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  • 特開-排泄物処理材及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122655
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】排泄物処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
A01K1/015 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026278
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101GB05
2B101GB07
2B101GB08
(57)【要約】
【課題】粒状体の表面に尿が残留しにくい排泄物処理材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】排泄物処理材1は、疎水性を有する複数の粒状体10からなる。複数の粒状体10は、粒状体12及び粒状体14を含んでいる。粒状体14は、粒状体12よりも小さい疎水率を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性を有する複数の粒状体からなる排泄物処理材であって、
前記複数の粒状体は、第1の粒状体と、前記第1の粒状体よりも小さい疎水率を有する第2の粒状体とを含むことを特徴とする排泄物処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の排泄物処理材において、
前記第1の粒状体の疎水率をA%とし、前記第2の粒状体の疎水率をB%としたとき、
(A-B)≧10である排泄物処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の排泄物処理材において、
(A-B)≧20である排泄物処理材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記第1及び第2の粒状体は、複数ずつ設けられている排泄物処理材。
【請求項5】
請求項4に記載の排泄物処理材において、
前記第2の粒状体の個数は、前記第1及び第2の粒状体の個数の合計の30%以上70%以下である排泄物処理材。
【請求項6】
請求項5に記載の排泄物処理材において、
前記第2の粒状体の個数は、前記第1及び第2の粒状体の個数の合計の40%以上60%以下である排泄物処理材。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記第2の粒状体の粒径は、前記第1の粒状体の粒径に等しい排泄物処理材。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記第2の粒状体は、前記第1の粒状体と同一組成の材料からなる排泄物処理材。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記第2の粒状体は、前記第1の粒状体と異なる組成の材料からなる排泄物処理材。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記各粒状体は、被覆されていない造粒物からなる排泄物処理材。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記各粒状体は、接着性材料を含有していない排泄物処理材。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記各粒状体は、有機物を主材料とする排泄物処理材。
【請求項13】
請求項12に記載の排泄物処理材において、
前記各粒状体は、有機物のみからなる排泄物処理材。
【請求項14】
疎水性を有する複数の粒状体からなる排泄物処理材を製造する方法であって、
前記複数の粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、
前記粒状体形成工程は、第1の粒状体を形成する第1の粒状体形成工程と、前記第1の粒状体よりも小さい疎水率を有する第2の粒状体を形成する第2の粒状体形成工程とを含むことを特徴とする排泄物処理材の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の粒状体形成工程においては、前記第1の粒状体の疎水率をA%とし、前記第2の粒状体の疎水率をB%としたとき、(A-B)≧10となるように、当該第2の粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の粒状体形成工程においては、(A-B)≧20となるように、前記第2の粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項17】
請求項14乃至16の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第1の粒状体形成工程においては、複数の前記第1の粒状体を形成し、
前記第2の粒状体形成工程においては、複数の前記第2の粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記第2の粒状体の個数が前記第1及び第2の粒状体の個数の合計の30%以上70%以下となるように、当該第1及び第2の粒状体を混合する排泄物処理材の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記第2の粒状体の個数が前記第1及び第2の粒状体の個数の合計の40%以上60%以下となるように、当該第1及び第2の粒状体を混合する排泄物処理材の製造方法。
【請求項20】
請求項14乃至19の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の粒状体形成工程においては、前記第2の粒状体の粒径が前記第1の粒状体の粒径に等しくなるように、当該第2の粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項21】
請求項14乃至20の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の粒状体形成工程においては、前記第1の粒状体と同一組成の材料からなる前記第2の粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項22】
請求項14乃至20の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の粒状体形成工程においては、前記第1の粒状体と異なる組成の材料からなる前記第2の粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項23】
請求項14乃至22の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、被覆されていない造粒物からなる前記複数の粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項24】
請求項14乃至23の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、接着性材料を含有しない前記複数の粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項25】
請求項14乃至24の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、有機物を主材料とする前記複数の粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項26】
請求項25に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、有機物のみからなる前記複数の粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排泄物処理材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された排泄物処理材は、疎水性(撥水性)を有する複数の粒状体からなり、動物用のトイレに敷設されている。このトイレは、尿を通過させるメッシュ状のシートによって上部空間と下部空間とに区画されている。疎水性の粒状体は、上部空間に配設されている。下部空間には、吸液シートが配設されている。動物が排尿すると、尿は、疎水性の粒状体どうしの隙間を通り抜けて、メッシュ状のシートを通じて下部空間に達する。下部空間に達した尿は、吸液シートによって吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-110700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように疎水性の粒状体は、尿をトイレの下方に導くことにより、尿から発生した悪臭がトイレの外に漏れるのを抑制する。しかしながら、疎水性の粒状体に尿が付着すると、当該粒状体の表面に尿が残留しやすいという問題がある。粒状体の表面に残留した尿は、当該尿からの悪臭がトイレの外に漏れる原因となる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、粒状体の表面に尿が残留しにくい排泄物処理材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による排泄物処理材は、疎水性を有する複数の粒状体からなる排泄物処理材であって、上記複数の粒状体は、第1の粒状体と、上記第1の粒状体よりも小さい疎水率を有する第2の粒状体とを含むことを特徴とする。
【0007】
この排泄物処理材においては、第1及び第2の粒状体が設けられている。第2の粒状体の疎水率は、第1の粒状体の疎水率よりも小さい。このように第2の粒状体の疎水率を小さくすることにより、第2の粒状体の表面に尿が残留しにくいことは勿論、第1の粒状体の表面にも尿が残留しにくくなる。第1の粒状体の表面に付着した尿が、当該第1の粒状体の周囲の第2の粒状体の内部に取り込まれるためである。
【0008】
また、本発明による排泄物処理材の製造方法は、疎水性を有する複数の粒状体からなる排泄物処理材を製造する方法であって、上記複数の粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、上記粒状体形成工程は、第1の粒状体を形成する第1の粒状体形成工程と、上記第1の粒状体よりも小さい疎水率を有する第2の粒状体を形成する第2の粒状体形成工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、第1及び第2の粒状体が形成される。第2の粒状体の疎水率は、第1の粒状体の疎水率よりも小さい。このように第2の粒状体の疎水率を小さくすることにより、製造後の排泄物処理材においては、第2の粒状体の表面に尿が残留しにくいことは勿論、第1の粒状体の表面にも尿が残留しにくくなる。第1の粒状体の表面に付着した尿が、当該第1の粒状体の周囲の第2の粒状体の内部に取り込まれるためである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粒状体の表面に尿が残留しにくい排泄物処理材、及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による排泄物処理材の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による排泄物処理材の一実施形態を示す模式図である。排泄物処理材1は、排泄物(主に尿)の処理に用いられる排泄物処理材である。排泄物処理材1は、猫や犬等の動物の排泄物の処理に用いられる動物用の排泄物処理材であってもよいし、人の排泄物の処理に用いられる人用の排泄物処理材であってもよい。
【0014】
排泄物処理材1は、排泄物を処理するための複数の粒状体10からなる。以下の記述において「複数の粒状体10」は、別段の断りがない限り、排泄物処理材1を構成する全ての粒状体10を指すものとする。排泄物処理材1は、例えば、尿を通過させる孔部を有する仕切部材によって上部空間と下部空間とに区画された2段構造のトイレ(システムトイレ)において使用される。その場合、排泄物処理材1は、システムトイレの上部空間(仕切部材上)に複数の粒状体10が敷設された状態で使用される。
【0015】
各粒状体10は、疎水性を有している。すなわち、各粒状体10は、尿等の液体を全く吸収しないか、あるいは吸収するとしても殆ど吸収しない性質を有する。粒状体10が疎水性を有するというには、次の試験により測定される疎水率が60%以上であることが必要である。まず、内径10cm、目開き1mmの篩に50g相当の粒状体10(サンプル)を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径3cm、筒先の内径4mmのシリンジ(テルモ社製60mlシリンジ)を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量(30ml)に対する割合をもって疎水率とする。すなわち、ビーカー内の水量が18ml以上であれば、疎水率が60%以上となるため、粒状体10が疎水性を有するといえる。
【0016】
各粒状体10は、粒状をしている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、又は楕円体が挙げられる。各粒状体10は、被覆されていない造粒物からなる。各粒状体10の粒径は、例えば、5mm以上20mm以下である。ここで、粒状体10の粒径は、当該粒状体10を内包し得る最小の球の直径として定義される。各粒状体10は、有機物を主材料としている。ここで、粒状体10の主材料とは、粒状体10を構成する1又は2以上の材料のうち、当該粒状体10に占める重量割合が最大のものをいう。かかる有機物としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類、又はオカラが挙げられる。各粒状体10は、有機物のみからなっていてもよいし、有機物及び無機物からなっていてもよい。
【0017】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙(紙粉)の他にも、塩ビ壁紙分級物、印画紙、剥離紙、フラッフパルプ、製紙スラッジ、又はパルプスラッジが挙げられる。塩ビ壁紙分級物は、紙及びポリ塩化ビニルを含有する塩ビ壁紙からポリ塩化ビニルの一部が除去されてなる。プラスチック類としては、例えば、通常のプラスチックの他にも、アルミ蒸着フィルム、又は紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)が挙げられる。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。これらの材料には、疎水処理(撥水処理)が施されていてもよいし、施されていなくてもよい。
【0018】
各粒状体10を構成する材料は、1つのみであってもよいし、2つ以上であってもよい。前者の場合、粒状体10を構成する材料は、上述の主材料のみということになる。後者の場合、粒状体10は、主材料と他の材料との混合物によって構成されることになる。他の材料としては、例えば、石膏又は重曹が挙げられる。石膏又は重曹を加えることにより、粒状体10の疎水性を高めることができる。石膏又は重曹の量は、例えば、粒状体10の全体に対して5重量%以上50重量%未満である。各粒状体10は、接着性材料を含有していない。
【0019】
複数の粒状体10は、粒状体12(第1の粒状体)及び粒状体14(第2の粒状体)を含んでいる。粒状体14は、粒状体12よりも小さい疎水率を有している。粒状体12の疎水率をA%とし、粒状体14の疎水率をB%としたとき、(A-B)≧10であることが好ましく、(A-B)≧20であることがより好ましい。ただし、(A-B)≦40である。粒状体12の疎水率は、例えば80%以上100%以下である。粒状体14の疎水率は、例えば60%以上80%以下である。
【0020】
粒状体12及び粒状体14は、複数ずつ設けられている。排泄物処理材1においては、これらの粒状体12,14が混在している。粒状体14の個数は、粒状体12及び粒状体14の個数の合計の30%以上70%以下であることが好ましく、40%以上60%以下であることがより好ましい。粒状体14の粒径は、粒状体12の粒径に等しくてもよいし、粒状体12の粒径と異なっていてもよい。また、粒状体14は、粒状体12と同一組成の材料からなってもよいし、粒状体12と異なる組成の材料からなってもよい。複数の粒状体10は、粒状体12及び粒状体14のみを含んでいてもよいし、粒状体12又は粒状体14以外の粒状体を含んでいてもよい。
【0021】
続いて、本発明による排泄物処理材の製造方法の一実施形態として、排泄物処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、粒状体形成工程を含んでいる。
【0022】
粒状体形成工程は、複数の粒状体10を形成する工程である。粒状体形成工程は、第1及び第2の粒状体形成工程を含んでいる。第1の粒状体形成工程は、粒状体12を形成する工程である。この工程においては、造粒装置を用いて第1の造粒材料(粒状体12を構成する材料)を造粒することにより、粒状体12となる複数の造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒物には、必要に応じて疎水処理を施してもよい。疎水処理は、例えば、造粒物の表面を疎水剤(撥水剤)でコーティングすることにより行うことができる。造粒に先立って、第1の造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。また、造粒後には、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。これにより、複数の粒状体12が得られる。
【0023】
第2の粒状体形成工程は、粒状体14を形成する工程である。この工程においては、造粒装置を用いて第2の造粒材料(粒状体14を構成する材料)を造粒することにより、粒状体14となる複数の造粒物を形成する。造粒物には、必要に応じて疎水処理を施してもよい。造粒に先立って、第2の造粒材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。また、造粒後には、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。これにより、複数の粒状体14が得られる。
【0024】
第2の粒状体形成工程においては、粒状体14の疎水率が粒状体12の疎水率よりも小さくなるように、粒状体14を形成する。例えば、第2の造粒材料として、第1の造粒材料より疎水性(撥水性)の低い材料を用いることにより、粒状体14の疎水率を粒状体12の疎水率より小さくすることができる。疎水性を高める材料(例えば石膏又は重曹)を用いる場合であれば、粒状体12と粒状体14とで当該材料の含有量を異ならせることによっても、粒状体14の疎水率を粒状体12の疎水率より小さくすることができる。具体的には、粒状体14に占める上記材料の重量割合が粒状体12に占める上記材料の重量割合よりも小さくなるようにすればよい。
【0025】
また、粒状体14の造粒時に第2の造粒材料に加わる圧力を、粒状体12の造粒時に第1の造粒材料に加わる圧力より小さくすることによっても、粒状体14の疎水率を粒状体12の疎水率より小さくすることができる。造粒時の圧力を小さくすると、造粒物の表面や内部の隙間が大きくなり、当該造粒物内に水分が浸入しやすくなるからである。造粒時の圧力は、例えば、造粒装置のダイスの厚みを変えることにより調整することができる。すなわち、ダイスの厚みを小さくする程、造粒時の圧力を小さくすることができる。
【0026】
なお、第1及び第2の粒状体形成工程を実行する順序は、任意である。すなわち、両工程を同時に並行して実行してもよいし、一方の工程を他方の工程より先に実行してもよい。
【0027】
その後、第1の粒状体形成工程において形成された粒状体12と、第2の粒状体形成工程において形成された粒状体14とを混合する。このとき、粒状体14の個数が粒状体12及び粒状体14の個数の合計の30%以上70%以下となるように、粒状体12及び粒状体14を混合することが好ましい。また、粒状体14の個数が粒状体12及び粒状体14の個数の合計の40%以上60%以下となるように、粒状体12及び粒状体14を混合することがより好ましい。以上により、粒状体12及び粒状体14を含む複数の粒状体10からなる排泄物処理材1が得られる。
【0028】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、粒状体12及び粒状体14が形成される。粒状体14の疎水率は、粒状体12の疎水率よりも小さい。このように粒状体14の疎水率を小さくすることにより、排泄物処理材1においては、粒状体14の表面に尿が残留しにくいことは勿論、粒状体12の表面にも尿が残留しにくくなる。粒状体12の表面に付着した尿が、当該粒状体12の周囲の粒状体14の内部に取り込まれるためである。したがって、粒状体10の表面に尿が残留しにくい排泄物処理材1、及びその製造方法が実現されている。
【0029】
また、粒状体12及び粒状体14は、何れも疎水性を有している。このように粒状体12及び粒状体14の双方に疎水型の粒状体を用いることにより、粒状体12又は粒状体14の何れか一方に非疎水型(吸水型)の粒状体を用いた場合に比して、排泄物処理材1全体としての透水力(尿をトイレの下方に導く能力)を高めることができる。
【0030】
粒状体14の疎水率(B%)を小さくする程、粒状体12及び粒状体14の表面に尿が残留しにくくなる。他方、粒状体12の疎水率(A%)を大きくする程、排泄物処理材1全体としての透水力を高めることができる。かかる観点から、(A-B)≧10であることが好ましく、(A-B)≧20であることがより好ましい。
【0031】
粒状体12及び粒状体14の表面に尿が残留しにくくするには、排泄物処理材1全体に占める粒状体14の割合が大きい方が有利である。かかる観点から、粒状体14の個数は、粒状体12及び粒状体14の個数の合計の30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。他方、粒状体14の割合が大きすぎると、排泄物処理材1全体としての透水力が不充分となりかねない。かかる観点から、粒状体14の個数は、粒状体12及び粒状体14の個数の合計の70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。
【0032】
ところで、粒状体12の粒径と粒状体14の粒径とが相異なる場合、複数の粒状体10をトイレに敷設したとき、粒径が大きい粒状体が上層に偏在するとともに粒径が小さい粒状体が下層に偏在する傾向がある。粒径が小さい粒状体は、粒径が大きい粒状体どうしの隙間を通って下方に移動しやすいからである。これに対し、粒状体12の粒径と粒状体14の粒径とが互いに等しい場合、粒状体12及び粒状体14が均一に分布しやすくなるため、粒状体12と粒状体14とを互いに隣接させるのに有利である。このように粒状体12と粒状体14とを互いに隣接させることにより、粒状体12の表面に付着した尿が粒状体14に取り込まれやすくなる。
【0033】
粒状体12と粒状体14とが同一組成の材料からなる場合、粒状体12の材料(第1の造粒材料)と粒状体14の材料(第2の造粒材料)とを共通化することができる。このことは、排泄物処理材1の製造コストの削減に資する。
【0034】
粒状体12と粒状体14とが相異なる組成の材料からなる場合、第1の造粒材料として疎水性が比較的高い材料を用いるとともに、第2の造粒材料として疎水性が比較的低い材料を用いることが可能となる。それにより、互いに異なる疎水率を有する粒状体12及び粒状体14を容易に実現することができる。
【0035】
各粒状体10は、接着性材料を含有していない。このため、粒状体10の表面のべたつきを抑えることができる。これにより、排泄中の動物の足に粒状体10が付着しにくくなる。動物の足に付着した粒状体10は、排泄後にトイレの外に散乱してしまうという問題がある。粒状体10の表面のべたつきを抑えることにより、かかる問題を起こりにくくすることができる。
【0036】
各粒状体10は、被覆されていない造粒物からなる。これにより、被覆材料(造粒物の被覆に用いる材料)及び被覆工程(造粒物を被覆材料で被覆する工程)が不要となるため、排泄物処理材1の製造コストを削減することができる。
【0037】
各粒状体10は、有機物を主材料としている。これにより、焼却処分に適した粒状体10を得ることができる。この場合、使用済みの排泄物処理材1を可燃ゴミとして捨てやすくなるため、ユーザにとっての利便性が向上する。特に各粒状体10が有機物のみからなる場合、焼却処分に一層適した粒状体10を得ることができる。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、各粒状体10が被覆されていない造粒物からなる場合を例示した。しかし、各粒状体10は、表面の全体又は一部が被覆された造粒物からなってもよい。
【0039】
上記実施形態においては、各粒状体10が接着性材料を含有しない場合を例示した。しかし、各粒状体10は、接着性材料を含有していてもよい。接着性材料としては、例えば、吸水性ポリマー、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、又はデキストリンが挙げられる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系吸水性ポリマーを用いることができる。
【0040】
上記実施形態においては、各粒状体10が有機物を主材料とする場合を例示した。しかし、各粒状体10は、無機物を主材料としていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 排泄物処理材
10 粒状体
12 粒状体(第1の粒状体)
14 粒状体(第2の粒状体)
図1