(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012286
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20230118BHJP
G06F 3/04845 20220101ALI20230118BHJP
【FI】
G01C21/26 B
G06F3/0484 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115828
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】赤津 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】阿部 誠
【テーマコード(参考)】
2F129
5E555
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC07
2F129CC15
2F129EE02
2F129EE11
2F129EE13
2F129EE78
2F129HH02
2F129HH12
5E555AA10
5E555BA25
5E555BB25
5E555BC08
5E555CA13
5E555CB16
5E555CB17
5E555CB45
5E555CC23
5E555CC26
5E555DB03
5E555DC02
5E555DC19
5E555DC26
5E555DC27
5E555DC84
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ピンチイン/アウトによって表示縮尺を変更する際の操作性を改善することができるナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、自車位置を中心としてその周辺の地図画像を、現在地画面として現在地縮尺で表示するとともに、画面が利用者の指でスワイプされたことをタッチパネル22を用いて検出したときに、このスワイプ操作に対応して表示範囲を移動させた地図画像を、スクロール画面としてスクロール縮尺で表示する自車位置算出部41、スクロール処理部45、地図描画部42と、ピンチイン/アウト操作に対応して現在地縮尺やスクロール縮尺を変更する縮尺設定部44と、スクロール画面を表示中に、現在地画面の表示が利用者によって指示されたときであって、所定の条件を満たす場合に、スクロール縮尺を用いて現在地縮尺を更新し、それ以外の場合にそれまでの現在地縮尺を維持する縮尺判定部46とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図画像を画面に表示する表示装置と、前記画面上における指の接触位置を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルを用いた指のタッチ操作に対応して前記地図画像の表示に関する処理を実行する制御手段とを備える地図画像表示装置であって、
前記制御手段は、
自車位置を中心としてその周辺の地図画像を、現在地画面として現在地縮尺で表示する現在地画面表示手段と、
前記画面が利用者の指でスワイプされたことを前記タッチパネルを用いて検出したときに、このスワイプ操作に対応して表示範囲を移動させた地図画像を、スクロール画面としてスクロール縮尺で表示するスクロール画面表示手段と、
前記現在地画面あるいは前記スクロール画面を表示中に、前記画面が利用者の指でピンチイン/アウトされたことを前記タッチパネルを用いて検出したときに、表示中の前記現在地画面の現在地縮尺あるいは前記スクロール画面のスクロール縮尺を、このピンチイン/アウト操作に対応して変更する縮尺設定手段と、
前記スクロール画面を表示中に、現在地画面の表示が利用者によって指示されたときであって、所定の条件を満たす場合に、前記スクロール縮尺を用いて前記現在地縮尺を更新し、それ以外の場合にそれまでの前記現在地縮尺を維持する縮尺判定手段と、
を備え、前記縮尺判定手段による前記現在地縮尺の更新あるいは維持の後に、前記現在地画面表示手段による前記現在地画面の表示が行われることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記所定の条件とは、表示中の前記スクロール画面に自車位置が含まれることであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記所定の条件とは、表示中の前記スクロール画面に、利用者のスワイプ操作が行われる前に表示されていた前記現在地画面の表示範囲が重なっていることであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記所定の条件とは、表示中の前記スクロール画面に、利用者のスワイプ操作が行われる前に表示されていた前記現在地画面の表示範囲の全体が重なっていることであることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車位置周辺の地図画像を表示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、他地点表示状態から現在地表示状態に復帰する場合に、現在地表示用に予め設定された基準縮尺で現在地表示を行ったり、ユーザが基準縮尺を設定するための専用の画面を表示して基準縮尺を変更するようにした地図表示システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この地図表示システムでは、表示中の地図画像の任意の位置を指でタップすると、現在地表示状態からその位置を中心とした他地点表示状態に移行するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、スマートフォンやタブレット端末に表示中の画像の縮小/拡大を画面上で2本の指の間隔を縮めたり、広げたりするピンチイン/アウトによって行う操作が一般的になっている。このピンチイン/アウトによって、表示中の現在地表示を縮小/拡大して基準縮尺を変更することができれば、ユーザが意図している表示の大きさを容易に実現できて便利であると考えられるが、ピンチイン/アウトによる現在地表示の縮小/拡大には以下の問題がある。
【0005】
現在地表示の基準縮尺の変更をピンチイン/アウトによって行おうとして一方の指が画面に先に接触すると、他地点表示に切り替えるためのタップが行われたと判断されてしまう。このため、現在地表示から他地点表示に切り替えられ、その後に他方の指が画面に触れてピンチイン/アウトによる表示の縮小/拡大が実行される。その後、現在地ボタンの押下等によって現在地表示に復帰すると、表示縮尺変更前の基準縮尺による表示に戻ってしまう。したがって、現在地表示の基準縮尺を再度設定しなおす必要があり、操作性が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ピンチイン/アウトによって表示縮尺を変更する際の操作性を改善することができるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、地図画像を画面に表示する表示装置と、画面上における指の接触位置を検出するタッチパネルと、タッチパネルを用いた指のタッチ操作に対応して地図画像の表示に関する処理を実行する制御手段とを備える地図画像表示装置であって、制御手段は、自車位置を中心としてその周辺の地図画像を、現在地画面として現在地縮尺で表示する現在地画面表示手段と、画面が利用者の指でスワイプされたことをタッチパネルを用いて検出したときに、このスワイプ操作に対応して表示範囲を移動させた地図画像を、スクロール画面としてスクロール縮尺で表示するスクロール画面表示手段と、現在地画面あるいはスクロール画面を表示中に、画面が利用者の指でピンチイン/アウトされたことをタッチパネルを用いて検出したときに、表示中の現在地画面の現在地縮尺あるいはスクロール画面のスクロール縮尺を、このピンチイン/アウト操作に対応して変更する縮尺設定手段と、スクロール画面を表示中に、現在地画面の表示が利用者によって指示されたときであって、所定の条件を満たす場合に、スクロール縮尺を用いて現在地縮尺を更新し、それ以外の場合にそれまでの現在地縮尺を維持する縮尺判定手段とを備え、縮尺判定手段による現在地縮尺の更新あるいは維持の後に、現在地画面表示手段による現在地画面の表示が行われる。
【0008】
現在地画面の表示縮尺をピンチイン/アウトで変更する場合に、一方の指が先に画面に触れてスワイプ操作と誤判定されて地図画像がスクロールされた場合であっても、適切な条件を設定することにより、スワイプ操作に伴うスクロール動作がない場合の現在地縮尺の更新を行うことが可能になり、ピンチイン/アウトによって表示縮尺を変更する際の操作性を改善することができる。
【0009】
また、上述した所定の条件とは、表示中のスクロール画面に自車位置が含まれることであることが望ましい。ピンチイン/アウトに先立って一方の指が先に画面に触れてスワイプに対応する画面のスクロールが生じた場合には、このスクロールの量はわずかであると考えられるため、スクロール画面内に自車位置があることを確認することにより、スワイプの誤検出に伴う現在地縮尺の誤設定をなくすことができる。
【0010】
また、上述した所定の条件とは、表示中のスクロール画面に、利用者のスワイプ操作が行われる前に表示されていた現在地画面の表示範囲(特に表示範囲の全体)が重なっていることであることが望ましい。ピンチイン/アウトに先立って一方の指が先に画面に触れてスワイプに対応する画面のスクロールが生じた場合には、このスクロールの量はわずかであると考えられるため、スクロール画面に現在地画面の表示範囲が重なっていることを確認することにより、スワイプの誤検出に伴う現在地縮尺の誤設定をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態のナビゲーション装置の全体構成を示す図である。
【
図2】「現在地画面」表示と「スクロール画面」表示の間の状態遷移を示す図である。
【
図3】現在地縮尺判定動作に関する動作手順を示す流れ図である。
【
図4】「現在地画面」表示と「スクロール画面」表示の間の画面遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した一実施形態のナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、一実施形態のナビゲーション装置の全体構成を示す図である。本実施形態のナビゲーション装置1は、車両に搭載されて使用されるものであり、例えば、クレードルに取り付けたスマートフォンなどの携帯端末装置によって所定のアプリケーションを実行することにより実現することを想定している。
【0014】
このナビゲーション装置1は、GPS受信機10、操作部20、タッチパネル22、入力制御部24、表示処理部26、表示装置28、デジタル-アナログ変換器(D/A)30、スピーカ32、制御部40、メモリ50を備えている。
【0015】
GPS受信機10は、複数のGPS衛星から送信される信号を受信し、自装置の位置(自車位置)を示す測位データを所定の時間間隔で出力する。
【0016】
操作部20は、利用者による各種操作を受け付けるためのものであり、各種のスイッチや操作つまみ等が備わっている。タッチパネル22は、表示装置28の画面に重ねて配置されており、利用者の指が接触した画面上の位置を検出する。入力制御部24は、操作部20およびタッチパネル22の操作状態を監視し、利用者による入力内容を検出する。
【0017】
表示処理部26は、各種の操作画面や入力画面等を表示する映像信号を出力して表示装置28にこれらの画面を表示するとともに、ナビゲーション処理によって得られた地図画像や車両の走行経路、利用者に提供する各種情報などの画面を表示する映像信号を出力して表示装置28にこれらの画面を表示する。表示装置28は、例えば液晶表示装置(LCD)を用いて構成されている。
【0018】
デジタル-アナログ変換器30は、制御部40による処理によって生成される音声データをアナログの音声信号に変換してスピーカ32から出力する。
【0019】
制御部40は、ナビゲーション装置1の全体を制御するためのものであり、ROMやRAMなどに格納された所定のアプリケーション・プログラムをCPUで実行することにより実現される。本実施形態では、主に自車位置を中心としてその周辺の地図画像を表示する「自車位置画面」表示と、利用者が指し示した位置を移動させながらその周辺の地図画像を表示する「スクロール画面」表示に着目するが、これらの表示動作や、経路探索や経路誘導、交差点案内、施設検索などのその他のナビゲーション動作が制御部40によって実施される。メモリ50は、制御部40の処理に必要な、あるいは、この処理によって得られた各種の情報を格納する半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリ)である。メモリ50には、地図画像表示や各種のナビゲーション動作に必要な地図データが格納されている。なお、半導体メモリに限定されるものではなく、ハードディスク装置等の他の記憶装置を用いるようにしてもよい。
【0020】
また、上述した制御部40は、上述した「自車位置画面」表示や「スクロール画面」表示を主に行うために、自車位置算出部41、地図描画部42、操作判定部43、縮尺設定部44、スクロール処理部45、縮尺判定部46を含んでいる。
【0021】
自車位置算出部41は、GPS受信機10から出力される測位データを用いて自車位置を算出する。この自車位置算出は、自律航法センサ等の他の手法を併用して行うようにしてもよい。また、マップマッチングなどの手法と組み合わせて測位精度をさらに上げるようにしてもよい。
【0022】
地図描画部42は、自車位置算出部41によって算出された自車位置周辺の地図画像や、利用者が指し示した位置周辺の地図画像を描画する。
【0023】
操作判定部43は、タッチパネル22上の利用者の指の接触状態を監視することにより、利用者によって行われるスワイプやピンチイン/アウトの有無や内容(スワイプ時の指の移動量やピンチイン/アウト時の2本の指の間隔など)を判定する。
【0024】
縮尺設定部44は、利用者が表示装置28の画面上で2本の指を接触させてその間隔を狭めたり広げたりするピンチイン/アウトを行った場合に、その内容に対応して表示縮尺を縮小/拡大する。この縮小/拡大が現在地画面表示時に行われた場合には、縮小/拡大後の表示縮尺が「現在地縮尺」として記録される。また、この縮小/拡大がスクロール画面表示時に行われた場合には、縮小/拡大後の表示縮尺が「スクロール縮尺」として記録される。
【0025】
スクロール処理部45は、利用者が表示装置28の画面上で1本の指を接触させてその接触位置を移動させるスワイプを行った場合に、その移動に対応して表示対象の地図画像の範囲を変更するスクロール処理を行う。
【0026】
縮尺判定部46は、スクロール処理時に利用者によって「現在地画面」表示が指示されたときに、その時点における状況に応じて、「現在地縮尺」として記録済みの「現在地縮尺」を用いるか、その時点の「スクロール縮尺」を新たな「現在地縮尺」として用いるかを判定する。
【0027】
上述した制御部40が制御手段に、自車位置算出部41、地図描画部42が現在地画面表示手段に、スクロール処理部45、地図描画部42がスクロール画面表示手段に、縮尺設定部44が縮尺設定手段に、縮尺判定部46が縮尺判定手段にそれぞれ対応する。
【0028】
本実施形態のナビゲーション装置1はこのような構成を有しており、次に、自車位置を中心としてその周辺の地図画像を表示する「現在地画面」表示と、利用者が指し示した位置を移動させながらその周辺の地図画像を表示する「スクロール画面」表示とを相互に切り替える動作について説明する。
【0029】
図2は、「現在地画面」表示と「スクロール画面」表示の間の状態遷移を示す図である。電源投入直後等では「現在地画面」が表示されている。この画面には、自車位置に「自車位置マーク」が表示されており、その時点で記録されている「現在地縮尺」で地図画像が作成されて表示装置28に表示されている。
【0030】
この状態で、利用者が画面上でピンチイン/アウトを行うと、その操作内容に応じて表示縮尺が縮小/拡大されて、変更後の表示縮尺が「現在地縮尺」として記録され、「現在地画面」表示が維持される。
【0031】
一方、「現在地画面」表示の状態で、利用者が画面上でスワイプを行うと、指の接触位置の移動方向と移動量に基づいて、その時点における表示縮尺(スクロール縮尺)を維持しながら表示範囲が移動する「スクロール画面」表示が行われる。なお、スクロール画面内に自車位置がある場合にはその位置における自車位置マークの表示は維持される。スワイプが継続中は、表示範囲を変えながら「スクロール画面」表示が継続される。
【0032】
この状態で、利用者が画面上でピンチイン/アウトを行うと、その操作内容に応じて表示縮尺が縮小/拡大されて、変更後の表示縮尺が新たな「スクロール縮尺」として記録され、「スクロール画面」表示が維持される。
【0033】
ところで、「現在地画面」表示の状態で利用者がピンチイン/アウトを行った場合に、一方の指がタッチパネル22に早く接触すると、この操作をスワイプとして誤検出するおそれがある。上述したように、「現在地画面」表示において行われるピンチイン/アウトは、その時点で記録されている現在地縮尺を、縮小/拡大した新たな現在地縮尺に更新するものであるが、一方の指の接触がスワイプと誤判定されると、その後に他方の指が接触してピンチイン/アウトが開始されても、このピンチイン/アウトでスクロール縮尺が更新されてしまう。
【0034】
従来は、この状態で現在地画面の表示が指示されると(例えば「利用者が画面の一部に表示された「現在地」ボタンを指し示すことにより、この指示を行うものとする)、更新されていない現在地縮尺による「現在地画面」表示に戻ることになる。
【0035】
そこで、本実施形態では、「スクロール画面」表示を行っている状態で現在地画面の表示が指示されたときに、所定の条件を満たすか否かの現在地縮尺の判定を行っている。
【0036】
具体的には、「スクロール画面」表示において現在地画面の表示が指示されたときに、「スクロール画面」内に自車位置(マーク)が含まれる場合には、ピンチイン/アウト時に誤ってスワイプが検出されたおそれがあると考えて、「スクロール画面」表示時のスクロール縮尺を新たに現在地縮尺に設定して「現在地画面」表示に移行する。一方、「スクロール画面」内に自車位置マークが含まれていない場合には、ピンチイン/アウトに先立ってスワイプによるスクロールの指示が行われたと考えて、「スクロール画面」表示時のスクロール縮尺を新たに現在地縮尺に設定することはせずに、その時点で記録されている現在地縮尺で「現在地画面」表示に移行する。
【0037】
図3は、現在地縮尺判定動作に関する動作手順を示す流れ図である。電源投入後に、自車位置算出部41によって自車位置が検出され、地図描画部42によって自車位置周辺の地図画像(現在地画面)が描画されて表示装置28に表示されると(ステップ100)、操作判定部43は、タッチパネル22を用いた利用者の操作状態を監視し、ピンチイン/アウトが行われたか否かを判定する(ステップ102)。ピンチイン/アウトを検出した場合には肯定判断が行われ、縮尺設定部44は、ピンチイン/アウトの内容を反映させた現在地縮尺に変更する(ステップ104)。その後、ステップ100に戻って現在地画面表示が継続される。
【0038】
また、ピンチイン/アウトが検出されない場合にはステップ102の判定において否定判断が行われる。次に、操作判定部43は、スワイプが行われたか否かを判定する(ステップ106)。スワイプが検出されない場合には否定判断が行われ、ステップ100に戻って現在地画面表示が継続される。
【0039】
また、スワイプが検出されるとステップ106の判定において肯定判断が行われる。次に、スクロール処理部45は、スワイプの方向と量に対応して表示範囲を変更し(ステップ108)、地図描画部42によって、変更された表示範囲に対応する描画が行われてスクロール画面が表示される(ステップ110)。
【0040】
次に、操作判定部43は、現在地画面の表示が指示されたか否か(「現在地」ボタンが指し示されたか否か)を判定する(ステップ112)。指示されていない場合には否定判断が行われ、次いで操作判定部43は、ピンチイン/アウトが行われたか否かを判定する(ステップ114)。ピンチイン/アウトが検出されない場合には否定判断が行われ、ステップ106に戻ってスワイプ判定以降の動作が繰り返される。
【0041】
また、スクロール画面表示の状態でピンチイン/アウトが検出されるとステップ114の判定において肯定判断が行われる。次に、縮尺設定部44は、ピンチイン/アウトの内容を反映させたスクロール縮尺に変更する(ステップ116)。その後、ステップ110に戻ってスクロール画面表示が継続される。
【0042】
また、スクロール画面表示の状態で現在地画面の表示が指示されるとステップ112の判定において肯定判断が行われる。この場合には、縮尺判定部46は、表示中のスクロール画面内に自車位置マークが含まれるか否かを判定する(ステップ118)。含まれる場合には肯定判断が行われ、縮尺判定部46は、その時点のスクロール縮尺を新たな現在地縮尺として設定する(ステップ120)。その後、ステップ100に戻って、この新たに設定された現在地縮尺を用いた「現在地画面」表示が行われる。また、表示中のスクロール画面に自車位置マークが含まれない場合にはステップ118の判定において否定判断が行われる。この場合には、現在地縮尺の変更は行われず、以前に記録しておいた現在地縮尺を用いた「現在地画面」表示が行われる。
【0043】
図4は、「現在地画面」表示と「スクロール画面」表示の間の画面遷移を示す図である。
図4(A)に示すように「現在地画面」表示を行っているときに、利用者が現在地縮尺を変更しようとして画面上でピンチインを行う場合に、一方の指が画面に先に接触してその位置が少しずれると、このずれに対応するスクロールが生じる(
図4(B))。その後、他方の指が画面に接触してピンチインが行われると、スクロール画面が縮小されて(
図4(C))、スクロール縮尺が変更される。このような状態において、利用者が「現在地画面」表示を指示すると、この表示画面には自車位置マークGが含まれているため、この時点におけるスクロール縮尺が新たな現在地縮尺に設定されて「現在地画面」表示が行われる(
図4(D))。なお、従来であれば、
図4(A)に示す「現在地画面」表示に戻っていた。
【0044】
このように、本実施形態のナビゲーション装置1では、現在地画面の表示縮尺をピンチイン/アウトで変更する場合に、一方の指が先に画面に触れてスワイプ操作と誤判定されて地図画像がスクロールされた場合であっても、適切な条件を設定することにより、スワイプ操作に伴うスクロール動作がない場合の現在地縮尺の更新を行うことが可能になり、ピンチイン/アウトによって表示縮尺を変更する際の操作性を改善することができる。
【0045】
特に、所定の条件を、表示中のスクロール画面に自車位置が含まれることとしている。ピンチイン/アウトに先立って一方の指が先に画面に触れてスワイプに対応する画面のスクロールが生じた場合には、このスクロールの量はわずかであると考えられるため、スクロール画面内に自車位置があることを確認することにより、スワイプの誤検出に伴う現在地縮尺の誤設定をなくすことができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、表示中のスクロール画面に自車位置が含まれる場合に、スクロール縮尺を新たな現在地縮尺として更新するようにしたが、他の条件を満たす場合に同様に現在地縮尺の更新を行うようにしてもよい。
【0047】
具体的には、所定の条件として、表示中のスクロール画面に、利用者のスワイプ操作が行われる前に表示されていた現在地画面の表示範囲(望ましくは、表示範囲の全体)が重なっている場合に、スクロール縮尺を新たな現在地縮尺として更新するようにしてもよい。
図3に示す流れ図では、ステップ118を、「縮尺判定部46は、表示中のスクロール画面内に、スクロール前の現在地画面の表示範囲(あるいはその全体)が含まれるか否かを判定する」に変更すればよい。
図4に示した遷移画面では、スクロール前の現在地画面の表示範囲がSで示されている。
【0048】
ピンチイン/アウトに先立って一方の指が先に画面に触れてスワイプに対応する画面のスクロールが生じた場合には、このスクロールの量はわずかであると考えられるため、スクロール画面に現在地画面の表示範囲が重なっていることを確認することにより、スワイプの誤検出に伴う現在地縮尺の誤設定をなくすことができる。
【0049】
また、上述した実施形態では、クレードルに取り付けたスマートフォンなどの携帯端末装置を本実施形態のナビゲーション装置として用いる場合を例にとって説明したが、タブレット端末を用いる場合や、ヘッドユニットなどの取り外しできない専用のナビゲーション装置について本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
上述したように、本発明によれば、現在地画面の表示縮尺をピンチイン/アウトで変更する場合に、一方の指が先に画面に触れてスワイプ操作と誤判定されて地図画像がスクロールされた場合であっても、適切な条件を設定することにより、スワイプ操作に伴うスクロール動作がない場合の現在地縮尺の更新を行うことが可能になり、ピンチイン/アウトによって表示縮尺を変更する際の操作性を改善することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 ナビゲーション装置
10 GPS受信機
22 タッチパネル
24 入力制御部
26 表示処理部
28 表示装置
40 制御部
41 自車位置算出部
42 地図描画部
43 操作判定部
44 縮尺設定部
45 スクロール処理部
46 縮尺判定部
50 メモリ