(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122656
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】シート包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20230829BHJP
A47K 7/00 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B65D83/08 A
A47K7/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026281
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】三浦 昭晃
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LA08
(57)【要約】
【課題】紙材料を用いたシート包装体を実現する。
【解決手段】紙材料を主原料としている包装体120を用いているシート包装体100において、第1のシール材131と第2のシール材132とで、包装体120を構成している紙製シートを挟み込んでおり、その包装体120に形成されている開口12を覆うように貼設された第1のシール材131と第2のシール材132とによって、包装体120(紙製シート)の開口12部分の切断面を被覆しているので、その断面から紙製シートの紙材料層121にウェットシートPの水分が染み込んでしまうことはない。また、包装体120の内面には、バリア層122とシーラント層123とからなる不透水層が設けられているので、包装体120にウェットシートPの水分が染み込んでしまうことはない。このようにして紙材料を用いているシート包装体100を実現した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のウェットシートが積層されたシート積層体を、袋状の包装体によって包装したシート包装体であって、
前記袋状の包装体は、紙材料を用いて形成されており、
前記袋状の包装体の外面と内面のうち、少なくとも内面には不透水層が設けられており、
前記袋状の包装体には所定の開口が形成されており、前記袋状の包装体の外面には前記開口を覆うように貼付された第1のシール材が設けられ、前記袋状の包装体の内面には前記開口を覆うように貼付された第2のシール材が設けられており、
前記開口を通じて前記第1のシール材と前記第2のシール材とが貼り合わされている部分には、前記ウェットシートを取り出すための取出口が形成されており、
前記取出口を覆う位置に、接着と剥離を複数回繰り返すことができるシール状の蓋材が配設されていることを特徴とするシート包装体。
【請求項2】
前記第1のシール材と前記第2のシール材は、光透過性を有する透明な材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート包装体。
【請求項3】
前記蓋材は、光透過性を有する透明な材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート包装体。
【請求項4】
前記蓋材は、前記第1のシール材に貼付されて配設されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のシート包装体。
【請求項5】
前記第1のシール材の厚みと前記第2のシール材の厚みのうち、少なくとも一方の厚みを変更する調整によって、前記取出口から引き出される前記ウェットシートに掛ける摩擦抵抗を切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のシート包装体。
【請求項6】
前記第1のシール材の材料と前記第2のシール材の材料のうち、少なくとも一方の材料を変更する調整によって、前記取出口から引き出される前記ウェットシートに掛ける摩擦抵抗を切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のシート包装体。
【請求項7】
前記取出口の縁には、その取出口を形成するのにカットされた前記第1のシール材と前記第2のシール材との貼り合わせ部分が切り離されずに残されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のシート包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットシート用のシート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のウェットシートが積層されたシート積層体を、樹脂フィルムによって形成された包装体によって包装したシート包装体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシート包装体の包装体には、ウェットシートを取り出すための取出口が形成されており、その取出口を開閉するための樹脂フィルム製のシール状の蓋材が設けられている。
また、樹脂フィルム製の包装体の取出口に取り付けられている蓋基板と、その蓋基板に回動可能に取り付けられている蓋部材とを有する樹脂材料製の蓋ユニットを備えたシート包装体が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-114749号公報
【特許文献2】特開2015-67336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近時、サステナブル(Sustainable)の観点から、プラスチックなど樹脂材料の使用量を削減する取り組みが世界的に広がってきている。
そのため、上記特許文献2のシート包装体が備えているような、比較的大きな樹脂材料製の蓋ユニットを用いることは、今後躊躇われることが予想される。
また、シート包装体についても、樹脂フィルム製よりも紙材料を使用したものの需要が高まることが予想される。
しかしながら、ウェットシートを内包するシート包装体の場合、紙製の包装体にウェットシートの水分が染み込まないようにすることは思いのほか困難であり、例えば、紙製の包装体に撥水層などを形成して耐水性を付与するような技術があっても、現状、紙材料を用いたシート包装体は実用化されていない。
そこで、本発明者らが鋭意検討し、ウェットシートを内包するシート包装体に紙材料を用いる技術を開発するに至った。
【0005】
本発明の目的は、紙材料を用いたシート包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
複数枚のウェットシートが積層されたシート積層体を、袋状の包装体によって包装したシート包装体であって、
前記袋状の包装体は、紙材料を用いて形成されており、
前記袋状の包装体の外面と内面のうち、少なくとも内面には不透水層が設けられており、
前記袋状の包装体には所定の開口が形成されており、前記袋状の包装体の外面には前記開口を覆うように貼付された第1のシール材が設けられ、前記袋状の包装体の内面には前記開口を覆うように貼付された第2のシール材が設けられており、
前記開口を通じて前記第1のシール材と前記第2のシール材とが貼り合わされている部分には、前記ウェットシートを取り出すための取出口が形成されており、
前記取出口を覆う位置に、接着と剥離を複数回繰り返すことができるシール状の蓋材が配設されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシート包装体において、
前記第1のシール材と前記第2のシール材は、光透過性を有する透明な材料で形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のシート包装体において、
前記蓋材は、光透過性を有する透明な材料で形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載のシート包装体において、
前記蓋材は、前記第1のシール材に貼付されて配設されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載のシート包装体において、
前記第1のシール材の厚みと前記第2のシール材の厚みのうち、少なくとも一方の厚みを変更する調整によって、前記取出口から引き出される前記ウェットシートに掛ける摩擦抵抗を切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載のシート包装体において、
前記第1のシール材の材料と前記第2のシール材の材料のうち、少なくとも一方の材料を変更する調整によって、前記取出口から引き出される前記ウェットシートに掛ける摩擦抵抗を切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれか一項に記載のシート包装体において、
前記取出口の縁には、その取出口を形成するのにカットされた前記第1のシール材と前記第2のシール材との貼り合わせ部分が切り離されずに残されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、紙材料を用いたシート包装体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態のシート包装体を示す斜視図(a)(b)である。
【
図2】本実施形態のシート包装体を示す平面図である。
【
図3】本実施形態のシート包装体を示す断面図(a)と、そのシート包装体の取出口部分の拡大図であり、取出口を露出させた状態(b)と、取出口を塞いだ状態(c)である。
【
図4】シート包装体を使用する態様を示す斜視図である。
【
図6】シート包装体の他の態様を示す斜視図である。
【
図7】シート包装体の他の態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係るシート包装体の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、以下においては、
図1に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。すなわち、シート包装体100において、蓋材110が配設されている側を上、その反対側を下、シート包装体100のエンドシール部120aの一方が形成された側を右、他方が形成された側を左、右側のエンドシール部120aを手前側に配した際の左手側を前、右手側を後とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向に沿った軸をZ軸とする。
【0016】
[シート包装体]
本実施形態のシート包装体100は、例えば、
図1~
図4に示すように、複数枚のウェットシートPが積層されたシート積層体を袋状の包装体120によって包装して、包装体120内にウェットシートPを収容したものである。
包装体120には、接着と剥離を複数回繰り返すことができるシール状の蓋材110が貼付されている。
その蓋材110によって包装体120が覆われている部分には、ウェットシートPを取り出すための取出口13が設けられている。
【0017】
[ウェットシート]
ウェットシートPは、シート材に薬液が含浸されたものであり、例えば、ウェットティッシュー、トイレクリーナー、制汗シート、キッチンクリーナー等である。
ウェットシートPのシート材は、所定の繊維を繊維素材として、例えば、スパンレース、エアスルー、エアレイド、ポイントボンド、スパンボンド、ニードルパンチ等の周知の技術により製造される不織布であることが好ましい。
所定の繊維としては、例えば、レーヨン、リヨセル、テンセル、コットン等のセルロース系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ウェットシートPのシート材は、目付が30~80gsm、大きさが、MD方向(抄紙機上の紙の進行方向)に100mmから200mm、CD方向(抄紙機上の紙の進行方向と直交する方向)に100mmから200mmに形成されたものが好適である。なお、目付は、JIS P 8124:2011に従って測定した坪量をいう。
また、ウェットシートPに含浸されている薬液としては、ウェットシートPの用途に応じて任意のものを用いることができるが、例えば、精製水、防腐剤、pH調整剤、界面活性剤等を含有するものが好ましい。
【0018】
[包装体]
包装体120は、紙材料を用いて形成されており、紙製のシートが袋状に形成されたものである。
紙製のシートとしては、例えば、
図3(b)(c)に示すように、紙材料層121と、バリア層122と、シーラント層123とを有する3層構造の紙製シートを用いることができる。
この紙製シートの主要部が紙材料を用いている紙材料層121であり、バリア層122とシーラント層123は、後述する不透水層を設けるために紙材料層121に重着した層である。
なお、紙材料層121にバリア層122やシーラント層123を重着する技術は、従来公知であるので、ここでは詳述しない。
【0019】
紙材料層121は、例えば木材パルプや非木材パルプからなる紙材である。木材パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、藁パルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等が挙げられる。これらパルプを適宜任意の割合で配合することができる。なお、紙材料層121の紙力増強のため水溶性バインダーが付与されている。
この紙材料層121は、例えば0.05mm~0.1mmの厚さに形成されている。
【0020】
バリア層122は、例えばバリアフィルムと称される薄膜からなる。バリアフィルムとしては、基材となるポリエチレンテレフタレートやナイロンの樹脂膜に、アルミナやシリカが無機蒸着されたものが挙げられる。
このバリア層122は、例えば1μm~20μmの厚さに形成されている。
【0021】
シーラント層123は、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)や無軸延伸ポリプロピレン(CPP)などヒートシール性を有する薄い樹脂膜からなる。
このシーラント層123は、例えば10μm~40μmの厚さに形成されている。
このような3層構造の紙製シートからなる包装体120は紙材料を主原料としており、その一部に樹脂膜が用いられている。
【0022】
袋状の包装体120は、上記した3層構造の紙製シートのシーラント層123を内側にするように、その紙製シートの対向する辺同士を接合して、図示しないセンターシール部(包装体120の下面側に形成されている)を形成した上で、筒状となった紙製シートの内部にシート積層体(ウェットシートP)を収めた後、筒状の紙製シートの両端の開口部を接合して2か所のエンドシール部120a,120aを形成するようにして、シート積層体(ウェットシートP)を内包したピロー型の包装体に形成されている。
この袋状の包装体120の内面には、バリア層122とシーラント層123とによって不透水層が設けられている。
包装体120の大きさは、収容されるシート積層体の大きさに応じて定められるが、包装体120を不必要に大きくすることなく、かつ使用時におけるウェットシートPの取り出しが困難とならないように、シート積層体を若干の余裕をもって収容できる大きさであることが好ましい。
【0023】
また、袋状の包装体120の上面側には所定の開口12が形成されている。
その開口12を覆うように、包装体120の外面に第1のシール材131が貼設され、包装体120の内面に第2のシール材132が貼設されている(
図3(a)~(c)参照)。
この第1のシール材131と第2のシール材132とで、包装体120を構成している紙製シートを挟み込んでいる。
特に、
図3(b)(c)に示すように、包装体120に形成された開口12を覆うように貼設された第1のシール材131と第2のシール材132とによって、紙製シート(包装体120)の開口部分の切断面を保護するように被覆している。
そして、包装体120の開口12を通じて第1のシール材131と第2のシール材132とが貼り合わされて重なっている部分に、ウェットシートPを取り出すための取出口13が形成されている。
ここでは、開口12の内側において第1のシール材131と第2のシール材132とが貼り合わされて重なっている部分に、取出口13を形成するためのカット線が設けられており、シート包装体100の使用開始時に、包装体120から蓋材110を剥離する際に、蓋材110の裏面に設けられている感圧接着剤の粘着力によってカット線が切断され、そのカット線に対応する部分が切り離されて、取出口13が形成されるようになっている。
【0024】
この第1のシール材131と第2のシール材132は、シート状のフィルムの一方の面に接着剤層が設けられているシール材である。シール材用のフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂フィルムなどを使用することができる。シート状のフィルムの厚みは20μm~100μmであることが好ましい。
特に、本実施形態では、光透過性を有する無色透明なフィルムを使用した第1のシール材131と第2のシール材132を用いており、接着剤層にも無色透明なものを使用している。
なお、第1のシール材131と第2のシール材132は、予め紙製シートに形成されている開口部分に貼設されており、その紙製シートがピロー型の包装体に成形された状態で、第1のシール材131が包装体120の外面に貼設され、第2のシール材132が包装体120の内面に貼設された状態になる。
つまり、第1のシール材131は、予め紙製シートにおける紙材料層121に貼設されており、第2のシール材132は、予め紙製シートにおけるシーラント層123に貼設されている。
勿論、紙製シートには予め開口12が形成されており、その開口部分が切り抜かれた箇所に第1のシール材131と第2のシール材132が貼設されている。
【0025】
[取出口]
取出口13は、上記したように、包装体120の開口12を通じて第1のシール材131と第2のシール材132とが貼り合わされて重なっている部分に形成されている。
この取出口13は、包装体120に形成されている開口12よりも小さなサイズに形成されている。
本実施形態の取出口13は、オーバル形(ラグビーボール形)を呈するように形成されている。
なお、取出口13の形状は、オーバル形であることに限らず、楕円形や円形、矩形(菱形)などであってもよい。
【0026】
[蓋材]
蓋材110は、シール材用のフィルムと同様の素材のシート片により形成されており、ウェットシートPを取り出す取出口13を開閉自在に覆うように配設されている。
この蓋材110は、第1のシール材131に貼付され、取出口13を覆う位置に配設されている。蓋材110を構成するシート片の厚みは、50μm~100μmであることが好ましい。
この蓋材110の裏面には、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系等の感圧接着剤が塗布されており、蓋材110は、接着と剥離を複数回繰り返すことができ、取出口13を開閉自在に覆うように第1のシール材131に貼付されている。
また、蓋材110は、一端部が包装体120(第1のシール材131)に固定され、他端部には端部から突出した摘み部11が設けられており、その摘み部11の下面には感圧接着剤が塗布されていない。この摘み部11を利用して蓋材110を開閉することが容易となる。
蓋材110の形状は、取出口13を完全に覆うことができれば特に限定されることはなく、例えば、矩形状、楕円形状など任意の形状とすることができる。
【0027】
[効果の説明]
以上のように、本実施形態のシート包装体100には、紙材料を主原料としている包装体120を用いている。
このシート包装体100は、蓋材110を第1のシール材131から剥がして露出させた取出口13からウェットシートPを取り出して使用することができる。また、蓋材110を第1のシール材131に接着して取出口13を塞ぐことで、内部に収容されているウェットシートPが乾燥するのを防ぐことができる。
つまり、本実施形態のシート包装体100は、紙材料を用いたシート包装体100として好適に使用することができる。
【0028】
そして、このように紙材料を用いているシート包装体100であれば、樹脂材料のみで形成した包装体を用いている従来技術のシート包装体に比べて、樹脂材料の使用量をおよそ20~40%削減することができるので、近時のサステナブルの観点からも好ましい。
【0029】
特に、第1のシール材131と第2のシール材132とで、包装体120を構成している紙製シートを挟み込んでおり、その包装体120に形成されている開口12を覆うように貼設された第1のシール材131と第2のシール材132とによって、包装体120(紙製シート)の開口12部分の切断面を被覆しているので、その断面から紙製シートの紙材料層121にウェットシートPの水分が染み込んでしまうことはない。
また、包装体120の内面には、バリア層122とシーラント層123とからなる不透水層が設けられているので、包装体120にウェットシートPの水分が染み込んでしまうことはない。
つまり、紙材料を用いている包装体120がウェットシートPの水分で濡れてしまうことはなく、包装体120が濡れて破れ易くなるようなことは起こらないようになっている。
【0030】
例えば、紙製の包装体の内側に撥水層や不透水層を形成して、紙製の包装体に耐水性を付与しても、その包装体の取出口の断面からウェットシートの水分が染み込んでしまい、紙製の包装体が濡れて破れてしまうので、これまで紙材料を用いたシート包装体は実用化されていなかった。
本発明者らが、紙材料を用いている包装体120の開口12部分を第1のシール材131と第2のシール材132とで挟み込み、その開口部分の切断面を被覆する技術を見出したことによって、紙材料を用いているシート包装体100を実現するに至った。
【0031】
また、蓋材110を、包装体120の上面に貼設されている第1のシール材131に貼付するようにしたことで、その蓋材110の接着と剥離を複数回繰り返すことを好適に行えるようにした。
つまり、紙材料を用いているシート包装体100であっても、取出口13の開閉を自在に行えるようにしており、好適に取出口13からウェットシートPを取り出して使用することができる。
【0032】
また、このシート包装体100の取出口13は、第1のシール材131と第2のシール材132とが貼り合わされている部分に形成されているので、取出口13から引き出されるウェットシートPは、第1のシール材131と第2のシール材132の端を擦りながら引き出されるようになっている。
その取出口13から引き出されるウェットシートPに、第1のシール材131と第2のシール材132の端から摩擦力を付与することで、引き出して使用するウェットシートPに続いて引き出される次のウェットシートPが取出口13から引き出されすぎてしまわないようにするなど、ウェットシートPの取り出しをスムーズに行うことを可能にしている。
このようなことから、取出口13から引き出されるウェットシートPに付与する摩擦抵抗を調整することで、ウェットシートPの取り出し易さを調整することができる。
【0033】
そこで、第1のシール材131の厚みと第2のシール材132の厚みのうち、少なくとも一方の厚みを変更する調整によって、取出口13から引き出されるウェットシートPに掛ける摩擦抵抗を切り替えることを可能にした。
具体的には、シール材の厚みを厚くする調整によって、ウェットシートPに掛ける摩擦抵抗を強めることができ、シール材の厚みを薄くする調整によって、ウェットシートPに掛ける摩擦抵抗を弱めることができる。
また、第1のシール材131の材料と第2のシール材132の材料のうち、少なくとも一方の材料を変更する調整によって、取出口13から引き出されるウェットシートPに掛ける摩擦抵抗を切り替えることを可能にした。
具体的には、シール材に硬めの材料を用いることで、ウェットシートPに掛ける摩擦抵抗を強めることができ、シール材に軟らかめの材料を用いることで、ウェットシートPに掛ける摩擦抵抗を弱めることができる。
【0034】
また、このシート包装体100の取出口13の周囲は、包装体120の開口12を覆っている第1のシール材131と第2のシール材132とで構成されており、その第1のシール材131と第2のシール材132は光透過性を有する透明な材料で形成されているので、包装体120の開口12からシート包装体100の内部を視認することができる。
このように、無色透明な第1のシール材131と第2のシール材132が包装体120の開口12に設置されているので、その第1のシール材131と第2のシール材132を介して開口12からシート包装体100の内部を視認することができるので、ウェットシートPの位置を確認して取出口13から掴み出し易くなっており、またウェットシートPの残量を確認することができる。
【0035】
また、蓋材110が、
図5に示すように、光透過性を有する透明な材料で形成されていてもよい。
蓋材110が光透過性を有する無色透明なフィルムを使用して形成され、感圧接着剤にも無色透明なものを使用していれば、その透明な蓋材110で取出口13を塞いでいる状態であっても、蓋材110と第1のシール材131と第2のシール材132を介して開口12からシート包装体100の内部を視認することができ、ウェットシートPの残量を確認することができる。
このように、蓋材110と第1のシール材131と第2のシール材132とが透明な材料で形成されていれば、蓋材110で取出口13を塞いでいる状態でも、開口12を覗き窓のように使用して、シート包装体100の内部の状態を確認することが可能になる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、
図6に示すように、包装体120の開口12の内側において第1のシール材131と第2のシール材132とが貼り合わされて重なっている部分に、取出口13を形成するためのミシン目13aが設けられていてもよい。
そして、シート包装体100の使用開始時に包装体120(第1のシール材131)から蓋材110が剥離された状態で、ミシン目13aが切断されずに残されているようにしてもよい。
こうすることで、ユーザーがミシン目13aに沿ってシール材が貼り合わされている部分を切り抜いて取出口13を形成することができるので、例えば、
図7に示すように、シール材が貼り合わされている部分を全て切り離さずに取出口13の縁に残しておくことができる。
取出口13の縁にシール材の切片を残しておくことで、その切片を中蓋として機能させることができ、シート包装体100の内部に収容されているウェットシートPが乾燥するのをより一層防ぐことができる。
勿論、ミシン目13aに沿ってシール材が貼り合わされている部分を全て切り離して取出口13を形成してもよい。
【0037】
以上のように、紙材料を用いているシート包装体100であれば、樹脂材料の使用量を削減する効果が得られる。
【0038】
なお、以上の実施の形態においては、袋状の包装体120の内面に、バリア層122とシーラント層123とからなる不透水層を設けることを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、不透水層を構成する層の種類や素材は任意であり、撥水加工層などを利用するようにしてもよい。
また、包装体120の内面のみでなく、その外面にも不透水層を設けるようにしてもよい。
【0039】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
100 シート包装体
110 蓋材
11 摘み部
120 包装体
12 開口
121 紙材料層
122 バリア層
123 シーラント層
131 第1のシール材
132 第2のシール材
13 取出口
13a ミシン目
P ウェットシート(シート積層体)