(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122678
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】エアノズル
(51)【国際特許分類】
B05B 1/00 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
B05B1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026319
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】石川 力也
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033BA02
4F033DA01
4F033EA01
4F033FA00
4F033JA06
4F033NA01
(57)【要約】
【解決手段】軸芯部20が連結部22を介して筒部12に連結され、軸芯部は、筒部の先端に備えられた小径孔16に挿通され、筒部の先端から突出し、小径孔の壁面と軸芯部の外面との間に存在する隙間によって環状のエア噴射口26が構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯部が連結部を介して筒部に連結されたエアノズルであって、
前記軸芯部は、前記筒部の先端に備えられた小径孔に挿通され、前記軸芯部は、前記筒部の先端から突出し、前記小径孔の壁面と前記軸芯部の外面との間に存在する隙間によって環状のエア噴射口が構成されるエアノズル。
【請求項2】
請求項1記載のエアノズルにおいて、
円盤状の前記連結部は、エアの流路となる複数の貫通孔を有するエアノズル。
【請求項3】
請求項1記載のエアノズルにおいて、
前記連結部は、前記軸芯部の外周から前記筒部の内周まで放射状に延びる翼部によって構成され、前記連結部におけるエアの流路は、前記筒部の内面と、前記翼部の側面と、前記軸芯部の外面とによって画成されるエアノズル。
【請求項4】
請求項1記載のエアノズルにおいて、
前記筒部の先端から突出する前記軸芯部の長さが3mm~15mmであるエアノズル。
【請求項5】
請求項1記載のエアノズルにおいて、
金属製の前記軸芯部と一体に成形される金属製の前記連結部が金属製の前記筒部に連結固定されるエアノズル。
【請求項6】
請求項1記載のエアノズルにおいて、
前記筒部は、樹脂製の第1筒部および金属製の第2筒部から構成され、前記軸芯部および前記連結部は、前記第1筒部と一体に樹脂成形されるエアノズル。
【請求項7】
請求項1記載のエアノズルにおいて、
前記筒部、前記軸芯部および前記連結部は、一体に樹脂成形されるエアノズル。
【請求項8】
請求項1記載のエアノズルにおいて、
前記軸芯部が外部と接触することを回避するための保護部を備えるエアノズル。
【請求項9】
請求項8記載のエアノズルにおいて、
前記保護部は、フランジ部および複数の突出片から構成され、前記フランジ部は、前記筒部の外周から外方に拡がり、前記突出片は、前記フランジ部から突出し、前記突出片は、前記筒部から突出する前記軸芯部の周りに前記軸芯部と所定距離隔てて配置されるエアノズル。
【請求項10】
請求項1記載のエアノズルにおいて、
前記連結部におけるエアの流路面積が前記エア噴射口の面積の3倍以上であるエアノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧でエアを噴射するエアノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、製造ラインにおいてワークにエアを吹き付け、ワークに付着した粉塵、切粉、水分等の異物を除去するエアノズルが知られている。このようなエアノズルが高圧で使用されるとき、騒音が発生する。
【0003】
エアノズルにおいて発生する騒音を低減するために、様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、網線織物からなる騒音減少部材がノズルの中央孔に配置され、ノズルの中央孔を外表面に接続する通路を備えた流体ノズルが記載されている。この流体ノズルでは、騒音減少部材の上流側に背圧が生じ、ノズルの外表面に沿って流れる層状の空気流が作り出される。この層状の空気流は、周囲空気を誘引しながら、ノズルの中央孔を通って流れる空気流と合流する。
【0004】
上記流体ノズルによれば、ノズルの中央孔を通る空気流が騒音減少部材を通過するので、ある程度騒音が減少する。また、層状の空気流によって誘引された周囲空気がノズルの中央孔を通る空気流になめらかに合流するので、ある程度騒音が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、高圧のエアが先細ノズルに導入されると、ノズル内でエアがチョーク状態となり、エアが大気圧まで膨張しきらずに先細ノズルから噴射されることが知られている。この不足膨張噴流は、衝撃波と膨張波が交互に現れるショックセル構造を伴う。高圧のエアが先細ノズルから噴射されるときの騒音は、不足膨張噴流と深くかかわっている。しかしながら、不足膨張噴流に着目したエアノズル技術は、まだ十分に開発されていない。特許文献1の技術も、不足膨張噴流を考慮したものではない。
【0007】
本発明は、このような事情を背景としてなされたものである。本発明は、必要な衝突圧を確保しつつ、不足膨張噴流による騒音を可及的に低減するエアノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、軸芯部が連結部を介して筒部に連結されたエアノズルであり、軸芯部は、筒部の先端に備えられた小径孔に挿通され、軸芯部は、筒部の先端から突出し、小径孔の壁面と軸芯部の外面との間に存在する隙間によって環状のエア噴射口が構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るエアノズルによれば、筒部の小径孔の壁面と軸芯部の外面との間に存在する隙間によって環状のエア噴射口が構成され、軸芯部が筒部の先端から突出するので、必要な衝突圧を確保しつつ騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るエアノズルをその軸線を含む平面で切断したときの断面図である。
【
図2】
図2は、
図1のエアノズルをその軸線に沿う方向から見た図である。
【
図3】
図3は、
図1のエアノズルを配管に取り付けた状態を示す図である。
【
図4】
図4Aは、公知の単孔ノズルの外観図であり、
図4Bは公知の消音ノズルの外観図である。
【
図5】
図5は、騒音レベルについて、本発明のエアノズルを公知の単孔ノズルおよび公知の消音ノズルと比較したグラフである。
【
図6】
図6は、衝突圧について、本発明のエアノズルを公知の単孔ノズルおよび公知の消音ノズルと比較したグラフである。
【
図7】
図7は、エアノズルの軸芯部の軸長と騒音レベルとの関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、エアノズルの軸芯部の軸長と衝突圧との関係を示すグラフである。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施形態に係るエアノズルをその軸線を含む平面で切断したときの断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3実施形態に係るエアノズルをその軸線を含む平面で切断したときの断面図である。
【
図11】
図11は、
図10のエアノズルをワンタッチ継手によりマニホールドに取り付けた状態を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の第4実施形態に係るエアノズルをその軸線を含む平面で切断したときの断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第5実施形態に係るエアノズルの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るエアノズル10について、
図1~
図3を参照しながら説明する。以下の説明において、上下左右の方向に関する言葉を用いたときは、便宜上、図面上での方向をいうものであって、実際の配置を限定するものではない。
【0012】
図1に示されるように、エアノズル10は、筒部12、軸芯部20および連結部22から構成される。軸芯部20は、一様な外径を有し、円盤状の連結部22を介して筒部12に連結される。筒部12、軸芯部20および連結部22は、いずれも金属製である。連結部22は、軸芯部20と一体に成形される。円筒状の筒部12は、左端にエア流入口14を有し、右端(先端)に小径孔16を有する。筒部12は、外周に雄ねじ部18を有する。
【0013】
軸芯部20は、筒部12の小径孔16に挿通される。筒部12の小径孔16の壁面と軸芯部20の外面との間に存在する隙間によって、環状のエア噴射口26が構成される。軸芯部20の左端は、連結部22の中央に繋がっている。軸芯部20は、筒部12の右端(先端)から外方に所定長さ突出する。軸芯部20の先端は、平坦面となっている。連結部22は、筒部12に圧入されることにより、筒部12に固定される。
【0014】
図1および
図2に示されるように、連結部22は、エアの流路となる複数の貫通孔24を有する。複数の貫通孔24は、エアノズル10の軸線X回りに等角度おきに配置される。本実施形態では、合計4つの貫通孔24が配置されるが、貫通孔24の数は任意である。
図3に示されるように、エアノズル10は、高圧のエアを導くための配管28にナット27を用いて接続固定される。
【0015】
配管28を通ってエアノズル10のエア流入口14に流入したエアは、連結部22の複数の貫通孔24を通った後、環状のエア噴射口26から大気中に噴射される。所定以上の圧力でエア流入口14から流入したエアは、大気圧まで膨張しきらずにエア噴射口26から噴射される。すなわち、所定以上の圧力でエア流入口14から流入したエアは、不足膨張噴流となって、エア噴射口26から噴射される。この不足膨張噴流は、軸芯部20の外面に案内され、軸芯部20の周囲を流れる。これにより、エアの振動が効果的に減衰され、騒音が低減すると考えられる。
【0016】
連結部22におけるエアの流路面積(複数の貫通孔24の合計断面積)は、エア噴射口26の面積の3倍以上である。これにより、エア噴射口26から噴射するエアの流速を十分に高くすることができる。筒部12の右端から外方に突出する軸芯部20の長さ(以下「軸芯部20の軸長」という)は、3mm以上15mm以下であるのが好ましい。この理由については後述する。
【0017】
次に、実験結果に基づくエアノズル10の騒音レベルおよび衝突圧について、公知の単孔ノズル30および公知の消音ノズル32と比較して説明する。比較対象である単孔ノズル30は、
図4Aに示されるように、単一の噴射口30aを有する先細ノズルである。また、比較対象である消音ノズル32は、
図4Bに示されるように、4つの噴射口32aを有するノズルであり、4つの噴射口32aは、ノズルの軸線回りに等角度に配置されている。
【0018】
使用したエアノズル10の軸芯部20の外径は3mmである。使用したエアノズル10の筒部12の小径孔16の内径は約3.6mmである。したがって、エアノズル10のエア噴射口26の面積は約4mm2である。使用した単孔ノズル30の噴射口30aの内径は2mmである。また、使用した消音ノズル32の各噴射口32aの内径は1mmである。すなわち、単孔ノズル30の噴射口30aの面積および消音ノズル32の4つの噴射口32aの面積がエアノズル10のエア噴射口26の面積と等しくなるように設定した。エアノズル10の軸芯部20の軸長については、1mm、3mm、5mm、7.5mm、10mm、15mm、20mmの7種類を用意した。
【0019】
エアノズル10、単孔ノズル30および消音ノズル32について測定された騒音レベルを
図5に示す。横軸は、ノズルのエア流入口において測定されたエアのゲージ圧(単位:MPa)である。縦軸は、JISB8379で定める騒音計測方法により、ノズルの軸線に対して45度方向の所定位置で測定された騒音レベル(単位:dB)である。以下、ノズルのエア流入口において測定されたエアのゲージ圧を「直前圧」という。
【0020】
図5に示されるように、エアノズル10の騒音レベルは、直前圧が0.1MPaから0.6MPaまで上昇するに伴って増大する。エアノズル10の騒音レベルは、軸芯部20の軸長が1mmの場合を除き、単孔ノズル30の騒音レベルよりも概ね10dB以上低く、消音ノズル32の騒音レベルと同程度であると評価できる。なお、エアノズル10において、直前圧が0.1MPa以上の場合、不足膨張噴流が発生すると考えられる。
【0021】
エアノズル10、単孔ノズル30および消音ノズル32について測定された衝突圧を
図6に示す。横軸は、直前圧(単位:MPa)である。縦軸は、ノズルの噴射口から所定距離離れた位置で測定された衝突圧(単位:kPa)である。衝突圧の測定に際しては、圧力センサが取り付けられたプレート(図示せず)を用意し、ノズルの噴射口から圧力センサまでの距離が40mmとなるように、ノズルの噴射口の鉛直方向下方にプレートを配置した。
【0022】
図6に示されるように、エアノズル10の衝突圧は、直前圧が0.1MPaから0.6MPaまで上昇するに伴って増大する。エアノズル10の衝突圧は、軸芯部20の軸長を3mmとした場合が最も大きい。エアノズル10の衝突圧は、軸芯部20の軸長を20mmとした場合を除き、消音ノズル32の衝突圧よりも十分に大きいと評価できる。
【0023】
上記実験結果によれば、必要な衝突圧を確保しつつ可及的に騒音を低減するためには、エアノズル10の軸芯部20の軸長を3mm以上15mm以下とするのが好ましいといえる。
図7は、上記エアノズル10の実験結果について、直前圧を軸芯部20の軸長と入れ替えることにより、軸芯部20の軸長と騒音レベルとの関係を分かり易く示したグラフである。また、
図8は、上記エアノズル10の実験結果について、直前圧を軸芯部20の軸長と入れ替えることにより、軸芯部20の軸長と衝突圧との関係を分かり易く示したグラフである。
【0024】
上記実験では、軸芯部20の外径を3mmとし、筒部12の小径孔16の内径を約3.6mmとしたが、軸芯部20の外径および筒部12の小径孔16の内径は、様々な寸法に設定することが可能である。軸芯部20の外径および筒部12の小径孔16の内径が大きくなると、軸芯部20の軸長について好ましい数値範囲も大きくなると考えられる。
【0025】
エアノズル10は、ブローガンあるいは種々のバルブに適用することができる。エアノズル10をブローガン34に適用した例を
図17に示す。作業者は、ブローガン34のハンドル36を握り、レバー38を引けば、エアノズル10からワークに向けてエアを噴射させることができる。
【0026】
本実施形態に係るエアノズル10によれば、筒部12の小径孔16の壁面と軸芯部20の外面との間に存在する隙間によって環状のエア噴射口26が構成され、軸芯部20が筒部12の先端から突出する。環状のエア噴射口26から噴射された不足膨張噴流が軸芯部20の周囲を流れるように構成されているので、エアノズル10に必要な衝突圧を確保しつつ、騒音を低減することができる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るエアノズル40について、
図9を参照しながら説明する。なお、第2実施形態に係るエアノズル40において、上述したエアノズル10と同一または同等の構成要素には同一の参照符号を付してある。
【0028】
エアノズル40の筒部12は、樹脂製の第1筒部12aおよび金属製の第2筒部12bから構成される。円筒状の第1筒部12aは、圧入により、円筒状の第2筒部12bに固定される。軸芯部20および連結部22は、例えば3Dプリンタにより、第1筒部12aと一体に樹脂成形される。
【0029】
軸芯部20は、円盤状の連結部22を介して第1筒部12aに連結される。第2筒部12bは、左端にエア流入口14を有し、第1筒部12aは、右端に小径孔16を有する。第2筒部12bは、外周に雄ねじ部18を有する。軸芯部20は、第1筒部12aの小径孔16に挿通される。第1筒部12aの小径孔16の壁面と軸芯部20の外面との間に存在する隙間によって、環状のエア噴射口26が構成される。軸芯部20は、第1筒部12aの右端(先端)から外方に突出する。
【0030】
連結部22は、エアの流路となる複数の貫通孔24を有する。第1実施形態の場合と同様に、連結部22におけるエアの流路面積(複数の貫通孔24の合計断面積)は、エア噴射口26の面積の3倍以上である。軸芯部20の軸長について好ましい数値範囲は、第1実施形態の場合と同様である。
【0031】
本実施形態に係るエアノズル40によれば、第1筒部12aの小径孔16の壁面と軸芯部20の外面との間に存在する隙間によって環状のエア噴射口26が構成され、軸芯部20が第1筒部12aの先端から突出する。このため、必要な衝突圧を確保しつつ騒音を低減することができる。また、軸芯部20および連結部22が第1筒部12aと一体に樹脂成形されるので、連結部22が筒部12と別部材である場合と比べて、エアの流路構造を精度良く再現できる。
【0032】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るエアノズル50について、
図10および
図11を参照しながら説明する。なお、第3実施形態に係るエアノズル50において、上述したエアノズル10と同一または同等の構成要素には同一の参照符号を付してある。
【0033】
エアノズル50は、筒部12、軸芯部20および連結部22から構成される。筒部12、軸芯部20および連結部22は、例えば3Dプリンタにより、一体に樹脂成形される。筒部12の小径孔16の壁面と軸芯部20の外面との間に存在する隙間によって、環状のエア噴射口26が構成される。軸芯部20は、筒部12の右端(先端)から外方に突出する。
【0034】
連結部22は、エアの流路となる複数の貫通孔24を有する。第1実施形態の場合と同様に、連結部22におけるエアの流路面積(複数の貫通孔24の合計断面積)は、エア噴射口26の面積の3倍以上である。軸芯部20の軸長について好ましい数値範囲は、第1実施形態の場合と同様である。
図11に示されるように、エアノズル50は、例えば、ワンタッチ継手52を介してマニホールド54に取り付けられる。
【0035】
本実施形態に係るエアノズル50によれば、筒部12の小径孔16の壁面と軸芯部20の外面との間に存在する隙間によって環状のエア噴射口26が構成され、軸芯部20が筒部12の先端から突出する。このため、必要な衝突圧を確保しつつ騒音を低減することができる。また、筒部12、軸芯部20および連結部22が一体に樹脂成形されるので、連結部22が筒部12と別部材である場合と比べて、エアの流路構造を精度良く再現できる。
【0036】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るエアノズル60について、
図12および
図13を参照しながら説明する。なお、第4実施形態に係るエアノズル60において、上述したエアノズル10と同一または同等の構成要素には同一の参照符号を付してある。
【0037】
エアノズル60は、筒部12、軸芯部20および連結部22から構成される。筒部12、軸芯部20および連結部22は、いずれも樹脂製であり、3Dプリンタまたは射出成形により、一体成形される。連結部22は、軸芯部20の外周から筒部12の内周まで放射状に延びる複数の翼部62によって構成される。本実施形態では、合計3つの翼部62がエアノズル60の軸線X回りに等角度おきに配置されている。しかしながら、翼部62の数は任意である。
【0038】
軸芯部20は、一様な外径を有し、複数の翼部62を介して筒部12に連結される。筒部12の小径孔16の壁面と軸芯部20の外面との間に存在する隙間によって、環状のエア噴射口26が構成される。軸芯部20は、筒部12の右端(先端)から外方に突出する。
【0039】
連結部22におけるエアの流路64は、筒部12の内面と、翼部62の側面と、軸芯部20の外面とによって画成される(
図13参照)。第1実施形態の場合と同様に、連結部22におけるエアの流路面積は、エア噴射口26の面積の3倍以上である。軸芯部20の軸長について好ましい数値範囲は、第1実施形態の場合と同様である。
【0040】
本実施形態に係るエアノズル60によれば、筒部12の小径孔16の壁面と軸芯部20の外面との間に存在する隙間によって環状のエア噴射口26が構成され、軸芯部20が筒部12の先端から突出する。このため、必要な衝突圧を確保しつつ騒音を低減することができる。また、軸芯部20の外周から筒部12の内周まで放射状に延びる翼部62によって連結部22が構成されるので、連結部22において大きな流路面積を容易に確保できる。
【0041】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係るエアノズル70について、
図14~
図16を参照しながら説明する。なお、第5実施形態に係るエアノズル70において、上述したエアノズル10と同一または同等の構成要素には同一の参照符号を付してある。
【0042】
エアノズル70は、筒部12、軸芯部20、連結部22および保護部74から構成される。筒部12、軸芯部20、連結部22および保護部74は、いずれも樹脂製であり、射出成形により一体成形される。連結部22は、軸芯部20の外周から筒部12の内周まで放射状に延びる複数の翼部72から構成される。翼部72の幅(エアノズル70の軸線Xに沿った長さ)は、一定ではなく、軸芯部20の近傍では小さくなっている。
【0043】
軸芯部20は、複数の翼部72を介して筒部12に連結される。筒部12の小径孔16の壁面と軸芯部20の外面との間に存在する隙間によって、環状のエア噴射口26が構成される。軸芯部20は、筒部12の右端(先端)から外方に突出する。本実施形態では、2つの翼部72が軸芯部20から反対方向に延びている(
図16参照)。しかしながら、翼部72の数は任意である。
【0044】
保護部74は、フランジ部76および複数の突出片78から構成される。環状のフランジ部76は、筒部12の外周から外方に拡がっている。突出片78は、フランジ部76の端面から右方に突出している。突出片78は、筒部12から突出する軸芯部20の周りに軸芯部20と所定距離隔てて配置される。突出片78は、軸芯部20の先端よりも僅かに右方に延びている(
図15参照)。複数の突出片78は、エアノズル70の軸線X回りに等角度おきに配置される。
【0045】
隣接する突出片78同士の隙間は、人間の手指が入り込めない大きさとなっている。軸芯部20の周りに複数の突出片78が配置されることによって、軸芯部20が外部と接触することが回避され、軸芯部20が損傷するおそれがない。また、エアノズル70が適用された装置を作業者が使用するとき、作業者が軸芯部20と接触するおそれがなく、作業者の安全性が向上する。本実施形態では、合計4つの突出片78が配置されているが、突出片78の数は、3以上であればよい。
【0046】
連結部22におけるエアの流路80は、筒部12の内面と、翼部72の側面と、軸芯部20の外面とによって画成される(
図16参照)。第1実施形態の場合と同様に、連結部22におけるエアの流路面積は、エア噴射口26の面積の3倍以上である。軸芯部20の軸長について好ましい数値範囲は、第1実施形態の場合と同様である。
【0047】
本実施形態に係るエアノズル70によれば、筒部12の小径孔16の壁面と軸芯部20の外面との間に存在する隙間によって環状のエア噴射口26が構成され、軸芯部20が筒部12の先端から突出する。このため、必要な衝突圧を確保しつつ騒音を低減することができる。また、軸芯部20の外周から筒部12の内周まで放射状に延びる翼部72によって連結部22が構成されるので、連結部22において大きな流路面積を容易に確保できる。さらに、軸芯部20の周りに複数の突出片78が配置されているので、軸芯部20の保護および作業者の安全性を図ることができる。
【0048】
本発明に係るエアノズルは、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0049】
10、40、50、60、70…エアノズル
12…筒部 12a…第1筒部
12b…第2筒部 16…小径孔
20…軸芯部 22…連結部
24…貫通孔 26…エア噴射口
62、72…翼部 74…保護部
76…フランジ部 78…突出片