(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122834
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】スロットアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/10 20060101AFI20230829BHJP
H01Q 21/28 20060101ALI20230829BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
H01Q13/10
H01Q21/28
H01Q1/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026573
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 健史
(72)【発明者】
【氏名】荻野 和滋
(72)【発明者】
【氏名】岡野 徹朗
(72)【発明者】
【氏名】山下 翔
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
5J047
【Fターム(参考)】
5J021AA01
5J021AA02
5J021AA07
5J021AB05
5J021HA06
5J021HA10
5J045AA05
5J045CA01
5J045DA03
5J045NA01
5J047AA03
5J047AA12
5J047AB08
5J047EB01
(57)【要約】
【課題】アンテナ性能を向上させることができるスロットアンテナを提供すること。
【解決手段】実施形態に係るスロットアンテナは、車両の外板を構成する板金に設けられたスリット状の開口であるスロットの短手方向両側に給電点を配置したスロットアンテナであって、スロットは、長手方向の両端部分が中央部分に比べて幅が広い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外板を構成する板金に設けられたスリット状の開口であるスロットの短手方向両側に給電点を配置したスロットアンテナであって、
前記スロットは、
長手方向の両端部分が中央部分に比べて幅が広い、
スロットアンテナ。
【請求項2】
前記給電点は、
前記スロットの長手方向の中央からオフセットして配置される
請求項1に記載のスロットアンテナ。
【請求項3】
前記給電点は、
前記スロットに対して容量結合される
請求項1または2に記載のスロットアンテナ。
【請求項4】
前記外板の平面視における、前記開口の内側の領域を、長手方向の両端部分に分割するように、前記外板と同一面に設けられ、前記板金と電気的に導通する導体板、
をさらに備え、
前記導体板は、
前記開口の両端部分をつなぐスリットを有し、
前記スロットは、前記両端部分と、前記両端部分をつなぐスリットにより構成される
請求項1~3のいずれか1つに記載のスロットアンテナ。
【請求項5】
前記外板の平面視における、前記開口の内側の領域を、長手方向の両端部分に分割するように、前記外板と同一面に設けられ、前記板金と電気的に導通する導体板、
をさらに備え、
前記導体板は、
前記開口の縁との間に、前記両端部分をつなぐように隙間を空けたスリットを有して配置され、
前記スロットは、
前記両端部分と前記隙間により構成される
請求項1~3のいずれか1つに記載のスロットアンテナ。
【請求項6】
前記外板の平面視における、前記開口の内側の領域を、長手方向の両端部分に分割するように、前記外板と同一面に設けられ、前記板金と電気的に導通する導体板、
をさらに備え、
前記導体板は、
前記開口の縁との間に、前記両端部分の一方とつながる隙間を空けて配置されるとともに、前記両端部分の他方と前記隙間をつなぐスリットを有し、
前記スロットは、
前記両端部分と前記隙間および前記両端部分の他方と前記隙間をつなぐスリットにより構成される
請求項1~3のいずれか1つに記載のスロットアンテナ。
【請求項7】
前記導体板は、前記開口の、前記導体板によって隔成される長手方向両側の領域の長手方向の長さが、異なるように前記開口に配置される
請求項4~6のいずれか1つに記載のスロットアンテナ。
【請求項8】
前記給電点は、
前記導体板の前記スリットの長手方向の中央からオフセットして配置される
請求項4~7のいずれか1つに記載のスロットアンテナ。
【請求項9】
前記スリットを有する前記導体板は、
前記開口における長手方向に離間した状態で複数配置される
請求項4~8のいずれか1つに記載のスロットアンテナ。
【請求項10】
前記導体板とともに、前記外板と同一面になるように前記開口に設けられる平面アンテナ
を備える請求項4~9のいずれか1つに記載のスロットアンテナ。
【請求項11】
前記平面アンテナは、
前記導体板が前記車両の内部側に配置された状態で、前記導体板に対して少なくとも一部が上面視で重なって配置される
請求項10に記載のスロットアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両に搭載されるアンテナ装置に関し、車体の開口部をスロットアンテナとして機能させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、車両のルーフ上等に開口部を設ける場合、車両のボディサイズではアンテナ長さが制限されるため、必要な受信周波数を満たすことができず、アンテナ性能が高いとは言えなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、アンテナ性能を向上させることができるスロットアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るスロットアンテナは、車両の外板を構成する板金に設けられたスリット状の開口であるスロットの短手方向両側に給電点を配置したスロットアンテナであって、前記スロットは、長手方向の両端部分が中央部分に比べて幅が広い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アンテナ性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るスロットアンテナの搭載位置を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るスロットアンテナの構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、スロットアンテナの他の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、スロットアンテナの他の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、スロットアンテナの他の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、平面アンテナを配置した例を示す図である。
【
図7】
図7は、平面アンテナを配置した例を示す図である。
【
図8】
図8は、平面アンテナを配置した例を示す図である。
【
図9】
図9は、スロット部の他の開口形状を示す図である。
【
図10】
図10は、スロットアンテナの他の構成例を示す図である。
【
図11】
図11は、スロットアンテナの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するスロットアンテナの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、実施形態に係るスロットアンテナの搭載位置を示す図である。
図1に示すように、実施形態に係るスロットアンテナ1は、車両Cに搭載される。スロットアンテナ1は、例えば、スロットアンテナであり、車両CにおけるルーフRに搭載される。
【0011】
スロットアンテナ1が受信する電波の周波数帯は、例えば、VHF帯(30~300MHz)やUHF帯(300MHz~3000MHz)であり、FM(Frequency Modulation)ラジオ放送や、DAB(Digital Audio Broadcast)、DTV(Digital TeleVision)等の放送波が含まれる周波数帯である。
【0012】
なお、
図1を含む以降の図では、3軸の直交座標軸を示している。具体的には、X軸は、車両Cの進行方向(前後方向)に対応しており、正側が後方、負側が前方として規定される。Y軸は、車両Cの車幅方向に対応しており、正側が車両右側、負側が車両左側として規定される。Z軸は、車両Cの高さ方向に対応しており、正側が上方側、負側が下方側として規定される。
【0013】
次に、
図2を用いて、実施形態に係るスロットアンテナ1の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係るスロットアンテナ1の構成例を示す斜視図である。
図2に示すように、実施形態に係るスロットアンテナ1は、スロット部2と、給電部3と、信号処理部4とを備える。
【0014】
スロット部2は、車両Cの外板を構成する板金500に設けられたスリット状の開口部である。スロット部2は、かかる開口部により、外部からの電波を受信するスロットとして機能する。
【0015】
給電部3は、スロット部2で受信した電波を給電する。給電部3は、給電した電波を給電線5を介して信号処理部4へ出力する。なお、給電部3は、スロット部2に対して容量結合される。例えば、給電部3は、板状の金属部材として構成され、板状の金属部材と板金500との間の隙間を僅かに開ける(例えば、1mm程度以下)ことで容量結合を実現できる。具体的には板状の金属部材をポリエチレンやポリスチロールなどの樹脂フィルムや、その他の絶縁物を介して板金500と接着し、金属部材と板金500との間にキャパシタを形成することで、容量結合を実現できる。
【0016】
つまり、給電部3は、スロット部2に対して非接触により給電される。これにより、スロット部2に直接給電する場合に比べて、スロットアンテナ1の構成を簡素化できる。なお、給電部3は、給電線5の末端を直接板金500に導電接続して給電する直接給電とすることも可能である。
【0017】
信号処理部4は、給電部3から取得した電波を電気信号に変換する。具体的には、信号処理部4は、給電部3から取得した微弱な電波を増幅した電気信号に変換し、同軸ケーブル6を介して再生装置(ラジオや、テレビ等)へ出力する。
【0018】
なお、給電部3および信号処理部4は、給電点として構成される。つまり、給電点は、スロット部2の短手方向両側に配置される。
【0019】
ここで、仮に、FM帯の電波を受信するための開口部(スロット部)を矩形状で構成する場合、約2mのアンテナ幅が必要となるが、一般的な車両の車幅方向(Y軸方向)の長さでは、かかるアンテナ幅を満たすことが難しい。なお、開口部を板金に設けるにあたり、リンフォース等のボディ剛性に重要なボディ部品を避けることを考慮すると、車幅方向(Y軸方向)に長い矩形状の開口部を設ける必要がある。
【0020】
このため、開口部を車幅の長さに合わせて短くしてしまうと、所望の周波数帯の電波を受信することが難しくなってしまうため、アンテナ性能を向上させる点で改善の余地があった。
【0021】
そこで、実施形態に係るスロットアンテナ1では、スロット部2である開口部の形状に関して、車幅方向の両端部22L、22Rを中央部21よりも太くすることでアンテナ性能を向上させる。
【0022】
具体的には、スロット部2は、開口部における長手方向(Y軸方向)の両端部22L、22Rが中央部21に比べて、短手方向(X軸方向)の長さが長い。つまり、スロット部2は、長手方向の両端部分が中央部分に比べて幅が広い。すなわち、スロット部2は、上面視で略ダンベル形状の開口部として構成する。なお、両端部22L、22Rにおける短手方向の長さを長くするほど、受信可能な周波数帯を広げる(広帯域化)ことが可能となる。
【0023】
これにより、スロット部2の長手方向(Y軸方向)の長さを、矩形状の開口部と比較して短くできるため、スロット部2をルーフRの車幅方向の長さ以内に収めつつ、FM帯の電波を受信することができる。すなわち、実施形態に係るスロットアンテナ1によれば、アンテナ性能を向上させることができる。
【0024】
また、
図2に示すように、給電部3(および信号処理部4)は、スロット部2である開口部における長手方向(Y軸方向)の中央からオフセットして配置される。
図2に示す例では、スロット部2の中央から右側(端部22R側)にオフセットして配置された例を示す。
【0025】
このように、給電部3をスロット部2の中央に対してオフセットして配置することで、受信する電波の広帯域化を実現することができる。
【0026】
なお、給電部3は、スロット部2の中央から左側(端部22L側)にオフセットされてもよい。また、オフセット位置(中央に対するズレ量)は、スロット部2である開口部の面積や、両端部22R、22Lおよび中央部21のサイズ(太さや長さ)、受信周波数に基づいて決定される。
【0027】
なお、
図2では、開口部の形状をダンベル状にすることでスロット部2を形成する例を示したが、例えば、矩形状の開口部に導体板100を別途配置することで、ダンベル状のスロット部2を形成してもよい。かかる点について、
図3~
図5を用いて説明する。
【0028】
図3~
図5は、スロットアンテナ1の他の構成例を示す図である。
図3に示すように、スロットアンテナ1は、矩形状の開口部に導体板100を配置することでスロット部2を形成する。一例として、導体板100は、ガラスエポキシやセラミックなどの絶縁物の基板120(
図8参照)に積層された導体パターンであり、一般的なプリント配線板の構造を利用して構成することが出来る。具体的には、導体板100は、車両の外板である板金500と同一面になるように開口部に設けられ、板金500と電気的に導通する。
【0029】
つまり、導体板100は、外板の平面視における、開口部の内側の領域を、長手方向の両端部分に分割するように、外板と同一面に設けられ、板金500と電気的に導通する。板金500と導体板100との導通は、例えば、金属製のブラケット110により板金500と導体板100とを固定することで行う。なお、上記した「同一面」とは、完全な同一平面だけでなく、数センチ(例えば、5センチ)程度までの誤差があるものも含み、全体として車両Cの外板の一部を構成していればよい。
【0030】
より具体的には、スロット部2は、矩形状の開口部の長手方向(Y軸方向)における中央において、短手方向(X軸方向)に互いに中央部21となるスリットを形成した状態で導体板100が2枚配置されることで形成される。つまり、2枚の導体板100は、中央部21となるスリットにより電気的に接続しないようにする。
【0031】
すなわち、スロット部2の両端部22R、22Lは、導体板100の長手方向における両側に配置されるとともに、2枚の導体板100の間のスリットである中央部21を介して互いに接続される。つまり、導体板100は、開口部の両端部分をつなぐスリットを有し、スロット部2は、両端部分と、両端部分をつなぐスリットにより構成される。
【0032】
なお、導体板100に配置されるスリットは直線に限られず、メアンダ(つづら折れ)形状や波型等、導体板100がスリットを隔てて2つの領域に隔成されていれば任意の形状とすることが出来る。これにより、板金の開口部の長さに対してスロット長を長くすることが出来、より低い周波数帯の電波まで効率的に受信することが出来る。
【0033】
このように、矩形状の開口部に導体板100を配置してスロット部2を形成することで、車両の板金に設ける開口部の形状を長方形などの単純な形状にすることが出来、板金加工を容易にすることが出来る。また、予めスリットが形成された導体板100を板金の開口部に取り付けることでスロットアンテナを構成できるため、車両の組立時に容易にアンテナを組み込むことが出来る。
【0034】
また、
図3に示す例では、導体板100は、矩形状の開口部の長手方向(Y軸方向)における中央から右側(端部22R側)にオフセットして配置される。つまり、端部22Lが端部22Rよりも面積が大きくなるようにオフセットされる。すなわち、導体板100は、開口部の、導体板100によって隔成される長手方向両側の領域の長手方向の長さが、異なるように開口部に配置される。これにより、給電点をスロットの長手方向の中央からオフセットするのと同様の効果を得ることが出来る。
【0035】
さらに、給電点である給電部3および信号処理部4は、導体板100の長手方向(Y軸方向)における中央からオフセットして配置してもよい。
図3に示す例では、給電部3は、導体板100の長手方向(Y軸方向)における中央から右側にオフセットして配置される。
【0036】
このように、導体板100および給電部3をそれぞれオフセットさせることで、電波の広帯域化を実現することができる。また、導体板100をオフセットさせることで、給電部3の位置を変えることなく、ルーフRのサイズが異なる様々な車種の車両にスロットアンテナ1を容易に取り付けることが可能となる。
【0037】
また、
図3では、中央部21となるスリットは、スロット部2における長手方向(Y軸方向)に直線形状としたが、2枚の導体板100が電気的に接続しなければ、スリットの形状は、例えば、
図4に示すように、任意の形状を採用可能である。
【0038】
具体的には、
図4に示すように、2枚の導体板100は、中央部21となるスリットを形成するとともに、板金500との間に隙間200を空けた状態で配置される。つまり、隙間200は、開口部の短手方向(X軸方向)側に形成された隙間である。換言すれば、導体板100は、開口部の縁(X軸正側)との間に、両端部分を繋ぐように隙間200を空けて配置される。
【0039】
また、中央部21であるスリットは、開口部における長手方向(Y軸方向)に延伸し、開口部における両端部22R、22Lのいずれか一方に一端が繋がる長手スリット部21aを有する。
図4では、長手スリット部21aは、端部22R側の一端が端部22Rに繋がっている。
【0040】
また、中央部21であるスリットは、開口部における短手方向に延伸し、長手スリット部21aにおける端部22L側の他端と隙間200とに繋がる短手スリット部21bを有する。すなわち、中央部21は、長手スリット部21aと短手スリット部21bとによりL状の形状となる。
【0041】
つまり、導体板100は、開口部の縁との間に、両端部分の一方とつながる隙間200を空けて配置されるとともに、両端部分の他方と隙間200をつなぐスリット(長手スリット部21aおよび短手スリット部21b)を有する。そして、スロット部2は、両端部分の一方と隙間200および両端部分の他方と隙間200をつなぐスリット(長手スリット部21aおよび短手スリット部21b)により構成される。
【0042】
そして、隙間200は、端部22L側がブラケット110によって電気的に導通していない。すなわち、スロット部2は、長手スリット部21a、短手スリット部21bおよび両端部22R、22Lとで形成される連続的な開口部として構成される。なお、隙間200の、端部22L側を、絶縁物を介してブラケット110で板金500に結合してもよいし、絶縁体のブラケットを用いて板金500に結合してもよい。隙間200の、端部22L側も板金に結合することで、より強固に導体板100を車体に取り付けることが出来る。
【0043】
このような構成により、板金の開口部の長さに対してスロット長を長くすることが出来、より低い周波数帯の電波まで効率的に受信することが出来る。なお、導体板100に径背視されるスリットは上述したようなL字型に限られず、メアンダ(つづら折れ)形状や波型等、導体板100がスリットを隔てて2つの領域に隔成されていれば任意の形状とすることが出来る。
【0044】
また、
図5に示すように、スロットアンテナ1は、導体板100および給電部3(信号処理部4)の組を複数組配置してもよい。具体的には、
図5に示すように、スロットアンテナ1は、2枚の導体板100と、給電部3と、信号処理部4とを含む組を、開口部における長手方向(Y軸方向)に2つ配置する。つまり、上下方向(X軸方向)の2枚を1組とする導体板100の各組は、開口部における長手方向(Y軸方向)に離間した状態で配置される。
【0045】
つまり、スロットアンテナ1は、端部22L(左端)および端部22C(右端)を両端とする左側のスロットアンテナと、端部22C(左端)および端部22R(右端)を両端とする右側のスロットアンテナとを有する。
【0046】
すなわち、1つの開口部に2つのスロットアンテナを左右対称に配置して2給電化する。これにより、アンテナダイバーシティを実現することができる。
【0047】
また、スロットアンテナ1では、スロット部2である開口部に平面アンテナ300を配置することが可能である。かかる点について、
図6~
図8を用いて説明する。
【0048】
図6~
図8は、平面アンテナ300を配置した例を示す図である。
図8では、
図7におけるA-A線で切断した場合の断面を示している。
【0049】
図6に示すように、平面アンテナ300は、スロット部2における両端部22R、22Lのいずれかにおいて、導体板100とともに、外板である板金500と同一面になるように開口部に設けられる。
【0050】
図6に示す例では、平面アンテナ300は、端部22Lに配置される。言い換えれば、
図5で示した2枚の導体板100と、給電部3と、信号処理部4とを含む組の2組のうち、いずれか1組を平面アンテナ300に置き換える。
【0051】
平面アンテナ300は、導体板100側のスロット部2で受信可能な周波数帯(FM帯、DAB帯およびDTV帯)に最適化したモノポール型の平面アンテナである。これにより、導体板100側と、平面アンテナ300とで最適化した帯域のアンテナダイバーシティを実現することができる。
【0052】
また、
図7および
図8に示すように、AM帯を受信する平面アンテナ300の場合、かかる平面アンテナ300は、導体板100側に一部オーバラップさせて配置されてもよい。具体的には、
図7および
図8に示すように、平面アンテナ300は、導体板100が車両Cの内部側(Z軸負側)に配置された状態で、導体板100に対して少なくとも一部が上面視で重なって配置される。
【0053】
具体的には、
図8に示すように、平面アンテナ300は、板金500と同一面となるように開口部に配置される。また、導体板100は、一方の面が基板120に積層されるとともに、他方の面がブラケット110と一体化(固定)した状態で、板金500の車両外部側(Z軸正側)の面に固定される。
【0054】
また、ブラケット110は、板金500から車両内部側へ延伸するともに、内側(開口部内側)へ屈曲した形状となる。つまり、導体板100は、ブラケット110とは反対側の端部により中央部21となるスリットを形成する。
【0055】
すなわち、スロット部2のうち、中央部21は、板金500よりも車両内側に配置され、両端部22R、22Lは、板金500および平面アンテナ300と同一面に配置される。つまり、スロット部2における中央部21と両端部22R、22LとはZ軸方向にずれて配置される。
【0056】
なお、中央部21と両端部22R、22LとがZ軸方向にずれた場合であっても、スロット部2のアンテナ性能が低下することは無い。
【0057】
なお、平面アンテナ300と、導体板100との間の距離(Z軸方向)は、例えば、5mm程度以上空けることができれば、平面アンテナ300による導体板100へのアンテナ性能の悪影響を回避できる。
【0058】
また、平面アンテナ300は、信号処理部4と給電線310により接続されることで給電可能となる。これにより、導体板100によるアンテナ性能を損なうことなく、AM帯の受信アンテナである平面アンテナ300を配置することができる。
【0059】
また、平面アンテナ300および板金500の上方(Z軸正側)には、ルーフガーニッシュRGが設けられることで、平面アンテナ300を含むスロットアンテナ1を隠すことができるため、車両外観の意匠性が損なうことを回避できる。
【0060】
上述してきたように、実施形態に係るスロットアンテナ1は、車両の外板を構成する板金500に設けられたスリット状の開口であるスロット(スロット部2)の短手方向両側に給電点(給電部3および信号処理部4)を配置したスロットアンテナ1であって、スロットは、長手方向の両端部分が中央部分に比べて幅が広い。これにより、アンテナ性能を向上させることができる。
【0061】
なお、
図2では、スロット部2である開口部がダンベル形状である例を示したが、開口部の形状は両端部22R、22Lが中央部21よりも太い形状であれば、任意の形状を採用可能である。
【0062】
図9は、スロット部2の他の開口形状を示す図である。
図9に示すように、両端部22R、22Lは、中央部21に向かって先細りとなるテーパ状であってもよい。つまり、両端部22R、22Lは、短手方向(X軸方向)の長さが中央部21に向かって徐々に短くなるような形状である。
【0063】
このような形状であっても、スロットアンテナ1は、アンテナ幅を車幅以内に抑えることができるため、アンテナ性能を向上させることができる。
【0064】
なお、
図2および
図9では、スロット部2の両端部22R,22Lそれぞれは、同じ形状である例を示したが、両端部22R、22Lそれぞれの形状が異なってもよい。すなわち、端部22Rおよび端部22Lの短手方向や長手方向の長さがそれぞれ異なってもよい。
【0065】
次に、
図10および
図11を用いて、スロットアンテナ1の他の構成例について説明する。
図10および
図11は、スロットアンテナ1の他の構成例を示す図である。
図10に示すように、スロットアンテナ1は、例えば、導体板100と板金500との隙間200を中央部21として構成してもよい。
【0066】
かかる場合、導体板100と、板金500との間は、隙間200を形成する側(
図10においてx軸方向の紙面上端側)は絶縁体のブラケット111によって結合され、反対側(同、紙面下端側)は、金属製のブラケット110で導電結合される。つまり、スロット部2は、隙間200と、両端部22R、22Lとで形成される連続的な開口部として構成される。なお、隙間200を形成する側を、絶縁体のブラケット111の代わりに金属製のブラケット110と絶縁物を介して結合してもよい。
【0067】
言い換えれば、導体板100は、開口部の縁との間に、両端部分をつなぐように隙間200を開けて配置され、スロット部2は、両端部分と隙間200により構成される。
【0068】
また、
図11に示すように、スロットアンテナ1は、中央部21を構成する長手スリット部21aと短手スリット部21bとが曲線状に接続されてもよい。つまり、導体板100は、開口部の縁との間に、両端部分の一方とつながる隙間200を空けて配置されるとともに、両端部分の他方と隙間200をつなぐスリットを有する。そして、スロット部2は、両端部分の一方と隙間200および両端部分の他方と隙間200をつなぐスリットにより構成される。
【0069】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 スロットアンテナ
2 スロット部
3 給電部
4 信号処理部
5 給電線
6 同軸ケーブル
21 中央部
21a 長手スリット部
21b 短手スリット部
100 導体板
110 ブラケット
120 基板
200 隙間
300 平面アンテナ
310 給電線
500 板金
C 車両
R ルーフ
RG ルーフガーニッシュ