(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122726
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8234 20060101AFI20230829BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230829BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20230829BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20230829BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20230829BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
H01L27/088 D
H01L27/04 H
H01L27/06 311Z
H01L27/00 301H
H01L29/50 M
H01L21/90 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026396
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】川崎 賢人
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104AA03
4M104AA04
4M104BB02
4M104BB05
4M104BB14
4M104CC01
4M104HH20
5F033GG01
5F033GG02
5F033HH07
5F033HH08
5F033HH13
5F033HH18
5F033XX22
5F038AV06
5F038BH01
5F038BH16
5F038CA08
5F038CA16
5F038CA20
5F038CD20
5F048AB10
5F048AC01
5F048BA01
5F048BA14
5F048BA15
5F048BA16
5F048BB09
5F048BF02
5F048BF16
5F048CB03
(57)【要約】
【課題】熱の干渉を抑制すること。
【解決手段】半導体装置は、基板10の第1面に設けられ、前記基板の厚さ方向から見て前記基板を貫通する第1バイアホール32と重なるソースバスバー22と、第1方向に延伸し、前記第1面に設けられた第1ソースフィンガ12a、第1ドレインフィンガ16aおよび第1ゲートフィンガ14aを備え、前記第1ソースフィンガは前記ソースバスバーに接続され、前記第1方向に交差する第2方向に配列された複数の第1トランジスタと、前記第1方向に延伸し、前記第1面に設けられた第2ソースフィンガ12b、第2ドレインフィンガ16bおよび第2ゲートフィンガ14bを備え、前記第2ソースフィンガは前記ソースバスバーに接続され、前記複数の第1トランジスタとで前記ソースバスバーを挟み、前記第2方向に配列された複数の第2トランジスタと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1面に設けられ、前記基板の厚さ方向から見て前記基板を貫通する第1バイアホールと重なるソースバスバーと、
第1方向に延伸し、前記第1面に設けられた第1ソースフィンガ、第1ドレインフィンガおよび第1ゲートフィンガを備え、前記第1ソースフィンガは前記ソースバスバーに電気的に接続され、前記第1方向に交差する第2方向に配列された複数の第1トランジスタと、
前記第1方向に延伸し、前記第1面に設けられた第2ソースフィンガ、第2ドレインフィンガおよび第2ゲートフィンガを備え、前記第2ソースフィンガは前記ソースバスバーに電気的に接続され、前記複数の第1トランジスタとで前記ソースバスバーを挟み、前記第2方向に配列された複数の第2トランジスタと、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1バイアホール内の少なくとも一部は空洞である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1バイアホール内に充填され、前記基板の熱伝導率より低い熱伝導率を有する第1金属層を備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1バイアホールは、前記第2方向に複数配列されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1バイアホールの前記第2方向における幅は、前記第1バイアホールの前記第1方向における幅より大きい請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の第1トランジスタと前記ソースバスバーとの間における前記第1面に設けられ、前記第1ゲートフィンガが電気的に接続された第1ゲートバスバーと、
前記複数の第2トランジスタと前記ソースバスバーとの間における前記第1面に設けられ、前記第2ゲートフィンガが電気的に接続された第2ゲートバスバーと、
を備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1ソースフィンガと前記ソースバスバーとを電気的に接続し、前記第1ゲートバスバーと非接触に交差する第1ソース配線と、
前記第2ソースフィンガと前記ソースバスバーとを電気的に接続し、前記第2ゲートバスバーと非接触に交差する第2ソース配線と、
を備える請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1面に設けられ、前記ソースバスバーとで前記複数の第1トランジスタを挟み、前記第1ドレインフィンガが接続された第1ドレインバスバーと、
前記第1面に設けられ、前記ソースバスバーとで前記複数の第2トランジスタを挟み前記第2ドレインフィンガが接続された第2ドレインバスバーと、
を備える請求項6または請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1ソースフィンガは、前記基板の厚さ方向から見て前記基板を貫通する第2バイアホールと重なり、
前記第2ソースフィンガは、前記基板の厚さ方向から見て前記基板を貫通する第3バイアホールと重なる請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記基板の前記第1面と反対の第2面に設けられ、前記第1バイアホールを介し前記ソースバスバーに電気的に接続された第2金属層を備える請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソース、ゲートおよびドレインを有する電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)において、ソースフィンガ、ゲートフィンガおよびドレインフィンガを有する単位FETをフィンガの延伸方向に複数配置することが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィンガの延伸方向に設けられた複数の単位FET群間で熱の干渉が生じることがある。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みなされたものであり、熱の干渉を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態は、基板の第1面に設けられ、前記基板の厚さ方向から見て前記基板を貫通する第1バイアホールと重なるソースバスバーと、第1方向に延伸し、前記第1面に設けられた第1ソースフィンガ、第1ドレインフィンガおよび第1ゲートフィンガを備え、前記第1ソースフィンガは前記ソースバスバーに電気的に接続され、前記第1方向に交差する第2方向に配列された複数の第1トランジスタと、前記第1方向に延伸し、前記第1面に設けられた第2ソースフィンガ、第2ドレインフィンガおよび第2ゲートフィンガを備え、前記第2ソースフィンガは前記ソースバスバーに電気的に接続され、前記複数の第1トランジスタとで前記ソースバスバーを挟み、前記第2方向に配列された複数の第2トランジスタと、を備える半導体装置である。第1バイアホールにより、第1トランジスタと第2トランジスタとの熱の干渉を抑制できる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、熱の干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1に係る半導体装置の平面図である。
【
図4】
図4は、比較例1に係る半導体装置の平面図である。
【
図5】
図5は、実施例1において、実装基板上に半導体チップが実装された例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施例1におけるバイアホールの別の例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施例1の変形例1に係る半導体装置の平面図である。
【
図8】
図8は、実施例2に係る半導体装置の平面図である。
【
図9】
図9は、実施例3に係る半導体装置の平面図である。
【
図10】
図10は、実施例3の変形例1に係る半導体装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の詳細]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態は、基板の第1面に設けられ、前記基板の厚さ方向から見て前記基板を貫通する第1バイアホールと重なるソースバスバーと、第1方向に延伸し、前記第1面に設けられた第1ソースフィンガ、第1ドレインフィンガおよび第1ゲートフィンガを備え、前記第1ソースフィンガは前記ソースバスバーに電気的に接続され、前記第1方向に交差する第2方向に配列された複数の第1トランジスタと、前記第1方向に延伸し、前記第1面に設けられた第2ソースフィンガ、第2ドレインフィンガおよび第2ゲートフィンガを備え、前記第2ソースフィンガは前記ソースバスバーに電気的に接続され、前記複数の第1トランジスタとで前記ソースバスバーを挟み、前記第2方向に配列された複数の第2トランジスタと、を備える半導体装置である。第1バイアホールにより、第1トランジスタと第2トランジスタとの熱の干渉を抑制できる。
(2)前記第1バイアホール内の少なくとも一部は空洞であることが好ましい。
(3)前記第1バイアホール内に充填され、前記基板の熱伝導率より低い熱伝導率を有する第1金属層を備えることが好ましい。
(4)前記第1バイアホールは、前記第2方向に複数配列されていることが好ましい。
(5)前記第1バイアホールの前記第2方向における幅は、前記第1バイアホールの前記第1方向における幅より大きいことが好ましい。
(6)前記複数の第1トランジスタと前記ソースバスバーとの間における前記第1面に設けられ、前記第1ゲートフィンガが電気的に接続された第1ゲートバスバーと、前記複数の第2トランジスタと前記ソースバスバーとの間における前記第1面に設けられ、前記第2ゲートフィンガが電気的に接続された第2ゲートバスバーと、を備えることが好ましい。
(7)前記第1ソースフィンガと前記ソースバスバーとを電気的に接続し、前記第1ゲートバスバーと非接触に交差する第1ソース配線と、前記第2ソースフィンガと前記ソースバスバーとを電気的に接続し、前記第2ゲートバスバーと非接触に交差する第2ソース配線と、を備えることが好ましい。
(8)前記第1面に設けられ、前記ソースバスバーとで前記複数の第1トランジスタを挟み、前記第1ドレインフィンガが接続された第1ドレインバスバーと、前記第1面に設けられ、前記ソースバスバーとで前記複数の第2トランジスタを挟み前記第2ドレインフィンガが接続された第2ドレインバスバーと、を備えることが好ましい。
(9)前記第1ソースフィンガは、前記基板の厚さ方向から見て前記基板を貫通する第2バイアホールと重なり、前記第2ソースフィンガは、前記基板の厚さ方向から見て前記基板を貫通する第3バイアホールと重なることが好ましい。
(10)前記基板の前記第1面と反対の第2面に設けられ、前記第1バイアホールを介し前記ソースバスバーに電気的に接続された第2金属層を備えることが好ましい。
【0010】
本開示の実施形態にかかる半導体装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
[実施例1]
図1は、実施例1に係る半導体装置の平面図である。
図2は、
図1のA-A断面図、
図3は、
図1のB-B断面図である。基板10の表面30の法線方向をZ方向、各フィンガの延伸方向をX方向、各バスバーの延伸方向をY方向とする。
図1等の平面図では、ゲートフィンガ14a、14b、ゲートバスバー24a、24b、ゲートパッド25aおよび25bをクロスハッチングで示している。
【0012】
図1から
図3に示すように、実施例1の半導体装置50では、基板10の表面30(第1面)に複数のFET群36aおよび36bが設けられている。FET群36aおよび36bはX方向に配列されている。FET群36aは複数の単位FET35aを備え、FET群36bは複数の単位FET35bを備えている。単位FET35aはY方向に配列され、単位FET35bはY方向に配列されている。FET群36a内の単位FET35aの個数およびFET群36b内の単位FET35bの個数は複数であればよい。
【0013】
基板10は、基板10aと基板10a上に設けられた半導体層10bを備えている。基板10には活性領域11aおよび11bが設けられている。活性領域11aおよび11b以外の領域はイオン注入等で半導体層10bが不活性化された不活性領域13である。すなわち、活性領域11aおよび11bは基板10内の半導体層10bが活性化された領域であり、不活性領域は半導体層10bが不活性化された領域である。FET群36aおよび36bはそれぞれ活性領域11aおよび11bに設けられている。
【0014】
FET群36aでは、基板10の表面30における活性領域11a上にソースフィンガ12a(第1ソースフィンガ)、ゲートフィンガ14a(第1ゲートフィンガ)およびドレインフィンガ16a(第1ドレインフィンガ)がX方向(第1方向)に延伸し設けられている。ソースフィンガ12a、ゲートフィンガ14aおよびドレインフィンガ16aの平面形状は略矩形であり、X方向に延伸する。すなわち、各フィンガの長辺はX方向に延伸し、短辺はY方向に延伸する。ソースフィンガ12a、ゲートフィンガ14aおよびドレインフィンガ16aはY方向に配列する。
【0015】
Y方向にソースフィンガ12aとドレインフィンガ16aとが交互に設けられている。ゲートフィンガ14aは1つのソースフィンガ12aと1つのドレインフィンガ16aとに挟まれている。ゲートフィンガ14aを挟むソースフィンガ12aおよびドレインフィンガ16aとは1つの単位FET35aを形成する。隣接する単位FET35aはソースフィンガ12aまたはドレインフィンガ16aを共有する。複数の単位FET35aはY方向(第2方向)に配列されている。
【0016】
FET群36bにおいても、基板10の表面30における活性領域11b上にソースフィンガ12b(第2ソースフィンガ)、ゲートフィンガ14b(第2ゲートフィンガ)およびドレインフィンガ16b(第2ドレインフィンガ)が同様に設けられている。ゲートフィンガ14bと、ゲートフィンガ14bを挟むソースフィンガ12bおよびドレインフィンガ16bと、は1つの単位FET35bを形成する。複数の単位FET35bはY方向(第2方向)に配列されている。各フィンガが延伸する方向と単位FET35a(および35b)が配列する方向は、直交していなくてもよく、交差していればよい。
【0017】
基板10の表面30における不活性領域13上にソースバスバー22、ゲートバスバー24aおよび24b並びにドレインバスバー26aおよび26bがY方向に延伸し設けられている。ソースバスバー22はFET群36aと36bとの間に設けられている。ゲートバスバー24aは、ソースバスバー22とFET群36aとの間に設けられ、ゲートバスバー24bは、ソースバスバー22とFET群36bとの間に設けられている。ドレインバスバー26aは、ゲートバスバー24aとでFET群36aを挟むように設けられ、ドレインバスバー26bは、ゲートバスバー24bとでFET群36bを挟むように設けられている。
【0018】
FET群36aにおいて、複数のソースフィンガ12aの+X側の端はソース配線23aを介しソースバスバー22に接続されている。複数のゲートフィンガ14aの+X側の端はゲートバスバー24aに接続されている。複数のドレインフィンガ16aの-X側の端はドレインバスバー26aに接続されている。FET群36bにおいて、複数のソースフィンガ12bの-X側の端はソース配線23bを介しソースバスバー22に接続されている。複数のゲートフィンガ14bの-X側の端はゲートバスバー24bに接続されている。複数のドレインフィンガ16bの+X側の端はドレインバスバー26bに接続されている。ゲートバスバー24aおよび24bの-Y側の端はゲートパッド25aおよび25bにそれぞれ接続されている。
【0019】
ソースバスバー22の下に基板10を貫通するバイアホール32が設けられている。バイアホール32の平面形状は例えば略楕円形である。バイアホール32の長軸方向はY方向であり、バイアホール32のY方向における幅WyはX方向における幅Wxより大きい。バイアホール32は1つのソースバスバー22の延伸方向に複数設けられている。
【0020】
FETセット38は、FET群36a、36b、ソースバスバー22、ゲートバスバー24a、24b、ドレインバスバー26aおよび26bを含む。
【0021】
図2に示すように、FET群36aでは、半導体層10b上にソースフィンガ12a、ゲートフィンガ14aおよびドレインフィンガ16aが設けられている。ソースフィンガ12aおよびドレインフィンガ16aは、半導体層10b上に設けられたオーミック金属層18aと低抵抗層18bとを備える。オーミック金属層18aは半導体層10bにオーミックコンタクトする。低抵抗層18bの材料はオーミック金属層18aの材料より抵抗率が低い。低抵抗層18bはオーミック金属層18aより厚い。これにより、低抵抗層18bのシート抵抗はオーミック金属層18aのシート抵抗より低い。FET群36bにおいてもソースフィンガ12bおよびドレインフィンガ16bは、オーミック金属層18aおよび低抵抗層18bを備える。ソースフィンガ12a、12b、ドレインフィンガ16a、16bおよびソースバスバー22におけるオーミック金属層18aは同じ材料からなり同時に形成されている。ソースフィンガ12a、12b、ドレインフィンガ16a、16b、ソース配線23a、23bおよびソースバスバー22低抵抗層18bは同時に形成されている。ソースフィンガ12a、ゲートフィンガ14aおよびドレインフィンガ16aを覆うように、半導体層10b上に絶縁層28が設けられている。基板10の裏面31(第1面と反対の第2面)に金属層34が設けられている。金属層34には、例えばグランド電位等の基準電位が供給される。
【0022】
図3に示すように、ソースバスバー22は、オーミック金属層18aおよび低抵抗層18bを備える。ソースバスバー22とソースフィンガ12aとを接続するソース配線23a、およびソースバスバー22とソースフィンガ12bとを接続するソース配線23bは、低抵抗層18bを備え、オーミック金属層18aを備えていない。ゲートバスバー24aおよび24bは、ゲートフィンガ14aおよび14bと同じ金属層からなり、半導体層10b上に設けられている。ソース配線23aおよび23bは、それぞれゲートバスバー24aおよび24b上をゲートバスバー24aおよび24bと非接触に交差する。ソース配線23aおよび23bとゲートバスバー24aおよび24bとの間には絶縁層28が設けられている。
【0023】
バイアホール32は基板10を貫通しソースバスバー22に接続されている。基板10の厚さ方向(Z方向)から見てソースバスバー22にバイアホール32が接続する領域はソースバスバー22内に収まる。すなわち、表面30においてソースバスバー22の外にバイアホール32は設けられていない。基板10の裏面31に金属層34が設けられている。バイアホール32の側面および上面に金属層34aが設けられている。金属層34aは、金属層34とソースバスバー22とを電気的に接続し短絡させる。金属層34aは金属層34と同じ金属層であり、同時に形成されている。バイアホール32内の金属層34a内に空洞33が設けられている。空洞33内は、空気等の気体が充満している。
【0024】
半導体装置が例えば窒化物半導体装置の場合、基板10aは例えばSiC基板、シリコン基板、GaN基板またはサファイア基板である。半導体層10bは例えばGaN層、AlGaN層および/またはInGaN層等の窒化物半導体層を含む。半導体装置が例えばGaAs系半導体装置の場合、基板10aは例えばGaAs基板である。半導体層10bは例えばGaAs層、AlGaAs層および/またはInGaAs層等の砒化物半導体層を含む。オーミック金属層18aは、例えば基板10側から密着膜(例えばチタン膜)およびアルミニウム膜である。低抵抗層18bは例えば金層である。ゲートフィンガ14a、14b、ゲートバスバー24aおよび24bは、金属膜であり、例えば基板10側から密着膜(例えばニッケル膜)および金膜である。金属層34および34aは例えば基板10側から密着層および金層である。
【0025】
ゲートフィンガ14aおよび14bのY方向の長さはゲート長であり、例えば0.05μm~5μmである。活性領域11aおよび11bのX方向の幅は単位FET35aおよび35bのゲート幅であり、例えば50μm~1000μmである。ソースフィンガ12aおよび12bのY方向の幅は例えば50μm~200μmであり、ドレインフィンガ16aおよび16bのY方向の幅は例えば5μm~500μmである。ソースバスバー22のX方向の幅は例えば10μm~100μmである。ゲートバスバー24aおよび24bのX方向の幅は例えば10μm~50μmである。基板10の厚さは例えば10μm~500μmである。
【0026】
[比較例1]
図4は、比較例1に係る半導体装置の平面図である。
図4に示すように、比較例1の半導体装置58では、ソースバスバー22にバイアホール32が設けられていない。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0027】
比較例1では、FET群36aにおいて発生した熱がFET群36bに伝搬し、FET群36bにおいて発生した熱がFET36aに伝搬する。FET群36aと36bは各々独立に発生する熱を考慮し設計されている。このため、FET群36aにおいて発生した熱と36bにおいて発生した熱とが干渉すると、FET群36aと36bの各々の動作が設計と異なることが生じうる。
【0028】
実施例1によれば、
図1のように、半導体装置50では、複数の単位FET35a(第1トランジスタ)と複数の単位FET35b(第2トランジスタ)とがソースバスバー22を挟み、ソースフィンガ12aおよび12bがソースバスバー22に電気的に接続され、短絡される。このような構造において、ソースバスバー22は、基板10の厚さ方向から見て基板10を貫通するバイアホール32(第1バイアホール)と重なる。バイアホール32により、FET群36aと36bとの間の熱を分離できる。よって、FET群36aにおいて発生した熱とFET群36bにおいて発生した熱との干渉を抑制できる。このため、FET群36aと36bの各々の動作が設計と異なることを抑制できる。
【0029】
図2のように、バイアホール32内の少なくとも一部は空洞33である。このように、バイアホール32内が空洞33の場合、バイアホール32により、FET群36aと36bとの間の熱の分離がより可能となる。
【0030】
金属層34(第2金属層)は、基板10の表面30と反対の裏面31に設けられ、バイアホール32を介しソースバスバー22に電気的に接続され、短絡される。これにより、ソースバスバー22と金属層34との間のインダクタンスを小さくできる。金属層34に基準電位が供給される場合には、ソースインダクタンスを小さくできる。
【0031】
金属層34aは、バイアホール32の側面に設けられ、ソースバスバー22と金属層34とを電気的に接続する。バイアホール32における金属層34aの内側は空洞33である。これにより、バイアホール32内の一部を空洞33とし、ソースバスバー22と金属層34とを電気的に接続させ、短絡させることができる。バイアホール32内に空洞33を設けるため、バイアホール32内の金属層34aの厚さT2は、基板10の厚さT1の1/2以下が好ましく、1/10以下がより好ましい。
【0032】
1つのソースバスバー22に1つのバイアホール32が設けられていてもよいが、
図1のように、バイアホール32は、Y方向に複数配列されていることが好ましい。複数のバイアホール32により、FET群36aと36bとの間の熱の分離がより可能となる。
【0033】
バイアホール32のY方向における幅WyはX方向における幅Wxより大きい。これにより、FET群36aと36bとの間の熱の分離がより可能となる。幅Wyは幅Wxの1.5倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましい。バイアホール32の平面形状は、楕円形状以外に、長円形状、角丸長方形状またはトラック形状でもよい。
【0034】
X方向からみたときに、ソースバスバー22の表面30におけるY方向の長さに対し、バイアホール32の表面30におけるY方向の長さの合計は、1/5倍以上が好ましく、1/2倍以上がより好ましい、これにより、FET群36aと36bとの間の熱の分離がより可能となる。
【0035】
図5は、実施例1において、実装基板上に半導体チップが実装された例を示す断面図である。
図5に示すように、実装基板37a上に半導体装置50が半田37を用い実施例1の半導体装置50が実装されている。バイアホール32内は半田37により埋め込まれている。基板10aとして用いられるSiC基板およびシリコン基板の熱伝導率は、それぞれ200W/(m・K)~450W/(m・K)および162W/(m・K)である。これに対し、半田37の熱伝導率は低い。例えば錫銀銅半田の熱伝導率は55W/(m・K)である。よって、バイアホール32内の空洞33が半田37により埋め込まれている場合においても、バイアホール32により、FET群36aと36bとの間の熱の分離が可能となる。
【0036】
図6は、実施例1におけるバイアホールの別の例を示す断面図である。
図6に示すように、金属層39(第1金属層)はバイアホール32内に、空隙が形成されないように充填されている。このようなバイアホール32の構造においても、基板10aの熱伝導率が金属層39の熱伝導率より高ければ、バイアホール32により、FET群36aと36bとの間の熱の分離が可能となる。例えば銅および金の熱伝導率は、それぞれ386W/(m・K)および295W/(m・K)であり、SiCの熱伝導率より低い。金属層39の熱伝導率は基板10aの熱伝導率の0.9倍以下が好ましく、0.8倍以下がより好ましい。
【0037】
基板10の裏面31および金属層39の下面に金属層34を設けることで、金属層34とソースバスバー22とを電気的に接続し、短絡させることができる。これにより、ソースインダクタンスを抑制できる。
【0038】
ゲートバスバー24aは、ドレインバスバー26aとFET群36aとの間に設けられ、ゲートバスバー24bは、ドレインバスバー26bとFET群36bとの間に設けられていてもよい。この場合、ゲートバスバー24aからゲートフィンガ14aに高周波信号が入力する方向と、ドレインフィンガ16aからドレインバスバー26aに高周波信号が出力する方向と、が逆方向となる。このため、X方向において、入力される信号と出力される信号との位相が揃わず、FET群36aの高周波特性が劣化する。FET群36bにおいても同様である。
【0039】
ゲートバスバー24aおよび24bは、共通に設けられ、ソースバスバー22の上方に非接触に設けられていてもよい。この場合、ソース-ゲート容量が増加する。
【0040】
よって、
図1のように、ゲートバスバー24a(第1ゲートバスバー)は、複数の単位FET35aとソースバスバー22との間における表面30に設けられ、ゲートバスバー24b(第2ゲートバスバー)は、複数の単位FET35bとソースバスバー22との間における表面30に設けられることが好ましい。これにより、ソースバスバー22の上方にゲートバスバーを設ける場合に比べソース-ゲート容量を抑制できる。
【0041】
図4の比較例1では、ゲートバスバー24aと24bとの間が電磁結合し、発振等が生じやすい。実施例1では、ソースバスバー22がバイアホール32を介しグランド電位が供給される金属層34に短絡される。これにより、ソースバスバー22のシールド効果が大きくなる。よって、ゲートバスバー24aと24bとの間が電磁結合を抑制し、発振等を抑制できる。
【0042】
図3のように、ソース配線23a(第1ソース配線)は、ソースフィンガ12aとソースバスバー22とを接続し、ゲートバスバー24aと非接触に交差する。ソース配線23b(第2ソース配線)は、ソースフィンガ12bとソースバスバー22とを接続し、ゲートバスバー24bと非接触に交差する。これにより、ソースバスバー22とFET群36aとの間にゲートバスバー24aを設け、ソースバスバー22とFET群36bとの間にゲートバスバー24bを設けても、ソースバスバー22とゲートバスバー24aおよび24bとの電気的な接触を抑制できる。
【0043】
ドレインバスバー26a(第1ドレインバスバー)は、ソースバスバー22とで複数の単位FET35aを挟み、ドレインバスバー26b(第2ドレインバスバー)は、ソースバスバー22とで複数の単位FET35bを挟む。これにより、ゲートバスバー24aからゲートフィンガ14aに高周波信号が入力する方向と、ドレインフィンガ16aからドレインバスバー26aに高周波信号が出力する方向と、が同じ方向となる。よって、X方向において、入力される信号と出力される信号との位相が揃い、FET群36aの高周波特性の劣化を抑制できる。FET群36bにおいても同様である。
【0044】
[実施例1の変形例1]
図7は、実施例1の変形例1に係る半導体装置の平面図である。
図7に示すように、半導体装置51では、複数のFETセット38がX方向に配列されている。ゲートパッド25aおよび25bは、FET群36aおよび36bの-Y側に設けられている。ゲートパッド25aおよび25bは、それぞれゲートバスバー24aおよび24bに接続され、ゲートパッド25aおよび25bは、それぞれゲートバスバー24aおよび24bと同電位である。ドレインパッド27aおよび27bは、FET群36aおよび36bの+Y側に設けられている。ドレインパッド27aおよび27bは、それぞれドレインバスバー26aおよび26bに接続され、ドレインパッド27aおよび27bは、それぞれドレインバスバー26aおよび26bと同電位である。ゲートパッド25aおよびドレインパッド27aは、単位FET35aを外部と電気的に接続するためのパッドであり、ゲートパッド25bおよびドレインパッド27bは、単位FET35bを外部と電気的に接続するためのパッドである。
【0045】
図7のように、FETセット38は、X方向に複数配置されていてもよい。この場合、例えば最も左のFET群36aと最も右のFET群36bは、片側にしかFET群がなく、動作時に温度が上昇しにくい。このため、最も左のFET群36aと最も右のFET群36bは、他のFET群36aおよび36bと設計を変える場合がある。このように設計した場合、最も左のFET群36aと、隣のFET群36bとの間の熱の干渉が大きいと、最も左のFET群36aが隣のFET群36bの熱の影響を受け、設計通りに動作しないことが考えられる。そこで、最も左のFET群36aと隣のFET群36bとの間に位置するソースバスバー22にバイアホール32を設ける。これにより、最も左のFET群36aと隣のFET群36bとを熱的に分離できる。最も右のFET群36bと隣のFET群36aについても同様である。
【0046】
図7では、1つのゲートパッド25aおよび25bに1つのゲートバスバー24aおよび24bが電気的に接続され、1つのドレインパッド27aおよび27bに1つのドレインバスバー26aおよび26bが電気的に接続されている。同じFETセット38内のゲートパッド25aと25bとは1つのゲートパッドを形成していてもよい。同じFETセット38内のドレインパッド27aと27bとは1つのドレインパッドを形成していてもよい。1つのゲートパッドに複数のゲートバスバー24aおよび24bが電気的に接続され、1つのドレインパッドに複数のドレインバスバー26aおよび26bが電気的に接続されていてもよい。基板10上の複数のゲートバスバー24aおよび24bは全て1つのゲートパッドに電気的に接続され、基板10上の複数のドレインバスバー26aおよび26bは、全て1つのドレインパッドに電気的に接続されていてもよい。
【0047】
[実施例2]
実施例2は、実施例1の変形例1の半導体チップである半導体装置51がパッケージに搭載された半導体装置の例である。
図8は、実施例2に係る半導体装置の平面図である。
図8では、ゲートパッド25a、25b、ドレインパッド27a、27b、導電体パターン42、45,48、入力端子62および出力端子63をクロスハッチングで示している。
【0048】
図8に示すように、半導体装置52では、銅等の金属のベース60上にセラミックス等の絶縁性の枠体61が搭載されている。枠体61上に入力端子62および出力端子63が設けられている。ベース60上にチップ40、43、46および半導体装置52が搭載されている。チップ40は誘電体層41と誘電体層41上に設けられた導電体パターン42と誘電体層41下に設けられた導電体パターン(不図示)とを備えている。チップ43は誘電体層44と誘電体層44上に設けられた導電体パターン45を備えている。チップ46は誘電体層47と誘電体層47上に設けられた導電体パターン48を備えている。導電体パターン42、45、48、入力端子62および出力端子63は、金層等の金属層である。半導体装置52上にはゲートパッド25a、25b、ドレインパッド27aおよび27bが設けられている。
図8では半導体装置52のゲートパッド25a、25b、ドレインパッド27aおよび27b以外の要素の図示を省略する。
【0049】
ボンディングワイヤ64は、入力端子62と導電体パターン42とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ65は、導電体パターン42と45とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ66は、導電体パターン45とゲートパッド25aおよび25bとを電気的に接続する。ボンディングワイヤ67は、ドレインパッド27aおよび27bと導電体パターン48とを電気的に接続する。ボンディングワイヤ68は、導電体パターン48と出力端子63とを電気的に接続する。
【0050】
導電体パターン42はボンディングワイヤ64と65との間の電気長を揃えるためのパターンである。誘電体層44を挟む導電体パターン45と誘電体層44下の導電体パターンとは、シャント接続されたキャパシタとして機能する。ボンディングワイヤ65と66とチップ43とで入力整合回路を形成する。導電体パターン48はボンディングワイヤ67と66との間の電気長を揃えるためのパターンである。入力端子62から入力された高周波信号はチップ40および43を介し半導体装置52に入力する。半導体装置52において増幅された高周波信号はチップ46を介し出力端子63から出力される。実施例1の変形例2の
図7ように、ゲートパッド25a、25b、ドレインパッド27aおよび27bが基板10の長辺に設けられている。このため、ボンディングワイヤ65および67をゲートパッド25a、25b、ドレインパッド27aおよび27bに容易に接合できる。実施例2のように、実施例1、およびその変形例の半導体装置は、パッケージに半導体チップを搭載した構成でもよい。
【0051】
[実施例3]
図9は、実施例3に係る半導体装置の平面図である。
図9に示すように、半導体装置53では、ソースフィンガ12aにバイアホール32aが設けられ、ソースフィンガ12bにバイアホール32bが設けられている。バイアホール32aおよび32bは、
図3、
図5または
図6のバイアホール32の断面形状と同じであり説明を省略する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0052】
実施例3によれば、ソースフィンガ12aは、基板10の厚さ方向から見て基板10を貫通するバイアホール32a(第2バイアホール)と重なる。ソースフィンガ12bは、基板10の厚さ方向から見て基板10を貫通するバイアホール32b(第3バイアホール)と重なる。これにより、FET群36a内の単位FET35a同士を熱的に分離でき、FET群36b内の単位FET35b同士を熱的に分離できる。
【0053】
ソースフィンガ12aは、バイアホール32aを介し、金属層34と電気的に接続され、短絡される。ソースフィンガ12bは、バイアホール32bを介し、金属層34と電気的に接続され、短絡される。これにより、単位FET35aおよび35bのソースインダクタンスを小さくできる。
【0054】
[実施例3の変形例1]
図10は、実施例3の変形例1に係る半導体装置の平面図である。
図10に示すように、半導体装置54では、実施例3と同じ複数のFETセット38がX方向に配列されている。ソースフィンガ12aにバイアホール32aが設けられ、ソースフィンガ12bにバイアホール32bが設けられている。その他の構成は実施例3と同じであり説明を省略する。実施例3の変形例1のように、FETセット38がX方向に複数配列されていてもよい。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
10、10a 基板
10b 半導体層
11a、11b 活性領域
12a、12b ソースフィンガ
13 不活性領域
14a、14b ゲートフィンガ
16a、16b ドレインフィンガ
18a オーミック金属層
18b 低抵抗層
22 ソースバスバー
23a、23b ソース配線
24a、24b ゲートバスバー
25a、25b ゲートパッド
26a、26b ドレインバスバー
27a、27b ドレインパッド
28 絶縁層
30 表面
31 裏面
32、32a、32b バイアホール
33 空洞
34、34a、39 金属層
35a、35b 単位FET
36a、36b FET群
37 半田
37a実装基板
38 FETセット
40、43、46 チップ
41、44、47 誘電体層
42、45、48 導電体パターン
50~54、58 半導体装置
60 ベース
61 枠体
62 入力端子
63 出力端子
64~68 ボンディングワイヤ