(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122751
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】空間浄化装置
(51)【国際特許分類】
F24F 8/15 20210101AFI20230829BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20230829BHJP
F24F 8/24 20210101ALI20230829BHJP
【FI】
F24F8/15
F24F8/80 140
F24F8/80 400
F24F8/80 150
F24F8/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026432
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】上杉 祐生
(57)【要約】
【課題】次亜塩素酸による静電センサの腐食を防止しつつ静電センサにより水量判断を行うことが可能な空間浄化装置を提供すること。
【解決手段】吸込口2と吹出口6とを有する本体ケース1と、吸込口2から吹出口6へ空気を導く送風部12と、本体ケース1に着脱可能で電解促進剤と水とを混合する電解槽5と、電解槽5にて混合された電解促進剤と水とから次亜塩素酸水を生成する電極部14と、電解槽5内の水量に基づいて静電容量が変化する静電センサ30と、静電センサ30が検出した静電容量に基づいて電解槽5内の水量を判断する判断部24と、を備える。本体ケース1は、静電センサ30が設けられる静電センサ空間31と電解槽5が設けられる電解槽空間32とを隔離する隔壁部16を備える。これにより上記課題を解決するものである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と吹出口とを有する本体ケースと、
前記吸込口から前記吹出口へ空気を導く送風部と、
前記本体ケースに着脱可能で電解促進剤と水とを混合する電解槽と、
前記電解槽にて混合された前記電解促進剤と前記水とから次亜塩素酸水を生成する電極部と、
前記電解槽内の水量に基づいて静電容量が変化する静電センサと、
前記静電センサが検出した前記静電容量に基づいて前記電解槽内の水量を判断する判断部と、を備え、
前記本体ケースは、
前記静電センサが設けられる静電センサ空間と前記電解槽が設けられる電解槽空間とを隔離する隔壁部を備える空間浄化装置。
【請求項2】
前記隔壁部は、
揮発した次亜塩素酸を往来不能に前記静電センサ空間と前記電解槽空間とを隔離する請求項1記載の空間浄化装置。
【請求項3】
前記電解槽にて生成された前記次亜塩素酸水を前記吸込口から吸い込んだ空気に接触させて前記空気の浄化を行う浄化部を備える請求項1または2に記載の空間浄化装置。
【請求項4】
前記静電センサは、
前記電解槽の水が不足している渇水状態にある水位と前記隔壁部を挟んで対向する位置に設けられる請求項1から3のいずれかに記載の空間浄化装置。
【請求項5】
前記電解槽空間に着脱可能で前記電解槽に水を供給する貯水タンクを備え、
前記静電センサは、
前記電解槽内の水量を判断するための前記静電センサとは独立して、前記隔壁部を挟んで前記貯水タンクの所定水量位置と対向する位置にも設けられ、
前記判断部は、
前記静電センサが検出する前記静電容量に基づいて、さらに前記貯水タンクの水量を判断する1から4のいずれかに記載の空間浄化装置。
【請求項6】
前記判断部による水量判断に基づいて、水量を表示する表示部を備える請求項1から5のいずれかに記載の空間浄化装置。
【請求項7】
前記貯水タンクの複数の水量位置それぞれに対応する複数の前記静電センサを備える請求項5または6に記載の空間浄化装置。
【請求項8】
所定空間の温度と、前記所定空間の湿度と、前記送風部の風量と、に基づいて、単位時間毎の加湿量を取得する加湿量取得部をさらに備え、
前記判断部は、
前記複数の前記静電センサの前記静電容量に基づいて、複数の水量位置それぞれにおける水の存在を判定する存在判定部と、
前記存在判定部により判定された判定結果に基づいて水量を判断する水量判断部と、
前記水量判断部により判断された水量の更新を行う水量更新部と、を備え、
前記水量判断部は、
前記存在判定部により前記複数の水量位置の中で最も大きい水量位置に水が存在すると判定される場合、前記水量を前記最も大きい水量位置の水量と判断し、
前記存在判定部により前記最も大きい水量位置以外に水が存在すると判定される場合、前記水量を前記存在判定部により水が存在しないと判定された水量位置のなかで最も小さい水量位置の水量と判断し、
前記水量更新部は、
前記水量判断部により判断された前記水量と前記加湿量取得部により取得された単位時間毎の加湿量とに基づいて前記水量の更新を行う請求項7に記載の空間浄化装置。
【請求項9】
前記水量更新部は、
加湿時間の経過と共に前記水量の更新を行い、
前記存在判定部により水が存在すると判定された前記水量位置の中で最も大きい水量位置が、水が存在しないとの判定に変化した際に、前記加湿量を補正する補正値を決定し、
前記補正値と前記単位時間毎の加湿量とに基づいて前記水量の更新を行う請求項8に記載の空間浄化装置。
【請求項10】
前記水量更新部は、
前記水が存在しないとの判定に変化した際における前記水量更新部により更新されている前記水量と、前記水が存在しないとの判定に変化した水量位置の水量と、に基づいて前記補正値を決定し、
前記水量更新部により更新されている前記水量が、前記水が存在しないとの判定に変化した水量位置の水量よりも大きい程、前記補正値を大きくする請求項9記載の空間浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、除湿した水を受けるタンクの水量を検知できる除湿機が知られている(例えば、特許文献1)。従来の除湿機では、タンクの外側に一対の電極を設けて電極間の静電容量からタンクの水量を判断していた。これは、電極の近くに水が存在することで静電容量が変化することを利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、電極の近くに水が存在することで静電容量が変化する一つの静電センサを用いることで液体を格納している容器の水量判断を行うことが出来る。そこで、次亜塩素酸を用いて空間の浄化を行う空間浄化装置において、次亜塩素酸水を格納する容器の水量判断を行うために容器の外側に一つの静電センサを貼り付けて容器の水量判断を行うことが考えられる。しかし、揮発した次亜塩素酸が静電センサを腐食させてしまうため、これにより静電センサの製品寿命が短くなる。
【0005】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、次亜塩素酸による静電センサの腐食を防止しつつ静電センサにより水量判断を行うことが可能な空間浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る空間浄化装置は、吸込口と吹出口とを有する本体ケースと、吸込口から吹出口へ空気を導く送風部と、本体ケースに着脱可能で電解促進剤と水とを混合する電解槽と、電解槽にて混合された電解促進剤と水とから次亜塩素酸水を生成する電極部と、電解槽内の水量に基づいて静電容量が変化する静電センサと、静電センサが検出した静電容量に基づいて電解槽内の水量を判断する判断部と、を備え、本体ケースは、静電センサが設けられる静電センサ空間と電解槽が設けられる電解槽空間とを隔離する隔壁部を備えており、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、次亜塩素酸による静電センサの腐食を防止しつつ静電センサにより水量判断を行うことが可能な空間浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る空間浄化装置の斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る空間浄化装置のパネルを開いた状態における斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る空間浄化装置の側断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る空間浄化装置の概略機能ブロック図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る制御部により実行される制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するために例示するものであって、本発明は以下のものに特定しない。特に実施の形態に記載されている材質、形状、構成要素、構成要素の配置及び相対的配置等は一例であって、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
(実施の形態)
まず、本実施の形態である空間浄化装置Dについて説明する。空間浄化装置Dは、所定空間内に独立して設置され、空間浄化装置Dが設置されている所定空間に存在する空気の浄化を行う装置である。
【0011】
図1は、空間浄化装置Dの斜視図である。
図2は、
図1のパネル3を開いた状態における空間浄化装置Dの斜視図である。
【0012】
図1および
図2に示すように、空間浄化装置Dは、本体ケース1を備える。
【0013】
本体ケース1は、略箱形状の箱体であり、吸込口2、吹出口6およびパネル3を備える。
【0014】
吸込口2は、本体ケース1の両側面に設けられ、本体ケース1内に本体ケース1外の空気を取り入れる格子状の開口である。
【0015】
吹出口6は、本体ケース1の天面に設けられる。吹出口6は、吸込口2より本体ケース1内に取り入れられた空気を本体ケース1外に吹き出すための開閉式の開口である。
図1、
図2では、吹出口6は閉じた状態である。
【0016】
パネル3は、本体ケース1の前面視において右側の側面である本体側面1Aに備えられる。パネル3は、開閉可能なカバーであり、主にプラスチック樹脂によって形成されている。パネル3における本体ケース1の前面側には二つの吸込口2のうちの一つを有している。パネル3の内側が本体ケース1内となる。
【0017】
本体ケース1内には、電解槽5および貯水タンク9を備える。
【0018】
電解槽5は、天面を開口した箱形状をしており、水を貯留できる構造となっている。電解槽5は、本体ケース1の下部に配置され、本体ケース1に対して水平方向にスライドすることで本体ケース1に着脱可能となっている。電解槽5は、電解促進剤と水とを混合する。具体的には、電解槽5に供給される電解促進剤と供給される水とを混合する。電解槽5への水の供給は、本実施の形態では貯水タンク9により行われるが、ユーザーにより直接、電解槽5に水の供給が行われても良い。電解槽5への電解促進剤の供給は、ユーザーにより行われてもよいし、電解促進剤を供給する電解促進剤供給部を備えて電解促進剤供給部を制御部22が制御することで電解促進剤を供給してもよい。ここで、水に電解促進剤が溶けることも、電解促進剤と水との混合とする。水に電解促進剤が溶けることで、電解槽5には塩化物イオンを含む水が貯留される。電解促進剤の一例は塩化ナトリウムである。
【0019】
貯水タンク9は、電解槽5の上部に配置される。貯水タンク9は、電解槽5および本体ケース1に着脱可能な構造となっている。貯水タンク9は、中空の容器であり水を貯水することが可能であり、電解槽5に水を供給する。貯水タンク9は、蓋10を備える。
【0020】
蓋10は、貯水タンク9の下部に位置する開口に設けられる。蓋10の中央には開閉部を有しており、開閉部が開くと、貯水タンク9内の水が電解槽5に供給される。具体的には、貯水タンク9の開口を下向きにして電解槽5に取り付けると、蓋10の開閉部が開く。つまり、貯水タンク9に水を入れて電解槽5に取り付けると、蓋10の開閉部が開いて貯水タンク9から電解槽5に水が供給される。水の供給が行われ、電解槽5内の水位が上昇して蓋10の位置まで到達すると、蓋10の開閉部が水封されるので貯水タンク9からの水の供給が停止し、貯水タンク9には水が残る。そして、電解槽5内の水位が下がった場合に、都度、貯水タンク9の水が電解槽5に供給される。即ち、電解槽5内の水位は一定に保たれる。
【0021】
図3は空間浄化装置Dの側断面図である。本体ケース1内には、送風部12、電極部14および浄化部15を備える。
【0022】
送風部12は、本体ケース1の中央部に設けられ、吸込口2から吹出口6へ空気を導く。送風部12は、ファンを備える。ファンは、例えば、シロッコファンであり、制御部22による制御に応じて回転する。ファンが回転することによって、吸込口2から、本体ケース1内に空気が吸い込まれる。吸込口2から吸い込まれた空気は、後述する浄化部15を経由して吹出口6から吹き出される。
【0023】
電極部14は、電解槽5にて混合された電解促進剤と水とから次亜塩素酸水を生成する。電極部14は、電極部材を備えており、この電極部材が電解槽5内の水に浸かるように設置される。電極部14は、この電極部材に通電することにより、電解槽5内の塩化物イオンを含む水、即ち電解水を電気化学的に電気分解し、次亜塩素酸水を生成する。
【0024】
また、電極部14は、電気分解するために電極部材へ通電を行う通電時間と、通電停止後の時間、つまり通電を行っていない時間である非通電時間とを一周期として、その一周期を複数回繰り返すことで、次亜塩素酸水を生成する。電極部材に対し非通電時間を設けることで、電極部材の寿命を延ばすことができる。なお、非通電時間に対して通電時間を長くすれば、一周期当たりにおいてより多くの量の次亜塩素酸が生成される。また通電時間に対して非通電時間を長くすれば、一周期当たりの次亜塩素酸の生成量を抑えられる。さらに、通電時間における電力量を大きくすれば、より多くの次亜塩素酸が生成される。
【0025】
浄化部15は、電解槽5にて生成された次亜塩素酸水を吸込口2から吸い込んだ空気に接触させて空気の浄化を行う。浄化部15は、フィルタを備える。フィルタは、電解槽5にて生成された次亜塩素酸水と、送風部12によって本体ケース1内に流入した空気とを接触させる部材である。フィルタは、円筒状に構成され、円周部分に空気が流通可能な孔を備える。フィルタの一端が電解槽5にて生成された次亜塩素酸水に浸漬され、保水ができるようにかつ、フィルタは、中心軸を回転中心として電解槽5に回転が可能な構成で内蔵される。フィルタは、駆動部により回転され、次亜塩素酸水と空気を連続的に接触させる。これにより空気の浄化を行うことができる。
【0026】
ところで、本体ケース1の内部には、吸込口2から浄化部15、送風部12、吹出口6に続く風路13が形成される。送風部12のファンが回転すると、吸込口2から吸い込まれ風路13内に入った空気は、順に、浄化部15、送風部12、吹出口6を介して、本体ケース1外へ吹き出される。これにより、電解槽5の次亜塩素酸水を含んだガスが外部へ放出される。つまり、浄化部15は、電解槽5に生成された次亜塩素酸水を用いて空間の浄化を行う。
【0027】
本体ケース1の背面の上部には、温湿度センサ33を備える。温湿度センサ33は、温度センサ34と湿度センサ35とを含む。温湿度センサ33は、所定空間の空気の温度及び湿度を測定し、測定値を制御部22に出力する。
【0028】
図3に示すように、本体ケース1は、隔壁部16を備える。
【0029】
隔壁部16は、静電センサ30が設けられる静電センサ空間31と電解槽5が設けられる電解槽空間32とを隔離する。つまり、本体ケース1内には静電センサ空間31と電解槽空間32とが存在する。電解槽空間32には、電解槽5以外に貯水タンク9や浄化部15等が存在する。即ち、貯水タンク9は、電解槽空間32に着脱可能である。静電センサ空間31には、静電センサ30および制御部22が存在する。
【0030】
静電センサ30は一対の電極を備えており、電極間には静電容量が存在する。静電容量は、電極の近くに水が存在することで変化する。静電センサ30は、静電容量を検出することができる。ここでいう水とは次亜塩素酸水も含む。静電センサ空間31には複数の独立した静電センサ30が存在する。本実施の形態では一例として、静電センサ空間31には五つの独立した静電センサ30が存在するが、静電センサ30の数は任意に設定可能である。
【0031】
本実施の形態では五つの独立した静電センサ30として、第一静電センサ17、第二静電センサ18、第三静電センサ19、第四静電センサ20および第五静電センサ21の五つの独立した別々の静電センサを備える。
【0032】
ここで、空間浄化のために使用可能な水量について説明する。空間浄化のために使用可能な水量とは、電解槽5の水または次亜塩素酸水および貯水タンク9の水を合わせた水量のことである。電解槽5の水または次亜塩素酸水を水と総称し、電解槽5の水および貯水タンク9の水を合わせた水量を合算水量と定義する。
【0033】
貯水タンク9に水がなく、さらに電解槽5の水が渇水である合算水量を、合算水量0%とする。ここで、渇水とは、水が完全に枯渇した状態でなくてもよく、わずかに水が残っていてもよい。
【0034】
また、電解槽5に蓋10の開閉部が水封されるまで水が供給されており、さらに貯水タンク9の水が満水である合算水量を、合算水量100%とする。ここで、満水とは、貯水タンク9にさらに水を入れることが可能な水量であってもよい。
【0035】
一例として、本実施の形態における合算水量100%について説明する。合算水量0%の状態で、ユーザーにより貯水タンク9が電解槽5から取り外され、貯水タンク9にさらに水を入れることが不可能になるまで水が入れられたとする。その後、ユーザーにより貯水タンク9が電解槽5の上部に取り付けられると、貯水タンク9から電解槽5に蓋10の開閉部が水封されるまで水が供給される。これにより、貯水タンク9の水量は電解槽5の容量分の水量だけ低下する。この状態の合算水量を本実施の形態では合算水量100%とする。
【0036】
合算水量が合算水量100%の五分の一の水量を合算水量20%、合算水量が合算水量100%の二分の一の水量を合算水量50%、合算水量が合算水量100%の五分の四の水量を合算水量80%とする。
【0037】
第一静電センサ17は、電解槽5の水が渇水である合算水量0%、即ち電解槽5の水が不足している渇水状態にある水位、と隔壁部16を挟んで対向する位置に設けられる。
【0038】
第二静電センサ18は、隔壁部16を挟んで合算水量20%における貯水タンク9の水量位置と対向する位置に設けられる。
【0039】
第三静電センサ19は、隔壁部16を挟んで合算水量50%における貯水タンク9の水量位置と対向する位置に設けられる。
【0040】
第四静電センサ20は、隔壁部16を挟んで合算水量80%における貯水タンク9の水量位置と対向する位置に設けられる。
【0041】
第五静電センサ21は、隔壁部16を挟んで合算水量100%における貯水タンク9の水量位置と対向する位置に設けられる。つまり、静電センサ30は、貯水タンク9の複数の水量位置それぞれに対応する複数の静電センサを備える。
【0042】
ところで、電解槽5にて生成された次亜塩素酸水は時間の経過とともに微量ではあるが次亜塩素酸が電解槽空間32内にて自然に揮発する。つまり、電解槽空間32内には次亜塩素酸が存在する。次亜塩素酸は静電センサ30を腐食させて静電センサ30の製品寿命を短くする。そのため、静電センサ30と揮発した次亜塩素酸との接触を防止することが望ましい。本実施の形態では本体ケース1が隔壁部16を備えており、隔壁部16は、揮発した次亜塩素酸を往来不能に静電センサ空間31と電解槽空間32とを隔離する。これにより、静電センサ30の腐食を防止することができる。
【0043】
制御部22は、空間浄化装置Dの制御を行うが制御内容については後述する。
【0044】
空間浄化装置Dは、入力部7および表示部8を備える。
【0045】
入力部7は、例えば空間浄化装置Dの天面に備えられ、ユーザーからの運転開始、運転停止および送風部12の風量設定等の命令を入力可能とする。入力部7に入力された命令は、制御部22に送られる。
【0046】
表示部8は、例えば空間浄化装置Dの天面に備えられ、水量を表示する。本実施の形態では水量とは、合算水量のことである。表示部8は合算水量が0%から100%のいずれかの水量であるか表示を行う。表示部8に表示させる合算水量は制御部22により制御される。表示部8は、空間浄化装置Dの天面に備えられなくてもよい。例えば携帯端末が表示部を備え、携帯端末と制御部22とを無線通信可能とすることで、無線通信により送信された合算水量を携帯端末が表示部に表示させてもよい。
【0047】
次いで、
図4を参照して本発明の実施の形態に係る制御部22の各機能について説明する。
図4は制御部22及び周辺部の概略機能ブロック図である。
【0048】
制御部22は、風量決定部23、加湿量取得部27および判断部24を備える。
【0049】
風量決定部23は、送風部12の風量を決定する。風量決定部23は、入力部7に入力されている風量設定を取得し、取得した風量設定に対応する風量を送風部12の風量に決定する。例えば、取得した風量設定が「小」であれば風量A1(m3/h)と決定し、取得した風量設定が「中」であれば風量A2(m3/h)と決定し、取得した風量設定が「大」であれば風量A3(m3/h)と決定する、風量の大きさは、A1、A2、A3の順に小さい。制御部22は、風量決定部23が決定した風量になるように送風部12の制御を行う。
【0050】
加湿量取得部27は、所定空間の温度と、所定空間の湿度と、送風部12の風量と、に基づいて、単位時間毎の加湿量Xを取得する。具体的には、一例として、加湿量取得部27は、加湿量テーブルを用いて単位時間毎の加湿量Xを取得する。加湿量テーブルは、複数の温度と、複数の湿度と、複数の風量と、複数の単位時間毎の加湿量Xと、を関連付けたテーブルであり、記憶部に記憶されている。記憶部は、いわゆるメモリである。
【0051】
予め温度センサ34と湿度センサ35と風量測定機とを用いて、所定の温度と所定の湿度と所定の風量における単位時間毎の加湿量Xを実験により測定し、測定結果として所定の温度と所定の湿度と所定の風量とに対応する単位時間毎の加湿量Xが加湿量テーブルに格納されている。加湿量テーブルには、風量決定部23が決定可能な風量すべてを決定風量として、決定可能な決定風量毎に各温度と各湿度に対応する単位時間毎の加湿量Xが格納されている。
【0052】
加湿量取得部27は、温度センサ34により測定された温度と湿度センサ35により測定された湿度と風量決定部23が決定した風量と加湿量テーブルに基づいて単位時間毎の加湿量Xを取得する。具体的には、加湿量取得部27は、温度センサ34により測定された温度と湿度センサ35により測定された湿度と風量決定部23が決定した風量をもとに、加湿量テーブルから単位時間毎の加湿量Xを取得する。
【0053】
別の一例として、加湿量取得部27は、単位時間毎の加湿量を算出して、算出した単位時間毎の加湿量を取得してもよい。単位時間毎の加湿量(g/h)は、温度センサ34により測定された温度と、湿度センサ35により測定された湿度と、風量決定部23が決定した風量と、に基づいて、以下の式(1)に従い算出することができる。
【0054】
単位時間毎の加湿量=(B-Bin)×Q×ρ ・・・ 式(1)
式(1)では、Bは加湿後絶対湿度を表し、Binは加湿前絶対湿度を表し、Qは風量決定部23が決定した風量(m3/h)を表し、ρは空気密度(kg/m3)を表す。加湿量取得部27は、あるタイミングにおいて温度センサ34と湿度センサ35で測定された温度と湿度に基づいて加湿前絶対湿度Binを算出し、当該タイミングより後のタイミングにおいて温度センサ34と湿度センサ35で測定された温度と湿度に基づいて加湿後絶対湿度Bを算出する。
【0055】
判断部24は、静電センサ30が検出した静電容量に基づいて電解槽5内の水量および貯水タンク9の水量を判断する。つまり、判断部24は、静電センサ30が検出した静電容量に基づいて合算水量を判断する。判断部24は存在判定部25、水量判断部26および水量更新部28を備える。
【0056】
存在判定部25は、複数の静電センサ30の静電容量に基づいて、複数の水量位置それぞれにおける水の存在を判定する。第一静電センサ17は、電解槽5内の水量に基づいて静電容量が変化する。第二静電センサ18、第三静電センサ19、第四静電センサ20および第五静電センサ21は、貯水タンク9の水量に基づいて静電容量が変化する。
【0057】
存在判定部25は、第一静電センサ17の静電容量が閾値以上であれば、電解槽5の水が不足している渇水状態にある水位に水が存在すると判定する。即ち、合算水量0%の水量位置に水が存在すると判定する。閾値は、予め実験等により決められた値であり、任意に設定可能である。また、存在判定部25は、第二静電センサ18の静電容量が閾値以上であれば、合算水量20%の水量位置に水が存在すると判定する。また、存在判定部25は、第三静電センサ19の静電容量が閾値以上であれば、合算水量50%の水量位置に水が存在すると判定する。また、存在判定部25は、第四静電センサ20の静電容量が閾値以上であれば、合算水量80%の水量位置に水が存在すると判定する。また、存在判定部25は、第五静電センサ21の静電容量が閾値以上であれば、合算水量100%の水量位置に水が存在すると判定する。つまり、複数の静電センサ30を備えることで合算水量(電解槽5および貯水タンク9の水量)を高精度に把握することができる。
【0058】
水量判断部26は、存在判定部25により判定された判定結果に基づいて水量を判断する。具体的には、水量判断部26は、存在判定部25により複数の水量位置の中で最も大きい水量位置に水が存在すると判定される場合、水量を最も大きい水量位置の水量と判断する。本実施の形態では、水量判断部26は、存在判定部25により合算水量100%の水量位置に水が存在すると判定される場合、水量を合算水量100%の水量位置の水量と判断する。
【0059】
また、水量判断部26は、存在判定部25により最も大きい水量位置以外に水が存在すると判定される場合、水量を存在判定部25により水が存在しないと判定された水量位置のなかで最も小さい水量位置の水量と判断する。本実施の形態では、水量判断部26は、存在判定部25により合算水量100%の水量位置以外に水が存在すると判定される場合、水量を存在判定部25により水が存在しないと判定された水量位置のなかで最も小さい水量位置の水量と判断する。例えば、存在判定部25により、合算水量100%の水量位置および合算水量80%の水量位置に水が存在しないと判定され、合算水量50%の水量位置に水が存在すると判定されたとする。この場合、水量判断部26は、水量を合算水量80%の水量位置の水量と判断する。
【0060】
また、水量判断部26は、存在判定部25により複数の水量位置すべてにおいて水が存在しないと判定される場合、貯水タンク9に水がなく、電解槽5の水が不足している渇水状態であると判断する。即ち、水量判断部26は、水量を合算水量0%の水量位置の水量と判断する。
【0061】
水量更新部28は、水量判断部26により判断された水量と加湿量取得部27により取得された単位時間毎の加湿量Xとに基づいて水量の更新を行う。これにより、水量の変化を把握することができる。詳細な制御内容はフローチャートを用いて後述する。
【0062】
制御部22は、判断部24による水量判断に基づいて、判断部24により判断された水量を表示部8に表示させる。
【0063】
制御部22の各機能ブロックは、ハードウェアとしては、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェアとしてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックである。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによって様々な形で実現することができる。
【0064】
次いで、制御部22により実行される制御について
図5のフローチャートを用いて説明する。ここで、フローチャートではSを頭文字にして番号を割り振った。例えばS1などは処理ステップを指す。但し、処理ステップを示す数値の大小と処理順序は関係しない。
【0065】
まず、存在判定部25は、複数の静電センサ30(第一静電センサ17、第二静電センサ18、第三静電センサ19、第四静電センサ20および第五静電センサ21)の静電容量に基づいて、複数の水量位置(合算水量0%の水量位置、合算水量20%の水量位置、合算水量50%の水量位置、合算水量80%の水量位置および合算水量100%の水量位置)それぞれにおける水の存在を判定する(S1)。これにより、複数の水量位置に水が存在するか否か把握することができる。
【0066】
判断部24は、存在判定部25により水が存在すると判定された水量位置のなかで最も大きい水量位置の水量Hを記憶部に記憶させる(S3)。水量Hは例えば80%である。
【0067】
水量判断部26は、存在判定部25により判定された判定結果に基づいて水量を判断する(S3のYes→S4)。水量判断部26は、存在判定部25により合算水量100%の水量位置に水が存在すると判定される場合、判断水量Pを100%と判断する。
【0068】
水量判断部26は、存在判定部25により合算水量100%の水量位置以外に水が存在すると判定される場合、即ち、合算水量100%の水量位置に水が存在しないと判定される場合、現在の判断水量Pを存在判定部25により水が存在しないと判定された水量位置のなかで最も小さい水量位置の水量と判断する(S3のNo→S5)。本実施の形態では、水量判断部26により判断水量Pは80%や50%等の判断が行われる。
【0069】
制御部22は、水量判断部26により判断された判断水量Pを表示部8に表示させる。ところで、本実施の形態では一例として、記憶部には事前に合算水量100%の水量に対応する水の重量が記憶されているとする。例えば合算水量100%の水量に対応する水の重量を重量Gとする。
【0070】
水量更新部28は、水量判断部26により判断された判断水量Pの水量に対応する水の重量を算出する(S6)。算出式は、
水量判断部26により判断された判断水量Pの水量に対応する水の重量[g]
=重量G[g]×判断水量P[%]×0.01
となる。
【0071】
加湿量取得部27は、温度センサ34により測定された温度と湿度センサ35により測定された湿度と風量決定部23が決定した風量をもとに、加湿量テーブルから単位時間毎の加湿量Xを取得する(S7)。
【0072】
所定時間T経過後、水量更新部28は、所定時間Tの間の加湿量を算出する(S8)。所定時間Tは任意に設定可能である。所定時間Tの間の加湿量の算出式は、
所定時間Tの間の加湿量[g]
=単位時間毎の加湿量X[g/s]×所定時間T[s]
となる。所定時間Tの間の加湿量は、所定時間Tの間の合算水量の減少量となる。また、ステップS6にて算出された水量判断部26により判断された判断水量Pの水量に対応する水の重量は、所定時間T経過前の合算水量の重量となる。
【0073】
次に、水量更新部28は、所定時間T経過後の合算水量の重量を算出する。算出式は、
所定時間T経過後の合算水量の重量[g]
=所定時間T経過前の合算水量の重量[g]-所定時間Tの間の加湿量[g]
となる。
【0074】
次に、水量更新部28は、判断水量Pの更新を行う。算出式は、
更新後の判断水量P[%]
=所定時間T経過後の合算水量の重量[g]÷重量G[g]×100
となる。制御部22は、水量更新部28により更新された更新後の判断水量Pを表示部8に表示させる(S9)。これにより、ユーザーは水量の減少度合を把握することができる。なお、制御部22は、表示部8に表示可能な桁数に応じて更新後の判断水量Pに四捨五入等の桁数調整を行ってから表示させる。
【0075】
水量更新部28は、存在判定部25により水が存在すると判定された水量位置の中で最も大きい水量位置が、水が存在しないとの判定に変化したか否かを確認する(S10)。つまり、水量更新部28は、記憶部が記憶する水量Hの水量位置が、水が存在しないとの判定に変化したか否かを確認する。具体的には、水量更新部28は、水量Hの水量位置に対応する存在判定部25の判定結果が、水が存在しないとの判定に変化したか否かを確認する。
【0076】
水量Hの水量位置に対応する存在判定部25の判定結果が、水が存在しないとの判定に変化していなければ、加湿量取得部27は、単位時間毎の加湿量Xを取得する(S10のNo→S7)。その後、水量更新部28は、前回算出した所定時間T経過後の合算水量の重量を新たな所定時間T経過前の合算水量の重量として、合算水量の重量と判断水量Pの更新を行い、制御部22は、更新された判断水量Pを表示部8に表示させる(S7~S9)。つまり、水量更新部28は、加湿時間の経過と共に水量の更新を行い、制御部22は、時間の経過と共に表示内容の更新を行う。
【0077】
また、水量Hの水量位置に対応する存在判定部25の判定結果が、水が存在しないとの判定に変化していれば、水量更新部28は水量Hの水量位置が合算水量0%の水量位置か否か確認する(S10のYes→S11)。
【0078】
水量Hの水量位置が合算水量0%の水量位置でなければ、水量更新部28は、単位時間毎の加湿量Xを補正するための補正値を決定する(S11のNo→S12)。具体的には、水量更新部28は、水が存在しないとの判定に変化した際における水量更新部28により更新されている水量と、水が存在しないとの判定に変化した水量位置の水量と、に基づいて補正値を決定する。つまり本実施の形態では、水量更新部28は、ステップS9にて更新された最新の判断水量Pと、水量Hと、に基づいて補正値Cを決定する。決定する補正値Cの算出式は、
補正値C
=ステップS9にて更新された最新の判断水量P[%]÷水量H[%]
となる。
【0079】
つまり、水量更新部28は、水量更新部28により更新されている水量(ステップS9にて更新された最新の判断水量P)が、水が存在しないとの判定に変化した水量位置の水量(水量H)よりも大きい程、補正値Cを大きくする。例えば、ステップS9にて更新された最新の判断水量P=85%、水量H=100%であれば、補正値Cは0.85となる。また、例えば、ステップS9にて更新された最新の判断水量P=70%、水量H=50%であれば、補正値Cは1.4となる。
【0080】
判断部24は、水量Hを更新する(S13)。具体的には、判断部24は、ステップS13のタイミングにおいて、存在判定部25により水が存在すると判定された水量位置のなかで最も大きい水量位置の水量を新たな水量Hとし、新たな水量Hを記憶部に記憶させる。本実施の形態では、更新前の水量Hが100%であれば更新後の水量Hは80%となる。また、更新前の水量Hが80%であれば更新後の水量Hは50%となる。また、更新前の水量Hが50%であれば更新後の水量Hは20%となる。また、更新前の水量Hが20%であれば更新後の水量Hは0%となる。
【0081】
ステップS13の後、加湿量取得部27は、再度加湿量テーブルから単位時間毎の加湿量Xを取得する(S7)。そして、所定時間T経過後、水量更新部28は、所定時間Tの間の加湿量を算出する(S8)。ここで、ステップS12にて補正値Cが決定されて以降は、水量更新部28は、所定時間Tの間の加湿量の算出式を変更する。
【0082】
具体的には、まず水量更新部28は、前回ステップS9にて算出した最新の所定時間T経過後の合算水量の重量を新たな所定時間T経過前の合算水量の重量に設定する。
【0083】
水量更新部28は、所定時間Tの間の加湿量を算出する。算出式は、
所定時間Tの間の加湿量[g]
=単位時間毎の加湿量X[g/s]×補正値C×所定時間T[s]
となる。
【0084】
次に、水量更新部28は、所定時間T経過後の合算水量の重量算出と判断水量Pの更新を行う。算出式は同じである。つまり、水量更新部28は、単位時間毎の加湿量Xと補正値Cとに基づいて水量の更新を行う。即ち、水量更新部28は、単位時間毎の加湿量Xを補正値Cにて補正している。
【0085】
ここで、加湿量取得部27により取得された単位時間毎の加湿量Xを補正値Cにて補正する理由について説明する。
【0086】
例えば、蓋10の開閉部が水封されるまで電解槽5に水が供給されており、かつ、貯水タンク9にさらに水を入れることが不可能な状態まで水が入れられたとする。このとき、水量判断部26は判断水量Pを100%と判断し、制御部22は100%を表示部8に表示させる。しかし、実際には合算水量100%の水量よりも大きい水量の水が電解槽5および貯水タンク9には格納されている。ここで、電解槽5および貯水タンク9には格納されている実際の合算水量が合算水量115%の水量であるとする。
【0087】
水量更新部28は、水量判断部26により判断された判断水量Pと加湿量取得部27により取得された単位時間毎の加湿量Xとに基づいて判断水量Pの更新を行う。合算水量15%に相当する水量より多い水量の加湿が行われると、存在判定部25による判定結果は、合算水量100%の水量位置に水が存在するとの判定結果から合算水量100%の水量位置に水が存在しないとの判定結果に変化する。この時、実際の合算水量は合算水量100%近傍の水量であるが、表示部8には85%近傍が表示される。つまり、実際の合算水量と表示部8の水量には差が生じている。ここで表示部8による表示を85%近傍から100%近傍に変更するとユーザーに違和感を与え、ユーザーは空間浄化装置の故障との誤認識をする可能性がある。
【0088】
そこで、水量更新部28は補正値Cを決定し、単位時間毎の加湿量Xを補正値Cにて補正する。実際の合算水量よりも表示部8に表示される水量が小さい場合、補正値Cは1よりも小さくなる。つまり、単位時間毎の加湿量Xに補正値Cを乗算することで補正後の単位時間毎の加湿量は補正前の単位時間毎の加湿量よりも小さくなる。
【0089】
水量更新部28は、補正後の単位時間毎の加湿量を用いて判断水量Pの更新を行う。これにより、所定時間における判断水量Pの減少量を所定時間における実際の合算水量の減少量よりも小さくすることができる。つまり、水量更新部28により更新された水量と実際の合算水量との差を小さくすることができる。さらに、水量更新部28により更新された水量がゼロになるタイミングと実際の合算水量がゼロになるタイミングを合わせることができる。
【0090】
水量更新部28が補正後の単位時間毎の加湿量を用いて判断水量Pの更新を行うことで、ユーザーに違和感を与えずに、実際の合算水量と表示部8の水量との差を小さくすることができる。さらに、実際の合算水量が合算水量0%の水量になるタイミングと、表示部8に0%が表示されるタイミングとを合わせることができる。これにより、ユーザーは電解槽5および貯水タンク9の水がなくなるタイミングを把握することができる。
【0091】
水量更新部28による補正値Cの決定は、存在判定部25により水が存在すると判定された水量位置の中で最も大きい水量位置が、水が存在しないとの判定に変化する度に行われるため、実際の合算水量が合算水量0%の水量になるタイミングと、表示部8に0%が表示されるタイミングとを高精度に合わせることができる。
【0092】
また、別の一例を説明する。電解槽5および貯水タンク9に実際に合算水量60%の水量が格納されたとする。このとき、水量判断部26は判断水量Pを80%と判断し、制御部22は80%を表示部8に表示させる。しかし、実際には合算水量60%の水量の水が電解槽5および貯水タンク9には格納されている。
【0093】
水量更新部28は、水量判断部26により判断された判断水量Pと加湿量取得部27により取得された単位時間毎の加湿量Xとに基づいて判断水量Pの更新を行う。合算水量10%に相当する水量より多い水量の加湿が行われると、存在判定部25による判定結果は、合算水量50%の水量位置に水が存在するとの判定結果から合算水量50%の水量位置に水が存在しないとの判定結果に変化する。この時、実際の合算水量は合算水量50%近傍の水量であるが、表示部8には70%近傍が表示される。つまり、実際の合算水量と表示部8の水量には差が生じている。ここで表示部8による表示を70%近傍から50%近傍に変更するとユーザーに違和感を与え、ユーザーは空間浄化装置の故障との誤認識をする可能性がある。
【0094】
そこで、水量更新部28は補正値Cを決定し、単位時間毎の加湿量Xを補正値Cにて補正する。実際の合算水量よりも表示部に表示される水量が大きい場合、補正値Cは1よりも大きくなる。つまり、単位時間毎の加湿量Xに補正値Cを乗算することで補正後の単位時間毎の加湿量は補正前の単位時間毎の加湿量よりも大きくなる。
【0095】
水量更新部28は、補正後の単位時間毎の加湿量を用いて判断水量Pの更新を行う。これにより、所定時間における判断水量Pの減少量を所定時間における実際の合算水量の減少量よりも大きくすることができる。つまり、水量更新部28により更新された水量と実際の合算水量との差を小さくすることができる。さらに、水量更新部28により更新された水量がゼロになるタイミングと実際の合算水量がゼロになるタイミングを合わせることができる。
【0096】
水量更新部28が補正後の単位時間毎の加湿量を用いて判断水量Pの更新を行うことで、ユーザーに違和感を与えずに、実際の合算水量と表示部8の水量との差を小さくすることができる。さらに、実際の合算水量が合算水量0%の水量になるタイミングと、表示部8に0%が表示されるタイミングとを合わせることができる。これにより、ユーザーは電解槽5および貯水タンク9の水がなくなるタイミングを把握することができる。
【0097】
水量更新部28による補正値Cの決定は、存在判定部25により水が存在すると判定された水量位置の中で最も大きい水量位置が、水が存在しないとの判定に変化する度に行われるため、実際の合算水量が合算水量0%の水量になるタイミングと、表示部8に0%が表示されるタイミングとを高精度に合わせることができる。
【0098】
上記より、補正値Cは実際の合算水量と水量更新部28により更新される判断水量Pとのズレを補正するための値であることがわかる。水量更新部28により更新されている判断水量Pが、水が存在しないとの判定に変化した水量位置の水量よりも大きい程、補正値を大きくしているため、実際の合算水量と水量更新部28により更新される判断水量Pとのズレを小さくすることができる。以上、加湿量取得部27により取得された単位時間毎の加湿量Xを補正値Cにて補正する理由についての説明を終了する。
【0099】
合算水量0%の水量位置に対応する判定結果が、水が存在しないとの判定結果に変化するまで、水量更新部28による合算水量の重量および判断水量Pの更新と制御部22による判断水量Pの表示が繰り返される。
【0100】
合算水量0%の水量位置に対応する判定結果が、水が存在しないとの判定結果に変化すると終了する。水量更新部28は、合算水量の重量を0[g]とし、判断水量Pを0[%]とする。このとき、電解槽5の水が不足している渇水状態であるため、制御部22は運転を停止させてもよい。また、ユーザーに給水通知を行うための通知部を備え、制御部22はユーザーに給水が必要である旨を通知部により通知させてもよい。これにより、ユーザーは給水が必要であることを把握することができる。
【0101】
以上の処理により、ユーザーは電解槽5および貯水タンク9の水量を把握することができる。
【0102】
ところで、第一静電センサ17、第二静電センサ18、第三静電センサ19、第四静電センサ20および第五静電センサ21の代わりに、第一静電センサ17の位置が一端であり、第五静電センサ21の位置が他端である一つの静電センサを備えることが考えられる。一つの静電センサは、第一静電センサ17の位置から第五静電センサ21の位置までの長さの一対の電極を備える。この一対の電極における静電容量の変化から電解槽5および貯水タンク9の水量を把握し、表示部8に合算水量が0%から100%のいずれかの水量であるか表示を行わせようとしても、それは困難である。なぜならば、空間浄化装置は、隔壁部16を備えるからである。一つの静電センサと水との間に隔壁部16が存在することで、合算水量が0%から100%に変化した場合の静電容量の変化は微小となり、合算水量が0%から100%までの細かい水量変化を一つの静電センサにて精度よく把握することは困難となる。
【0103】
そこで、本発明は隔壁部16を挟んで特定の合算水量の水量位置と対抗する位置に静電センサ30を設ける。これにより、隔壁部16が存在しても特定の合算水量の水量位置に水が存在するか否かは把握することができる。本発明により静電センサ30と水との間に隔壁部16が存在しても、静電センサ30により水量判断を行うことができる。つまり、次亜塩素酸による静電センサ30の腐食を防止しつつ静電センサ30により水量判断を行うことができる。さらに、水量更新部28による水量更新を行うことで、静電センサ30と水との間に隔壁部16が存在しても、0%から100%までの詳細な水量判断を行うことができ、表示部8に0%から100%までの詳細な水量表示を行うことができる。ユーザーは詳細な水量を把握することができる。
【0104】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0105】
例えば、本実施の形態よりも静電センサの数を増やすことにより、より精度の高い水量検出を行うことができる。
【0106】
また、本実施の形態では静電センサを用いたが、特定の水量位置を検知することができれば、静電センサ以外を用いてもよい。
【0107】
(発明の概要)
本発明に係る空間浄化装置は、吸込口と吹出口とを有する本体ケースと、吸込口から吹出口へ空気を導く送風部と、本体ケースに着脱可能で電解促進剤と水とを混合する電解槽と、電解槽にて混合された電解促進剤と水とから次亜塩素酸水を生成する電極部と、電解槽内の水量に基づいて静電容量が変化する静電センサと、静電センサが検出した静電容量に基づいて電解槽内の水量を判断する判断部と、を備え、本体ケースは、静電センサが設けられる静電センサ空間と電解槽が設けられる電解槽空間とを隔離する隔壁部を備える。これにより、次亜塩素酸による静電センサの腐食を防止しつつ静電センサにより水量判断を行うことができる。
【0108】
また、隔壁部は、揮発した次亜塩素酸を往来不能に静電センサ空間と電解槽空間とを隔離してもよい。これにより次亜塩素酸による静電センサの腐食を防止することができる。
【0109】
また、電解槽にて生成された次亜塩素酸水を吸込口から吸い込んだ空気に接触させて空気の浄化を行う浄化部を備えてもよい。これにより、空気の浄化を行うことができる。
【0110】
また、静電センサは、電解槽の水が不足している渇水状態にある水位と隔壁部を挟んで対向する位置に設けられてもよい。これにより、渇水状態か否かで静電センサの静電容量を変化させることができる。
【0111】
また、電解槽空間に着脱可能で電解槽に水を供給する貯水タンクを備え、静電センサは、電解槽内の水量を判断するための静電センサとは独立して、隔壁部を挟んで貯水タンクの所定水量位置と対向する位置にも設けられ、判断部は、静電センサが検出する静電容量に基づいて、さらに貯水タンクの水量を判断してもよい。これにより、貯水タンクの水量を把握することができる。
【0112】
また、判断部による水量判断に基づいて、水量を表示する表示部を備えてもよい。これにより、ユーザーは水量を把握することができる。
【0113】
また、貯水タンクの複数の水量位置それぞれに対応する複数の静電センサを備えてもよい。これにより、貯水タンクの水量を高精度に把握することができる。
【0114】
また、所定空間の温度と、所定空間の湿度と、送風部の風量と、に基づいて、単位時間毎の加湿量を取得する加湿量取得部をさらに備え、判断部は、複数の静電センサの静電容量に基づいて、複数の水量位置それぞれにおける水の存在を判定する存在判定部と、存在判定部により判定された判定結果に基づいて水量を判断する水量判断部と、水量判断部により判断された水量の更新を行う水量更新部と、を備え、水量判断部は、存在判定部により複数の水量位置の中で最も大きい水量位置に水が存在すると判定される場合、水量を最も大きい水量位置の水量と判断し、存在判定部により最も大きい水量位置以外に水が存在すると判定される場合、水量を存在判定部により水が存在しないと判定された水量位置のなかで最も小さい水量位置の水量と判断し、水量更新部は、水量判断部により判断された水量と加湿量取得部により取得された単位時間毎の加湿量とに基づいて水量の更新を行ってもよい。これにより、水量と水量の変化を把握することができる。
【0115】
また、水量更新部は、加湿時間の経過と共に水量の更新を行い、存在判定部により水が存在すると判定された水量位置の中で最も大きい水量位置が、水が存在しないとの判定に変化した際に、加湿量を補正する補正値を決定し、補正値と単位時間毎の加湿量とに基づいて水量の更新を行ってもよい。これにより、水量更新部により更新された水量と実際の水量との差を小さくすることができる。
【0116】
また、水量更新部は、水が存在しないとの判定に変化した際における水量更新部により更新されている前記水量と、水が存在しないとの判定に変化した水量位置の水量と、に基づいて補正値を決定し、水量更新部により更新されている水量が、水が存在しないとの判定に変化した水量位置の水量よりも大きい程、補正値を大きくしてもよい。これにより、水量更新部により更新された水量と実際の水量との差を小さくし、水量更新部により更新された水量がゼロになるタイミングと実際の水量がゼロになるタイミングを合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明に係る空間浄化装置は、空間の浄化を行う空間浄化装置として有用である。
【符号の説明】
【0118】
D 空間浄化装置
1 本体ケース
1A 本体側面
2 吸込口
3 パネル
5 電解槽
6 吹出口
7 入力部
8 表示部
9 貯水タンク
10 蓋
12 送風部
13 風路
14 電極部
15 浄化部
16 隔壁部
17 第一静電センサ
18 第二静電センサ
19 第三静電センサ
20 第四静電センサ
21 第五静電センサ
22 制御部
23 風量決定部
24 判断部
25 存在判定部
26 水量判断部
27 加湿量取得部
28 水量更新部
30 静電センサ
31 静電センサ空間
32 電解槽空間
33 温湿度センサ
34 温度センサ
35 湿度センサ