(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122697
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】囲い構造体
(51)【国際特許分類】
E04H 17/14 20060101AFI20230829BHJP
E04H 17/16 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
E04H17/14 103Z
E04H17/16 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026344
(22)【出願日】2022-02-24
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】592089755
【氏名又は名称】株式会社タカショー
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(74)【代理人】
【識別番号】100150762
【弁理士】
【氏名又は名称】阿野 清孝
(72)【発明者】
【氏名】高岡 伸夫
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142DD06
2E142DD10
2E142DD13
2E142DD23
2E142HH03
2E142HH13
2E142HH22
2E142MM06
2E142NN01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】境界の外側からみた意匠性がスッキリとしたものとなるとともに、多くの部品在庫を抱えることなく、低コストで多種多様な意匠に変更することができる囲い構造体を提供することを目的としている。
【解決手段】境界の外側からみて、フェンス本体21の端部が、吊元門柱4aの境界外側方向面に被さるようにフェンス2aを設ける一方、門扉を回動中心が吊元門柱4aの内外方向の中心線より境界の外側方向にずれた位置になるように軸受けアーム7a、によって上下端を枢支し、境界の内外方向にそれぞれほぼ90°の回動角で回動可能な状態にするとともに、門扉を閉鎖位置まで回動させた状態で、門扉の境界外側方向面が、フェンス表面化粧材21aの境界外側方向面と同一平面内に位置するようにした。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊元門柱およびこの吊元門柱を介して回動可能に支持された門扉を有する門と、少なくとも前記門の前記吊元門柱に隣接して設けられるフェンスを備え、所望の境界に沿って前記境界の内外を仕切るように設けられる囲い構造体であって、
前記フェンスが、フェンス本体と、このフェンス本体を立設状態に支持する支柱を有し、
前記フェンス本体が、フェンス基体と、このフェンス基体の前記境界の外側に向かう面に被さる状態で前記フェンス基体に支持され、前記フェンス本体の最外面を構成するフェンス表面化粧材を備えるとともに、前記境界の外側からみて、少なくとも前記フェンス表面化粧材の端部が、前記吊元門柱の前記境界の外側に向かう面に被さった状態になっていて、
前記門扉は、前記吊元門柱側の端部が、前記吊元門柱に支持された上下の軸受けアームを介して前記吊元門柱の前記境界の内外方向の中心線より前記境界の外側方向にずれた位置に設けられた回動中心を中心に前記境界の内外方向にそれぞれほぼ90°の回動角で回動可能な状態に枢支されており、
かつ、前記門扉を閉鎖位置まで回動させた状態で、前記門扉の前記境界の外側に向かう面が、前記フェンス表面材の前記境界の外側に向かう面と同一平面内に位置するようになっていることを特徴とする囲い構造体。
【請求項2】
前記門扉が、フレーム部と、フレーム部の前記境界の外側に向かう面に被さるように設けられ、前記門扉の最外面を構成する門扉表面化粧材を有するとともに、
この門扉表面化粧材と、前記フェンス表面化粧材とが、水平方向に同じ高さ位置で並んでいる請求項1に記載の囲い構造体。
【請求項3】
前記門柱が、フェンス本体の一端を支持する支柱を兼ねている請求項1または請求項2に記載の囲い構造体。
【請求項4】
前記門扉を閉じた状態で、前記門扉と、前記フェンス本体との隙間が、前記門扉を前記仕切り区画の外側から見て、前記吊元門柱の門柱壁面を臨む位置に配置される請求項1~請求項3のいずれかに記載の囲い構造体。
【請求項5】
所望のピッチにねじ通孔が穿設された縦アタッチメントを備え、
前記門扉および前記フェンスが、複数の前記門扉表面化粧材または前記フェンス表面化粧材を備え、
前記門扉表面化粧材および前記フェンス表面化粧材が、ねじ通孔が穿設された縦アタッチメントを
それぞれ縦アタッチメントに前記隙間を保持するように支持固定されるとともに、前記縦アタッチメントが、前記門扉フレームまたは前記フェンス基体に固定されている請求項2~請求項4のいずれかに記載の囲い構造体。
【請求項6】
前記縦アタッチメントを、前記仕切り区画の内側からみて、視認不可状態にするカバー材を備えている請求項5に記載の囲い構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、建物の敷地内と敷地外との境界や、マンションの専有区画と共有通路などの共有スペースとの境界となる部分に敷設されて、境界の内外を仕切る囲い構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の敷地内と敷地外の境界や、マンションの専有区画と共有通路などの共有スペースの境界などで、境界の内外を仕切る囲い構造体としては、門と門に隣接して、フェンスやブロック塀を設けたものが一般的である(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-247569号公報
【特許文献2】特開2019-194413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような囲い構造体の場合、敷地外や共有スペース側の外側(以下、「囲い正面側」と記す)の意匠性が大きなウエートを占める。
また、上記従来の囲い構造体においては、門柱が囲い正面側に露出しているため、門柱と門扉は、同じ色合いのものが用いられて統一感のある意匠を確保しているのが一般的である。
【0005】
したがって、施主の要望に応えるために、同じ色合いや同じデザインの門柱および門扉を複数品揃えしているが、色合いやデザインの要求は施主によって多種多様で、それらすべてに対応しようとすれば、在庫コストや、製造コストがかかるため、限度がある。
【0006】
また、従来の門扉は、元門柱の、他方の吊元門柱あるいは戸当り門柱と対面する面に固定される固定側羽根板と、門扉の端面に固定される可動側羽根板と、可動側羽根板を固定側羽根板に対して回動可能に軸支する軸ピンを備え端面に固定丁番を介して吊元門柱に支持されて開閉方向に回動可能になっているため、次のような問題がある。
すなわち、丁番は、吊元門柱の、他方の吊元門柱あるいは戸当り門柱と対面する面に固定される固定側羽根板と、門扉の端面に固定される可動側羽根板と、可動側羽根板を固定側羽根板に対して回動可能に軸支する軸ピンを備えている。
【0007】
したがって、吊元門柱および門扉の端面との間に、固定側羽根板および可動側羽根板の厚み分だけ隙間が余分に生じるため、その分だけ門柱間の距離を余分に長くしなければならない。
一方、吊元門柱および門扉の端面に、固定側羽根板あるいは可動側羽根板が嵌まり込む穴や溝を設ければ、上記のような問題は解消できるが、吊元門柱および門扉の端面に座繰り穴や溝を設けなければならず、加工にコストがかかる。
また、上記丁番を用いた門の構造では、門柱を反転させるようにしなければ、内開き(外開き)の門扉を外開き(内開き)に変更する必要が生じた場合、門全体を反転させるなど大掛かりな工事が必要となり、コストがかかる。
【0008】
一方、
図26に示すような囲い構造体100が、既に上市されている。
すなわち、囲い構造体100は、門200が、門扉300と、吊元門柱400と、戸当り門柱500を備えている。
【0009】
そして、門扉300の吊元門柱400側の端部が、吊元門柱400から戸当り門柱500方向に延出する設けられた上下(図では上側しかあらわれていない)の軸受けアーム600に臨んでいる。
また、門扉300は、軸受けアーム600 に設けられた枢支軸610が門扉300の吊元門柱400側の端部の上面および下面に設けられた軸受け穴(図示せず)に嵌まり込んで枢支軸610を中心に門の内側にも外側にも90°ずつ回動可能に軸受けアーム600を介して吊元門柱400に支持されている。
【0010】
したがって、この門200は、門扉側および戸当り門柱側に取り付けられる戸当り部分を構成する部材を、内開き用あるいは外開き用の部材にそれぞれ付け替えるだけで、容易に外開きにも内開きにもすることができる。
しかしながら、この門200の場合も、特許文献1,2の囲い構造体と同様に、門柱が囲い正面側に露出するため、施主による多種多様な要求に応えるには、在庫コストや、製造コストが嵩むという問題がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みて、境界の外側からみた意匠性がスッキリとしたものとなるとともに、多くの在庫を抱えることなく、低コストで多種多様な意匠に変更することができる囲い構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の囲い構造体は、吊元門柱およびこの吊元門柱を介して回動可能に支持された門扉を有する門と、少なくとも前記門の前記吊元門柱に隣接して設けられるフェンスを備え、所望の境界に沿って前記境界の内外を仕切るように設けられる囲い構造体であって、前記フェンスが、フェンス本体と、このフェンス本体を立設状態に支持する支柱を有し、前記フェンス本体が、フェンス基体と、このフェンス基体の前記境界の外側に向かう面(以下、「境界外側方向面」と記す)に被さる状態で前記フェンス基体に支持され、前記フェンス本体の最外面を構成するフェンス表面化粧材を備えるとともに、前記境界の外側からみて、少なくとも前記フェンス表面化粧材の端部が、前記吊元門柱の前記境界外側方向面に被さった状態になっていて、前記門扉は、前記吊元門柱側の端部が、前記吊元門柱に支持された上下の軸受けアームを介して前記吊元門柱の前記境界の内外方向の中心線より前記境界の外側方向にずれた位置に設けられた回動中心を中心に前記境界の内外方向にそれぞれほぼ90°の回動角で回動可能な状態に枢支されており、かつ、前記門扉を閉鎖位置まで回動させた状態で、前記門扉の前記境界外側方向面が、前記フェンス表面材の前記境界外側方向面と同一平面内に位置するようになっていることを特徴としている。
【0013】
なお、本発明において、ほぼ90°とは、ピタリ90°だけでなく、5°前後の大小を含むことを意味し、製造誤差等により内側と、外側で若干回動角が異なっている場合も含む。
本発明において、境界とは、任意に設定され、特に限定されないが、たとえば、住宅の敷地と敷地外とを仕切る部分や、マンションの専有区画と共有通路などの共有スペースを仕切る部分、中庭と、外庭とを仕切る部分などが挙げられ、たとえば、境界線が、フェンス表面化粧材および門扉表面化粧材の最外面に一致するようにしても構わないし、囲い構造体の内外方向に中央に位置するようにしても構わない。
【0014】
本発明の囲い構造体において、門は、門扉が1枚でも2枚でも構わない。
すなわち、門扉が1枚の場合、門は、門扉の一端が吊元門柱に支持された上下の軸受けアームを介して回動可能に枢支され、門扉の他端が戸当り門柱の戸当りに当接して閉状態となる。
一方、門扉が2枚の場合は、2枚の門扉のそれぞれ一端が対面して設けられた一対の吊元門柱に上下の軸受けアームを介して回動可能に枢支され、両門扉の他端面がほぼ突きあう状態で閉状態となる。
【0015】
本発明の囲い構造体は、特に限定されないが、前記門扉が、フレーム部と、フレーム部の境界外側方向面に被さるように設けられ、前記門扉の最外面を構成する門扉表面化粧材を有するとともに、この門扉表面化粧材と、前記フェンス表面化粧材とが、水平方向に同じ高さ位置で並んでいる構成としてもよい。
すなわち、上記構成にすれば、囲い構造体の表面がフラット状態のすっきりとした外観になる。
【0016】
本発明の囲い構造体は、特に限定されないが、前記門柱が、フェンス本体の一端を支持する支柱を兼ねている構成としてもよい。
すなわち、上記構成にすれば、支柱の数を減らすことができ、コストダウンを図れるとともに、すっきりとした意匠感を得ることができる。
【0017】
本発明の囲い構造体は、特に限定されないが、前記門扉を閉じた状態で、前記門扉と、前記フェンス本体との隙間が、前記門扉を前記境界の外側から見て、前記吊元門柱の門柱壁面を臨む位置に配置される構成としてもよい。
すなわち、上記構成にすれば、境界の外側から門扉とフェンス本体の隙間を介して見えなくできるとともに、隙間が目立たず、見栄えもよくなる。
【0018】
本発明の囲い構造体は、特に限定されないが、所望のピッチにねじ通孔が穿設された縦アタッチメントを備え、前記門扉および前記フェンスが、複数の前記門扉表面化粧材または前記フェンス表面化粧材を備え、前記門扉表面化粧材および前記フェンス表面化粧材が、ねじ通孔が穿設された縦アタッチメントをそれぞれ縦アタッチメントに前記隙間を保持するように支持固定されるとともに、前記縦アタッチメントが、前記門扉フレームまたは前記フェンス基体に固定されている構成としてもよい。
すなわち、上記構成にすれば、縦アタッチメントによって、門扉表面化粧材および前記フェンス表面化粧材を、容易かつ正確に上下方向に所望のピッチで並んだ状態に位置固定することができる。
【0019】
本発明の囲い構造体は、特に限定されないが、前記縦アタッチメントを、前記境界の内側からみて、視認不可状態にするカバー材を備えている構成としてもよい。
すなわち、上記構成にすれば、門扉表面化粧材および前記フェンス表面化粧材を固定するビスが境界の内側から見えず、見栄えがよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の囲い構造体は、上記のように、吊元門柱およびこの吊元門柱を介して回動可能に支持された門扉を有する門と、少なくとも前記門の前記吊元門柱に隣接して設けられるフェンスを備え、所望の境界に沿って前記境界の内外を仕切るように設けられる囲い構造体であって、前記フェンスが、フェンス本体と、このフェンス本体を立設状態に支持する支柱を有し、前記フェンス本体が、フェンス基体と、このフェンス基体の前記境界の外側に向かう面(以下、「境界外側方向面」と記す)に被さる状態で前記フェンス基体に支持され、前記フェンス本体の最外面を構成するフェンス表面化粧材を備えるとともに、前記境界の外側からみて、少なくとも前記フェンス表面化粧材の端部が、前記吊元門柱の前記境界外側方向面に被さった状態になっていて、前記門扉は、前記吊元門柱側の端部が、前記吊元門柱に支持された上下の軸受けアームを介して前記吊元門柱の前記境界の内外方向の中心線より前記境界の外側方向にずれた位置に設けられた回動中心を中心に前記境界の内外方向にそれぞれほぼ90°の回動角で回動可能な状態に枢支されており、かつ、前記門扉を閉鎖位置まで回動させた状態で、前記門扉の前記境界外側方向面が、前記フェンス表面材の前記境界外側方向面と同一平面内に位置するようになっているので、以下のような優れた効果を奏する。
【0021】
すなわち、門扉が、前記境界の内外のいずれの方向にも90°の回動角で回動可能な枢支状態になっているので、内開きにも外開きにも使用可能であるとともに、開放状態で最大限の幅の通路を確保することができる。
すなわち、一対の門扉が、その一側面同士が突き合って閉状態となるようになった門においては、落とし棒を解除すれば、両門扉を閉状態から内側と外側のいずれにもほぼ90°回動させることができ、門扉開放により両門柱間の距離に近い最大限の幅の通路を確保できる。
また、一枚の門扉と、この一枚の門扉の一端を枢支する吊元門柱と、前記一枚の門扉の他端を受ける戸当り備えた戸当り門柱を有する門においては、門扉側および戸当り門柱側に取り付けられる戸当り部分を構成する部材を、内開き用あるいは外開き用の部材にそれぞれ付け替えるだけで、外開きにも内開きにも容易に変更できるとともに、外開きにした場合および内開きにした場合いずれにおいても門扉をほぼ90°回動させることができ、門扉開放により両門柱間の距離に近い最大限の幅の通路を確保できる。
【0022】
しかも、門扉が上下端で枢支されているだけであるので、門柱と門扉との隙間に障害物がなく、門柱と門扉の距離を少なくすることができるともに、見栄えがよい。
また、門柱の前記境界の外側に向かう面に少なくともフェンス表面化粧材が被さった状態になっているので、門柱の境界外側方向面が境界外から視認しにくく、門柱の意匠を変更することなく、表面化粧材のみの変更で囲い構造体表面の意匠を容易に変更することができる。
門扉が閉じた状態のとき、門扉の境界外側方向面が、フェンス表面材の表面と同一平面内に位置するようになっているので、囲い構造体の表面がフラット状態のすっきりとした外観になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の囲い構造体の第1の実施の形態をあらわす境界外側(以下、「正面」と記す)からみた斜視図である。
【
図2】
図1の囲い構造体の境界内側(以下、「背面」と記す)から見た斜視図である。
【
図8】
図1の囲い構図体の門扉を全開した状態の平面図である。
【
図11】
図1の囲い構造体に用いられる縦アタッチメントの平面図である。
【
図13】
図12の縦アタッチメントとフェンス表面化粧材との固定方法を説明する図
【
図14】
図11の縦アタッチメントを用いてフェンス表面化粧材を上下方向に平行に固定した状態を背面側からみた図である。
【
図15】
図14の状態の縦アタッチメントに縦桟を取りつける状態を説明する図である。
【
図16】
図15の縦框の上端に上アタッチメントを取り付けた状態の要部背面図である。
【
図17】
図16の上アタッチメントの上に上銅縁を固定した状態の要部背面図である。
【
図18】縦アタッチメントにカバー材を被せる状態を説明する図である。
【
図19】縦アタッチメントにカバー材を被せる状態の要部背面図である。
【
図20】本発明の囲い構造体の第2の実施の形態をあらわす正面図である。
【
図21】本発明の囲い構造体の第3の実施の形態をあらわす正面図である。
【
図23】本発明の囲い構造体の第4の実施の形態の正面図である。
【
図25】本発明の囲い構造体の第5の実施の形態のフェンス本体部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を、その実施の形態を参照して詳しく説明する。
図1~
図19は、本発明の囲い構造体の第1の実施の形態をあらわしている。
【0025】
図1~
図4に示すように、この囲い構造体Aは、たとえば、敷地と敷地外との境界に沿って設けられて境界の内外を仕切るようになっていて、門1aと、門1aの両側に設けられたフェンス2a,2aを備えている。
門1aは、門扉3aと、吊元門柱4aと、戸当り門柱5aを備えている。
【0026】
門扉3aは、
図2、
図4、
図8、あるいは、
図9に示すように、フレーム部31と、多数の門扉表面化粧材32を備えている。
フレーム部31は、
図9に示すように、その吊元側端部を形成する吊元側端部の上下面(
図9では上側しか現れてない)にそれぞれ軸受け穴31aが設けられている。
【0027】
また、フレーム部31は、
図9に示すように、戸当り門柱5a側の端部に戸当り部31bを備えている。
戸当り部31bは、その戸当り側に端面が、背面側から正面側に向かって徐々に吊元側に近づくようなテーパ面31cとなっていて、その一部からラッチ錠31dの先端が出没するようになっている。
【0028】
すべての門扉表面化粧材32は、同寸同大の断面矩形筒型をした筒状本体32aの両端が端部キャップ32bによって閉じられたものであって、上下方向に等ピッチかつ長手方向が水平となるように平行に並び、フレーム部31の正面側に被さるとともに、その境界外側方向面が同一平面内になるように、後述する縦アタッチメント80を介してフレーム部31に支持固定されている。
そして、門扉3aは、
図9に示すように、吊元側端部の上下に設けられた軸受け穴31aの部分が、後述する上下の軸受けアーム7a、7bの間に挟み込まれた状態になるとともに、軸受けアーム7a、7bに設けられた枢支軸71が軸受け穴31aに嵌まり込んで軸受けアーム7a、7bを介して吊元門柱4aに支持されるとともに、
図8に示すように、枢支軸71を中心にして境界の内側にも外側にもほぼ90°回動可能な状態に枢支されている。
【0029】
吊元門柱4aは、
図6に示すように、門柱本体41とキャップ42を備えている。
門柱本体41は、平面視四角形の1つのコーナー部が45°の角度の傾斜面41aに沿って切り欠かれた略5角形をして、傾斜面41aの中央部に後述する上下の軸受けアーム7a、7bの端部支持溝41bが上下方向に連続して設けられている。
キャップ42は、門柱本体41の上側の開口端を上部から塞いだ状態で、門柱本体41にビス固定されるようになっている。
【0030】
上下の軸受けアーム7a、7bは、図示していないが、それぞれ、その一端の門柱固定部が、門柱本体41の端部支持溝41bに嵌り込み、スライド可能になっていて、図示していないが、ビスを介して門柱本体41の所望の高さ位置に固定できるようになっている。
また、軸受けアーム7a、7bは、
図6に示すように、吊元門柱4aから境界外側に向かって閉じた状態の門扉3aに対して45°の角度で延出し、他端に門扉3aの軸受け穴31aに嵌り込む枢支軸71を備えている。
すなわち、枢支軸71は、吊元門柱4aの境界内外方向の中央を通る中心線Lより境界の外側方向にずれた位置に設けられている。
そして、このように軸受けアーム7a、7bを介して吊元門柱4aに支持された門扉3aは、閉じた状態で、
図6に示すように、後述するフェンス2のフェンス本体21のとの隙間Sが、吊元門柱4aに臨むようになっている。
【0031】
戸当り門柱5aは、
図7に示すように、平面視矩形の外形をした門柱本体51と、キャップ52を備え、門柱本体51の門扉3a側に壁面に戸当り部材53が固定されている。
戸当り部材53は、門扉3a側の面が、門扉3aのテーパ面31cに突き合うテーパ面53aになっていて、ラッチ錠31dが嵌まり込んで、門扉3aを閉状態に保持するストッパ穴(図示せず)が穿設されている。
戸当り門柱5aの境界外側方向面は、境界の外側から見て、門扉表面化粧材32と同数で、戸当り門柱5aの幅寸法とほぼ同じ長さで、門扉表面化粧材32が同じ高さ位置に配置された戸当り門柱表面化粧材55によって隠された状態になっている。
また、戸当り門柱表面化粧材55の境界外側方向面は、門扉3aを閉じた状態において、扉表面化粧材32の境界外側方向面とすべて同一平面内に位置するようになっている。
【0032】
フェンス2aは、それぞれフェンス本体21と、フェンス本体21を支持する1本の支柱22を備えている。
フェンス本体21は、フェンス基体20と、門扉表面化粧材32と同数で、門扉表面化粧材32と同じ高さ位置に同じピッチで配置されたフェンス表面化粧材21aを備えている。
また、すべてのフェンス表面化粧材21aは、門扉3aを閉じた状態において、その境界外側方向面が門扉表面化粧材32の境界外側方向面と同一平面内に位置するようになっている。
【0033】
吊元門柱4a側のフェンス2aは、
図6に示すように、フェンス本体21の吊元門柱4aと逆側の端部が支柱22によって支持され、フェンス本体21の吊元門柱4a側の端部が吊元門柱4aの境界外側方向面41cに被さった状態で、固定金具36を介して吊元門柱4aの門柱本体41に支持されている。
すなわち、吊元門柱4aの門柱本体41が一方のフェンス2aの支柱を兼ねている。
【0034】
一方、戸当り門柱5a側のフェンス2aは、
図7に示すように、固定金具25を介して戸当り門柱5aの門柱本体51に支持されている。
すなわち、戸当り門柱5aの門柱本体51が他方のフェンス2aの支柱を兼ねている。
【0035】
つぎに、
図11~
図19に基づいて、フェンス本体21の組立方法をその工程順に説明する。
(1)
図11、
図12に示すように、底部80bの両側に中空筒型をした側壁部80aを備えるとともに、底部80bに、フェンス表面化粧材21aの上下間隔と同じ間隔のねじ通孔80cが穿設されたフェンス基体20の一部を構成する3本の縦アタッチメント80を用意する。
(2)
図13、
図14に示すように、上下方向に配置される各フェンス表面化粧材21aの長手方向の3か所で縦アタッチメント80を各フェンス表面化粧材21aに対応するねじ通孔80cに合わせるとともに、それぞれフェンス表面化粧材21aに直交させた状態にして、底部80bのねじ通孔80cを介してタッピングねじ82を各フェンス表面化粧材21aの背面壁にねじ込んでフェンス表面化粧材21aを縦アタッチメント80に固定する。
すなわち、この固定によって、各フェンス表面化粧材21aは、ねじ通孔80cのピッチに応じた間隔に保持された状態で3本の縦アタッチメント80に支持された状態になる。
また、縦アタッチメント80の上下端には、
図11に示すキャップ81が嵌合された状態になる。
(3)
図16に示すように、フェンス基体20の一部を構成し、後述するフェンス基体の一部を構成する上下のアタッチメント85、上下の胴縁86の取り付けスペース分だけ縦アタッチメント80より短い寸法の縦桟83を用意し、各縦アタッチメント80の上下に の取付スペースをそれぞれ残した状態で、
図15に示すように、縦桟83の両側に張り出す固定部83bを縦アタッチメント80の側壁部80aの天面に沿わせたのち、タッピンねじ84を固定部83b側から側壁部80aの天面に設けた下穴80dにねじ込み、縦桟83を各縦アタッチメント80に固定する。
(4)
図16に示すように、各縦桟83の上面に沿うように、フェンス基体20の一部を構成する上側の胴縁用のアタッチメント85を取り付けるとともに、図示していないが、縦桟83の下面に下側の胴縁用のアタッチメント85を取り付ける。
(5)
図17に示すように、上側の胴縁用のアタッチメント85にフェンス基体20の一部を構成する上側の胴縁86をスライド嵌合させる。図示していないが、同様にして下側の胴縁用のアタッチメント85に下側の胴縁86をスライド嵌合させる。
(6)
図18に示すように、上下の胴縁86の間の縦アタッチメント80および縦桟83の上から断面コ字形をしたカバー材87を、その底に設けられた係止突条87a、87aが縦桟83から突出する係合突条83a、83aに係合状態となるように被せて、カバー材87によって縦アタッチメント80および縦桟83が、境界の内側から視認できないようにしてフェンス本体21を形成する。
【0036】
一方、門扉3aは、各門扉表面化粧材32が、フェンス表面化粧材21aの縦アタッチメント80と同様の形状をした縦アタッチメント80を介してフェンス表面化粧材21aと同じ上下ピッチに支持された状態で、
図10に示すように、フレーム部31の一部を構成する支持金具38を介してフレーム部31にビス固定されたのち、フレーム部31の一部を構成するカバー材39を介してビス固定部が視認できないようにカバーされている。
【0037】
この囲い構造体Aは、以上のようになっているので、以下のような優れた効果を備えている。
(1)門扉3aが、境界の内外のいずれの方向にも90°の回動角で回動可能な枢支状態になっているので、門扉側のラッチ錠31dを含む戸当り部31bおよび戸当り門柱側の戸当り部材53を、外開き用の戸当り部材にそれぞれ付け替えるだけで、外開きに容易に変更可能であるとともに、開放状態で最大限の幅の通路を確保することができる。
(2)門扉3aが上下端で枢支されているだけであるので、吊元門柱4aと門扉3aとの隙間に障害物がなく、吊元門柱4aと門扉3aの距離を少なくすることができるともに、見栄えがよい。
(3)門扉3aとフェンス本体21の隙間Sが吊元門柱4aに臨んでいるので、隙間Sを介して境界の内側が視認できず、見栄えがよい。
(4)吊元門柱4aの境界外側方向面41cにフェンス本体21が被さった状態になっているので、吊元門柱4aの境界外側方向面41cが境界外から視認しにくく、吊元門柱4aの意匠を変更することなく、門扉表面化粧材32、フェンス表面化粧材21aおよび戸当り門柱表面化粧材51の色や、寸法、組み合わせ、間隔などを変更するだけで囲い構造体Aの表面の意匠を容易に変更することができる。
すなわち、多数の部品在庫を抱えることなく、意匠性の異なる囲い構造体を低コストで多数製造することができる。
(5)門扉3aが閉じた状態のとき、門扉表面化粧材32の境界外側方向面が、フェンス表面化粧材21aの表面と同一平面内に位置するようになっているので、囲い構造体Aの表面が境界の外側から見てフラット状態のすっきりとした外観になる。
(6)門扉3aが、フレーム部31と、フレーム部31の境界外側方向面に被さるように設けられ、門扉3aの最外面を構成する門扉表面化粧材32を有するとともに、この門扉表面化粧材32と、フェンス表面化粧材21aが、水平方向に同じ高さ位置で並んでいるので、囲い構造体Aの表面がフラット状態のすっきりとした外観になる。
(7)吊元門柱4aおよび戸当り門柱5aが、フェンス本体21の一端を支持する支柱を兼ねているので、支柱22の数を減らすことができ、コストダウンを図れるとともに、すっきりとした意匠感を得ることができる。
(8)縦アタッチメント80の底部80bに予め上下の門扉表面化粧材32(フェンス表面化粧材21a)所望のピッチにねじ通孔が穿設された縦アタッチメント80によって、上下の門扉表面化粧材32(フェンス表面化粧材21a)が、所望のピッチに保持されるようになっているので、門扉表面化粧材32およびフェンス表面化粧材21aを、容易かつ正確に上下方向に所望のピッチで並んだ状態に位置固定することができる。
(9)縦アタッチメント80が、カバー材39によってカバーされているので、門扉表面化粧材32およびフェンス表面化粧材21aを固定するタッピングねじ82が境界の内側から見えず、見栄えがよい。
(10)枢支軸71が吊元門柱4aの境界内外方向の中心軸より境界の外側方向にずれた位置に設けられているので、門扉3aのフレーム31の厚みを薄くすることができ、コストダウンを図ることができる。
【0038】
図20は、本発明の囲い構造体の第2の実施の形態をあらわしている。
図20に示すように、この囲い構造体Bは、門1bが、第1の実施の形態と同様の吊元門柱4aを、その傾斜面41a同士が対面した状態に立設し、一方の吊元門柱4aに第1の実施の形態の門扉1aを軸受けアーム7a、7bによって境界の内外方向にほぼ90°ずつ回動するように枢支するとともに、他方の吊元門柱4aに、第1の実施の形態の戸当り門柱5aの戸当り53と同様の戸当りを備えるとともに、落とし棒13を備えた門扉3bを軸受けアーム7a、7bによって境界の内外方向にほぼ90°ずつ回動するように枢支するようにした以外は、上記第1の実施の形態と同様になっている。
【0039】
この囲い構造体Bは、上記のようになっており、上記第1の実施の形態の囲い構造体Aと同様の効果を備えているととも、落とし棒13を引き上げれば、両側の門扉3a、3bを内開きにも外開きにもすることができる。
【0040】
図21、
図22は、本発明の囲い構造体の第3の実施の形態をあらわしている。
図21、
図22に示すように、この囲い構造体Cは、両側のフェンス2b、2bがそれぞれ両端部に支柱22を備えて、フェンス本体21が固定金具25あるいは固定金具36で吊元門柱4a、戸当り門柱5aに固定されず、この2本の支柱22のみでそれぞれコンクリート床等に支持されている以外は、上記第1の実施の形態と同様になっている。
【0041】
図23、
図24は、本発明の囲い構造体の第4の実施の形態をあらわしている。
図23、
図24に示すように、この囲い構造体Dは、以下に述べる点以外は、上記第1の実施の形態と同様になっている。
【0042】
すなわち、囲い構造体Dは、吊元門柱4bおよび戸当り門柱5aの上端が、フェンス本体2aの上端とほぼ一致している。
そして、吊元門柱4bは、平面視正方形の門柱本体45を備え、上側の軸受けアーム7cが、吊元門柱4bの門柱本体45の上端を閉じる蓋と一体化されている。
【0043】
また、下側の軸受けアーム7dは、その基端側(図示せず)が、門柱本体45に嵌合して、門柱本体45に支持されている。
そして、その他の構成は、第1の実施の形態と同様になっている。
なお、1cは門である。
【0044】
図25は、本発明の囲い構造体の第5の実施の形態のフェンス本体をあらわしている。
図25に示すように、この囲い構造体は、フェンス本体24が、上下寸法が異なる3種類のフェンス表面化粧材24a、24b、24cを備え、これらのフェンス表面化粧材24a、24b、24cが、
図25に示すような上下方向に配列で、フェンス基体に固定さえいる以外は、上記第1の実施の形態のフェンス本体21と同様になっている。
また、この囲い構造体は、図示していないが、門扉表面化粧材および戸当り門柱表面化粧材も、フェンス表面化粧材24a、24b、24cと上下寸法が一致するとともに、境界外側方向面が同一平面内に位置するようになっている。
すなわち、この囲い構造体は、フェンスおよび門扉の意匠性が異なる以外は、上記第1の実施の形態と同様になっている。
【0045】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。上記の実施の形態では、吊元門柱の門柱本体が平面視5角形や正方形であったが、6角形、円形、楕円形でも構わない。
上記の実施の形態では、戸当り門柱の境界外側方向面が短尺の戸当り門柱表面化粧材によって、化粧されていたが、戸当り門柱側のフェンスのフェンス表面化粧材をフェンス基材より戸当り門柱側に突出させた状態にして、その突出部が、戸当り門柱の境界外側方向面に被さるようにしても構わない。
【0046】
上記の実施の形態では、軸受けアームが、閉じた状態の門扉に対して45°の角度で吊元門柱から延出するように設けられていたが、枢支軸をずらすことができれば、特に限定されず、たとえば、平面視L字形にしても構わない。
上記の実施の形態では、フェンス表面化粧材、門扉表面化粧材および戸当り門柱表面化粧材が、その長手方向を水平方向にして上下方向に平行に設けられていたが、フェンス表面化粧材、門扉表面化粧材および戸当り門柱表面化粧材の長手方向を垂直方向に向けて縦格子状に配置しても構わないし、長手方向が垂直方向に対して一定角度で傾斜する斜め格子状としても構わないし、フェンスおよび門扉のフェンス表面化粧材、門扉表面化粧材および戸当り門柱表面化粧材をそれぞれ一枚板状体で構成するようにしても構わない。
【符号の説明】
【0047】
A,B、C、D 囲い構造体
1a、1b、1c 門
13 落とし棒
2a、2b フェンス
20 フェンス基体
21 フェンス本体
21a フェンス表面化粧材
21b 筒状本体(フェンス表面化粧材)
21c 端部キャップ(フェンス表面化粧材)
22 支柱
24 フェンス本体
24a、24b、24c フェンス表面化粧材
25 固定金具
3a、3b 門扉
31 フレーム部
31a 軸受け穴
31b 戸当り部
31c テーパ面
31d ラッチ錠
32 門扉表面化粧材
32a 筒状本体
32b 端部キャップ
36 固定金具
38 支持金具
39 カバー材
4a、4b 吊元門柱
41 門柱本体
41a 傾斜面
41b 端部支持溝
41c 境界外側方向面
42 キャップ
45 門柱本体
5a 戸当り門柱
51 門柱本体
52 キャップ
53 戸当り部材
53a テーパ面
55 戸当り門柱表面化粧材
7a、7b、7c、7d 軸受けアーム
71 枢支軸
80 縦アタッチメント(フェンス基体)
80a 側壁部
80b 底部
80c ねじ通孔
80d 下穴
81 キャップ
82、84 タッピングねじ
83 縦桟(フェンス基体)
83a 係合突条
83b 固定部
85 アタッチメント(フェンス基体)
86 胴縁(フェンス基体)
87 カバー材(フェンス基体)
87a 係止突条