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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122879
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20230829BHJP
   B66B 1/34 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
B66B3/00 F
B66B3/00 L
B66B1/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026637
(22)【出願日】2022-02-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CA00
3F303CA06
3F303CB31
3F303DB27
3F303DC26
3F502KA11
3F502KA19
(57)【要約】
【課題】利用者が認識できそうな言語の前記所定の音声を先にして、前記利用者に報知できるため、前記利用者が不安に感じる時間を短くでき、前記利用者を安心させることに寄与できる。
【解決手段】移動路を移動する乗りかご内の利用者に所定の案内音声を報知するためのエレベータシステムであって、前記所定の案内音声を複数の言語で記憶する音声記憶手段を備え、前記言語それぞれには、予め報知順が設定され、前記乗りかご内の前記利用者に現れた特徴が含まれる情報を収集する特徴収集手段と、前記特徴のうち、前記利用者が使用する使用言語と関連のある識別用特徴を抽出する特徴抽出手段と、前記報知順を一新する報知順一新手段と、前記一新された報知順で前記所定の案内音声を前記複数の言語を用いて報知する報知手段と、を備え、前記報知順一新手段は、前記識別用特徴に応じて報知順を一新することを特徴とするエレベータシステム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動路を移動する乗りかご内の利用者に所定の案内音声を報知するためのエレベータシステムであって、
前記所定の案内音声を複数の言語で記憶する音声記憶手段を備え、
前記言語それぞれには、予め報知順が設定され、
前記乗りかご内の前記利用者に現れた特徴が含まれる情報を収集する特徴収集手段と、
前記特徴のうち、前記利用者が使用する使用言語と関連のある識別用特徴を抽出する特徴抽出手段と、
前記報知順を一新する報知順一新手段と、
前記一新された報知順で前記所定の案内音声を前記複数の言語を用いて報知する報知手段と、を備え、
前記報知順一新手段は、前記識別用特徴に応じて報知順を一新することを特徴とするエレベータシステム。
【請求項2】
前記識別用特徴には、前記利用者の外観的特徴及び前記利用者の発声時の言語的特徴が含まれ、
前記報知順一新手段は、前記一新に係る報知順の言語を一つずつ決定する各順決定手段を複数備え、
複数の前記各順決定手段のうち、一つ以上の前記各順決定手段は、前記外観的特徴に応じて前記言語を決定し、前記各順決定手段とは異なる一つ以上の前記各順決定手段は、前記言語的特徴に応じて前記言語を決定する、請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記外観的特徴は、前記利用者の身体又服飾に係る特徴であり、
前記特徴収集手段は、少なくとも前記利用者を撮像する撮像手段を備える、請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記特徴収集手段は、前記利用者の発声に基づく音声を収集し、
前記特徴抽出手段は、前記言語的特徴として、前記音声のうち単語、又は一定の意味を有する複数の単語の集合を抽出する、請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記特徴抽出手段は、前記利用者の発声に基づく音声データを文字データに変換し、前記文字データから前記言語的特徴を抽出する、請求項4に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記特徴収集手段は、前記利用者の前記乗りかご内の外部連絡装置を用いた問い合わせに係る音声を収集する、請求項4又は請求項5に記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのかご内に音声放送による案内を行う装置を開示した文献として、例えば、特許文献1が存在している。この特許文献1では、エレベータの乗客が外国人である場合を想定して、スピーカーからの案内放送として外国語での案内を行うことが記載されている。
【0003】
ところで、エレベータを利用する外国人は多岐にわたり、各外国人が話す言語もさまざまである。そのため、従来、エレベータでは、予め記録された各言語での放送内容を順番にアナウンスするという方法がとられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-1549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の方法では、各言語での放送内容を一定の順番でアナウンスするため、理解できる言語がアナウンスされるまで利用者は待たねばならず、特に多数の言語でアナウンスする場合、利用者に不快感を与えてしまっていた。また、例えば、事故や災害による非常時に、エレベータ内に閉じこめられた状況において、利用者の安全に関わるような内容が自分の理解できる言語でなかなかアナウンスされないと、利用者に不安を与えることにもつながりかねない。
【0006】
そこで、本発明は、非常時の音声放送による案内に関して、エレベータを利用する利用者を安心させることに寄与できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、移動路を移動する乗りかご内の利用者に所定の案内音声を報知するためのエレベータシステムであって、前記所定の案内音声を複数の言語で記憶する音声記憶手段を備え、前記言語それぞれには、予め報知順が設定され、前記乗りかご内の前記利用者に現れた特徴が含まれる情報を収集する特徴収集手段と、前記特徴のうち、前記利用者が使用する使用言語と関連のある識別用特徴を抽出する特徴抽出手段と、前記報知順を一新する報知順一新手段と、前記一新された報知順で前記所定の案内音声を前記複数の言語を用いて報知する報知手段と、を備え、前記報知順一新手段は、前記識別用特徴に応じて報知順を一新することを特徴とするエレベータシステムである。
【0008】
前記構成によれば、前記特徴収集手段で収集した前記情報のうち、前記特徴抽出手段が抽出した前記識別用特徴に応じて、前記報知順一新手段が報知順を一新するため、前記報知手段は、前記利用者が認識できそうな言語を先にして、前記音声記憶手段に記憶された前記所定の案内音声を、前記利用者に報知できる。
【0009】
また、本発明では、前記識別用特徴には、前記利用者の外観的特徴及び前記利用者の発声時の言語的特徴が含まれ、前記報知順一新手段は、前記一新に係る報知順の言語を一つずつ決定する各順決定手段を複数備え、複数の前記各順決定手段のうち、一つ以上の前記各順決定手段は、前記外観的特徴に応じて前記言語を決定し、前記各順決定手段とは異なる一つ以上の前記各順決定手段は、前記言語的特徴に応じて前記言語を決定してもよい。
【0010】
前記構成によれば、前記報知順一新手段が前記報知順を一新するにあたって、一つ以上の前記各順決定手段は、前記外観的特徴に応じて前記言語を決定し、前記各順決定手段とは異なる一つ以上の前記各順決定手段は、前記言語的特徴に応じて前記言語を決定するため、様々な観点から各報知順の言語を決定できる。
【0011】
また、本発明では、前記外観見的特徴は、前記利用者の身体又服飾に係る特徴であり、前記特徴収集手段は、少なくとも前記利用者を撮像する撮像手段を備えてもよい。
【0012】
前記構成によれば、前記情報の収集の一環として、前記撮像手段によって前記利用者を撮像することで、前記外見的特徴を収集できる。
【0013】
また、本発明では、前記特徴収集手段は、前記利用者の発声に基づく音声を収集し、前記特徴抽出手段は、前記言語的特徴として、前記音声のうち単語、又は一定の意味を有する複数の単語の集合を抽出してもよい。
【0014】
前記構成によれば、前記利用者が発した音声から単語や、一定の意味を有する複数の単語の集合を前記言語的特徴として抽出できるため、例えば、前記乗りかご内での利用者同士の会話を利用して、前記識別用特徴を抽出できるとともに、前記報知順一新手段は予め設定された報知順を一新できる。
【0015】
また、本発明では、前記特徴抽出手段は、前記利用者の発声に基づく音声データを文字データに変換し、前記文字データから前記言語的特徴を抽出してもよい。
【0016】
前記構成によれば、変換した前記文字データから前記言語的特徴を抽出するため、例えば、前記文字データから抽出した単語や文章を、前記報知順一新手段による報知順の一新で用いることができる。
【0017】
また、本発明では、前記特徴収集手段は、前記利用者の前記乗りかご内の外部連絡装置を用いた問い合わせに係る音声を収集してもよい。
【0018】
前記構成によれば、前記利用者からの問い合わせに係る音声を利用して報知順を一新できる。
【発明の効果】
【0019】
よって、本発明では、前記利用者が認識できそうな言語の前記所定の音声を先にして、前記利用者に報知できるため、前記利用者が不安に感じる時間を短くでき、前記利用者を安心させることに寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明のエレベータシステムの一実施形態についてのシステム構成図である。
図2図2は、前記エレベータシステムの処理の全体を示すフローチャートである。
図3図3は、前記エレベータシステムにおける第1の手段での処理を示すフローチャートである。
図4図4は、前記エレベータシステムにおける第2の手段での処理を示すフローチャートである。
図5図5は、図4のステップ27でYesとなった場合の処理を示すフローチャートである。
図6図6は、前記エレベータシステムにおける第3の手段での処理を示すフローチャートである。
図7図7は、図6のステップ37でYesとなった場合の処理を示すフローチャートである。
図8図8は、前記エレベータシステムにおける第4の手段での処理を示すフローチャートである。
図9図9は、図8のステップ47でYesとなった場合の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るエレベータシステムについて説明する。エレベータシステムは、例えば、災害や事故等の不測の事態によって、利用者が乗りかご内に閉じ込められた状況で利用者の理解可能な言語で速やかに案内を行うことにより、利用者の不安や焦りを解消し安心させるために利用される。このエレベータシステムは、利用者に迅速な情報伝達を図るべく、利用者の認識可能な言語を把握するためのものである。
【0022】
このエレベータシステムは、利用者に伝える所定の案内音声を複数の言語で記憶する音声記憶手段と、言語を報知する順番を一新する報知順一新手段と、利用者に現れた特徴が含まれる情報を収集する特徴収集手段と、前記特徴のうち、利用者が使用する使用言語と関連のある識別用特徴を抽出する特徴抽出手段と、所定の案内音声を利用者に報知する報知手段とを備える。
【0023】
本実施形態のエレベータシステム1では、乗りかご2内と外部装置3との間の情報のやりとりによって、利用者の認識可能な言語を把握する。そのため、本実施形態のエレベータシステム1は、図1に示す通り、乗りかご2と、該乗りかご2とは別に設けられる外部装置3とを含んでいる。本実施形態では、乗りかご2と外部装置3とが通信系統Rを介して情報のやりとりをする。通信系統Rは、例えば、処理マイコン26とサーバー32とを公衆回線(電話回線やインターネット回線)を介して双方向に通信可能な通信系統である。なお、本実施形態の外部装置3は、乗りかご2が設けられた建物とは異なる場所(例えば、監視センター)に設けられているものとする。
【0024】
乗りかご2は、人や物を乗せた状態で移動路としての昇降路内を移動する。乗りかご2には、目的の階床を登録する行先登録釦、かごドア(図示しない)を開閉するための扉開閉釦といった乗りかご2を操作する各種の操作釦24を有する操作盤21や、乗りかご2内を監視するための監視カメラ20が備わっている。なお、操作盤21には、乗りかご2が通過、若しくは停止している階数や、乗りかご2の移動方向といった乗りかご2の運行情報を表示する表示部23が設けられている。
【0025】
ところで、エレベータに不測の事態が起こった場合には、乗りかご2内の利用者は、外部に乗りかご2内の状況を知らせたり、或いは助けを求めたりする必要がある。そのため、乗りかご2には、外部と連絡を取るための外部連絡装置22(具体的には、インターホン)が備わっている。この外部連絡装置22は、該外部連絡装置22を起動する非常呼び釦220と、通話手段として機能するマイク221とスピーカー222とを備える。例えば、非常呼び釦220が押下されることにより、外部連絡装置22は起動する。具体的には、外部連絡装置22が起動することで、マイク221が乗りかご2内の利用者の音声を集音可能となると共に、スピーカー222から音声を出力可能となる。そして、後述する処理マイコン26を利用して、外部装置3との連絡が開始される。そのため、外部の者(例えば、エレベータを監視する監視センターに常駐するオペレーター)との通話が可能となる。なお、本実施形態では、外部連絡装置22が操作盤21に設けられている。
【0026】
乗りかご2には、乗りかご2内の利用者に報知を行う報知手段が設けられている。本実施形態では、外部連絡装置22に備わるスピーカー222が報知手段に該当する。そのため、本実施形態の報知手段は、操作盤21に設けられている。
【0027】
乗りかご2内には、利用者に関する情報を収集する特徴収集手段が設けられている。この特徴収集手段は、乗りかご2内の利用者に現れた特徴が含まれる情報を収集する。ここで、「利用者に現れた特徴」とは、利用者個人を示すこととなるものであり、例えば、利用者の発声時の音声といった言語的特徴や、顔付き、身長や体型といった身体や、服装や装飾品(服飾)といった利用者の外観的特徴が該当する。
【0028】
本実施形態の特徴収集手段は、顔、身長や体型などの体格、服装といった利用者の外観的特徴を収集するために、乗りかご2内を撮像する撮像手段を備える。撮像手段としては、例えば、乗りかご2内の天井に設けられた監視カメラ20が該当する。また、本実施形態の操作盤21には、撮像手段としてのカメラ25が設けられている。この撮像手段は、利用者を撮像する。また、本実施形態の特徴収集手段は、利用者の言語的特徴を収集するために、乗りかご2内の音を集音する集音手段を備える。この集音手段で、乗りかご2内の利用者の音声(例えば、マイク221に向かって話す利用者の音声や、乗りかご2内での利用者同士の会話)を集音する。本実施形態では、集音手段として、外部連絡装置22に備わるマイク221が該当する。そのため、本実施形態の特徴収集手段は、撮像手段で利用者を撮像すると共に、集音手段で利用者の音声を収集することにより、利用者に現れた特徴に関する情報を多角的に収集している。また、本実施形態では、撮像手段と集音手段とが乗りかご2内に設けられているため、特徴収集手段は乗りかご2内にいる利用者に関する情報を直接的に収集している。
【0029】
本実施形態の操作盤21には、処理マイコン26が内蔵されている。処理マイコン26は、扉開閉釦の押下で扉を開閉するように指令を出し、行先登録釦や各乗り場に設けられた呼び釦の押下で所定の階へ移動するよう乗りかご2に指令を出すためのものである。また、処理マイコン26は、非常呼び釦220が押下されることで外部連絡装置22に対して起動するように指令を出す。さらに、処理マイコン26は、後述する外部装置3から受信した案内音声を報知するよう報知手段に指令を出す。
【0030】
本実施形態の処理マイコン26は、非常呼び釦220が押下されることで特徴収集手段に対して情報を収集するように指令を出す。これにより、撮像手段による撮像や、集音手段による集音が開始される。よって、本実施形態では呼び釦が押下されると、処理マイコン26は、外部連絡装置22に対して指令を出すと共に、特徴収集手段に対して指令を出すように構成される。
【0031】
処理マイコン26は、通信系統Rを介して、後述するサーバー32と通信可能に接続されている。そのため、利用者は、外部連絡装置22と処理マイコン26とを用いることで、外部との連絡が可能となる。よって、本実施形態では、処理マイコン26は、特徴収集手段により収集した情報(具体的には、集音手段で集音した音と、撮像手段で撮像した乗りかご2内の画像)をサーバー32に送るように構成されている。
【0032】
外部装置3は、通信系統Rを介して乗りかご2に接続されている。外部装置3は、記憶装置30と、データベース31と、サーバー32とを備える。なお、外部装置3は、例えば、エレベータの動作状態を常時監視している監視センターに配置されている。この監視センターには、オペレーターが常駐しており、乗りかご2内の利用者からの外部連絡装置22による連絡に対応する。
【0033】
記憶装置30は、所定の案内音声を記憶している。ここで、「所定の案内音声」とは、乗りかご2内の利用者に対して報知するためのものである。この「所定の案内音声」には、「あなたはこの言葉を理解できますか?理解できるなら手を挙げてください。」や「数字ボタンを押してください。」といった、利用者の認識可能な言語を把握するべく、利用者か呼びかける呼びかけ音声と、「しばらくお待ちください」や「後、5分ぐらいで救出員が到着します。」といった、利用者の認識可能な言語を把握した後に利用者に呼び掛ける情報伝達音声とが該当する。本実施形態の記憶装置30は、様々な種類の案内音声を記憶している。また、記憶装置30は、案内音声を複数の言語で記憶している。具体的に、本実施形態の記憶装置30は、案内音声を日本語、英語、韓国語、中国語の四か国語で記憶している。この記憶装置30が音声記憶手段として機能する。
【0034】
データベース31は、利用者の理解可能な言語を把握するための基礎となる基礎情報を有する。ここで、「基礎情報」としては、例えば、英語、日本語、中国語、韓国語といった各種の言語での単語や、文章といった言語的情報が該当する。また、「基礎情報」には、各国の人に高い割合で現れるとされている特徴、例えば、目の色や、顔の長さなどといった顔にまつわる特徴のほか、民族に対応する服装的な特徴、例えば、頭から首元まで柔らかいもの(インドネシアの「ヒジャブ」等)で覆っているといったものや、例えば、服装が全体的に派手か地味か、薄着であるか、学生服を着用しているかといった習慣的に関する外観的な情報が含まれる。基礎情報は、各言語と関連付けられている。外観的特徴は、対応する可能性の高い各言語と関連付けられている。
【0035】
サーバー32は、通信系統Rを介して処理マイコン26と接続している。このサーバー32は、処理マイコン26から受けた情報を用いて、言語を報知する順番を決めると共に、処理マイコン26に対して決めた順番で報知するように指令を出す。このサーバー32は、データベース31や記憶装置30に接続している。サーバー32は、記憶装置30に設定された言語に報知順を予め設定している。そのため、記憶装置30に記憶される言語には、予め初期報知順が設定されている。
【0036】
特徴抽出手段は、処理マイコン26から送られてきた利用者に現れた特徴を含む画像や音声といった情報から、識別用特徴を抽出する。具体的に、識別用特徴とは、利用者の認識可能な言語を把握するための特徴であり、例えば、言語的特徴や外観的特徴が該当する。
【0037】
報知順一新手段は、予め設定された(仮のものとして設定された)報知順(初期報知順)を別の報知順(一新報知順)へと一新する。報知順一新手段は、識別用特徴に応じて一新報知順へと一新する。本実施形態では、識別用特徴を用いて昇順で言語を決定することで、報知順を一新する。そのため、報知順一新手段は、一新報知順の言語を一つずつ決定する各順決定手段を複数(四つ)備える。
【0038】
各順決定手段それぞれは、様々な観点から言語を決定する。本実施形態では、第一順決定手段が言語として利用者の認識可能なものを決定する可能性が高く、第二、第三、第四と進むにつれて、言語として利用者の認識可能なものを決定する可能性が低くなるように構成されている。このため、第二~第四順決定手段で決定される言語は、第一順決定手段で決定される言語に対して、補助的に決定される意味合いを有している。また、本実施形態では、第一乃至第四順決定手段それぞれが、報知順における各順に対応している。
【0039】
本実施形態の第一順決定手段は、言語的特徴に応じて言語を決定する。具体的には、第一順決定手段は、処理マイコン26から送られてきた音情報と、データベース31に記憶された基礎情報とを用いて言語を決定する。第二乃至第四順決定手段は、外観的特徴に応じて言語を決定する。具体的に、第二乃至第四順決定手段は、処理マイコン26から送られてきた画像情報と、データベース31に記憶された基礎情報とを用いて言語を決定する。一方、第二順決定手段は、言語の決定として、利用者の服装や装飾品といった民族的特徴を明らかにしてものを割り当てる。第三順決定手段は、言語の決定として、利用者の顔の特徴から大まかに民族を推定し、その民族における使用割合の高いものを割り当てる。第四順決定手段は、言語の決定として、具体的には利用者の服装といった習慣的特徴から大まかに地域を推定し、該地域における使用割合の高いものを割り当てるものである。
【0040】
続いて、図2~9を用いて、本実施形態に係るエレベータシステム1で、利用者の認識可能な言語を把握する流れを説明する。
【0041】
まず、災害等の不測の事態によって乗りかご2が停止し、利用者が乗りかご2内に閉じ込められたとする。このとき、多くの利用者は操作盤21に設けられた外部連絡装置22を用いて、外部への問い合わせを試みると考えられる。具体的に、この場合の利用者は、非常呼び釦220を押下して外部連絡装置22を起動し、自己の使用可能な言語でマイク221に向かって音声を発する。
【0042】
一方、非常呼び釦220が押下されたことにより、本実施形態のエレベータシステム1は利用者の認識可能な言語を把握する処理を開始し、具体的には、処理マイコン26が特徴収集手段に対して、利用者に現れた特徴が含まれる情報を収集するように指令を出す。これにより、特徴収集手段が情報の収集を開始する。具体的に、情報の収集として、撮像手段としてカメラ25や監視カメラ20による乗りかご2内の撮像と、マイク221による乗りかご2内の音の集音とを行う。よって、本実施形態では、監視カメラ20やカメラ25で利用者が撮像されると共に、マイク221で利用者が発する音声が集音される。そして、処理マイコン26が通信系統Rを介して、特徴収集手段により収集された情報をサーバー32に送る。
【0043】
情報を受け取ったサーバー32では、特徴抽出手段が情報から識別用特徴を抽出し、報知順一新手段が識別用特徴に応じて報知順を一新する。図2に示すように、本実施形態では、第一乃至第四順決定手段それぞれが言語を決定することで(ステップS1,S2,S3,S4)、報知順一新手段は初期報知順を一新報知順へと一新する。まずはじめに、一新報知順の一番目の言語の決定処理(ステップS1)について説明する。
【0044】
サーバー32は、初期設定順のうち、一番目の言語を第一決定言語に設定する(ステップS10)。その後、サーバー32は、第一決定言語を用いて音情報に対して音声認識を行う。音声認識として、まず、音情報から利用者の音声を抽出する。そして、音声のうち単語や、一定の意味を有する単語の集合を抽出する。具体的には、音データを文字データに変換し、該文字データから言語的特徴として、単語や単語を含む文章を抽出する(ステップS11)。そして、単語や単語を含む文章と、データベース31に記録された基礎情報のうち、第一決定言語に設定された言語と関連する基礎情報と比較し(ステップS12)、一致しているかを確認する(ステップS13)。そして、一致している場合には(ステップS13:Yes)、第一決定言語を一新報知順の一番目の言語に決定する(ステップS14)。
【0045】
一方で、基礎情報と比較して一致していなかった場合(ステップS13:No)、サーバー32は、初期設定順のうち、次である二番目の言語を第一決定言語に設定する(ステップS15)。その後、全ての言語で音声認識を行ったかを確認し、該当しない場合には(ステップS16:No)、再び、言語的特徴と基礎情報との比較を行って一致する言語を探す(ステップS13)。このように、サーバー32は、初期設定順の一番目から順々に第一決定言語に設定して音声認識を行うことで、一新報知順の一番目の言語を決定する。一方で、全ての言語で音声認識を行い、言語的特徴が基礎情報と一致していなかった場合には(ステップS16:Yes)、初期設定順の一番目の言語を一新報知順の一番目の言語に決定する(ステップS17)。
【0046】
続いて、二番目の言語の決定処理(ステップS2)について説明する。二番目の言語を決定する際には、まず、初期設定順のうち、一番目の言語を第二決定言語に設定する(ステップS20)。その後、第二決定言語に設定した言語が一新報知順の一番目の言語に決定されたかを確認する(ステップS21)。第二決定言語が一新報知順の一番目の言語に決定されていない場合(ステップS21:No)、その第二決定言語を用いて画像認識を行う。画像認識としては、処理マイコン26から受けとった情報のうち、画像情報から、例えば、輪郭が直線で固い、輪郭の幅が一定以上であるから太い、構成線(しわ)が横に流れることで何かが巻かれている、構成線(しわ)が縦に流れることで何かを被っているなどの種々の外観的特徴を抽出し、該外観的特徴の組み合わせによって、言語を決定する。なお、二番目の言語の決定処理でいう外観的特徴とは、民族衣装等の居住地域によって特徴が出る服装に係る特徴を示すものである。即ち、特徴抽出手段が、画像情報から、第二決定言語として設定された言語と関連する民族衣装を示す外観的特徴を抽出し(ステップS22)、特徴抽出手段が抽出した外観的特徴を、基礎情報のうち、第二決定言語に設定された言語と関連する民族衣装等の情報と比較して(ステップS23)、一致しているかを確認する(ステップS24)。そして、一致している場合には(ステップS24:Yes)、第二決定言語を一新報知順の一番目の言語に決定する(ステップS25)。
【0047】
一方で、第二決定言語が一新報知順の一番目の言語に決定されていた場合(ステップS21:Yes)や、例えば、利用者がスーツやネクタイ姿であった場合等、個性のない姿であって、外観的特徴が基礎情報と一致しなかった場合には(ステップS24:No)、初期設定順の次である二番目の言語を第二決定言語に設定する(ステップS26)。その後、全ての言語で画像認識を行ったかを確認して該当しなかった場合は(ステップS27:No)、再び、第二決定言語に設定した言語が一新報知順の一番目の言語に決定されているかを確認し(ステップS21)、特徴抽出手段が、画像情報から、第二決定言語として設定された言語と関連する外観的特徴を抽出し、基礎情報との比較を試みる(ステップS22,S23)。このように、サーバー32は、初期設定順の一番目から順々に第二決定言語に設定して画像認識を行うことで、一新報知順の二番目の言語を決定する。
【0048】
ところで、全ての言語で画像認識を行い、外観的特徴と基礎情報とが一致しなかった場合には(ステップS27:Yes)、初期設定順の一番目の言語が一新報知順の一番目の言語に決定されたかを判断し(ステップS28)、初期設定順の一番目の言語又は二番目の言語を一新報知順の二番目の言語に決定する(ステップS280,S281)。
【0049】
次に、三番目の言語の決定処理(ステップS3)について説明する。三番目の言語の決定するためには、まず、初期設定順の一番目の言語を第三決定言語に設定する(ステップS30)。そして、この第三決定言語として設定された言語が一新報知順の一番目又は二番目の言語に決定されたかを確認する(ステップS31)。そして、一番目又は二番目の言語に決定されていなかった場合には(ステップS31:No)、第三決定言語を用いて画像認識を行う。具体的に、特徴抽出手段が、処理マイコン26から送られてきた画像情報のから、第三決定言語として設定された言語と関連する可能性が高いと考えられる利用者の顔の特徴を示す外観的特徴を抽出する(ステップS32)。外観的特徴の抽出としては、例えば、眼の色はどうか、ほっぺたがはっきり区別できるか、などを確認することで行われる。そして、外観的特徴として抽出した利用者の顔の特徴を、基礎情報のうち、第三決定言語に設定された言語と関連する可能性が高いと考えられる顔の情報と比較し(ステップS33)、一致する場合(ステップS34:Yes)には、大まかに民族を推定し、その民族における使用割合の高い言語として、第三決定言語を一新報知順の三番目の言語に決定する(ステップS35)。
【0050】
一方で、第三決定言語として設定された言語が一新報知順の一番目又は二番目の言語に決定された言語である場合(ステップS31:Yes)や、外観的特徴と基礎情報とが一致しなかった場合には(ステップS34:No)、初期設定順の次である二番目の言語を第三決定言語に設定する(ステップS36)。その後、全ての言語で画像認識を行ったかを確認し、該当しない場合には(ステップS37:No)、再び、第三決定言語に設定した言語が一新報知順の一番目又は二番目の言語に決定されているかを確認し(ステップS31)、特徴抽出手段が、画像情報から、第三決定言語として設定された言語と関連する可能性が高いと考えられる利用者の顔の特徴を示す外観的特徴を抽出する(ステップS32)。このように、サーバー32は、初期設定順の一番目から順々に第三決定言語に設定して画像認識を行うことで、三番目の言語を決定する。
【0051】
ところで、全ての言語で画像認識を行い、画像情報から外観的特徴である利用者の顔の特徴を抽出できなかった場合には(ステップS37:Yes)、初期設定順の一番又は二番目の言語が一新報知順の一番目又は二番目の言語に決定されたかを判断し(ステップS38,S39)、初期設定順の一番乃至三番目の言語のうちの一の言語を一新報知順の三番目の言語に決定する(ステップS380,S390,S391)。
【0052】
次に、四番目の言語の決定処理(ステップS4)について説明する。四番目の言語の決定するためには、まず、初期設定順の一番目の言語を第四決定言語に設定する(ステップS40)。そして、この第四決定言語として設定された言語が一新報知順の一乃至三番目のうちの一の言語に決定されたかを確認する(ステップS41)。そして、一番乃至三番目のうちの一の言語に決定されていなかった場合には(ステップS41:No)、第四決定言語を用いて画像認識を行う。具体的に、特徴抽出手段が、処理マイコン26から送られてきた画像情報のから、第四決定言語として設定された言語と関連する利用者の習慣を示す外観的特徴を抽出する(ステップS42)。ここで、利用者の習慣を示す外観的特徴の抽出としては、例えば、利用者の服装が全体的に派手であるか地味であるか、利用者の服装が全体的に薄着であるか、利用者が学生服を着用しているか、といった事項を確認することで行われる。そして、抽出した利用者の習慣を示す外観的特徴の特徴を、基礎情報のうち、第四決定言語に設定された言語と関連する可能性が高いと考えられる習慣に関する情報と比較し(ステップS43)、一致する場合(ステップS43:Yes)には、大まかに地域を推定し、その地域における使用割合の高い言語として、第四決定言語を一新報知順の四番目の言語に決定する(ステップS45)。
【0053】
一方で、第四決定言語として設定された言語が一番目乃至三番目のうちの一の言語に決定された言語である場合(ステップS41:Yes)や、外観的特徴と基礎情報とが一致しなかった場合には(ステップS44:No)、初期設定順の次である二番目の言語を第四決定言語に設定する(ステップS46)。その後、全ての言語で画像認識を行ったかを確認し、該当しない場合には(ステップS47:No)、再び、第四決定言語に設定した言語が一新報知順の一番目乃至三番目のうちの一の言語に決定されているかを確認し(ステップS41)、特徴抽出手段が、画像情報から、第四決定言語として設定された言語と関連する可能性が高いと考えられる利用者の習慣を示す外観的特徴を抽出する(ステップS42)。このように、サーバー32は、初期設定順の一番目から順々に第四決定言語に設定して画像認識を行うことで、四番目の言語を決定する。
【0054】
全ての言語で画像認識を行い、画像情報から利用者の習慣を示す外観的特徴を抽出できなかった場合には(ステップS47:Yes)、初期設定順の一番から三番目の言語が一新報知順の一番乃至三番目のうちの一の言語に決定されたかを判断し(ステップS48,S49,S50)、初期設定順の一番乃至四番のうちの一の言語を一新報知順の四番目の言語に決定する(ステップS480,S490,S500,S501)。
【0055】
第一乃至第四順決定手段それぞれが言語を決定することで(ステップS1,S2,S3,S4)、報知順一新手段が初期報知順を一新報知順へと一新すると、通信系統Rを介して、サーバー32から処理マイコン26に案内音声と一新報知順で報知を行うよう指令が送られ、受け取った処理マイコン26は、一新報知順で報知手段に案内音声を報知するように指令を出す。そして、報知手段は、一新報知順で案内音声を報知する。
【0056】
一新報知順での報知に際し、例えば、報知手段が一新報知順の二番目の言語によって、呼び掛け音声(例えば、「あなたはこの言葉を理解できますか?理解できるなら手を挙げてください」や「ドアから離れてください」)で音声案内を行い、利用者が案内音声に沿った行動をとった場合、処理マイコン26は、一新報知順の二番目の言語を利用者の認識可能な言語として認識し、以降、一新報知順の二番目の言語のみで報知手段による報知を行う。また、利用者の認識可能な言語として認識した後の報知手段による報知では、情報伝達音声が報知される。よって、利用者の認識可能な言語として認識できた場合には、一新報知順の途中であっても、それ以降の他の言語による報知や、呼び掛け音声による音声案内は行われない。
【0057】
以上、本実施形態によれば、特徴収集手段で収集した情報のうち、特徴抽出手段が識別用特徴として言語的特徴や外観的特徴を抽出して、各順決定手段としての第一乃至第四順決定手段それぞれが言語を決定することで報知順一新手段が報知順を一新するため、報知手段は、利用者が認識できそうな言語を先にして、音声記憶手段としての記憶装置30に記憶された所定の案内音声を、利用者に報知できる。具体的には、本実施形態では報知順一新手段によって、利用者が認識できる可能性が高いものから低いものの順となるように言語順が一新される(入れ替わる)ため、該言語順で利用者に所定の案内音声を報知できる。
【0058】
また、本実施形態では、報知順一新手段が一新報知順へと一新するにあたって、第一順決定手段は、言語的特徴に応じて言語を決定し、第二から第四順決定手段は、外観的特徴に応じて前記言語を決定するため、様々な観点から各報知順の言語を決定できる。特に、第二から第四順決定手段それぞれでは、特徴抽出手段が服装、利用者の顔、習慣を示す外観的特徴を抽出するため、外観的特徴を細かく分類して言語を決定できる。
【0059】
また、本実施形態では、第一順決定手段が言語として利用者の認識可能なものを決定する可能性が高く、第二、第三、第四と進むにつれて、言語として利用者の認識可能なものを決定する可能性が低くなるよう構成されているため、一新報知順を、利用者の認識可能性が高い順とできる。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0061】
上記実施形態では、スピーカー222から案内音声でのメッセージを出力させることだけを行っていたが、例えば、上記に加えて、表示部23に一新報知順で文字によるメッセージを表示させるようにもよい。
【0062】
上記実施形態では、外部連絡装置22が非常呼び釦220を備えることについて説明したが、日本語や英語以外の言語圏の人に非常呼び釦220を認知させるべく、非常呼び釦220には例えば、ピクトグラム表示がなされていてもよい。
【0063】
上記実施形態では、サーバー32側から定番メッセージを出力する自動応答システムとしてが、例えば、処理マイコン26から定番メッセージを出力するようにしてもよい。また、サーバー32から定番メッセージを出す場合、サーバー32に対してオペレーターが定番メッセージを設定することが可能である。
【0064】
上記実施形態では、音声案内を行う前段階で、利用者の理解可能な言語を把握するべく、エレベータシステム1を利用する場合について説明したが、これに限らず、例えば、オペレーターとの通話の前段階で、利用者の使用言語を把握するべく、エレベータシステム1を利用してもよい。
【0065】
上記実施形態では、一新報知順の一番目の言語の決定処理での音声認識として、単語や単語を含む文章と、データベース31に記録された基礎情報のうち、第一決定言語に設定された言語と関連する基礎情報と比較を行ったが、これに限らず、複数の言語で音声データを文字テキストし、該文字データと基礎情報との比較を行い、最も一致するものを一番目の言語に設定してもよい。
【0066】
上記実施形態では、外部装置3は、乗りかご2が設けられた建物とは異なる場所に設けられている場合について説明したが、外部装置3が、乗りかご2が設けられた建物内(例えば、移動路としての昇降路の上方にある制御室)にあってもよい。
【0067】
上記実施形態のエレベータシステム1では、乗りかご2内と外部装置3とが通信系統Rを介して情報のやりとりによって利用者が認識可能な言語を把握する場合について説明したが、例えば、乗りかご2と外部装置3とがやりとりすることなく(即ち、処理マイコン26からサーバー32に音や画像が送られず)、乗りかご2が備える構成だけで、利用者の認識可能な言語を把握してもよい。この場合、例えば、処理マイコン26が音声記憶手段、報知順一新手段及び特徴抽出手段を備えることが考えられる。具体的には、処理マイコン26が所定の案内音声や、外観的特徴や言語的特徴と比較するための基礎情報を有し、処理マイコンが言語順を決定する。また、この場合、処理マイコン26からの自動応答の他、監視センターでの自動応答、オペレーターによる応答であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、サーバー32が処理マイコン26に自動的に選択された案内音声を送る場合について説明したが、例えば、サーバー32から処理マイコン26に送る案内音声は、監視センターの係員が人為的に選択していてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、非常呼び釦220が押下されたことにより、本実施形態のエレベータシステム1は利用者の認識可能な言語を把握する処理を開始し、具体的には、処理マイコン26が特徴収集手段に対して、利用者に現れた特徴が含まれる情報を収集するように指令を出す場合について説明したが、これに限らず、例えば、非常呼び釦220が押下されずとも、乗りかご2が非常停止したことを処理マイコン26が検知したことを条件として、エレベータシステム1は利用者の認識可能な言語を把握する処理を開始してもよい。この場合、乗りかご2内で複数の利用者が話しているときには、例えば、音情報から、マイク221に最も近い人の音声を抽出し、或いはマイク221で集音した音声のうち、最も音量の大きい音声を抽出してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1:エレベータシステム、2:乗りかご、20:監視カメラ、21:操作盤、22:外部連絡装置、220:非常呼び釦、221:マイク、222:スピーカー、23:表示部、24:操作釦、25:カメラ、26:処理マイコン、3:外部装置、30:記憶装置、31:データベース、32:サーバー、R:通信系統
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動路を移動する乗りかご内の利用者に所定の案内音声を報知するためのエレベータシステムであって、
前記所定の案内音声を複数の言語で記憶する音声記憶手段を備え、
前記言語それぞれには、予め報知順が設定され、
前記乗りかご内の前記利用者に現れた特徴が含まれる情報を収集する特徴収集手段と、
前記特徴のうち、前記利用者が使用する使用言語と関連のある識別用特徴であって、利用者の外観的特徴及び利用者の発声時の言語的特徴が含まれる識別的特徴を抽出する特徴抽出手段と、
前記報知順を一新する報知順一新手段と、
前記一新された報知順で前記所定の案内音声を前記複数の言語を用いて報知する報知手段と、を備え、
前記報知順一新手段は、前記識別用特徴に応じて報知順を一新することを特徴とするエレベータシステム。
【請求項2】
移動路を移動する乗りかご内の利用者に所定の案内音声を報知するためのエレベータシステムであって、
前記所定の案内音声を複数の言語で記憶する音声記憶手段を備え、
前記言語それぞれには、予め報知順が設定され、
前記乗りかご内の前記利用者に現れた特徴が含まれる情報を収集する特徴収集手段と、
前記特徴のうち、前記利用者が使用する使用言語と関連のある識別用特徴を抽出する特徴抽出手段と、
前記報知順を一新する報知順一新手段と、
前記一新された報知順で前記所定の案内音声を前記複数の言語を用いて報知する報知手段と、を備え、
前記報知順一新手段は、前記識別用特徴に応じて報知順を一新し、
前記識別用特徴には、前記利用者の外観的特徴及び前記利用者の発声時の言語的特徴が含まれ、
前記報知順一新手段は、前記一新に係る報知順の言語を一つずつ決定する各順決定手段を複数備え、
複数の前記各順決定手段のうち、一つ以上の前記各順決定手段は、前記外観的特徴に応じて前記言語を決定し、前記各順決定手段とは異なる一つ以上の前記各順決定手段は、前記言語的特徴に応じて前記言語を決定することを特徴とするエレベータシステム。
【請求項3】
前記外観的特徴は、前記利用者の身体又服飾に係る特徴であり、
前記特徴収集手段は、少なくとも前記利用者を撮像する撮像手段を備える、請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記特徴収集手段は、前記利用者の発声に基づく音声を収集し、
前記特徴抽出手段は、前記言語的特徴として、前記音声のうち単語、又は一定の意味を有する複数の単語の集合を抽出する、請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記特徴抽出手段は、前記利用者の発声に基づく音声データを文字データに変換し、前記文字データから前記言語的特徴を抽出する、請求項4に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記特徴収集手段は、前記利用者の前記乗りかご内の外部連絡装置を用いた問い合わせに係る音声を収集する、請求項4又は請求項5に記載のエレベータシステム。