(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122723
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】カラオケシステム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026381
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】関澤 武史
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208CA06
5D208CG06
5D208CG10
(57)【要約】
【課題】利用者がリモコン装置を再び手にしたときに容易に操作を再開できるカラオケシステムを提供する。
【解決手段】カラオケシステム(1)は、操作画面(29)を持ったリモコン装置(R)と、リモコン装置に通信可能に接続されたカラオケ装置(K)と、を備えている。リモコン装置は、利用者の顔画像に基づいてリモコン装置を操作する利用者の変更を検出する検出部(22)と、変更前の利用者の操作履歴をカラオケ装置にバックアップするバックアップ部(23)と、変更後の利用者の操作履歴の送信をカラオケ装置に要求する要求部(24)と、カラオケ装置から受信した操作履歴に基づいて操作画面を更新する更新部(25)と、を有している。カラオケ装置は、リモコン装置から受信した操作履歴のバックアップを記憶する記憶部(31)と、変更後の利用者の操作履歴をリモコン装置に送信する送信部(32)と、を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作画面によって操作を受け付けるリモコン装置と、前記リモコン装置に通信可能に接続されたカラオケ装置と、を備えたカラオケシステムであって、
前記リモコン装置は、
撮像手段に撮像された利用者の顔画像に基づいて、前記リモコン装置を操作する利用者の変更を検出する検出部と、
利用者の変更が検出された場合に、変更前の利用者の操作履歴と顔画像データを対応付けて前記カラオケ装置にバックアップするバックアップ部と、
利用者の変更が検出された場合に、変更後の利用者の顔画像データに対応付けられた操作履歴の送信を前記カラオケ装置に対して要求する要求部と、
要求に応じて前記カラオケ装置から受信した操作履歴に基づいて、前記リモコン装置の操作画面を更新する更新部と、を有し、
前記カラオケ装置は、
前記リモコン装置から受信した操作履歴と顔画像データのバックアップを記憶する記憶部と、
前記リモコン装置からの要求に応じて、変更後の利用者の顔画像データに対応付けられた操作履歴を読み出して前記リモコン装置に送信する送信部と、を有していることを特徴とするカラオケシステム。
【請求項2】
前記送信部は、変更後の利用者の顔画像データに対応付けられた操作履歴が記憶されていない場合に、所定画面に対応した操作履歴を前記リモコン装置に送信することを特徴とする請求項1に記載のカラオケシステム。
【請求項3】
前記リモコン装置は、
利用者の変更が検出された場合に、前記リモコン装置の装置識別情報を前記カラオケ装置に通知する通知部を有し、
前記カラオケ装置は、
装置識別情報の受信からの経過時間が所定時間を超えたか否かを判定する判定部と、
経過時間が所定時間を超えた場合に、当該装置識別情報に対応するリモコン装置の長時間の操作を報知する報知部と、を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケボックスやカラオケスナック等で複数の利用者がカラオケ装置を利用するときに、他の利用者や店舗スタッフに頼まれて、利用者が操作中のリモコン装置を手放すことがある。この利用者が再びリモコンを手にしたときには、初めから操作し直さなければならず煩わしいものになっていた。そこで、リモコン装置を手にした利用者が変わる度に、利用者の識別情報に操作履歴を対応付けて記憶したり呼び出したりすることで、1つのリモコン装置を複数の利用者の間で使い回す技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のカラオケシステムでは、リモコン装置に指紋センサーが設けられている。利用者が予め指紋をカラオケサービスに登録しておき、指紋センサーに利用者の指紋が読み取られることで、リモコン装置で指紋認証が行われた利用者がカラオケサービスにログイン可能になっている。ある利用者から他の利用者にリモコン装置が渡されて、指紋センサーに他の利用者の指紋が読み取られると、利用者の現在の画面が一時的にリモコン装置のメモリに退避されて、この利用者の指紋が指紋センサーに再び読み取られたときに前回の画面がメモリから読み出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカラオケシステムでは、リモコン装置を受け取る度に識別情報を入力する必要はないが、カラオケサービスへのログイン操作自体が煩わしいものになっている。特に、カラオケスナック等のようなナイト店では、利用者にログインさせない店舗の方が圧倒的に多い。また、店舗によってはカラオケ装置に複数のリモコン装置が接続されている場合があるが、利用者が操作していたリモコン装置を手放し、この利用者が別のリモコン装置を操作する際には初めから操作し直さなければならない。
【0006】
本発明の目的は、利用者がリモコン装置を再び手にしたときに容易に操作を再開できるカラオケシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、操作画面によって操作を受け付けるリモコン装置と、前記リモコン装置に通信可能に接続されたカラオケ装置と、を備えたカラオケシステムであって、前記リモコン装置は、撮像手段に撮像された利用者の顔画像に基づいて、前記リモコン装置を操作する利用者の変更を検出する検出部と、利用者の変更が検出された場合に、変更前の利用者の操作履歴と顔画像データを対応付けて前記カラオケ装置にバックアップするバックアップ部と、利用者の変更が検出された場合に、変更後の利用者の顔画像データに対応付けられた操作履歴の送信を前記カラオケ装置に対して要求する要求部と、要求に応じて前記カラオケ装置から受信した操作履歴に基づいて、前記リモコン装置の操作画面を更新する更新部と、を有し、前記カラオケ装置は、前記リモコン装置から受信した操作履歴と顔画像データのバックアップを記憶する記憶部と、前記リモコン装置からの要求に応じて、変更後の利用者の顔画像データに対応付けられた操作履歴を読み出して前記リモコン装置に送信する送信部と、を有していることを特徴とするカラオケシステムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、利用者が操作していたリモコン装置を手放して、他の利用者がリモコン装置を手にすると、撮像手段に撮像された顔画像に基づいて利用者の変更が検出されて、利用者の顔画像データと操作履歴がカラオケ装置にバックアップされる。他の利用者にリモコン装置の操作画面が切り替えられても、利用者が再びリモコン装置を手にしたときに、バックアップされた操作履歴に基づいてリモコン装置の操作画面が更新されて、前回の操作画面から操作を再開できる。このように、ログイン操作をすることなく、複数の利用者の間でリモコン装置を使い回すことができる。特に複数のリモコン装置がカラオケ装置に接続されている場合にも、利用者が操作していたリモコン装置を手放し、この利用者が別のリモコン装置を操作しても、リモコン装置の間で操作履歴が引き継がれて前回の操作画面から操作を再開できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態のカラオケシステムの構成図である。
【
図2】第1実施形態のカラオケシステムの機能ブロック図である。
【
図3】第1実施形態のリモコン装置の使用状況を示す一例である。
【
図4】第1実施形態のカラオケシステムの処理動作の一例を示すフロー図である。
【
図5】第2実施形態のカラオケシステムの機能ブロック図である。
【
図6】第2実施形態のカラオケシステムの処理動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1及び
図2を参照して、第1実施形態のカラオケシステムについて説明する。
図1は、第1実施形態のカラオケシステムの構成図である。
図2は、第1実施形態のカラオケシステムの機能ブロック図である。なお、
図2の機能ブロック図には、説明の便宜上、特定処理を実現するための機能ブロックを図示しているが、カラオケシステムが通常備える構成については備えているものとする。
【0011】
図1に示すように、カラオケシステム1は、利用者が予約した楽曲の演奏に合わせて歌唱を楽しむためのシステムであり、カラオケ装置Kと、モニタ11と、スピーカ12と、マイクロフォン13と、リモコン装置Rと、を備えている。モニタ11は、カラオケ装置Kからの映像信号等に基づいて、カラオケ演奏に合わせて背景映像と共に歌詞テロップ等を表示する。マイクロフォン13は、利用者の歌唱音声を歌唱音声信号に変換してカラオケ装置Kに入力する。スピーカ12は、カラオケ装置Kからの演奏音信号及びマイクロフォン13からの歌唱音声信号に基づいて演奏音と共に利用者の歌唱音声を放音する。
【0012】
リモコン装置Rには操作パネル等の操作画面29が設けられている。リモコン装置Rの操作画面29には検索メニューや検索結果等の各種情報が表示され、操作画面29がカラオケ装置Kに対する楽曲の予約操作等の各種操作を受け付けている。リモコン装置Rとカラオケ装置Kは近距離無線通信を介してペアリングされており、リモコン装置Rとカラオケ装置Kの間で各種情報が相互に送受信される。リモコン装置Rによって楽曲が検索され、操作画面29に表示された転送ボタンのタッチによって予約操作が完了して、リモコン装置Rからカラオケ装置Kに予約楽曲が通知される。
【0013】
カラオケ装置Kによってカラオケ演奏が開始されると、カラオケ演奏に合わせて歌詞テロップと背景映像がモニタ11に表示される。カラオケ装置Kではカラオケ演奏の演奏音信号とマイクロフォン13から入力された歌唱音声信号がミキサによってミキシングされて、このミキシング信号がアンプによって増幅されてスピーカ12から放音される。このように、利用者がカラオケ演奏に合わせて歌唱すると、スピーカ12から演奏音と共に歌唱音声が放音される。また、カラオケ装置Kによって利用者の歌唱力が採点されて採点結果がモニタ11に表示される。
【0014】
図2に示すように、カラオケシステム1は、リモコン装置Rとカラオケ装置Kが通信可能に接続されている。このカラオケシステム1では、利用者がリモコン装置Rを手放しても、この利用者が再びリモコン装置Rを手にしたときに、前回の操作画面29から操作を再開できるように、利用者の操作履歴がカラオケ装置Kにバックアップされている。リモコン装置Rには、撮像手段21と、検出部22と、バックアップ部23と、要求部24と、更新部25と、操作画面29と、が設けられている。ここでは、1台のリモコン装置Rが図示されているが、カラオケ装置Kには複数台のリモコン装置Rが接続されていてもよい。
【0015】
撮像手段21は、操作画面29を操作している利用者の顔画像を撮像している。撮像手段21はリモコン装置Rの操作画面29付近のカメラで構成されており、リモコン装置Rの操作画面29を見ながら操作する利用者の顔がカメラの視野に収められている。撮像手段21によって利用者の顔画像が撮像されることで、リモコン装置Rを操作している利用者が自動的に識別されている。よって、本実施形態のカラオケシステム1においては、リモコン装置Rを操作している利用者を識別するために、カラオケシステム1に対して利用者にログインさせる必要がない。
【0016】
検出部22は、撮像手段21に撮像された利用者の顔画像に基づいて、リモコン装置Rを操作する利用者の変更を検出している。例えば、検出部22は、撮像手段21に撮像された利用者の顔画像を所定周期でサンプリングして顔画像データを生成し、前回のサンプリングで生成した顔画像データと今回のサンプリングで生成した顔画像データを比較して利用者の変更を検出している。より詳細には、撮像手段21から入力された顔画像に対して、顔画像から顔領域を抽出する顔領域抽出処理、顔領域から顔画像データとして顔画像の特徴量を抽出する特徴量抽出処理等の画像処理が施される。
【0017】
顔領域抽出処理としては、顔画像のエッジ検出を利用した方法、顔画像の画素値(色値)を利用した方法、パターンマッチングを利用した方法、ニューラルネットワークを利用した方法、これらを組み合わせた方法等の既知の方法が採用される。特徴量抽出処理としては、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)、SURF(Speed-Upped Robust Feature)等の既知の方法が採用される。顔画像の特徴量としては、例えば、目頭、目尻、鼻翼、口角、顎先等の濃淡の変化が大きな顔画像の輪郭的特徴を示す点が抽出される。
【0018】
前回のサンプリング時に抽出(生成)された顔画像の特徴量と今回のサンプリング時に抽出(生成)された顔画像の特徴量が照合される。そして、前回と今回のサンプリング時に抽出された顔画像の特徴量が所定の類似度以上のときには利用者の変更が検出されず、前回と今回のサンプリング時に抽出された顔画像の特徴量が所定の類似度を下回ったときに利用者の変更が検出される。検出部22は、利用者の変更を検出すると、前回のサンプリング時の顔画像の特徴量を変更前の顔画像データとし、今回のサンプリング時の顔画像の特徴量を変更後の顔画像データとする。
【0019】
バックアップ部23は、利用者の変更が検出された場合に、変更前の利用者の操作履歴と顔画像データ(特徴量)を対応付けてカラオケ装置Kにバックアップする。この場合、変更前の利用者の操作履歴と顔画像データが対応付けられてリモコン装置Rからカラオケ装置Kに送信される。このように、利用者がリモコン装置Rを手放したときに操作状況が自動的にバックアップされる。なお、操作履歴は、利用者によるリモコン装置Rの操作の記録である。リモコン装置Rのメモリに操作履歴が一時的に記憶されており、利用者によるリモコン装置Rの操作画面29の操作に応じて操作履歴が更新される。
【0020】
要求部24は、利用者の変更が検出された場合に、変更後の利用者の顔画像データに対応付けられた操作履歴の送信をカラオケ装置Kに対して要求する。この場合、変更後の利用者の顔画像データを含むリクエスト信号がリモコン装置Rからカラオケ装置Kに送信される。更新部25は、要求に応じてカラオケ装置Kから受信した操作履歴に基づいてリモコン装置Rの操作画面29を更新する。この場合、カラオケ装置Kから受信したレスポンス信号に含まれる操作履歴が取り出され、操作履歴が反映されるようにリモコン装置Rの操作画面29が更新される。
【0021】
カラオケ装置Kには、記憶部31と、送信部32と、が設けられている。記憶部31は、リモコン装置Rから受信した操作履歴と顔画像データのバックアップを記憶している。送信部32は、リモコン装置Rからの要求に応じて、変更後の利用者の顔画像データに対応付けられた操作履歴を読み出してリモコン装置Rに送信する。この場合、リクエスト信号と顔画像データが類似するバックアップデータが特定され、このバックアップデータの操作履歴が読み出される。そして、操作履歴を含むレスポンス信号がカラオケ装置Kからリモコン装置Rに送信される。
【0022】
なお、カラオケ装置Kは、操作履歴に対応付けて送信された顔画像データを「変更前の利用者の顔画像データ」と見做し、操作履歴に対応付けずに送信された顔画像データを「変更後の利用者の顔画像データ」と見做してもよい。また、リモコン装置Rの操作画面29がカラオケ装置Kからの操作履歴に基づいて更新された後に、リモコン装置Rの操作履歴には利用者の操作が反映される。さらに、リモコン装置Rによってカラオケ装置Kに顔画像データと操作履歴がバックアップされる度に、カラオケ装置Kの記憶部31に記憶された顔画像データと操作履歴が上書きされる。
【0023】
なお、カラオケシステム1の各部の処理は、プロセッサを用いてソフトウェアによって実現されてもよいし、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。プロセッサを用いる場合には、プロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで各種処理が実施される。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)が使用される。また、メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体によって構成されている。
【0024】
続いて、ナイト店舗でのリモコン装置の使用状況について具体例を挙げて説明する。
図3は、第1実施形態のリモコン装置の使用状況を示す一例である。なお、
図3では、
図2の符号を適宜使用して説明する。ここでは、装置識別情報ID***R1のリモコン装置をリモコン装置R1とし、装置識別情報ID***R2のリモコン装置をリモコン装置R2として説明する。
【0025】
カラオケシステム1は、座席数10程度の小規模なカラオケスナック等のナイト店舗に設置され、1名の店舗スタッフが接客及びカラオケ装置Kの操作を担当している。カラオケ装置Kには2つのリモコン装置R1、R2が接続(ペアリング)されており、各リモコン装置R1、R2は主に楽曲の検索に利用されている。店舗スタッフは、リモコン装置R1、R2の操作やカラオケ歌唱が特定の利用者に偏らないように留意しながら接客している。なお、カラオケ装置Kには1台のリモコン装置が接続されていてもよいし、カラオケ装置Kには3台以上のリモコン装置が接続されていてもよい。
【0026】
図3(A)に示すように、時刻T0に利用者U1、U2が店内のカウンターに着席している。このとき、利用者U1によってリモコン装置R1が操作されており、利用者U2によってリモコン装置R2が操作されている。リモコン装置R1の撮像手段21によって利用者U1の顔画像が撮像されて、リモコン装置R2の撮像手段21によって顔画像が撮像されている。リモコン装置R1、R2の各検出部22では利用者U1、U2の顔画像データ(特徴量)FD1、FD2が生成されている。また、リモコン装置R1、R2の各メモリには利用者U1、U2の操作履歴OH1、OH2が記憶されている。
【0027】
図3(B)に示すように、時刻T1に利用者U3が入店してカウンターに着席する。このとき、利用者U1によってリモコン装置R1が操作され、利用者U2によってリモコン装置R2が操作されており、利用者U3はリモコン装置R1、R2のいずれも手にしていない。このため、リモコン装置R1の撮像手段21によって利用者U1の顔画像が撮像され続け、リモコン装置R2の撮像手段21によって利用者U2の顔画像が撮像され続けている。また、リモコン装置R1、R2の各メモリには利用者U1、U2の操作履歴OH1、OH2が記憶されている。
【0028】
図3(C)に示すように、時刻T2に利用者U1が店舗スタッフに頼まれて、利用者U1が操作していたリモコン装置R1が利用者U3に手渡される。このとき、リモコン装置R1の撮像手段21によって利用者U3の顔画像が撮像され、リモコン装置R1の検出部22によって利用者U3の顔画像データFD3が生成される。検出部22によって前回のサンプリング時の利用者U1の顔画像データFD1と今回のサンプリング時の利用者U3の顔画像データFD3が比較され、リモコン装置R1の使用者の変更が検出される。
【0029】
リモコン装置R1の検出部22によって利用者の変更が検出されると、リモコン装置R1のバックアップ部23によって利用者U1の顔画像データFD1と操作履歴OH1が対応付けられてカラオケ装置Kに送信される。カラオケ装置Kでは、リモコン装置R1から受信した顔画像データFD1と操作履歴OH1のバックアップが記憶部31に記憶される。また、リモコン装置R1の要求部24によって顔画像データFD3を含むリクエスト信号がカラオケ装置Kに送信されて、カラオケ装置Kに対して利用者U3の操作履歴の送信が要求される。
【0030】
時刻T2時点では、カラオケ装置Kの記憶部31には顔画像データFD3に対応付けられた操作履歴が記憶されていない。このため、カラオケ装置Kの送信部32はリクエスト信号に対応するレスポンス信号を送信しない。カラオケ装置Kからリモコン装置R1に操作履歴が送信されないため、リモコン装置R1の更新部25によって操作画面29が更新されない。また、時刻T2時点では、リモコン装置R2が利用者U2に操作されている。リモコン装置R2の撮像手段21に利用者U2の顔画像が撮像され続けて、リモコン装置R2の検出部22では利用者の変更が検出されない。
【0031】
図3(D)に示すように、時刻T3に利用者U2が店舗スタッフに頼まれて、利用者U2が操作していたリモコン装置R2が利用者U1に手渡される。このとき、リモコン装置R2の撮像手段21によって利用者U1の顔画像が撮像され、リモコン装置R2の検出部22によって利用者U1の顔画像データFD1が生成される。検出部22によって前回のサンプリング時の利用者U2の顔画像データFD2と今回のサンプリング時の利用者U1の顔画像データFD1が比較され、リモコン装置R2の使用者の変更が検出される。
【0032】
リモコン装置R2の検出部22によって利用者の変更が検出されると、リモコン装置R2のバックアップ部23によって利用者U2の顔画像データFD2と操作履歴OH2が対応付けられてカラオケ装置Kに送信される。カラオケ装置Kでは、リモコン装置R2から受信した顔画像データFD2と操作履歴OH2がバックアップデータとして記憶される。また、リモコン装置R2の要求部24によって顔画像データFD1を含むリクエスト信号がカラオケ装置Kに送信されて、カラオケ装置Kに対して利用者U1の操作履歴OH1の送信が要求される。
【0033】
時刻T3時点では、カラオケ装置Kの記憶部31には顔画像データFD1に対応付けられた操作履歴OH1が記憶されている。このため、カラオケ装置Kの送信部32は、リモコン装置R2からのリクエスト信号に応じて、操作履歴OH1を含むレスポンス信号をリモコン装置R2に送信する。リモコン装置R2はカラオケ装置Kから操作履歴OH1を受信すると、リモコン装置R2の更新部25によって操作履歴OH1に基づいて操作画面29が更新される。すなわち、リモコン装置R2の操作画面29には、利用者U1がリモコン装置R1の操作を中断した時刻T2時点の状態が再現される。
【0034】
また、時刻T3時点では、リモコン装置R1が利用者U3に操作されている。リモコン装置R1の撮像手段21に利用者U3の顔画像が撮像され続けて、リモコン装置R1の検出部22では利用者の変更が検出されない。このように、リモコン装置R1、R2を操作している利用者が変更された場合、利用者の操作履歴がカラオケ装置Kにバックアップされている。その後、利用者がいずれかのリモコン装置R1、R2を手にしたときに、バックアップされた操作履歴に基づいて操作画面29が再現されて、前回の操作画面29から操作を再開することができる。
【0035】
図4を参照して、第1実施形態のカラオケシステムの処理動作について説明する。
図4は、第1実施形態のカラオケシステムの処理動作の一例を示すフロー図である。なお、ここでは、
図2の符号を適宜使用して説明する。また、以下のフロー図は一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0036】
図4に示すように、カラオケ装置Kにリモコン装置Rがペアリングされ(ステップS01)、リモコン装置Rの撮像手段21によって利用者の顔画像の撮像が開始される(ステップS02)。検出部22によって撮像手段21に撮像された顔画像が周期的にサンプリングされ、サンプリングされた顔画像に各種画像処理が施されて顔画像データ(特徴量)が生成される(ステップS03)。そして、検出部22によって前回と今回のサンプリング時の顔画像データが比較されて、リモコン装置Rを操作している利用者の変更の検出処理が実施される(ステップS04)。
【0037】
検出部22によってリモコン装置Rを操作する利用者の変更が検出されると(ステップS04でYes)、リモコン装置Rのバックアップ部23によって変更前の利用者の顔画像データと操作履歴がカラオケ装置Kに送信される(ステップS05)。カラオケ装置Kが利用者の顔画像データと操作履歴を受信すると、記憶部31によって利用者の顔画像データと操作履歴が対応付けられて記憶される(ステップS06)。このようにして、リモコン装置Rを手放した利用者の操作履歴が顔画像データに対応付けられてカラオケ装置Kにバックアップされる。
【0038】
また、リモコン装置Rの要求部24によって変更後の利用者の顔画像データを含むリクエスト信号がカラオケ装置Kに送信される(ステップS07)。カラオケ装置Kがリクエスト信号を受信すると、リクエスト信号の顔画像データに対応付けられた操作履歴が記憶されているかが検索される(ステップS08)。リクエスト信号の顔画像データに対応付けられた操作履歴が記憶されている場合(ステップS08でYes)、この操作履歴を含むレスポンス信号がカラオケ装置Kの送信部32によってリモコン装置Rに送信される(ステップS09)。
【0039】
リモコン装置Rがレスポンス信号を受信すると、更新部25によってレスポンス信号の操作履歴に基づいてリモコン装置Rの操作画面29が更新される(ステップS10)。このようにして、利用者の操作履歴がカラオケ装置Kにバックアップされている場合には、この利用者がリモコン装置Rを手にしたときに前回の操作画面29が再表示される。リモコン装置Rとカラオケ装置Kのペアリングが解除されない場合(ステップS11、S12でNo)、リモコン装置RではステップS03に戻って処理が実施され、カラオケ装置KではステップS06に戻って処理が実施される。
【0040】
以上、第1実施形態によれば、利用者が操作していたリモコン装置Rを手放して、他の利用者がリモコン装置Rを手にすると、撮像手段21に撮像された顔画像に基づいて利用者の変更が検出されて、利用者の顔画像データと操作履歴がカラオケ装置Kにバックアップされる。他の利用者にリモコン装置Rの操作画面29が切り替えられても、利用者が再びリモコン装置Rを手にしたときに、バックアップされた操作履歴に基づいてリモコン装置Rの操作画面29が更新されて、前回の操作画面29から操作を再開できる。このように、ログイン操作をすることなく、複数の利用者の間でリモコン装置Rを使い回すことができる。特に複数のリモコン装置Rがカラオケ装置Kに接続されている場合にも、利用者が操作していたリモコン装置Rを手放し、この利用者が別のリモコン装置Rを操作しても、リモコン装置Rの間で操作履歴が引き継がれて前回の操作画面29から操作を再開できる。
【0041】
なお、第1実施形態では、カラオケ装置Kの送信部32は、変更後の利用者の顔画像データに対応付けられた操作履歴が記憶(バックアップ)されていない場合に操作履歴の送信処理を行わない構成にしたが、この構成に限定されない。カラオケ装置Kの送信部32は、変更後の利用者の顔画像データに対応付けられた操作履歴が記憶されていない場合に所定画面に対応した操作履歴をリモコン装置Rに送信してもよい。
【0042】
具体的には、
図3(C)に示すように、時刻T2時点で利用者U1が操作していたリモコン装置R1が利用者U3に手渡される。リモコン装置R1の要求部24によって顔画像データFD3を含むリクエスト信号がカラオケ装置Kに送信されて、カラオケ装置Kに対して利用者U3の操作履歴の送信が要求される。しかしながら、カラオケ装置Kの記憶部31には顔画像データFD3に対応付けられた操作履歴が記憶されていない。この場合、カラオケ装置Kの送信部32は、リモコン装置R1の操作画面29を所定画面に更新するための操作履歴OH0を含むレスポンス信号をリモコン装置R1に送信する。
【0043】
操作履歴OH0は、操作画面29を「電源投入後のルート画面」や「メニュー画面」等の所定画面に更新するための操作履歴であり、顔画像データに対応付けられずに記憶部31に記憶されている。リモコン装置R1がレスポンス信号を受信すると、リモコン装置R1の更新部25によって操作履歴OH0に基づいてリモコン装置R1の操作画面29にメニュー画面等が表示される。利用者U3の操作履歴がバックアップされていない場合でも、利用者U1が操作していたリモコン装置R1の操作画面29がメニュー画面に更新されて、利用者U3がメニュー画面からスムーズに操作を開始できる。
【0044】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のカラオケシステムについて説明する。
図5は、第2実施形態のカラオケシステムの機能ブロック図である。第2実施形態のカラオケシステムは、リモコン装置の長時間の操作を報知する点で第1実施形態のカラオケシステムと相違している。したがって、第2実施形態のカラオケシステムについては、第1実施形態のカラオケシステムと同様な構成については説明を省略する。また、説明の便宜上、第1実施形態と同一の名称には同一の符号を付けて説明する。
【0045】
図5に示すように、第2実施形態のカラオケシステム1は、第1実施形態のカラオケシステム1と同様に、リモコン装置Rとカラオケ装置Kが通信可能に接続されている。リモコン装置Rには、撮像手段21と、検出部22と、バックアップ部23と、要求部24と、更新部25と、通知部26と、操作画面29と、が設けられている。通知部26は、利用者の変更が検出された場合に、リモコン装置Rの装置識別情報をカラオケ装置Kに通知する。装置識別情報の通知によって利用者の変更だけでなく、利用者が変更されたリモコン装置Rがカラオケ装置Kに認識される。
【0046】
カラオケ装置Kには、記憶部31と、送信部32と、判定部33と、報知部34と、が設けられている。判定部33は、装置識別情報の受信からの経過時間が所定時間を超えたか否かを判定する。この場合、装置識別情報の受信を契機としてタイマー(不図示)によって計時が開始され、装置識別情報の受信後に所定時間(例えば、10分間)が経過したか否かが判定されている。報知部34は、経過時間が所定時間を超えた場合に当該装置識別情報に対応するリモコン装置Rの長時間の操作を報知する。この場合、現在のリモコン装置Rの操作者に渡ってから所定時間が経過した旨がモニタ11(
図1参照)等に表示される。
【0047】
より具体的には、ある時刻に利用者U4が店舗スタッフに頼まれて、利用者U4が操作していたリモコン装置R1が利用者U5に手渡される。このとき、リモコン装置R1の撮像手段21によって利用者U5の顔画像が撮像され、リモコン装置R1の検出部22によって利用者U5の顔画像データFD5が生成される。検出部22によって前回のサンプリング時の利用者U4の顔画像データFD4と今回のサンプリング時の利用者U5の顔画像データFD5が比較され、リモコン装置R1の使用者の変更が検出される。
【0048】
リモコン装置R1の検出部22によって利用者の変更が検出されると、リモコン装置R1のバックアップ部23によって利用者U4の顔画像データFD4と操作履歴OH4が対応付けられてカラオケ装置Kに送信される。カラオケ装置Kでは、リモコン装置R1から受信した顔画像データFD4と操作履歴OH4のバックアップが記憶部31に記憶される。また、リモコン装置R1の要求部24によって顔画像データFD5を含むリクエスト信号がカラオケ装置Kに送信されて、カラオケ装置Kに対して利用者U5の操作履歴OH5の送信が要求される。
【0049】
この時点でカラオケ装置Kの記憶部31には顔画像データFD5に対応付けられた操作履歴OH5が記憶されている。このため、カラオケ装置Kの送信部32は、リモコン装置R1からのリクエスト信号に応じて、操作履歴OH5を含むレスポンス信号をリモコン装置R1に送信する。リモコン装置R1はカラオケ装置Kから操作履歴OH5を受信すると、リモコン装置R1の更新部25によって操作履歴OH5に基づいて操作画面29が更新される。すなわち、リモコン装置R1の操作画面29には、利用者U5がリモコン装置の操作を中断した時点の状態が再現される。
【0050】
さらに、リモコン装置R1の通知部26によってリモコン装置R1の装置識別情報ID***R1がカラオケ装置Kに送信される。カラオケ装置Kでは装置識別情報ID***R1の受信を契機としてタイマーによる計時が開始され、判定部33によって装置識別情報ID***R1の受信から所定時間が経過したかが判定される。判定部33によって所定時間が経過したと判定されると、カラオケ装置Kの報知部34によってリモコン装置R1が利用者U5に渡ってから所定時間が経過した旨が店舗スタッフ等に報知され、利用者U5に対して他の利用者へのリモコン装置R1の譲り渡しが促される。
【0051】
図6を参照して、第2実施形態のカラオケシステムの処理動作について説明する。
図6は、第2実施形態のカラオケシステムの処理動作の一例を示すフロー図である。なお、ここでは、
図5の符号を適宜使用して説明する。また、以下のフロー図は一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0052】
図6に示すように、第2実施形態のステップS21からステップS30までの処理は、第1実施形態のステップS01からステップS10までの処理と同様である。リモコン装置Rの操作画面29が更新されると、リモコン装置Rの通知部26によって当該リモコン装置Rの装置識別情報がカラオケ装置Kに通知される(ステップS31)。カラオケ装置Kが装置識別情報を受信すると、装置識別情報を受信した時点からの経過時間がタイマーによって計時され始める(ステップS32)。これにより、リモコン装置Rが現在の利用者の手に渡ってからの時間が計時される。
【0053】
カラオケ装置Kの判定部33によって装置識別情報の受信後の経過時間が所定時間を超えたと判定されると(ステップS33でYes)、カラオケ装置Kの報知部34によってリモコン装置Rの長時間の操作が報知される(ステップS34)。これにより、利用者の間でリモコン装置Rの譲り渡しが促される。リモコン装置Rとカラオケ装置Kのペアリングが解除されない場合(ステップS35、S36でNo)、リモコン装置RではステップS23に戻って処理が実施され、カラオケ装置KではステップS26に戻って処理が実施される。なお、報知部34によって報知が行われた場合、あるいは装置識別情報の受信後の経過時間が所定時間を超えたと判定される前に当該装置識別情報を新たに受信した場合には、タイマーによる計時はリセットされる。
【0054】
以上、第2実施形態によれば、利用者が長時間にわたってリモコン装置Rを操作している場合に、その旨が報知されることで、この利用者に対して他の利用者にリモコン装置Rを譲り渡すように促すことができる。
【0055】
なお、第1実施形態では、変更前の利用者の操作履歴がバックアップされた後に、変更後の利用者の操作履歴の送信が要求されたが、これらの処理の順序は特に限定されない。変更後の利用者の操作履歴の送信が要求された後に、変更前の利用者の操作履歴がバックアップされてもよいし、変更前の利用者の操作履歴のバックアップと変更後の利用者の操作履歴の送信が並列に実施されてもよい。
【0056】
また、第2実施形態では、変更前の利用者の操作履歴がバックアップされ、変更後の利用者の操作履歴の送信が要求された後に、リモコン装置の装置識別情報が通知されたが、これらの処理の順序は特に限定されない。例えば、リモコン装置の装置識別情報が通知された後に、変更前の利用者の操作履歴がバックアップされ、変更後の利用者の操作履歴の送信が要求されてもよい。また、変更前の利用者の操作履歴のバックアップ、変更後の利用者の操作履歴の送信、リモコン装置の装置識別情報の通知が並列に実施されてもよい。
【0057】
また、第1、第2実施形態では、顔画像データとして顔画像の特徴量を例示したが、顔画像データは顔画像を特定可能なデータであればよい。
【0058】
また、上記実施形態において、カラオケシステムにプログラムをインストールすることによって、リモコン装置の操作履歴のバックアップ機能が追加されてもよい。このプログラムは記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は特に限定されないが、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
【0059】
また、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0060】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0061】
1 :カラオケシステム
21:撮像手段
22:検出部
23:バックアップ部
24:要求部
25:更新部
26:通知部
31:記憶部
32:送信部
33:判定部
34:報知部
K :カラオケ装置
R :リモコン装置