(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122753
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】型枠支持部材及び型枠セット
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20230829BHJP
E04G 11/06 20060101ALI20230829BHJP
E04G 17/065 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
E02D27/01 C
E04G11/06 A
E04G17/065 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026437
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和裕
(72)【発明者】
【氏名】平尾 昂之
(72)【発明者】
【氏名】尾内 惇史
【テーマコード(参考)】
2D046
2E150
【Fターム(参考)】
2D046BA11
2E150AA30
2E150EA01
2E150EB02
2E150EB05
2E150EB07
2E150EC03
2E150FA22
(57)【要約】
【課題】基礎の立ち上がり部を構成する際の作業を容易化する。
【解決手段】互いの間にコンクリートを打設することによりベタ基礎2の立ち上がり部2Bを構成する外面型枠20と内面型枠10とを相互に対向した状態に保持する型枠支持部材30であって、一端部に雌ネジ部31eを有したコーン部材31cが設けられ、かつ他端部に内面型枠10の下面を支持する型枠受部31dが設けられた支持部本体31と、外面型枠20の内表面にコーン部材31cを当接した状態で外面型枠20の外表面側からコーン部材31cの雌ネジ部31eに螺合することにより、コーン部材31cとの間に外面型枠20を挟持するとともに、支持部本体31を外面型枠20に片持ち支持させる固定用ネジ部材32とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの間にコンクリートを打設することにより基礎の立ち上がり部を構成する外面型枠と内面型枠とを相互に対向した状態に保持する型枠支持部材であって、
一端部に連結部が設けられ、かつ他端部に前記内面型枠の下面を支持する型枠受部が設けられた支持部本体と、
前記外面型枠の内表面に前記連結部を当接した状態で前記外面型枠の外表面側から当該外面型枠を貫通して前記連結部に着脱可能に連結することにより、前記連結部との間に前記外面型枠を挟持するとともに、前記支持部本体を前記外面型枠に片持ち支持させる固定部材と
を備えたことを特徴とする型枠支持部材。
【請求項2】
前記連結部は、雌ネジ部を有したものであり、
前記固定部材は、前記連結部の雌ネジ部に着脱可能に螺合されるネジ軸部を有するとともに、前記ネジ軸部よりも太径のネジ頭部を有した固定用ネジ部材によって構成され、前記ネジ頭部と前記連結部との間に前記外面型枠を挟持することを特徴とする請求項1に記載の型枠支持部材。
【請求項3】
前記支持部本体には、一端部に連結用雄ネジ部が設けられ、
前記連結部は、外周面がテーパ状を成し、中心部に前記雌ネジ部が貫通する状態で形成されたコーン部材であり、前記雌ネジ部の一端部に前記連結用雄ネジ部が螺合され、
前記固定用ネジ部材は、前記雌ネジ部の他端部に螺合されることを特徴とする請求項2に記載の型枠支持部材。
【請求項4】
前記支持部本体には、他端部に調整用雄ネジ部が設けられ、
前記調整用雄ネジ部に螺合する2つのナット部材の間に前記型枠受部が挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の型枠支持部材。
【請求項5】
互いの間にコンクリートが打設される外面型枠及び内面型枠と、請求項1~請求項4のいずれか一つに記載した型枠用支持部材とを備えることを特徴とする型枠セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いの間にコンクリートを打設することにより基礎の立ち上がり部を構成する外面型枠と内面型枠とを相互に対向した状態に保持する型枠支持部材及び型枠セットに関するもので、特に、ベタ基礎の耐圧盤部と外周側の立ち上がり部とを一回のコンクリート打設で構成する工法において好適な型枠支持部材及び型枠セットに関する。
【背景技術】
【0002】
ベタ基礎の耐圧盤部と外周側の立ち上がり部とを一回のコンクリート打設で構成する工法では、立ち上がり部の内面側に配置される内面型枠を捨てコンクリート等の基盤の上面から浮いた状態に配置する必要がある。このため従来では、固定具を適用して内面型枠の下面を支持するようにしている。固定具は、ロッド状を成し、先端部に型枠立設部が設けられたもので、基端部を外面型枠に設けた孔に挿通した後、挿通端部にナットを螺合することによって外面型枠の内表面から水平方向に沿って延在した状態となる。従って、型枠立設部に内面型枠を配置すれば、耐圧盤部から浮いた状態で配置することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のものでは、固定具が外面型枠に設けた孔に挿通されているため、打設したコンクリートが硬化した後に外面型枠を取り外す場合、固定具の延在方向に沿って外面型枠を移動させなければならず、作業性の点で必ずしも好ましいとはいえない。すなわち、コンクリートが硬化した後においては、コンクリートの表面と外面型枠との間が固着された状態となっているため、固定具の延在方向に沿って外面型枠を移動させる作業、つまりコンクリートの表面に対して外面型枠を平行となる状態で移動させるには、固着面全体を一時に剥離させるための大きな力が必要となり、その作業を煩雑化する要因となる。しかも、外面型枠を取り外した後の立ち上がり部からは、固定具が突出した状態となるため、これを切除する作業も必要となり、基礎の立ち上がり部を構成する際の作業が一層煩雑化する。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、基礎の立ち上がり部を構成する際の作業を容易化することのできる型枠支持部材及び型枠セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る型枠支持部材は、互いの間にコンクリートを打設することにより基礎の立ち上がり部を構成する外面型枠と内面型枠とを相互に対向した状態に保持する型枠支持部材であって、一端部に連結部が設けられ、かつ他端部に前記内面型枠の下面を支持する型枠受部が設けられた支持部本体と、前記外面型枠の内表面に前記連結部を当接した状態で前記外面型枠の外表面側から当該外面型枠を貫通して前記連結部に着脱可能に連結することにより、前記連結部との間に前記外面型枠を挟持するとともに、前記支持部本体を前記外面型枠に片持ち支持させる固定部材とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、固定部材と連結部との連結状態を解除すれば、硬化したコンクリートの外周側となる表面から突出する部材がなくなる。このため、外面型枠を取り外した後に支持部本体を切除する等の作業を行う必要がない。しかも、外面型枠を取り外す際の移動方向に制限がなくなるため、例えば外面型枠の下端縁を支点として傾けることによりコンクリートから上端縁部を先に引き離すことができ、大きな力が不要になる等、外面型枠を取り外す際の作業性の点で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態である型枠セットを示すもので、(a)は外面型枠単体を外表面側から見た図、(b)は組み立てた状態を外周側から見た図、(c)は(b)の縦断面図である。
【
図2】
図1に示した型枠セットを組み立てた状態の要部平面図である。
【
図3】
図1に示した型枠セットの拡大縦断面図である。
【
図4】
図1に示した型枠セットにおいて外面型枠の連結状態を外表面側から見た要部拡大図である。
【
図5】
図1に示した型枠セットが構成対象とするベタ基礎を模式的に示す縦断面図である。
【
図6】
図1に示した型枠セットに適用する型枠支持部材を示すもので、(a)は平面一部破断図、(b)は側面図、(c)は(b)における矢視C図である。
【
図7】
図1に示した型枠セットに打設したコンクリートが硬化した後の状態を示すもので、(a)は型枠支持部材の支持部本体から固定部材を取り外した状態の縦断面図、(b)は外面型枠をコンクリートから離隔させた状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る型枠支持部材及び型枠セットの好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1~
図4は、本発明の実施の形態である型枠セットを示すものである。ここで例示する型枠セットは、
図5に示すように、一戸建て住宅等の建築物Hの基礎2を構成するもので、特に捨てコンクリート等の基盤1の上面に耐圧盤部2Aと立ち上がり部2B,2Cとを備えたベタ基礎2を一回のコンクリート打設で構成する場合に好適である。
図1~
図4に示すように、この型枠セットは、内面型枠10、外面型枠20、型枠支持部材30、上端補強部材40、下方レール部材50、幅止め部材60を備えている。
【0010】
内面型枠10及び外面型枠20は、それぞれ内表面10a,20aが平坦となる板状を成し、互いに内表面10a,20aを対向させた状態で相互間にコンクリートが打設されるものである。内面型枠10は、ベタ基礎2の外周側に設けられる立ち上がり部2Bにおいて耐圧盤部2Aの上面から上方に突出した内面2Baを構成するためのものである。本実施の形態では、内面型枠10として鋼材等の金属によって成形した長方形の板状を成すものを適用している。
【0011】
外面型枠20は、外周側に設けられる立ち上がり部2Bにおいて基盤1の上面から上方に突出した外面2Bbを構成するためもので、耐圧盤部2Aの板厚分だけ内面型枠10よりも上下に沿った寸法が大きな横長の長方形状を成している。本実施の形態では、平板状を成すパネル21と、パネル21の外表面に取り付けた枠材22とを備えて外面型枠20を構成している。パネル21は、合板等の非金属によって成形した薄板状を成すものである。図には明示していないが、パネル21の内表面20aには、硬化したコンクリートとの離型性を向上させるため、樹脂製のフィルムを設けたり、離型材を塗布するようにしている。
【0012】
枠材22は、アルミニウム合金等の金属を押し出し成形することにより中空の角筒状に構成したもので、パネル21の外表面において上縁部、下縁部及び両側縁部に沿って取り付けてあるとともに、長手のほぼ中間となる部分に上下に沿って取り付けてある。つまり、パネル21の外表面には、両側及び中間となる部分にそれぞれ上下に沿った枠材(以下、区別する場合に縦枠材22aという)がほぼ等間隔となる状態で取り付けてある。
【0013】
このうち、左右に隣接する2つの縦枠材22a、図示の例ではパネル21の外表面側から見て右側の縁部に設けた縦枠材22a及び中央に設けた縦枠材22aにそれぞれ支持用ネジ挿通孔23が設けてあり、両側の縁部に設けた縦枠材22aにそれぞれ連結用ネジ挿通孔24が設けてある。支持用ネジ挿通孔23は、縦枠材22aの下方部分においてパネル21の面に直交し、かつ縦枠材22a及びパネル21を貫通するように形成したもので、互いに高さの異なる複数の位置に設けてある。これらの支持用ネジ挿通孔23は、後述する型枠支持部材30の固定用ネジ部材32を挿通させるためのものである。連結用ネジ挿通孔24は、縦枠材22aの上端部及び下端部においてそれぞれパネル21の表面に沿ってほぼ水平に貫通するように形成したものである。この連結用ネジ挿通孔24は、外面型枠20を左右に並設した状態でそれぞれに連結用ネジ部材Sを貫通させることにより、外面型枠20の相互間を連結するためのものである。
【0014】
パネル21の上縁部に沿って設けた枠材(以下、区別する場合に上枠材22bという)は、パネル21の上縁に近接する状態で取り付けてある。一方、下縁部に沿って設けた枠材(以下、区別する場合の下枠材22cという)は、パネル21の下縁との間に挿入スペース22dを確保した状態で取り付けてあり、その下面にレール連係部材25を備えている。レール連係部材25は、上下に沿った軸心を中心に回転可能となる状態で下枠材22cに取り付けたもので、後述する下方レール部材50に着脱可能に係合することが可能である。図示の例では、外面型枠20のほぼ中央となる部分にひとつずつレール連係部材25が設けてある。
【0015】
型枠支持部材30は、内面型枠10及び外面型枠20を互いに対向した状態に保持するもので、
図6に示すように、支持部本体31及び固定用ネジ部材32を備えている。支持部本体31は、一方の端部に連結用雄ネジ部31aを有するとともに、他方の端部に調整用雄ネジ部31bを有したロッド状を成すもので、連結用雄ネジ部31aにコーン部材31cを備える一方、調整用雄ネジ部31bに型枠受部31dを備えている。
【0016】
コーン部材31cは、樹脂によって成形したもので、外周面がテーパとなる円錐台状に構成してある。コーン部材31cの中心部には、支持部本体31の連結用雄ネジ部31aが螺合可能となる雌ネジ部31eが両端面に貫通するように設けてある。雌ネジ部31eは例えば、コーン部材31cの中心部に金属製の円筒部材を埋設し、当該円筒部材の内周面に設けてある。この雌ネジ部31eには、コーン部材31cの細径となる端部から連結用雄ネジ部31aが着脱可能に螺合してある。型枠受部31dは、上述した内面型枠10の下面を支持するためのもので、基端部がネジ挿通孔(図示せず)を介して調整用雄ネジ部31bに貫通し、両端部に螺合したナット部材31f,31gの間に挟持してある。型枠受部31dの先端部には、内面型枠10の外表面に当接する外方受面31hと、内面型枠10の内表面10aに当接する内方受面31iとが上方に突出するように設けてある。すなわち、外方受面31hと内方受面31iとの間に内面型枠10の下端縁部を収容させれば、型枠受部31dの上面に内面型枠10を配置することが可能となる。この型枠受部31dの位置は、調整用雄ネジ部31bに対する2つのナット部材31f,31gの螺合位置を調整することによって適宜変更することが可能である。
【0017】
固定用ネジ部材32は、コーン部材31cの雌ネジ部31eに螺合可能となるネジ軸部32aと、ネジ軸部32aよりも太径となるネジ頭部32bとを有したものである。ネジ軸部32aの長さは、外面型枠20の支持用ネジ挿通孔23に挿通させた場合にパネル21の内表面20aから突出するだけの寸法に設定してある。
【0018】
上端補強部材40は、保持金具41を介して外面型枠20の上端部に配置するもので、枠材22と同様、アルミニウム合金等の金属によって成形した角筒状に構成してある。図示する上端補強部材40は、枠材22よりも大きな断面を有するとともに、外面型枠20の左右に沿った全長よりも大きな長さに形成してあり、パネル21の上縁部に沿って設けた上枠材22bに沿い、かつ左右に隣接する複数の外面型枠20にわたる状態で配置することが可能である。
【0019】
下方レール部材50は、取付板部51の一端部に挿入溝52を有したもので、挿入溝52が上方に開口する状態で取付板部51を介して基盤1の上面に取り付けることが可能である。挿入溝52は、パネル21の下縁部を挿入した状態で外面型枠20を立設した状態に保持するためのものである。下方レール部材50には、係合片53が設けてある。係合片53は、挿入溝52にパネル21の下縁部を挿入した状態でレール連係部材25を回転操作した場合にレール連係部材25に係合し、下方レール部材50に対する外面型枠20の上方への移動を制限するものである。本実施の形態では、挿入溝52を構成する2つの側板52a,52bにおいて取付板部51に近接した側板52aの上縁部を屈曲することにより下方レール部材50に係合片53が構成してある。幅止め部材60は、内面型枠10及び外面型枠20の上端部間に掛け渡すことにより、これら型枠10,20の相互間距離が変化する事態を防止するためのものである。
【0020】
上記のように構成した型枠セットを適用してベタ基礎2を構成する場合には、基盤1の上面に適宜配筋70を行った後、基盤1の上面において外周側の立ち上がり部2Bの外面2Bbに対応する部分に下方レール部材50を介して外面型枠20を配置する。より具体的に説明すると、基盤1の上面に取付板部51を介して下方レール部材50を固定した後、下方レール部材50の挿入溝52にパネル21の下端部を挿入し、さらにレール連係部材25を操作することにより、下方レール部材50と外面型枠20の下枠材22cとの間を係合する。この状態においては、レール連係部材25が下方レール部材50に係合することにより、基盤1に対する外面型枠20の上方への移動が阻止されることになる。
【0021】
下方レール部材50に配置する外面型枠20には、予め型枠支持部材30を取り付けても良いし、下方レール部材50に配置した後に型枠支持部材30を取り付けるようにしても良い。外面型枠20に型枠支持部材30を取り付けるには、パネル21の内表面20aにおいて支持用ネジ挿通孔23に対向する部分にコーン部材31cを当接させ、この状態から縦枠材22aの支持用ネジ挿通孔23及びパネル21の支持用ネジ挿通孔23を介してコーン部材31cの雌ネジ部31eに固定用ネジ部材32を螺合させれば良い。すなわち、コーン部材31cに固定用ネジ部材32を螺合させれば、コーン部材31cの端面と固定用ネジ部材32のネジ頭部32bとの間に縦枠材22aを介して外面型枠20のパネル21を挟持することが可能となり、この結果、型枠支持部材30の支持部本体31がパネル21の内表面20aからほぼ水平に突出した状態に片持ち支持される。支持用ネジ挿通孔23は、耐圧盤部2Aからの立ち上がり部2Bの突出寸法に応じて適宜選択すれば良い。
【0022】
下方レール部材50に配置した左右の外面型枠20に対しては、隣接する縦枠材22aの連結用ネジ挿通孔24に連結用ネジ部材Sを貫通することによって相互間を連結するとともに、それぞれの上端部に設けた保持金具41に掛け渡すように上端補強部材40を配設することによって相互間の接続を補強するようにしている。さらに図示の例では、一方の端部を基盤1や地面等に固定したサポート部材80の他方の端部を縦枠材22aの上方部間を連結する連結用ネジ部材Sに係合させることにより、外面型枠20が外周側に倒れる事態を防止するようにしている。なお、立ち上がり部2Bの出隅となる部分には、コーナー部材90を配設することによって外面型枠20の相互間を連続させるようにしている。
【0023】
上述の状態から型枠支持部材30の型枠受部31dに内面型枠10を載置すれば、基盤1から浮いた状態で内面型枠10を外面型枠20に対向した状態に配置することが可能となる。その後、外面型枠20の上端部と内面型枠10の上端部の間に幅止め部材60を介在させ、この状態から外面型枠20の内表面20aと内面型枠10の内表面10aとの間にコンクリートを打設すれば、ベタ基礎2の耐圧盤部2Aと外周側の立ち上がり部2Bとを一回のコンクリート打設で構成することができる。
【0024】
このとき、上述の型枠セットによれば、パネル21の外表面に枠材22を備えて外面型枠20を構成し、型枠支持部材30がこれらパネル21及び枠材22を挟持する状態で配設されるため、コンクリートを打設した際にも外面型枠20と型枠支持部材30とが相対的に傾斜する事態が防止されることになり、ベタ基礎2を精度良く構成することが可能となる。
【0025】
コンクリートが硬化した後においては、幅止め部材60、連結用ネジ部材S、上端補強部材40を取り外した後、外面型枠20及び下方レール部材50を取り外せばベタ基礎2を構成する作業が完了する。ここで、上述の型枠セットにおいては、コーン部材31cから固定用ネジ部材32を取り外すと、コンクリートの外面2Bbから突出する部材がなくなる。このため、外面型枠20を取り外す際に移動方向が制限されることがなく、例えば
図7に示すように、外面型枠20の下端縁を支点として傾けることによりコンクリートから上端縁部を先に引き離すことができ、外面型枠20を取り外す際の作業性の点で有利となる。しかも、外面型枠20を取り外した後においては、コーン部材31cを除去した後、コーン部材31cがあった部分に被覆部材を充填することで、立ち上がり部2Bの外面2Bbから連結用雄ネジ部31aの一端面までに大きな寸法dを確保することが可能となる。これにより、支持部本体31の連結用雄ネジ部31aを鋼材等の金属によって構成した場合にも、雨水等の外部の水が直接触れたり、浸透して触れるおそれがなくなり、錆等、腐食する事態を防止することができる。なお、内面型枠10については、建築物Hの外部に露出することがなく、しかも鋼材等の金属によって成形したものを適用しているため、そのまま立ち上がり部2Bの内面に残した状態とすることも可能である。
【0026】
なお、上述した実施の形態では、外面型枠としてパネルの外表面に枠材を取り付けたものを例示しているが、パネルのみによって構成したものを外面型枠として用いても構わない。また、型枠支持部材の連結部として雌ネジ部31eを有したコーン部材31cを例示し、固定部材として固定用ネジ部材32を例示しているが、本発明はこれに限定されない。さらに、内面型枠10として鋼材等の金属によって成形した長方形の板状を成すものを例示しているが、樹脂材からなる断熱材や木製の合板(いわゆるコンパネ)を適用しても構わない。
【0027】
以上のように、本発明に係る型枠支持部材は、互いの間にコンクリートを打設することにより基礎の立ち上がり部を構成する外面型枠と内面型枠とを相互に対向した状態に保持する型枠支持部材であって、一端部に連結部が設けられ、かつ他端部に前記内面型枠の下面を支持する型枠受部が設けられた支持部本体と、前記外面型枠の内表面に前記連結部を当接した状態で前記外面型枠の外表面側から当該外面型枠を貫通して前記連結部に着脱可能に連結することにより、前記連結部との間に前記外面型枠を挟持するとともに、前記支持部本体を前記外面型枠に片持ち支持させる固定部材とを備えたことを特徴としている。
この発明によれば、固定部材と連結部との連結状態を解除すれば、硬化したコンクリートの外周側となる表面から突出する部材がなくなる。このため、外面型枠を取り外した後に支持部本体を切除する等の作業を行う必要がない。しかも、外面型枠を取り外す際の移動方向に制限がなくなるため、例えば外面型枠の下端縁を支点として傾けることによりコンクリートから上端縁部を先に引き離すことができ、大きな力が不要になる等、外面型枠を取り外す際の作業性の点で有利となる。
【0028】
また本発明は、上述した型枠支持部材において、前記連結部は、雌ネジ部を有したものであり、前記固定部材は、前記連結部の雌ネジ部に着脱可能に螺合されるネジ軸部を有するとともに、前記ネジ軸部よりも太径のネジ頭部を有した固定用ネジ部材によって構成され、前記ネジ頭部と前記連結部との間に前記外面型枠を挟持することを特徴としている。
この発明によれば、連結部の雌ネジ部に固定用ネジ部材を螺合させれば、支持本体部床麗容ネジ部材とを連結することができるため、支持部本体を外面型枠に取り付ける作業を容易化することができる。
【0029】
また本発明は、上述した型枠支持部材において、前記支持部本体には、一端部に連結用雄ネジ部が設けられ、前記連結部は、外周面がテーパ状を成し、中心部に前記雌ネジ部が貫通する状態で形成されたコーン部材であり、前記雌ネジ部の一端部に前記連結用雄ネジ部が螺合され、前記固定用ネジ部材は、前記雌ネジ部の他端部に螺合されることを特徴としている。
この発明によれば、硬化したコンクリートからコーン部材を除去した後、コーン部材があった部分に被覆部材を充填すれば、立ち上がり部の外周側となる表面から連結用雄ネジ部一端部までに大きな寸法を確保することが可能となる。従って、支持部本体に雨水等の外部の水が直接触れたり、浸透して触れるおそれがなくなり、錆等、腐食する事態を防止することができる。
【0030】
また本発明は、上述した型枠支持部材において、前記支持部本体には、他端部に調整用雄ネジ部が設けられ、前記調整用雄ネジ部に螺合する2つのナット部材の間に前記型枠受部が挟持されていることを特徴としている。
この発明によれば、型枠受部の位置を調整することが可能となる。
【0031】
また本発明に係る型枠セットは、互いの間にコンクリートが打設される外面型枠及び内面型枠と、上述した型枠用支持部材とを備えることを特徴としている。
この発明によれば、固定部材と連結部との連結状態を解除すれば、硬化したコンクリートの外周側となる表面から突出する部材がなくなる。このため、外面型枠を取り外した後に支持部本体を切除する等の作業を行う必要がない。しかも、外面型枠を取り外す際の移動方向に制限がなくなるため、例えば外面型枠の下端縁を支点として傾けることによりコンクリートから上端縁部を先に引き離すことができ、大きな力が不要になる等、外面型枠を取り外す際の作業性の点で有利となる。
【符号の説明】
【0032】
2 ベタ基礎、2B 立ち上がり部、10 内面型枠、10a 内表面、20 外面型枠、20a 内表面、21 パネル、22 枠材、30 型枠支持部材、31 支持部本体、31a 連結用雄ネジ部、31b 調整用雄ネジ部、31c コーン部材、31d 型枠受部、31e 雌ネジ部、31f,31g ナット部材、32 固定用ネジ部材、32a ネジ軸部、32b ネジ頭部