回転支持手段(18)は、前記アバットメント軸の周りに軸受が互いに角度的に離間して円周方向に配置された円周配置を備え、前記アバットメント(9)は、前記円周配置によって取り囲まれ、前記円周配置上を転がることができ、前記円周配置の各軸受は、それぞれの軸受軸の周りで前記環状部(17)によって支持されると共に、それぞれのアバットメント(9)の外面と転がり接触する少なくとも1つの外輪を備え、これにより、前記円周配置は、それぞれのアバットメント(9)がその周りを回転できる前記アバットメント軸を画定する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記円周配置は、前記アバットメント軸の周りに互いに角度的に離間した3対以上の軸受を備え、各対の軸受は、互いに同軸の上部軸受と下部軸受とを備え、それぞれ上部外輪と下部外輪とを備え、それぞれのアバットメント(9)は、前記円周配置の前記3対以上の軸受の上部外輪と下部外輪との間の空間に挿入される円周方向の突起を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
各輸送ユニット(4)に、それぞれのアバットメント(9)は、前記当接位置および前記挿入位置の両方において前記アバットメント軸と同軸の幾何学的軸を有するブッシュ部分を少なくとも備える、請求項1~3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
各輸送ユニット(4)ごとに、それぞれのアバットメント(9)は、アバットメント(9)が前記当接位置にあって、前記カプセルのスカート部分が前記切断器具(8)によって切断されるとき、前記切断器具(8)と接触して相互作用するように配置された、犠牲材料で作られた犠牲リング(19)を備える、請求項1~3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項16】
各搬送ユニット(4)について、前記当接位置にある各アバットメント(9)は、いかなる表面も各ロック部材(7)の如何なる表面とも直接接触することなく、それぞれのアバットメント軸を中心に回転可能である、請求項1~3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
容器を密封するための閉じ部分と、容器の首部を囲むためのスカート部分とを備えるカプセル(5)を経路に沿って運ぶステップと、
前記カプセル(5)が回転し、前記カプセルのスカート部分に挿入されたロック部材(7)と前記ロック部材の反対側のベース(6)との間に保持されている間に、切断器具(8)で前記カプセル(5)のスカート部分を切断するステップと、
前記ロック部材(7)の回転軸の周りに配置されたアバットメント(9)を前記経路に沿って運ぶステップと、
前記カプセル(5)のスカート部分が切断される前に前記アバットメント(9)が前記スカート部分に挿入される挿入位置から、前記スカート部分が切断される間、前記アバットメント(9)が前記スカート部分を前記切断器具(8)に押しつける当接位置まで、前記アバットメント(9)を移動させるステップと
を備え、
前記アバットメント(9)が前記当接位置にあるとき、前記アバットメント(9)は前記ロック部材(7)の前記回転軸に対してオフセットしている回転軸の周りを回転することを特徴とする切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル、特に例えばボトルなどの容器を密封するのに使用されるタイプのプラスチック製のカプセルに切り込みを入れるための切断装置および切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
具体的には、本発明は、1つまたは複数の優先的な脆弱化線を作成して、容器の最初の開封を示すのに適した不正開封防止装置を形成するために、容器を密封するためのカプセルに切り込みを入れるための装置および方法に関するが、それだけではない。
【0003】
特に、本発明は、請求項1の前文に開示されたような、カプセルを切断するための装置に関する。このような装置は、例えば、米国特許出願公開番号第2016/0354946A1から知られている。この特許出願が開示している切断装置は、ベース、ロック部材、および可動アバットメントを備え、ベースはモータ手段によって回転するハウジングであり、ロック部材はハウジングと同軸の空転可能なピンであり、可動アバットメントはカプセルの回転を妨げないようにハウジングの回転軸の周りを自由に回転できる。
【0004】
従来技術の様々な側面は改善可能である。
【0005】
第1に、容器を密封するためのカプセルの不正開封防止装置を精度高くかつ製造不良品の数を減らして形成することができる切断装置を作ることが望ましい。
【0006】
第2に、可動アバットメントによって加えられる、不正開封防止装置の形成を容易にするのに適した、切断対抗作用(切断に対抗する作用)が、各カプセルに対して、かつ、より長い動作時間に対して、より効果的かつ正確なものとなり、それによって、カプセルを損傷するリスクおよび/または切断エラーを犯すリスクを比較的低減しつつ、かつ、中断することなく、多数のカプセルを処理できるようにすることが望ましい。
【0007】
さらに、比較的高い生産性を備えると同時に、様々な構成部分、特に切断作用に関係する構成部分の完全性および耐久性を保証することができる、カプセル切断装置を提供することが適切であろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一つの目的は、先行技術の前述の限界の1つまたは複数を改善することができる切断装置および/または方法を作成することである。
【0009】
一つの目的は、従来技術のものに代わる切断装置および/または方法を提供することである。
【0010】
一つの利点は、不正開封防止装置を形成するのに適した高精度の切断を可能にすることである。
【0011】
一つの利点は、製造不良品の数を確実に減少させることである。
【0012】
一つの利点は、各カプセルに対して特に効果的で正確な、カプセルの切断に対する対抗作用を確実にすることである。
【0013】
一つの利点は、中断することなく、かつ、カプセルを損傷するリスクを比較的低減して、多数のカプセルを処理できることである。
【0014】
一つの利点は、切断動作に関与する機械部品の完全性および耐久性を確保して、比較的高い生産性でカプセルを切断するための装置および/または方法を提供することである。
【0015】
一つの利点は、係留タイプ(tethered type)のカプセルの製造にも特に適した切断装置および/または方法を提案することである。
【0016】
一つの利点は、構造的に単純で安価な、カプセル用の切断装置を入手可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的および利点、ならびにさらなる目的及び利点は、1つまたは複数の請求項に係る装置および/または方法によって達成される。
【0018】
一実施形態では、容器の密封用カプセルの不正行為防止装置を作製するのに適した切断装置は、カプセルのスカート部分を切断するための切断器具と、前記スカート部分の内側に挿入可能なロック部材と、カプセルが切断されている間前記ロック部材と自身との間にカプセルが軸方向に保持されるように、前記ロック部材の反対側にあるベースと、前記ロック部材の回転軸の周りに配置されたアバットメント、特に環状のアバットメントとを備える。前記アバットメントは、特にカム手段の指令により、スカート部分が切断される前にアバットメントがカプセルのスカート部分に軸方向に挿入可能である挿入位置と、アバットメントがスカート部分を前記切断器具に対して横方向に押し付けるアバットメント位置(abutment position、以下当接位置とも言う)との間で、移動可能である。アバットメントは回転軸の周りを回転可能であり、その回転軸は、アバットメントが前述のアバットメント位置にあるとき、前記ロック部材の回転軸に対して位置がずれている。
【0019】
アバットメントは、切断ステップ中(すなわち、アバットメントが、カプセルと相互作用して、切断手段の作用に対抗する当接部材(abutting member)として機能するとき)、特に、上側のロック部材(上部ロック部材ともいう)の回転軸および/または下側のベースの回転軸および/またはカプセルの幾何学的軸に対して偏心したつまりずれた回転軸(アバットメント軸)の周りを回転することによって、カプセルおよび上側のロック部材の両方に対して、そして、下側のベースに対して、偏心して配置される。アバットメントは、特に、その回転軸(アバットメント軸)の周りをアイドリング態様で回転可能としてもよく、またはモータ駆動の制御手段によって制御されて回転可能としてもよい。
【0020】
前述のモータ駆動制御手段は、特に、前記ロック部材の動き(すなわち、スピンドルの動き)をアバットメントに伝達するための伝達手段および/またはカルーセルの動きをアバットメントに直接に、すなわち、ロック部材を含まない(つまりスピンドルを含まない)運動チェーンによって伝達するための伝達手段を備えることができる。
【0021】
切断装置は、特に、少なくとも1つの水平切断を実行するための少なくとも1つの水平ブレード(および/または少なくとも1つの垂直および/または斜めの切断を実行するための少なくとも1つの垂直および/または斜めのブレード)を備えることができる。
【0022】
切断装置は、特に、ナーリング(即ちローレット)のないカプセル、すなわち、カプセルの回転を容易にするために対応する固定結合面(特に、水平ブレードに平行な長さ方向に延びる結合面)と結合するように構成されたナーリング(ローレット)のないカプセルにも使用することができる。
【0023】
切断装置は、特に、カプセルの幾何学的軸をロック部材(またはピン、チップ(tip)、または下部スピンドル部分)の回転軸(上軸)と同軸に維持することによって動作することができる。
【0024】
ロック部材の上軸つまり回転軸(すなわち、スピンドルの回転軸)は、特に、カプセルを搬送するカルーセルの回転によって、適切な切断を得るべく決定された伝達比(変速比)で回転することができる。ロック部材の回転軸つまり上軸(すなわち、スピンドルの回転軸)は、特に、カルーセルを回転させる他のモータ手段とは別個で独立したモータ手段によって回転させることができる。
【0025】
切断装置は、上部ロック部材(またはピン、チップ、またはスピンドル部分)がカプセルの側壁に介入できないような形状を有するカプセルの場合、すなわち、上部ロック部材が、カプセルと干渉しないように比較的小さい直径を有する場合に、特に有利であり得る。
【0026】
切断装置は、カプセルが上部ロック部材と同軸に維持されることを可能にする。上部ロック部材はカプセルを回転させるように構成され得る。一方、特に環状形状のアバットメントは、カプセルの側壁と接触して相互作用するために、カプセルと比べて、そして、上部ロック部材に対して、位置ずれした位置に配置され得る。
【0027】
切断装置は、特に、少なくとも1つの垂直および/または斜めの切断を実行するために、少なくとも1つの垂直および/または斜めのブレードを備えることができ、特に、カプセルの動きと強調した方法でアバットメントがその軸(アバットメント軸)周りに回転するように制御することで、アバットメントの回転が、(空転はせず)電動式つまりモータ駆動の制御手段に接続されたアバットメント軸によって、切断手段の位置と角度的に同位相となるように、構成され得る。
【0028】
この制御手段は、特に、カプセルの搬送カルーセルを回転させるモータを備えることができる。特に、少なくとも1つの伝達装置(例えば、機械式トランスミッション、特にギアトランスミッション)によって、アバットメント軸をモータに接続することができる。
【0029】
伝達装置は、特に、カルーセルの回転軸からロック部材の回転軸(上軸)への運動の伝達、またはカルーセルの回転軸からアバットメントの回転軸(アバットメント軸)への運動の伝達、またはカルーセルの回転軸から両方の軸への運動の伝達(たとえば、一伝達部分がカルーセル軸から上軸に動きを伝達し、別の伝達部分が上軸からアバットメント軸に動きを伝達する、または、一伝達部分がカルーセル軸から上軸に動きを伝達し、別の伝達部分がカルーセル軸からアバットメント軸に、上軸を通さずに、動きを伝達する)を行うように構成することができる。
【0030】
アバットメントと切断手段との間の「位相整合(phasing)」は、特に、アバットメントが供給運動と連携して制御された方法で回転運動を受けることを可能にする前述の伝達装置によって得ることができる。
【0031】
さらに、上部ロック部材がアイドリングするか、またはアバットメントがモータ駆動される(モータ手段によって制御される)ようにすることも可能である。
【0032】
伝達装置は、特に、カプセル切断装置の加速段階および減速段階の両方において適切かつ安定した変速比が得られるように構成され得る。
【0033】
アバットメントは、特に、少なくとも1つのブッシュ状部分を備えることができる。アバットメントは、上部ロック部材の回転速度がアバットメントの回転速度と異なるような幾何学的形状を有していてもよい。この点に関して、ローレットカプセル(ローレット加工されたカプセル)の場合、切断手段上でのカプセルの転動は、ローレットカップリングによって制御され、適切な方法で切断が行われることができることに留意されたい。
【0034】
カルーセルによって、上軸を通さずにカルーセル軸をアバットメント軸に接続する伝動装置(特に機械式、例えば歯車伝動装置)によって、アバットメントを回転させるとき、アバットメントの回転はロック部材の回転から実質的に切り離されるので、(モータ駆動の上軸を有する)ロック部材にとって望ましい特定の回転速度と、(これもまたモータ駆動されるが上軸からの運動は受けないアバットメント軸を有する)アバットメントにとって望ましい特定の回転速度とに達するようにできる。特に、アバットメントは、回転してカプセルと相互作用し、切断手段に対して所望の「位相(phasing)」、すなわち所望の角度方向を維持することができ、その結果、例えば、垂直方向および/または斜めのカットを、ローレット加工のないカプセルにも正確かつ再現性よく作製することが可能となる。
【0035】
切断装置内で、下側のベース(上側のロック部材の反対側にある)を下軸(上軸と同軸)周りにアイドリング(空転)させると共に、カプセルを軸方向中心に置いて前記ベースとロック部材との間に保持するようにすることは、特に可能である。ロック部材のモータ駆動制御の場合、ロック部材によって、例えば正面摩擦(frontal friction)によって、カプセルを回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明は、非限定的な例として本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して、よりよく理解され、実行されることができる。その図面において、
【
図1】本発明に従って作られた切断装置の第1の実施形態の斜視図であり、環状アバットメントがその回転軸の周りをアイドリング態様で回転可能である。
【
図3】
図1の装置の斜視図であり、他の部品をよりよく示すために一部の部品が取り除かれている。
【
図4】上は
図1の装置の切断器具の分解図を示し、下は組み立てられた切断器具を示す。
【
図6】カプセルの経路のうちカプセルの切断が行われるゾーンにおける
図5の拡大詳細図である。
【
図8】カプセルの経路のうち、アバットメントがカプセルの外側に配置されていて、カプセルの切断が行われないソーンにおける
図6の詳細を示している。
【
図9】カプセルの経路のうち、アバットメントがカプセルの内側に配置されていて、カプセルの切断が行われないソーンにおける
図6の詳細を示している。
【
図11】本発明に従って作製された切断装置の第2の実施形態の斜視図であり、各環状アバットメントは、カルーセルの動きを様々なアバットメントの軸に伝達する歯車伝動装置(ギアトランスミッション)により、その回転軸の周りを回転可能である。
【
図15】
図11の装置の別の斜視図であり、カルーセルの回転運動を様々なアバットメントに伝達することを可能にする固定クラウンギアを備えたギア装置を示す。
【
図16】本発明に従って作製された切断装置の第3の実施形態の斜視図であり、各アバットメントは、それぞれのロック部材によってその回転軸の周りを回転し、ロック部材は、ギアトランスミッションによるカルーセルの回転からの動きを受けて自身の回転軸の周りを回転する。
【
図19】
図16の切断装置の細部の部分斜視図であり、ミスアライメントジョイントがロック部材からの回転運動をそれぞれのアバットメントに伝達している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
前述の図面を参照すると、カプセルを切断するための切断装置、特に、それぞれが、容器を密封するための閉じ部分と容器のネックを取り囲むスカート部分とを含むカプセルを切断するための切断装置が全体的に番号1で示されている。
【0038】
切断装置1は、特に、カルーセル軸を中心に回転可能なカルーセル2を備えることができる。カルーセル軸は、特に、これらの実施形態のように垂直であってもよい。切断装置1は、特に、カルーセル軸を回転させるためのモータ手段(例えば電気モータ)を備えることができる。
【0039】
切断装置1は、特に、カルーセル2によって回転される2つ以上の輸送ユニット4を備えることができる。各輸送ユニットは、特に、カルーセルの回転によって画定される経路(少なくとも部分的に円形)に沿ってカプセル5を輸送するように構成されることができる。
【0040】
各搬送ユニット4は、特に、ベース6と、ベース6の上方に配置されたロック部材7とを備えることができる。ベース6は、特に、下軸(つまりベース6の回転軸)の周りを回転可能であり得る。ベース6は、特に、カプセルの閉じ部分が下向き、すなわちベース6に向いた状態で、カプセル5を静止状態で載置させるように(receive restingly)構成され得る。ベース6は、特に、プレート状、カップ状、ガラス状、又は、その他の形態の載置部材(rest element)を備えることができる。ベース6は、特に、下軸の周りを空転可能であってもよい。ベース6は、特に、カプセル5を保持するための吸引保持手段を備えることができる。
【0041】
ロック部材7は、特に、上軸(つまりロック部材7の回転軸)の周りを回転可能であり得る。上軸はモータ手段によって回転させることができる。特に、切断装置1は、上軸、すなわちロック部材7の回転軸を回転させるためのモータ手段3(例えば、これらの実施形態におけるような単一の電気モータ)を備えてもよい。カルーセル軸を回転させるモータ手段をロッキング部材7を回転させるモータ手段3とは別個かつ独立したものとすることは可能である。
【0042】
前記上軸は、特に、前述の下軸と同軸であってもよい。これら上軸および下軸は、カルーセル軸の周りで円形の供給運動を行うように、それぞれの搬送ユニット4と共にカルーセル2によって運ばれる。
【0043】
ロック部材7は、特に、ロック部材7とベース6との間のカプセルの経路の少なくとも一部においてカプセル5の閉じ部分が保持され得るように、カプセル5のスカート部分の内側に挿入されるように構成され得る。
【0044】
切断装置1は、特に、カプセル5の経路に沿って配置された切断器具8を備えることができ、輸送ユニット4によって輸送されるカプセル5のスカート部分を切断する。一方、カプセルは切断器具8上を転がる。切断器具8は、特に、容器の最初の開封が行われたことの証明を提供するのに適した不正開封防止装置を形成するように、カプセルに1つ以上の優先的弱化線を作るように構成され得る。切断器具8は、特に、「つながれた(tethered)」タイプのカプセル、つまり、開封後に容器に取り付けられたままとなるカプセルを作るように構成されてもよい。
【0045】
切断器具8は、特に、
図4の実施形態に示されるように、1つまたは複数の水平刃、特に円周方向に沿って延びる水平刃、および1つまたは複数の垂直または斜めの刃を備えることができる。前記ブレードは、特に、プレート本体上に配置することができ、これらプレート本体は互いに積み重ねて配置することができる。
【0046】
切断装置1は、特に、搬送ユニット4ごとに、アバットメント9(特に、環状形状の少なくとも1つのアバットメント部分を有する)を備えることができる。アバットメント9はカルーセル2によって担持され(支持され)、少なくとも部分的に回転台の周りにリング状に配置される。アバットメント9は、特に、半径方向に移動可能で、ある。ここで「半径方向」はカルーセル2の(垂直)回転軸に関しての半径方向を指す。アバットメント9は特に移動可能であり、アバットメント位置つまり当接位置を採る可能性がある(例えば、
図6を参照)。このアバットメント位置では、カプセルが切断器具8上を転動してカプセルのスカート部分が切断される間、アバットメント9がカプセル5のスカート部分を切断器具8に押し付けることができる。アバットメント9は、特に、挿入位置を取る可能性を伴って、移動可能であってもよい。この挿入位置では、スカート部分が切断される前にアバットメント9をカプセルのスカート部分に挿入することができ、スカート部分が切断された後にアバットメント9をカプセルのスカート部分から取り外すことができる。(例えば、
図8を参照。同図では、アバットメント9の挿入前または除去後にカプセル5が下降して、アバットメント9がカプセル5の外側に配置されている。または、
図9を参照。同図では、カプセル5が持ち上げられ、アバットメント9がカプセル5内に配置されている。)
【0047】
各搬送ユニット4について、それぞれのアバットメント9は、特に、それぞれのアバットメント軸(つまりアバットメント9の回転軸)の周りを回転可能であり得る。各アバットメント軸は、特に、(ロック部材7の)それぞれの上軸に対して半径方向に移動可能であり、アバットメント軸が上軸に対してずれている偏心位置を取り得る(たとえば、
図6の例を参照)。特に、アバットメント9が前述のアバットメント位置にある場合、偏心つまり位置ずれした位置が取られる。
【0048】
図1の装置の特定の実施形態のように、各搬送ユニット4について、アバットメント9をそれぞれのアバットメント軸の周りに空転可能(rotatable in an idling manner)とすることが可能である。他の実施形態(
図11および16の切断装置を参照)では、カプセル5の経路の少なくとも一部において、それぞれのアバットメント軸の周りのアバットメント9の回転を制御手段によって制御するようにすることが可能である。これについては以下に述べる。
【0049】
切断装置1は、特に、トランスミッション手段つまり伝達手段10を備えることができる。伝達手段10は、各搬送ユニット4について、上軸を中心としたロック部材7の回転が、アバットメント軸を中心としたそれぞれのアバットメント9の回転を引き起こすように構成されている(
図16の実施形態を参照)。
【0050】
伝達手段10は、特に、各ロック部材7とそれぞれのアバットメント9との間に配置されたジョイント手段を備えることができる。伝達手段10は、特に、各ロック部材7とそれぞれのアバットメントとの間に配置される機械的伝達手段を備えることができる。 伝達手段10は、特に、ミスアライメントジョイントおよび/または弾性ジョイントおよび/または関節式ジョイントを備えることができる。
図16の切断装置の特定の実施形態では、伝達手段10は、各ロック部材7とそれぞれのアバットメント9との間に配置されたオルダムジョイントを備える。
【0051】
実際には、伝達手段10により、各アバットメント9の回転は、それぞれのロック部材7(すなわち上部スピンドル)の回転によって制御される。特に、運動伝達システム11を介してモータ手段3によってロック部材7をその上軸の周りに回転させるようにすることが可能である。
【0052】
運動伝達システム11は、特に、機械的トランスミッション、例えば
図16に示すようなギア手段、および/または
図11に示すような可撓性部材手段を有するタイプの、機械的トランスミッションを備えることができる。
【0053】
運動伝達システム11は、特に、単一のロータの回転軸から、それぞれの上軸を中心に回転する複数のロック部材7へ、運動を伝達するように構成することができる。
【0054】
特に、運動伝達システム11は、(
図16の実施形態のように)固定クラウンギアと、それぞれのロック部材7と協働する複数の歯(cogs)とを備えることができ、したがって、各ロック部材7自体の回転は、カルーセル2の回転によって、運動を伝達するための歯車伝達手段(以下、ギアトランスミッション手段ともいう)を介して制御される。
【0055】
アバットメント9がロック部材7の回転によって回転し、ロック部材7がカルーセル2によって回転され得るという解決策は、切断器具8が1つ以上の垂直または斜めの切断を行わなければならない場合に適切であり得る。実際、この解決策は、アバットメント9と切断器具8との間の正確かつ効果的な「位相整合(phasing)」を可能にする。ここで「位相整合」とは、供給経路に沿って前進すると同時にそれ自体で回転する要素の、固定要素に対する角度位置の制御を意味する。
【0056】
この最後の利点は、以下でよりよく説明するように、アバットメント9の回転が運動伝達装置12によって駆動される解決策にも存在することが観察されている。
【0057】
前述したように、ロック部材7は、駆動することができ、特に、歯車装置によって接続されたモータ手段によって回転させることができ、これにより、安定した一定の伝達比が、どの動作ステップでも、特に加速ステップと減速ステップとの両方で得られることが可能になる。さらに、モータ手段(例えばカルーセル2のモータ手段とは独立したモータ手段3)によって供給される動きは、ロック部材7にだけでなく、
図16の特定の実施形態のようにアバットメント9にも伝達され得る。
【0058】
他の実施形態(図示せず)を提供することも可能である。それらは、切断器具8の隣に配置された固定ガイド手段との摩擦または噛み合い(例えば、ナーリング(ローレット))によって連結されることによって、切断ステップ中に転がりながら案内されるカプセルに特に適したもので、ロック部材7は、モータ駆動ではなく、すなわち、モータ手段からの動きを受けるのではなく、実質的にアイドリング状態にあり、一方、アバットメント9がモータ駆動、すなわち、モータ手段からの動きを受ける。
【0059】
切断装置1は、特に、次の様に構成された運動伝達装置12を備えることができる。この運動伝達装置12は、カルーセル2によって運ばれる各アバットメント9の、カルーセル軸の周りの回転が、直接に、すなわちロック部材7を含まない運動連鎖によって、それぞれのアバットメント軸の周りの回転を引き起こすように構成されている(
図11の特定の実施形態を参照)。
【0060】
運動伝達装置12は、特に、機械式トランスミッション(変速機)を備えることができ、例えば、(
図11の図示の実施形態のような)歯車手段および/または可撓性部材手段を備えたタイプの機械式トランスミッションを備えることができる。
【0061】
運動伝達装置12は、特に(
図11を参照)、カルーセル軸と同軸であり円周に沿って少なくとも部分的に延びる固定円形クラウンギアの部分を備えることができる。運動伝達装置12は、特に、各アバットメント9に対して、アバットメント9と一体かつ同軸であり、クラウンギアの上記部分に結合されたそれぞれのピニオンを備えることができ、その結果、カルーセル軸の周りのカルーセル2の動きと、固定クラウンギアの上記部分と、様々なアバットメント9と協働するピニオンとの間のギアカップリングとが、そのアバットメント軸の周りの各アバットメント9の制御された回転を決定する。
【0062】
ロック部材7は、特に、前述したように、駆動される(すなわち、モータ手段によってそれ自体で回転される)か、またはそれぞれの上軸を中心としてアイドリング状態で回転可能であってもよい。
【0063】
図11の特定の実施形態では、切断装置1は、運動伝達システム11を備える。この運動伝達システム11は、単一の回転軸からロック部材7の上軸に回転運動を伝達するように構成され、少なくとも1つの可撓性伝達体(ベルト、チェーン、ストラップなど)を備える。前述の単一の回転軸は、特に、モータ手段3のロータの軸、またはカルーセル2がその周りを回転するカルーセル軸などであってもよい。
【0064】
切断装置1は、特に(図示されていない実施形態では)各搬送ユニット4ごとに、それぞれの上軸を駆動するモータおよび/またはそれぞれのアバットメント軸を駆動するモータを備えることができる。
【0065】
カルーセル2は、特に、前述の(垂直な、縦方向の)カルーセル軸の周りを回転可能なカルーセル本体13を備えることができる。各搬送ユニット4は、特に、カルーセル本体13によって回転させられる支持体14を備えることができる。それぞれのアバットメント9がこの支持体14と回転可能に結合される。
【0066】
切断装置1は、特に、カルーセル軸の周りにリング状に配置されたカムプロファイル15を備えることができる。各支持体14は、特に、カムプロファイル15に(摺動可能に)結合された少なくとも1つのガイド端を備えて、カルーセル2の回転時にそれが採用する角度位置に応じて、それぞれのロック部材7に対して(特に、ロック部材7の上軸即ち回転軸に対して)前記半径方向に支持体14の動きを案内するようにしてもよい。
【0067】
各支持体14は、特に、摺動部16および環状部17を備えることができる。各支持体14について、ガイド端は、特に、摺動部16よりも半径方向内側とすることができ、摺動部16は、特に、環状部17よりも半径方向内側とすることができる。ここで、「半径方向」は、カルーセル軸に関しての半径方向のことを言っている。
【0068】
摺動部16は、特に、摺動ガイド手段(例えば、リニアガイド手段)に沿って半径方向にカルーセル本体13に摺動可能に結合され得る。環状部17は、特に、アバットメント9を回転可能に支持するために、それぞれのアバットメント9の周りにリング状に少なくとも部分的に配置され得る。環状部17は、特に、摺動部16から突出する片持ちブラケットとして構成することができる。
【0069】
各搬送ユニット4について、それぞれのアバットメント9は、特に、それぞれのアバットメント軸の周りに回転可能にそれぞれの支持体14に結合され得る。各アバットメント9は、特に、アバットメント9の重量が、アバットメント位置および挿入位置の両方において、ロック部材7にかかることなく、支持体14にかかるように、それぞれの支持体14によってそれぞれのアバットメント軸の方向(特に、垂直方向)に支持され得る(例えば、
図1または
図11の実施形態のように)。基本的に、各搬送ユニット4は、アバットメント9とロック部材7との間で(カプセル5およびカルーセル本体13を介してでなければ)直接的な相互作用が実質的に存在しないように構成することが可能である。
【0070】
切断装置1は、特に、各搬送ユニット4ごとに、支持体14とアバットメント9との間に介在する回転支持手段18を備えることができる。回転支持手段18は、特に、少なくともバットメント軸の周りのアバットメント9の回転を支持するように構成することができる。回転支持手段18は、特に、カプセル5のスカート部分を切断器具8に押し付けるアバットメント9の作用によるアバットメント9への反作用を少なくとも支持するように構成することができる。回転支持手段18は、特に、少なくともアバットメント9の重量を支持するように構成することができる。
【0071】
各輸送ユニット4ごとに、支持体14の環状部17は、特に、それぞれのアバットメント9を少なくとも部分的に取り囲むことができる。回転支持手段18は、特に、アバットメント軸の周りに軸受が互いに角度的に間隔をおいて円周方向に配置されている構成(円周配置)を備え、それによって、アバットメント9が前述の軸受の円周配置によって取り囲まれ、その上を転がることができるようにし得る。円周配置の各軸受は、特に、それぞれの軸受軸の周りに支持体14によって支持され得る。円周配置の各軸受には、特に、それぞれのアバットメント9の外面と転がり接触する少なくとも1つの外輪を設けることができる。円周配置は、特に、それぞれのアバットメント9の回転の中心である前述のアバットメント軸を画定することができる。
【0072】
前記円周方向の配置は、特に、前述のアバットメント軸の周りに互いに角度的に離間した3対以上の軸受を備えることができる(図示の実施形態では、3対の軸受を備える)。軸受の各対は、特に、互いに同軸である上部軸受および下部軸受を備えることができる。上部軸受および下部軸受はそれぞれ、上部外輪および下部外輪を備える。それぞれのアバットメント9は、特に、円周方向配置の前記3対以上の軸受の上部外輪と下部外輪との間に構成される空間に挿入された円周方向の突起を備えていてもよい。
【0073】
各搬送ユニット4について、それぞれのアバットメント9は、特に、幾何学的な軸を有する少なくとも1つのブッシュ状部分を備えることができる。この幾何学的な軸は、アバットメント軸と同軸であり、かつ、アバットメント位置即ち当接位置と挿入位置との両方でアバットメント軸と同軸を維持するものである。
【0074】
各輸送ユニット4について、それぞれのアバットメント9は、特に、使い捨ての消耗材料で作られた犠牲リング(martyr ring)19を備えることができる。この犠牲リング19は、アバットメント9がアバットメント位置にあって、カプセル5のスカート部分が切断器具8によって切断されるときに、切断器具8と接触して相互作用するように配置されている。
【0075】
各搬送ユニット4について、それぞれのアバットメント9は、特に、アバットメント位置において、それぞれのロック部材7の表面との直接接触面を持たずに、それぞれのアバットメント軸の周りを回転可能であるように構成され得る。また、特に、アバットメント9とロック部材7との間の接触および/または機械力伝達の相互作用が、特に、カプセル5および/または伝達手段10(例えば、
図16のミスアライメントジョイント)および/またはカルーセル本体13を介してのみ伝達され得るようにすることが可能である。
【0076】
カルーセル本体13、支持体14、カムプロファイル15、摺動部16、環状部17、回転支持手段18および犠牲リング19は、非限定的な例として、添付の図に示す3つの特定の実施形態全てに存在する。
【0077】
動作中の切断装置1は、特に、経路に沿ってカプセル5を搬送するステップを含むことのできる切断方法を実行する。ここで、カプセルは、容器を閉じるための閉じ部分と、容器の首を取り囲むスカート部分とを備える。
【0078】
切断方法は、特に、カプセル5が経路に沿って進み、自転し、そして、カプセル5のスカート部分に挿入されたロック部材7と、ロック部材7の反対側のベース6との間に保持されている間に、切断器具8を用いてカプセル5のスカート部分を切断するステップを含むことができる。
【0079】
切断方法は、特に、アバットメント9をカプセル5とともに前述の経路に沿って移送するステップを含むことができる。ここで、アバットメント9は、ロック部材7の回転軸の周りにリング状に配置されている。
【0080】
切断方法は、特に、カプセル5のスカート部分を切断する前にアバットメント9をカプセル5のスカート部分に挿入する挿入位置(
図8から
図9までの構成の経路を参照)から、アバットメント9がカプセル5のスカート部分を切断器具8に対して押し付けて、スカート部分が切断されるアバットメント位置(
図6参照)まで、アバットメント9を移動させるステップを含むことができる。
【0081】
アバットメント9は、アバットメント9がアバットメント位置にあるとき、ロック部材7の回転軸に対して芯ずれ(ミスアライメント)するように、回転軸の周りを回転することができる。アバットメント9とロック部材7との間のこのずれのお陰で、切断作業は、より正確、安全かつ確実である。
【0082】
前述したように、アバットメント9は、特にローレット加工のないカプセルや、対応する固定ガイド装置と結合するための別の結合装置のないカプセルのために、カプセル5に少なくとも1つの水平方向の切り込みを入れるために、アバットメント軸の周りをアイドリング状態で回転可能であってもよい。
【0083】
カプセル5はロック部材7(または上部スピンドル)と常に同軸を維持するため、種々のロック部材7に運動を伝達するシステムに対して所望の伝達比を事前に設定することが可能である。所望の伝達比とは、すなわち、切断器具8がカプセル5に対して使用しなければならない切断方法または機構に対して特に調整された伝達比である。
【0084】
当該装置および切断方法は、特に、(たとえば、カプセル5の先端部の全体寸法のために、)大きな直径を有するロック部材(またはチップ)を使用できないため、カプセル5と干渉しないように比較的小径のロック部材を使用する必要があるような形状のカプセル5に対して有利である可能性がある。
【0085】
当該装置および切断方法により、カプセル5をロック部材7およびベース6と同心または同軸に維持することができ、カプセル5は正面摩擦によってロック部材7によって回転することができる。アバットメント9は、それ自体で回転可能にアイドリングすることができ、切断ゾーンにおいて、カプセル5を切断器具8に押し付けるための、かつ、切断器具8の性能を向上させるための横方向の押圧部材として機能することができる。
【0086】
上述のように、特に切断器具8が垂直または斜めの切断を実行しなければならない場合、アバットメント9は、アイドリング状態で回転可能である代わりに、モータ駆動の制御手段によって回転してもよい。アバットメント9の回転の制御により、アバットメント9と切断器具8との間の位相整合が可能になる。
【0087】
この目的のために、アバットメント9は、ロック部材7を介して、モータ手段(例えば、モータ手段3、またはカルーセル2の軸を回転させるモータ手段とは別個で独立した他のモータ手段、または、カルーセル2の軸を回転させるモータ手段)からアバットメント軸の周りの回転運動を受け取ることができることが分かった(この場合、ロック部材7は、前述のモータ手段によって、少なくとも部分的にギアトランスミッション手段または別のタイプの伝動手段を介して、駆動することができる。)。
【0088】
あるいは、アバットメント9は、ロック部材を介在させることなく、モータ手段(例えば、モータ手段3、またはカルーセル2の軸を回転させるモータ手段とは別個で独立した他のモータ手段、または、カルーセル2の軸を回転させるモータ手段)からアバットメント軸の周りの回転運動を受けてもよい(この場合、ロック部材7は、回転可能にアイドリング可能、または、モータ手段によって少なくとも部分的にギアトランスミッション手段または別のタイプの伝動手段を介して駆動可能である)。
【0089】
前述の通り、アバットメント9は、モータ手段(例えば、モータ手段3、またはカルーセル2の軸を回転させるモータ手段とは別個かつ独立した他のモータ手段、またはカルーセル2の軸を回転させるモータ手段)によって、
図11の実施形態のように、少なくとも部分的に、動きを伝達するための歯車伝達手段を介して駆動され得る。
【0090】
特に、アバットメント軸の周りのアバットメント9の回転をモータ駆動の制御手段によって制御することが可能であり(アバットメント9と切断器具8との間の位相を維持するため)、さらに、アバットメント9の回転は、ロック部材7の回転とは独立しているため、アバットメント9の回転速度をロック部材7の回転速度とは独立するように制御することが可能であり、これにより、どのようなタイプのカプセルであっても、また、ナーリング加工(即ちローレット加工)のないカプセルであっても、非常に正確な切断を得ることができる。
【外国語明細書】